これから平塚市消防本部を受験しようとする方に向けて、面接で問われる前提となる組織研究の材料(本部の特徴・基礎データ・管轄地域の災害リスク・消防課題・運営体制)と、面接本番の流れ・想定される質問・評価の観点を、1ページに整理しました。
平塚市消防本部の面接試験では、「なぜ警察官や自衛官ではなく消防官なのか」「なぜ平塚市消防本部を志望するのか」「集団の中でどう振る舞う人間か」といった、試験の構成そのものが問いかけてくる質問が想定されます。平塚市消防本部の採用試験は第2次に集団討論が置かれており、この構成を理解しておくことが準備の第一歩になります。
以下の内容を、自分の強みや関心と平塚市消防本部の仕事の接点を考えるための材料として役立ててください。特に集団討論への理解は、他の受験生と差がつきやすいポイントです。
第1部|組織研究編
平塚市消防本部の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは平塚市消防本部の全体像をしっかりと把握しておきましょう(時間のない方はここだけでもチェック)。
- 平塚市消防本部は、湘南地域西部の中心都市である平塚市の全域を単独で管轄する消防本部である。採用試験は消防本部が独自に実施している。
- 消防吏員数は272人(うち女性14人・令和7年4月1日現在)である。
- 出動件数は令和6年中で火災50件・救急17,288件・救助98件と、救急が出動全体の大半を占めている。
- 試験区分は「消防吏員」の1区分のみで、採用予定人員は7人程度。大学卒業程度(または同程度の学力・救急救命士資格)が受験資格とされている。
- 試験の第2次には教養試験・適性検査に加えて集団討論が課される。なお、第2次試験のいずれかを欠席すると、採用試験を棄権したものとみなされる。
- 採用試験の申込は電子申請ではなく、受験申込書等を持参または郵送する方式が採られている。
平塚市消防本部の基礎データ
面接に向けた組織研究では、厳密な統計値を大量に暗記する必要はありませんが、「平塚市消防本部の大まかな規模感」を事前につかんでおくことは重要です。
25万人の市を1つの本部で受け持つ体制がどれくらいの厚みなのかは、人口・職員数・出動件数を並べてみるとつかめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 管内人口 | 255,967人(住民基本台帳人口・令和8年1月1日現在) |
| 管轄区域 | 平塚市全域(単独設置) |
| 消防吏員数 | 272人(うち女性14人)※令和7年4月1日現在 |
| 火災出動件数 | 50件(令和6年中) |
| 救急出動件数 | 17,288件(令和6年中) |
| 救助出動件数 | 98件(令和6年中) |
| 高齢化率 | 29.2%(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 75歳以上人口の割合 | 17.4%(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
管内人口・高齢化率は住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(令和8年1月1日現在)、消防吏員数・出動件数は総務省消防庁が公表する消防本部データ検索によります(全国消防本部データ検索|平塚市消防本部)。
数字から考えられる平塚消防の課題
この表を読むとき、出動件数の対比がひとつの手がかりになります。
火災の出動が年間わずか50件であるのに対し、救急出動は17,288件と、約350倍の開きがあります。
同じことは全国でも起きています。
令和6年中の救急出動は全国で771万8,380件となり、統計を取り始めてから最も多い件数になりました。
平塚市消防本部の17,288件も、その全国的な増加傾向のなかに位置する数字です。(出典:令和7年版 救急・救助の現況)
平塚市の高齢化率は29.2%、75歳以上人口の割合は17.4%(いずれも令和8年1月1日現在の数値)です。272人という職員数で25万人超の人口を支えていることを踏まえ、この規模感を自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。
管轄地域の特性と災害リスク
管轄地域の全体像
- 平塚市は、相模川の河口に位置し相模湾に面する、湘南地域西部の中心都市である。
- 人口は住民基本台帳ベースで約26万人(令和8年1月1日現在)に上り、県内の市の中でも一定の規模を持つ。
- 神奈川県の県土は、西部の山地、中央の平野と台地、東部の丘陵と沿岸部の三つに大きく分けられる。平塚市はこのうち中央の平野が相模湾に接する位置にあたる。
- 採用試験の住居要件は市内居住のほか近隣市町からの通勤も認めており、勤務地となる管内は市域に限られる一方で、職員の生活圏は周辺市町にも広がる。
