本記事では、厚木市職員採用試験の面接対策で必要な、厚木市の特徴基礎データ行政課題重点政策面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

厚木市役所の採用試験では、「なぜ厚木市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みを市政のどこで生かすのか」といった質問が想定されます。

令和8年度第1回目の事務上級は面接が3回組まれており、同じ志望動機を集団と個人、二つの場面で確かめられる試験になっています。

以下の内容を材料に、自分の関心が厚木市政のどこに触れているのかを探しながら読み進めてください。

第1部|自治体研究編

厚木市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは厚木市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 神奈川県のほぼ中央に位置し、海老名市、伊勢原市、相模原市、座間市、秦野市、平塚市、愛甲郡愛川町、清川村、高座郡寒川町の9つの市町村と境を接する。
  • 人口は222,404人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)で、県内19市のなかでは9番目の規模。
  • 面積は93.83平方キロメートルで県内19市の7番目、人口密度は2,370人/平方キロメートルで13番目。人口の順位より面積の順位が上にくる、広がりを持った市である。
  • 住民基本台帳にもとづく高齢化率は26.6%で、同じ基準の神奈川県全体(25.8%)を上回る。
  • 令和8年度は第1回目から第4回目まで、年度内に複数回の職員採用試験を実施している。
  • 第1回目(新卒等)の採用予定人数は事務上級35人程度で、ほかに土木上級6人程度、消防上級7人程度など。
  • 事務、司書、社会福祉士、精神保健福祉士、保健師、保育士、土木、建築、建築機械、環境化学、消防と、幅広い職種を市が自前で募集している
  • 第1回目の事務上級は、集団面接1回と個人面接2回、あわせて3回の面接を経て最終合格が決まる。

厚木市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値を大量に暗記する必要はありませんが、「厚木市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

規模の感覚をつかむために、人口と面積、高齢化の進み方を、県内19市のなかでの順位と県全体の値を添えて並べました。

項目内容
総人口222,404人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
総面積93.83km²(県内19市で7番目)
人口密度2,370人/km²(上記の総人口と総面積から算出。県内19市で13番目)
65歳以上人口・高齢化率59,267人・26.6%(令和8年1月1日現在・住民基本台帳ベース)
75歳以上人口・75歳以上率35,085人・15.8%(令和8年1月1日現在・住民基本台帳ベース)
隣接自治体海老名市、伊勢原市、相模原市、座間市、秦野市、平塚市、愛川町、清川村、寒川町
市役所所在地〒243-8511 神奈川県厚木市中町三丁目17番17号
市の花・市の木サツキ・モミジ
(参考)神奈川県の総人口9,194,723人(令和8年1月1日現在・住民基本台帳ベース)
(参考)神奈川県の高齢化率25.8%、75歳以上率15.4%(令和8年1月1日現在・住民基本台帳ベース)

人口・面積・隣接自治体・市役所所在地・市の花木は、公表値をもとに当研究会が整理したものです(総人口は住民基本台帳・令和8年1月1日現在で、人口密度はこれを総面積で割って算出しています。県内順位も同じ基礎データで19市どうしを比べたものです)。65歳以上・75歳以上の人口と割合は、総務省が公表する住民基本台帳にもとづく令和8年1月1日現在の値で、国勢調査や推計人口とは調査そのものが異なるため、国勢調査ベースの数値と直接比べることはできません。

数字から考えられる市政課題

住民基本台帳にもとづく令和8年1月1日現在の値では、厚木市の65歳以上人口は59,267人、高齢化率は26.6%です。75歳以上は35,085人(15.8%)で、同じ基準の神奈川県全体(25.8%・15.4%)をどちらも上回ります(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(総務省)|令和8年1月1日現在

差そのものは大きくありませんが、22万人規模の市で高齢化率が1ポイント違えば、対象となる市民の数は数千人単位で変わります。65歳以上が市民のおよそ4人に1人という比率を、22万人という母数と掛け合わせて捉えておきましょう。

もう一つの条件が市域の広さです。93.83平方キロメートルに22万人が暮らす密度は県内19市で13番目にあたり、県内で最も密度の高い市(川崎市の10,901人/平方キロメートル)とは4分の1以下の開きがあります。

