本記事では、大町市職員採用試験の面接対策で必要な、大町市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。ここで扱うのは長野県大町市です。

大町市役所の面接試験では、「なぜ大町市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。大町市の第2次試験はプレゼンテーションと個別面接が一体になった30分程度の試験で、聞かれたことに答えるだけでなく、自分から話を組み立てて出す場面があります。

準備の質がそのまま差になる試験です。

ここに集めた事実を材料にして、自分の関心と大町市の仕事の接点を言葉にしていってください。

第1部|自治体研究編

大町市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは大町市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 北アルプスのふもとに位置し、立山黒部アルペンルートの玄関口にあたる市です。北アルプス地域は大町市・池田町・松川村・白馬村・小谷村で構成されます。
  • 市域は565.15km²、人口は25,029人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、人口密度は44.3人/km²です。
  • 接している自治体は長野市・松本市・安曇野市・池田町・松川村・白馬村・生坂村・小川村に加え、富山県の富山市・立山町・黒部市と岐阜県高山市。2つの県と山を挟んで境を接しています。
  • 65歳以上の割合は39.4%、75歳以上は24.7%(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)で、長野県全体の32.7%・19.7%を大きく上回ります。
  • 市の花はカタクリ、市の木はオオヤマザクラ。市役所は大町市大町3887番地にあります。
  • 県は北アルプス地域について、北部が全国有数の豪雪地帯であり、山岳観光のメッカとして発展してきたと紹介しています。
  • 職員採用試験の前期日程は第1次と第2次の2段階。第2次はプレゼンテーションと個別面接が一体になった30分程度の試験です。

大町市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「大町市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

大町市の数字は、人口2万5千人という規模と、565.15km²という市域の広さの落差で覚えるのが早道です。この落差が、人口密度44.3人/km²という値に表れています。

項目内容
総人口25,029人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
総面積565.15km²
人口密度44.3人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
65歳以上の割合39.4%(長野県全体は32.7%)
75歳以上の割合24.7%(長野県全体は19.7%)
隣接自治体長野市・松本市・安曇野市・北安曇郡池田町・松川村・白馬村・東筑摩郡生坂村・上水内郡小川村/富山県富山市・立山町・黒部市/岐阜県高山市
市役所所在地大町市大町3887番地
(参考)長野県の人口1,970,876人(令和7年11月1日現在)
(参考)長野県の面積13,561.56km²(全国4位)

65歳以上・75歳以上の割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値です。この統計における大町市の総人口は25,029人、長野県全体は1,995,882人で、割合の分母にもこれらを用いています。表に併記した県の人口1,970,876人は県公式サイトが示す別の時点の値です。調査の基準が異なるため、住民基本台帳の数値と同じ列に並べて比べることはできません。総人口から市役所所在地までの各項目は、公表されている値をもとに整理しました。

数字から考えられる市政課題

市域565.15km²は、長野県全体の13,561.56km²のおよそ4%にあたります。人口密度44.3人/km²という値は、市域の大部分が山地であることの反映です。

人が住む場所が広く散らばっているぶん、道路も水道も交通も、同じサービスを届けるための手間が増えます。

冬の除雪はその代表で、雪が降るたびに市の業務量が跳ね上がります。

そこへ高齢化が重なります。65歳以上39.4%、75歳以上24.7%で、いずれも長野県全体を大きく上回ります(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)。

市民の4人に1人が75歳以上という構成では、通院や買い物の足、独居世帯の見守り、冬の雪かきといった問題が同時に立ち上がります。

たとえば面接では、次のように数字を暮らしの場面へ翻訳して話せます。

「大町市は市民の4割近くが65歳以上で、県の平均より高いと知りました。市域も広くて雪も多いので、冬になると暮らしを続けること自体が大変になるのではと感じています。そこを支える仕事に関わりたいです」

大町市の経済・産業

立山黒部アルペンルートの玄関口として

長野県は北アルプス地域について、「オリンピックの舞台となった白馬・八方尾根をはじめ、数多くのスキー場」があり山岳観光のメッカとして発展してきた地域であるとし、大町市を立山黒部アルペンルートの玄関口と位置づけています(出典:大北地域の情報)。

