本記事では、今治市職員採用試験の面接対策で必要な、今治市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。試験の構成は、令和8年度実施の上級・A日程「行政事務A」の受験案内を軸に整理しています。

今治市役所の面接試験では、「なぜ今治市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「今治市の課題をどう捉えているか」といった、この市の産業と地理を知らないと言葉が薄くなる質問が想定されます。市の実情を理解しておくことで、抽象的な回答を避け、今治市ならではの事情を踏まえた説得力のある説明がしやすくなります。

この市の試験は、動画で話し、グループで話し合い、個別に問われるという三段構えです。読みながら、それぞれの場面で自分が何を持ち出せるかを考えてみてください。

第1部|自治体研究編

今治市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは今治市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 愛媛県の東予地方にあり、瀬戸内海をはさんで広島県と向かい合う市。市役所は別宮町に置かれている。
  • 住民基本台帳人口は145,611人(令和8年1月1日現在)。同じ時点の愛媛県全体は約127万9千人で、市の規模としては松山市に次ぐ県内2番目。
  • 市域は419.21km²、人口密度は約347人/km²。愛媛県全体の約225人/km²を上回る。
  • 県内では松山市・東温市・西条市・上島町(越智郡)と接し、広島県の呉市・尾道市・竹原市・三原市・大崎上島町(豊田郡)とも隣り合う。県境をまたいだ生活圏を持つ市である。
  • 今治圏域は全国一のタオルや縫製、中小造船が集積する地場産業都市と県の公式資料に位置づけられている。
  • 瀬戸内しまなみ海道(西瀬戸自動車道)は平成11年5月に全通し、今治と広島県尾道を結ぶ本州四国連絡ルートとして県の交通基盤を形づくっている。
  • 県が公表した南海トラフ巨大地震の想定では震度7とされ、市町別の浸水面積1,645haは西条市に次ぐ規模とされている。
  • 令和8年度実施の上級・A日程「行政事務A」では、教養試験と専門試験を課さず、第1次試験を録画面接と適性検査で組んでいる。
  • 市の花はツツジ、市の木はクスノキ。

今治市の基礎データ

自治体研究の目的は統計に強くなることではありません。面接で効くのは、この市の年齢構成と産業の組み合わせを、続けて一息で説明できることのほうです。

次の表は、今治市の規模を説明するときに何度も戻ってくる項目です。数値はいつの時点のものかまで含めて覚えておくと、面接で年度を確認されても答えられます。

項目内容
総人口145,611人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
65歳以上人口52,622人(36.1%/愛媛県全体は34.2%)
75歳以上人口32,632人(22.4%/愛媛県全体は20.2%)
総面積419.21km²
人口密度約347人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
市役所所在地今治市別宮町一丁目4番地1
隣接する自治体松山市、東温市、西条市、越智郡上島町、広島県の呉市・尾道市・竹原市・三原市・豊田郡大崎上島町
採用予定人数(行政事務A)16人程度(令和8年度実施・A日程)

年齢別を含む人口の数値は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)によります。総面積・市役所所在地・隣接自治体は当研究会が整理した基礎データ、採用予定人数は令和8年度実施の受験案内によります。住民基本台帳による人口は国勢調査による人口と調査の基準が異なりますので、両者をまたいだ増減の計算はできません。

数字から考えられる市政課題

今治市の高齢化率36.1%は、同じ時点の愛媛県全体(34.2%)を1.9ポイント上回ります。

75歳以上の割合も22.4%で、県全体の20.2%より2.2ポイント高い水準です。

県内でも高齢化が先に進んでいる15万人都市、というのがこの市の位置づけになります。

人数で見ると65歳以上が52,622人、うち75歳以上が32,632人。医療・介護・見守りの担い手をどう確保するかは、抽象論ではなく人数の問題として迫っています。(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)

一方で、419.21km²の市域に約14万6千人が暮らし、人口密度は約347人/km²と県平均を上回ります。市街地に集まっている部分と、海に面して散らばっている部分が同居している市だということです。

年齢構成と地理の両方を押さえたうえで話すと、面接ではこうなります。

「今治市は人口が15万人ほどですが、高齢化率は3割半ばで、愛媛県の平均より進んでいると知りました。75歳以上の方の割合も県より高いので、支える人をどう増やすかが、これから一番大きな仕事になるのではと感じています」

