松山市消防局を受験する方に向けて、面接で問われる前提となる組織研究の材料(本部の特徴・基礎データ・管轄地域の特性・消防課題・重点方針)と、面接本番の流れ・想定される質問・評価の観点を、1ページに整理しました。
松山市消防局の面接試験では、「なぜ警察官や自衛官ではなく消防官なのか」「なぜ松山市消防局なのか」「集団面接や集団討論に重きを置く選考をどう受け止めているか」といった、配点構造そのものへの理解を前提とする質問が想定されます。第1次試験の配点がわずか1割にとどまり、残り9割が人物・体力の評価に置かれていることを知っておくことで、一般論に終わらない受け答えがしやすくなります。
ここでの整理を出発点に、松山市消防局で働くイメージを自分の言葉にしていきましょう。
第1部|組織研究編
松山市消防局の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは松山市消防局の全体像を把握しておきましょう(時間のない方はここだけでもチェック)。
- 松山市消防局は、人口約49万人の松山市を単独で管轄する市直営の消防本部である。愛媛県ではなく松山市の組織であり、構成市町村は松山市の1団体のみである。
- 消防吏員(消防士などの階級を持つ職員)は480名(うち女性25名・令和7年4月1日現在)が在籍している。
- 令和6年中の出動は火災110件・救急31,543件・救助250件で、救急31,543件は四国の消防本部の中で最大の件数である。
- 消防職(上級)の採用試験は、松山市総務部人事課が所管する事務職上級等とは別系統で、松山市消防局総務課が実施要領を公告し申込みも受け付ける。
- 第1次試験は松山会場のほか大阪会場(受付可能人数50名の先着順)でも受験でき、県外からの受験にも道が開かれている。
- 試験結果は総合得点・科目別得点・受験者数・順位・合格最低点の5項目が第1次・第2次では受験者全員に通知され、申込者数や平均点等も順次市ホームページで公開されるなど、選考過程の透明性を重視した運用がとられている。
松山市消防局の基礎データ
面接に向けた組織研究では、厳密な統計値を大量に暗記する必要はありませんが、松山市消防局のおおよそのスケール感を知っておくことは大切です。
下の表には、約49万人都市の消防を支える体制がどれほどの規模なのかが分かるよう、管内人口・職員体制・出動件数を集めました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 管内人口 | 492,661人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳人口) |
| 高齢化率 | 29.7%(同時点) |
| 75歳以上人口の割合 | 17.0%(同時点) |
| 消防吏員数 | 480人(うち女性25人)※令和7年4月1日現在 |
| 火災出動件数 | 110件(令和6年中) |
| 救急出動件数 | 31,543件(令和6年中) |
| 救助出動件数 | 250件(令和6年中) |
管内人口・高齢化率・75歳以上人口の割合は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)、消防吏員数・出動件数は総務省消防庁が公表する消防本部別データ(下記出典参照)によります。吏員数は令和7年4月1日現在、出動件数は令和6年中の集計で、それぞれ基準となる時点が異なります。並べて比較する際はご注意ください。(出典:総務省消防庁が公表する消防本部データ|令和7年4月1日現在)
数字から考えられる松山消防の課題
最初に押さえたいのが、火災110件に対して救急が31,543件という開きです。救急は火災のおよそ287倍にのぼり、消防の仕事の大部分を救急対応が占めている実態が数字に表れています。
あわせて、高齢化率も29.7%(令和8年1月1日現在)にのぼり、都市規模の大きさと高齢化の進行が同時に救急需要を押し上げていることがうかがえます。救助250件という数字も、消火と救急という二本柱の外側にも松山市消防局の出番が広がっていることを物語ります。
管轄地域の特性と災害リスク
管轄地域の全体像
- 松山市は愛媛県の県都で、道後温泉や松山城で知られる。
- 令和8年5月17日には愛媛県総合運動公園(松山市)で第76回全国植樹祭が開催され、天皇皇后両陛下の御臨席のもと県内外から招待者約3,500人が参加する(愛媛県では60年ぶり2回目の開催)。
- 松山空港は国内10路線・68便/日+14便/週(2023年1月時点)が就航し、四国内4空港の中で最も便数が多い。空の玄関口を抱えるまちだからこそ、平時と非常時の両方で人の往来を支える体制が求められる。