令和6年の主要観光地では、大町温泉郷が961千人で県内22位、黒部ダムが875千人で25位、大町東山・市街地が558千人で38位となっています。

山を越えて富山県側へ抜けるルートの入口であることが、この市の観光の骨格をつくっています。

宿泊と県外客に支えられた地域構造

令和6年の北アルプス地域の観光地延利用者数は7,368千人で対前年13.0%増、観光地消費額は450億7,300万円で同15.4%増でした。特徴的なのは客層の構成で、宿泊客の比率が49.5%、県外客の比率が75.5%と、いずれも県内10地域で最も高い水準にあります(出典:長野県観光地利用者統計調査結果|令和6年)。

県全体では日帰り客5,781万人が宿泊客2,734万人を大きく上回りますから、この地域は県の傾向とは逆の形をしています。泊まる人が多く、遠くから来る人が多いということは、宿や交通の事業者が地域経済の中心にいるということでもあります。

観光を志望分野に挙げるなら、来訪者の数ではなく、受け入れる側の担い手をどう保つかという角度のほうが実務に近づきます。

県の製造業という背景

長野県全体では、製造業の事業所数が6,148、従業者数が20万6,238人、製造品出荷額等は7兆1,391億6,000万円です(2023年6月1日時点の経済構造実態調査)(出典:長野県の製造業(経済構造実態調査)|2023年)。観光の印象が強い地域であっても、県の雇用の土台にはものづくりがあります。

大町市で働くことは、山岳観光の市政に関わることであると同時に、この県の経済構造の一角を担うことでもあります。

大町市の主な行政課題

ここまでの数字と観光の姿を重ねると、大町市が抱える論点が浮かび上がります。面接で市の課題を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを用意しておきましょう。

県を大きく上回る高齢化

65歳以上39.4%、75歳以上24.7%という水準は、長野県全体をそれぞれ6.7ポイント、5.0ポイント上回ります。

長野県は、人口減少によって社会インフラ・医療・教育・行政サービス等の維持が困難になるという認識を公式に示しています。県の人口は2001年の2,220,208人をピークに減少を続け、2024年2月には200万人を割り込みました(出典:長野県の人口減少の現状と課題)。

大町市は、県全体が将来向き合う状況をすでに先取りしている位置にいます。県の見通しは、この市にとっては遠い未来の話ではありません。

山と雪の条件のもとでの防災

長野県内には6つの主要活断層帯があり、糸魚川-静岡構造線断層帯では気象庁マグニチュード8程度の地震が想定されています。断層帯全体が動く想定(マグニチュード8.5)では、長野市・松本市・上田市・諏訪市・茅野市・千曲市・安曇野市・大町市など多数の市町村で最大震度7が想定されています(出典:第3次長野県地震被害想定調査報告書(概要版)|平成27年)。

実際、平成26年11月22日には長野県北部を震源とするマグニチュード6.7の神城断層地震が発生し、隣接する白馬村や小谷村を中心に被害が生じました。

県内では死者は出ませんでしたが、重傷者8名を含む負傷者46名、全壊81棟を含む2,000棟以上の家屋被害となり、全壊81棟は県内で記録された地震としては過去最大の被害です(出典:長野県神城断層地震災害記録集|平成30年)。

県はこの経験を、住民の平時からの取組があってこそ共助が機能したと総括し、「災害時住民支え合いマップ」の整備を挙げています。豪雪地帯を含む地域では、冬に災害が起きる前提で計画を組む必要があります。

離れた集落へサービスを運ぶという条件

人口密度44.3人/km²という条件は、市街地と山あいの集落が同じ市の中に大きく離れて存在することを意味します。公共交通の路線をどう残すか、施設をどう束ねるか、除雪の順番をどう決めるか。

どれも正解が一つに定まらない判断で、住民の生活に直結します。長野県では県下市町村の概ね4分の1にあたる20市町村が豪雪地帯に指定され、うち10市町村が特別豪雪地帯に指定されています。

県は令和5年度を初年度とし令和9年度を目標年度とする総合雪対策計画を運用しており、雪は個々の市町村の問題であると同時に県全体の政策課題でもあります。

若干名の採用で市政を担うということ

令和8年度前期日程の試験区分は、上級(行政事務、土木技師)、保健師、中級(保育士、保育士(社会人枠))、初級(一般事務、一般事務(社会人枠)、土木技師(社会人枠))で、採用予定人員はいずれも若干名です(出典:大町市職員採用試験実施要項|令和8年度前期日程)。

2万5千人規模の市民サービスを、この人数の積み重ねで担っているということです。しかも565.15km²という市域では、同じ用件でも訪ねる先までの距離と所要時間が季節によって変わります。

