本記事では、多摩市職員採用試験の面接対策で必要な、多摩市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
多摩市役所の採用試験では、「なぜ多摩市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「周囲と協力して動いた経験はあるか」といった質問が想定されます。多摩市の面接は個別と集団のどちらの方式になるかが事前に確定していないため、一対一でも、複数人の場でも通用する話し方を身につけておく必要があります。
本記事の掲載内容を参考に、自分の関心と多摩市政の接点を整理し、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
多摩市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは多摩市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 人口は148,248人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、面積は21.01平方キロメートル。
- 高齢化率は29.4%(令和8年1月1日現在・住民基本台帳ベース)で、同じ基準の東京都全体(22.4%)を大きく上回る。
- 市域は稲城市、府中市、日野市、八王子市、町田市と接し、さらに神奈川県川崎市とも境を接する。
- 市が募集要項の冒頭に掲げるメッセージは「一人じゃない。だからこそ、挑戦できる。 ~ チーム多摩市で、まちの未来をつくろう ~」。
- 市は市役所の仕事について、市民の声に耳を傾け、仲間と意見を交わしながら、より良い答えを探し続ける仕事だと説明している。
- 事務系の試験は3段階で、第2次試験に面接とグループワークが置かれている。
- 公務員経験者を対象にした第1次試験の免除制度がある。国や都道府県、他の市区町村の任期の定めのない常勤職員として、同一の行政機関で申込みの職種と同一の職務経験が3年以上ある場合が対象となる。
- 受験申込時に、採用希望時期を令和8年10月と令和9年4月から選べる。
多摩市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値を大量に暗記する必要はありませんが、「多摩市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、人口規模、市域の広さ、周囲との位置関係など、市政を説明するときに使える項目を優先して並べました。都内での位置をつかみやすいよう、東京都全体の数値もあわせて載せています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 148,248人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 総面積 | 21.01km² |
| 人口密度 | 7,056人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 65歳以上人口・高齢化率 | 43,604人・29.4%(令和8年1月1日現在・住民基本台帳ベース) |
| 75歳以上人口・75歳以上率 | 26,981人・18.2%(令和8年1月1日現在・住民基本台帳ベース) |
| 隣接自治体 | 稲城市、府中市、日野市、八王子市、町田市、神奈川県川崎市 |
| 市役所所在地 | 〒206-8666 東京都多摩市関戸六丁目12番地1 |
| 市の花・市の木 | ヤマザクラ・イチョウ |
| (参考)東京都の総人口 | 14,273,066人(令和7年10月1日現在・推計) |
| (参考)東京都の高齢化率 | 22.4%、75歳以上率13.3%(令和8年1月1日現在・住民基本台帳ベース) |
多摩市の面積・隣接自治体・市の花木・市役所所在地は、公表値をもとに当研究会が整理したものです(人口は住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。65歳以上・75歳以上の人口と割合は、総務省が公表する住民基本台帳に基づく令和8年1月1日現在の値で、国勢調査や推計人口とは調査そのものが異なります。上表の東京都の総人口は推計にもとづく値のため、住民基本台帳ベースの数値と直接は比べられません。統計の最新値は多摩市公式サイトでもあわせてご確認ください。
数字から考えられる市政課題
住民基本台帳に基づく令和8年1月1日現在の値では、多摩市の65歳以上人口は43,604人、高齢化率は29.4%で、75歳以上は26,981人(18.2%)です。同じ住民基本台帳ベースの東京都全体は高齢化率22.4%・75歳以上率13.3%ですから、多摩市は都の水準を7ポイント前後上回る位置にあります(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(総務省)|令和8年1月1日現在)。
