今治市消防本部を受験する方に向けて、面接で問われる前提となる組織研究の材料(本部の特徴・基礎データ・管轄地域の特性・消防課題・重点方針)と、面接本番の流れ・想定される質問・評価の観点を、1ページに整理しました。
今治市消防本部の面接試験では、「なぜ警察官や自衛官ではなく消防官なのか」「なぜ今治市消防本部なのか」「令和7年の林野火災を踏まえて消防にどんな役割が求められると考えるか」といった、離島を含む管轄地域の理解を前提とする質問が想定されます。
8つの署所のうち3署所が瀬戸内海の島嶼部にあることや、第1次試験に録画面接という珍しい形式が採用されていることを知っておくことで、一般論に終わらない受け答えがしやすくなります。
ここでの整理を出発点に、今治市消防本部で働くイメージを自分の言葉にしていきましょう。
第1部|組織研究編
今治市消防本部の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは今治市消防本部の全体像を把握しておきましょう(時間のない方はここだけでもチェック)。
- 今治市消防本部は、人口約14.6万人の今治市を単独で管轄する市直営の消防本部である。構成市町村は今治市の1団体のみである。
- 消防吏員(消防士などの階級を持つ職員)は213名(うち女性8名・令和7年4月1日現在)が在籍している。
- 令和6年中の出動は火災96件・救急9,596件・救助105件で、救急が出動全体の大部分を占めている。
- 8つの署所のうち北消防署・大島分署・大三島分署の3署所が瀬戸内海の島嶼部に置かれ、管轄には関前諸島・馬島・小島・来島・四阪島といった有人離島も含まれる。
- 令和7年3月に発生した今治市林野火災を受け、消防本部は検証会議を設置し、課題と対策を8分野で整理した報告書を公表している。
今治市消防本部の基礎データ
面接に向けた組織研究では、厳密な統計値を大量に暗記する必要はありませんが、今治市消防本部のおおよそのスケール感を知っておくことは大切です。
下の表には、約14.6万人都市の消防を支える体制がどれほどの規模なのかが分かるよう、管内人口・職員体制・出動件数を集めました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 管内人口 | 145,611人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳人口) |
| 高齢化率 | 36.1%(同時点) |
| 75歳以上人口の割合 | 22.4%(同時点) |
| 消防吏員数 | 213人(うち女性8人)※令和7年4月1日現在 |
| 火災出動件数 | 96件(令和6年中) |
| 救急出動件数 | 9,596件(令和6年中) |
| 救助出動件数 | 105件(令和6年中) |
管内人口・高齢化率・75歳以上人口の割合は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)、消防吏員数・出動件数は総務省消防庁が公表する消防本部別データ(下記出典参照)によります。吏員数と出動件数では基準となる時点が違うため(吏員数は令和7年4月1日現在、出動件数は令和6年中)、同じ年の数値として並べないようご注意ください。(出典:総務省消防庁が公表する消防本部データ|令和7年4月1日現在)
数字から考えられる今治消防の課題
最初に押さえたいのが、火災96件に対して救急が9,596件という開きです。救急は火災のおよそ100倍にのぼり、消防の仕事の大部分を救急対応が占めている実態が数字に表れています。
あわせて、高齢化率も36.1%(令和8年1月1日現在)にのぼり、こうした人口構成が救急需要と密接に結び付いていることがうかがえます。救助105件という数字も、離島を含む広い管轄では消火・救急以外の出動が一定の割合で生じることを示しています。
管轄地域の特性と災害リスク
管轄地域の全体像
- 今治市は、全国一のタオル生産や中小造船業が集積する地場産業都市の圏域(今治圏域)として知られている。
- 瀬戸内しまなみ海道は平成11年5月に全通し、今治市と瀬戸内海の島々を結んでいる。
- 今治市消防本部の管轄には、大島(吉海・宮窪)、伯方島、大三島(上浦・大三島)に加え、関前諸島(岡村・大下・小大下)、馬島・小島・来島、四阪島といった有人離島が含まれる。
- 8つの署所は、中央消防署(旧今治地区の市街地)・東分署(朝倉地区)・西消防署(玉川地区)・波方分署(波方地区及び馬島・小島・来島)・菊間分署(大西・菊間地区)・北消防署(伯方・関前地区)・大島分署(吉海・宮窪地区〔四阪島を含む〕)・大三島分署(上浦・大三島地区)で構成される。