手が足りないという話であると同時に、市の仕事の全体像を早くつかめる環境だとも言えます。

重点政策|北アルプス地域の一員としての大町市

大町市の総合計画は市公式サイトの現行版で確認してください。この節で扱うのは、計画の内側ではなく、市の判断をあらかじめ制約している2つの外枠です。

5市町村で担う山岳観光と暮らし

大町市の観光政策も防災も、市の境界の内側だけでは完結しません。北アルプス地域は大町市・池田町・松川村・白馬村・小谷村の5市町村で構成され、山岳観光の受け入れも冬季の交通も、この単位で考えたほうが実態に合います。

神城断層地震のときに白馬村・小谷村・小川村へ災害救助法が適用されたことも、災害が行政区域で区切られないことを示しています。

面接で観光や防災を志望分野に挙げるなら、市単独の事業として語るより、地域の枠組みの中に自分の関心を置いたほうが、実際の仕事の形に近づきます。

県の5か年計画という背景

長野県総合5か年計画「しあわせ信州創造プラン3.0」は、2023年度から2027年度を計画期間とし、人口減少・少子化・気候変動といった危機を大変革により乗り越えて「ゆたかな社会」を実現することを基本目標に掲げています(参考:しあわせ信州創造プラン3.0|令和5年度から令和9年度)。

令和7年度の県の当初予算は一般会計で1兆118億5,725万2千円、前年度当初と比べて127億4,470万5千円(1.3%)の増でした。市の施策を読むときは、県のこの方向のどこに大町市が手を伸ばしているのかという目で見ると、事業の狙いがつかみやすくなります。

POINT|事業名を覚えることが目的ではない

事業名の暗記は、プレゼンテーションでは特に効きません。大町市の数字を一つ選び、そこから生まれる困りごとを場面として描き、市の取組を確かめ、自分の経験と結ぶ。この四つの順序が、そのまま話の構成になります。

悪い例「北アルプスの雄大な自然に囲まれた大町市で、観光振興に取り組みたいです」

改善例「担当をいただいたら、まずその分野を自分で調べ切れるようになりたいです。そのうえで、大町市の周辺は泊まる方や県外から来る方の割合が県内で最も高いと聞きましたので、宿や交通を担う方々を支える仕事に関わりたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

4つのうち、まず手を伸ばすべきなのは実施要項と人財育成の方針文書です。総合計画と県の計画は、志望分野に関係する章だけ拾えば足ります。

  • 大町市職員採用試験実施要項(最新の日程のもの)と、市の職員採用のページ
  • 大町市人財育成基本方針および大町市人財育成推進計画(採用ページに参考資料として掲げられています)
  • 大町市の総合計画と、その年度の予算に関する市の説明資料
  • 長野県総合5か年計画「しあわせ信州創造プラン3.0」(県全体の方向を押さえるため)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、大町市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。大町市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

大町市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

大町市役所の面接の概要

ここからは、大町市の選考がどう進むのか、そして第2次のプレゼンテーションに何を持ち込めばよいのかを整理していきます。

大町市役所の試験の構成

令和8年度前期日程の大町市職員採用試験は、第1次と第2次の2段階です。前期日程では令和8年10月1日採用職員と令和9年4月1日採用職員を同時に募集しており、受験する側は入庁の時期から選ぶことになります。

