本記事では、海老名市職員採用試験の面接対策で必要な、海老名市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
海老名市役所の面接では、「なぜ海老名市を志望したのか」、「市職員として何に取り組みたいのか」、「自分の経験を海老名市の仕事でどう活かすのか」といった質問が想定されます。
一般事務職の選考は人物試験が三度組まれ、最終合格までに四つの試験を通過する構成です。
準備の重心が面接にあることは、試験の形からはっきり読み取れます。
人物試験が三度あるということは、同じ話を角度を変えて三度問われるということでもあります。以降でまとめた海老名市の事実を、その三度に耐える材料として蓄えていってください。
第1部|自治体研究編
海老名市の特徴
対策に入る前に、海老名市がどういう市なのかを押さえておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 神奈川県のほぼ中央にあり、厚木市、座間市、大和市、綾瀬市、藤沢市、高座郡寒川町という6つの自治体に囲まれている。
- 人口は140,973人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、面積は26.59平方キロメートル、人口密度は5,302人/km²。
- 住民基本台帳をもとにした令和8年1月1日現在の集計で、高齢化率は24.6%。65歳以上が34,747人、うち75歳以上が20,759人。県内19市の中では、高齢化率が低いほうから3番目(当研究会による集計)。
- 人材育成基本方針は、市の将来像を『快適に暮らす魅力あふれるまち海老名』と掲げている。
- 市の花はサツキ、市の木はツゲ。
- フレックスタイム制勤務制度を設けており、勤務時間を割り振れる時間帯は午前5時30分から午後7時30分、必ず勤務する時間帯は午前10時から午後3時15分。
- テレワーク(在宅勤務)は1人あたり最大で週2回まで、実施場所は職員本人の自宅とされている。
- 一度市役所を離れた人が戻れるようにするキャリア・リターン制度も導入されている。
- 一般事務職の採用試験は年に複数回実施されており、令和8年度は第1回と第2回が行われた。
海老名市の基礎データ
表は海老名市の値を上に、神奈川県の値を末尾の2行に置いた形になっています。
県の高齢化率は市と同じ住民基本台帳の集計ですのでそのまま比べられますが、県の人口は国勢調査の速報値で調査のつくりが違いますから、市の値と突き合わせる材料にはなりません。
覚えるべきは個々の数字ではなく、そこから見える海老名市の輪郭のほうです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 140,973人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 65歳以上人口 | 34,747人(うち75歳以上20,759人・令和8年1月1日現在) |
| 高齢化率(住民基本台帳) | 24.6%(令和8年1月1日現在)/75歳以上は14.7% |
| 総面積 | 26.59平方キロメートル(神奈川県の面積の約1.1%) |
| 人口密度 | 5,302人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 隣接自治体 | 厚木市、座間市、大和市、綾瀬市、藤沢市、高座郡寒川町 |
| 市役所所在地 | 〒243-0492 神奈川県海老名市大字勝瀬175番地の1 |
| 市の花・市の木 | サツキ/ツゲ |
| (参考)神奈川県の人口 | 9,193,657人(令和7年10月1日現在・令和7年国勢調査速報) |
| (参考)神奈川県の高齢化率 | 25.8%、75歳以上率15.4%(令和8年1月1日現在・住民基本台帳ベース) |
総人口・総面積・人口密度・隣接自治体・市の花と市の木は、市の公表値をもとに当研究会が整理した基礎データです(総人口は住民基本台帳・令和8年1月1日現在で、人口密度はこれを総面積で割って算出しています)。高齢化率と75歳以上の割合は、市の値も県の値も、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の集計によります。県内19市の中での位置づけは、同じ集計を当研究会が比較したものです。神奈川県の人口だけは令和7年国勢調査の速報値で、市の住民基本台帳の値とは集計の系統が異なりますので、直接の比較はお控えください。最新の統計は海老名市公式サイトであわせてご確認ください。
県内では若いほうの人口構成
総務省が住民基本台帳をもとに集計した令和8年1月1日現在の値では、海老名市の人口140,973人のうち65歳以上が34,747人で、高齢化率は24.6%です。
75歳以上は20,759人、率にして14.7%。
