本記事では、四国中央市職員採用試験の面接対策で必要な、四国中央市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

四国中央市役所の面接試験では、「なぜ四国中央市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。令和8年度の採用試験はA日程からG日程まで7つの日程区分に分かれており、そのうちA日程(一般事務職・学芸員・消防職)は第1次試験と第2次試験の2段階です。

本記事で扱う試験の内容は、四国中央市が公表した令和8年度の実施要綱と実施計画にもとづくもので、A日程の一般事務職を中心に整理しています。他の日程は試験の方式が異なりますので、掲載内容を参考にしながら、必ずご自身が受ける日程の要綱とあわせてご確認ください。

第1部|自治体研究編

四国中央市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは四国中央市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • パルプ・紙・紙加工品製造業の製造品出荷額等が全国の市町村で第1位。平成16年の市町村合併以降、20年連続で日本一を続けている。
  • 人口は7万9,536人(令和8年1月1日現在)。市域の面積は421.24km²で、愛媛県のおよそ7.4%にあたる。
  • 高齢化率は34.7%で、愛媛県全体の34.2%とほぼ同じ水準。75歳以上の割合も20.3%と県全体(20.2%)に重なる。
  • 愛媛県内では新居浜市と接し、県境を越えて香川県観音寺市・徳島県三好市・高知県の4町村と境を接する。四国4県のうち3県に隣り合う位置にある。
  • 市の花はミツマタ、市の木は赤石五葉松。
  • 令和7年9月に公表された県の地震被害想定調査の中間報告では、最大震度7が想定される県内7市の一つに挙げられている。
  • 南海トラフ巨大地震による浸水面積(1cm以上)は726haと想定されている。
  • 令和8年度の職員採用試験はA日程からG日程まで7区分に分かれ、書道パフォーマンス枠や通年募集の技術職といった枠も設けられている。

四国中央市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「四国中央市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

この市について話すときの前提になるのは、人口8万人弱という規模と、421.24km²という市域、そして3つの県と接する位置の3点です。産業の話は次の章でまとめて扱います。

項目内容
総人口79,536人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
65歳以上人口(高齢化率)2万7,629人(34.7%/愛媛県全体は34.2%)
75歳以上人口(75歳以上率)1万6,166人(20.3%/愛媛県全体は20.2%)
総面積421.24km²(愛媛県の約7.4%)
人口密度約189人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接自治体新居浜市、香川県観音寺市、徳島県三好市、高知県大川村・土佐町・大豊町・本山町
市の花・市の木ミツマタ・赤石五葉松
市役所の所在地四国中央市三島宮川四丁目6番55号

総人口・65歳以上人口・75歳以上人口および愛媛県全体の割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の数値です。人口密度は同じ人口を総面積で割って当研究会が算出しました。総面積・隣接自治体・市の花木は、当研究会が整理した基礎データによります。愛媛県の面積は県公式「愛媛県のすがた」の5,676km²を用いて割合を算出しています。国勢調査を基準とする人口・高齢化率とは集計の系列が異なるため、直接比較はできません。

数字から考えられる市政課題

四国中央市の高齢化率34.7%は、愛媛県全体の34.2%とほぼ重なります。県内には西予市44.7%、八幡浜市41.9%、宇和島市41.5%といった市もあり、松山市の29.7%のように低い市もあるなかで、四国中央市は県の平均像に近い位置にいるということです。

産業の集積があるぶん働く世代が残っている、と読むこともできます。

一方で、面積421.24km²に対して人口密度は約189人/km²です。市の花にミツマタ、市の木に赤石五葉松が選ばれていることからも想像がつくとおり、市域には山地が広く含まれます。

臨海部の工業地帯と、背後に広がる山間部を一つの市として運営しているという構造は、道路や上下水道の維持、移動手段の確保、集落単位の防災といった論点に直結します。

「四国中央市は人口8万人弱ですが、市域は420平方キロを超えると知りました。海沿いに工場が集まる一方で山間部も広いので、同じ市の中でも必要な支援がかなり違ってくるのではと感じています」

四国中央市の経済・産業

紙の出荷額が全国の市町村で第1位

四国中央市を語るとき、最初に置くべき数字がこれです。パルプ・紙・紙加工品製造業の製造品出荷額等は6,082億4,940万円(2023年実績)で、全国の市町村で第1位。