今治市の経済・産業

タオルと造船という2本の柱

愛媛県の公式資料は、今治圏域を全国一のタオルや縫製、中小造船が集積する地場産業都市として紹介しています。

県全体としても、瀬戸内海の海運の要衝として造船業が発展してきた経緯があります。

生活用品と大型船という、まったく規模の違う二つの製造業が同じ市に並んでいるのがこの市の産業の姿です。

同じ東予でも、四国中央市を含む宇摩圏域は紙・パルプの日本有数の産地、新居浜・西条圏域は住友グループの企業城下町。性格の異なる製造業の都市が並ぶ地域の一角にあります。(出典:愛媛県の地域別特徴に関する県公式資料)

しまなみ海道が変えた位置関係

瀬戸内しまなみ海道(西瀬戸自動車道)は平成11年5月に全通し、今治と広島県尾道を結ぶ本州四国連絡ルートになりました。これによって今治市は、四国の北端という位置から、本州と四国をつなぐ結節点へと役割を変えています。

市が広島県の5市町と隣り合っているのは、この海道と海路があるためです。観光でも産業でも、県境の向こう側を視野に入れて考えられるかどうかが、この市を語るときの分かれ目になります。(参考:愛媛県の交通基盤に関する県公式資料)

県全体の観光が縮んだ年に、何を考えるか

愛媛県内の令和6年(1月から12月)の観光客総数は延べ2,304万人で、県外からが992万人、県内からが1,312万人でした。観光消費総額は926億円にとどまり、前年の1,054億円から128億円、12.1%減っています。

訪れる人がいても消費が伸びない年だったことになります。しまなみ海道は自転車で渡る人が集まるルートとして知られていますが、通過するだけでは市内にお金は落ちません。

観光に関心があるなら、来た人にどこで時間を使ってもらうかまで考えておきましょう。(出典:愛媛県の観光客数と観光消費額|令和6年)

今治市の主な行政課題

産業と地理を押さえたところで、この市が向き合っている論点を整理します。面接で「市の課題」を問われたときに引き出せるよう、次の4つを持っておきましょう。

県平均を超える高齢化と、地場産業の担い手

高齢化率36.1%、75歳以上の割合22.4%(いずれも令和8年1月1日現在)という数字が響くのは、福祉の現場に対してだけではありません。

タオル・縫製・中小造船はいずれも人の手が要る産業であり、働き手の年齢構成がそのまま産業の存続に響きます。愛媛県の将来推計人口では、2020年から2060年にかけて生産年齢人口が49.3%減、年少人口が58.5%減とされ、65歳以上の22.0%減を大きく上回る減り方です。

支える側の減り方が、支えられる側の増え方より速いという構造を、産業の話としても語れるようにしておきましょう。(出典:愛媛県の将来推計人口|令和5年公表)

南海トラフ地震と、海に囲まれた市域

愛媛県が令和7年9月2日に公表した地震被害想定調査の中間報告では、今治市は県内で震度7が想定される7市の一つに挙げられています。

市町別の浸水面積(1cm以上)は1,645haで、西条市の3,392haに次ぐ規模です。内閣府が令和7年3月31日に公表した市町村別の最大津波高は、今治市が4mとされています(市町村内の最大値で、県が示す主要港の値とは地点の取り方が異なります)。

海に開けた市域と島しょ部を抱える以上、陸路が断たれる場面を前提にした備えが要ります。(出典:愛媛県地震被害想定調査(中間報告)|令和7年9月)

豪雨災害への備え

平成30年7月豪雨は、愛媛県内に死者33人(直接死27人・関連死6人)、重傷者35人、全壊627棟・半壊3,118棟を含む総数6,663棟の住家被害をもたらしました(令和5年6月1日時点の県取りまとめ)。

市町別の内訳では、今治市の直接死は2人とされています。愛媛県総合計画も、南海トラフ地震と頻発化・激甚化する豪雨災害への対応を「増大するリスクに対処する体制づくり」として課題に据えています。

地震と雨、どちらも構えておく必要があるということです。

県境をまたぐ生活圏との付き合い方

今治市は広島県の5市町と隣り合い、しまなみ海道で本州とつながっています。

通勤・通学・買い物・観光のいずれも県境をまたいで動くため、市の施策は愛媛県内だけを見て組むわけにいきません。県の令和8年度当初予算では、防災・減災対策として今治庁舎の複合庁舎化が大規模施設整備に計上されており、県の動きも市域の中で進んでいます。

県と市、そして県境の向こうの自治体との調整が日常業務に含まれる環境だと理解しておきましょう。(出典:愛媛県当初予算の概要|令和8年度)

今治市の重点政策|受験案内が示す人物像と選考の作り方

今治市は、求める人物像を受験案内の冒頭に置いています。

総合計画などの計画本体は市の公式サイトで公開されていますので、志望分野が決まっている方はそちらもご確認ください。ここでは、受験者が最初に目にする文書から、市の考え方をたどります。