つまり今治市消防本部は、しまなみ海道でつながる島嶼部を含む広い管轄と、令和7年の林野火災の教訓を踏まえた体制整備を進める本部だと整理できます。産業都市としての一面と、離島を含む地理的条件という二つの側面を押さえておくと、志望動機の幅が広がります。(出典:各消防署の管轄区域一覧|今治市消防本部)
南海トラフ地震のリスク
愛媛県地震被害想定調査(中間報告・令和7年9月2日公表)によると、今治市は震度7が想定される7市の一つです(他は宇和島市・新居浜市・西条市・大洲市・四国中央市・西予市)。
同中間報告の市町別浸水面積(南海トラフ巨大地震・1cm以上)では、今治市は1,645haと想定され、西条市(3,392ha)に次いで県内で2番目の広さです。(出典:愛媛県地震被害想定調査 中間報告(市町別最大震度)|令和7年9月2日/同 中間報告(市町別浸水面積))
平成30年7月豪雨の教訓
平成30年7月豪雨(西日本豪雨)では、今治市内で直接死2人の人的被害が生じました(県計は直接死27人・関連死6人・重傷35人、令和5年6月1日時点の県確定値)。地震・津波だけでなく、風水害と令和7年の林野火災という、性質の異なる複数の災害への備えを面接では語れるようにしておきたいところです。(出典:平成30年7月豪雨に係る被害状況等について|愛媛県)
主な消防課題
ここまでの数字と地域の姿を踏まえると、今治市消防本部が今向き合っている課題が見えてきます。面接で消防の課題を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
救急需要の増加
全国の水準から確認します。令和6年中の救急自動車の出動は全国で771万8,380件に達し、昭和38年に集計が始まって以降でもっとも多い1年になりました。搬送人員のうち65歳以上の割合は63.3%です(いずれも令和6年中の確定値)。
今治市消防本部の令和6年中の救急9,596件という数字も、高齢化率36.1%・75歳以上人口の割合22.4%(いずれも令和8年1月1日現在)という管内の人口構成と切り離しては読めません。
しかも今治市消防本部の場合、この件数を島嶼部を含む管轄の中で受け止めることになり、搬送先までの距離や移動手段の制約が現場ごとに変わってきます。(出典:令和7年版 救急・救助の現況)
大規模災害への備え
全国の消防本部の約99%にあたる718本部(6,661隊・令和6年4月1日現在)が緊急消防援助隊に登録されており、今治市消防本部もその一員です。震度7という揺れの想定を踏まえると、単独での初動対応に加えて、外部からの応援をどう受け入れるかという視点も欠かせません。
離島を含む管轄という地理的条件は、大規模災害時の応援部隊の受け入れにおいても、平野部の本部とは異なる調整が必要になる場面だといえます。
離島を含む管轄への対応
今治市消防本部は8つの署所のうち北消防署・大島分署・大三島分署の3署所を瀬戸内海の島嶼部に置き、関前諸島・馬島・小島・来島・四阪島といった有人離島も管轄に含んでいます。陸続きの地域とは異なる移動や搬送の制約を踏まえた対応力が求められる点は、今治市消防本部ならではの特徴です。
北消防署は伯方地区・関前地区を、大島分署は吉海地区・宮窪地区(四阪島を含む)を、大三島分署は上浦地区・大三島地区を、それぞれ受け持っています。
林野火災の教訓を踏まえた体制整備
令和7年3月に発生した今治市林野火災を受け、消防本部は「令和7年今治市林野火災消防本部検証会議」を設置し、令和7年6月から10月にかけて会議とアドバイザーとの意見交換会を重ねて報告書をまとめました。
報告書は課題と対策を8分野(迅速かつ的確な初動体制、情報収集・共有体制、消火活動体制、応援要請・受援体制、消防水利・資機材、全庁的支援と災害対策本部機能、災害時における業務維持体制、火災予防)に整理しています。
具体的には、ドローンを初動から活用した延焼状況の把握、応援要請基準の数値化、林野火災注意報・警報を発令するための市独自基準の設置などが盛り込まれており、実際の災害対応の経験を組織の体制強化へつなげている点が特徴です。(出典:令和7年今治市林野火災消防本部検証会議報告(概要版))
検証会議は令和7年6月10日の第1回で課題を抽出し、7月10日の第2回で対応策を検討、8月20日の第3回で具体的対策を整理し、10月24日の第4回で報告書案をまとめるという段階を踏んでいます。一度の会議で結論を出すのではなく、複数回にわたって議論を積み重ねた点も、組織としての姿勢を語るうえでの材料になります。
人材確保と女性消防吏員の活躍
今治市消防本部の消防吏員213名のうち女性は8名で、割合は約3.8%です。全国では消防吏員168,230人のうち女性は6,386人・約3.8%にとどまっており(令和7年4月1日現在)、国は「令和8年度当初までに5%」という目標を掲げています。