平成16年の市町村合併以降、20年連続の日本一です。2位は静岡県富士市の5,478億4,513万円で、その差は600億円あまりになります。(出典:パルプ・紙・紙加工品製造業の製造品出荷額等|四国中央市公式)

愛媛県の側から見ても、この位置づけは明確です。県は東予地域の産業について、宇摩圏域(四国中央市)を紙・パルプの日本有数の産地、新居浜・西条圏域を住友グループの企業城下町として整理しています。

今治圏域のタオルと造船、南予のみかんと養殖と並ぶ、県を代表する地場産業の一つということです。(出典:愛媛県の圏域別にみた産業の特徴|愛媛県)

一つの産業に支えられているということ

20年連続日本一という実績は、市の誇りであると同時に、行政にとっては別の意味も持ちます。一つの産業に雇用と税収が大きく依存しているという構造だからです。

紙の需要が変われば、まちの経済も直接影響を受けます。

面接で産業の話をするなら、日本一という数字を言うだけで終わらせないことです。この集積をどう次の世代に渡すか、働く人をどう確保するか、環境負荷や物流の課題にどう向き合うか。

強みを語るときにこそ、その強みが抱えるリスクまで見えているかが試されます。市の花がミツマタであることも、和紙の原料としてこの土地と紙のつながりを示す手がかりになります。

三県に接する四国の結節点

四国中央市は、愛媛県内では新居浜市と接し、県境を越えると香川県観音寺市、徳島県三好市、そして高知県の大川村・土佐町・大豊町・本山町と境を接しています。四国4県のうち3県に隣り合う位置ということです。

この条件は、物流や広域の防災、観光ルートの設計に効いてきます。紙製品を全国へ送り出す産業を抱えていることと、四国の内陸交通の要にあることは、切り離せない関係にあります。

志望動機で「地域に貢献したい」と話すのであれば、その地域が県境の内側で完結していないことを踏まえておきましょう。

四国中央市の主な行政課題

紙の集積と、県境をまたぐ立地と、震度7の想定。四国中央市の課題は、この3つの条件が交わるところに現れます。

市の課題を問われたときの切り口として、5点を挙げておきます。

県全体で進む人口減少

愛媛県の総合計画「未来につなぐえひめチャレンジプラン」(令和5年度から令和8年度)は、現状と課題の第一に「人口減少・超少子高齢化は全国より深刻」という認識を掲げています。県の人口は昭和60年の153.0万人を境に減少し、令和2年には133.5万人(国勢調査ベース)。

直近5年間の減少率は過去最大の3.64%で、2060年には78万4千人になる見通しが最重要課題として位置づけられています。(出典:未来につなぐえひめチャレンジプラン|令和5年度〜令和8年度)

県独自の将来推計では、2020年から2060年にかけて年少人口が58.5%減、生産年齢人口が49.3%減となる見通しです。65歳以上の減少幅は22.0%にとどまりますから、働く世代が半減する一方で高齢者はあまり減らないという構図になります。

産業の担い手をどう確保するかという四国中央市の課題は、この県全体の見通しの中に置くと輪郭がはっきりします。(出典:愛媛県の将来推計人口|令和5年公表)

震度7が想定される市の一つ

愛媛県が令和7年9月2日に公表した地震被害想定調査の中間報告では、市町別の最大震度について、震度7が想定される市として今治市・宇和島市・新居浜市・西条市・大洲市・四国中央市・西予市の7市が挙げられています。残る13市町は震度6強です。(出典:愛媛県地震被害想定調査(中間報告)|令和7年9月)

浸水についても想定が出ています。南海トラフ巨大地震による市町別の浸水面積(1cm以上)は、西条市3,392haが県内最大で、今治市1,645ha、宇和島市1,632ha、松山市1,148ha、新居浜市1,007haと続き、四国中央市は726haと見込まれています。

県全体では、南海トラフ巨大地震(陸側ケース・冬深夜)の直接死者数が最大約12,750人と想定されています。臨海部に工場と住宅が集まる市にとって、揺れと浸水の両方に備えることは避けて通れない課題です。(出典:愛媛県地震被害想定調査(中間報告)市町別の想定|令和7年9月)

