本記事では、西条市職員採用候補者試験の面接対策で必要な、西条市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。試験の構成は、令和8年度の上級・中級の実施要領を軸に整理しています。

西条市役所の面接試験では、「なぜ西条市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「西条市の課題をどう捉えているか」といった、この市の地理と暮らしを知らないと答えが浅くなる質問が想定されます。市の実情を理解しておくことで、抽象的な回答を避け、西条市ならではの事情を踏まえた説得力のある説明がしやすくなります。

ここに並ぶ数字や地名は、覚えるためではなく、自分の経験と市の仕事を結ぶための手がかりです。読みながら、思い当たる自分の場面があれば書き留めておいてください。

第1部|自治体研究編

西条市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは西条市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 瀬戸内海に面した愛媛県東予地方の市で、豊富な地下水で知られる。市役所は明屋敷に置かれている。
  • 住民基本台帳人口は102,177人(令和8年1月1日現在)。同じ時点の愛媛県全体は約127万9千人。
  • 市域は510.01km²と広く、人口密度は約200人/km²。愛媛県全体の約225人/km²を下回り、暮らしが広い範囲に散らばっている。
  • 新居浜市・東温市・今治市・久万高原町(上浮穴郡)と接し、南側では高知県のいの町(吾川郡)と県境を接する。
  • 市内に広範囲に地下水の自噴井「うちぬき」があり、その数は約3,000本、1日の自噴量は約9万m³。名水百選に選ばれ、生活用水・農業用水・工業用水として使われている。
  • 県の公式資料は、新居浜・西条圏域を住友金属鉱山・住友化学・住友重機械工業など住友グループの企業城下町として工業都市圏を形成する地域と位置づけている。
  • 南海トラフ巨大地震では、県内で震度7が想定される7市に数えられ、とくに西条市は震度7の範囲が広いとされている。
  • 令和8年度の職員採用候補者試験には、上級・中級のほかに上級早期募集枠があり、同じ年度の他の日程・試験区分との併願はできない。
  • 面接カードは事前提出ではなく、第1次試験日に会場で作成する方式。第2次試験の面接の参考にするもので、第1次試験の結果には影響しない。

西条市の基礎データ

自治体研究というと数字を暗記する作業だと思われがちですが、面接で効くのはそこではありません。この市の規模と地形の条件を、2つか3つの数字で言い切れることのほうが役に立ちます。

次の表は、志望動機を組むときにも課題を語るときにも戻ってくる項目です。出どころもあわせて確かめておいてください。

項目内容
総人口102,177人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
65歳以上人口34,401人(33.7%/愛媛県全体は34.2%)
75歳以上人口20,178人(19.7%/愛媛県全体は20.2%)
総面積510.01km²
人口密度約200人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
市役所所在地西条市明屋敷164番地
隣接する自治体新居浜市、東温市、今治市、上浮穴郡久万高原町、高知県吾川郡いの町
採用予定人員(上級・中級)一般事務職A・B合わせて8人程度。その他の区分は若干名

上の表の人口と年齢別人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)から取りました。総面積・市役所所在地・隣接自治体は当研究会が整理した基礎データ、採用予定人員は令和8年度の実施要領によります。住民基本台帳の人口は国勢調査の人口と調査の基準が違いますので、両者をつないで増減を出すことはできません。

数字から考えられる市政課題

西条市の高齢化率33.7%は、同じ時点の愛媛県全体(34.2%)をわずかに下回ります。75歳以上の割合19.7%も、県全体の20.2%より少し低い水準です。

県内の市としては年齢構成に余裕があるほうですが、3人に1人が65歳以上という数字自体は動きません。

愛媛県は人口減少と超少子高齢化を「全国より深刻」と自ら認識しており、この比率が近いうちに落ち着く見通しがあるわけではありません。(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)

むしろ西条市の性格が出ているのは面積のほうです。510.01km²の市域に約10万人が暮らし、人口密度は約200人/km²。

県全体の約225人/km²より低く、10万人規模の市でありながら、人は広く散らばって住んでいることになります。同じサービスを届けるにも、移動の時間と距離が仕事量に直結します。