つまり松山市消防局は、県都としての都市機能と、南海トラフ地震の被害想定を併せ持つ地域を管轄する本部だと整理できます。(出典:第76回全国植樹祭えひめ2026/四国地方の空港の現況|国土交通省四国地方整備局)
南海トラフ地震のリスク
愛媛県地震被害想定調査(中間報告・令和7年9月2日公表)によると、松山市を含む13市町の最大震度は震度6強と想定されています(県内では今治市・宇和島市など7市が震度7)。同中間報告では、松山港の最大津波高は3.2m、最大津波到達時間は146分、30cm浸水が始まるまでの時間は113分とされ、松山市内の浸水面積は1,148haと想定されています。
同中間報告の市町別浸水面積(南海トラフ巨大地震・1cm以上)では、西条市3,392ha・今治市1,645ha・宇和島市1,632haに次ぐ規模で、県内の市町の中でも上位に位置します。(出典:愛媛県地震被害想定調査 中間報告(市町別最大震度)|令和7年9月2日/同 中間報告(主要港湾における最大津波等・市町別浸水面積))
なお内閣府が令和7年3月31日に公表した市町村別ケース別の最大津波高(11ケースの最大値)では、松山市域内の最大値は4mとされています。これは代表地点である松山港の値(3.2m)とは測定地点の取り方が異なる数値で、面接で津波の高さに触れる際は、どちらの資料の値かを混同しないよう注意が必要です。(出典:南海トラフ巨大地震モデル・被害想定手法検討会|令和7年3月31日)
平成30年7月豪雨の教訓
平成30年7月豪雨(西日本豪雨)では、松山市内で直接死4人・関連死2人の人的被害が生じました(県計は直接死27人・関連死6人・重傷35人、令和5年6月1日時点の県確定値)。地震だけでなく風水害への備えも、面接で災害を問われたときの重要な材料になります。(出典:平成30年7月豪雨に係る被害状況等について|愛媛県)
主な消防課題
ここまでの数字と地域の姿を踏まえると、松山市消防局が今向き合っている課題が見えてきます。課題を問われた場面で言葉に詰まらないよう、次の4つを手元に置いておきましょう。
救急需要の増加
令和6年中の救急自動車の出動は全国で771万8,380件となり、昭和38年の集計開始以来もっとも多い1年になりました。搬送された人の63.3%は65歳以上です(いずれも令和6年中の確定値)。
松山市消防局の令和6年中の救急31,543件は、単純に割れば1日あたり86件を超える計算になります。
高齢化率29.7%(令和8年1月1日現在)という県都の人口構成に、約49万人という母数の大きさが重なる以上、この件数を吏員480名でさばき続ける体制をどう保つかが、局の運営上の中心的な論点であり続けます。(出典:令和7年版 救急・救助の現況)
大規模災害への備え
全国の消防本部の約99%にあたる718本部(6,661隊・令和6年4月1日現在)が緊急消防援助隊に登録されており、松山市消防局もその一員です。愛媛県地震被害想定調査(中間報告・令和7年9月2日公表)で松山市を含む13市町が最大震度6強と想定されている以上、局はこの想定を踏まえた体制づくりを進める立場にあります。
吏員480名という規模は、単独での初動対応と、県外からの応援部隊を受け入れる側の両方をこなせるだけの人数だといえます。
広域避難の受け入れという役割
松山市は伊方発電所の原子力災害対策重点区域(PAZ・UPZ)の対象市町には含まれていません。一方で愛媛県広域避難計画は、原子力災害時の避難先候補施設として松山市に屋内受入162箇所(屋内収容可能人数67,885人)・屋外受入120箇所(屋外収容可能人数626,081人)を確保しており、これは県内市町で最大規模の受入枠です(令和3年4月1日時点)。
松山市消防局は、自らの管内リスクだけでなく、県内で最大規模の避難者を迎える体制の一角を担っていることになります。(出典:愛媛県広域避難計画|令和3年6月17日修正)
人材確保と女性消防吏員の活躍
松山市消防局の消防吏員480名のうち女性は25名で、割合は約5.2%です。全国では消防吏員168,230人のうち女性は6,386人・約3.8%にとどまっており(令和7年4月1日現在)、国は「令和8年度当初までに5%」という目標を掲げています。
松山市消防局はこの目標水準に近づきつつありますが、令和8年度は上級・初級・実務経験者の3区分で採用が行われており、入口を複数用意してでも人を確保しにいく姿勢がうかがえます。(出典:女性消防吏員の活躍推進|消防庁)
重点方針|松山市消防局の採用試験の設計
松山市消防局として独自に公表されている運営方針や基本計画は、2026年9月時点では確認できません。かわりに、採用試験の配点構造から局が選考のどこに力点を置いているかを読み解いていきます。