同じ集計で県内19市を並べると、川崎市、大和市に次いで3番目に低い水準にあたります(当研究会による集計)。(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)
同じ集計での神奈川県全体は、高齢化率25.8%、75歳以上率15.4%です。
海老名市はどちらも県を1ポイント前後下回っており、県の平均像より若い層が厚いことが読み取れます。
ただし、これを「高齢化の課題が小さい市」と読むのは早計です。今の働く世代がそのまま年を重ねれば、高齢化は後から急に進みます。
県も、2040年ごろに高齢者数と高齢化率がともにピークを迎えるという見通しを基本構想で示しています。
密度5,302人/km²という市街地
面積26.59平方キロメートルは神奈川県全体のおよそ1.1%。人口密度は5,302人/km²です。
県の人口を県の面積で割った値はおよそ3,800人/km²ですから(令和7年国勢調査速報の人口をもとに当研究会が計算)、海老名市の密度はその1.4倍ほどということになります。(出典:令和7年国勢調査結果速報(神奈川県)|令和7年10月1日現在)
限られた面積に14万人が暮らしているということです。
まとまった市街地を持つ市の行政は、道路や下水道といった基盤の維持と、住まいと生活の場の質をどう保つかという二つの課題を同時に抱えます。
志望動機を語るとき、この密度は「便利さ」の説明ではなく、「維持していく仕事の量」の説明として使うほうが行政の話になります。
海老名市の経済・産業
6つの自治体に囲まれた位置
海老名市が接しているのは、厚木市、座間市、大和市、綾瀬市、藤沢市、高座郡寒川町の6つです。面積26.59平方キロメートルという市域に対して、これだけの自治体と境を接しているということは、通勤も買い物も通学も、市の境を越えて行き来する前提で成り立っているということです。
海老名市公式サイトの市政情報のページには、市単独の市民経済計算にあたる統計は置かれていません。経済を語るなら、市内の生産額を探すよりも、この行き来の中で海老名市がどんな役割を果たしているかという角度から準備するほうが、面接では話が通ります。
県の産業構造から見た雇用の姿
土台として押さえたいのは、県全体の経済の姿です。
令和5年度の神奈川県の名目県内総生産は37兆3,313億円で、前年度から5.4%伸びました。
1人当たりの県民所得は334万9千円です。経済活動別では第3次産業が76.5%、第2次産業が22.6%、第1次産業が0.1%。
業種別では製造業の18.3%が最大で、不動産業17.5%、専門・科学技術、業務支援サービス業11.9%が続きます。(出典:神奈川県県民経済計算|令和5年度)
サービス経済型の構造でありながら製造業が最大の業種という県の姿は、そのまま雇用の話につながります。働く場所が市の内外に広がっているということは、市民の暮らしが県全体の経済の動きに左右されるということでもあります。
県の交通施策という前提
神奈川県は、リニア中央新幹線の神奈川県駅の建設、神奈川東部方面線、神奈川版ライドシェアの「かなライド」、かながわ交通計画といった取組を交通施策として位置づけています。(参考:神奈川県 道路・交通)
県全体で人の移動をどう組み替えるかという動きは、6つの自治体に囲まれた海老名市の暮らしにも関わってきます。交通や都市計画を志望分野にするなら、市の中の道路だけでなく、県全体の人の流れという視点まで持っておくと、話に広がりが出ます。
海老名市の主な行政課題
ここまでに確かめた人口構成と位置から、海老名市の課題を4つ挙げます。市の課題を問われたときの手持ちの材料にしてください。
これから進む高齢化への備え
神奈川県の人口は、令和7年国勢調査の速報値で9,193,657人。前回の令和2年調査から43,680人(0.5%)減りました。
神奈川県は、この5年間で人口が増加から減少へ転じた6つの府県の一つです。
県は基本構想で、2040年ごろに高齢者数と高齢化率がともにピークを迎え、総人口が900万人を下回るという見通しを示しています。
海老名市の高齢化率24.6%は県平均より低い水準ですが、これは裏を返せば、備える時間がまだ残っているということでもあります。
75歳以上が14.7%という現在の構成が、10年、20年でどう変わるか。制度も施設も、必要になってから作るのでは間に合いません。
この時間差の話は、志望動機に説得力を持たせる材料になります。
生活圏が市域を越えるという条件
6つの自治体と接し、県平均のおよそ1.4倍の密度で14万人が暮らす市です。
市民の生活は市域の中で完結しません。
そうなると、市が単独で決められる施策と、周りの自治体や県と足並みをそろえる必要がある施策が混ざってきます。
市の中で完結しない課題をどう扱うかが、この市の行政の難しさです。
面接で協働や連携について語る場面があれば、この条件を土台に置くと具体的になります。