平塚市消防本部は、相模川と相模湾という水に関わる地形的特徴を持つ管内を担う本部だと整理できます。水害・津波の両面から地域を理解しておくことが、面接での説得力につながります。
地震・津波のリスク
神奈川県が地震被害想定調査の対象としている想定地震は6つあり、都心南部直下地震、三浦半島断層群の地震、神奈川県西部地震、東海地震、南海トラフ巨大地震、大正型関東地震が並びます。
このうち相模湾に面する平塚市が意識しておきたいのが大正型関東地震(冬18時想定)で、県全体では死者19,780人(うち揺れ等13,360人・火災350人・津波6,070人)、建物全壊303,300棟という被害が想定されています。
これは県全体を対象にした想定であり、平塚市に固有の被害数値ではありませんが、相模川河口という立地を踏まえると、津波と河川氾濫の両方への備えが欠かせないことがわかります。
同じ調査のうち都心南部直下地震は、県全体で死者1,850人・建物全壊42,920棟・最大避難者数1,064,620人という被害を想定しており、平塚市消防本部は複数の地震シナリオを視野に入れた備えが求められる立地にあるといえます。(出典:神奈川県地震被害想定調査|令和5〜6年度調査)
高齢化と救急需要
前章で見たとおり、平塚市の高齢化率は29.2%と、県内でも高い水準にあります。神奈川県全体の老年人口構成比26.0%(令和7年1月1日現在)を明確に上回っており、今後も救急需要は高い水準で推移すると見込まれます。(出典:神奈川県年齢別人口統計調査)
平塚市消防本部の主な消防課題
ここまでの数字と地域の姿を踏まえると、平塚市消防本部が今まさに向き合っている課題が見えてきます。面接で「消防の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。
増加する救急需要への対応
令和6年中の救急出動17,288件は、平塚市消防本部の活動量の大部分を占めています。
全国的にも救急搬送人員に占める65歳以上の割合は63.3%(令和6年中)に上っており、29.2%という高齢化率のもとで、今後も救急需要は高水準で推移すると考えられます。
限られた人員体制でどう対応していくかが、平塚市消防本部にとって継続的な課題です。(出典:前掲「令和7年版 救急・救助の現況」)
集団討論を含む試験設計にみる人材確保
平塚市消防本部の採用試験は、第1次で受験申込者全員に体力試験を課し、第2次で教養試験・適性検査に加えて集団討論を実施する構成です。
過去3年の実施状況を見ると、令和7年度は第1次合格61人(男55人・女6人)から第2次合格24人(男21人・女3人)を経て最終合格10人(男8人・女2人)、令和6年度は第1次合格50人(男46人・女4人)から第2次合格20人(男18人・女2人)を経て最終合格4人(男4人・女0人)、令和5年度は第1次合格50人(男39人・女11人)から第2次合格20人(男15人・女5人)を経て最終合格4人(男3人・女1人)という段階的な絞り込みが行われています。
なお、応募者数・受験者数・倍率は公表されておらず、公表されているのは各段階の合格者数のみです。
集団討論を課すこの構成は、集団の中での立ち居振る舞いまで見る設計だと理解できます。(出典:平塚市消防職員採用試験の実施状況)
相模川・相模湾の水害・津波対策
相模川の河口に位置し相模湾に面する平塚市では、河川の氾濫と地震による津波の両方への備えが必要です。
大正型関東地震のような地震が起きた場合、揺れそのものに加えて津波への対応も求められる立地であることを、面接では管轄理解の材料として使えます。
相模川と相模湾という2つの水系に囲まれた地形は、他の内陸型の消防本部にはない平塚市消防本部ならではの視点になるはずです。
人材確保と女性消防吏員の活躍
消防吏員272人のうち女性は14人で、割合は約5.1%です。国が掲げる「令和8年度当初までに5%」という目標に対し、全国平均は令和7年4月1日現在で約3.8%(168,230人中6,386人)にとどまる中、平塚市消防本部はこの目標水準にすでに到達しています。(参考:女性消防吏員の活躍推進|消防庁)
重点方針|集団討論からみる平塚市消防本部
平塚市消防本部が単独で公表している運営方針や重点計画にあたる文書は、2026年9月時点では確認できません(当研究会調べ)。
かわりに本部の考え方が読み取れるのが、試験設計そのものに埋め込まれた、集団討論という選考方法です。
第1次の体力試験は申込者全員が対象、第2次では教養試験・適性検査と並んで集団討論が課されており、個人の能力だけでなく、集団の中での協調性やコミュニケーション力までを段階的に確かめる仕組みになっています。
平塚市消防本部は、消防職員を目指す人を対象とした採用説明会を他の公安系職種と合同で開催しており、受験前に本部の雰囲気を知る情報収集の機会を用意している点も特徴です。
