本記事では、八王子市職員採用試験の面接対策で必要な、八王子市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
八王子市役所の採用試験では、「なぜ八王子市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の経験を市の仕事にどう生かせるのか」といった質問が想定されます。八王子市は都から多くの事務を引き受けている市ですから、都の仕事と市の仕事の違いを説明できるかどうかが、そのまま答えの厚みになります。
本記事の掲載内容を参考に、自分の関心と八王子市政の接点を整理し、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
八王子市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは八王子市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 平成27年4月1日に中核市へ移行した市。中核市の指定要件は、指定の政令が公布された平成26年5月の時点で人口30万人以上とされていた。
- 中核市への移行にあたり、法令等に基づいて東京都から市へ移された事務は合計1,261項目。分野は民生・保健衛生・環境・都市計画・建設・文教など広範にわたる。
- 市は地域保健法に基づき平成19年に東京都から保健所の移管を受けており、中核市になる前から保健所を持つ市だった。そのぶん移行時の移譲項目数は、他の中核市に比べて少なく整理されている。
- 人口は558,755人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、面積は186.38平方キロメートル。東京都の26市のなかで人口・面積ともに最大。
- 市域は町田市、多摩市、日野市、昭島市、福生市、あきる野市、西多摩郡檜原村と接し、神奈川県相模原市とも境を接する。
- 市の長期ビジョンは「八王子未来デザイン2040」で、そこに定める「みんなで目指す2040年の姿」の実現に向けて、職員の育成方針が組み立てられている。
- 令和8年度の大学等新卒枠は、行政・デジタル・社会福祉・心理・土木・建築・機械・電気・保育士・栄養士・保健師と職種の幅が広い。事務系のA行政の採用予定者数は100名程度で、これは大学院新卒枠や第2新卒・既卒枠を含めた数である。
- 採用試験の入り口に書類審査が置かれ、募集要項にも申込内容と提出書類が試験に含まれる旨が明記されている。
八王子市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値を大量に暗記する必要はありませんが、「八王子市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
次の表には、人口と市域の広さ、そしてどこと接しているかを軸に、志望動機の裏づけに使える項目を集めました。八王子市がどのあたりに位置する市なのかを測れるよう、東京都全体の数値もあわせて載せています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 558,755人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 総面積 | 186.38km² |
| 人口密度 | 2,998人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 住民基本台帳人口 | 558,755人(令和8年1月1日現在。次の2行の割合はこの値が分母) |
| 65歳以上人口・高齢化率 | 157,041人・28.1%(令和8年1月1日現在・住民基本台帳ベース) |
| 75歳以上人口・75歳以上率 | 94,083人・16.8%(令和8年1月1日現在・住民基本台帳ベース) |
| 隣接自治体 | 町田市、多摩市、日野市、昭島市、福生市、あきる野市、西多摩郡檜原村、神奈川県相模原市 |
| 市役所所在地 | 〒192-8501 東京都八王子市元本郷町三丁目24番1号 |
| 市の花・市の木 | ヤマユリ・イチョウ |
| (参考)東京都の総人口 | 14,273,066人(令和7年10月1日現在・推計) |
| (参考)東京都の人口の内訳 | 区部9,947,644人、市部4,249,936人、郡部53,258人、島部22,228人(令和7年10月1日現在・推計) |
| (参考)東京都の高齢化率 | 22.4%、75歳以上率13.3%(令和8年1月1日現在・住民基本台帳ベース) |
八王子市の面積・隣接自治体・市の花木・市役所所在地は、公表値をもとに当研究会が整理したものです(人口は住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。65歳以上・75歳以上の人口と割合は、総務省が公表する住民基本台帳に基づく令和8年1月1日現在の値で、国勢調査や推計人口とは調査そのものが異なります。統計の最新値は八王子市公式サイトでもあわせてご確認ください。
数字から考えられる市政課題