地震への備え
神奈川県は、県内に影響を与える6つの想定地震について被害想定調査を行っています。都心南部直下地震、三浦半島断層群の地震、神奈川県西部地震、東海地震、南海トラフ巨大地震、大正型関東地震の6つです。
県の想定のうち最も深刻なのは大正型関東地震で、冬18時に発生した場合、死者19,780人、建物全壊303,300棟、最大避難者数2,365,850人と見込まれています。
同じ冬18時の想定で、都心南部直下地震では死者1,850人、建物全壊42,920棟、最大避難者数1,064,620人です。
いずれも県全体の数字ですが、まとまった市街地に14万人が暮らす市では、避難する人の数と、避難所をどう確保するかという課題が具体的に立ち上がります。(出典:神奈川県地震被害想定調査)
職員の確保と、働き方の設計
海老名市は、フレックスタイム制勤務制度を設けています。
1週間あたり38時間45分の範囲で1日あたりの勤務時間を4時間15分以上13時間以下に設定でき、勤務時間を割り振れる時間帯は午前5時30分から午後7時30分まで、必ず勤務する時間帯は午前10時から午後3時15分までです。
テレワークは在宅勤務として1人あたり最大で週2回まで、実施場所は職員本人の自宅とされています。(出典:令和8年度海老名市職員採用試験受験案内(第1回))
あわせて、一度市役所を離れた人が戻れるキャリア・リターン制度も導入されています。
制度の細かさそのものより、働き方を設計し直しながら人を確保しようとしているという方向性を読み取っておきましょう。
一般事務職の採用試験を年に複数回実施していることも、同じ流れの中で理解できます。(参考:海老名市 職員採用情報)
海老名市の重点政策|人材育成基本方針が定める「求められる職員」
海老名市は、どんな職員を求めるかを人材育成基本方針の中で具体的に言葉にしています。面接対策としては、まずこの項目から出発しましょう。
4つの「求められる職員」と、4つの「求められる能力」
人事行政の運営等の状況(令和6年4月公表)に掲載された人材育成基本方針は、市の将来像である『快適に暮らす魅力あふれるまち海老名』の実現に向けて、時代の変化に適応できる高い能力と意欲を持った職員を育てることを目的としています。方針が定める「求められる職員」は次の4項目です。
- コスト意識を持って、効率的・効果的に仕事に取り組む職員
- 市民との協働のなかで、時代の先見性を持って、市民の目線で考え、新しい価値を創造する職員
- 豊かな人間性と幅広い視野を持って、新たな課題に挑戦する職員
- 公務員としての高い倫理観を持って行動する職員
さらに「求められる能力」として、社会の状況や要請を的確に把握し適否を判断できる能力、主体的に問題を発見し分析できる能力、長期視点に立って新たな分野に柔軟に対処できる能力、市民との協働のもとに相対する利害を調整できる能力の4つが挙げられています。(出典:海老名市 人事行政の運営等の状況(人材育成基本方針を掲載)|令和6年4月)
8項目もあると身構えてしまいますが、通して読むと軸は絞れます。コスト意識、協働と利害の調整、長期視点、そして倫理観です。
とりわけ「相対する利害を調整できる能力」という一項は、意見が割れる場面を職員が引き受ける前提を置いた書き方になっています。
なお、この方針は平成21年4月の改定によるものです。
面接で引くときは、令和6年4月公表の人事行政の運営等の状況に載っている方針だと出所を添えておきましょう。
8つの項目が置かれている、市の側の事情
8つの項目が、なぜこの形で並ぶのか。方針は理由まで書いていません。
ここから先は市の説明を離れ、海老名市の条件を手がかりに当研究会が推し量った話になります。
人口14万人。県平均のおよそ1.4倍の密度。6つの自治体に囲まれ、市民の生活は市域を越えて広がる。
この規模になると、部署も担当も一通りそろいます。
ただし一つの分野を大人数で抱えるほどの余裕はなく、隣の担当が何を進めているかは自然と目に入る距離です。
方針が「市民との協働のもとに、相対する利害を調整できる能力」を挙げているのは、庁内でも庁外でも、立場の違う相手と話をまとめる場面が日常的にあることの表れだと読めます。
もう一つ、方針の先頭にコスト意識が置かれている点も見逃せません。
まとまった市街地の基盤を維持しながら、これから進む高齢化に備える。どちらも費用がかかります。
限られた予算の中で優先順位を決める作業が、どの部署にも回ってくるということでしょう。
フレックスタイム制やテレワークの導入も、同じ資源で仕事を回すための設計だと考えると筋が通ります。
ここまでを読んで、8項目に合わせた自己紹介を組み立てる必要はありません。
限られた条件で工夫したこと、意見が割れたときに間に立ったこと。どちらも学校や職場でありふれた場面ですから、そのときの判断を思い出せるかどうかだけが問題です。
POINT|「調整した経験」を、対立の話にしない
