本記事では、佐久市職員採用試験の面接対策で必要な、佐久市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

佐久市役所の面接試験では、「なぜ佐久市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。佐久市は区分によって選考の段階数が変わり、受験案内が公表されている初級では第2次・第3次がいずれも面接です。

同じ経験を角度を変えて問われることを前提に準備しておく必要があります。

下に並べた事実は、そのまま暗記するためのものではありません。自分の関心が佐久市のどの仕事とつながるのかを探すための手がかりとして読んでください。

第1部|自治体研究編

佐久市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは佐久市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 長野県東部に位置し、小諸市・茅野市・東御市・軽井沢町・御代田町・立科町・佐久穂町と群馬県の下仁田町・南牧村という9つの自治体に接している。
  • 人口は97,047人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)で、長野県内19市のなかでは長野市・松本市・上田市に次ぐ4番目の規模。
  • 市域は423.51km²、人口密度は229人/km²。
  • 市の花はコスモス、市の木はからまつ。市役所は佐久市中込に置かれている。
  • 令和8年1月1日現在の住民基本台帳では、65歳以上が31.7%を占め、うち75歳以上は18.5%。
  • 職員採用試験は上級・中級・初級のほか、市の職員として3年以上勤めた経験のある人を対象とするキャリアリターン採用が置かれている。
  • 職員採用試験の実施状況を、平成26年度分から年度ごとに欠かさず公表している。試験区分別に申込者数・受験者数・合格者数まで開示される。
  • 受験の申込は市のサイトではなく、自治体専用の求人サイトを通じたエントリー制。紙の履歴書は作成しない。

佐久市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「佐久市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

佐久市の輪郭をつかむ手がかりは3つあります。10万人に届かない人口、423.51km²という市域、そして9つの自治体と境を接するという位置関係です。県全体の値も並べて確かめてください。

項目内容
総人口97,047人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
総面積423.51km²
人口密度229人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
65歳以上の割合31.7%(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)
75歳以上の割合18.5%(同上)
隣接自治体小諸市・茅野市・東御市・北佐久郡軽井沢町・御代田町・立科町・南佐久郡佐久穂町/群馬県甘楽郡下仁田町・南牧村
市の花・市の木コスモス/からまつ
市役所所在地佐久市中込3056番地
(参考)長野県の総人口1,970,876人(令和7年11月1日現在)
(参考)長野県の総面積13,561.56km²(全国4位)

65歳以上・75歳以上の割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値です。割合の分母は、同統計における佐久市の総人口97,047人です。表に並べた総面積・隣接自治体・市の花と木・市役所所在地は、いずれも基準日の異なる公表値を整理したものになります。参考欄の県の総人口は毎月の推計による公表値で、住民基本台帳とは調査の基準そのものが違います。市の割合と県の割合を同じ尺度に置いて比較することはできません。

数字から考えられる市政課題

県全体の面積13,561.56km²に対して、佐久市の423.51km²はおよそ3%を占めます。人口密度229人/km²という値は、市域の広い部分が農地と山林で占められていることを示しています。

加えて、接する自治体が9つあるという条件は見過ごせません。県境をまたぐ2町村を含み、県内の隣接先も北佐久郡・南佐久郡・諏訪地域にまたがります。

広域で調整すべき相手が多い市だということです。

年齢構成も押さえておきましょう。住民基本台帳が示す令和8年1月1日現在の佐久市は、65歳以上が31.7%、75歳以上が18.5%という構成です。

県が推計人口で公表する令和7年10月1日現在の県全体の値は33.3%と20.0%ですが、統計の基準が異なるため、両者を並べて優劣を論じることはできません。それでも、市民のおよそ5人に1人が75歳以上という構成であることは変わりません(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)。

たとえば面接では、佐久市の現状について説明する際、次のように数字と課題を結び付けられます。

「佐久市は10万人に少し届かないくらいの市で、県内では4番目の人口だと知りました。9つの自治体と接していて、群馬県とも境を接しています。市の中だけで完結する仕事のほうが少ないのではと感じていて、そういう調整の場面に関わってみたいと考えています」

佐久市の経済・産業

9つの自治体に囲まれた位置

佐久市の経済を考えるうえで、まず頭に入れておきたいのが位置関係です。市域423.51km²は9つの自治体と境を接し、そのうち下仁田町と南牧村は群馬県。

県内側でも、北佐久郡の軽井沢町・御代田町・立科町、南佐久郡の佐久穂町、さらに諏訪地域の茅野市までが隣り合います。人や物が市の内側だけで回るのではなく、複数の圏域が重なる場所に市があるということです。

