本記事では、宇和島市職員採用試験の面接対策で必要な、宇和島市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。試験情報は、令和8年度の宇和島市職員採用候補者試験のうち、実施要領が公表されている第1期(上級・行政事務)を軸に整理しました。
宇和島市役所の面接試験では、「なぜ宇和島市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。第1期の配点は総合400点のうち面接が300点を占めており、市の実情を自分の言葉で語れるかどうかが、そのまま合否に直結します。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と宇和島市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
宇和島市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは宇和島市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 宇和海に面した愛媛県南部の中心都市で、人口は6万5,462人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。
- 面積は468.16平方キロメートル、人口密度は約140人/平方キロメートル。県全体の約225人/平方キロメートルより低い。
- 接しているのは西予市・愛南町・鬼北町・松野町のほか、海を隔てて伊方町・八幡浜市、さらに高知県の四万十市・宿毛市とも接する。県境をまたぐ市である。
- 高齢化率は41.5%、75歳以上の割合は24.8%。県全体(34.2%・20.2%)を大きく上回る。
- 平成30年7月豪雨では市内で直接死11人・関連死2人・重傷28人という、県内で最も重い人的被害を受けた。
- 南海トラフ巨大地震では県が震度7を想定する7市の一つ。市域の浸水面積は1,632ヘクタール、津波による死者は最大1,528人と想定されている。
- 南予はみかんの産地であり、たい・はまち・真珠などの養殖業が盛んな地域でもある。
- 市営のドーム型闘牛場があり、直径20メートルの土俵で定期闘牛大会が年4回開かれている。
- 職員採用は「宇和島市職員採用候補者試験」の名称で、令和8年度は第1期から第3期に分けて実施されている。
宇和島市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「宇和島市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
宇和島市は、南予では規模の大きい市でありながら、高齢化は県平均を大きく超えています。この二つのずれが、市政の性格をよく表しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 65,462人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 65歳以上人口 | 2万7,190人(高齢化率41.5%、愛媛県34.2%) |
| うち75歳以上人口 | 1万6,238人(24.8%、愛媛県20.2%) |
| 総面積 | 468.16平方キロメートル |
| 人口密度 | 約140人/平方キロメートル(上記の総人口と総面積から算出) |
| 隣接する市町 | 西予市、南宇和郡愛南町、北宇和郡鬼北町、松野町、(海を隔てて)西宇和郡伊方町、八幡浜市、高知県四万十市、宿毛市 |
| 南海トラフ地震の想定 | 最大震度7。市域の浸水面積1,632ヘクタール、津波による死者は最大1,528人 |
総人口と年齢別の人口は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値です。人口密度は、この人口を市の面積で割って算出しました。比較に置いた愛媛県の値も同じ調査の県計です。国勢調査や県の推計人口とは基準が異なるため、これらの数値と直接つないで増減を語ることはできません。地震の想定は愛媛県地震被害想定調査(令和7年)によります。
数字から考えられる市政課題
人口6万5,462人という規模は、南予では大きいほうです。しかし高齢化率41.5%、75歳以上24.8%という数字は、県全体を7.3ポイント、4.6ポイント上回っています。
規模がある市でありながら、年齢構成は小規模な町村に近いという組み合わせが、宇和島市の難しさです。
規模があるということは、病院も学校も商業も一定の集積があるということで、周辺の町から人が集まる中心地としての役割を担います。
しかしその中心地自身の年齢構成が高齢へ寄っていけば、支える側の人手はどこから確保するのかという問いが出てきます。