松山市消防局の消防職(上級)は、第1次試験と第2次試験の配点比率が1:9、さらに第2次試験の内部は集団面接:体力試験:集団討論=3:3:3という配点が公表されています。加えて第2次試験と第3次試験(口述試験)の配点比率は4:6です。
第1次試験の配点はわずか1割にとどまり、残り9割が第2次以降の人物・体力評価に置かれる構造だといえます。(出典:令和8年度 松山市消防職員(上級)採用試験実施要領)
試験の中身にも触れておきます。第1次試験は教養試験(40問・120分)と消防適性試験(90問・15分)で、得点配分は1:1です。
第2次試験は前半(適性検査・集団面接約45分・体力試験7種目)と後半(集団討論約45分)に分かれ、両方を受験する必要があります。第3次試験は個別面接(約20分)で、受験資格には視力(矯正を含み両眼で0.7以上、片眼でそれぞれ0.3以上)と聴力(左右正常)の基準があり、実施要領は「消防業務遂行時に安全が確保できない可能性があるため」と理由を明記しています。
POINT|配点を知り、どこに力を注ぐべきかを見極める
教養試験の得点だけを気にしていると、松山市消防局の選考全体からすると力の配分を間違えることになります。「なぜ集団面接と集団討論の両方が課されるのか」「なぜ松山市消防局なのか」と問われたとき、配点構造への理解に接続して説明できると、説得力が増します。第1次試験を通過することがゴールではなく、そこから先の9割にどう向き合うかが本当の勝負になる試験だと捉えておきましょう。
悪い例「体力に自信があるので、松山市消防局を志望します」
改善例「大学の応援団活動で声出し役を担い、周囲を鼓舞しながら自分の役割を果たしてきました。松山市消防局の選考は集団面接や集団討論に多くの配点が置かれていると知り、一人で完結する仕事ではなく、集団の中で役割を果たす力が試される場だと感じています。まずは基礎体力と教養試験の対策を固め、その上で集団の中での立ち回り方を鍛えていきたいです」
あわせて確認したい公式資料
松山市消防局の選考をより深く理解するには、次の4点を確認しておきましょう。
- 松山市消防職員(上級)採用試験実施要領(試験種目・配点・受験資格)
- 松山市消防局の組織・出動に関する公式ページ
- 総務省消防庁が公表する松山市消防局の吏員数・出動件数データ
- 愛媛県地震被害想定調査(中間報告)や愛媛県広域避難計画など、管轄地域の災害リスクに関する公式資料
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、松山市消防局専用の面接想定問答集をご用意しています。松山市消防局の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
松山市消防局の面接の概要
ここからは、松山市消防局の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
松山市消防局の面接の流れ
松山市消防局の消防職(上級)は、松山市消防局総務課が実施要領を公告する消防局所管の試験として実施されます(事務職上級等を担当する松山市総務部人事課とは別系統)。第1次・第2次・第3次の3段階制で、第2次試験に集団面接・体力試験・集団討論という3種目が組み込まれている点が特徴です。(出典:令和8年度 松山市消防職員(上級)採用試験実施要領)
| 項目 | 内容(令和8年度・消防職上級) |
|---|---|
| 募集区分 | 上級(試験区分記号J)・採用予定人数5人程度 |
| 試験の段階 | 3段階。第1次=教養試験+消防適性試験、第2次=適性検査+集団面接+体力試験(前半)+集団討論(後半)、第3次=口述試験 |
| 面接の種類 | 集団面接(第2次前半・約45分)、集団討論(第2次後半・約45分)、個別面接(第3次口述試験・約20分) |
| 面接以外の検査 | 体力試験7種目(握力・上体起こし・シャトルラン・立ち幅跳び・反復横跳び・長座体前屈・腕立て伏せ) |
| 配点 | 第1次:第2次=1:9(集団面接3:体力試験3:集団討論3)、第2次:第3次=4:6 |
| 申込方法 | インターネット申込み(松山市採用情報サイト「パブリックコネクト」)が原則。申込書の郵送申込みも可能 |
注目してほしいのは、面接が集団面接・集団討論・個別面接と3種類にわたって組まれている点です。それぞれ場面が異なるため、集団の中での立ち居振る舞いと、一対一で深く語る力の両方を、別々に鍛えておく必要があります。
上記の試験構成は、松山市が公表した令和8年度消防職員(上級)採用試験実施要領にもとづくものです。試験種目・配点・区分等は年度や実施回によって変わることがあります。初級・実務経験者の区分も含め、必ずご自身の区分の最新の受験案内でご確認ください。
