本記事では、東京都職員採用試験の面接対策で必要な、東京都の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
東京都の面接試験では、「なぜ東京都を志望したのか」、「都職員として何に取り組みたいのか」、「自分の強みや経験を都政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。都の実情や政策を理解しておくことで、抽象的な回答を避け、東京都ならではの事情を踏まえた説得力のある説明がしやすくなります。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と東京都政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
東京都の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは東京都の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 都庁所在地は新宿区(西新宿)。関東地方の南部、日本列島のほぼ中央に位置し、神奈川県、千葉県、埼玉県、山梨県と接する。
- 東京都には全国で最も多い約1,400万人が暮らし、世界有数の大都市を形成している。行政区域は特別区である23区と、26市5町8村から構成される。
- 都域は全国的に見ると小さく(面積は全国で3番目の小ささ)、海抜4m以下の低地から2,000m級の山地まで起伏に富む。太平洋上の伊豆諸島や小笠原諸島も都域に含み、大都市と自然が共存している。
- 都心には国の中枢機能、大企業の本社、金融機関が集積し、都内総生産は名目120兆円規模で全国のおよそ2割を占める、日本経済の中心地である。
- 南部の品川駅周辺では、リニア中央新幹線の始発駅となる予定の広域交通結節点の整備が進み、羽田空港への近さも生かした国際交流拠点づくりが進行している。
- 人口の約7割が23区に集中する一方、多摩地域には住宅地・大学・産業が広がり、伊豆・小笠原の島しょ部も抱える。ひとつの都のなかに、大都市から中山間地・離島まで含むのが東京都の特徴である。
- 都財政は健全性で群を抜く。地方交付税の交付を受けない不交付団体であり、財政力指数は1.211(都道府県平均0.491)と全国トップである。一方で、少子高齢化に伴う社会保障費や、都有施設・インフラの更新費用の増加が見込まれており、限られた財源を戦略的に配分する運営が求められている。
東京都の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「東京都の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、人口規模、都域の広さ、経済規模、地域構成など、都政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 約1,427万人(全国1位) |
| 総世帯数 | 約766万世帯 |
| 高齢者人口(65歳以上) | 312万人(高齢化率23.4%) |
| 合計特殊出生率 | 0.96(全国で最も低い水準) |
| 総面積 | 約2,194km²(全国で3番目の小ささ) |
| 行政区域 | 特別区23区・26市5町8村 |
| 名目都内総生産 | 約120兆2千億円(全国シェア21.2%) |
| 財政力指数 | 1.211(地方交付税の不交付団体) |
総人口・総世帯数は令和7年10月1日現在の推計、高齢者人口は令和7年9月15日現在の推計、合計特殊出生率は令和6年(東京都人口動態統計)、都内総生産は令和4年度都民経済計算、財政力指数は令和6年度決算(直近3年間の平均)による数値です。
数字から考えられる都政課題
東京都は日本で最も多い人口を抱えますが、人口が多いこと自体を強みと捉えるのは不十分です。全国で最も低い出生率、単身世帯の多さ、急速に進む高齢化、そして23区と多摩・島しょ地域の間の状況の違いを、あわせて考える必要があります。
とりわけ、人口の約7割が23区に集中する一方で、島しょ部や西多摩の町村では人口減少が進むという、同じ都のなかにある大きな差にも目を向けておきたいところです。
たとえば面接では、東京都の現状について説明する際、次のように数字と課題を結び付けられます。
東京都の経済・産業
経済・産業構造の概要
- 名目都内総生産は約120兆2千億円(令和4年度)で、全国シェアの21.2%を占め、都道府県で最大の経済規模。
- 令和4年度の実質経済成長率は3.9%で、前年度の都内総生産114兆4千億円から名目でも増加した。
- 成長を牽引したのは卸売・小売業、金融・保険業、運輸・郵便業などで、都市型のサービス産業が中心。