この2つを重ねると、面接での説明はこう組めます。

「西条市は人口が10万人ほどですけれども、市の面積は510平方キロメートルもあって、人口密度は県の平均より低いと知りました。高齢化率も3割を超えていますので、市役所まで来られない方のところへどう届けるかが、これから大きくなっていくのではと感じています」

西条市の経済・産業

水が産業の条件になっている市

西条市を語るときに外せないのが地下水です。市内には広い範囲に自噴井「うちぬき」があり、その数は約3,000本、1日の自噴量は約9万m³にのぼります。

名水百選に選ばれた水ですが、注目したいのは用途で、生活用水・農業用水・工業用水のすべてに同じ水源が使われている点です。

観光の話題としてだけでなく、産業立地の条件として押さえておくと、面接での使い道が広がります。(出典:うちぬき|西条市公式)

東予の工業都市圏の一角として

新居浜市と西条市を含む圏域について、愛媛県の公式資料は、住友金属鉱山・住友化学・住友重機械工業といった住友グループの企業城下町として工業都市圏を形づくっていると記しています。

同じ東予でも、四国中央市を含む宇摩圏域は紙・パルプの日本有数の産地、今治圏域は全国一のタオルと中小造船の集積地であり、性格の違う製造業の都市が帯状に並ぶのがこの地域の姿です。

西条市はその中で、豊富な地下水と広い平野部を持つ立地にあります。(出典:愛媛県の地域別特徴に関する県公式資料)

県全体の観光の伸び悩みと、地域資源の扱い

愛媛県内の観光客総数は、令和6年(1月から12月)で延べ2,304万人。内訳は県外992万人と県内1,312万人です。

観光消費総額のほうは926億円で、前年の1,054億円から128億円、12.1%落ち込みました。来訪はあっても消費に結びついていない年だったということです。

名水という資源も、名前が知られているだけでは経済に返ってきません。水を目的に来た人が、どこで食事をし、何を買って帰るのか。

観光や産業振興に関心があるなら、そこまで具体的に考えておきましょう。(出典:愛媛県の観光客数と観光消費額|令和6年)

西条市の主な行政課題

ここまでの地形と産業の姿を踏まえると、この市が抱えている論点の輪郭がはっきりしてきます。面接で「市の課題」を問われたときのために、次の4つを準備しておきましょう。

県内で最も大きい浸水の想定

愛媛県が令和7年9月2日に公表した地震被害想定調査の中間報告によると、南海トラフ巨大地震による市町別の浸水面積(1cm以上)は、西条市が3,392haで県内最大です。

今治市の1,645ha、宇和島市の1,632ha、松山市の1,148haを大きく上回ります。

津波による死者も、陸側ケース・冬深夜の想定で2,150人と、県が示した市町別の例のなかで最も大きな値になっています。

震度7が想定される7市の一つであり、しかも震度7の範囲が広いとされています。(出典:愛媛県地震被害想定調査(中間報告)|令和7年9月)

浸水が始まるまでの時間が短いという前提

同じ中間報告で、東予港(西条市)の最大津波高は3.4m、最大津波到達時間は460分と示されています。ここだけを見ると時間の余裕があるように読めますが、30cm浸水開始時間は1分未満です。

この数字は津波によるものではなく、揺れによって堤防が全壊し、海抜ゼロメートル地帯に浸水が始まることを意味しています。津波が来る前に水が来るという前提を外して避難を語ると、この市の実情とかみ合いません。

防災に関心があるなら、必ず押さえてください。

人口減少と、支える側の細り方

愛媛県の将来推計人口は、県全体が2040年に1,059,241人、2060年には783,547人まで減ると見込んでいます。

2020年から2060年の内訳を見ると、年少人口が58.5%減、生産年齢人口が49.3%減で、65歳以上の22.0%減より減り方が急です。

県総合計画も、県人口が昭和60年の153.0万人を境に減少へ転じ、直近5年間の減少率が過去最大の3.64%になったことを最重要課題としています。

西条市の75歳以上人口は20,178人(令和8年1月1日現在)。

今の年齢構成が県内では比較的緩やかでも、支える側の減り方は県全体と同じ流れの中にあります。(出典:愛媛県の将来推計人口|令和5年公表)