差がいっそう大きいのは75歳以上の割合です。都全体が13.3%であるのに対し、多摩市は18.2%。約5ポイントの開きがあります。
65歳以上の全体で見るより、75歳以上で見たときのほうが差が広がるということは、高齢化がすでに次の段階に入っていると読むことができます。医療や介護、見守りといった支援は、この層で必要量が一気に増えます。
面接では、この数字を「多摩市は高齢化が進んでいます」で終えないことが大切です。
都と比べてどこが違うのか、その違いが市の仕事にどう跳ね返るのかまで言えると、志望動機の説明にも厚みが出ます。たとえば次のように話せます。
多摩市の経済・産業
東京都の経済規模を土台に置く
令和4年度の経済活動別都内総生産(名目)は120兆2千億円で、全国シェアは21.2%を占めます。実質経済成長率は3.9%で、卸売・小売業、金融・保険業、運輸・郵便業などの増加が伸びを支えました(出典:令和4年度都民経済計算・都内総生産等年報|令和4年度)。
多摩市の産業構成や事業所数は市の公表統計で確認する必要がありますが、都全体のこの厚みが、市の税収や雇用の背景にあることは押さえておきましょう。
都県境に接する市という条件
多摩市は稲城市、府中市、日野市、八王子市、町田市という5つの市と接し、加えて神奈川県川崎市とも境を接します。
都県境をまたぐ市では、通勤や通学、買い物、通院といった生活の動きが、行政の枠と一致しません。制度が県で分かれていても、住んでいる人の暮らしは境目で切れないからです。
このことは、面接で「地域の課題」を語るときに効いてきます。
市内だけを見て解決策を考えると、実際には市外に出ている市民の困りごとを取りこぼします。市境をまたぐ動きを前提に置いた発想ができる受験者は、それだけで具体性の水準が一段上がります。
交流と消費が伸びる都全体の流れ
令和5年の訪都旅行者数は全体で約4億9,410万人(日本人旅行者約4億7,456万人、外国人旅行者約1,954万人)で、外国人旅行者は過去最多となりました(出典:訪都旅行者数等の実態調査(東京都産業労働局)|令和5年)。
2024年の東京都の観光消費額は約9兆4,762億円、生産波及効果は約18兆4,844億円で、2019年比56.1%増です(出典:訪都旅行者数等の実態調査結果(東京都)|2024年)。
これは都全体の数値で、多摩市域に入ってくる人の流れを示すものではありません。ただ、都に人が集まり、そこでお金が動いているという事実は、市域にどう受け皿を作るかという問いにつながります。
多摩市の観光や産業に関する統計は、市の公式サイトで最新版を確認しておきましょう。
多摩市の主な行政課題
ここまでの数字を踏まえると、多摩市政が向き合っているテーマが見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。
都の平均を大きく超える高齢化
高齢化率29.4%・75歳以上率18.2%(令和8年1月1日現在・住民基本台帳ベース)という水準は、同じ基準の東京都全体(22.4%・13.3%)を上回ります。
65歳以上は43,604人で、これは市民の3人に1人に迫る割合です。人数が多いだけでなく、75歳以上に重心が移っていることが、この市の高齢化の特徴だといえます。
福祉や健康の分野を志望する人は、ここを出発点に据えると話が立ち上がります。
次の世代をどう迎えるか
令和6年の東京都の出生数は84,207人で前年より2,141人減り、9年連続の減少となりました。死亡数は140,329人で、自然増減数はマイナス56,122人と9年連続の自然減です(出典:令和6年東京都人口動態統計年報(確定数)|令和6年)。
これは都全体の数値であり、多摩市単独の出生数ではありません。
ただ、高齢化率が都より高い市では、支える側の世代をどう迎え入れるかという課題が、より切実な形で現れます。子育て支援や住まいの話題は、この文脈に置くと説得力が出ます。
大規模地震で壊れる建物への備え
東京都が令和4年5月に公表した被害想定では、都心南部直下地震が冬の夕方に発生した場合、建物被害は約19万4,400棟、死者は約6,100人、負傷者は約9万3,400人と見込まれています(出典:首都直下地震等による東京の被害想定|令和4年5月25日公表)。
この想定は都全体を対象としたもので、多摩市域の被害想定や避難所の考え方は市の地域防災計画で確認してください。
高齢の住民が多い市では、避難のときに支援を必要とする方が多くなります。建物の被害という話を、そこまでつなげて語れるかどうかが差になります。
市境をまたぐ暮らしへの対応
5つの市と接し、神奈川県川崎市とも境を接するという位置は、日々の行政に具体的な形で影響します。交通、防災、廃棄物、医療の受け入れなど、隣接自治体と足並みをそろえたほうが合理的な分野は少なくありません。