企業誘致でも観光でも、佐久市の施策は近隣の動きと切り離しては読めません。

県経済を支える製造業という土台

長野県の製造業は、事業所数6,148事業所、従業者数20万6,238人、製造品出荷額等7兆1,391億6,000万円です(2023年経済構造実態調査・2023年6月1日時点)(出典:長野県の製造業(経済構造実態調査)|2023年)。

つまり、高原と観光地のイメージが先に立つ県でありながら、雇用と出荷額の主役はものづくりにあるという構造です。佐久市で産業振興に関わりたいと考えるなら、農業や観光だけでなく、この製造業の層を前提に話を組み立てたほうが実態に近づきます。

県内観光の流れと佐久市の位置取り

令和6年の長野県内の観光地利用者数は延べ8,515万人(前年比6.1%増)、観光地消費額は3,327億円(同7.6%増)でした。延利用者数の県内1位は軽井沢高原で、以下、善光寺、上諏訪温泉・諏訪湖と続きます(出典:長野県観光地利用者統計調査結果|令和6年)。

県内で最も人を集める観光地が、佐久市の隣に位置しているということです。この条件を面接でどう語るかは考えどころで、競合と捉えるか、通過していく人の流れをどう市内に引き込むかと捉えるかで、話の方向がまったく変わります。

後者の視点で準備しておくほうが、市の仕事に近い議論になります。

佐久市の主な行政課題

ここまでに並べた数字と位置関係から、佐久市が引き受けている論点を5つに整理します。面接で市の課題を問われたときに、どれか1つを自分の関心に引き寄せて話せる状態にしておきましょう。

県全体で進む人口減少という前提

長野県の人口は2001年の2,220,208人をピークに減り続け、2024年2月に200万人を下回りました。2023年の出生数は11,125人。

合計特殊出生率は全国を上回る水準を保ちながらも、4年続けて下がって1.34という過去最低の値になりました(出典:長野県の人口減少の現状と課題)。

人が減ることで社会インフラや医療、教育、行政サービスが維持できなくなる。県はそこまで踏み込んで課題を認めています。10万人に届かない規模の市にとって、この見通しは制度の設計そのものに関わってきます。

若い世代が出ていく構造

18歳から22歳の進学・就職期に、長野県では男女とも転出超過が生じています。その年齢層の転出超過数は16,950人にのぼり、静岡県に次ぐ全国2番目の多さです。

20代前半の女性については、とりわけ転出超過が大きいことが課題に挙げられています。市の採用にもこの構造は表れます。

佐久市が公表している令和7年度の実施状況では、上級・中級を合わせた申込者は132人・受験者119人・合格者34人。初級は申込者9人・受験者8人・合格者2人でした。初級の一般事務は申込が1桁という年もあるということです。

人が減る前提で、どうやって市の仕事を担う人を確保するのか。この問いは、受験者であるあなた自身にも関わる論点です。

令和元年東日本台風が残したもの

令和元年東日本台風では、長野県全体で住家被害8,345棟、人的被害は死者24人(うち災害関連死19人)に及びました。県の集計では、亡くなった方のうち2人が佐久市の方です(出典:令和元年東日本台風の人的被害・住家被害の状況|令和6年)。

この災害は、佐久市にとって統計上の出来事ではなく、市民の命が失われた出来事として記録されています。防災を志望分野に挙げるなら、被害の数字をなぞるのではなく、避難の呼びかけをどう届けるか、支援を必要とする人をどう把握しておくかという、日常の業務に接続する形で語りましょう。

地震と土砂災害への備え

長野県内には6つの主要活断層帯があり、糸魚川-静岡構造線断層帯では気象庁マグニチュード8程度の地震が想定されています。県は活断層による地震に加えて、想定東海地震と南海トラフ巨大地震も被害想定の対象としています(出典:第3次長野県地震被害想定調査報告書(概要版)|平成27年)。

あわせて長野県は、地すべり危険箇所1,241か所が全国で最も多く、土石流の危険渓流5,912渓流は全国8位です。423.51km²の市域に集落が散らばる佐久市にとって、こうした備えは特定の部署だけの仕事にはなりません。

少ない採用枠で市政を回すという条件

令和7年度の実施状況を細かく見ると、上級の行政Aは申込31人・受験27人・合格8人、行政Bは申込24人・受験20人・合格2人、行政Cは申込21人・受験20人・合格9人、行政Dは申込1人・受験1人・合格1人です。