- 都心には国の中枢機能や大企業の本社、金融機関が集積し、国際金融都市をめざす政策の舞台にもなっている。
つまり、「全国の経済活動のおよそ2割が集まる、日本経済の中枢」という構造を押さえておくと、産業振興や雇用の話題に対応しやすくなります。この規模は一つの国の経済にも匹敵し、都政の政策判断が全国の経済にも波及します。(出典:都民経済計算|令和4年度)
観光業
国内外から人を集める観光も、都経済を支える柱の一つです。訪都旅行者数は令和5年に約4億9,410万人(日本人約4億7,456万人、外国人約1,954万人)で、外国人旅行者は過去最多となりました。
さらに2024年の観光消費額は約9兆4,762億円にのぼり、生産波及効果は約18兆4,844億円と2019年比56.1%増でした。
面接では、インバウンドの回復と地域への波及を都の産業政策と結びつけて語れると強みになります。(出典:訪都旅行者数等の実態調査|2024年)
都市開発と交通基盤
成長を牽引する拠点づくりも東京都の経済政策の柱です。品川駅周辺では、リニア中央新幹線の始発駅となる予定の大規模な再整備が進み、東京都は品川駅・田町駅周辺を「国際交流拠点・品川」と位置づけ、企業誘致やMICE、駅機能強化など7つの戦略を掲げています。
羽田空港への近さも生かした広域交通結節点として整備が進むこの地域は、面接で「都のこれからの成長」を語るときの具体例になります。
あわせて、東京メトロ南北線の新駅建設や京浜急行電鉄の線路移設も計画され、駅を中心にまちの姿が大きく変わろうとしています。(出典:品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドライン2020)
東京都の主な行政課題
ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、東京都が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「都の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
少子化と人口構造の変化
合計特殊出生率は令和6年に0.96と全国で最も低い水準で、前年の0.99から8年連続で低下しています。令和6年の出生数は84,207人(前年より2,141人減)で9年連続の減少となり、死亡数14万329人を差し引いた自然増減は5万6千人あまりの減少と、9年連続の自然減が続いています。
人口が全国から集まる都であっても、人の自然減が止まらないという現実があるのです。
東京都は「少子化対策の推進に向けた論点整理2025」を公表して、少子化への対応を最重要課題に位置づけており、若い世代が安心して子どもを持てる環境をどう整えるかが問われています。(出典:少子化対策の推進に向けた論点整理2025)
高齢化の進展と担い手不足
出生数の減少と裏表の関係にあるのが高齢化です。高齢者人口は令和7年9月時点で312万人と過去最多で、高齢化率は23.4%、およそ4.3人に1人が高齢者という水準に達しました。
とりわけ75歳以上人口は184万6千人(前年比3万2千人増)と過去最多を更新する一方、65〜74歳人口は減少しており、より手厚い支援を必要とする後期高齢者の割合が高まっています。
医療・介護の需要増と、それを支える人材の不足に加え、単身の高齢世帯の増加も見込まれ、地域で高齢者を見守り支える仕組みづくりが重みを増しています。
大規模災害への備え
都心南部直下地震では、23区の約6割が震度6強以上に見舞われると想定されています(令和4年5月公表の被害想定)。冬の夕方に発生した場合、死者約6,100人、帰宅困難者約453万人と見込まれ、人口と産業が高度に集積した大都市ならではの危機管理が求められます。
膨大な帰宅困難者を安全に受け入れ、都市機能を早期に回復させる備えは、東京ならではの重い課題です。
加えて、東部の「ゼロメートル地帯」では、荒川・江戸川の堤防が決壊すると浸水が2週間以上続くと想定される地域もあります。
東京は過去にも大きな水害を経験しており、昭和22年のカスリーン台風では葛飾区などで約12万棟が浸水したと記録されているように、地震と水害の両面での備えが欠かせません。(出典:首都直下地震等による東京の被害想定)
気候変動と脱炭素
気候危機への対応も都政の重点課題です。東京都は「未来の東京」戦略・2050東京戦略で、少子高齢化とならんで気候危機を都政の柱に据えています。
家庭、建築物、交通、産業など幅広い分野で温室効果ガスの削減を進める一方、企業の技術開発や設備投資を後押しし、脱炭素と産業活動を両立させる視点も求められます。ゼロエミッション車の普及などは、その具体的な取り組みの一例です。