紙産業の集積を次へ渡す

20年連続で全国1位という実績を維持するには、設備も人も更新し続ける必要があります。生産年齢人口が県全体で半減していく見通しのなかで、この集積をどう保つのか。

市の仕事としては、企業立地の支援、働く人の住まいと子育て環境の整備、市外から人を呼び込む取り組みなど、複数の分野が同時に関わってきます。産業政策は産業振興の部署だけの話ではないという視点を持っておくと、どの分野を志望していても話がつながります。

臨海部と山間部を一つの市として支える

人口密度約189人/km²という数字は、市域に人がまばらに広がっている場所があることを示しています。紙の工場が集まる臨海部と、山を越えて高知県に接する内陸部とでは、必要とされる行政サービスの形が違います。

道路の維持、上下水道、通院や買い物のための移動手段、集落単位の避難計画。同じ制度を市内一律に当てはめると、どちらかの側で実情に合わなくなります。

臨海部の基準で内陸部を測らないという視点が、この市の仕事には要ります。

市外から人をどう呼び戻すか

人の確保は、市自身が採用の設計に織り込んでいる課題でもあります。令和8年度の採用試験にはC日程としてUIターン就職者枠が設けられ、市外在住であることが受験の条件になっています。

職務経験も、四国中央市の外に本社または本庁を置く民間企業や公的機関でのものを通算する仕組みです。市を一度離れた人や、他の地域で働いてきた人に戻ってきてほしいという意思が、試験区分の形で表れています。

四国中央市の重点政策|7つの日程が示す方向と愛媛県の総合計画

四国中央市が公表している人材育成基本方針は「人を育て、人を活かす。〜新たな組織マネジメントの構築〜」で、平成19年4月に策定されたものです。

コンセプトとして「意識改革・行動改革に向けた施策の実行」「個性と能力を伸ばせる組織づくり」が掲げられています。

ただし策定から年数を経た文書であり、現在の採用で示されている求める人物像そのものとして読むには注意が要ります。そこで当研究会では、令和8年度の実施要綱と実施計画から、市がどんな人を迎えようとしているかを読み取ります。

7つの日程区分という設計

令和8年度の採用試験は、A日程からG日程までの区分に分かれています。A日程は一般事務職・学芸員・消防職と、技術職・専門職(年2回実施)の2系統。

B日程は民間企業等経験者枠、C日程はUIターン就職者枠、D日程、E日程は特別枠(書道パフォーマンス枠)、F日程は通年募集の技術職(土木・建築)、G日程は福祉職(施設職員)です。入口を7通りに分け、受ける人の状況に合わせて経路を用意しているのが、この市の採用の形だといえます。(出典:令和8年度四国中央市職員採用試験実施計画)

第1次試験の方式も日程によって変わります。A日程(一般事務職・学芸員・消防職)とD日程は従来の公務員試験、A日程(技術職・専門職)とB日程・F日程はテストセンター方式で年2回以上に分けて実施、C日程は個人面接と論述試験(エントリーシートの事前審査あり)。

E日程とG日程の上級・中級には第1次試験がありません。

書道パフォーマンス枠という特別枠

E日程の特別枠は、他の自治体ではあまり見ない設計です。対象は「令和9年3月までに書道パフォーマンス甲子園(予選会含む)又は書道パフォーマンスインカレ(全日本大学書道パフォーマンス選手権大会)に選手として出場した方」。

第1次試験はなく、第2次試験の面接試験と作文試験のみで、上級区分については別途エントリーシート審査が行われ、審査を通った人に第2次試験の案内が届きます。

初級区分は出場高校の推薦(推薦書の提出)が必要です。紙のまちであることと、この枠の存在は無関係ではないでしょう。

受験資格に含まれる居住の条件

もう一つ、必ず確認しておきたい要件があります。受験資格の共通要件に、「四国中央市に居住する者又は採用後市内に居住可能な者」が含まれている点です。

採用後に市内へ住むことが前提になっているということですから、志望動機を「この市で暮らす」という視点から組み立てておく必要があります。あわせて、A日程はE日程・G日程との併願はできますが、これらを除く他の日程・試験区分との併願はできません。(出典:令和8年度四国中央市職員採用試験実施要綱(A日程))

