本記事では、西東京市職員採用試験の面接対策で必要な、西東京市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
西東京市役所の面接では、「なぜ西東京市なのか」、「20万人規模の市で何をしたいのか」、「人と協力して物事を進めた経験は何か」といった質問が想定されます。この市の選考は第2次試験の中身が事前に公表されず、第1次試験の合格者にメールで通知されるという進み方をします。
本記事の内容を材料に、自分の経験と西東京市政の接点を組み立て、回答づくりに役立ててください。
第1部|自治体研究編
西東京市の特徴
対策に入る前に、西東京市がどんな成り立ちと条件を持つ市なのかを押さえましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 東京都の多摩地域東部にあり、練馬区、東久留米市、小平市、小金井市、武蔵野市、そして埼玉県新座市と接している。区部にも都県境にも隣り合う位置。
- 面積は15.75km²、人口は207,227人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。人口密度は13,157人/km²で、都内の市の中でも人の密度が高い部類に入る。
- 2001年1月21日、田無市と保谷市の合併により「21世紀に最初に誕生する市」として発足した。
- 新しい市の名称は、応募総数8,753件・候補名3,190種類の公募と、5つの候補から選ぶ市民意向調査を経て決められた。
- 市役所は田無庁舎と保谷庁舎の2庁舎体制。合併から続く運営の形が今も残っている。
- 市の木はケヤキとハナミズキ。市の花は季節ごとに定められ、春はツツジ、夏はヒマワリ、秋はコスモス、冬はスイセン。
- 西東京市第3次基本構想・基本計画の基本理念は「ともにみらいにつなぐ やさしさといこいの西東京」。
- 職員採用試験は年2回。令和8年度の第1回は、第1次試験、第2次試験、第3次試験の3段階構成。
- 多くの試験区分でテストセンター方式(SPI-3)を採用し、法律や経済といった専門科目の試験はないと市が明記している(土木・建築の技術区分には専門試験があります)。
西東京市の基礎データ
暗記の量そのものが評価されるわけではありません。ただ、20万人規模の市が15.75km²に収まっているという密度の感覚は、市政の話をするうえでの前提になります。
表には市の値と、比較の手がかりになる東京都全体の値を並べています。調査も時点も別ものですので、引き算をするのではなく、市の大きさを掴む道具として使ってください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 207,227人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 総面積 | 15.75km² |
| 人口密度 | 13,157人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 高齢化率(住民基本台帳) | 24.7%(令和8年1月1日現在)/75歳以上は14.3% |
| 65歳以上人口 | 51,140人(うち75歳以上29,685人。令和8年1月1日現在) |
| 市の成り立ち | 2001年1月21日、田無市と保谷市の合併により発足 |
| 庁舎 | 田無庁舎(南町五丁目)と保谷庁舎(中町一丁目)の2庁舎 |
| 隣接自治体 | 練馬区、東久留米市、小平市、小金井市、武蔵野市、埼玉県新座市 |
| 市の花・市の木 | ツツジ(春)・ヒマワリ(夏)・コスモス(秋)・スイセン(冬)/ケヤキ・ハナミズキ |
| 基本理念 | ともにみらいにつなぐ やさしさといこいの西東京(第3次基本構想・基本計画) |
| (参考)東京都の総人口 | 14,273,066人(令和7年10月1日現在の推計) |
| (参考)東京都の総面積 | 2,194km²(全国で3番目に小さい) |
| (参考)東京都の高齢化率 | 23.4%(令和7年9月15日現在の推計) |
西東京市の人口・面積・隣接自治体・市の花木は、公表値をもとに当研究会が整理したものです(総人口は住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。高齢化率と75歳以上の割合は、総務省が住民基本台帳をもとに集計した令和8年1月1日現在の値で、同じ集計での市の総人口は207,227人です。東京都の値は都の推計等によるものです。市の住民基本台帳の値とは調査の仕組みが違いますので、両者を並べて差を計算することはお控えください。(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在/市名の由来|西東京市)