職務内容は「平塚市消防本部及び消防署において、消火、救急、救助、災害警備、火災予防査察、消防水利維持管理、建築同意、危険物許認可、その他消防行政に関する業務に従事します」と受験案内に明記されています。
採用後は神奈川県消防学校で6か月間の消防職員初任教育(全寮制)を受けます。
月額給与例(令和8年4月1日現在・地域手当を含む)は大学卒295,220円、短期大学卒283,860円、高等学校卒270,630円ですが、これは最終学歴別の給与の目安であり、受験区分ではありません(試験区分は「消防吏員」の1つだけです)。
最終合格者は採用候補者名簿に登載され、有効期間は1年間で、欠員の状況に応じて上位者から順に採用されます。(出典:令和8年度平塚市消防職員採用試験受験案内)
集団討論という選考方法の理解
集団討論だからといって、対策を特別に構える必要はありません。
自分の考えを一方的に主張するのではなく、他の受験者の意見を聞き、議論をまとめる方向に貢献できるかを日頃から意識しておけば十分です。
まず自分が集団の中でどのような役割を担いやすいタイプかを振り返ったうえで、面接対策を組み立てましょう。
悪い例「体力に自信があるので、消防官を志望します」
改善例「サークル活動で意見が対立した際に、双方の意見を整理して折衷案をまとめた経験があります。平塚市消防本部は集団討論を選考に取り入れていると知りましたので、その経験を生かして、チームの中で議論を前に進められる消防吏員になっていきたいです」
あわせて確認したい公式資料
下の5点は、試験の手続きを確かめるものと、志望動機の材料になるものとに分かれます。上の2点は申込書を書く前に、残りの3点は答えを組み立てる段階で開くと、無理なく吸収できます。
- 令和8年度平塚市消防職員採用試験受験案内(受験資格・試験構成の一次情報)
- 過去3年間の採用試験実施状況(合格者数の推移)
- 神奈川県地震被害想定調査(大正型関東地震・都心南部直下地震)
- 神奈川県年齢別人口統計調査(県平均との高齢化率の比較)
- 平塚市消防本部の消防職員採用説明会の案内(他の公安系職種との合同開催実績)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、平塚市消防本部専用の面接想定問答集をご用意しています。平塚市消防本部の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
平塚市消防本部の面接の概要
ここからは、平塚市消防本部の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。個別の受け答えだけでなく集団討論も選考に含まれる分、備え方の幅も広くとる必要があります。
平塚市消防本部の面接の流れ
平塚市消防本部の消防職員採用試験は、市長部局の職員採用試験とは別枠で、消防総務課が独自に実施する三段階の試験です。第1次で体力試験、第2次で教養試験・適性検査と集団討論、第3次で面接試験を行います。
| 項目 | 内容(令和8年度・消防吏員) |
|---|---|
| 試験の段階 | 三次試験制。第1次=体力試験(受験申込者全員に実施)、第2次=①教養試験・適性検査 ②集団討論、第3次=面接試験 |
| 面接の種類 | 受験案内には「面接試験」とのみ記載され、個別・集団の別は公表は確認できず。集団形式として明記されているのは第2次の集団討論のみ |
| 身体的条件 | 視力(矯正視力を含む)0.7以上かつ一眼それぞれ0.3以上であること、赤色・青色・黄色の識別ができること、聴力が正常であること、腰部が正常であることの4項目 |
| 申込方法 | 受験申込書等を持参(代理人可)または郵送。電子申請ではない |
| 勤務時間 | 日勤者は月〜金曜日8時30分〜17時15分(7時間45分)、交替制勤務者は8時30分〜翌日8時30分(15時間30分) |
申込時の提出書類は、受験申込書、自己アピールシート、受験票返送用の封筒(110円切手を貼付済み)の3点です。
郵送で送る場合は角形2号以上の封筒を使い、表面に「消防職員採用試験申込書在中」と赤字で記載したうえで、書留または簡易書留郵便で送付する必要があります。
試験結果については各試験における不合格者の順位のみが開示され、受験者本人が受験票を持参し消防総務課へ直接出向いて、口頭で確認する仕組みです。
受験資格は、大学を卒業した人(令和9年3月卒業見込みを含む)または同程度の学力を有する人、もしくは救急救命士の資格を有する人で、年齢は平成13年4月2日から平成18年4月1日までに生まれた人と定められています。
日本国籍を有しない人は受験できません。(出典:令和8年度平塚市消防職員採用試験受験案内)
上記の試験構成は、平塚市消防本部が公表する令和8年度の消防職員採用試験情報にもとづくものです。試験の構成・日程・配点等は、年度によって異なる可能性があります。受験の際は、必ず最新の試験情報をご確認ください。