受験案内の冒頭に置かれた3つの人物像

受験案内は「~今治市の求める人物像~」という見出しで、次の3点を掲げています。使命感・挑戦・粘り強さという3語が、この市の求め方の骨格です。

  • 使命感
    公共の利益を追求し、より良い社会の実現のため使命感に溢れる人
  • 挑戦
    自ら考え行動し、変革を恐れず果敢に挑戦できる人
  • 粘り強さ
    現状に満足せず、粘り強く努力し続けることができる人

上記は令和8年度実施の今治市職員採用試験(上級 行政事務A)の受験案内に掲げられた文言です。見出しは当研究会で付けたものです。

選考の作り方に表れている考え方

この市の姿勢は、試験の組み立て方にもはっきり出ています。

受験案内は「教養試験や専門試験は行いません」と明記し、テストセンター方式の適性検査と録画面接を導入することで、県外在住者や民間企業と併願する人にも受験しやすい試験にしたと説明しています。

さらに、採用予定人数16人程度に対して「求める人物像に合致する人がいない場合や公務員としての必要な適格性を有する人がいない場合は、採用しないことがあります」とも付記されています。

入り口は広く開け、そのうえで人物像に合うかどうかは妥協しない。

この2つの方針が同じ受験案内に並んでいます。知識試験で絞り込まない分、人物を見る場面の比重が大きくなる設計だと読んでよいでしょう。(出典:今治市職員採用試験受験案内(上級 行政事務A)|令和8年度実施)

県の課題認識を、今治市の産業に引き寄せる

愛媛県総合計画(未来につなぐえひめチャレンジプラン、令和5年度から令和8年度)が現状と課題の筆頭に置いているのは、「人口減少・超少子高齢化は全国より深刻」という認識です。県人口は昭和60年の153.0万人を境に減少へ転じ、直近5年間の減少率は過去最大の3.64%。

あわせて、若者の転出超過による労働力人口の減少、南海トラフ地震や豪雨災害への対応が課題に挙げられています。今治市の場合、この3つはいずれも地場産業の担い手の話と重なります。

志望動機を組むときは、どこから入るのかを先に決めておくと話がまとまります。(出典:愛媛県総合計画(未来につなぐえひめチャレンジプラン)|令和5年度)

POINT|人物像の3語を、動画で話せる長さにする

この市の第1次試験は1分から2分の録画面接です。使命感・挑戦・粘り強さのうち一つを選び、「その言葉に重なる自分の経験は何か → そのとき何をしたか → 何が変わったか」を、時間内に収まる分量で言い切れるところまで削ってみてください。

長く語れる人ではなく、短く芯を伝えられる人が有利になる形式です。

悪い例「今治はタオルが有名なので、地場産業を盛り上げる仕事に関わりたいです」

改善例「今治のタオルも造船も、人の手がいる仕事だと聞きました。働く人が減っていくなかで続けていくには、若い人にどう知ってもらうかが大事だと思いますので、そこを企業の方と一緒に考える仕事に関わりたいです」

あわせて確認したい公式資料

申込みの前に、次の4点を開いておくと準備の順番が決めやすくなります。とくに1つ目は、録画面接の要領がそこにしか書かれていません。

  • 令和8年度実施の受験案内(自分が受ける日程・試験区分のもの)
  • 今治市公式サイトの職員採用ページ(A日程・B日程の試験区分と申込方法)
  • 今治市の総合計画と、海に開けた市域を前提とした防災の計画
  • 愛媛県総合計画(地場産業の担い手という論点を県の言葉で押さえるため)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、今治市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。今治市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