密度が高いということが行政に与える条件
東京都全体は2,194km²に14,273,066人ですので、単純に割れば1km²あたり6千5百人ほどになります(当研究会による計算です)。
西東京市の13,157人/km²は、その2倍を超える水準です。市域の隅から隅まで人が住んでいると考えてよい市だということです。
密度が高い市では、行政の距離は近くなります。施設をひとつ整備すれば通える人は多く、移動の負担も相対的に小さい。
その一方で、まとまった土地が空いていないという制約が常につきまといます。学校や公園、道路の拡幅、みどりの確保といった話題は、この条件の上で考えられていると理解しておきましょう。
西東京市の経済・産業
市の経済を測るための土俵
西東京市の公式サイトのうち、市政情報と採用関連のページでは、市だけを対象にした経済統計は見つかりませんでした。ここでは都全体の数字を先に置き、その中での市の位置を示します。
- 令和4年度の経済活動別都内総生産は名目で120兆2千億円、全国シェアは21.2%。
- 同年度の実質経済成長率は3.9%。増加が目立ったのは卸売・小売業、金融・保険業、運輸・郵便業などだった。
- 都の人口14,273,066人(令和7年10月1日現在の推計)のうち市部は4,249,936人。西東京市の207,227人はその4.9%ほどにあたる(基準日の異なる値による概算)。
区部と埼玉県に挟まれた位置
西東京市は練馬区と接し、都県境をまたいで埼玉県新座市とも隣り合っています。区部の暮らしとも、埼玉県側の暮らしとも地続きの市だということです。
通勤や通学、買い物の動きは市境で止まりませんし、日中に市外へ出る人も、市外から入ってくる人もいます。
この位置は、市の産業や雇用を語るときの前提になります。市内で働く場をどう確保するかという話と、市外へ通う人が暮らしやすい環境をどう整えるかという話は、別のようでつながっています。面接では、市域の内側だけで完結しない経済を、市がどう受け止めるかという角度を持っておくと、話が単調になりません。
合併から四半世紀という時間軸
2001年に田無市と保谷市が合併して生まれた市ですから、市としての歴史は四半世紀ほどです。
市の名称が公募と市民意向調査を経て決められたという経緯も、市民が市の形づくりに関わってきたことの記録です。基本理念に「ともに」という言葉が入っている背景を、この経緯と重ねて理解しておくと、志望動機に深みが出ます。
西東京市の主な行政課題
合併から生まれた高密度の市という条件は、課題の形にも表れます。次の4つを、市の課題を問われたときの引き出しとして持っておいてください。
20万人規模で進む高齢化
総務省が住民基本台帳をもとに集計した令和8年1月1日現在の値では、西東京市の人口207,227人のうち65歳以上が51,140人で、高齢化率は24.7%です。75歳以上は29,685人、率にして14.3%にあたります。
東京都全体を見ると、令和7年9月15日現在の推計で高齢者人口は312万人、高齢化率は23.4%です。75歳以上は184万6千人で、前年から3万2千人増えて過去最多となりました。
集計の仕組みが異なるため単純な比較はできませんが、都の平均像に近い構成の市だとは読めます。(出典:敬老の日にちなんだ東京都の高齢者人口(推計)|令和7年)
率が平均的でも、実数は5万人を超えます。
高密度の市域に5万人の高齢の市民が暮らすということは、支援の対象がまとまって存在するということでもあります。距離の近さを活かした支え方を具体的に語れると、この話題は自分の色が出せます。
2つの庁舎を持つ市の運営
西東京市は現在も田無庁舎と保谷庁舎の2庁舎体制で運営されています。市民にとっては窓口が2か所あるということであり、市にとっては施設と職員配置を2か所で組み立てるということです。
合併から生まれた市であることが、今の運営の形にそのまま残っています。
面接でこの話題に触れるときは、旧2市の経緯や庁舎のあり方について、断定的な評価を述べる場ではないと考えておきましょう。市の歩みを知ったうえで、市民にとっての利便をどう保つかという実務の視点で話すのが安全です。
住環境とみどりをどう守るか
