本記事では、中津市職員採用試験の面接対策で必要な、中津市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

中津市役所の面接試験では、「なぜ中津市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。福岡県境に接する立地や、ものづくり産業との関わりまで説明できると、回答に厚みが出ます。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と中津市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

中津市は事務職に加えて土木技師・電気技師・学芸員・消防士まで幅広い職種を同じ年度にまとめて募集しており、職種ごとに試験の段階数が異なる点も特徴です。なお、試験の枠組みに触れる部分は、令和8年度中津市職員採用試験(秋試験)について中津市が公表している情報にもとづきます。

第1部|自治体研究編

中津市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは中津市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 大分県の最北端、福岡県との県境に接する市。隣接自治体は宇佐市・日田市・玖珠郡玖珠町のほか、福岡県豊前市・田川郡添田町・築上郡上毛町・吉富町・築上町・京都郡みやこ町と、県境を越えた隣接自治体が6つにのぼる。
  • 市域の面積は491.38平方キロメートル。人口は8万人ほど(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。
  • 大字昭和新田にはダイハツ九州株式会社の本社・大分(中津)工場が立地する。2004年、海上輸送に適した立地として本社機能・本社工場が中津市へ移転した。(出典:会社概要|ダイハツ九州株式会社)
  • 市南部に広がる耶馬溪は、日本新三景・国名勝・日本遺産のいずれにも数えられる景勝地。(出典:大分県勢要覧(IR資料)|令和7年度)
  • 市の花はキク、市の木はナノミ(クロガネモチ)。市役所は中津市豊田町に置かれている。
  • 令和8年度秋試験では、事務職2区分(一般枠・民間経験者等枠)と土木技師・電気技師・消防士および救急救命士・学芸員(中世史担当)で、あわせて15人程度の採用が予定されている。

中津市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「中津市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

人口と年齢構成、市域の広さ、そして誰と隣り合っているか。中津市を説明するときに欠かせない項目を並べます。

項目内容
総人口81,132人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
65歳以上人口25,482人(31.4%、大分県全体は34.2%)
75歳以上人口14,599人(18.0%、大分県全体は20.1%)
総面積491.38km²
人口密度約165人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接自治体宇佐市、日田市、玖珠郡玖珠町、(福岡県)豊前市、田川郡添田町、築上郡上毛町・吉富町・築上町、京都郡みやこ町

総人口・65歳以上人口・75歳以上人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の値です。大分県の国勢調査による人口は別の調査基準で集計されたものですので、この表の数値と足し引きして増減を出すことはできません。総面積・隣接自治体は当研究会が整理した基礎データによります。

県平均より緩やかな高齢化率の背景

中津市の高齢化率31.4%は、大分県全体の34.2%よりも3ポイント近く低い水準です。75歳以上の割合も18.0%と、県全体の20.1%を下回ります。

県内の他市に比べると、働く世代の比率がやや厚いという特徴があり、これはダイハツ九州の立地による雇用の存在と無関係ではないと考えられます。

一方で、隣接自治体が9つ、うち6つが県境の向こう側という広がりは、行政サービスを届ける距離という点で別の課題を生みます。

人口密度は約165人/km²で、大分県全体の密度(総人口約109万人を面積6,341km²で割ると約172人/km²)とほぼ同水準ですが、これは市街地と山間部の濃淡が大きい市域の中で平均化された数字にすぎません。人口の指標だけを見て「余裕がある市」と単純化せず、面積や地域ごとの偏りとセットで語れるようにしておきましょう。

「中津市の高齢化率は3割程度で、大分県平均よりやや低いと知りました。ただ市域は500平方キロメートル近くありますので、若い世代が多いからこそ、広い市域にどう行政サービスを届けるかという課題があると考えています」

中津市の経済・産業

製造業に厚みのある大分県の産業構造

大分県は令和5年度の産業別構成比で第2次産業が35.7%(うち製造業29.6%)を占め、製造業の比率の高さは九州トップクラスとされています。(出典:県民経済計算(確報)|令和5年度)中津市単独の総生産にあたる統計を公表資料からは確認できませんが、市内に立地する製造拠点の規模から考えても、中津市がこの製造業県の一翼を担っていることは間違いありません。

ダイハツ九州という基幹産業

ダイハツ九州の本社・大分(中津)工場は、海上輸送に適した立地として2004年に中津市へ移転してきました。自動車という完成品を港から出荷しやすい地の利が、この地への立地判断を後押ししたと考えられます。

雇用の受け皿としてはもちろん、部品を納入する関連企業の集積という面でも、市の産業構造に大きな影響を与えている存在です。

耶馬溪という観光資源

日本新三景・国名勝・日本遺産のいずれにも数えられる耶馬溪は、製造業のまちという印象とは異なる、中津市のもう一つの顔です。ものづくりと景勝地という、性格の異なる二つの魅力をどう両立させて発信するかが、観光・産業振興を語るうえでの視点になります。

大分県のものづくり産業の中での位置づけ

大分県の製造品出荷額等は5.60兆円で全国22位。人口規模(全国34位)のわりに高い水準にあり、県内には大分キヤノン、日本製鉄、TOTO、ソニーといった企業も立地します。