住民基本台帳に基づく令和8年1月1日現在の値では、八王子市の65歳以上人口は157,041人、高齢化率は28.1%で、75歳以上は94,083人(16.8%)です。同じ住民基本台帳ベースの東京都全体は高齢化率22.4%・75歳以上率13.3%ですから、八王子市は高齢化率で5.7ポイント、75歳以上率で3.5ポイント高い位置にあります(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(総務省)|令和8年1月1日現在)。
ここで一つ気をつけたいのは、比べる相手をそろえることです。上の表に載せた東京都の総人口は推計にもとづく値、高齢化率は住民基本台帳にもとづく値で、そもそも調査の枠組みが違います。
出所の異なる数字を並べて増減を語ると、話の前提がずれてしまいます。面接で都と市を比べるときは、住民基本台帳どうし、推計どうしで並べてください。
28.1%という水準は、55万人を超える住民基本台帳人口(558,755人)を分母にした割合です。1ポイントの変化が5,000人以上の動きに相当します。
制度の話をするときも、この人数の感覚を持っているかどうかで説明の重さが変わります。人数の感覚を持ったまま話すと、答えはたとえばこうなります。
八王子市の経済・産業
東京都の経済のなかに置いてみる
令和4年度の経済活動別都内総生産(名目)は120兆2千億円で、全国シェアは21.2%にのぼります。実質経済成長率は3.9%で、卸売・小売業、金融・保険業、運輸・郵便業などの増加が成長を牽引しました(出典:令和4年度都民経済計算・都内総生産等年報|令和4年度)。
八王子市の事業所や産業の統計は市の公表資料で確認する必要がありますが、面接で経済の話をするなら、まずはこの都全体の厚みを土台に置いておくと、話の位置が定まります。
区部と市部という二つの舞台
東京都の人口は令和7年10月1日現在の推計で14,273,066人。うち区部が9,947,644人、市部が4,249,936人で、人口のおよそ7割が区部に集中する一方、市部にも約425万人が暮らしています(出典:東京都の人口(推計)|令和7年10月1日現在)。
八王子市の人口密度は2,998人/km²で、たとえば西東京市の13,157人/km²や国分寺市の11,350人/km²と比べると、同じ都内の市でも土地の使われ方がまるで違うことがわかります。
加えて、八王子市は7つの市町村と接し、さらに神奈川県相模原市とも境を接します。市民の通勤や通学、買い物の動きが市の境を越えて広がるということですから、道路や交通、防災、廃棄物といった分野では、隣の自治体と歩調を合わせる場面が出てきます。
志望動機で「広域」という言葉を使うなら、この位置関係まで具体的に触れられると説得力が増します。
都の財政の強さと、市の財政は別物
東京都は令和6年度決算で財政力指数1.211(都道府県平均0.491)と地方交付税の不交付団体であり、実質公債費比率1.2%、経常収支比率80.3%と、財政指標は全国の都道府県のなかでも余裕のある部類です(出典:東京都の財政状況と都債|令和6年度決算)。ただし、都の財政が健全であることと、市の財政に余裕があることは別の話です。
市の予算規模や財政指標は八王子市の決算・予算資料で確かめ、面接では都の数字を市の数字のように語らないよう注意しましょう。
八王子市の主な行政課題
ここまでの数字を踏まえると、八王子市政が向き合っているテーマが見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。
都の平均より速く進む高齢化
高齢化率28.1%・75歳以上率16.8%(令和8年1月1日現在・住民基本台帳ベース)という数字は、都全体の22.4%・13.3%を上回ります。支える側と支えられる側の入れ替わりが、都の平均より一歩先に進んでいる市だと読めます。
しかも人口規模が大きいため、同じ比率でも動く人数の桁が違います。保健・福祉・介護の分野を志望する人は、市が保健所を持つ市であることとあわせて、この年齢構成を出発点に話を組み立てると具体的になります。
少子化と自然減という都全体の逆風
令和6年の東京都の出生数は84,207人で前年より2,141人減り、9年連続の減少となりました。死亡数は140,329人で、自然増減数はマイナス56,122人と、こちらも9年連続の自然減です。
合計特殊出生率は0.96で、前年の0.99から下がり8年連続の低下となりました(出典:令和6年東京都人口動態統計年報(確定数)|令和6年)。これは都全体の数値であり、八王子市単独の出生数ではありません。市ごとの動きは市の統計で確認したうえで、子育て支援を語るときの背景として使いましょう。
首都直下地震への備え
東京都が令和4年5月に公表した被害想定では、都心南部直下地震が冬の夕方に発生したケースで、死者約6,100人、負傷者約9万3,400人、建物被害約19万4,400棟、避難者約299万人、帰宅困難者約453万人と想定されています。震度6強以上となるのは23区の約6割の範囲とされています(出典:首都直下地震等による東京の被害想定|令和4年5月25日公表)。
この想定は都全体を対象としたもので、八王子市域の被害想定や避難所の考え方は市の地域防災計画で確認してください。面接では、都の想定の規模感を押さえたうえで、市域で自分に何ができるかまで話せると強い答えになります。