人が一点に集まりきらない広さを持つ市では、支援の窓口や移動手段をどこに置くかという判断が、施策の効きに直結します。

面接では、規模と広がりを次のように結び付けて話せます。

「厚木市は22万人ほどが暮らす市ですが、面積が広いぶん人口密度は県内では中位だと知りました。65歳以上の方が4人に1人という状況で、どこに拠点を置くか、どうやって足を確保するかが大事になると考えています」

厚木市の経済・産業

神奈川県の経済のなかで見る

令和5年度の神奈川県の名目県内総生産は37兆3313億円(前年度比5.4%増)で、経済活動別の構成は第3次産業76.5%、第2次産業22.6%、第1次産業0.1%です(出典:神奈川県県民経済計算|令和5年度

業種別では製造業18.3%が最大で、不動産業17.5%、専門・科学技術、業務支援サービス業11.9%が続きます。

サービス経済化が進みながら、なお製造業が最大の業種であるという二層構造が、この県の経済の姿です。

製造業の厚みは全国比較でも確認できます。神奈川県の製造品出荷額等は18兆4795億円(2023年実績)で全国4位、業種構成の上位は輸送用機械21.8%、石油・石炭製品13.7%、化学11.1%です(出典:2024年経済構造実態調査 製造業事業所調査の概況(経済産業省)|2023年実績

市単位の生産統計は市の公表資料で確認する必要がありますが、県の産業を語る場面では、この二層をまず押さえておくと話が組み立てやすくなります。

市が自前で抱える職域の広さ

厚木市の産業を数字で追う前に、市役所という組織そのものを見ておく価値があります。令和8年度第1回目の募集職種は、事務上級と事務上級(司書)、社会福祉士、精神保健福祉士、保健師、保育士、土木上級、建築上級、建築機械上級、環境化学上級、消防上級です。

建築機械や環境化学といった技術系の区分を単独で置き、消防職も市が採用する体制は、市が担う仕事の幅をそのまま映しています(出典:令和8年度厚木市職員採用試験受験案内(第1回目・新卒等)|令和8年度

社会人経験者枠では、事務上級(デジタル)や事務上級(埋蔵文化財)といった区分も設けられ、埋蔵文化財では発掘調査等の経歴書の提出を求めています。

行政の窓口業務から都市基盤、環境、文化財、消防までを一つの市役所で回すということは、志望する分野が何であれ、自分の関心が市政のどの機能に接続するのかを言えることが出発点になるということです。

市境をまたぐ生活圏

厚木市は9つの市町村と境を接しています。海老名市や相模原市のような市と、愛川町・清川村・寒川町のような町村の両方に囲まれている位置です。

買い物や通院、通勤通学の行き先が市の外にあることも、逆に周辺の町村から厚木市へ人が入ってくることも、日常の風景として起こり得る位置関係です。

この条件は、施策の設計の仕方を変えます。市内だけで完結するサービスを整えるだけでは足りず、隣の自治体との役割分担や、県が担う広域の仕組みとどうつなぐかという視点が要ります。

志望動機で「市民に近い仕事がしたい」と述べるなら、その近さが広域のつながりの上に成り立っていることまで意識しておくと、話に厚みが出ます。

厚木市の主な行政課題

ここまでの数字を踏まえると、厚木市政が向き合うテーマの輪郭が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。

県平均を上回る高齢化と、これから来るピーク

高齢化率26.6%・75歳以上率15.8%(令和8年1月1日現在・住民基本台帳ベース)は、県全体を上回る水準です。

さらに神奈川県は、最上位の構想である新かながわグランドデザインで、2040年頃に高齢者数と高齢化率がともにピークを迎え、総人口は900万人を下回ると見通しています(出典:新かながわグランドデザイン基本構想|策定版

いま現場で起きていることは、これから十数年をかけて重くなる課題の入り口だという時間感覚を持っておきましょう。

県全体が人口減少局面に入ったこと

令和7年国勢調査の速報集計で、神奈川県の人口は9,193,657人となり、前回の令和2年調査から43,680人(0.5%)減りました。

神奈川県は、この5年間で人口が増加から減少に転じた6府県の一つです(出典:令和7年国勢調査 人口速報集計結果(総務省統計局)|令和7年10月1日現在

人口919万4千人は東京都に次ぐ全国第2位ですが、規模の大きさと増加はもはや同じ意味を持ちません

県内の市が「住む場所として選ばれ続けられるか」を問われる局面に入ったということです。

大規模地震への備え

神奈川県は、県内に影響を与える6つの想定地震について被害想定調査を行っています。最も深刻な大正型関東地震(冬18時の場合)では、死者19,780人、建物全壊303,300棟、最大避難者数2,365,850人が想定されています。