第2次は職種共通で面接試験(30分程度)とされ、その中身はプレゼンテーション及び個別面接(面接委員による評価判定)と実施要項に明記されています。

項目内容(令和8年度前期日程)
試験の段階第1次試験・第2次試験の2段階。前期日程で令和8年10月1日採用職員と令和9年4月1日採用職員を同時に募集
第2次試験職種共通で面接試験(30分程度)。内容は「プレゼンテーション及び個別面接(面接委員による評価判定)」
第1次の教養試験上級(行政事務・土木技師)は大学卒業程度40題2時間、保健師・中級(保育士)・初級(一般事務)は高校卒業程度40題2時間。時事、社会・人文、自然に関する一般知識および文章理解、判断・数的推理、資料解釈
社会人枠の第1次中級(保育士)・初級(一般事務)・初級(土木技師)の社会人枠は教養試験に代えて「職務能力試験」60題60分。「※基礎的な内容が出題されますので、特別な対策や勉強は不要です。」と明記
第1次の論文・作文上級(行政事務・土木技師)と保健師は「論文」1,200字・1時間30分(構成力、表現力)。中級(保育士・保育士社会人枠)と初級は「作文」1,200字・1時間(主に表現力)
第1次の専門試験上級・行政事務は40題2時間(憲法、行政法、民法、経済学、財政学、社会政策、政治学、行政学、国際関係)。保育士・保健師・初級土木技師(社会人枠)は各30題1時間30分
第1次の適性検査全職種統一で「事務適性検査」(正確さ、迅速さ等の作業能力の面からみるもの)と「性格特性検査」(公務員に求められる6つの基礎的な性格特性をみるもの)の2種類
実技試験保育士のみ第1次で15分程度(読み聞かせ等)
試験区分と採用予定人員上級(行政事務、土木技師)、保健師、中級(保育士、保育士(社会人枠))、初級(一般事務、一般事務(社会人枠)、土木技師(社会人枠))。いずれも若干名
申込方法「ながの電子申請サービス」から申込。無帽・正面向き・概ね3か月以内に撮影した写真データが必要。受験票データはメールで送信され、印刷して同じ写真を貼付し試験日に持参する
合格発表第1次は試験日の3週間後、第2次は試験日の2週間後を目途に、受験者全員へ文書で通知
職務内容事務=一般行政に関する企画、調査、連絡調整事務等/土木技師=土木行政に関する企画、設計、施工管理事務等/保健師=保健指導、感染防止対策等の保健衛生業務全般/保育士=保育所等での保育業務

高校卒業見込者を対象とする後期試験(高校卒業程度)は、前期日程とは別に市ホームページで案内されます。前期と後期では対象も試験の程度も違うため、自分がどちらを受けるのかを最初に確定させてください。

上記は大町市の令和8年度前期日程の職員採用試験実施要項にもとづく内容です。各試験種目の配点および人物試験の比重は要項に記載がなく、公表されていません。集団面接や集団討論の実施についても記載がなく、第2次はプレゼンテーションと個別面接を合わせた30分程度の試験が職種共通とされています。プレゼンテーションのテーマの提示方法や準備時間についても要項には記載がありません。面接カード等の事前提出書類の記載もありません。試験の構成・区分・日程は年度によって変わる可能性がありますので、受験の際は必ずご自身が受ける区分の最新の要項をご確認ください。

大町市役所が求める人物像

大町市の職員採用のページと令和8年度前期日程の実施要項には、求める職員像を項目立てで示した記載はありませんでした。代わりに採用のページには、「大町市人財育成基本方針」と「大町市人財育成推進計画」が参考資料として掲げられています。

市が職員に何を期待しているかは、この2つの方針文書のほうに書かれているということです。志望先を調べるなら、まずそこを開いてください。

もう一つ、手がかりになるのは試験の設計そのものです。第2次がプレゼンテーションと個別面接の組み合わせだという事実は、受け身の受け答えだけでは足りないと市が考えていることを示しています。

以降は、その設計と市の条件をもとにした当研究会の推測を含みます。人口2万5千人の市で、採用は各区分とも若干名。

誰かが作った資料を引き継ぐより、自分で調べて自分で組み立てるところから始まる仕事のほうが多くなります。プレゼンテーションという形式は、その工程を短時間でそのまま見せてもらう試験だと考えると腑に落ちます。

与えられた材料をどう並べ、何を落とし、どこに結論を置くか。日々の担当業務で毎回求められる判断が試されると見ておくのが安全でしょう。

加えて、565.15km²に2万5千人という条件は、仕事の進め方そのものに関わってきます。移動そのものに時間がかかり、冬は道路の状況が予定を書き換えます。

机の上で立てた段取りが天候で崩れることを前提に動ける柔軟さは、この市では相応に効いてくるはずです。

市外に住んでいることが選考で不利に働くわけではありません。雪の季節を含めた一年を、この市の住民として過ごす覚悟があるか。そこを自分の言葉にできる状態にしておいてください。

プレゼンテーションで話すべきなのは立派な提案ではなく、自分が実際に手を動かして何かを前に進めた場面のはずです。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。大町市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日はどのくらい時間をかけて来られましたか身構える前の一言に出る、話し方の落ち着き
② 動機・志望公務員という仕事のどこに惹かれましたか待遇以外の理由を自分の経験で語れるか
③ 自己理解人に頼られるのはどんな場面ですか自己認識と、周囲から見た姿の一致
④ 経験・行動自分で計画を立てて進めたことはありますかプレゼンテーションとも重なる観点。段取りの力
⑤ 学業・経歴学んだことのうち仕事に使えそうなものは何ですか知識の量ではなく、業務への翻訳のしかた
⑥ 適性・将来冬の勤務についてどう考えていますか雪のある土地で働き続ける前提の理解
⑦ 公共性・社会性気になっている社会の動きはありますか関心の広さと、短くまとめる力