一つの水源を、暮らしと農業と工業で分け合う難しさ

うちぬきが生活用水・農業用水・工業用水のすべてに使われているということは、裏を返せば、需要の増減がそのまま同じ資源に集まるということでもあります。

工場が増えれば工業用水が要り、渇水の年には農業用水と生活用水が競合しかねません。市の資源を守る仕事は、環境部門だけの話では収まらないでしょう。

産業振興、農林水産、上下水道、危機管理。複数の部署が同じ資源を見ているという構造は、この市の仕事を説明するときの重要な視点になります。

西条市の重点政策|市が公表する求める人材と選考の設計

西条市は、職員募集の案内の中で、どんな人を求めているかを一文で言い切っています。総合計画などの計画本体は市の公式サイトに掲載されていますので、志望分野が固まっている方はそちらもご覧ください。

ここでは、受験者が直接受け取る文書に表れている市の姿勢を読みます。

3つの言葉と、まちの将来像

西条市は職員募集案内で、「西条市は、『行動力』『協調性』『向上心』を持ち、『人がつどい、まちが輝く』西条市を市民の皆様と共に創造していける人材を求めています。」と公表しています。

行動力・協調性・向上心という3語と、「共に創造していける」という条件がひと続きになっている点に注目してください。

個人の能力を並べるだけでなく、市民と一緒に何かを作れるかどうかまでを一文に含めています。(出典:西条市職員募集案内|令和8年度)

選考の設計に表れているもの

この市の選考には、他ではあまり見かけない条件がいくつか置かれています。読み解くと、市が受験者に何を期待しているかが見えてきます。

  • 面接カードは当日作成
    第1次試験日に会場で作成する方式。第2次試験の面接の参考にするもので、第1次試験の結果には影響しないと明記されています
  • 他日程・他区分との併願禁止
    「令和8年度に実施する他の日程・試験区分と併願して受験することはできません」と公告本文に明記されています
  • 結果は全員に通知
    上級・中級では第1次試験・第2次試験ともに、総合得点および総合順位を受験者全員に通知します
  • 性格検査は参考扱い
    第1次試験で実施する性格検査は第2次試験の参考とするもので、第1次試験の結果には影響しません

併願を許さず、面接カードをその場で書かせ、結果は全員に数字で返す。この3つが並ぶと、受験者に対して「腹を決めて来てほしい」という姿勢が伝わってきます。

志望度の高さを言葉で強調するより、なぜこの市に絞ったのかを具体的に説明できるほうが、この設計にはかみ合うはずです。(出典:令和8年度西条市職員採用候補者試験(上級・中級)実施要領)

愛媛県総合計画が並べる3つの課題

愛媛県総合計画(未来につなぐえひめチャレンジプラン、令和5年度から令和8年度)は、「人口減少・超少子高齢化は全国より深刻」という認識を現状と課題の冒頭に据え、あわせて若者の転出超過による労働力人口の減少、そして南海トラフ地震や頻発化・激甚化する豪雨災害への対応を課題として挙げています。

西条市の場合、県が示した浸水面積が県内最大であることからも、災害への備えは避けて通れない論点です。

志望動機を組むときは、どの論点に自分の関心が乗るのかを先に決めておくと、話の芯が通ります。(出典:愛媛県総合計画(未来につなぐえひめチャレンジプラン)|令和5年度)

POINT|「共に創造していける」を自分の経験で言い換える

募集案内の言葉をそのまま口にしても、面接では響きません。行動力・協調性・向上心のうち一つを選び、「その言葉に当てはまる自分の場面はどれか → 誰と一緒にやったか → うまくいかなかったところはどこか → 市の仕事で同じ場面が来たらどうするか」の順で書き出してみてください。