利害の調整というと、対立を収めた武勇伝を用意しがちです。しかし面接で確かめられているのは、勝ち負けではなく段取りです。①誰と誰の何が食い違っていたか → ②双方の言い分をどう聞き取ったか → ③どこを譲り、どこを守ったか → ④その後どうなったか、の順で話せる経験を選びましょう。
悪い例「意見の対立があったときは、私が間に入って全員が納得するようにまとめました」
改善例「文化祭の出し物で、時間をかけたい人と早く終わらせたい人に分かれてしまいました。両方から話を聞いてみると、実は当日の負担の見え方が違うだけだと分かりまして、準備の日を一日増やす代わりに当日の担当を減らす形にしました。全員が満足したわけではないですけれども、当日は回りました」
あわせて確認したい公式資料
4つとも読み込む時間がなければ、上の2つだけでも構いません。海老名市は回によって募集職種が変わりますので、受験案内の確認だけは省かないでください。
読んだ中身は、資料を見ずに話せる状態にしておきましょう。
- 自分が申し込む回と職種の受験案内(年度内でも回によって職種の構成が異なります)
- 海老名市の職員採用情報のページ(募集中の職種、キャリア・リターン制度)
- 人事行政の運営等の状況(人材育成基本方針、求められる職員と能力)
- 海老名市の総合計画と、最新年度の予算に関する資料
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、海老名市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。海老名市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
海老名市役所の面接の概要
ここからは、海老名市役所の採用試験の構成と、面接で問われやすい質問の全体像、差がつく質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析にもとづいて整理します。
海老名市役所の試験の流れ
ここで扱うのは、令和8年度・第1回の一般事務職【社会人・上級】の内容です。
書類選考から始まり、第1次試験の能力試験を経て、第2次、第3次、第4次と人物試験が続きます。
受験案内に教養試験、専門試験、論文、集団討論、グループワークの記載はなく、筆記に相当するのは第1次の能力試験だけです。
| 項目 | 内容(令和8年度・第1回/一般事務職【社会人・上級】) |
|---|---|
| 選考の流れ | 書類選考、第1次試験(能力試験)、第2次試験(人物試験・個人面談)、第3次試験(人物試験・個人面接)、第4次試験(人物試験・個人面接)の順に進みます |
| 書類選考 | 受験案内には「原則実施しない方向性ですが、申込者多数の場合に実施します」と記載されています。実施の有無は年度により変わります |
| 第1次試験 | 能力試験(テストセンター方式)。教養試験・専門試験・論文の記載はありません |
| 人物試験 | 計3回。第2次試験は「個人面談」、第3次試験と第4次試験は「個人面接」と、受験案内上で種目名が区別されています |
| 実施場所 | 第2次試験以降は、いずれも海老名市役所の会議室で行われます |
| 申込方法 | 電子申請。申込時に写真データ(上半身、正面向き、脱帽、申込み前6か月以内に撮影した鮮明なもの、縦4対横3の比率)が必要です。受験票は各自でダウンロードしてA4に印刷し、必要事項を記入のうえ、申込時と同一の写真を貼付します |
| 他の区分との違い | 育児休業代替任期付などの区分は、応募者数にかかわらず書類選考を実施し、第1次が能力試験、第2次と第3次が個人面接という構成です |
| 実施の回数 | 令和8年度は一般事務職について第1回と第2回の年2回募集が行われ、第2回は【社会人・上級・初級】が対象でした |
| 採用候補者名簿 | 最終試験の合格者は得点順に名簿へ登載されます(一般事務職【社会人・上級】は登載の日から令和10年3月31日まで有効)。採用は欠員の状況に応じて順次決定されるため、名簿に載っても採用されない場合があります |
| (参考)給与 | 一般事務職【上級】の標準的な給与月額は、給料242,000円に地域手当29,040円を加えた271,040円(22歳で採用された場合の例)。期末・勤勉手当は1年間に俸給等の約4.65月分(令和8年4月1日現在) |
上記は海老名市の令和8年度第1回・一般事務職【社会人・上級】の受験案内にもとづく内容です。海老名市は年度内に複数回の募集を行い、同じ年度でも回によって募集する職種の構成が異なりますので、一つの受験案内を年度全体の代表として扱わないでください。職種によっては論文等の提出を課す場合があり、その場合は受験案内で指定されます。なお、配点と合否の決定方法について、受験案内は触れていません。受験の際は、必ずご自身が申し込む回と職種の最新の受験案内をご確認ください。(出典:令和8年度海老名市職員採用試験受験案内(第1回))
