臼杵市消防本部を受験する方に向けて、面接で問われる前提となる組織研究の材料(本部の特徴・基礎データ・管轄地域の災害リスク・消防課題・重点方針)と、面接本番の流れ・想定される質問・評価の観点を、1ページに整理しました。

臼杵市消防本部の面接試験では、「なぜ警察官や自衛官ではなく消防官なのか」「なぜ臼杵市消防本部を志望したのか」「自分の強みや経験を消防の仕事でどう活かしたいか」といった、組織への理解を前提とする質問が想定されます。管轄地域の災害リスクや採用試験の構成を知っておくことで、どの消防本部にも当てはまる一般論を避け、臼杵に固有の事情を踏まえた説得力のある説明がしやすくなります。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と臼杵市消防本部の仕事の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|組織研究編

臼杵市消防本部の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは臼杵市消防本部の全体像を把握しておきましょう(時間のない方はここだけでもチェック)。

  • 臼杵市消防本部は、人口約3.4万人の臼杵市を単独で管轄する市直営の消防本部である。一部事務組合や広域連合ではなく、他市町村からの受託・事務委託の記載もない。
  • 2つの署所に配置される消防吏員は67人で、うち女性は1人である(令和7年4月1日現在)。
  • 令和6年中の出動件数は、火災12件・救急2,403件・救助24件である。
  • 署所は本部・消防署(臼杵市大字前田)と臼杵市消防署野津分署(臼杵市野津町大字宮原)の2か所で、いずれも24時間業務を行っている。
  • 消防指令業務は大分市の「おおいた消防指令センター」への事務委託に切り替わった一方、現場への出動は従来どおり臼杵市消防本部が担っている。通報を受ける主体と出動する主体が分かれた体制である。
  • 管内には61体すべてが国宝に指定される臼杵石仏があり、令和3年11月にはユネスコ創造都市ネットワーク(食文化分野)への加盟が認定された歴史・文化資源に富む地域である。
  • 消防職(消防士)は、臼杵市職員採用試験【秋日程】の一区分として若干名が募集されている。

臼杵市消防本部の基礎データ

面接に向けた組織研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「臼杵市消防本部の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

下の表には、臼杵市の人口規模と、それを支える消防吏員の体制・署所・出動件数を集めています。

項目内容
管内人口34,189人(高齢化率42.6%・75歳以上率26.2%)(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
消防吏員数67人(うち女性1人)(令和7年4月1日現在)
署所数2か所(本部・消防署、野津分署)
火災出動件数12件(令和6年中)
救急出動件数2,403件(令和6年中)
救助出動件数24件(令和6年中)
119番受信体制大分市「おおいた消防指令センター」へ事務委託(令和6年10月1日本格運用)

管内人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在、署所数は市公式サイトによる数え上げ、消防吏員数・出動件数は総務省消防庁が公表する全国の消防本部のデータによります。

数字から考えられる臼杵消防の課題

出動の内訳を見ると、臼杵の消防が日常的に動いている場面が浮かび上がります。火災12件・救助24件に対し、救急出動は2,403件で、火災と救助を合わせた36件の実に67倍にあたります。

臼杵市の高齢化率は42.6%、75歳以上率は26.2%(いずれも住民基本台帳・令和8年1月1日現在)と高く、この人口構成が救急需要を押し上げていると考えられます。

2署所24時間体制という規模感を踏まえると、67人の吏員がどれだけ幅広い業務をこなしているかがイメージしやすくなります。

「臼杵市消防本部では、令和6年中の救急出動が約2,400件と伺いました。火災や救助よりも桁の大きな数字で、高齢化率が4割を超えていることを考えると、2つの署所で救急対応をどう分担していくかが重要になっているのではと感じています」

管轄地域の特性と災害リスク

管轄地域の全体像

つまり臼杵市消防本部は、歴史的な文化資源を抱える一方で、南海トラフ地震という共通の大規模災害リスクにも向き合う本部だと整理できます。地域の魅力と防災上の課題の両方を押さえておくと、志望動機に厚みが出ます。