保健師4人、管理栄養士1人、学芸員1人、建築1人、歯科衛生士1人といった専門職も、いずれも1桁の採用でした(出典:佐久市職員採用試験実施状況|令和7年度)。9万7千人の市民に対する行政サービスを、この人数の積み重ねで担っています。

区分ごとに1人か2人しか採らない年があるということは、同じ仕事を並んで覚える同期が庁内にいない場合もあるということです。負担でもありますが、担当としての判断を早い時期から任されるという条件でもあります。

重点政策|長野県の人口減少対策と佐久市

佐久市の総合計画そのものは、市公式サイトの最新版で必ず確認するようにしてください。ここでは、市の施策が置かれている県の政策環境を2つの角度から整理します。市の事業を読むときの補助線になります。

県の総合5か年計画が置いた基本目標

長野県の総合5か年計画は「しあわせ信州創造プラン3.0」(計画期間2023年度から2027年度)で、人口減少・少子化・気候変動といった危機を大変革により乗り越え、「ゆたかな社会」を実現することを基本目標に掲げています(出典:しあわせ信州創造プラン3.0|2023〜2027年度)。

市町村の計画がこの枠と無関係に動くことはありません。佐久市の施策を見るときも、県がどこを危機と名指ししているかを先に押さえておくと、事業の狙いが読み取りやすくなります。

財政という制約

長野県の令和5年度決算にもとづく財政力指数は0.50417、経常収支比率は90.5%、将来負担比率は152.0でした。令和7年度の一般会計当初予算は1兆118億5,725万2千円で、前年度当初比1.3%増です。

県の段階でも、自由に使える財源はごく限られています。市町村の事業の多くが県の補助や交付金と組み合わさって成り立つ以上、この制約は佐久市の予算にも及びます。

何かを増やすには何かを見直すという判断が、日々の仕事のなかで求められるということです。

POINT|事業名を覚えることが目的ではない

市の事業名を暗記しても、面接で問われるのは「あなたはそこにどう関わりたいのか」です。①佐久市の現状を示す数字を1つ選ぶ、②その数字の背後にある困りごとを場面として書き出す、③市がすでに動いている領域を確かめる、④自分の経験のどこが使えるかを言葉にする。この順に組み立てれば、事業名を並べずに話が立ちます。

悪い例「自然が豊かで住みやすい佐久市で、市民のために働きたいです」

改善例「まずは窓口の仕事から市民の方の暮らしを知りたいです。そのうえで、9つの自治体と接している市ですので、近隣の町や村と一緒に進める仕事に関わっていきたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

ここに挙げた4つを全部読む必要はありません。自分が受ける区分に関わるものを優先し、残りは面接で一言添えられる程度に目を通しておけば足ります。

  • 佐久市職員採用試験の受験案内(自分が受ける区分の最新年度のもの)と、市の職員採用のページ
  • 佐久市が毎年公表している職員採用試験の実施状況(申込者数・受験者数・合格者数)
  • 佐久市の総合計画と、その年度の予算に関する市の説明資料
  • しあわせ信州創造プラン3.0(県が何を危機と位置づけているかを押さえるため)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、佐久市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。佐久市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

佐久市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

佐久市役所の面接の概要

佐久市の選考でまず知っておきたいのは、面接の場が一度では終わらないという点です。区分ごとの段階の組み立てと、そこで何が確かめられるのかを、市の受験案内と公表実績から見ていきます。

佐久市役所の試験の構成

令和8年度(令和9年4月採用)の初級(一般事務・土木・建築)は、第1次から第3次までの3段階です。第2次と第3次がどちらも口述試験で、しかも見る観点が明確に書き分けられています。

第2次は「主として職務適性に係る事項について面接による試験」、第3次は「主として人物、性行等について面接による試験」です。仕事に向くかどうかを先に見て、そのあとで人物を見るという順序が、案内の文面に表れています。