公表されている実施状況から読み取れること
海老名市は、採用試験の実施状況を段階ごとに公表しています。令和8年度・一般事務職【上級】の数字を並べると、選考の絞り込まれ方がはっきり見えます。
| 段階 | 令和8年度【上級】 | 令和8年度【社会人】 |
|---|---|---|
| 応募者数 | 321人 | 104人 |
| 書類選考合格 | 311人 | 96人 |
| 第1次試験受験者数 | 266人 | 85人 |
| 第1次試験合格 | 176人 | 43人 |
| 第2次試験合格 | 81人 | 22人 |
| 第3次試験合格 | 52人 | 11人 |
| 第4次試験合格(最終合格) | 36人 | 6人 |
令和8年度の実施状況(ページ更新日は令和8年8月13日時点)です。参考までに令和7年度の一般事務職【上級】は、応募者466人、書類選考437人、受験者384人、第1次合格250人、第2次合格109人、第3次合格61人、最終合格37人でした。年度によって応募者数も合格者数も変動します。(出典:海老名市 職員採用試験実施状況)
【上級】で見ると、第1次試験を受けた266人から最終合格は36人。当研究会が計算するとおよそ7.4倍で、絞り込みの大半は人物試験の三段階で起きています。
第1次を通った176人が第2次で81人に、そこから52人、36人と減っていく形です。
能力試験を通過することは出発点であって、勝負はその後にあるということが数字から読み取れます。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。海老名市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日はここまでどのようにいらっしゃいましたか | 身構えずに答えられるか。人物試験が三度ある試験では、初回の受け答えが次の段階まで影響します |
| ② 動機・志望 | 民間企業ではなく市役所を選んだ理由を教えてください | 比べたうえでの選択か。動機がこれまでの経歴と地続きか |
| ③ 自己理解 | ご自身の弱いところを、どう補ってきたかとあわせて教えてください | 自分を客観視できているか。取り繕わずに話せるか |
| ④ 経験・行動 | 意見が食い違う相手と、どう折り合いをつけたか教えてください | 市が求める利害の調整との相性。段取りの立て方と、譲りどころの決め方 |
| ⑤ 学業・経歴 | これまでの仕事や研究の中身を、予備知識のない相手に伝わるように話してください | 難しい中身を、そのまま難しく話していないか。市民に制度を説明する仕事と同じ力が見られます |
| ⑥ 適性・将来 | 入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか | 市の仕事への理解の解像度。希望どおりの配属でなくても働ける柔軟さ |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近関心を持った出来事を一つ挙げてください | 社会の変化への関心と、それを自分の言葉で説明できるか |
この7つは全国の官公庁に共通する枠組みで、対策してくる受験者も多い領域です。差がつくのは、次に挙げる海老名市ならではの質問のほうになります。
差がつくのは「海老名市役所ならでは」の質問
どちらも、市のことを調べていなければその場で形にするのが難しい質問です。
裏を返せば、手元に材料がある人ほど、具体的に語れる質問だということです。
面接で使いやすい海老名市の事実を、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい海老名市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 市の規模と位置 | 人口140,973人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、面積26.59平方キロメートル、人口密度5,302人/km²。厚木市、座間市、大和市、綾瀬市、藤沢市、高座郡寒川町の6自治体と接している | 密度が県平均のおよそ1.4倍である点に触れ、便利さではなく基盤を維持する仕事量として語ります。6つと接する位置は、広域の話の入口になります |
| 人口構成 | 住民基本台帳による令和8年1月1日現在の高齢化率は24.6%、75歳以上は14.7%。県内19市では低いほうから3番目 | 低さを安心材料にせず、備える時間が残っているという読み方に変えます。時間差の話ができると、政策の視点があると伝わります |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 市の将来像は『快適に暮らす魅力あふれるまち海老名』。人材育成基本方針は市民との協働と利害の調整を能力に挙げている | 県が担う広域の仕事ではなく、14万人の毎日に直接届く仕事をしたい、という置き方ができます。協働という言葉は、自分の経験と結び付けてはじめて意味を持ちます |