南海トラフ地震のリスク

内閣府の南海トラフ巨大地震の新想定(令和7年3月31日公表)では、臼杵市の最大津波高は7mとされています(大分県内の最大値は佐伯市の14m)。(出典:南海トラフ巨大地震の被害想定|内閣府(令和7年3月31日公表))震度の想定はこれとは別の資料に基づきます。

大分県地震被害想定調査(平成31年3月報告)は、南海トラフの巨大地震で臼杵市を大分市・佐伯市・津久見市・豊後大野市などとともに最大震度6強と見込んでいます。(出典:大分県地震被害想定調査|大分県(平成31年3月報告))

臼杵市の主な消防課題

ここまでの数字と地域の姿を踏まえると、臼杵市消防本部が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「消防の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の3つを押さえておきましょう。

救急需要への対応

全国の救急出動は令和6年中に771万8,380件へ増え、昭和38年に統計を取り始めてから最も多い件数を記録しました。

臼杵市消防本部の2,403件(令和6年中)は、本部・消防署と野津分署の2署所で1日あたり6件を超えるペースで受け止めている計算になります。(出典:令和7年版 救急・救助の現況|総務省消防庁)

大規模災害への備え

最大津波高7mという南海トラフ地震の想定に向き合う臼杵市消防本部では、2署所という限られた拠点でどこまで初動を組めるかが課題になります。

大分県内14消防局・本部の消防指令業務は、地方自治法第252条の14に定める事務の委託によって共同運用へ移っており、臼杵市消防本部の位置づけは委託する側であり、受信の窓口は大分市に移った一方、現場へ向かうのは今も臼杵の2署所です。(出典:市町村消防指令業務の共同運用について|大分県)

人材確保と女性吏員の活躍

消防吏員67人に対し、女性は1人(令和7年4月1日現在)です。全国の消防吏員168,230人のうち女性は6,386人で約3.8%(令和7年4月1日現在)、国はこれを「令和8年度当初までに5%」へ引き上げる目標を掲げています。

若干名という募集規模の中で、性別にかかわらず必要な人材を集め続けられるかどうかは、これから受験する側にとっても切実な問題です。(出典:女性消防吏員の活躍推進|消防庁)

重点方針|消防指令業務の広域化と2署所体制

臼杵市消防本部そのものが掲げる運営方針や重点目標にあたる文書は、当研究会が調べた範囲の公表資料では見つかりませんでした。代わりに組織の姿を映しているのが、本部・消防署と野津分署による2署所24時間体制と、大分県内の消防局・本部が共同で進めた指令業務の広域化という2つの枠組みです。

2署所24時間体制

臼杵市消防本部は、市街地部を担う本部・消防署と、野津町地域を担う野津分署の2署所で、いずれも24時間の業務体制を敷いています。市域が市街地部と野津地域に分かれる中で、地域ごとの初動対応を担保する体制だといえます。

広域指令体制への参加

中心にあるのは「おおいた消防指令センター」です。令和6年7月に試験運用へ入り、同年10月1日から本格運用に移りました。(出典:市町村消防指令業務の共同運用開始記念式典|豊後大野市(令和6年10月1日本格運用開始))

運営方式は地方自治法第252条の14に定める大分市への「事務の委託」で、臼杵市消防本部は指令業務を大分市へ委託する側にあたります。(出典:市町村消防指令業務の共同運用について|大分県)

あわせて確認したい公式資料

臼杵市消防本部の消防職(消防士)は3段階の試験(書類審査・総合適性検査・録画面接、集団討論、個人面接)で選考されます。手続きの確認に使う資料と、地域や組織の理解を深める資料は、次のように分けて当たると効率的です。

  • 臼杵市職員採用試験【秋日程】(消防職)の実施要項
  • 臼杵市消防本部・消防署のページ(署所・体制の説明)
  • 大分県公式サイトの消防指令業務の共同運用に関するページ
  • 内閣府の南海トラフ巨大地震の被害想定資料