県の将来推計では、2020年から2060年にかけて県全体の生産年齢人口が73万7,231人から37万3,840人へと49.3%減る見通しです。
南予の中心という役割と、支える側の細りという現実。この二つを並べて語れると、志望動機に立体感が出ます。
宇和島市の経済・産業
みかんと養殖という土台
愛媛県の資料は、南予の八幡浜・大洲圏域と宇和島圏域を日本一のみかんの産地と位置づけ、水産業でもたい・はまち・真珠などの養殖業が盛んで全国有数の生産量を誇ると説明しています。宇和海のリアス海岸は、波の穏やかな入り江が養殖に向いており、その地形が産業を決めてきました。(出典:愛媛県の産業の特徴に関する県資料)
一次産業が土台の地域では、行政の関わり方が広くなります。生産の支援だけでなく、担い手の確保、販路づくり、加工と物流、そして漁港や農道の維持まで。
農業と水産業が、産業政策であると同時に雇用政策でも人口政策でもあるという点を押さえておきましょう。
県の産業地図の中での位置
同じ愛媛県でも、東予地域はまったく違う顔をしています。
四国中央市を含む宇摩圏域は紙・パルプの日本有数の産地、新居浜・西条圏域は住友グループの企業城下町、今治圏域は全国一のタオルと中小造船の集積地です。
宇和島市が属する南予は、こうした重工業の集積とは別の道筋を歩んできました。「なぜ県庁ではなく市役所か」を問われたとき、この地域差は具体的な材料になります。
闘牛という地域文化
宇和島市には市営の闘牛場があります。ドーム型で、直径20メートルの土俵を備え、定期闘牛大会が1月2日、5月3日、7月23日の和霊大祭、10月第4日曜の年4回開かれています。(参考:宇和島市営闘牛場)
面接で地域資源に触れるなら、行事の紹介で終わらせないことが大切です。文化をどう次の世代へ渡すか、来訪者をどう市内の消費につなげるか。
行政の関わり方まで踏み込んで初めて、志望動機の材料になります。
県全体の観光の動き
令和6年(1月から12月)の愛媛県内の観光客総数は2,304万2千人でしたが、観光消費総額は926億円で、前年の1,054億円から128億円(12.1%)減っています。
訪れる人の数と地域に落ちるお金が、同じ方向を向いていません。
食と文化に強みがある宇和島市にとっては、この落差をどう埋めるかが論点になります。(出典:愛媛県観光客数と消費額の調査|令和6年)
宇和島市の主な行政課題
南予の中心という立場と、県内で最も重い災害の記憶。宇和島市の論点は、この二つから枝分かれしていきます。
面接で市の課題を問われたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
南予の中心という役割を、どう保つか
人口6万5,462人の宇和島市は、周辺の町から通ってくる人を含めて医療や商業を支える立場にあります。中心地としての機能が細れば、影響は市の外へも広がります。
自分の市の住民だけを見ていればよい市ではないという点が、宇和島市役所の仕事の前提になります。
高齢化と、支える側の確保
高齢化率41.5%、75歳以上24.8%という水準に対し、県の将来推計では65歳以上の人口は2020年から2060年で22.0%減にとどまる一方、生産年齢人口は49.3%減る見通しです。
支えられる人が急には減らず、支える人だけが先に細っていきます。介護や医療の人材確保は、福祉部門だけの課題ではなくなっています。(出典:愛媛県の将来推計人口|令和5年公表)
県内で最も重い豪雨被害を受けた市であること
平成30年7月豪雨で、宇和島市は直接死11人・関連死2人・重傷28人という被害を受けました。県全体の直接死27人・関連死6人・重傷35人と比べると、重傷者の8割が宇和島市に集中しています。
この経験は、市の防災行政の出発点になっています。(出典:平成30年7月豪雨による愛媛県内の被害状況)
一次産業の担い手をどう保つか
みかんの栽培も養殖も、人の手が要る仕事です。高齢化率41.5%という数字は、そのまま生産者の年齢構成にも重なります。
産業振興を語るときは、売上や販路だけでなく、誰がその仕事を続けるのかという担い手の問題まで含めて話せると、内容に厚みが出ます。
職員をどう確保するか
宇和島市は令和8年度、採用試験を第1期から第3期に分けて実施しています。
第3期の区分は、行政事務(上級・社会人経験者・初級)、行政事務のデジタル枠(社会人経験者)、土木技師、電気技師、建築技師、学芸員、保育士と多岐にわたります。
年に一度の試験で必要な人材をそろえる方式から、複数回に分けて職種ごとに募る方式へ移っていると読めます。(出典:令和8年度宇和島市職員採用候補者試験(第3期))
宇和島市の重点政策|二度の災害が変えた市政の重心
宇和島市の市政を語るうえで避けて通れないのが、災害です。すでに起きた平成30年7月豪雨と、これから想定されている南海トラフ巨大地震。