| 求められる職員像 | 「求められる職員」4項目の先頭はコスト意識、ほかに協働と新しい価値の創造、新たな課題への挑戦、高い倫理観 | 4項目を暗唱せず、自分の経験がどれに当たるかを1つ選んで先に話します。限られた条件で工夫した話は、コスト意識の証明になります |
| 働き方 | フレックスタイム制勤務制度(必ず勤務するのは午前10時から午後3時15分)、テレワークは週2回まで、キャリア・リターン制度も導入 | 制度の有無を志望理由にせず、同じ人員で仕事を回すための設計だと理解している姿勢を示します。働き方への関心は、続けられるかの説明にもなります |
| 試験の性格 | 第1次の能力試験の後、人物試験が三度続く。令和8年度【上級】は第1次受験266人から最終合格36人 | 数字を挙げたうえで、三度の面接で話がぶれないように準備したと伝えます。段階が多い試験を理解していること自体が、志望度の証明になります |
6行を暗記する作業に時間を使わないでください。関心の近いものを2つに絞り、事実から入って、自分が何を課題だと考え、市職員として何に手をつけたいのかまでを、続けて語れるようにしておきましょう。
想定される評価の観点
面接は、市が定めた「求められる職員」に照らして、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 限られた条件で成果を出す力 | 時間や人手、費用が足りない中で、何を削り何を残したか | 市の「求められる職員」はコスト意識から始まります。全部やろうとして失敗した経験と、削って通した経験の両方を持っておく |
| 利害を調整する力 | 立場の違う相手の言い分をどう聞き取り、どこで折り合いをつけたか | 方針は「相対する利害を調整できる能力」を明記しています。譲った部分と守った部分を、理由つきで話せるようにしておく |
| 長期の視点 | その場の解決で終わらせず、先を見て手を打った経験があるか | 高齢化率24.6%の市がこれから迎える変化と同じで、市は長期視点を能力に挙げています。すぐに結果が出なかった取組も話せるようにしておく |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。
海老名市は人物試験が三度ありますので、この傾向はより強く出ます。
自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 自分が申し込む回と職種の受験案内を読み、選考の段階と提出物を確認する。海老名市は年度内に複数回の募集があり、回によって職種の構成が異なります
- 電子申請に必要な写真データを用意し、受験票の印刷と写真の貼付まで含めて段取りを確かめる
- これまでの経験を洗い出す。学業、課外活動、アルバイト、職務、地域での関わりから、語れる場面を1つずつ選んでおく
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、人口14万人と密度5,302人/km²、高齢化率24.6%、そして市の将来像と求められる職員4項目を、自分の言葉で説明できるようにする
- 声に出して練習する。人物試験が三度あることを踏まえ、同じ経験を別の角度から掘られたときの返し方も書き足していく
優先順位に注意
ステップ5の自治体研究は、ほかの受験生と差をつけるための工程です。時間がないときは、ステップ3の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を先に済ませてください。自分のことを語れないまま市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、海老名市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
海老名市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
海老名市の選考は、能力試験を通ってからが本番です。個人面談が一度、個人面接が二度。
令和8年度の一般事務職【上級】では、第1次試験を受けた266人のうち最終合格は36人でした。
三度の場で同じ人物として話し続けられるかどうかが、この試験の実質的な問いです。
14万人が県平均の1.4倍の密度で暮らし、6つの自治体に囲まれ、高齢化はこれから本格的に進む。市が掲げるコスト意識も、利害の調整も、長期の視点も、その条件の上に置かれた言葉です。
自分がこれまでに何を削り、誰と折り合いをつけ、何を先まで見て動いたのか。三度分の答えは、そこから出てきます。