悪い例「西条市は水が有名なので、環境を守る仕事に関わりたいです」

改善例「うちぬきの水が暮らしにも農業にも工場にも使われていると知って驚きました。使う人が違えば困りごとも違うと思いますので、まずはそれぞれの方の話を聞いて、間に立って調整する仕事に関わってみたいです」

あわせて確認したい公式資料

申込みの前に、次の4点を開いておくと判断が早くなります。とくに1つ目は、併願ができない以上、どの枠で受けるかを決める材料そのものです。

  • 令和8年度の実施要領(上級・中級/上級早期募集枠のどちらで受けるかを決めるため)
  • 西条市公式サイトの職員募集案内(求める人材の文言と、その年度の変更点)
  • 西条市が公表する総合計画と、地域防災に関する資料の現行版
  • 愛媛県総合計画(県が災害と人口減少をどう捉えているかを確かめるため)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、西条市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。西条市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

西条市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

西条市役所の面接の概要

ここからは、西条市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

西条市役所の面接の流れ

西条市の採用試験は「職員採用候補者試験」という名称で、実施と問い合わせは市長部局の総務部職員厚生課人事研修係が所管しています。

ここでは令和8年度の上級・中級を軸に整理します。この日程は第1次試験と第2次試験の二段階で、第2次試験は第1次試験の合格者に対して行われます。

項目内容(令和8年度・上級・中級)
試験の段階二段階。第1次試験 → 第2次試験(第1次試験の合格者が対象)
第1次試験(一般事務職A・土木技術職A)教養試験、専門試験、性格検査
第1次試験(一般事務職B・消防職・土木技術職B・建築技術職・管理栄養士職・保健師職)SPI(基礎能力検査および性格検査)
教養試験の内容時事、社会、人文および自然に関する一般知識と、文章理解、判断推理、数的推理、資料解釈に関する一般知能
専門試験の出題分野(一般事務職A)政治学、行政学、憲法、行政法、民法、経済学、財政学、社会政策、国際関係
性格検査の扱い第2次試験の参考とするもので、第1次試験の結果には影響しません
面接カード第1次試験日に会場で作成します。第2次試験の面接の参考にするもので、第1次試験の結果には影響しません
第2次試験口述試験(主として人物について面接による試験)。消防職のみ体力試験(実技試験)が加わります
面接の種類「口述試験」とのみ記載されています。個別面接か集団面接かの別、面接の回数についての記載はありません
集団形式令和8年度の実施要領に、集団討論を実施する旨の記載はありません
配点令和8年度の実施要領に、各試験種目の配点の記載はありません。公表されるのは総合得点および総合順位です
結果の通知第1次試験・第2次試験ともに、総合得点および総合順位を受験者全員に通知します
併願の可否「令和8年度に実施する他の日程・試験区分と併願して受験することはできません」と明記されています
受験資格の共通要件日本国籍を有する者で、西条市に居住する者または採用後に市内に居住可能な者

この試験でとくに意識したいのは、面接カードを試験当日に会場で書くという順番です。自宅で何度も推敲して仕上げる余地がありません。

第1次試験の疲れが残っている状態で、限られた時間に自分の経験を選び、書き切る必要があります。裏を返せば、事前に用意しておくべきなのは完成した文章ではなく、どの経験を出すかという判断の基準です。

なお、上級早期募集枠は設計が異なります。

第1次試験がSPI3(総合能力試験)で、テストセンターとオンライン会場から受験者が選べる方式、第2次試験が口述試験という二段階です。

令和8年度は、この早期募集枠に消防職が追加され、上級試験区分に管理栄養士職が追加されました。ただし前述のとおり、同じ年度の他の日程・区分との併願はできません。

上記は、令和8年度西条市職員採用候補者試験(上級・中級)の実施要領に基づく内容です。面接の形式や各試験種目の配点は実施要領に記載がありませんので、詳細は市が公表する最新の実施要領でご確認ください。試験の構成・区分・日程は年度によって異なる可能性があります。