過去の被害と将来の想定が、いずれも県内で最も重い部類にある市だという点が、他の自治体との決定的な違いになります。
平成30年7月豪雨が残したもの
県が令和5年6月1日時点でまとめた市町別の内訳によれば、この豪雨で宇和島市は直接死11人、関連死2人、重傷28人の被害を受けました。
県全体の直接死は27人ですから、その4割が宇和島市に集中したことになります。県内では住家被害も全壊627棟・半壊3,118棟を含む6,663棟にのぼりました。
災害から時間が経つと、被害の記憶は数字に置き換わっていきます。しかし行政の現場では、避難の呼びかけ方、支援物資の配り方、住まいの再建、心のケアまで、災害後の年月のほうが長く続きます。
面接で防災に触れるなら、発災の瞬間だけでなく、その後の数年間に目を向けられると、行政の仕事への理解が伝わります。
南海トラフ地震で想定されていること
愛媛県が令和7年9月に公表した地震被害想定調査の中間報告では、宇和島市は震度7が想定される7市の一つです。
宇和島港の最大津波高は6.1メートル、最大津波到達時間は72分、30センチメートルの浸水が始まるまでが54分とされています。
市域の浸水面積は1,632ヘクタール。(出典:愛媛県地震被害想定調査 中間報告|令和7年9月)
人的被害の想定はさらに重い。同じ調査では、陸側ケースにおける津波による死者が宇和島市で最大1,528人と見込まれています。
県全体では、陸側ケース・冬深夜という条件で直接死が最大約1万2,750人、災害関連死が最大3,602人と新たに想定されました。(出典:愛媛県地震被害想定調査|令和7年)
宇和海沿岸では、地震の発生後数十分で津波が襲来し、最初に襲来する第1波が最大波になると想定されています。
30センチメートルの浸水開始まで54分という時間の中で、高齢化率41.5%のまちの住民が避難を終えられるか。ここが、宇和島市の防災行政のいちばん厳しい問いです。
県の課題認識と、市が担う部分
愛媛県総合計画は「増大するリスクに対処する体制づくり」を掲げ、南海トラフ地震や頻発化・激甚化する豪雨災害への対応を課題としています。あわせて、現状と課題の第一には「人口減少・超少子高齢化は全国より深刻」と記されています。(出典:愛媛県総合計画 未来につなぐえひめチャレンジプラン)
県が広域の体制を組む一方で、どの地区の誰にいつ声をかけるかを決めるのは市の仕事です。この役割の分かれ目を説明できると、県庁と市役所の違いを問われたときの答えが、制度論ではなく実感のある話になります。
POINT|想定の数字は、時間と人に置き換えて語る
被害想定を挙げるだけでは、資料を読んだという以上の意味を持ちません。「①どれだけの時間があるか → ②その時間で動けない人は誰か → ③市は今どう備えているか → ④自分はどこを担いたいか」の順に組み替えると、志望動機として通ります。
悪い例「南海トラフ地震の被害想定が大きいので、防災の仕事に取り組みたいです」
改善例「宇和島市は浸水が始まるまで1時間を切ると想定されていると知りました。市民の4人に1人が75歳以上ですから、その時間で自力では動けない方が必ず出ます。誰がどこに住んでいるかを地域の方と共有しておく仕事に、まずは関わりたいです」
あわせて確認したい公式資料
次に挙げる資料は、申込時に書く700字の裏づけを取るために使うものだと考えてください。関心のある分野のものを開き、面接で口にできる長さまで要約しておけば十分です。
- 宇和島市職員採用候補者試験の実施要領(受ける期の最新のもの)と、市の採用情報ページ
- 宇和島市公式サイトに掲載されている総合計画と、地域防災計画の現行版
- 宇和島市の最新年度の当初予算と、市長の議会説明に関する資料
- 愛媛県地震被害想定調査と、平成30年7月豪雨に関する県の取りまとめ
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、宇和島市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。宇和島市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
宇和島市役所の面接の概要
ここからは、宇和島市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
宇和島市役所の面接の流れ
令和8年度第1期(上級)の実施要領は、配点まで明示しています。第1次試験が筆記試験100点と面接試験200点、第2次試験が面接試験100点。
合計すると総配点400点のうち、面接だけで300点、割合にして75%を占める構成です。筆記試験の比重は残る100点、25%にとどまります。
| 項目 | 内容(令和8年度・第1期・上級・行政事務) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験と第2次試験の2段階 |