平塚市消防本部が求める人材
平塚市消防本部は、消防吏員向けの「求める人物像」という項目を受験案内のどこにも設けていません(2026年9月時点・当研究会調べ)。
手がかりになるのが、選考過程に集団討論を組み込んだ試験設計です。
体力試験を申込者全員に課したうえで、教養試験・適性検査、集団討論、面接と段階を重ねる構成からは、個人の受け答えだけでなく集団の中でどう振る舞い、議論にどう貢献できるかまでを確かめる意図が読み取れます。
一般論として、人口20万人台の市を1つの本部で受け持つ組織では、専任の救助隊や予防部門を置きながらも、出動件数では救急が業務量の大半を占める構造になりやすいといわれます。
現場活動と、査察・広報などの行政的な業務の両面に対応できる適性に加えて、平塚市消防本部の場合は集団での協調性も選考の対象になっている点を意識して準備しましょう。
体力試験を受験申込者全員が受ける設計であることも、体力面の準備を後回しにできない理由の一つです。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。平塚市消防本部の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日はどうやってここまで来ましたか? | 緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます |
| ② 動機・志望 | なぜ平塚市消防本部を志望するのですか? | 消防官という仕事と平塚という土地を、自分の言葉で選べているか |
| ③ 自己理解 | あなたの長所と短所を教えてください | 自分を客観視できているか。短所への向き合い方に人柄が出ます |
| ④ 経験・行動 | 集団の中で意見が対立した経験と、どう対応したかを教えてください | 集団討論にも通じる、対立への対処と協調性 |
| ⑤ 学業・経歴 | 学生時代に最も力を入れたことは何ですか | 取り組みの継続力。物事にどう向き合ってきたか |
| ⑥ 適性・将来 | 体力試験に向けて、どのような準備をしていますか? | 申込者全員が受ける第1次に向けた鍛錬の積み重ねと、24時間勤務への覚悟 |
| ⑦ 公共性・社会性 | 消防官(公務員)に最も必要な資質は何だと思いますか? | 仕事の公共性への理解と、社会の出来事への当事者意識 |
7つの枠組みは、集団討論がある本部でもない本部でもおおむね共通します。
まずこの型で受け答えの基礎を固めておけば、当日の想定外の質問にも対応しやすくなります。
ここから先、平塚を受ける理由まで踏み込めるかどうかは、次の固有質問で決まります。
合否を分けるのは平塚市消防本部に固有の質問
1問目で問われるのは、公安系の職業を見比べたうえで消防を選んだ理由の筋道です。
2問目は、試験の構成をどこまで調べ、どう備えてきたかを確かめています。
形だけの対策では見透かされやすく、集団討論を含む試験全体をどのように捉えているかが伝わる答えが求められます。
平塚を語るときに使える事実を、答えの組み立て方とあわせて表にしています。
| 質問テーマ | 知っておきたい平塚市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 地震・津波のリスク | 相模川河口・相模湾に面し、大正型関東地震では県全体で死者19,780人・津波による死者6,070人、都心南部直下地震では死者1,850人を想定(詳細は第1部3章) | 被害の数字だけで終えず、河川と海の両方への備えに触れる |
| 救急需要の増加 | 令和6年中の救急出動は17,288件で、火災の約350倍。高齢化率は29.2%(詳細は第1部2章・4章) | 桁違いの数字を根拠に、救急対応が業務の中心であることへの理解を示す |
| 集団討論の存在 | 第2次試験に教養試験・適性検査と並んで集団討論を実施(詳細は第1部4章・5章、第2部1章) | 集団の中での自分の役割を、具体的な経験とともに語る |
| 試験の絞り込み方 | 令和7年度は第1次合格61人から第2次合格24人を経て、最終合格10人まで、段階的に絞り込み(詳細は第1部4章) | 各段階で何が見られているかを理解したうえで準備する姿勢を示す |
| 女性消防吏員の活躍 | 女性吏員の割合は約5.1%で、国の目標である5%にすでに到達(詳細は第1部4章) | 多様な人材が活躍する組織への関心を示す |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、〈事実 → 自分の問題意識 → 消防吏員としてやりたいこと〉という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
平塚市消防本部は、試験の段階と種目を公表していますが、配点は公表されていません。
最新の受験案内でご確認ください。