今治市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

今治市役所の面接の概要

ここからは、今治市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

今治市役所の面接の流れ

申込みと問い合わせの窓口は、市長部局の総務部総務政策局人事課です。

ここでは令和8年度実施の上級・A日程「行政事務A」を軸に整理します。

この区分は三段階選抜で、教養試験も専門試験も課さず、第1次試験から人物を見にくる構成になっています。

項目内容(令和8年度実施・上級A日程・行政事務A)
試験の段階三段階。第1次試験 → 第2次試験(第1次試験の合格者が対象)→ 第3次試験(第2次試験の合格者が対象)
筆記試験「教養試験や専門試験は行いません」と受験案内に明記されています
第1次試験(1)自己アピール試験(録画面接)。受験者が撮影した動画により、人物の人柄や性格などについて試験を行います
録画面接の要領出題されるテーマについて1分から2分程度の動画を撮影し、システムにアップロードします。動画は何度でも撮り直せますが、アップロード完了後は変更できません
第1次試験(2)基礎能力検査および性格検査。SCOA総合適性検査により、職務遂行に必要な総合的な基礎能力と性格特徴を検査します(テストセンター方式)
第2次試験対面方式。面接試験(人物の人柄や性格などについての個別面接)と、グループディスカッション(出題されるテーマについてグループで話し合い。テーマは試験当日発表)の2種目
第3次試験対面方式の面接試験(個別面接)
合否の判定方式「各試験項目のうち、一定の基準に満たない項目がある場合には合計得点にかかわらず不合格となります」と明記されています
配点令和8年度実施の受験案内に、各試験項目の配点の記載はありません
結果の開示第1次試験の得点・合格最低点・順位が、不合格者全員に申込専用サイトのマイページで開示されます
採用予定人数と併願16人程度。令和8年度実施【B日程】行政事務Bとの併願が可能です
受験資格日本国籍を有すること、大学(短期大学を除く)卒業または卒業見込み、採用後に今治市内に居住可能なこと、普通自動車免許を取得しているか採用予定日までに取得できること(特別な事情のある人を除く)

この設計で意識したいのは、人物を見る場面が3回、しかも形式が全部違うという点です。

一人で動画に向かって話す力、集団の中で議論を進める力、面接官と一対一で掘り下げに耐える力は、それぞれ別の準備を必要とします。

加えて、一定の基準に満たない項目が一つでもあれば合計得点にかかわらず不合格になる仕組みです。得意な形式で稼いで苦手を埋める、という発想は通用しません。

上記は、令和8年度実施の今治市職員採用試験(上級 行政事務A)の受験案内に基づく内容です。各試験項目の配点は受験案内に記載がありませんので、詳細は市が公表する最新の受験案内でご確認ください。試験の構成・区分・日程は年度によって異なる可能性があります。

今治市役所が求める人物像

第1部で見たとおり、今治市は受験案内の冒頭で使命感・挑戦・粘り強さの3点を掲げています。

3つとも、結果ではなく続け方や向き合い方を問う言葉で書かれているのが特徴です。

「成し遂げた人」ではなく「追求し続ける人」「恐れず挑戦できる人」「満足せず努力し続ける人」。動詞の形に注目して読むと、この市が見ようとしているものが分かります。

次の段落は、市が示した基準の説明ではありません。14万6千人・419.21km²という規模から、当研究会が働き方の条件を見立てたものです。

今治市の職員が向き合う相手は、市役所の中だけでは完結しません。タオルや縫製の事業者、造船の関連企業、船で渡る島しょ部の地域、そして県境の向こうにある広島県の自治体。

制度の担当として机の上で判断する場面と、相手の事情を聞き取ってからでないと決められない場面が、同じ一日の中に並びます。相手の事情がそれぞれ違う環境で、話をまとめていける人が働きやすいと見ています。

準備の話に移ります。この市の第1次試験は、自分で撮った動画から始まります。

つまり最初に市へ届くのは、誰かに整えてもらった書類ではなく、自分が選んだテーマの話し方そのものです。撮り直しは何度でもできますが、アップロードしたら変更できません。

どの経験を出すかを自分で決める作業が、この試験では最初の関門になります。手持ちの経験を並べて、使命感・挑戦・粘り強さのどれに重なるかを整理するところから始めてください。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。今治市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク緊張していますか?録画面接を通ってきた人が、対面でも同じ調子で話せるか
② 動機・志望なぜ公務員を志望するのですか?民間企業と併願しやすい試験だからこそ、市役所を選ぶ理由が言葉になっているか
③ 自己理解あなたの短所(弱み)は何ですか?SCOAの性格検査で示した傾向と、話す自己像がかみ合うか
④ 経験・行動これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください録画面接で出した話を、対面の個別面接で掘られても崩れずに話せるか
⑤ 学業・経歴卒業論文(研究)のテーマについて、簡単に説明してください専門の内容を、グループディスカッションでも通じる言葉に置き換えられるか
⑥ 適性・将来入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか?採用16人程度の職場で、希望以外の分野も引き受けて働けるか
⑦ 公共性・社会性最近関心を持ったニュースは何ですか?14万6千人が暮らし、県境をまたぐ生活圏を持つ市の話へ引き寄せられるか

この7つは今治市の受験案内から導いたものではなく、全国の官公庁の面接に共通する骨組みです。

多くの受験者がここは押さえてきますから、差がつきにくい領域でもあります。分かれ目になるのは、次の「今治市ならではの事情を踏まえた質問」です。

合否を分けるのは「今治市役所ならでは」の質問

「愛媛県庁ではなく、今治市役所を志望したのはなぜですか」
「今治市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