| 採用予定数 | 行政事務10名程度、行政事務(社会福祉士)若干名 |
| 第1次試験の種目 | 筆記試験(SPI3・テストセンター方式)、性格検査(SPI3・WEB-テスティング)、面接試験(WEB面接・Zoomミーティング) |
| 第2次試験の種目 | 面接試験(対面方式・宇和島市役所) |
| 面接の種類 | いずれも個別面接で、所要時間は20分から30分程度。集団討論の記載は実施要領にありません |
| 配点 | 第1次=筆記100点、WEB面接200点、性格検査は配点なし。第2次=対面面接100点。総配点400点のうち面接が300点 |
| 筆記の位置づけ | 第1次の面接試験は「筆記試験の点数が当市の定める基準を満たしている場合」に案内されると明記されています |
| 提出書類 | 「面接カード」という名称の様式はありません。申込時に志望動機(300字以内)、自己PR(300字以内)、課外活動(100字以内)を入力します |
この表からは、試験の性格がはっきり読み取れます。筆記は基準点に届かなければ面接に案内されない関門であり、越えたあとは100点の持ち点として残ります。
ただし、その100点で開く差の3倍にあたる300点が面接に置かれています。しかも第1次の段階で、すでに面接200点が動いています。
第2次まで残っても、そこで加わるのは100点です。つまり、勝負どころは第1次のWEB面接だということになります。
準備にかける時間の割り振りも、この400点の内訳から決められます。
筆記のSPI3は択一式35分ですから、まず対策本を一度通し、時間内に解き切れる手ごたえをつかむところまでを早めに済ませます。
そこから先の上積みに何時間を足しても、動く幅は100点の中にとどまります。残りの時間は、200点が動くWEB面接と、その土台になる申込時の700字へ寄せます。
順番を逆にすると、筆記で積み上げた分よりはるかに大きな差が、面接の側でついてしまいます。
上記の試験構成と配点は、宇和島市の令和8年度第1期(上級・行政事務)の実施要領によるものです。同じ令和8年度でも、第2期・第3期や他の職種では試験の種目が異なり、第3期の第2次試験では社会人経験者にプレゼンテーション試験が課されるとされています。また、令和8年度の他の日程の試験について、同じ職種での受験申込はできないと明記されています。受験の際は、必ずご自身が受ける期・職種の最新の実施要領をご確認ください。
WEB面接という形式への備え
第1次の面接は、自宅等からクラウドのWEB会議サービスを使って行われます。対面と違い、伝わる情報が画面と音声に限られるため、間の取り方や視線の置き方で印象が変わりやすい形式です。
配点が最も大きい面接が、最も情報量の少ない形式で行われるという点は、意識して準備したほうがよいでしょう。
備えは、話す中身より先に環境から入るのが確実です。会場が自宅等になる以上、20分から30分を静かに使える部屋を決め、当日と同じ端末・同じ回線で一度接続を試しておきます。
同居している人がいるなら時間を伝えておき、機器の通知音は切ります。画面に映る相手を見ると目線は下がりますから、カメラを目の高さに合わせ、逆光にならない向きに座ります。
ここまでを前日までに片づけておけば、当日に考えることが一つ減ります。
話し方の面では、対面より一文を短く区切り、結論を先に置くほうが伝わります。音声には遅れが出るので、相手が言い終わってから半拍おいて話し始めると、声の重なりを避けられます。
練習も本番と同じ席で、同じ服装で行い、画面越しに20分話し続けられるかを一度確かめておきましょう。
あわせて、接続が切れた場合に連絡する採用担当の窓口を、実施要領から書き写して手元に置いておくと安心です。
筆記試験はSPI3のテストセンター方式で、択一式35分。言語と非言語の総合的な基礎能力を測るものとされています。
性格検査はWEB-テスティングで、択一式・約300題を30分。こちらは配点がありません。(出典:令和8年度宇和島市職員採用候補者試験(第1期・上級)実施要領)
申込時に書く3項目が、面接の下敷きになる
宇和島市の申込みは自治体求人サイトからの電子申請のみで、郵送や持参は受け付けられません。申込時に入力するのは、志望動機(宇和島市の職員を志望する理由・300字以内)、自己PR(あなたのアピールポイント・300字以内)、課外活動(部活動やサークル活動、ボランティア活動等の経験・100字以内)の3項目です。
実施要領に「面接カード」という名称の書類はありませんが、実質的にはこの3項目がその役割を担います。合計700字。
ここに書いたことが、20分から30分の面接で掘られると考えて用意しましょう。会員登録の段階でも、中学校卒業から最終学歴までの学歴と、すべての職歴の入力が求められます。
宇和島市役所が求める人物像