市の基本理念には「やさしさといこいの西東京」という言葉が置かれ、市はこれを、身近なみどりや落ち着いた住環境の中で人々の交流が生まれるいこいの場を守り育てることだと説明しています。密度13,157人/km²の市域でこれを実現するのは、簡単なことではありません。
土地に余裕がない中で、みどりも、交流の場も、住まいの環境も同時に成り立たせる必要があるからです。
基本目標に環境にやさしい持続可能なまちと、安全で安心して快適に暮らせるまちが並んでいるのも、この難しさの表れだと読めます。まちづくりを志望分野にするなら、限られた土地の使い方をめぐる調整が仕事の中身になることを想定しておきましょう。
災害への備え
東京都の被害想定(令和4年5月公表)は、都心南部直下地震が冬の夕方に起きたときの被害を、死者約6,100人、負傷者約9万3,400人、建物被害約19万4,400棟、避難者約299万人、帰宅困難者約453万人と見積もっています。これは都全域の想定で、西東京市だけの数字ではありません。(出典:首都直下地震等による東京の被害想定|令和4年5月公表)
人口が密集した市域では、避難所に集まる人の数も、帰宅できない人の数も大きくなります。市外へ通勤する人が多い市であれば、平日の昼と夜で市内にいる人の顔ぶれも変わります。
防災を志望分野にするなら、想定の数字よりも、この顔ぶれの入れ替わりをどう受け止めるかを自分の言葉で用意しておきましょう。
西東京市の重点政策|西東京市第3次基本構想・基本計画
市の施策の方向を定めているのが「西東京市第3次基本構想・基本計画」です。基本理念(わたしたちの望み)は「ともにみらいにつなぐ やさしさといこいの西東京」で、市はこの言葉を3つに分けて説明しています。「ともに」はまちづくりに関わるさまざまな主体が手を携えて協力する様子、「みらいにつなぐ」は未来を担う子どもにまちづくりのバトンを渡すこと、「やさしさといこいの西東京」は身近なみどりや落ち着いた住環境の中で交流が生まれるいこいの場を守り育てることです。(出典:西東京市第3次基本構想)
6つの基本目標
基本構想は、目指すべき将来像として6つの基本目標を掲げ、あわせて基本目標実現のための体制づくりを示しています。
| 基本目標 | 扱う主な分野 |
|---|---|
| 1 みんなでつくるまち | 協働、行政 |
| 2 子どもが健やかに育つまち | 子ども、教育 |
| 3 笑顔で自分らしく暮らせるまち | 福祉、健康、多様性 |
| 4 環境にやさしい持続可能なまち | 環境、みどり |
| 5 安全で安心して快適に暮らせるまち | 防災、生活環境、都市基盤 |
| 6 活力と魅力あるまち | 産業、文化、にぎわい |
基本目標1と2の括弧書きの分野は基本構想の表記によるものです。3から6については、目標の文言から当研究会が対応する分野を整理しました。詳細は市公式サイトの基本構想・基本計画をご確認ください。
先頭に協働が置かれているところに、この市の性格が出ています。
第1次と第2次の基本構想の理念が「やさしさとふれあいの西東京に暮らし、まちを楽しむ」であったことも公表されており、やさしさとふれあいを引き継ぎながら、市民とともにつくるという姿勢を前面に出した形です。
面接では、自分のやりたい仕事が6つのどれに位置づくのかを一言添えられると、方向性を踏まえた志望だと伝わります。
POINT|6つを暗唱しても評価にはならない
目標の名称を並べられることが目的ではありません。関心のある分野をひとつ選び、①今どんな困りごとがあるか → ②市はどんな状態を目指しているか → ③そのために何をしているか → ④市役所だから担えることは何か → ⑤自分の経験のどこが使えるか、の順に調べてください。計画の本文も予算の資料も、市公式サイトに載っている最新のもので確かめてください。
悪い例「西東京市の子育て支援に関わりたいです」
改善例「基本目標に、子どもが健やかに育つまちという言葉があると知りました。20万人の市で子育て世帯の声を全部は拾えないと思いますので、声を出しにくい家庭に届く仕組みを考える仕事に関わりたいです」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、読んだ内容を人に説明できる形にしておきましょう。
- 西東京市職員採用試験の試験案内(自分が受ける回と区分のもの。区分により第1次試験の科目が違います)
- 西東京市第3次基本構想・基本計画(基本理念と6つの基本目標)
- 市の採用サイトに掲載されている求める人物像と、職員の仕事の紹介