大都市である東京の排出削減は全国の脱炭素にも大きく影響するため、家庭や中小事業者を含めた幅広い主体の行動をどう後押しするかが問われます。
地域構成の違い(23区・多摩・島しょ)
一口に東京都といっても、都心の23区、多摩地域、伊豆・小笠原の島しょ部では、人口動向も行政需要も大きく異なります。
人口の約7割が23区に集中する一方、島しょ部では人口減少と生活基盤の維持が課題になります。「取り組みたい仕事」を考えるときも、どの地域のどんな課題を想定しているのかまで具体化しておくと、回答に説得力が出ます。
| 地域 | 人口の目安 | 特徴と課題のキーワード |
|---|---|---|
| 区部(23区) | 約995万人 | 人口・企業・国の中枢機能の集積。過密への対応、防災、都市基盤の更新 |
| 市部(多摩地域の市) | 約425万人 | 住宅地・大学・産業の集積。人口の成熟、交通、まちの持続性 |
| 郡部(西多摩の町村) | 約5万人 | 山間部。人口減少・高齢化、自然環境の保全 |
| 島部(伊豆・小笠原諸島) | 約2万人 | 島しょ生活の維持、交通・医療の確保、自然と観光の両立 |
ここまでの5つの課題は互いに絡み合っています。たとえば少子高齢化は担い手の不足を通じて、防災や地域の維持にも影響します。
面接で課題を語るときは、一つの課題を入り口にしながら、他の課題とのつながりまで意識できると、都政を立体的に理解している印象を与えられます。
東京都の重点政策|「未来の東京」戦略
東京都は、長期的な都市戦略として「未来の東京」戦略を策定し、その先の2050年を見据えた「2050東京戦略」もあわせて示しています。少子高齢化や気候危機といった構造的な課題を、都政全体の重点に位置づけているのが特徴です。(出典:「未来の東京」戦略(都の長期計画))
計画を貫く考え方
これらの計画が繰り返し掲げるのは、少子高齢化と気候危機を都政の重点課題に位置づけるという方向性です。受験生としては、①子育て・教育を支える ②高齢者や支援を必要とする人を支える ③脱炭素・防災で暮らしの安全を守る ④デジタルで行政サービスを使いやすくする、といった具体像で理解しておくとよいでしょう。
取り組みたい仕事が、このどの柱につながるのかを言えるようにしておくと、志望動機に一本の筋が通ります。
令和7年度の都政運営のポイント
令和7年度の一般会計当初予算は9兆1,580億円(前年度比8.3%増)で、全会計では17兆8,497億円にのぼります。子育て支援の充実、住宅政策の強化、GX・DXによる産業創出、災害に強い都市づくり、高齢者支援などが都政の重点に掲げられています。
財政力指数1.211・実質公債費比率1.2%という健全な財政基盤を背景に、大規模な政策展開ができることが東京都の強みです。
あわせて、令和6年度決算では普通会計の都債残高が3兆4,676億円と前年度から2,419億円減っており、健全な財政を保ちながら、将来世代の負担にも配慮した運営が続けられています。(出典:広報東京都|令和7年度予算)
POINT|施策名をすべて暗記しなくてよい
事業名を丸暗記することが自治体研究の目的ではありません。関心のある分野を1〜2つ選び、「①何が課題か → ②都はどんな状態をめざすか → ③いまの取組 → ④都だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験・強みをどう生かすか」の順で掘り下げましょう。
悪い例「東京都で子育て支援に携わりたいです」
改善例「東京都は出生率が全国でいちばん低いと聞きました。まずは都の職員として、共働きの家庭が保育や産後のサポートを受けやすくなるように、地道に取り組みたいです。その上で、当事者の声を実際の制度づくりに反映していけたらと考えています」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
- 東京都職員採用試験(Ⅰ類B)の受験案内/採用パンフレット・職種紹介
- 「未来の東京」戦略・2050東京戦略(都の長期計画)
- 最新年度の当初予算・都政運営に関する資料/関心分野の個別計画
- 東京都統計年鑑など、人口・産業・福祉を分野別に収録した統計資料
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、東京都庁専用の面接想定問答集をご用意しています。東京都の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」、「質問の意図」、「回答のコツ」、「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
東京都の面接の概要