都心南部直下地震(同じく冬18時の場合)でも、死者1,850人、建物全壊42,920棟という規模です(出典:神奈川県地震被害想定調査|令和5〜6年度調査

これは県全体を対象とした想定で、厚木市域の被害想定と避難所の運営方針は市の地域防災計画で確認する必要があります。

市域が広く、隣接する自治体が多い市では、応援の受け入れや広域の連携が現実の論点になります。

地域のつながりをどう保つか

新かながわグランドデザイン基本構想の骨子は、空き家や空き店舗の増加を背景とする「都市のスポンジ化」によって、地域コミュニティや経済活動の衰退が予測されると指摘しています(参考:新かながわグランドデザイン基本構想骨子|神奈川県

人口密度が県内で中位という厚木市の条件は、市街地と、そこから離れた区域の両方を同時に見なければならないということでもあります。

行政だけで担いきれない部分を、住民や事業者、周辺自治体とどう分け合うかが、これからの実務の中心になります。

厚木市の重点政策|受験案内が示す市政の方向

厚木市の受験案内は、冒頭で「市民の皆様と共に考え、自ら行動し、新しい未来をつくる職員を募集します」と掲げています。

続けて、「市民の皆様と共に活力あるまちづくりを行っていくためには、時代の変化をとらえ、自らがまちづくりの担い手であるという自覚を持ち、自発的に考え行動できる人材が必要であると私たちは考えています。」と述べています(出典:令和8年度厚木市職員採用試験受験案内(第1回目・新卒等)|令和8年度

三つの動詞を分解する

この文には「共に考え」「自ら行動し」「新しい未来をつくる」という三つの動詞が並んでいます。

一つ目は市民との協働、二つ目は指示を待たない自発性、三つ目は前例の延長ではない発想を指していると読めます。

とくに二つ目の「自らがまちづくりの担い手であるという自覚」は、職員を制度の運用者としてだけでなく、まちの当事者として位置づける言い方です。

面接での使い方は単純です。この三つのどれかにあたる自分の行動を、実際の場面として一つ持っておくこと。市の言葉を復唱するのではなく、自分の経験を市の言葉の側へ寄せて説明するのが順序です。

POINT|市の言葉を借りるときの注意

公表されている一文をそのまま繰り返しても、面接官には何も伝わりません。三つの動詞のうち一つを選び、自分がその通りに動いた場面と、そのとき何を変えられたのかまでを語れる状態にしておきましょう。

悪い例「厚木市が求める、自ら行動できる職員になりたいと考えています」

改善例「アルバイト先で、聞かれてから答えるのでは遅いと感じて、よくある質問を貼り紙にまとめました。頼まれた仕事ではなかったのですが、自分で気づいて動くことは続けたいと思っています」

県の見通しを市の話につなぐ

市の総合計画や最新の予算方針は、面接の直前に必ず市の公式サイトで最新版を見ておきましょう。

そのうえで、県が示す長期の見通しを一段上の枠として重ねると、志望動機の射程が伸びます

2040年頃に高齢化がピークを迎え、県全体の人口が900万人を下回るという見通しの下で、22万人の市が何を選び取るのか。この問いは、どの分野を志望する受験者にも共通します。

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、要点を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。

  • 厚木市職員採用試験の受験案内(受験する回次・区分のもの)
  • 最新年度の予算に関する市長の説明資料と、厚木市の総合計画(現行版)
  • 厚木市地域防災計画(市域の被害想定、避難所と広域応援の考え方)
  • 志望分野の個別計画(福祉、子育て、都市基盤、環境など)
  • 市の統計情報のページ(人口や世帯の推移)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、厚木市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。厚木市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

