豊後高田市消防本部を志望する方に向けて、面接で問われる前提となる組織研究の材料(本部の特徴・基礎データ・管轄地域の災害リスク・消防課題・重点方針)と、面接本番の流れ・想定される質問・評価の観点を、1ページに整理しました。

豊後高田市消防本部の面接試験では、「なぜ警察官や自衛官ではなく消防官なのか」「なぜ豊後高田市消防本部なのか」「自分の強みや経験を消防の仕事でどう活かしたいか」といった、組織への理解を前提とする質問が想定されます。管轄地域の災害リスクや本部の体制を知っておくことで、どの消防本部にも当てはまる一般論を避け、豊後高田市に固有の事情を踏まえた説得力のある説明がしやすくなります。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と豊後高田市消防本部の仕事の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|組織研究編

豊後高田市消防本部の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは豊後高田市消防本部の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 豊後高田市消防本部は豊後高田市が単独で設置する消防本部で、管轄区域は豊後高田市のみである。
  • 本部は総務課・警防課・予防課の3課で構成される。総務課は職員の身分・服務・福利厚生や予算・経理、消防団に関する事務を、警防課は火災・災害の警戒防ぎょ、職員の教育訓練、救急救助業務、応急手当の普及啓発を、予防課は予防査察・防火管理・火災原因調査・建築確認同意・消防設備検査・火災予防の普及啓発を、それぞれ担っている。
  • 令和8年度は消防職の募集がなく、令和9年度の採用実施も未定とされている。
  • 119番通報の受信は、令和6年10月1日に本格運用が始まった「おおいた消防指令センター」に委ねており、県内14消防局・本部の一つとしてこの体制に加わっている。
  • 採用は豊後高田市が実施する市職員採用試験の一区分として行われる型で、消防本部が単独で試験を実施する形ではない。
  • 管内には「昭和の町」と呼ばれる、昭和30年代をテーマにした全長550mの商店街のまちづくりがあり、市の観光の中核となっている。

豊後高田市消防本部の基礎データ

面接に向けた組織研究では、細かな統計値をすべて暗記する必要はありませんが、「豊後高田市消防本部の大体のスケール感」をつかんでおくことは重要です。

下の表に、管内人口と45人の吏員体制、3課の組織構成、出動件数の内訳をまとめました。

項目内容
設置形態単独(構成団体:豊後高田市)
管内人口21,553人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)
消防吏員数(うち女性)45人(うち女性0人)※令和7年4月1日現在
出動件数(火災/救急/救助)4件/1,532件/36件(令和6年中)
組織構成総務課・警防課・予防課の3課体制
令和8年度の消防職募集なし(令和9年度の採用実施も未定)

管内人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在によります。消防吏員数・出動件数は総務省消防庁の公表データによります(全国の消防本部データ検索|総務省消防庁。吏員数は令和7年4月1日現在、出動件数は令和6年中)。組織構成は豊後高田市が公表する消防本部の組織ページによります。

数字から考える豊後高田市消防の課題

一目で分かるのは、火災4件に対して救急1,532件という桁違いの差です。およそ380倍という開きで、45人の日常業務は救急でほぼ埋まっていると言ってよい水準です。

その差を生んでいるのが、管内の年齢構成です。豊後高田市の高齢化率は38.1%(令和8年1月1日現在)、75歳以上の割合は22.8%で、救急需要が高止まりしやすい構成になっています。

「豊後高田市では、救急の出動が火災の何百倍もあるとうかがいました。高齢化率も4割近いとのことですので、45人という体制の中で救急の比重がさらに大きくなっていくのだろうと感じています」

管轄地域の特性と災害リスク

管轄地域の全体像

  • 豊後高田市消防本部は豊後高田市のみを管轄する。市内には昭和30年代をテーマにした商店街のまちづくり「昭和の町」があり、市の観光の中核となっている。
  • 大分県北部、国東半島の付け根に位置し、周防灘に面する。市街地は海に近い平野部に広がり、内陸部には山あいの集落も点在する。