県の計画が挙げるもう一つの課題

四国中央市の政策も、県が描く方向の内側にあります。愛媛県総合計画「未来につなぐえひめチャレンジプラン」は、人口減少・超少子高齢化への対応に加えて、「増大するリスクに対処する体制づくり」として南海トラフ地震や頻発化・激甚化する豪雨災害への備えを課題に掲げています。

平成30年7月豪雨では、県内で死者33人(直接死27人・関連死6人)、住家被害は全壊627棟・半壊3,118棟にのぼりました。自分のやりたい仕事を、四国中央市の事情と県の方向の両方に位置づけられると、志望の理由に厚みが出ます。

POINT|7つの日程から一つを選ぶ理由を言葉にする

これだけ入口が分かれている試験では、なぜこの日程・この区分なのかが自然と問われます。「①四国中央市のどの事実が気になったか → ②そこで何が起きていそうか → ③この区分の職員として自分は何を受け持てるか → ④採用後この市で暮らすことをどう考えているか」の順に、書き出して整理してみてください。

悪い例「紙の産業が有名なので、産業振興に携わりたいです」

改善例「紙の出荷額が20年続けて全国一だと知りました。ただ、県全体では働く世代がこれから半分近くまで減る見通しだと聞きましたので、働く人に選ばれるまちにする側の仕事に関わってみたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

四国中央市の受験者が押さえておきたい公式資料は、次の4点です。

  • 四国中央市職員採用試験の実施計画と実施要綱(最新年度)
    7つの日程の違い、試験方式、受験資格、併願の可否がここで確認できます
  • 四国中央市の総合計画・各分野の個別計画
    紙産業の集積を市がどう位置づけているかが読み取れます
  • 四国中央市のハザードマップ・防災情報
    震度7の想定と浸水の想定を、自分の生活圏の地図で確かめられます
  • 未来につなぐえひめチャレンジプラン
    県全体の方向と、四国中央市が置かれた位置を重ねて理解できます

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、四国中央市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。四国中央市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

四国中央市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

四国中央市役所の面接の概要

ここからは、令和8年度の実施要綱に書かれている内容をたどりながら、四国中央市役所の面接がどう組まれているのかを見ていきます。以下はA日程(一般事務職・学芸員・消防職)を前提とした内容です。

四国中央市役所の面接の流れ

A日程の試験は第1次試験と第2次試験の2段階です。第1次試験は教養試験のみで、実施要綱には「専門試験はありません。」と明記されています。

第2次試験は、性格検査、PRシート作成、面接試験、作文試験、そして消防職の体力試験という5つの項目で構成されます。面接試験は「全職種/個人面接試験」と書かれており、集団面接や集団討論の記載はありません。

項目内容(令和8年度A日程・一般事務職)
試験の段階2段階。第1次試験と第2次試験で構成されます
第1次試験の科目教養試験のみ。「公務員として必要な一般的知識、知能及び教養について、筆記試験を行います」とされ、専門試験は課されません
第2次試験の内容ア.性格検査(WEB方式で事前に受験)/イ.PRシート作成(第2次試験までに提出)/ウ.面接試験(全職種・個人面接試験)/エ.作文試験(全職種)/オ.その他試験(消防職の体力試験)
面接の形式個人面接試験。実施要綱に集団面接・集団討論の記載はありません
提出書類PRシート。第2次試験までに提出します
第1次試験の結果通知受験者全員に、合否・本人の得点・合格基準点が通知されます
配点公表されていません
採用予定人員一般事務職(上級)15人程度、学芸員(歴史学)(上級)1人程度、消防職(上級)2人程度・(中級)3人程度
共通の受験資格四国中央市に居住する者、または採用後に市内に居住可能な者であること
併願の可否E日程・G日程との併願は可能。これらを除く他の日程・試験区分との併願はできません