項目内容(令和8年度・令和9年4月採用の初級)
試験の段階第1次・第2次・第3次の3段階。ほかに資格調査(受験資格の有無およびエントリー時の記載事項の真否を調査)
第1次試験基礎能力・事務能力検査(一般知識、時事、人文・社会、自然、文章理解(英語を含む)、判断・数理、資料解釈等の択一式と、事務の正確さ・迅速さ等の択一式)、性格検査、作文(一般的事項についての作文試験)
第2次試験口述試験。主として職務適性に係る事項について面接による試験
第3次試験口述試験。主として人物、性行等について面接による試験
受験資格(一般事務)初級の一般事務には住所要件があり、指定日現在で佐久市に住民登録をして居住していることが条件(修学・就職などで他市町村に住み、家族が佐久市に居住している場合を含む)。土木・建築に住所要件はない
申込方法自治体専用求人サイトでの会員登録とエントリー制。紙の履歴書は作成不要。会員登録時に顔写真データ、エントリー時に最終学校の学業成績証明書データが必要
初任給初級は月額204,400円。期末・勤勉手当は令和7年度実績で4.65月分
ほかの採用枠キャリアリターン採用(過去に佐久市職員として3年以上の実務経験があり退職した人が対象)は、第1次が書類選考、第2次が人物・性行等についての面接という2段階で、エントリーは通年方式

上級・中級についても、公表されている実施状況から段階の組み方が読み取れます。令和7年度(令和8年4月1日採用)の上級・中級は第1次から第4次までの4段階で実施されました。

同じ年度の初級は第3次までですから、区分によって関門の数が違います。面接の回数が多いということは、一度の受け答えの巧拙で決まらない代わりに、複数回にわたって一貫した人物像を示す必要があるということです(出典:佐久市職員採用試験受験案内(初級)|令和8年度)。

上記の初級の構成は佐久市の令和8年度(令和9年4月採用)受験案内にもとづくものです。上級の受験案内の本文は、確認時点で市公式サイトの該当ページが表示できず、現行年度の試験構成・面接形式・面接回数を市公式ドメイン上で確かめることはできませんでした。第4次試験までという段階数は令和7年度の実施状況にもとづく実績であり、毎年度この構成になるとは限りません。各試験種目の配点・満点および人物試験の比重は受験案内に記載がありません。なお、申込に用いる求人サイトは民間事業者のプラットフォームであり、近隣自治体との共同実施や統一試験の枠組みではなく、佐久市の単独実施です。また、市立浅間総合病院の看護師等の採用試験は市長部局の職員採用試験とは別枠で実施されています。試験の構成・区分・日程は年度によって変わりますので、受験の際は必ずご自身の区分の最新の案内をご確認ください。

佐久市役所が求める人物像

佐久市の令和8年度初級受験案内と、市公式サイトの職員採用のページには、項目立てされた「求める人物像」の記載はありませんでした。職種別の詳細な募集要項や職員紹介、求める人物像にあたる情報は、市公式サイトではなく、申込に使う自治体求人サイト上の職員採用専用サイトに置かれています。

つまり、市が受験者に伝えたい言葉は、受験案内の外側にまとめられているということです。志望先を調べる際は、その専用サイトまで開いて、市が職員をどう紹介しているかを確かめておきましょう。

では、案内の側から読み取れることは何もないのでしょうか。そんなことはありません。

初級で2回の面接を課し、そのうち1回を職務適性、もう1回を人物・性行と書き分けていること。上級では年度によって4段階まで組むこと。そして、実施状況を平成26年度分から一度も欠かさず公表していること。

当研究会の見立てでは、これらは選考に手間と時間をかけることを厭わない市の姿勢の表れです。

その姿勢が何を選び取ろうとしているのか。上級の行政区分がAからDまで細かく分かれ、それぞれの合格者は1人から9人。初級の一般事務にいたっては合格者2人という年もあります。

区分をここまで細かく割ったうえで各区分から数人ずつ採るということは、同じ職場に似た経歴の人が並ばないということでもあります。

9万7千人の市民を支える組織で、隣の席の職員と守備範囲が重ならない前提に立てば、前例のない相談を持ち込まれても自分で当たりをつけて動き出せることが、評価の重みを持つと考えて大きく外れないでしょう。

加えて初級の一般事務には住所要件が置かれており、佐久市に住民登録をして暮らしていることが受験の前提です。市外から通う人ではなく、この地域で生活する人を採るという設計だと読めます。

経歴そのものを組み直す話ではありません。すでに持っている経験のうち、少人数で回す職場に効く部分を選び出して差し出せば足ります。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。佐久市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク緊張していますか用意した答えを外れた一言に、どんな表情で返すか
② 動機・志望民間企業ではなく公務員を選んだのはなぜですか職業選択の理由が、自分の経験と地続きになっているか
③ 自己理解周りからどんな人だと言われますか自己評価と他者評価の差を引き受けられているか
④ 経験・行動人と意見が食い違ったときの対応を教えてください結論ではなく、その場での動き方の細部
⑤ 学業・経歴いちばん時間をかけて学んだことは何ですか学んだ内容を仕事の言葉に置き換えられるか
⑥ 適性・将来10年後にどんな仕事をしていたいですか市の業務の広がりをどこまで想像できているか
⑦ 公共性・社会性関心のある社会の動きを一つ挙げてください情報の量ではなく、自分の意見の有無