- 市公式サイトの職員採用試験の結果一覧(公表されている年度分)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、西東京市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。西東京市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
西東京市役所の面接の概要
ここからは、西東京市役所の採用試験の構成と、問われやすい質問の全体像、差がつく質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析にもとづいて整理します。
西東京市役所の試験の流れ
令和8年度の第1回職員採用試験は、第1次試験、第2次試験、第3次試験の3段階です。第2次と第3次はいずれも人物試験と位置づけられており、筆記で絞ったあとの2段階が、どちらも人を見る場になっています。
| 項目 | 内容(令和8年度・第1回) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験、第2次試験、第3次試験の3段階 |
| 第1次試験 | 区分により異なります。一般事務Ⅰ類(主任級)・一般事務Ⅰ類・一般事務Ⅰ類(社会福祉士/精神保健福祉士)・保育士Ⅰ類・Ⅱ類はテストセンター方式の基礎能力試験(SPI-3)、一般事務Ⅰ類(障害のある方)は筆記の基礎能力試験、土木技術Ⅰ類・建築技術Ⅰ類は筆記の専門試験 |
| 第2次試験 | 人物試験(グループワーク試験又は実地試験、及び面接試験等)。詳細は第1次試験の合格者にメールで通知されます |
| 第3次試験 | 人物試験(個別面接試験) |
| 専門科目の扱い | 市は「いわゆる一般的な公務員試験で出題される、法律や経済といった専門的な科目の試験はありません」と明記しています(技術区分の専門試験を除く) |
| 専門試験の免除 | 土木技術Ⅰ類はRCCM・技術士・土木施工管理技士、建築技術Ⅰ類は建築士・技術士・建築施工管理技士などの資格所持者が第1次試験(専門試験)を免除されます |
| 試験区分と採用予定 | 一般事務Ⅰ類(主任級)30名、一般事務Ⅰ類、一般事務Ⅰ類(社会福祉士・精神保健福祉士)5名、一般事務Ⅰ類(障害のある方)、土木技術Ⅰ類、建築技術Ⅰ類、保育士Ⅰ類(経験者)・Ⅰ類・Ⅱ類10名。学歴は問われません |
| 主任級の要件 | 民間企業等での職務経験が直近14年中8年以上必要で、最終合格者は在籍企業等が証明する勤務証明書(市指定書式)を提出します |
| 実施回数と採用時期 | 主な採用試験は年2回。採用時期はいずれも令和9年4月1日で、第1回は令和8年10月1日や令和9年1月1日への前倒し入庁も選べます |
| 合否の決め方 | 各試験の配点と合否決定の方法は公表されていません |
| (参考)令和6年度実施の結果 | 令和7年4月1日付採用の一般事務1類は、応募349人、第1次合格210人、第2次合格118人、第3次合格68人、最終合格57人(採用予定30名) |
| (参考)初任給 | 地域手当を含む月額で、Ⅰ類(主任級)313,200円、Ⅰ類280,720円、Ⅱ類250,792円 |
上記は西東京市の令和8年度第1回職員採用試験の試験案内等にもとづく内容です。各試験の配点と合否決定の方法は公表されておらず、第2次試験の人物試験がグループワーク試験か実地試験かも事前には公表されません。面接カードやエントリーシートの指定様式も公表されていません。試験区分のⅠ類・Ⅱ類という表記は特別区の区分と紛らわしいのですが、西東京市は市独自の採用であり、特別区人事委員会の統一試験とは無関係です。公表されている試験結果の一覧は令和6年度実施分までですので、受験の際は必ずご自身が申し込む回と区分の最新の試験案内をご確認ください。(出典:令和8年度 職員採用試験|西東京市/令和8年度第1回 職員採用試験案内)
中身が知らされない試験にどう備えるか
第2次試験がグループワークになるのか実地試験になるのかは、第1次を通過するまで分かりません。これは受験者にとって不安な条件ですが、裏を返せば、形式を先読みして小手先を用意する余地がない試験だということです。
備えの方向はひとつです。どちらの形式でも問われるのは、他の人と一緒に何かを進める力と、自分の考えを相手に伝わる形にする力です。
議論の場なら、話を前に進める役回りを自分で決めておくこと。実技を伴う場なら、指示を正確に受け取り、分からないことをその場で確かめること。