西条市役所が求める人物像

第1部で見たとおり、西条市は募集案内で行動力・協調性・向上心の3語を挙げ、「共に創造していける人材」という条件を添えています。

3語のいずれも、一人で完結する能力ではないところに、この市の求め方が出ています。

行動力は誰かの困りごとに向かって動くことで意味を持ち、協調性は相手がいて初めて成り立ち、向上心は仕事の中で伸ばすものです。

ここから先は、10万人規模で市域が510.01km²ある市役所という条件から、当研究会が読み取った内容です。市が明言しているわけではありませんので、その前提でお読みください。

採用予定人員は一般事務職A・Bを合わせて8人程度です。この人数が、県内で最も大きい浸水想定を抱える510km²を受け持つことになります。

防災の担当課に配属されるかどうかにかかわらず、避難の呼びかけも、その後の窓口も、結局は職員の頭数で回すほかありません。

募集案内が最初に挙げた行動力は、この市では、自分の持ち場の外で起きたことにも足が向くかという意味を含んでいると考えられます。

平常時の業務説明だけを読んで志望動機を組むと、この部分が抜け落ちます。

もう一つ、この市の資源の使われ方に触れておきます。うちぬきの水は、暮らしにも、田畑にも、臨海部の工場にも使われています。

同じ水を三通りに使うということは、渇水や水質が問題になったとき、立場の違う三者の言い分が同じ机の上に並ぶということでもあります。

募集案内の協調性は、職場で足並みをそろえるという意味にとどまりません。意見の違う相手の話をひととおり聞いたうえで、それでも一つの案にまとめる。

その手順を踏める人を想定した言葉だと、当研究会は読んでいます。

そのうえで準備の話をします。この市は併願を認めず、面接カードは当日その場で書かせる設計です。

つまり、面接に向けて用意できるのは、書き上げた文章ではなく、自分の経験の在庫と、そこから何を選ぶかという基準です。西条市の何に関心があるのかを先に決め、それに合う経験を2つか3つ手元に置いておく。

その準備をしてある人は、当日の面接カードでも迷いません。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。西条市の口述試験も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク緊張していますか?当日書いた面接カードを前にして、最初のやり取りで固さがほどけるか
② 動機・志望なぜ公務員を志望するのですか?他の日程や区分と併願できない中で、この市を選んだ理由が言葉になっているか
③ 自己理解あなたの短所(弱み)は何ですか?第1次試験で受けた性格検査の自己像と、面接での話がかみ合うか
④ 経験・行動これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください当日限られた時間で選んだ一件を、掘り下げられても崩れずに話せるか
⑤ 学業・経歴卒業論文(研究)のテーマについて、簡単に説明してください専門試験で問われる分野の知識を、話し言葉に置き換えて伝えられるか
⑥ 適性・将来入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか?採用が8人程度の職場で、希望以外の分野も引き受けて働けるか
⑦ 公共性・社会性最近関心を持ったニュースは何ですか?510km²に10万人が暮らす市の生活へ、話を引き寄せられるか

この7つは、西条市の実施要領から導いたものではありません。全国の官公庁の面接に共通する骨組みです。

準備してくる人が多い領域なので、ここだけで抜きん出るのは難しい。差がつくのは、次の「西条市ならではの事情を踏まえた質問」のほうです。

合否を分けるのは「西条市役所ならでは」の質問

「愛媛県庁ではなく、西条市役所を志望したのはなぜですか」
「西条市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