今治市消防本部は全国平均とほぼ同水準にあり、令和8年度は初級消防Aで6人程度の採用予定人員が示されているように、人材の確保は継続的な取組として続いていくテーマです。(出典:女性消防吏員の活躍推進|消防庁)
重点方針|今治市の求める人物像と採用試験の設計
今治市消防本部は、独自の運営方針・基本計画を公表していません(2026年9月時点・当研究会調べ)。ただし今治市の受験案内には「求める人物像」が明記されており、これが評価の軸を考えるうえでの重要な手がかりになります。
受験案内の冒頭には、「公共の利益を追求し、より良い社会の実現のため使命感に溢れる人」「自ら考え行動し、変革を恐れず果敢に挑戦できる人」「現状に満足せず、粘り強く努力し続けることができる人」という3点の求める人物像が掲げられています(事務職の採用試験と共通の記載)。(出典:今治市職員採用試験受験案内<消防A>|令和8年度)
試験の枠組みにも触れておきます。第1次試験は自己アピール試験(録画面接、1〜2分程度の動画)とSCOA総合適性検査(全国47都道府県のテストセンターで受検可能)の2種目、第2次試験は体力検査と面接試験、第3次試験は面接試験という3段階です。
各試験項目のうち一定の基準に満たない項目があれば、合計得点にかかわらず不合格となる基準点方式が採用されています。加えて、救急救命士資格を持つ受験者には第1次試験の総合得点に10点が加点される制度もあり、専門資格を評価する姿勢がうかがえます。
POINT|公表された3つの人物像を、自分の経験に接続する
「求める人物像」を暗記するだけでは面接では通用しません。3つとも均等に触れようとするより、3つのうちどれが自分の経験と一番結びつくかを考え、具体的なエピソードとセットで語れるようにしておきましょう。
悪い例「テレビで見て消防官に憧れたので、今治市消防本部を志望します」
改善例「高校の吹奏楽部で難しい選曲にも粘り強く取り組み、目標の演奏会をやり遂げた経験があります。今治市消防本部が求める人物像の一つに『粘り強く努力し続けることができる人』とあり、この経験を消防の現場でも活かしたいと考えています。まずは基礎体力と知識を身につけ、その上でしまなみ海道の島々まで含めた地域を支える力になりたいです」
あわせて確認したい公式資料
今治市消防本部の選考をより深く理解するには、次の3点に当たっておきましょう。
- 今治市職員採用試験受験案内<消防A>(試験種目・求める人物像・受験資格)
- 今治市消防本部の組織・管轄区域に関する公式ページ
- 総務省消防庁が公表する今治市消防本部の吏員数・出動件数データ
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、今治市消防本部専用の面接想定問答集をご用意しています。今治市消防本部の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
今治市消防本部の面接の概要
ここからは、今治市消防本部の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
今治市消防本部の面接の流れ
今治市消防本部の消防職は、今治市が実施する「今治市職員採用試験」の一区分「消防A」として実施されます。3段階制で、第1次試験に録画面接という形式が採用されている点が特徴です。(出典:今治市職員採用試験受験案内<消防A>|令和8年度)
| 項目 | 内容(令和8年度・初級消防A) |
|---|---|
| 募集区分 | 初級 消防A・採用予定人員6人程度 |
| 試験の段階 | 3段階。第1次=自己アピール試験(録画面接)+SCOA総合適性検査、第2次=体力検査+面接試験、第3次=面接試験 |
| 面接の種類 | 第2次・第3次とも対面方式の個別面接 |
| 面接以外の検査 | 体力検査(握力・上体起こし・反復横跳び・立ち幅跳び・懸垂〔女性は斜懸垂〕、天候により種目を変更することがある) |
| 加点制度 | 救急救命士資格加点10点(第1次試験の総合得点に加点) |
注目してほしいのは、録画面接という第1次試験の形式です。受験者が自分で撮影した1〜2分程度の動画をアップロードする方式で、SCOA総合適性検査とあわせて、全国どこからでも受験しやすい設計になっています。
動画は何度でも撮り直しができますが、アップロード完了後は変更できません。第2次試験合格者は第3次試験の受験時に身体検査書の提出が必要で、検査にかかる費用は受験者の負担です。
勤務条件にも触れておきます。初級 消防Aの初任給は行政職給料表(一)1級7号給の203,600円(令和8年4月1日現在)です。交代制勤務は8時30分から翌日8時30分までの24時間勤務(2日分)で、うち休憩2時間・仮眠時間6時間30分、土曜日・日曜日・祝日及び年末年始を含む2交代制がとられています。