一つの市の中だけで完結する課題のほうが、むしろ少ないと考えたほうが実態に近いでしょう。面接で「多摩市でやりたいこと」を語るときも、市の中に閉じない視野を持っていることが伝わると強みになります。
多摩市の重点政策|市が示す仕事の定義と都の戦略
多摩市は募集要項の冒頭に「一人じゃない。だからこそ、挑戦できる。 ~ チーム多摩市で、まちの未来をつくろう ~」というメッセージを掲げています。そのうえで市役所の仕事を、市民の声に耳を傾け、仲間と意見を交わしながら、より良い答えを探し続ける仕事だと説明しています(出典:多摩市職員採用試験募集要項(事務系)|令和8年度実施)。
短い言葉ですが、仕事の定義として読むと輪郭がはっきりしています。正解が用意されている仕事ではないと言い切っているからです。
答えを探し続けるという表現は、聞くことと話し合うことが業務の中心にあるという宣言でもあります。
市が一緒に働きたいと述べている人
市は募集要項で、次のような方と一緒に働きたいと考えていますとして4点を挙げています。
| 市が挙げる4点 | 面接で確かめられそうな場面 |
|---|---|
| 市民の立場で物事を考えられる人 | 相手の事情から出発して自分の案を変えた経験があるか |
| 周囲と協力しながら仕事を進められる人 | グループワークで、他の人の意見をどう扱うか |
| 自分で考え、まず行動してみようとする人 | 指示を待たずに動いた場面と、その結果をどう受け止めたか |
| 経験を重ねながら成長していきたい人 | うまくいかなかった経験を、次にどう生かしたか |
4点のうち2つが人との関わりに関するものである点は見逃せません。第2次試験にグループワークが置かれていることと考え合わせると、一人で正解を出す力より、他人と一緒に答えを作る力に重心があると読むのが自然です。
東京都の戦略が示す方向
東京都は「未来の東京」戦略・2050東京戦略において、少子高齢化や気候危機を都政の重点課題として位置づけています(参考:「未来の東京」戦略・2050東京戦略(東京都政策企画局))。
都が長期の戦略で掲げる方向と、多摩市の現場で起きていることは、当然ながら重なります。ただし、市が独自に定める最上位計画の内容までは本記事では扱っていません。
多摩市の総合計画については、多摩市公式サイトの計画・方針のページで最新版をご確認ください。
POINT|チームという言葉を借りるだけで終わらせない
市がチームという言葉を掲げているからといって、協調性をアピールするだけでは足りません。意見が割れたときに自分がどう動いたのかまで話せて、はじめて材料になります。
悪い例「チームで働くことを大切にしたいので、周りと協力しながら仕事を進めたいです」
改善例「ゼミの発表準備で意見が二つに割れたとき、どちらが正しいかを決める前に、それぞれが何を心配しているのかを聞き直しました。そこから共通点が見えて、まとまった経験があります」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、要点を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
- 多摩市職員採用試験の募集要項(最新年度・事務系と技術系は別に公表されています)
- 多摩市の総合計画と、関心のある分野の個別計画
- 多摩市の地域防災計画(避難所と要支援者への対応)
- 最新年度の予算資料と、市長の施政方針に関する資料
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、多摩市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。多摩市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
多摩市役所の面接の概要
ここからは、多摩市役所の試験の形式と流れ、質問の全体像、備え方を、公表資料と当研究会の分析にもとづいて整理します。
多摩市役所の試験の流れ
令和8年度実施の事務系は3段階です。特徴的なのは第2次試験で、面接とグループワークの両方が行われます。
しかも面接は「個別又は集団面接方式により実施」と記載され、どちらになるか事前に確定していません。この前提を知らずに個別面接だけを想定して準備すると、当日の形式に足をすくわれます。
| 項目 | 内容(令和8年度実施・事務系) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験 → 第2次試験 → 第3次試験の3段階 |
| 第1次試験 | 教養試験(テストセンター形式・言語、数理、論理、常識、英語 等・60分間)と適正検査(テストセンター形式・35分間程度) |
| 第2次試験 | 面接(個別又は集団面接方式により実施)と、グループワーク(与えられた課題について、集団で作業等を実施) |
| 第3次試験 | 面接(個別又は集団面接方式により実施) |
| 会場 | 第2次・第3次とも多摩市役所内会議室を予定 |