厚木市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

厚木市役所の面接の概要

ここからは、厚木市役所の試験の形式と流れ、質問の全体像、備え方を、公表資料と当研究会の分析にもとづいて整理します。

厚木市役所の試験の流れ

令和8年度第1回目(新卒等)の事務上級は、書類審査から始まり、一次試験、二次試験、三次試験、最終試験と進みます。

このうち二次以降がすべて人物を見る場面で、二次が集団面接、三次と最終が個人面接という三段構えです。

事務上級以外の区分には三次試験がなく、二次試験が個人面接、最終試験も個人面接という構成になります。

項目内容(令和8年度第1回目・新卒等)
試験の段階書類審査 → 一次試験 → 二次試験 → 三次試験 → 最終試験(事務上級。事務上級以外の区分に三次試験はありません)
一次試験(事務上級)SCOA-A(言語、数理、論理)とSCOA-B(パーソナリティ)を、テストセンター会場で受験します
一次試験(その他の区分)保育士、土木上級、建築上級、建築機械上級、環境化学上級は専門試験(択一式)。消防上級はSCOA-A・SCOA-Bに加えて消防適性検査と消防体力検査があります
面接の回数(事務上級)集団面接1回と個人面接2回の計3回
最終試験の会場厚木市役所本庁舎(事務上級以外の二次試験はあつぎ市民交流プラザ)
配点試験種目別の配点は受験案内に記載がありません
提出書類電子申請システムで利用者登録のうえ「厚木市職員採用試験申込書」を作成します。新卒等の受験案内に、面接カードに相当する別提出書類の記載はありません
採用予定人数事務上級35人程度、土木上級6人程度、消防上級7人程度、そのほかの区分は若干名
社会人経験者枠書類審査 → 一次試験(SCOA-A・SCOA-B)→ 二次試験 → 最終試験(個人面接)。二次試験は事務上級がプレゼンテーション面接、その他の区分は個人面接です

上記は厚木市が公表した令和8年度第1回目の受験案内(新卒等・社会人経験者)にもとづく内容です。厚木市は年度内に第1回目から第4回目までの採用試験を実施しており、回次と枠によって試験の構成が異なります。受験の際は、必ず自分が受ける回次・区分の最新の受験案内をご確認ください(出典:厚木市職員採用試験の実施予定|令和8年度

配点が公表されていない以上、「人物重視の試験です」と決めつけることはできません。ただし、事務上級で面接が3回置かれ、そのうち2回が個人面接だという構成自体は受験案内から読み取れます。

同じ受験者を、形式を変えて三度確かめる設計だという事実から準備を組み立てるのが確実です。

集団面接では他の受験者と並んだときの受け答えが、個人面接では一つの話題をどこまで掘り下げられるかが見られると考えて備えましょう。

厚木市役所が求める人物像

厚木市は、受験案内の冒頭で求める人材の考え方を明示しています。「時代の変化をとらえ、自らがまちづくりの担い手であるという自覚を持ち、自発的に考え行動できる人材」という一文がそれにあたります。

抽象的な資質の羅列ではなく、変化をとらえること、当事者としての自覚、自発的な行動という三つが具体的に並べられている点が特徴です。

ここから読み取れるのは、指示されたことを正確にこなす力だけでは足りないという市の姿勢です。とはいえ、大きな実績を持ち出す必要はありません。

自分で気づいて動いた小さな場面を、そのときの判断とあわせて語れるかどうかが問われています。

あわせて、当研究会が採用の場を見てきた経験から一つ補足します。厚木市のように22万人規模で、消防から環境化学、埋蔵文化財までを一つの市役所で抱える組織では、担当する事業の相手方が市民だけで済まないことが少なくありません。

周辺自治体、県、事業者、地域の団体と話をまとめながら形にしていく場面が多くなるぶん、調整の途中で自分の案を手放せる柔軟さが重視されやすいと考えられます。

自己PRでは、押し切った経験より、相手の事情を汲んで着地させた経験のほうが噛み合いやすいでしょう。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。厚木市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク緊張していますか?場慣れの有無ではなく、想定外の一言に自然な調子で返せるか
② 動機・志望なぜ公務員を志望するのですか?民間でもできる動機で止まっていないか。職業選択の筋道が経験とつながっているか
③ 自己理解あなたの短所(弱み)は何ですか?自分を客観視できているか。短所とどう付き合っているかまで語れるか
④ 経験・行動これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください困難の大きさではなく、その場面で何を考え、どう動いたかという行動の中身
⑤ 学業・経歴卒業論文(研究)のテーマについて、簡単に説明してください専門外の相手に伝わる言葉へ翻訳する力。学びを仕事へつなげる視点
⑥ 適性・将来入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか?市の仕事への理解の解像度。希望どおりの配属でなくても働ける柔軟さ
⑦ 公共性・社会性最近関心を持ったニュースは何ですか?社会の動きへのアンテナと、それについて自分の意見を一言で述べられるか