なお受験案内には「業務上、準中型自動車を運転する機会があるため、準中型免許の取得を検討してください」との記載がありますが、これは推奨事項であり、受験資格そのものではありません。両者を取り違えて覚えないよう、それぞれの意味を正確に理解しておくようにしましょう。
上記の試験構成は、今治市が公表した令和8年度職員採用試験受験案内<消防A>にもとづくものです。試験種目・区分等は年度や実施回によって変わることがあります。高校卒枠や職務経験者枠など他の区分も含め、必ず最新の受験案内でご確認ください。
今治市消防本部が求める人材
今治市消防本部は「求める人物像」を明文で公表しています(前章参照)。使命感・挑戦・粘り強さという3つの柱が、面接準備の物差しとしてそのまま使えます。
8署所のうち3署所が島嶼部にあり、離島を含む広い管轄を吏員213名で守っています。令和7年の林野火災を経て組織の体制強化に取り組んでいる本部でもあり、実際に起きた出来事から学び、改善につなげる姿勢が期待される場面が多いはずです。
「粘り強く努力し続けることができる人」という人物像は、離島を含む広い管轄をチームで支え続ける仕事の性格ともよく重なります。
申込みの際には、パブリックコネクトの会員登録項目として、中学校卒業以降のすべての学歴・すべての職歴を「できる限り具体的に」入力することが求められており、自分自身の歩みを丁寧に振り返る作業が、選考の入口から始まっているといえます。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。今治市消防本部の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 最近気になったニュースはありますか? | 緊張をほぐす何気ない話題に、素の受け答えと会話の自然さが表れます |
| ② 動機・志望 | なぜ今治市消防本部を志望するのですか? | 消防官という仕事と今治という土地を、自分の言葉で選べているか |
| ③ 自己理解 | あなたの短所(弱み)は何ですか? | 自分を客観視できているか。弱みへの向き合い方に人柄が出ます |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください | 過去の行動の事実。壁にぶつかったときの対処が現場の仕事に通じるか |
| ⑤ 学業・経歴 | 今の進路を選んだ理由を教えてください | 進路選択の筋道。自分の決断を順序立てて説明できるか |
| ⑥ 適性・将来 | 体力に自信はありますか? | 交替制勤務と現場活動を続けるための体力・生活習慣・覚悟 |
| ⑦ 公共性・社会性 | 消防官(公務員)に最も必要な資質は何だと思いますか? | 仕事の公共性への理解と、社会の出来事への当事者意識 |
この7カテゴリーの見取り図は準備の出発点にすぎません。第2次・第3次のいずれも対面の個別面接で行われるため、事前の準備がそのまま2度の対話に活きてきます。
今治市消防本部ならではの選考を突破するには、この本部固有の事情を踏まえた質問への備えが欠かせません。
合否を分けるのは今治市消防本部に固有の質問
なぜこの仕事なのかを確かめたうえで、今治市消防本部が実際に経験した災害への理解が問われます。令和7年3月の林野火災は、検証会議が課題と対策を8分野に整理するに至った出来事であり、報道で知った範囲の感想では答えきれません。
面接で使いやすい「今治市の事実」を絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい今治市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 救急需要の増加 | 令和6年中の救急出動は9,596件で、火災96件のおよそ100倍。高齢化率は36.1%(令和8年1月1日現在、詳細は第1部2章) | 離島を含む管轄という条件も添え、件数の大きさだけに頼らない説明を組み立てる |
| 離島を含む管轄 | 8署所のうち3署所が島嶼部にあり、関前諸島・馬島・小島・来島・四阪島などの有人離島を管轄(詳細は第1部1章) | 陸続きの地域とは違う制約を理解していることを、具体的に伝える |
| 林野火災の教訓 | 令和7年3月の林野火災を受け、検証会議が課題と対策を8分野に整理(詳細は第1部4章) | 災害そのものを語りの材料にせず、検証で整理された8分野のどこに自分が関わりたいかという形で語る |
| 求める人物像 | 「使命感」「挑戦」「粘り強さ」の3点が受験案内に明記されている(詳細は第1部5章) | 3つのうち自分の経験に一番近いものを選び、具体的なエピソードで語る |