ここからは、東京都の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
東京都の面接の流れ
東京都職員採用試験のⅠ類B(大学卒業程度)は、第1次試験(教養試験・専門試験・論文)と第2次試験(口述試験)の2段階で行われます。ここでは、集団討論や集団面接のない「一般方式」を前提に整理します。
最終合格は第1次・第2次の総合成績で決まり、口述試験の成績が基準に届かないと不合格になるのが大きな特徴です。この口述の足切りがあるため、筆記で得点しても、面接対策を欠かすことはできません。
| 項目 | 内容(令和8年度・Ⅰ類B〈一般方式〉) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験(教養試験・専門試験・論文)→ 第2次試験(口述試験) |
| 面接の種類 | 主として人物についての個別面接 |
| 集団形式 | 一般方式では集団討論・集団面接は課されない |
| 面接シート | あり。第2次試験の前に「受験者サイト」の提出フォームから入力・提出する |
| 合否の決め方 | 第1次・第2次の成績を合わせた総合成績で決定(口述試験に足切りあり) |
| 配点 | 各試験の具体的な配点は公表されていない |
注目したいのは、配点こそ公表されていないものの、口述試験に足切りが設けられている点です。第1次試験を通過しても、面接で基準に届かなければ合格できません。
用意した答えを述べるだけでなく、掘り下げられても自分の言葉で答え続けられるかが問われる試験だと考えて準備しましょう。
事前に提出する面接シートに書いた内容は、そのまま質問の起点になります。提出前に「一つひとつのエピソードを深く語れるか」を点検しておくと、当日の深掘りにも落ち着いて対応できます。
上記の試験構成は、東京都人事委員会が公表する令和8年度Ⅰ類B採用試験(一般方式)の受験案内にもとづくものです。同じⅠ類Bでも「新方式」ではプレゼンテーションやグループワークを含む口述試験が課されるなど、方式や区分によって面接の形式は異なります。試験の構成・日程・配点等は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。
東京都が求める人材像
東京都は受験案内で、求める人材像として「高い志と豊かな感性を持った人材」「自ら課題を見つけ、進んで行動する人材」「都民から信頼され、協力して仕事を進める人材」「困難な状況に立ち向かい、自ら道を切り拓く人材」の4つを掲げています(キャッチフレーズは「東京を想う心が未来をつくる力になる」)。
自己PRでは、「積極性があります」と述べるだけでなく、その力を使って何を行い、周囲にどんな変化をもたらしたかまで説明しましょう。
抽象的な長所を並べるより、一つの経験を通じて4つの人材像のどれかを体現できていることが伝わると、説得力が増します。(参考:東京都職員採用試験(Ⅰ類B)受験案内)
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。東京都の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 試験会場までは、どうやって来ましたか? | 緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます |
| ② 動機・志望 | なぜ東京都を志望するのですか? | 「都で働く」という選択の理由を、自分の言葉で筋道立てて話せるか |
| ③ 自己理解 | あなたの短所(弱み)は何ですか? | 自分を客観視できているか。弱みへの向き合い方に人柄が出ます |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください | 過去の行動パターンから、入庁後にも再現できる強みを確かめています |
| ⑤ 学業・経歴 | これまで力を入れて学んできたことを教えてください | 自分の選択を説明できるか。学んだことと仕事の接点を作れているか |
| ⑥ 適性・将来 | 10年後、どんな職員になっていたいですか? | 働く姿をどこまで具体的に描けているか。組織の中で成長する見通し |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近、気になっている社会問題はありますか? | 社会への関心の深さと、それを行政の仕事として捉え直す視点 |
ただし、この7カテゴリーは東京都に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「東京都ならではの事情を踏まえた質問」です。
合否を分けるのは「東京都ならでは」の質問