ただし、この7カテゴリーは厚木市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。では、どこで差がつくのか。それが次の「厚木市ならではの事情を踏まえた質問」です。

差がつくのは「厚木市役所ならでは」の質問

「なぜ神奈川県庁ではなく、厚木市役所なのですか?」
「厚木市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

面接が3回ある試験では、この種の問いに一度答えたあと、次の面接で別の角度から確かめられることが十分にあり得ます。一度きりの説明で終わらせず、二度目、三度目に足せる材料まで持っておけるかが分かれ目です。二度目、三度目にも耐える事実を5つに絞り、それぞれの出し方まで下の表にまとめました。

質問テーマ知っておきたい厚木市の事実答え方のヒント
なぜ県庁ではなく市役所か厚木市は事務のほか、土木、建築、建築機械、環境化学、保健師、保育士、消防まで自前で採用し、市の仕事として抱えている「市民に近いから」で止めず、市が消防や技術職まで自前で持つという事実を挙げ、暮らしに直結する現場を市が担っている点に触れます
市の規模と広がり人口222,404人は県内19市で9番目、面積93.83km²は7番目、人口密度2,370人/km²は13番目(人口は住民基本台帳・令和8年1月1日現在)人口だけでなく密度の順位まで出し、拠点の置き方や移動手段の確保が課題になるという読みを添えます
高齢化の現在地高齢化率26.6%・75歳以上率15.8%(令和8年1月1日現在・住民基本台帳ベース)で、県全体の25.8%・15.4%を上回る県との差はわずかでも、22万人という母数で考えれば対象者は数千人規模で変わる、という掛け算の視点で語ります
周辺自治体との関係9つの市町村と境を接し、生活圏が市域で完結しない広域連携を制度用語で説明せず、通勤や通院で市境をまたぐ市民の動きから話を起こします
市が求める人材受験案内は「時代の変化をとらえ、自らがまちづくりの担い手であるという自覚を持ち、自発的に考え行動できる人材」を掲げるこの一文の三要素のうち一つを選び、自分が担い手側に回った経験を具体的な場面として出します

この表は暗記表ではありません。志望する区分に一番近い行を1つ決め、そこから「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話を組み立てるところまでを、面接の回数ぶん用意しておきましょう。

想定される評価の観点

面接は、求める人物像に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
市民と共に考える姿勢立場の違う相手と一緒に物事を進めた経験があるか受験案内の「共に考え」にあたる場面を選び、自分の案を通した話ではなく、相手の意見を取り入れて形を変えた話として用意する
自ら行動する力頼まれていない場面で動いたことがあるか集団面接では短く言い切る必要があるため、動いた理由と結果を二文で言える長さに削っておく
変化をとらえる視点状況が変わったときに、やり方を見直した経験があるか個人面接が2回続く構成を踏まえ、同じ経験を「気づいた点」と「学んだ点」の二通りで語れるようにしておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。厚木市の事務上級は個人面接が2回続きますから、この傾向はいっそう強く出ると考えてよいでしょう。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを、面接の回数だけ用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 受験する回次と区分を決め、その回次の受験案内で試験の段階と面接の回数を確認する
  2. 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 集団面接用に短く言い切る練習と、個人面接用に掘り下げて話す練習を、同じ経験で別々に行う

優先順位に注意

ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません

独学で対策を進めていて答えの型が固まらない場合は、厚木市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

厚木市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

厚木市役所の想定問答集を見る

さいごに

厚木市の事務上級は、集団面接から個人面接へと形式を変えながら、同じ受験者を三度確かめます。裏を返せば、一度で伝えきる必要はないということです。

9つの市町村に囲まれた22万人の市で、県平均を上回る高齢化とどう向き合うのか。自分ならどの場面に立ちたいのか。

回を重ねるごとに新しい材料を一つずつ足していけるよう、経験の引き出しを増やしておきましょう。