| 採用の枠組み | 第1次試験に録画面接、救急救命士資格には10点の加点制度がある(詳細は第2部1章) | 選考の特徴を正確に理解していることを、志望理由と結びつけて語る |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 消防吏員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
今治市は消防区分について、配点までは公表していませんが、求める人物像を明文で公表しています。
「各試験項目のうち一定の基準に満たない項目があれば不合格」という基準点方式も、特定の一芸だけでは通用しない選考であることを示しています。この3つの柱をもとに、評価の観点を整理しました。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 使命感(公共の利益を追求する姿勢) | 志望動機や自己PRの中に、公共のために働きたいという軸があるか | 「なぜ消防官か」「なぜ今治市か」を、公共性の視点から具体的に語れるようにする |
| 挑戦する姿勢 | 未経験の課題にどう向き合ってきたか、行動の事実で語れるか | 新しい環境や困難に飛び込んだ経験を、行動の事実として整理しておく |
| 粘り強さ | 一度の失敗や壁にぶつかったとき、どう乗り越えたか | 継続して取り組んだ経験を、途中の苦労も含めて具体的に語れるようにする |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。今治市消防本部のように録画面接から始まり、第2次・第3次と対面の面接が重ねて行われる試験ではなおさら、自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 令和8年度の職員採用試験受験案内<消防A>を読み、求める人物像と試験構成を確認する
- 高校生活の経験を棚卸しする。部活動・学業から、使命感・挑戦・粘り強さのいずれかにつながる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 組織研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 録画面接の練習を重ねながら、体力検査の弱点を洗い出し、第2次・第3次に向けた模擬面接も進めていく
優先順位に注意
ステップ4〜5の組織研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を消防の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で今治市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。求める人物像の3つの柱も、自分の経験という裏付けがあってはじめて説得力を持ちます。
なお、録画面接という第1次試験の形式を持つ今治市消防本部の選考では、話す内容だけでなく、画面越しでも伝わる表情や声のトーンまで意識した練習が欠かせません。スマートフォンなどで実際に撮影し、見返して確認する準備を、他の対策と並行して進めておく価値があります。
1〜2分という短い時間の中で伝えたい内容を過不足なく詰め込む練習は、その場で答える対面の面接とはまた違った準備が必要になる点にも注意しましょう。台本を丸暗記して読み上げるような話し方は不自然さが伝わりやすいため、要点を押さえたうえで自分の言葉で語る練習を重ねることが大切です。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、今治市消防本部専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
今治市消防本部の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。
さいごに
今治市消防本部は、吏員213名でしまなみ海道沿いの島々を含む地域を守る単独本部です。8署所のうち3署所が島嶼部にあり、令和7年の林野火災を経て組織の体制強化にも取り組んでいます。
録画面接から始まる選考は、これまでの一般的な面接対策のイメージとは異なる準備が必要になります。使命感・挑戦・粘り強さという3つの人物像を手がかりに、自分の経験を今治市消防本部の仕事へ結びつけて語れるよう準備を進めてください。
全国一のタオル生産や造船業を支えてきた今治圏域と、瀬戸内海の島々を、9,596件の救急と105件の救助でつないできた本部の歩みを、面接の言葉にしていきましょう。