どちらも、東京都の現状と都の計画を知らなければ、その場では答えようがない質問です。逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。
こうした質問に答えるための「東京都の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい東京都の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 少子化 | 合計特殊出生率は令和6年に0.96と全国で最も低い水準。出生数は9年連続の減少 | 「全国一の人口を抱える都でも出生率は最低」という対比を押さえると、少子化を語る一言に厚みが出ます |
| 都の長期計画 | 「未来の東京」戦略・2050東京戦略で、少子高齢化と気候危機を都政の重点課題に位置づけ | やりたい仕事をこの2つの柱のどこに位置づけられるかを言えると、都の方向性を踏まえた志望に見えます |
| 防災・危機管理 | 都心南部直下地震の被害想定(令和4年公表)では、23区の約6割が震度6強以上、帰宅困難者は約453万人 | 過密都市ならではの帰宅困難者対策などに触れてから、自分の備えの話へつなげます |
| 経済・都市の成長 | 都内総生産は約120兆円で全国シェアの約2割。品川駅はリニア中央新幹線の始発駅となる予定 | 「日本経済の中枢を担う都」という規模感を、志望分野の話にひとこと添えられると強い |
| 地域構成の違い | 人口の約7割が23区に集中する一方、多摩・島しょ部は人口減少や生活基盤の維持が課題 | 「東京=都心」だけで語らず、多摩・島しょまで視野に入れると、都全体を見ている印象になります |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 都職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、前述の「求める人材像」に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
「立派なことを言えるか」ではなく「実際にどう動いた人か」を確かめるのがねらいなので、盛った話や借り物の言葉は、深掘りのなかでかえって評価を下げてしまいます。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 高い志と豊かな感性 | なぜ都で働きたいのか、その思いの背景にある経験があるか | 「東京を良くしたい」で終わらせず、そう思うに至った具体的な出来事を言葉にする |
| 自ら課題を見つけ行動する力 | 指示を待つのではなく、自分から動いて状況を変えた経験があるか | 結果の大小より「何に気づき、どう動いて、何を変えたか」を筋道立てて話す |
| 信頼され協力して進める力 | 立場の異なる人と協力し、物事を前に進めた経験があるか | 学業やアルバイト、部活動で「意見の違いをどう調整したか」を具体例で示す |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 令和8年度Ⅰ類Bの受験案内を読み、試験の段階と面接シートの記入項目を確認する
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく
優先順位に注意
ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を都の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で都の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、東京都庁専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
東京都の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
東京都の採用試験は、筆記を突破しても口述試験で基準に届かなければ合格できない、人物を最後まで見る試験です。全国一の規模を持つ都政の現場は幅広く、あなたが力を入れてきた経験のどれもが、どこかの仕事につながっています。
大切なのは、都の知識を並べることではなく、その知識と自分の経験を一本の線でつなぎ、都の職員として何をしたいのかを自分の言葉で語れるようにすることです。
焦って知識だけを詰め込むよりも、一つのエピソードを深く掘り下げ、そこから都の仕事への思いを語れるようにするほうが、深掘りの続く口述試験では力を発揮します。この記事で押さえた事実を出発点に、面接官との対話を思い描きながら、本番までの時間を積み上げていってください。