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、臼杵市消防本部専用の面接想定問答集をご用意しています。臼杵市消防本部の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

臼杵市消防本部の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

臼杵市消防本部の面接の概要

ここからは、臼杵市消防本部の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

臼杵市消防本部の面接の流れ

消防職(消防士)の試験は、臼杵市職員採用試験【秋日程】の一区分として実施され、第1次=書類審査・総合適性検査(基礎能力・事務能力)・録画面接、第2次=集団討論、最終=個人面接という3段階で構成されています。実施要項には「各試験種目においてそれぞれの合格基準に満たない種目がある場合は、他の成績にかかわらず不合格となります」と明記されており、種目ごとの基準点制であることが分かります。

項目内容(令和8年度秋日程・消防職)
試験の段階3段階。第1次=書類審査・総合適性検査・録画面接(消防職が録画面接の対象になるかは実施要項内で表記が揺れており断定できません)、第2次=集団討論、最終=個人面接
面接の種類個人面接(最終試験)
集団形式集団討論(第2次試験。会場は臼杵市役所)
人物試験の配点公表されていません。最新の受験案内でご確認ください
最終試験当日の提出書類最終学歴の成績証明書

録画面接については、実施要項の表紙に「在宅での録画面接(事務職のみ)」とある一方、日程表では消防職も対象に含む記載があり、表記に揺れがあります。消防職が録画面接の対象になるかどうかは、必ず最新の受験案内でご確認ください。

第1次試験のテストセンター会場は全国約350か所にのぼり、大分県内にも3会場が設けられています。

上記の試験構成は、臼杵市が公表する令和8年度秋日程の消防職のものです。試験の構成・日程・配点等は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。

臼杵市消防本部が求める人材

消防職の受験者に向けた「求める人物像」の明文も公表されていません(当研究会調べ)。代わりに読み取りの手がかりになるのが、署所の配置と選考の設計です。

67人の吏員で2署所24時間体制を組む中規模の単独本部では、専門を深めることと、本部・消防署と野津分署のどちらに配属されても役割を果たせる汎用性の両方が求められやすいと考えられます。

試験に集団討論が組み込まれていることを踏まえると、他者の意見を聞きながら自分の考えを整理して発信する力も評価の対象になっていると見てよいでしょう。

応募先ごとに人物像を作り変える必要はありません。市街地部と野津地域の双方を2署所で守るという職場の条件に、自分のこれまでの経験をどう重ねられるかを考えてみてください。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。臼杵市消防本部の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク試験会場までは、どうやって来ましたか?緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます
② 動機・志望なぜ臼杵市消防本部を志望するのですか?消防官という仕事と臼杵という土地を、自分の言葉で選べているか
③ 自己理解あなたの短所(弱み)は何ですか?自分を客観視できているか。弱みへの向き合い方に人柄が出ます
④ 経験・行動これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください過去の行動の事実。壁にぶつかったときの対処が現場の仕事に通じるか
⑤ 学業・経歴今の学校・職場を選んだ理由を教えてください進路選択の筋道。自分の決断を順序立てて説明できるか
⑥ 適性・将来体力に自信はありますか?交替制勤務と現場活動を続けるための体力・生活習慣・覚悟
⑦ 公共性・社会性消防官(公務員)に最も必要な資質は何だと思いますか?仕事の公共性への理解と、社会の出来事への当事者意識

7つのカテゴリーは、集団討論のある試験でも個人面接だけの試験でも共通して役立つ整理の枠です。ここから先、臼杵を受ける理由まで踏み込めるかどうかは、次の固有質問で決まります。