1問目は、この市では特に重い質問になります。同じ年度の他の日程・試験区分と併願できない以上、この市を選んだこと自体が受験者の判断の結果だからです。

2問目も、市の中身を知らないままでは形だけの答えになります。答えの材料になる事実を、面接で扱いやすい単位に切り分けておきました。

質問テーマ知っておきたい西条市の事実答え方のヒント
市の規模と広さ住民基本台帳人口は102,177人(令和8年1月1日現在)、市域は510.01km²、人口密度は約200人/km²。愛媛県全体の約225人/km²を下回る人口の多さと密度の低さを並べて示し、届けにくさが仕事量にどう出るかまで一続きで話します
なぜ県庁ではなく市役所か他の日程・試験区分との併願は認められていない。受験資格は市内に居住する者または採用後市内に居住可能な者併願できない中で選んだ理由を、暮らす場所としてこの市をどう見ているかまで含めて答えます
西条市の魅力自噴井「うちぬき」は約3,000本、1日の自噴量は約9万m³。名水百選に選ばれ、生活用水・農業用水・工業用水に使われている名水という紹介で止めず、同じ水を三通りに使う難しさに触れると、行政の視点が伝わります
産業と雇用県の公式資料は、新居浜・西条圏域を住友金属鉱山・住友化学・住友重機械工業などの企業城下町とし、東予の工業都市圏に位置づけている企業名を並べて終えず、そこで働く人と家族の暮らしを市がどう支えるかへ話を移します
地震と津波への備え南海トラフ巨大地震の浸水面積は3,392haで県内最大。東予港の30cm浸水開始時間は1分未満で、これは揺れによる堤防全壊で海抜ゼロメートル地帯に浸水が始まるもの津波の到達を待つ避難計画では間に合わない地域があると押さえたうえで、日ごろの備えに話をつなぎます

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

西条市の口述試験は、募集案内が掲げる行動力・協調性・向上心という3語を手がかりに、これまでどう動いてきたかを確かめる場だと考えてください。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの上手さではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
行動力誰かに言われる前に動いた場面と、そこで最初に何をしたか面接カードを当日書くことを見越して、着手の一手目まで思い出せる経験を選んでおく
協調性意見の違う相手と同じ目標に向かった経験と、折り合いのつけ方暮らしと農業と工場が同じ水を使うような、立場の違いを前提にした調整の場面を用意する
向上心できなかったことをできるようにした過程と、そのために続けたこと結果だけでなく、途中でやり方を変えた回数と、その理由を言えるようにしておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。

西条市の場合、その日に自分で書いた面接カードが手元の資料になりますから、書いた一行の背景をすべて話せる状態にしておく必要があります。

自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 上級・中級と上級早期募集枠のどちらで受けるかを決める。併願ができないため、この判断が最初の関門になる
  2. 選んだ枠の実施要領で、自分の試験区分の第1次試験の種目を確認する(一般事務職Aは教養と専門、一般事務職BはSPI)
  3. 手持ちの経験を並べ直す。学業と課外活動、アルバイトや職務経験から、語れる具体例を1つずつ拾い上げる
  4. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  5. この記事の第1部を読み返し、志望分野に近い西条市の事実を2つか3つ、自分の言葉で説明できるようにする
  6. 面接カードを当日書く前提で、時間を計って書く練習をする。書いた内容を声に出し、掘られたときの返しを足していく

優先順位に注意

ステップ5で扱う自治体研究は、余力があるときの上積みだと考えてください。時間が足りないときは、ステップ3で経験を並べ直す作業と、ステップ6の時間を計った書く練習を先に回してください。面接カードを当日その場で書く以上、材料の準備が薄いまま市の知識だけを足しても、書き出しで手が止まります。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、西条市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

西条市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

西条市役所の想定問答集を見る

さいごに

令和8年度の上級・中級は、第1次試験で筆記と性格検査を受け、その日のうちに面接カードを書き、第2次試験の口述試験へ進む流れでした。

配点は公表されず、返ってくるのは総合得点と総合順位だけです。同じ年度の他の日程・区分との併願も認められていません。

510.01km²の市域に約10万人が暮らし、うちぬきの水を暮らしと農業と工場が分け合い、県内で最も大きい浸水想定を抱えるこの市で、自分の経験のどれが役に立つのか。

当日その場で書き切れるだけの整理を、今のうちに済ませておいてください。