この7つの領域は、佐久市に限らず全国の官公庁の面接に共通して現れます。受験者の誰もが備えてくるため、ここで大きな差はつきません。分かれ目になるのは、次の「佐久市ならでは」の質問です。

合否を分けるのは「佐久市役所ならでは」の質問

「なぜ長野県庁ではなく、佐久市役所なのですか」
「佐久市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらも佐久市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「佐久市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい佐久市の事実答え方のヒント
なぜ県庁ではなく市役所か上級行政はAからDまで4区分で、合格者は区分ごとに1人から9人。初級の一般事務には佐久市に住民登録があることという要件がつく合格者が1人か2人という区分がある規模です。県の職員なら関わらないであろう場面をひとつ挙げて答えると、県との違いが具体的に伝わります
市の位置と広がり9つの自治体と接し、うち2町村は群馬県。市域は423.51km²、人口密度229人/km²広さの説明で止めず、近隣と一緒に進めなければ回らない仕事があるはずだ、という推測まで進めると、志望の具体性が上がります
高齢化の水準65歳以上31.7%、75歳以上18.5%(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)統計の基準が違うため県との単純比較は避け、5人に1人が75歳以上という構成から、移動や見守りの場面を1つ挙げて話しましょう
災害への向き合い方令和元年東日本台風で県内の死者24人のうち2人が佐久市。県全体の住家被害は8,345棟被害の描写ではなく、避難の呼びかけをどう届けるか、支援が必要な人をどう把握しておくかという日常業務の話に接続してください
採用の透明性職員採用試験の実施状況を平成26年度分から年度ごとに公表し、区分別の申込・受験・合格者数まで開示している数字を調べてきたこと自体を誇るのではなく、区分ごとの人数から市の体制を想像したうえで志望を語ると、準備の質が伝わります

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

初級では面接が2回に分かれており、そのぶん、語った内容が過去の行動として裏づけを持つかどうかが繰り返し確かめられます。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
職務への適性第2次の口述試験で、仕事のやり方や向き不向きに関わる場面を問われる案内が第2次を「職務適性に係る事項」と明記しています。作業を任されたときの段取りの立て方を、具体例つきで言えるようにしましょう
人物と性行第3次の口述試験で、判断の基準や普段の振る舞いに踏み込まれる2回の面接で話がぶれないよう、第2次で挙げた経験を第3次でも使える形に整理しておきましょう
地域に根を張る姿勢佐久市を選んだ理由が、生活者としての実感に支えられているか初級の一般事務には住所要件があります。この地域で暮らすなかで気づいた不便や良さを、1つ具体的に挙げられるようにしておきましょう

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。

初級のように面接が複数回置かれる場合は、同じ経験を別の面接官から角度を変えて問われると考えておきましょう。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 受ける区分の最新の受験案内を読み、段階の数と、住所要件が自分に当てはまるかを確かめる
  2. 求人サイトの会員登録を早めに済ませる。顔写真データと学業成績証明書データが必要なので、準備に日数を見込んでおく
  3. 市が公表している実施状況で、自分の受ける区分の申込者数と合格者数を確認しておく
  4. 学業・課外活動・アルバイトや仕事から、話せる場面を1つずつ選んで書き留める
  5. 佐久市の事実を2つか3つ、メモを見ずに30秒で説明できるか確かめる(材料は第1部)
  6. 2回の面接で同じ経験を使う前提で声に出して練習し、掘り下げへの返しを書き足していく

優先順位に注意

ステップ5〜6の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ4の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、佐久市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

佐久市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

佐久市役所の想定問答集を見る

さいごに

佐久市は、毎年の採用試験の結果を、区分ごとの人数まで開いて公表し続けている市です。合格者が1人や2人という数字も、そのまま外に出しています。

そこに向かうということは、その1人か2人の枠に自分を置いて考えるということでもあります。9つの自治体に囲まれた423.51km²で、あなたは誰のどんな困りごとの側に立つのか。

その答えは、これまでご自身が誰かのために時間を使った場面のなかにあるはずです。数字を覚えるより先に、その場面を思い出す時間をとってください。