移された事務を担い続ける体制づくり
中核市への移行で1,261項目の事務が都から市へ移り、市が市民に直接向き合う範囲は大きく広がりました。事務が増えるということは、それを担う職員の力量が問われるということでもあります。
市が長期ビジョンに紐づけて職員の育成方針を定めているのは、この構造と無関係ではありません。人材の確保という観点では、令和8年度のA行政の採用予定者数が、大学院新卒枠や第2新卒・既卒枠を含めて100名程度とされていることも、組織の規模と世代交代の大きさを示す材料になります。
八王子市の重点政策|八王子未来デザイン2040
八王子市の長期ビジョンは「八王子未来デザイン2040」です。市の人財育成基本方針は、このビジョンに定める「みんなで目指す2040年の姿」の実現に向けて目指す職員像を設定しており、計画と人づくりが一本の線でつながる構成になっています(出典:八王子市人財育成基本方針)。
中核市移行で市に移った事務
八王子市を語るうえで外せないのが、平成27年4月1日の中核市移行です。このとき東京都から市へ移された事務は1,261項目にのぼります。分野別の内訳は次のとおりです(出典:中核市への移行について(八王子市)|平成27年4月1日移行)。
| 分野 | 移譲された事務の項目数 |
|---|---|
| 民生行政に関する事務 | 481項目 |
| 都市計画・建設行政に関する事務 | 404項目 |
| 環境行政に関する事務 | 279項目 |
| 保健衛生行政に関する事務 | 34項目 |
| 文教行政に関する事務 | 13項目 |
| その他の事務 | 50項目 |
| 合計 | 1,261項目 |
保健衛生の項目数が34と少ないのは、市が平成19年に保健所の移管を受けており、中核市になる前からその分野の事務を担っていたためです。逆に、民生と都市計画・建設の2分野だけで全体の7割を占める点は、暮らしとまちづくりの実務が市の側に集まっていることを示しています。
市が挙げる中核市移行の効果
市は移行の効果として、身体障害者手帳に関する事務を市で行うようになり、従来は交付までに1か月半かかっていた期間が2週間程度に短縮されたこと、保育士の配置基準を引き上げたこと、地域の歴史や実情に即した教育を実現できるようになったこと、廃棄物の不適切保管や不法投棄の未然防止に取り組めるようになったことを挙げています(出典:中核市Q&A(八王子市)|移行の効果)。
この4つは、抽象的な制度論を具体的な生活の変化に翻訳した好例です。志望動機で「市民に近い立場で働きたい」と述べるなら、手帳の交付が1か月半から2週間になるという変化のように、身近な手続きの時間が縮まることの意味まで語れると、言葉が自分のものになります。
POINT|制度の名前ではなく、変わったことを話す
中核市という言葉を知っていること自体は評価になりません。移行によって市民の何がどう変わったのかを、一つでよいので自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。
悪い例「八王子市は中核市なので、権限が大きくて仕事の幅が広いところに魅力を感じました」
改善例「中核市になったことで、身体障害者手帳の交付が一か月半から二週間ほどに短くなったと知りました。手続きを待つ時間が短くなるだけで暮らしは変わりますので、そういう改善を積み重ねる仕事をしたいです」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、要点を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
- 八王子市職員採用試験の受験案内(最新年度・自分が受ける枠のもの)
- 八王子未来デザイン2040と、その実行計画にあたる資料
- 八王子市人財育成基本方針(目指す職員像と行動指針)
- 中核市に関する市の説明ページ(移譲事務と移行の効果)
- 関心のある分野の個別計画と、最新年度の予算資料
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、八王子市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。八王子市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
八王子市役所の面接の概要
ここからは、八王子市役所の試験の形式と流れ、質問の全体像、備え方を、公表資料と当研究会の分析にもとづいて整理します。
八王子市役所の試験の流れ
令和8年度の大学等新卒枠では、行政系のA行政・Bデジタル・C社会福祉・D心理が書類審査から始まる4段階で、技術系や資格職のE土木からK保健師までは3段階です。行政系だけにグループワークと第三次試験が置かれている点が、区分による最大の違いになります。
| 項目 | 内容(令和8年度・大学等新卒枠) |
|---|---|
| 試験の段階(A行政ほか行政系) | 書類審査 → 第一次試験 → 第二次試験 → 第三次試験の4段階 |
| 書類審査 | 申込内容および提出書類による選考。募集要項に「申込内容・提出書類は試験に含まれます」と明記されている |