1問目は、この市では答えの解像度が問われます。県外在住者も受験しやすい試験設計になっている分、なぜ愛媛県の、しかも今治市なのかという一段深い理由まで求められるからです。

2問目も、市の中身を知らなければ形だけの答えになります。答えるための事実を、面接で使いやすい単位に切り分けました。

質問テーマ知っておきたい今治市の事実答え方のヒント
人口と年齢構成住民基本台帳人口は145,611人、高齢化率36.1%、75歳以上の割合は22.4%(令和8年1月1日現在)。愛媛県全体はそれぞれ34.2%・20.2%県平均を上回るという事実を示したうえで、人手の要る地場産業への影響まで一続きで話します
なぜ県庁ではなく市役所か採用予定は行政事務Aで16人程度。受験資格に採用後今治市内に居住可能なことが含まれる県全体を見る仕事と、この市に住んで働く仕事の違いを、自分の望む距離感で説明します
今治市の魅力県の公式資料は今治圏域を全国一のタオルや縫製、中小造船が集積する地場産業都市と位置づけている製品の知名度で終えず、その産業を担う人がどこにいるのかまで踏み込みます
本州とのつながり瀬戸内しまなみ海道は平成11年5月に全通し、今治と広島県尾道を結ぶ。市は広島県の呉市・尾道市・竹原市・三原市・大崎上島町と隣接する観光の話で止めず、県境をまたいだ生活圏の中で市が何を担うかまで持っていきます
地震と津波への備え県内で震度7が想定される7市の一つ。南海トラフ巨大地震による市町別の浸水面積は1,645haで、西条市に次ぐ規模数字を挙げたうえで、海路や橋が使えない場面をどう想定するかという視点を添えます

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

今治市の面接は、受験案内が掲げる求める人物像の3点に照らして、これまでどう動いてきたかを確かめる場だと考えてください。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えのまとまり方ではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
使命感誰かの役に立つために自分の時間を使った場面と、その動機1分から2分の録画で言い切れる長さに削り、動機の部分を最初に置く練習をしておく
挑戦前例のないやり方を選んだ経験と、周囲の反対をどう扱ったかグループディスカッションで意見が割れたときの振る舞いにも同じ姿勢が出ると意識しておく
粘り強さ結果が出るまで続けた期間と、途中でやめなかった理由三段階すべてで同じ経験を問われる前提で、細部まで思い出せる一件を選んでおく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。

今治市は個別面接が2回あり、その前に自分で撮った動画も市に届いています。話が回を追うごとに変わってしまうと、そこが弱点になります。

自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 令和8年度実施の受験案内で、自分が受ける日程(A日程かB日程か)と試験区分、受験資格を確認する
  2. 申込みで入力する学歴・職歴の欄を先に書き出しておく。職務内容は具体的に書くよう求められている
  3. これまでの経験を整理する。学業、部活動やサークル、アルバイト、職務経験のなかから、動画でも話せる一件を選び出す
  4. 録画面接を想定し、1分から2分で話し切る練習をする。撮って見返し、削るところを決める
  5. この記事の第1部を読み返し、志望分野に近い今治市の事実を2つか3つ、自分の言葉で説明できるようにする
  6. グループディスカッションを想定し、当日発表のテーマでも意見をまとめられるよう、時事の話題を人と話す機会をつくる

優先順位に注意

自治体研究にあたるステップ5は、周囲と差をつけるための上積みです。時間が足りないときは、ステップ3で経験を選び出す作業と、ステップ4の録画の練習を先に済ませてください。

一つでも基準に届かない項目があれば合計得点にかかわらず不合格になる以上、最初の関門である録画面接を薄いまま通そうとするのは危険です。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、今治市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

今治市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

今治市役所の想定問答集を見る

さいごに

令和8年度実施の上級・A日程「行政事務A」は、教養試験も専門試験もありません。

録画面接と適性検査で第1次試験を通り、対面の個別面接とグループディスカッションで第2次試験、さらに個別面接の第3次試験へ進む三段階です。配点は公表されていませんが、人物を見る場面が形式を変えて3回置かれていることは受験案内から分かります。

人口14万6千人、高齢化率は県平均を上回り、タオルと造船を抱え、しまなみ海道で本州とつながる。この市で働く自分を、1分から2分の動画でも、グループの中でも、一対一の面接でも同じように語れるところまで、手持ちの経験を整理しておいてください。