宇和島市は、求める人物像を明確な一文で掲げています。「市民目線でともに宇和島市の未来を考え、行動することのできる明るく素直な人材」です。
この一文は、実施要領ではなく市の採用試験の募集ページに掲げられています。短い文ですが、要素は4つに分けられます。
| 人物像の要素 | 読み取れる期待 | 面接での使いどころ |
|---|---|---|
| 市民目線で | 行政の都合ではなく、受け取る側から考えること | 相手の立場に立って自分のやり方を変えた場面を、いつ誰と何を変えたかまで語る |
| ともに未来を考え | 住民や同僚と一緒に方向を決めていく姿勢 | 一人で完結させた話より、人を巻き込んで進めた経験を選ぶ |
| 行動することのできる | 考えるだけで終わらせず、実際に手を動かすこと | 着想の良さではなく、実行した結果と、そこで起きた変化を話す |
| 明るく素直な | 指摘を受け止め、周囲と働きやすい関係を築けること | 助言を受けて自分を修正した経験を、素直さの証拠として用意する |
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。宇和島市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 接続の具合はいかがですか? | WEB面接ならではの入り方。想定外の一言に、慌てずに返せるかどうか |
| ② 動機・志望 | 申込みの志望動機に書かれた内容を、改めて話してください | 300字で書いたことを、口頭で膨らませられるか。文章と話の一致 |
| ③ 自己理解 | 自己PRに書いた強みは、どんな場面で発揮されますか? | 強みの申告ではなく、それが働く条件を自分で分かっているか |
| ④ 経験・行動 | 周りの人を動かした経験を教えてください | 役割の取り方と、相手をどう説得したかという具体の手順 |
| ⑤ 学業・経歴 | 学んできたことを、市の仕事にどうつなげられますか? | 専門の言葉を、初めて聞く相手に通じる言い方へ置き換える力 |
| ⑥ 適性・将来 | 採用後は市内に住むことになりますが、どう考えていますか? | 居住が要件に含まれる市での、生活を含めた働き方の見通し |
| ⑦ 公共性・社会性 | 災害に関する報道で、印象に残っているものはありますか? | 社会の出来事を、自分の関心と結び付けて語れるか |
7分野の準備は、どの受験先でも欠かせません。ただし宇和島市の場合、面接に300点が配分されている以上、土台を押さえただけでは順位はつきません。
差がつくのは、この先に挙げる、市の事情を知らなければ言葉が出てこない質問のほうです。
合否を分けるのは「宇和島市役所ならでは」の質問
面接に300点が置かれた試験で、この2問を一般論で流すのは惜しいところです。豪雨の経験と南海トラフの想定という、この市にしかない材料を一つ持ち込むだけで、答えの手ざわりが変わります。
こうした質問に答えるための「宇和島市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい宇和島市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 平成30年7月豪雨 | 市内で直接死11人・関連死2人・重傷28人。県全体の直接死27人・重傷35人と比べても被害が集中した | 被害の数字で止めず、災害後の数年間に行政が担う仕事へ話をつなげます |
| 南海トラフ地震の想定 | 震度7、宇和島港の最大津波高6.1メートル、30センチメートル浸水開始まで54分、浸水面積1,632ヘクタール、津波による死者は最大1,528人 | 避難にかけられる時間と、動けない住民の存在をセットで語ります |
| 南予の中心という役割 | 人口6万5,462人。周辺の町から医療や商業で人が集まる位置にある | 市民だけを見る仕事ではないという視点で、市役所の役割を説明します |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 第1期の採用予定は行政事務10名程度。面接の配点が総配点400点のうち300点を占める | 人物を重く見る試験であることを踏まえ、住民との距離の近さを自分の経験と結びます |
| 宇和島市の魅力と課題 | みかんと養殖の産地であり、市営のドーム型闘牛場で年4回の定期闘牛大会が開かれている | 資源の紹介で終わらせず、担い手と消費への波及まで踏み込みます |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、市が掲げる「市民目線でともに宇和島市の未来を考え、行動することのできる明るく素直な人材」という人物像に照らして、「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 市民目線で考える力 | 受け取る側の立場から物事を考え直した経験があるか | 相手の反応を見て自分のやり方を変えた場面を、変える前と後の違いまで書き出しておく |