| 第一次試験 | 教養試験(Web方式・文章理解、数的処理 等・出題数21題・所要時間約30分) |
| 第二次試験 | 適性検査(Web方式・所要時間約15分)およびグループワーク(対面・課題に対する集団作業) |
| 第三次試験 | 口述試験(対面による個別面接) |
| 技術系・資格職(E土木〜K保健師) | 書類審査 → 第一次試験(教養試験・Web方式)→ 第二次試験(適性検査および口述試験)。グループワークと第三次試験は行政系のみ実施 |
| 会場 | グループワーク試験・口述試験は原則として八王子市役所本庁舎内会議室 |
| 配点 | 試験種目別の配点は募集要項に記載がありません。最終合格者は「全試験の成績を総合的に判定し、決定します」とされています |
| 採用予定者数(一般行政職) | A行政100名程度、Bデジタル10名程度、C社会福祉10名程度、D心理10名程度、E土木30名程度、F建築5名程度、G機械・H電気10名程度、I保育士5名程度、J栄養士10名程度、K保健師10名程度(大学院新卒枠・第2新卒・既卒枠を含む数) |
| 採用候補者名簿 | 高得点順に名簿へ登載し、採用の必要が生じたときに順に採用。名簿の有効期間は原則3年間 |
上記は八王子市が公表した令和8年度(2026年度)大学等新卒枠の募集要項にもとづく内容です。八王子市は同一年度に大学院新卒枠、第2新卒・既卒枠、社会人経験者枠、高卒程度など複数の枠を実施しており、枠ごとに試験構成が異なります。試験の構成・日程・区分は年度によって変わる可能性がありますので、受験の際は必ずご自身が受ける枠の最新の受験案内をご確認ください(出典:八王子市職員採用試験受験案内(大学等新卒枠)|令和8年度)。
もう一つ、八王子市の新卒枠には見落としやすい仕組みがあります。受験申込時に採用希望年度を3か年から選べるという点です。
令和9年4月、令和10年4月、令和11年4月のいずれかを選択でき、名簿の有効期間も原則3年間とされています。在学中の予定や留学、大学院進学の可能性がある人にとっては、志望の順序を組み立て直せる制度ですから、「なぜこの年度を希望したのか」を自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。
八王子市役所が目指す職員像
八王子市人財育成基本方針が掲げる目指す職員像は「未来を見据え、チャレンジする職員」です。方針は、社会環境の変化に伴って多様化・複合化する地域課題に対応するためには、これまでの経験や価値観、常識にとらわれることなく、主体的に「何のために」「何をすべきなのか」を考え、自律的に行動する姿勢が重要だとしています。
そのうえで、行動指針として「自ら考え、デザインする」「自ら動き、形にする」「人とつながり、共創する」の3点が定められています。考えるだけでも、動くだけでも足りず、人と組むところまでを一続きにしている点が特徴です。
自己PRでは、思いついた工夫を実際に形にし、その過程で誰を巻き込んだのかまで話せる材料を選びましょう。
ここからは公表資料を離れて、市の規模から来る一般的な事情も添えておきます。八王子市のように市域が広く、都内の7市町村と、さらに都県境を越えて相模原市とも接する規模の市では、市の職員だけで完結する仕事は多くありません。
地域の団体や事業者、隣接自治体と足並みをそろえて初めて前に進む案件が出てきます。1,261項目の事務を引き受けた市であればなおさらで、庁内と庁外の双方に足を運びながら、実現できる形まで案を練り直す姿勢が重視されやすいと考えられます。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。八王子市の口述試験も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 緊張していますか? | 場慣れの有無ではなく、想定外の一言に自然な調子で返せるか |
| ② 動機・志望 | なぜ公務員を志望するのですか? | 民間でもできる動機で止まっていないか。職業選択の筋道が経験とつながっているか |
| ③ 自己理解 | あなたの短所(弱み)は何ですか? | 自分を客観視できているか。短所とどう付き合っているかまで語れるか |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください | 困難の大きさではなく、その場面で何を考え、どう動いたかという行動の中身 |
| ⑤ 学業・経歴 | 卒業論文(研究)のテーマについて、簡単に説明してください | 専門外の相手に伝わる言葉へ翻訳する力。学びを仕事へつなげる視点 |
| ⑥ 適性・将来 | 入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか? | 市の仕事への理解の解像度。希望どおりの配属でなくても働ける柔軟さ |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近関心を持ったニュースは何ですか? | 社会の動きへのアンテナと、それについて自分の意見を一言で述べられるか |