| 出題の程度 | 上級は大学卒業程度、中級は短大卒業程度、初級は高校卒業程度 |
| 第1次試験の免除 | 令和8年3月31日までに国や都道府県、他の市区町村の任期の定めのない常勤職員として、同一の行政機関で申込みの職種と同一の職務経験が3年以上ある方は第1次試験が免除されます(免除者も適性検査は受験)。申込時に該当項目へチェックします |
| 申込方法 | インターネットによる申込みのみ(窓口申込は不可)。証明写真データが必要で、エントリーシートの提出は不要です。複数の試験区分や他の職種との重複申込みはできません |
| 配点 | 試験種目別の配点は募集要項に記載がありません |
| 採用の時期 | 受験申込み時に採用希望時期を令和8年10月と令和9年4月から選択できます。最終合格者は成績上位者から採用候補者名簿に登載され、名簿の有効期間は原則1年間。採用はすべて条件付で、採用後6か月間を良好な成績で勤務したときに正式採用となります |
| 任用条件 | こども性暴力防止法(令和6年法律第69号)に基づき、特定性犯罪の前科がないことを任用条件の1つとし、選考過程において面接等により確認するとしています |
上記は多摩市が公表した令和8年度実施(令和8年10月採用・令和9年4月採用)の事務系募集要項にもとづく内容です。多摩市は同一年度に事務系と技術系で募集要項を分けて公表しており、技術系の構成は異なる場合があります。試験の構成・日程・区分は年度によって変わる可能性がありますので、受験の際は必ずご自身が受ける職種の最新の募集要項をご確認ください。
試験区分と採用予定者数
事務系の令和8年度実施分は、次の区分で募集されています。
| 試験区分 | 採用予定者数 |
|---|---|
| 一般事務(経験者採用・上級)および一般事務(上級・中級・初級) | 合わせて25人程度 |
| 一般事務(社会福祉士・上級) | 3人程度 |
| 一般事務(ICT・経験者採用/ICT・上級) | 2人程度 |
| 一般事務(障がい者対象・上級/中級/初級) | 3人程度 |
なお、一般事務(経験者採用・上級)の受験資格は、申込日現在で民間企業等における職務経験年数が直近12年中8年以上ある方とされ、採用時の職は主任です。
会社員または自営業者等として週30時間以上勤務した経験が対象で、パート・アルバイトは含まれません。新卒での受験を考えている方は、同じ「一般事務」でも入口が分かれていることを押さえておきましょう。
多摩市役所が求める人物像
市が挙げる4点は第1部で見たとおりです。ここでは、それをどう面接の準備につなげるかを考えます。
4点はいずれも性格の描写ではなく、行動として観察できる内容で書かれている点が重要です。
市民の立場で考える、周囲と協力する、まず行動する、経験を次に生かす。どれも、過去にそうしたかどうかで確かめられます。
ここでいったん公表資料を離れ、規模から来る一般的な事情も見ておきましょう。人口14万人台の市役所は、地域の団体や事業者と組んで課題に当たる場面と、一人の職員が窓口から企画までを幅広く担う場面の両方があります。
多摩市が募集要項でチームという言葉を前面に出しつつ、自分で考えてまず行動することも求めているのは、この二つの性格を併せ持つ規模だからだと考えられます。人と組む力と、自分で動く力の両方を、別々のエピソードで語れるようにしておくと安心です。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。多摩市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 緊張していますか? | 場慣れの有無ではなく、想定外の一言に自然な調子で返せるか |
| ② 動機・志望 | なぜ公務員を志望するのですか? | 民間でもできる動機で止まっていないか。職業選択の筋道が経験とつながっているか |
| ③ 自己理解 | あなたの短所(弱み)は何ですか? | 自分を客観視できているか。短所とどう付き合っているかまで語れるか |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください | 困難の大きさではなく、その場面で何を考え、どう動いたかという行動の中身 |
| ⑤ 学業・経歴 | 卒業論文(研究)のテーマについて、簡単に説明してください | 専門外の相手に伝わる言葉へ翻訳する力。学びを仕事へつなげる視点 |
| ⑥ 適性・将来 | 入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか? | 市の仕事への理解の解像度。希望どおりの配属でなくても働ける柔軟さ |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近関心を持ったニュースは何ですか? | 社会の動きへのアンテナと、それについて自分の意見を一言で述べられるか |