どちらにも共通する土台を作っておけば、通知を受け取ってから慌てずに済みます。
西東京市が求める人物像
西東京市は、求める人物像を「未来を見据え、ともに考え、挑戦し続ける」という一文で示し、3つの類型に分けて説明しています。(出典:求める人物像|西東京市職員採用)
- 未来を見据えられる人
社会情勢の変化に柔軟に対応し、行政のプロフェッショナルとしての意識を持って、次世代への責任ある行動をとることが挙げられています。 - ともに考えていける人
市民の立場に立ち、市民に寄り添い、ともに考えて行動につなげること。職員同士の連携や協力を通じて課題解決を図ることも含まれています。 - 挑戦し続ける人
課題を的確に捉える能力とチャレンジ精神、果敢な行動力を備え、挑戦を通して成長し続けることが示されています。
3つの人物像は市が明文にしているものです。その先、合併から生まれた20万人規模の市という条件がこの人物像にどう効くのかは、当研究会の解釈として読んでください。
人口20万人を超える市では、行政だけで片づく課題はほとんどありません。子育ても、防災も、みどりの保全も、市民や地域の団体、事業者、隣接する自治体と手を組んで初めて動きます。
基本目標の先頭に協働が置かれ、人物像の真ん中に「ともに考えていける人」が置かれているのは、偶然ではないでしょう。
そのうえで、密度の高い市域では、現場で拾った声を制度の言葉に翻訳する場面が多くなります。市民の要望をそのまま持ち帰るのでも、制度の説明で押し返すのでもなく、限られた予算と人手の中で実行できる形に落とし込む。
この往復ができる人が、結果として重宝されやすいと考えられます。準備として効くのは、人物像に合わせて自分を語り直すことではありません。
過去の場面をひとつ選び、そこで自分が何をしたのかを細部まで思い出しておくことです。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。西東京市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日はどのように来られましたか | 緊張を引きずらずに受け答えできるか。声の調子と表情が自然か |
| ② 動機・志望 | 近隣にも市はありますが、なぜ西東京市なのですか | 他市にも当てはまる理由になっていないか。この市に決めた経緯を語れるか |
| ③ 自己理解 | ご自身の弱みを、どう補っているかとあわせて教えてください | 自分を客観視できているか。対処の仕方まで語れるか |
| ④ 経験・行動 | 立場の違う人たちと何かを進めた経験を教えてください | 求める人物像の「ともに考えていける人」に直結します |
| ⑤ 学業・経歴 | これまでの経験を、市の仕事にどう活かせると思いますか | 学歴を問わない試験です。何を身につけたかを自分の言葉で語れるか |
| ⑥ 適性・将来 | 10年後、市の職員としてどうなっていたいですか | 次世代への責任という人物像と重なる問い。長い時間軸を持てるか |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近気になった社会の動きを教えてください | 社会情勢の変化への感度と、自分なりの受け止め方 |
7つのカテゴリーはどの自治体の面接にも共通して現れるため、受験者の準備もここまではおおむね横並びになります。差がつくのは、次の西東京市ならではの質問です。
差がつくのは「西東京市役所ならでは」の質問
どちらも、市を調べていない人には輪郭のない答えしか出てこない質問です。逆に言えば、準備してきた人にだけ、はっきりした形が出る質問だということです。西東京市の事実と、それをどう答えに乗せるかを対にして並べました。
| 質問テーマ | 知っておきたい西東京市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 市の成り立ち | 2001年1月21日に田無市と保谷市の合併で発足。市名は8,753件の公募と市民意向調査を経て決定。現在も田無庁舎・保谷庁舎の2庁舎体制 | 沿革を暗記するだけでなく、市民が市の形づくりに関わってきた市だという読み方まで示します。庁舎のあり方への評価は述べません |
| 市の規模と密度 | 面積15.75km²に人口207,227人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、人口密度13,157人/km² | 密度の高さを、行政の距離の近さと土地の制約という両面で語ります。どちらか一方だけだと薄く聞こえます |