上記は、四国中央市が公表した令和8年度実施要綱にもとづくA日程(一般事務職・学芸員・消防職)の内容です。同じ令和8年度でも、A日程(技術職・専門職)・B日程(民間企業等経験者枠)・F日程(通年募集の技術職)は第1次試験がテストセンター方式、C日程(UIターン就職者枠)は個人面接と論述試験、E日程(書道パフォーマンス枠)とG日程(福祉職(施設職員))の上級・中級は第1次試験なしという設計です。配点は公表されていません。試験の構成は年度・日程・試験区分によって異なる可能性がありますので、受験の際は必ずご自身の区分の最新の実施要綱をご確認ください。

この試験でとくに目を引くのが、第1次試験の結果の返し方です。実施要綱には「第1次試験の受験者全員に、試験の合否、本人の得点及び合格基準点を通知します。」と書かれています。

合格者にも不合格者にも、得点と基準点の両方が返ってくるということです。所定の基準を超えていなければ不合格になることもあわせて明記されており、第1次の位置づけがはっきりした設計になっています。

四国中央市役所が求める人物像

先に触れたとおり、市の人材育成基本方針は平成19年に策定された文書で、現在の採用で掲げられている人物像として読むには距離があります。

代わりにここでは、令和8年度の実施要綱に並ぶ第2次試験の項目と、市域の形から考えていきます。市の公表内容ではなく、当研究会の推測が入る部分です。

手がかりの一つは、第2次試験の組み立て方です。性格検査、PRシート、個人面接、作文。

自分について語る材料を4つの形で出させていることになります。あらかじめ受ける性格検査、事前に書いて提出するPRシート、その場で書く作文、そして対面で話す個人面接。

用意した言葉だけで通そうとすると、どこかで食い違いが出る構造です。

もう一つの手がかりは、市域の性格です。一般事務職(上級)15人程度という採用数は、この規模の市として小さくはありません。

ただ、面積421.24km²の中に、紙の工場が並ぶ臨海部と、山を越えて高知県に接する集落とが同居しています。同じ制度を、工場のそばに住む人にも山あいに住む人にも届けなければならない。

その往復に耐えられるかどうかが、日々の仕事の質を分けます。ですから、初めて触れる分野でも自分で調べて筋を立てられることが効いてくる職場だと考えられます。

そして、受験資格に居住の条件が含まれていることを忘れないでください。この市で暮らしながら働くことが前提になっている以上、志望動機は勤め先を選ぶ話にとどまりません。

どこに住み、休みの日に市内のどこで過ごすのかまで含めた選択になります。PRシートにも作文にも、この市で暮らしていく見通しを自分の言葉で書き込めるかどうかが効いてきます。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。四国中央市の個人面接で問われることも、おおむねこの見取り図の中に収まります。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク緊張していますか?肩の力が抜けた状態の話し方が見えるか
② 動機・志望なぜ公務員を志望するのですか?民間企業でも成り立つ理由で止まっていないか。7つの日程から一つを選んだ筋道が通っているか
③ 自己理解あなたの短所(弱み)は何ですか?自己認識を語る言葉が、性格検査やPRシートと同じ方向を向いているか
④ 経験・行動これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください成果そのものよりも、途中でやり方を変えた場面があるかどうか
⑤ 学業・経歴卒業論文(研究)のテーマについて、簡単に説明してください専門外の相手に伝わる言葉へ直せるか。学んだことを市の仕事へ引き寄せられるか
⑥ 適性・将来入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか?臨海部から山間部まで抱える市の仕事をどこまで見ているか。配属の希望が通らなかったときの構え
⑦ 公共性・社会性最近関心を持ったニュースは何ですか?気になった出来事を、自分の言葉で意味づけできるか

この区分は全国の想定問答から作ったもので、四国中央市の試験に合わせたものではありません。PRシートと作文と個人面接を重ねるこの市の第2次試験で問われるのは、この表の先にあることです。

合否を分けるのは「四国中央市役所ならでは」の質問

「なぜ愛媛県庁ではなく、四国中央市役所なのですか?」
「四国中央市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