南海トラフ地震と津波の想定

南海トラフ巨大地震について内閣府が令和7年3月31日に公表した新想定では、豊後高田市の最大津波高は4mと想定されています。

県内最大の佐伯市14mと比べれば低い数字ですが、周防灘に面した平野部に市街地が広がる以上、海からの浸水を想定した備えは必要です。(出典:南海トラフ巨大地震 市町村別最大津波高|内閣府(令和7年3月31日公表))

内陸地震のリスク

大分県地震被害想定調査(平成31年3月報告)では、中央構造線断層帯による地震で死者最大28,972人(夏12時)、建物の全壊・焼失は最大88,408棟(冬18時)にのぼると想定され、大分市・別府市・由布市などで最大震度7が想定されています。想定の範囲は県内全域で、県北に位置する豊後高田市も対象に含まれます。(出典:大分県地震被害想定調査|平成31年3月)

津波と内陸地震の両面からのリスクを理解しておきましょう。

豊後高田市の主な消防課題

ここまでの数字と地域の姿を踏まえると、豊後高田市消防本部が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「消防の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。

救急需要への対応

全国の救急出動は令和6年中に771万8,380件となり、昭和38年に統計をとりはじめてから最も多い件数を更新しました。(出典:令和7年版 救急・救助の現況)豊後高田市消防本部の救急出動も年間1,532件(令和6年中)を数え、火災4件との差がそのまま日々の業務量の内訳になっています。

大規模災害への備えと広域連携

大分県北の一角を45人で守る本部にとって、大規模災害への備えは自前の体制だけでは完結しません。全国の消防本部の約99%にあたる718本部(6,661隊・令和6年4月1日現在)が緊急消防援助隊に登録し、県境を越えて隊を送り合う仕組みが整えられています。(出典:令和6年版 消防白書)

大分県内でも、令和6年10月1日から大分市の「おおいた消防指令センター」が県内14消防局・本部の119番通報を一元的に受信する体制が本格運用されており、豊後高田市消防本部もこの体制に参加しています。

119番の受信は大分市が担う一方、実際の出動は従来どおり豊後高田市消防本部自身が行う、という二層構造です。

予防と住宅防火

放火自殺者等を除く住宅火災の死者のうち、65歳以上が占める割合は全国で74.5%(令和5年中762人)に達しています。(出典:令和6年版 消防白書)予防課が担う予防査察・防火管理・火災原因調査・火災予防の普及啓発は、高齢化が進む管内で重みを増す業務です。

人材確保と女性消防吏員の活躍

全国の消防吏員のうち女性が占める比率は約3.8%(令和7年4月1日現在、168,230人中6,386人)で、国はこれを令和8年度当初までに5%まで引き上げる目標を掲げています。(出典:女性消防吏員の活躍推進|消防庁)豊後高田市消防本部の45人の吏員に、女性はいません(令和7年4月1日現在)。

募集の時期が読みにくい規模の本部でもあり、人材をどう迎え入れるかは中長期の課題として残ります。

重点方針|大分県消防の広域連携とおおいた消防指令センター

豊後高田市消防本部には、独自の方針文書として公表されているものがありません。方向性を読み取る手がかりは、令和6年10月1日に本格運用が始まった「おおいた消防指令センター」を軸に、大分県内の本部どうしが結び付いている枠組みのほうにあります。

大分県内14消防本部が参加する指令の共同運用

大分県内の14消防局・本部の119番通報は、令和6年7月からの試験運用を経て、令和6年10月1日から大分市の「おおいた消防指令センター」で一元的に受信されています。

これは地方自治法第252条の14に定める「事務の委託」の方式で、大分市消防局が受託側、豊後高田市消防本部を含む13本部が委託側という二層構造になっています。

119番の受信は大分市が担う一方、実際の出動は従来どおり豊後高田市消防本部自身が行います。(出典:消防指令業務の共同運用(おおいた消防指令センター)|大分県)

POINT|覚えるべきは名称ではなく筋道

暗記すべき方針名がない本部では、理解の筋道そのものが答えになります。①なぜ広域連携が要るのか→②豊後高田市消防本部はどの位置にいるのか→③それが管内の暮らしにどう届くのか→④自分の経験や強みはどこで生きるのか。この流れで話せれば十分です。