| なぜ都庁ではなく市役所か | 市は基本目標の先頭に協働を掲げ、求める人物像に「ともに考えていける人」を置いている | 制度をつくる側ではなく、その制度を市民と一緒に動かす側に立ちたい、という言い方が自然です。協働の経験を1つ添えましょう |
| 市の計画への理解 | 第3次基本構想・基本計画の基本理念は「ともにみらいにつなぐ やさしさといこいの西東京」。6つの基本目標を掲げる | ともに、みらいにつなぐ、やさしさといこい。この3つのどれに自分の関心が寄るのかを決め、その理由を経験で裏づけます |
| 高齢化への理解 | 住民基本台帳(令和8年1月1日現在)で高齢化率24.7%、65歳以上は51,140人。都全体の高齢化率は令和7年9月の推計で23.4% | 率だけでなく実数の大きさに触れ、密度の高い市域でどう支えるかという具体へ進めてください |
| 試験の性格 | 第2次と第3次がどちらも人物試験。第2次の内容は第1次合格者にメールで通知される | 形式が読めない選考でも、見られているのは人と進める力だと分かっている、と伝わります |
使い方のコツは、6つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話にまとめておきましょう。
想定される評価の観点
面接は、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| ともに考えて動く力 | 立場の違う相手と、どう合意をつくったか | 求める人物像の2つ目です。相手の主張を聞いて自分の案を変えた場面を、変えた理由まで話せるようにする |
| 長い時間軸で考える力 | その場しのぎではなく、先を見て判断した経験があるか | 人物像の1つ目に次世代への責任という言葉があります。あとから効いてきた判断を、ひとつ用意しておく |
| 形式が読めない場での適応 | 知らされていない条件の中で、どう動き出したか | 第2次の人物試験は内容が事前に分かりません。初めての場で人と組んだ経験を、動き出しの手順まで話せるようにする |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。
西東京市は人物試験が2段階ありますので、同じ経験を複数の場面で語ることになります。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 自分が受ける回と区分の試験案内を読み、第1次試験の科目(テストセンター方式か筆記か専門試験か)と、資格による免除の有無を確認する
- これまでの経験を棚卸しする。学業、課外活動、アルバイト、職務経験のそれぞれから、話せる具体例を用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、面積15.75km²・人口207,227人・人口密度13,157人/km²という西東京市の輪郭と、合併から発足した経緯を自分の言葉で説明できるようにする
- 求める人物像の3類型に、自分の経験をひとつずつ当てはめる。当てはまらない類型があれば、そこが準備の穴です
- 初対面の相手と何かを進める場面を想定し、意見を短くまとめる練習と、相手の話を受けて自分の案を組み替える練習を、声に出して行う
優先すべきこと
ステップ4と5は上積みの部分です。持ち時間が少ないなら、まずステップ2で材料を集め、ステップ6の練習に時間を割くほうが効きます。第2次試験の中身は直前まで分かりませんので、形式に合わせた準備より、どんな場でも使える土台づくりが優先されます。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、西東京市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
西東京市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
西東京市は、2つの市がひとつになって生まれ、市の名前すら市民の応募と意向調査で決めた市です。基本理念の先頭に「ともに」が置かれ、求める人物像の真ん中にも「ともに考えていける人」が置かれています。
20万人が15.75km²に暮らすまちで、誰と、何を、どう一緒に進めたいのか。第2次試験の中身が知らされないこの選考では、その答えを持っている人だけが、どんな場面でも同じ強さで話せます。