ただし、この7つに答えるだけなら、プレゼンテーションという形式をわざわざ置く必要はありません。ここは受験者全員が用意してくる領域で、大きな差はつきにくいところです。

では、どこで差がつくのか。それが次の「大町市ならでは」の質問です。

合否を分けるのは「大町市ならでは」の質問

「なぜ長野県庁ではなく、大町市役所なのですか」
「大町市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらも大町市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「大町市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい大町市の事実答え方のヒント
なぜ県庁ではなく市役所か採用予定人員は各区分とも若干名。第2次はプレゼンテーションと個別面接を合わせて30分程度で、職種を問わず同じ構成規模の小ささを消極的な理由にせず、一つの案件を最初から最後まで見届けられる働き方を選んだ、という説明にすると筋が通ります
高齢化の水準65歳以上39.4%、75歳以上24.7%で、いずれも県全体を大きく上回る(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)割合を述べただけでは足りません。冬の通院や雪かきなど、実際に困りごとが起きる場面を一つ選び、そこに自分がどう入るかまで話しましょう
観光の性格令和6年の北アルプス地域は宿泊客比率49.5%、県外客比率75.5%で、いずれも県内10地域で最も高い水準集客の話に流さず、受け入れる側の担い手をどう保つかという論点へ進めると、市政の実務に近づきます
災害への備え糸魚川-静岡構造線断層帯の地震で最大震度7が想定される市町村に市名が挙がる。平成26年には隣接地域で神城断層地震が発生過去の災害を出来事として述べるのではなく、県が総括した平時からの共助という視点まで結び付けましょう
大町市の魅力と課題市域565.15km²に人口密度44.3人/km²。立山黒部アルペンルートの玄関口という位置山と観光という資源を挙げたあと、その資源を支える人が減っている点まで進めてください。魅力と課題が別々の話に見えないことが大事です

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接では、ここまで整理してきた資質が、あなたの過去の行動として実在するかどうかが確かめられます。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
自分から話を組み立てる力プレゼンテーションで、限られた時間に何をどの順で置いたか第2次はプレゼンテーションと個別面接を合わせて30分程度です。テーマの示され方は要項に記載がないため、どんなテーマでも使える自分の材料を先に持っておきましょう
筋の通った文章を時間内に仕上げる力1,200字の論文または作文で、与えられたテーマをどう受け止め、どこに結論を置いたか上級と保健師は論文1時間30分、中級・初級は作文1時間です。書き出す前に構成を紙に出す手順を身につけておくと、当日の時間切れを防げます
一人で担当を回し切る力助けのない状態から、どこまで自力で形にしたか採用は各区分とも若干名で、担当の幅は広がります。自分で決めた部分と人に委ねた部分を切り分けて話せると、実務の想像がつきやすくなります

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。

大町市ではプレゼンテーションで自分が話した内容が、そのまま深掘りの入口になります。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新の実施要項を読み、受ける区分と、前期日程の10月採用と4月採用のどちらを希望するかを決める
  2. ながの電子申請サービスでの申込に必要な写真データを、規格を確認したうえで先に用意する
  3. 1,200字の論文または作文を、時間を計って1本書き上げてみる(構成を先に決めてから書く練習をする)
  4. これまでの経験から、自分で計画を立てて進めた場面を3つ書き出す
  5. 第1部の事実を3つ選び、プレゼンテーションの材料として使えるかどうかを点検する
  6. プレゼンテーションを想定し、3分程度で話を組み立てて声に出す練習をする。話し終えた直後に掘られる質問も自分で作っておく

優先順位に注意

ステップ5〜6の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ4の経験の棚卸しと、その経験を大町市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、大町市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

大町市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

大町市役所の想定問答集を見る

さいごに

大町市の第2次試験は、プレゼンテーションと個別面接を合わせて30分程度。テーマの示され方まで要項に書かれていないぶん、当日その場で考えて話せる材料を自分の中に用意しておくしかありません。

それは裏を返せば、暗記した文章を持ち込む余地がないということでもあります。

10月に入るか、翌年の4月に入るか。どちらを選ぶにしても、雪の季節を含めた一年をこの市で過ごす自分を、いまのうちに想像しておいてください。

北アルプスの入口に立つ小さな市で、誰と何をしたいのか。その一点がはっきりしていれば、30分は短すぎるくらいの時間になります。