合否を分けるのは臼杵市消防本部に固有の質問

「なぜ警察官や自衛官ではなく、消防官なのですか?」
「なぜ臼杵市消防本部を志望するのですか?」

この2問にどこまで具体的に答えられるかは、2署所体制や広域指令の仕組みまで調べていたかどうかで差がつきます。面接で使いやすい「臼杵市の事実」を絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい臼杵市の事実答え方のヒント
大規模災害への備え南海トラフ新想定での最大津波高は7m(令和7年3月31日公表)。県想定(平成31年3月報告)では最大震度6強(詳細は第1部3章)想定の数値だけで終えず、2署所体制がどう応援し合うかまで触れると理解の深さが伝わります
救急需要救急出動2,403件(令和6年中)が火災12件・救助24件を大きく上回る(詳細は第1部2章)高齢化の進行と結び付けて、消防の仕事が救急中心であることを理解していると示せます
広域指令体制119番受信は大分市の「おおいた消防指令センター」に事務委託し、出動は臼杵市消防本部が行う二層構造(詳細は第1部5章)受信の窓口が大分市に移った後も、臼杵の現場に向かうのは臼杵市消防本部だという役割分担を正確に説明できると好印象です
地域の歴史・文化61体すべてが国宝の臼杵石仏、ユネスコ創造都市ネットワーク(食文化分野・令和3年11月加盟認定)(詳細は第1部3章)地域資源への理解を、防火・防災の視点とあわせて語ると業務理解の幅が伝わります
署所体制本部・消防署と野津分署の2署所24時間体制(詳細は第1部5章)市街地部と野津地域それぞれの初動対応をどう支えたいか、具体的に語れると印象に残ります

5つのテーマはいずれも公表資料から確認できる事実です。使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。

自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 消防吏員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

臼杵市消防本部は、消防職向けの評価観点や配点を明文では公表していません。そこで、公務員の人物試験で一般に用いられるコンピテンシー評価、つまり過去の行動の事実から採用後の再現性を見る考え方を土台に置き、書類審査から集団討論、個人面接へと続く選考の設計から観点を読み解きます。

経験の中身と行動の再現性が問われる点は、本部の規模を問わず共通しています。集団討論が組み込まれている以上、他者との関わり方も観点に含まれると考えてよいでしょう。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
住民に向き合う誠実さ救急や予防の場面で、相手の状況をくみ取りながら落ち着いて対応できるか相手の事情を踏まえて動いた経験を、結果だけでなくそのときの判断まで説明できるようにしておく
集団の中での発信力集団討論の場で、他者の意見を踏まえながら自分の考えを整理して伝えられるかグループでの話し合いや共同作業の経験を、自分の発言や行動まで具体的に振り返っておく
異なる持ち場への適応力本部・消防署と野津分署のどちらに配属されても、必要な知識を自ら身につけていけるか環境が変わる中で新しい役割を覚えた経験を、具体的な場面とともに用意しておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。集団討論と個人面接の両方があるため、それぞれに合わせた準備が必要です。

  1. 令和8年度の受験案内を読み、書類審査・総合適性検査・録画面接の内容と、消防職での録画面接の対象範囲を確認する
  2. これまでの経験を棚卸しする。学業・アルバイト・地域活動などから、集団の中で発言した場面と、粘り強く続けた場面を1つずつ拾い出す
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 組織研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 集団討論を想定して声に出す練習をし、個人面接では「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく

優先順位に注意

ステップ4〜5の組織研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を消防の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で臼杵市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、臼杵市消防本部専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

臼杵市消防本部の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。第2次の集団討論と最終の個人面接を続けて突破したい方は、必要に応じてご活用ください。

臼杵市消防本部の想定問答集を見る

さいごに

臼杵市消防本部の消防職採用は、書類審査・総合適性検査・録画面接、集団討論、個人面接という3段階で、各段階に合格基準が設けられた仕組みです。

2署所24時間体制で市域を支える組織であることや、南海トラフ地震の想定、大分市への指令業務の委託という広域体制まで理解した上で、なぜ臼杵の消防で働きたいのかを自分の言葉で語る準備が欠かせません。

67人の吏員が臼杵市の暮らしを支える仕事に挑む皆さまが、悔いのない面接を迎えられるよう願っています。