2問とも、前もって資料を読み込んだ分だけ具体になる問いです。第2次試験にはPRシートと作文もありますから、同じ材料を書く形でも使うことになります。

こうした質問に答えるための四国中央市の事実を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい四国中央市の事実答え方のヒント
紙のまちという看板パルプ・紙・紙加工品製造業の製造品出荷額等は6,082億4,940万円(2023年実績)で全国の市町村1位。平成16年の合併以降20年連続日本一という結果を述べたあとに、その集積を保つために市が何をする必要があるかまで踏み込みます
人口と年齢構成の現在地総人口7万9,536人、高齢化率34.7%、75歳以上率20.3%(令和8年1月1日現在)。愛媛県全体の34.2%・20.2%とほぼ重なる県平均に近いという事実から入り、県の推計で働く世代が半減する見通しであることへ話を進めます
なぜ県庁ではなく市役所か四国中央市は香川県観音寺市・徳島県三好市・高知県の4町村と接し、四国4県のうち3県に隣り合う制度の一般論ではなく、県境をまたぐ人と物の動きの中で基礎自治体が何を受け持つのかという形で説明します
防災・危機管理令和7年9月公表の県の地震被害想定調査中間報告では、最大震度7が想定される県内7市の一つ。南海トラフ巨大地震による浸水面積(1cm以上)は726ha臨海部に工場と住宅が集まる市であることを踏まえ、揺れと浸水の両方に触れて話します
採用後の暮らし受験資格の共通要件に「四国中央市に居住する者又は採用後市内に居住可能な者」が含まれるこの市で暮らすことを前提に、生活者としてどう関わりたいかを自分の言葉で話せるようにしておきます

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

四国中央市は現行の求める職員像を文章の形で示していませんので、ここでは公表されている試験の設計に照らして、何が確かめられるのかを整理します。性格検査・PRシート・作文・個人面接という4つを重ねる第2次試験の組み立ては、書いたものと話したものの中身が一貫しているかを見ようとするものだと考えられます。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
書いた内容と話す内容の一貫性PRシートに書いた強みが、面接の受け答えの中でも同じ形で出てくるかPRシートを提出する前に、そこに書いた出来事を声に出して説明してみて、書きにくかった部分を洗い出しておく
知らない分野を扱えるようになる速さ初めて触れる事柄を、どこまで自分で調べて理解したか一般事務職(上級)15人程度という採用規模を踏まえ、独学で何かを立ち上げた経験を用意しておく
この地域で暮らし働く意思採用後に市内に住むことを、どこまで具体的に考えているか紙産業の集積や震度7の想定といった材料に触れながら、生活者としての関わり方まで言えるようにしておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。四国中央市の場合、PRシートに書いた内容が起点になることも考えられます。

そこを支えられるのは実体験に根ざした答えだけです。書く段階に入る前から、細部まで思い出せる出来事を選んでおきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新年度の実施計画で7つの日程の違いを確かめ、自分が受ける日程の実施要綱で試験の方式・受験資格・併願の可否を確認する
  2. 高校・大学生活や仕事の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. この記事の第1部を読み返し、四国中央市の紙産業・年齢構成・震度7の想定・三県に接する立地のうち、自分の志望に近い事実を2つか3つ選び、原稿を作らずに人へ説明してみる
  5. 固有質問の対応表から材料を集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む。その内容をPRシートに落とし込み、作文でも書ける形にしておく
  6. 声に出して練習する。PRシートに書いたことと話す内容がずれていないかを、練習のたびに読み合わせて確かめる

優先順位に注意

ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間が取れない場合は、ステップ2で用意した具体例と、それを四国中央市の仕事へつなぐ説明を先に固めてください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、四国中央市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

四国中央市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

四国中央市役所の想定問答集を見る

さいごに

令和8年度A日程の四国中央市職員採用試験は、一般事務職で見ると、第1次が教養試験のみ、第2次が性格検査とPRシートと個人面接と作文という2段階です。専門試験は課されず、配点も公表されていません。

つまり、筆記の知識量よりも、自分について書いたことと話したことの中身で判断される割合が大きい試験だといえます。紙の出荷額で20年続けて全国一を保ちながら、県全体では働く世代が半減していく見通しにあり、震度7の揺れまで想定されている市。

ここで働く自分の姿を、PRシートに書ける具体さで思い描けているか。そこが最後の分かれ目になります。

A日程以外の日程を受ける場合は、試験の方式が大きく異なりますので、必ずその日程の実施要綱をご確認ください。