ただし、この7カテゴリーは多摩市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「多摩市ならではの事情を踏まえた質問」です。
差がつくのは「多摩市役所ならでは」の質問
集団面接の形式になった場合、他の受験者の答えを聞いたあとに自分が話す順番が回ってきます。用意した文章をそのまま読み上げるような話し方だと、流れから浮いてしまいます。
材料を持ったうえで、その場の流れに合わせて出し方を変えられる状態を目指しましょう。使いやすい事実を絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい多摩市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| なぜ都庁ではなく市役所か | 多摩市は人口148,248人、面積21.01km²の市で、市民の暮らしに直接触れる窓口を持つ | 都と市の役割の違いを説明するだけで終えず、高齢化率が都より高いこの市で自分がどの現場に立ちたいのかを一つ挙げます |
| 市の課題 | 高齢化率29.4%・75歳以上率18.2%(令和8年1月1日現在・住民基本台帳ベース)で、同じ基準の東京都全体(22.4%・13.3%)を上回る | 高齢化という言葉で止めず、65歳以上より75歳以上のほうが都との差が大きいという読み取りまで示します |
| 市の位置と広域の視点 | 稲城市、府中市、日野市、八王子市、町田市と接し、神奈川県川崎市とも境を接する | 都県境をまたぐ市では市民の生活が行政の枠と一致しないという話に運び、市内だけを見ない発想を示します |
| 市の仕事観 | 市は市役所の仕事を、市民の声に耳を傾け、仲間と意見を交わしながら、より良い答えを探し続ける仕事だと説明している | この一文を引用するのではなく、正解が用意されていない仕事だと自分が受け止めた理由を語ります |
| 試験の性格 | 第2次試験に面接とグループワークが置かれ、面接は個別又は集団面接方式で実施される。採用希望時期は令和8年10月と令和9年4月から選べる | グループワークがあることを踏まえ、初対面の人と短時間で作業をした経験を一つ用意しておきます |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、市が挙げる4点に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 市民の立場で物事を考えられるか | 自分の都合ではなく相手の事情を起点に判断した場面があるか | 高齢化率が都を7ポイント前後上回る市であることを踏まえ、年齢や体調の違う相手に合わせて説明の仕方を変えた経験を選ぶ |
| 周囲と協力しながら進められるか | グループワークで、意見の違いをどう扱うか | 多摩市では第2次試験に集団での作業が置かれているため、まとめ役でなくても場に貢献した経験を言葉にしておく |
| 自分で考え、まず行動できるか | 誰かの指示を待たずに動き出した経験があるか | 市がチームという言葉と並べて自ら動くことを挙げている点を意識し、動いた結果が思わしくなかった場合の受け止め方まで用意する |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。
集団面接の形式であっても、この掘り方は変わりません。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを、短くも長くも話せる形で用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 最新年度の募集要項を読み、自分が受ける区分と採用希望時期、申込みに必要な証明写真データの規格を確認する
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 同じ答えを1分版と3分版で話す練習をする。個別と集団のどちらの方式でも対応できるよう、長さを調節できる状態にしておく
優先順位に注意
ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
グループワークまで含めて対策を整えたい場合は、多摩市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
多摩市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
多摩市の試験は、面接の方式が個別か集団かを事前に決めていません。加えて第2次試験にはグループワークがあります。
用意した答えを正確に再現する力より、その場にいる人に合わせて言葉を選ぶ力が試される構成だといえます。
市民の3人に1人に迫る割合が65歳以上というまちで、仲間と一緒に答えを探し続ける。その姿を自分の経験と重ねながら、当日の空気に耐える言葉を作っていってください。