令和6年度の企業誘致は50件にのぼりました。(出典:大分県勢要覧(IR資料)|令和7年度。製造品出荷額等は経済産業省「経済構造実態調査」令和4年の値)

中津市単独の出荷額までは今回たどり着けていませんが、ダイハツ九州という完成車メーカーの立地は、こうした県全体のものづくり集積の中でも規模の大きな一角を占めていると考えられます。

産業振興を志望するなら、中津市の一社だけでなく、県全体の産業地図の中でこの市がどこに位置するのかまで説明できると説得力が増します。

中津市の主な行政課題

ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、中津市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。

ものづくり産業への依存とリスク分散

基幹産業がダイハツ九州という一つの企業に大きく依存する構造は、景気変動や生産体制の変化がそのまま地域経済に響きやすいことを意味します。

自動車産業は世界的な電動化の流れの中にあり、部品や工程の変化が下請け企業の仕事量に直結します。製造業を支えながらも、産業の裾野をどう広げていくかは、中津市の産業振興における継続的な課題です。

耶馬溪町で起きた山地崩壊の教訓

平成30年4月11日午前3時50分ごろ、中津市耶馬溪町金吉で、降雨のない中で幅約200メートルの山地崩壊が発生しました。大分県は検証委員会を設置し、治山・復旧事業を実施しています。(出典:平成30年4月中津市耶馬溪町山地崩壊の概要|国土交通省)

雨が降っていない状況でも斜面災害は起こりうるという教訓は、中津市の防災行政にとって重い意味を持っています。地質や地形の特性を日ごろから把握しておく地道な業務の価値を、この事例は物語っています。

南海トラフ巨大地震への備え

内閣府が公表した南海トラフ巨大地震の新想定(令和7年3月31日公表)における中津市の最大津波高は4メートルです(大分県内で最大の想定は佐伯市の14メートル)。(出典:南海トラフ巨大地震の市町村別最大津波高一覧|内閣府・令和7年)

県内の他の沿岸市に比べれば低い数値ですが、山地崩壊という別の災害リスクと合わせて備える必要があります。地震・津波・土砂という複数の災害種別を並行して想定しておく姿勢が、この市の防災行政には求められます。

県境をまたぐ広域連携の必要性

隣接自治体9つのうち6つが福岡県という立地は、住民の通勤・通学・買い物が県境を越えて行われることを意味します。

市単独では完結しない生活圏をどう支えるか、県をまたいだ連携をどう進めるかは、他の大分県内自治体にはない中津市特有の視点です。道路・防災・医療といった分野で、大分県だけでなく福岡県側の自治体とも情報を共有する場面が生じます。

広い市域への行政サービスの行き届かせ方

491.38平方キロメートルという面積は、大分県内でも上位に入る広さです。福祉・防災・教育のどの分野でも、市街地から離れた地域にどう手を届かせるかという視点を欠かすことはできません。

市の中心部からみて耶馬溪町のような山間部までは相応の距離があり、窓口業務であっても地域による事情の違いを踏まえた対応が必要になります。移動そのものに時間がかかる地域があることを前提に、出張窓口や巡回相談といった手段まで含めて考える視点が求められます。

中津市の重点政策|ものづくりと耶馬溪、二つの顔

中津市の総合計画については、令和8年度秋試験の受験案内と市公式サイトの公表資料を当研究会が読んだかぎりでは、計画名と策定年を書き取るところまで届きませんでした。

名称は市公式サイトの最新の公表資料でご確認ください。この章では、ものづくり産業と耶馬溪という、性格の異なる二つの資源をどう活かすかという視点から市政の向きを整理します。

製造業の基盤を維持しながら裾野を広げる

ダイハツ九州という基幹企業を核にしながら、関連産業の誘致や地元企業との取引拡大をどう進めるかは、中津市の産業振興の中心的なテーマです。大分県全体としても、素材型産業と高度加工組立型産業がバランスよく集積していることを強みに挙げています。(出典:大分県勢要覧(IR資料)|令和7年度)

耶馬溪の景観を守りながら人を呼び込む

耶馬溪は景勝地であると同時に、平成30年の山地崩壊が示すとおり、斜面災害のリスクとも隣り合わせの地域です。観光振興と防災は、耶馬溪という同じ土地のうえで両立させなければならない課題です。

景観を守ることと、そこに暮らす人・訪れる人の安全を守ることは、切り離して考えられません。日本新三景・国名勝・日本遺産という三つの肩書きは観光の呼び水になる一方、山あいの集落を抱える地域だからこそ、平時からの点検や住民への周知といった地道な備えが欠かせません。

POINT|市の資料が少ない分野は県の産業データから補って考える

中津市単独の計画資料に届かない分野は、県の産業データを土台に置いてから市の話へ降りると、志望理由が具体的になります。県全体の製造業の厚みを押さえる、そのうち中津市がどの部分を担っているかを見る、自分はどこに関わりたいかを言い切る。この順です。