悪い例「小さいころから消防車にあこがれていたので、消防官を志望します」

改善例「まずは体力試験に向けてしっかり体をつくり、消防吏員として現場に立てる基礎を固めたいです。その上で、豊後高田市はおおいた消防指令センターへの参加など広域での連携を進めていると理解していますので、少人数の体制で予防から救急まで幅広く担う消防吏員になりたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

豊後高田市消防本部は令和8年度の消防職募集がないため、今すぐ手続きを確認する資料はありません。志望動機の材料として、下記の地域資料に目を通しておきましょう。

  • 豊後高田市消防本部の組織のページ(総務課・警防課・予防課の分掌事務)
  • 豊後高田市職員採用試験の案内ページ(消防職の募集再開の確認)
  • 総務省消防庁「女性消防吏員の活躍推進」本部別データ検索
  • 「昭和の町」など豊後高田市の観光・地域紹介ページ

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、豊後高田市消防本部専用の面接想定問答集をご用意しています。豊後高田市消防本部の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

豊後高田市消防本部の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

豊後高田市消防本部の面接の概要

ここからは、豊後高田市消防本部の採用試験の現状、想定される質問、評価の観点を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。募集が止まっている今だからこそ、組織の実態を正確に押さえておく意味があります。

採用試験の現状

令和8年度の豊後高田市職員採用試験は、事務職・事務職(DX)・土木技術職の募集のみで、消防職の募集は含まれていません。総務省消防庁が公表する本部別データでも、令和8年度の採用予定は「採用しない予定」、令和9年度は「採用実施は未定です」とされています。

参考までに、令和8年度に募集のあった事務職等の試験は総合適性検査(SCOA)に続いて作文・個人面接を行う2段階構成でしたが、これは消防職を含まない年度の案内であり、消防職の募集が再開された際に同じ構成が使われるとは限りません。

消防職の募集は、豊後高田市職員採用試験の案内ページで随時公表されます。

上記は、豊後高田市が公表する令和8年度の職員採用試験情報および総務省消防庁の公表データにもとづく情報です(出典:職員採用試験案内|豊後高田市)。消防職の募集状況は年度によって変わりますので、受験を検討する際は必ず最新の情報でご確認ください。

豊後高田市消防本部が求める人材

豊後高田市消防本部は、「求める人物像」にあたる公表文言を示していません(2026年9月時点・当研究会調べ)。総務課・警防課・予防課の3課、45人という体制の本部では、一人が幅広い業務を任される場面が多く、住民との距離の近さも大都市の本部とは事情が異なります。

決まった担当だけをこなすのではなく、その時々に必要な役割を引き受けられるかどうかが見られやすいでしょう。

採用が毎年行われるとは限らない規模でもあるため、少人数の組織に長く定着できるかという視点も持たれている可能性があります。地域外の出身であっても、豊後高田市のどのような暮らしに関わりたいのかを具体的に語れれば十分に補える部分です。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。豊後高田市消防本部の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日はここまでどうやって来ましたか?緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます
② 動機・志望なぜ豊後高田市消防本部を志望するのですか?消防官という仕事とこの地域を、自分の言葉で選べているか
③ 自己理解あなたの短所(弱み)は何ですか?自分を客観視できているか。弱みへの向き合い方に人柄が出ます
④ 経験・行動これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください過去の行動の事実。壁にぶつかったときの対処が現場の仕事に通じるか
⑤ 学業・経歴学校生活やアルバイトで、力を入れて取り組んだことは何ですか?経験の中身と、そこでの役割・行動を具体的に語れるか
⑥ 適性・将来体力づくりのために、日ごろどのようなことをしていますか?交替制勤務と現場活動を続けるための体力・生活習慣・覚悟
⑦ 公共性・社会性消防官(公務員)に最も必要な資質は何だと思いますか?仕事の公共性への理解と、社会の出来事への当事者意識