ただし、この7カテゴリーは八王子市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「八王子市ならではの事情を踏まえた質問」です。
差がつくのは「八王子市役所ならでは」の質問
1問目は、八王子市では特に答えやすい質問です。第1部で見たとおり、都から市へ1,261項目の事務が移ったという事実そのものが、都と市の役割の違いを説明する材料になるからです。
どちらの質問も市の実情を知らなければ答えようがありませんが、逆に言えば、材料さえ持っていれば他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。使いやすい事実を絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい八王子市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| なぜ都庁ではなく市役所か | 平成27年4月1日の中核市移行で、東京都から1,261項目の事務が市へ移った。市は平成19年に保健所の移管も受けている | 権限が広いことを魅力として語るのではなく、身体障害者手帳の交付が1か月半から2週間に短縮された例のように、市民の手元で起きた変化を一つ挙げて話を締めます |
| 市の規模と位置 | 人口558,755人、面積186.38km²、人口密度2,998人/km²で、東京都の26市では人口・面積ともに最大。7市町村と接し、神奈川県相模原市とも境を接する | 大きい市ですという説明で終えず、市境を越えて生活圏が広がる市では、交通や防災で隣接自治体と歩調を合わせる場面が出てくるという話につなげます |
| 市の課題 | 高齢化率28.1%・75歳以上率16.8%(令和8年1月1日現在・住民基本台帳ベース)で、同じ基準の東京都全体(22.4%・13.3%)を上回る | 高齢化という言葉だけで終わらせず、住民基本台帳で55万人を超える市では1ポイントの変化が5,000人以上の動きになるという読み替えを添えます |
| 市の方針と職員像 | 長期ビジョン「八王子未来デザイン2040」に紐づく人財育成基本方針が、目指す職員像を「未来を見据え、チャレンジする職員」と定める | 目指す職員像を暗唱するのではなく、行動指針のうち自分の経験が重なるものを一つ選び、その経験を先に話してから指針に結び付けます |
| 試験の性格 | 行政系は書類審査から始まる4段階で、第二次試験にグループワーク、第三次試験に口述試験が置かれる。採用希望年度は3か年から選べる | 申込内容も選考の対象ですから、提出書類に書いたことと口述試験での発言がずれないよう、応募段階から一貫した軸を決めておきます |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、目指す職員像に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 自ら考え、デザインする | 与えられた前提を疑い、目的から考え直した経験があるか | 八王子市の行動指針の一つ目に重なる材料として、決められた手順をなぞるのではなく「何のために」を問い直した場面を用意する |
| 自ら動き、形にする | 思いつきで終わらせず、実際に手を動かして結果まで持っていったか | グループワークでも見られる部分なので、案を出した話とあわせて、その案がどこまで実行されたかを言えるようにしておく |
| 人とつながり、共創する | 立場や考えの違う相手と、共通の目的を作れたか | 1,261項目の事務を担う市では庁内外の調整が日常になるため、意見が割れた場面で自分がどう間に立ったかを具体的に話せるようにする |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。八王子市の口述試験は対面による個別面接ですから、この傾向はそのまま出ると考えてよいでしょう。
自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 自分が受ける枠(大学等新卒枠・大学院新卒枠・第2新卒・既卒枠など)の最新の受験案内を読み、試験の段階と提出書類を確認する
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。行政系はグループワークもあるため、人の意見に乗る練習もあわせて行う
優先順位に注意
ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、八王子市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
八王子市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
八王子市の試験は、申込内容を見る書類審査から始まり、行政系ではグループワークと口述試験が続きます。書いたことと話すことが一本につながっているかを、複数の場面で確かめられる仕組みだといえます。
1,261項目の事務を都から引き受けた市で、自分はどの現場に立ちたいのか。採用希望年度を3か年から選べる制度も含めて、いつ、どこで、何をしたいのかを具体的な言葉にしていってください。