選考の後半にも触れておきます。第2次試験合格者は、第3次試験の受験時に松山市消防局が指定する書式の健康診断書を提出する必要があり、費用は自己負担です。初任給は月額251,200円(現行)で、採用後6か月間は条件付採用期間となります。
第1次試験は松山会場と大阪会場のどちらでも受験できるため、県外に住みながら志望する受験者にとっても、移動の負担を抑えやすい設計だといえます。
松山市消防局が求める人材
松山市消防局が消防職向けの「求める人物像」を明文で掲げている様子は、2026年9月時点で見当たりません(当研究会調べ)。手がかりになるのは、先に見た配点構造です。
第1次試験の配点はわずか1割にとどまり、残り9割が集団面接・体力試験・集団討論という人物・適性の評価に置かれています。この配分から、松山市消防局が筆記の出来以上に、集団の中での立ち居振る舞いや体力面の適性を重く見ていることが読み取れます。
教養試験対策に時間をかけすぎて、人物面の準備が手薄になってしまっては本末転倒です。
吏員480名という規模の消防局では、現場での消火・救急活動に加えて、予防や査察といった行政的な業務を担う部署も一定の広がりを持ちます。集団面接や集団討論という選考形式そのものが、一人で完結する仕事ではなく、周囲と連携しながら役割を果たす力を、採用側が重んじている可能性があります。
部活動やアルバイトなどで集団の中の役割を担った経験があれば、その時の具体的な立ち回りを言葉にしておくと、松山市消防局の選考形式にそのまま生きてきます。集団討論では発言の量よりも、他の受験者の意見をどう受け止めて議論を前に進めたかが見られやすい場面です。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。松山市消防局の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 試験会場までは、どうやって来ましたか? | 緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます |
| ② 動機・志望 | なぜ松山市消防局を志望するのですか? | 消防官という仕事と松山という土地を、自分の言葉で選べているか |
| ③ 自己理解 | あなたの短所(弱み)は何ですか? | 自分を客観視できているか。弱みへの向き合い方に人柄が出ます |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください | 過去の行動の事実。壁にぶつかったときの対処が現場の仕事に通じるか |
| ⑤ 学業・経歴 | 専攻分野(学科・コース)を選んだ理由を教えてください | 進路選択の筋道。自分の決断を順序立てて説明できるか |
| ⑥ 適性・将来 | 体力に自信はありますか? | 交替制勤務と現場活動を続けるための体力・生活習慣・覚悟 |
| ⑦ 公共性・社会性 | 消防官(公務員)に最も必要な資質は何だと思いますか? | 仕事の公共性への理解と、社会の出来事への当事者意識 |
この7カテゴリーの見取り図は準備の出発点にすぎません。松山市消防局ならではの選考を突破するには、この本部固有の事情を踏まえた質問への備えが欠かせません。
合否を分けるのは松山市消防局に固有の質問
選考の組み立て方そのものへの理解が、職業選択の動機と同じ重さで問われています。第1次と第2次の配点が1対9で、その第2次が集団面接・体力試験・集団討論の3つに等分されている局です。集団の場での振る舞いに時間をかけて備えてきたかどうかが、受け止め方を語る言葉に出ます。
面接で使いやすい「松山市の事実」を絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい松山市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 救急需要の増加 | 令和6年中の救急出動は3万件を超え、四国の消防本部の中で最大の件数。高齢化率は29.7%(令和8年1月1日現在、詳細は第1部2章) | 件数の大きさだけで終わらせず、都市規模と高齢化の両面から自分なりに理由を語る |
| 配点構造 | 第1次:第2次=1:9(集団面接3:体力試験3:集団討論3)、第2次:第3次=4:6(詳細は第2部1章) | 配点の大きさを踏まえ、集団の場での振る舞いに時間をかけて備えていることを伝える |
| 広域避難の受け入れ | 松山市は伊方発電所の重点区域外だが、県内最大規模の原子力災害時避難先候補を有する(詳細は第1部4章) | 管内のリスクだけでなく、広域での役割まで理解していることを示す |
| 採用の枠組み | 消防職の採用は松山市消防局総務課が所管し、事務職上級等とは別系統で実施される(詳細は第1部1章) | 事務職と混同していないことが伝わるよう、局独自の選考であることを明確に述べる |