この7分類は、大規模な消防局でも45人規模の本部でも共通します。ここから先、豊後高田市消防本部を選んだ理由まで踏み込めるかどうかは、次の固有質問で決まります。

合否を分けるのは豊後高田市消防本部に固有の質問

「なぜ警察官や自衛官ではなく、消防官なのですか?」
「なぜ豊後高田市消防本部を志望するのですか?」

1問目は消防官という職業そのものを選んだ理由を、2問目は豊後高田市消防本部を選んだ理由を確かめる質問です。豊後高田市の地域事情を具体的に知っているかどうかで、答えの厚みが変わってきます。

面接で使いやすい「豊後高田市の事実」を絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい豊後高田市の事実答え方のヒント
単独設置と組織構成豊後高田市のみを管轄する単独の消防本部で、総務課・警防課・予防課の3課体制(第1部1・2章)少人数の組織だからこそ一人が担う役割の幅が広いことを理解していると伝える
救急対応の実態45人の体制で年間火災4件・救急1,532件・救助36件に対応(令和6年中、第1部2・4章)45人という少人数の体制で救急対応の比重が大きいことへの理解を示す
津波・地震のリスク南海トラフ巨大地震の想定最大津波高は4m(第1部3章)管内の災害リスクを自分の言葉で説明できるようにしておく
広域連携の取組令和6年10月1日から「おおいた消防指令センター」に参加し、119番の受信を大分市に委託している(第1部5章)45人という体制を県全体の連携の仕組みで補っていることへの理解を示す

使い方のコツは、4つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、事実 → 自分の問題意識 → 消防吏員としてやりたいことという一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

豊後高田市消防本部は現在、消防職の配点や求める人物像にあたる公表文言を示していません。募集が再開された場合に備え、公務員試験で広く用いられているコンピテンシー評価(行動の事実をもとに入庁後の再現性を判断する考え方)を一般論として知っておくと、面接準備の道しるべになります。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
豊後高田市を選ぶ理由の具体性「昭和の町」のような表の顔だけでなく、管内の暮らしの実情まで踏まえて志望動機を語れているか地域の実情を自分の体験や関心と結び付けて話せるように整理しておく
3課をまたぐ業務への適応力総務・警防・予防のどこに配属されても自分から仕事を覚えていく姿勢があるかやったことのない役割を引き受けて形にした経験を用意しておく
募集再開まで続ける体力づくり交替制勤務や現場活動に必要な体力・生活習慣を維持できているか募集が公表される前から続けている運動や生活の整え方を、期間を添えて話せるようにしておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分が実際に経験した場面に基づく実体験に根ざした答えを、細部まで具体的に語れるよう準備しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

消防職の募集がない現在は、次の準備を進めておくと、募集再開時にすぐ動けます。

  1. 豊後高田市の職員採用試験ページを定期的に確認し、消防職の募集再開情報を見逃さないようにする
  2. これまでの経験を棚卸しする。学業やアルバイトから、周囲と協力して動いた具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 組織研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 実際に口に出してリハーサルし、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。体力づくりも並行して進めておく

優先順位に注意

ステップ4〜5の組織研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。募集の再開時期が読めない以上、ステップ2の経験の棚卸しを日ごろから続けておくことを優先してください。自分のことを語れない状態で豊後高田市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、豊後高田市消防本部専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

豊後高田市消防本部の採用面接で出題が想定される質問について、回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、募集が始まった際に面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。

豊後高田市消防本部の想定問答集を見る

さいごに

豊後高田市消防本部は、豊後高田市のみを45人という体制で管轄しています。総務課・警防課・予防課の3課が、身分・服務から火災・救急・救助、予防査察までを分担して担っています。

火災4件に対し救急1,532件という開きからも分かるとおり、日々の活動の中心は救急対応にあります。令和8年度は消防職の募集がありませんが、令和6年10月からはおおいた消防指令センターへの参加も始まり、大分県全体での連携も進んでいます。

募集の再開に備えて、豊後高田市の地域性を理解した上で、自分の経験のどこがこの本部の仕事に活かせるのかを、今のうちから言葉にして準備しておきましょう。