| ともに進める姿勢 | 人を巻き込み、意見の違いを調整した経験の中身 | 意見が割れた場面を一つ選び、誰にどう働きかけたかを順を追って言えるようにする |
| 実際に動いたかどうか | 考えや提案が、実行と結果まで届いているか | 着想で終わった話は外し、最後まで手を動かした経験だけを持っていく |
| 指摘を受け止める素直さ | 助言や批判を受けたときの反応と、その後の変化 | 注意された経験を一つ用意し、そこで何を変えたかを具体的に語れるようにする |
令和8年度第1期の採用予定は、行政事務で10名程度です。採用の規模と、面接に300点を置く配点。
当研究会はこの二つを、同じことの表と裏だと捉えています。一人ひとりの職員が制度を組み立てる側から住民へ説明する側まで一続きに担うからこそ、人物を厚く見ます。
担当が細かく分かれた大きな組織とは、求められる身のこなしが違ってきます。
そうであれば、面接で見たいのは専門知識の深さではありません。担当が変わっても立ち上がりが速い人、というのが実務にいちばん近い言い方でしょう。
まったく知らない領域に放り込まれて、それでも何とかした経験があるかどうか。宇和島市の場合、その「初めての仕事」に災害対応が確実に含まれます。
平成30年の豪雨を経験した市であり、南海トラフの想定でも県内で重い部類に置かれているからです。
受験資格には「採用後、宇和島市に居住すること」が明記されています。住民票の住所が市内であることまで求められています。
住む場所を含めて、この地域と関わる働き方が前提になっているということです。
今どこに住んでいるかにかかわらず、なぜこの市なのか、どの課題に関心があるのか、生活者としてどう関わりたいのかは、自分の言葉で用意しておきましょう。
そのうえで押さえたいのが、面接に300点が配分されているという事実です。しかもその3分の2は、第1次のWEB面接で動きます。
作り込んだ受け答えを覚えて臨むより、申込時に書いた700字を土台に、そこから話を伸ばせる状態にしておくほうが、この試験には合っています。
書いたことと話すことがずれていないか。準備の最後は、そこを確かめる作業に充ててください。
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。
宇和島市は個別面接が2回ある分、この傾向はより強く出ます。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 受ける期の実施要領を読み、試験の種目と配点、そして自治体求人サイトの会員登録に必要な学歴と職歴の情報をそろえる
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
- 申込時に入力する志望動機300字、自己PR300字、課外活動100字を、面接で掘られる前提で書き上げる
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- この記事の第1部と重点政策の章を読み返し、災害の記憶と想定、年齢構成、南予の中心という役割から、志望分野に近い事実を2つか3つ選んで自分の言葉に直す。そのうえで固有質問の対応表から材料を集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 本番と同じ部屋・同じ端末でWEB面接を想定し、接続の手順までなぞったうえで声に出して練習する。ステップ3で書いた文章と話の内容がずれていないかを、毎回確かめる
優先順位に注意
ステップ5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、ステップ3の申込文書の作り込みを優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、宇和島市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
宇和島市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
令和8年度第1期の上級・行政事務を前提にすると、宇和島市の選考は総配点400点のうち300点が面接に置かれています。筆記は面接に案内されるための関門であり、順位の大半を決めるのは面接です。
しかもその配点の大半は、第1次のWEB面接で動きます。申込みの時点で書く志望動機と自己PRが、そのまま面接の土台になる試験だといえます。
県内で最も重い豪雨被害を受け、南海トラフの想定でも厳しい数字を抱えながら、南予の中心として周辺の町までを支えるまち。
その中で自分に何ができるのかを、資料と自分の経験を行き来しながら言葉にしていってください。