使い方のコツは、4つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 消防吏員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
松山市消防局は「求める人物像」を明文では示していない一方で、配点という数字によって人物重視の姿勢を具体的に示している本部だといえます。第1次:第2次=1:9、第2次内部は集団面接:体力試験:集団討論=3:3:3、第2次:第3次=4:6というこの配点をもとに、評価の観点を3つに整理しました。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 集団の中での協調性 | 集団面接・集団討論(配点各3)で、他の受験者とどう関わるか | 自分の意見を主張するだけでなく、他者の発言を受けて考えを深められるようにする |
| 基礎体力の総合的な適性 | 体力試験7種目(配点3)で、現場活動に必要な基礎体力がバランスよく備わっているか | 種目ごとの目標値を調べ、苦手な種目を早めに把握して重点的に鍛えておく |
| 一貫した人物評価 | 第2次から第3次(配点4:6)にかけて、話す内容に一貫性があるか | 集団の場と個別の場で語る内容がぶれないよう、自己分析を深めておく |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。松山市消防局のように集団面接・集団討論・個別面接と3つの場面で人物を確かめる試験ではなおさら、自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
1つの場面だけで通用する話ではなく、どの場面で問われても崩れない一貫性が求められます。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 令和8年度の消防職員(上級)採用試験実施要領を読み、配点構造と受験資格(視力・聴力等)を確認する
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。部活動・アルバイト・学業から、集団の中で役割を果たした具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 組織研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 集団討論の練習を重ねながら、体力試験7種目の弱点を洗い出し、個別面接に向けて模擬面接も進めていく
優先順位に注意
ステップ4〜5の組織研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を消防の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で松山市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。両方をバランスよく積み上げていくことが、遠回りに見えて一番の近道です。
なお、集団討論と体力試験が同じ第2次試験に組み込まれている松山市消防局の選考では、限られた時間の中で複数の評価軸に対応する集中力も問われます。単独の対策に偏らず、集団討論の練習と体力づくりを並行して進めておく価値があります。
友人や家族に討論相手を頼み、時間を計りながら発言の内容と態度の両方を振り返る練習も効果的です。録画して自分の話し方の癖や表情の変化を確認するのも有効な方法で、繰り返すほど本番の緊張がやわらいでいきます。
面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、松山市消防局専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
松山市消防局の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。
さいごに
松山市消防局は、吏員480名で愛媛県の県都を守る単独本部です。令和6年中の救急出動は3万件を超え、四国の消防本部の中で最大の件数にのぼります。第1次試験の配点はわずか1割にとどまり、集団面接・体力試験・集団討論に9割の配点が置かれる選考は、筆記対策だけでは太刀打ちできません。
県都としての都市機能と南海トラフ地震への備えを併せ持つまちで、集団の中での自分の役割を具体的に語れるよう、経験の棚卸しを重ねていってください。松山会場・大阪会場のどちらから受験する場合でも、準備の中身に大きな違いはありません。
集団面接・体力試験・集団討論という3つの評価の場を意識し、一つずつ具体的な準備を積み重ねていきましょう。