そのため観点は、一般論として知っておくと役立つ考え方と、集団討論という選考方法から読み取れる範囲をもとに組み立てることになります。
自治体の採用面接では、過去にとった行動を具体的に語らせ、その事実から職場での再現性を確かめるコンピテンシー評価の発想が広く共有されているとされます。
平塚市消防本部が評価方法として公表しているわけではありませんが、公表されている試験構成から、個人の適性に加えて、集団の中での協調性まで段階的に確かめる設計だとは読み取れます。
第1次の体力試験を全員が受ける点も踏まえると、体力・協調性・個人の人柄という複数の観点を段階ごとに見極めていく試験だと捉えられます。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 集団での協調性 | 集団討論で、他者の意見を聞きながら議論に貢献できたか | 主張の強さより、議論をまとめる方向への貢献を意識した経験を選ぶ |
| 個人の行動力 | 体力試験を含む複数の選考を通じて、自己管理を続けてきたか | 継続的な取り組みを、具体的なエピソードとともに説明できるようにする |
| 地域理解の深さ | 相模川・相模湾という平塚の地形的特徴を、どこまで理解しているか | 水に関わる災害リスクを踏まえた説明を用意する |
| 公務への誠実さ | 紙の書類での申込や来庁での結果確認など、丁寧な手続きに沿って準備を進めてきたか | 細かい手続きも軽視せず、正確にこなしてきた姿勢を伝える |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。
集団討論の場面でも同様に、なぜその発言をしたのかを問われる可能性があります。
自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 令和8年度の受験案内を読み、受験資格(学歴・資格・年齢)と住居要件、身体的条件の4項目を確認する。申込書類は持参または郵送のため、余裕を持って準備する
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。部活動・アルバイト・学業から、集団の中で役割を果たした具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 組織研究のインプットをする。この記事の第1部に戻り、相模川・相模湾の災害リスク、高齢化と救急需要、試験構成のうち関心の近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
- 対応表から固有質問の材料を選び、事実・自分の問題意識・平塚で担いたい仕事の順につながる一続きの話に組み立てる
- 実際に口に出してリハーサルし、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。集団討論は模擬形式で他者と繰り返し練習し、体力試験に向けた体づくりも並行して進める
優先順位に注意
ステップ4〜5の組織研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。
時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を消防の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。
自分のことを語れない状態で平塚市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
集団討論の練習も、まずは自分の考えを持てていることが前提になります。
なお、集団討論が選考に含まれる分、独学での対策には工夫が要ります。
一人だけでの練習には限界があるため、友人や家族に協力してもらい模擬討論の形で練習しておくことをおすすめします。
最短ルートで仕上げたい場合は、平塚市消防本部専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
平塚市消防本部の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。
さいごに
ここまで見てきたとおり、平塚市消防本部は、272人の消防吏員が25万人超の平塚市を守る本部で、体力試験・教養試験と集団討論・面接という三段階の試験を通じて人物を確かめています。
過去3年間の実施状況を見ても、第1次から最終合格まで着実に人数が絞り込まれており、各段階で異なる力が試される試験だとわかります。
相模川と相模湾に面した立地は、水害と津波の両面への深い理解を求めますし、29.2%という高い高齢化率は救急需要への対応の重要性を物語っています。
選考に集団討論が含まれる分、個人の受け答えだけでなく、集団の中での立ち居振る舞いまで意識した準備を丁寧に進めていってください。