悪い例「中津市のものづくり産業を支えたいです」

改善例「自動車関連企業の雇用は大きな強みですが、一社に頼りすぎない産業構造も必要だと感じています。中小企業の取引拡大を支援する窓口業務から、この地域の産業の裾野を広げる仕事に関わっていきたいです」

あわせて確認したい公式資料

中津市の公式サイトには、面接前に目を通しておきたい情報が分野ごとに掲載されています。志望する職種に関わる資料を優先して読み、出てくる数字や固有名詞を自分でも説明できるようにしておきましょう。

  • 中津市職員採用試験の最新の受験案内(所管は総務部総務課人事係)
  • 中津市の総合計画・予算に関する公表資料
  • 耶馬溪の日本遺産・国名勝に関する紹介ページ
  • 大分県勢要覧(県全体の産業構造の把握に)
  • 中津市の防災に関する公表資料(耶馬溪町の山地崩壊の記録を含む)
  • ダイハツ九州株式会社の会社概要(企業誘致・雇用の視点から市の産業を理解する材料に)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、中津市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。中津市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

中津市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

中津市役所の面接の概要

ここからは、中津市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

令和8年度秋試験の職種別の試験構成

令和8年度中津市職員採用試験(秋試験)は、職種によって段階の数が異なります。事務職は第1次(総合適性検査)・第2次(集団討論・小論文)・第3次(個人面接)の3段階、土木技師・電気技師・学芸員は第1次(総合適性検査)・第2次(個人面接・専門試験)の2段階、消防士・救急救命士は第1次(総合適性検査・体力テスト)・第2次(消防適性検査・高所適性検査)・第3次(個人面接)の3段階です。

項目内容(令和8年度秋試験)
第1次試験全職種共通で総合適性検査(SCOA)。全国のテストセンター方式で実施され、中津市役所での実施はありません
事務職の段階構成第1次(総合適性検査)→第2次(集団討論・小論文)→第3次(個人面接)の3段階
土木技師・電気技師・学芸員の段階構成第1次(総合適性検査)→第2次(個人面接・専門試験)の2段階。第3次試験はありません
消防士・救急救命士の段階構成第1次(総合適性検査・体力テスト)→第2次(消防適性検査A・B・高所適性検査)→第3次(個人面接)の3段階
性格検査の扱い総合適性検査の性格検査は「以降の面接試験時の参考資料とします」と明記されています
配点各試験種目の配点について、記載のある資料は見当たりませんでした。最新の受験案内でご確認ください

上記は、中津市が公表している令和8年度中津市職員採用試験(秋試験)の受験案内にもとづく内容です。試験の構成・区分・配点等は年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。中津市民病院の勤務職種は本試験とは別枠で募集されますので、混同しないようにしましょう。

受験案内には「各試験種目には、それぞれ合格基準があり、一つでも基準に達しない場合は不合格となります。したがって、総合得点や順位が上位であっても不合格となる場合があります」と明記されています。

総合点の高さだけでは合格を保証しないという設計は、集団討論・小論文・個人面接のどの段階も気を抜けないことを意味します。

試験結果の開示は不合格者に限られ、開示できるのは総合得点及び総合順位のみ、開示期間は合格発表の日から1か月間、開示場所は市役所本庁舎4階総務課という運用です。

事務職だけ集団討論と小論文がはさまるのに対し、技術職はこの段階を飛ばして個人面接と専門試験に進みます。職種によって人物を見る回数と方法が異なるという点は、志望する職種の試験構成を正確に把握しておく必要がある理由です。

募集職種と採用予定数は、事務職①が5人程度、民間企業等での職務経験を条件とする事務職②(民間経験者等枠)が5人程度、土木技師①②あわせて1人、電気技師1人、消防士・救急救命士2人程度、学芸員(中世史担当)1人です。事務職②は、正規社員としての勤務経験や青年海外協力隊などでの国際貢献活動、社会福祉士としての勤務経験のいずれかを条件としており、新卒だけでなく社会人経験を積んだ層も対象にしていることがわかります。

初任給の例(令和8年4月1日現在)は高卒207,500円・短大卒223,400円・大卒238,500円で、前歴を加算する民間企業等職務経験者の例も示されています。勤務時間は原則として午前8時30分から午後5時15分までで、休日は原則として土曜日・日曜日・祝日・年末年始です。

職種の顔ぶれが語っているもの

令和8年度秋試験の受験案内に、求める職員像を掲げた一文はありませんでした。

ただ、事務職・土木技師・電気技師・学芸員(中世史担当)・消防士という職種の顔ぶれ自体が、市が何を自前で抱えようとしているかを語っています。次の二段落は市の公表内容ではなく、その顔ぶれから当研究会が引き出した見方です。

事務職・土木技師・電気技師・学芸員(中世史担当)・消防士まで、性格の異なる専門性を一つの自治体が自前で抱えているという採用の組み方から、当研究会は、必要な知識を自分の持ち場だけにとどめず、隣接する分野にも関心を持てる人物を求めているのではないかと考えています。

学芸員という専門職を単独で募集していること自体、文化財行政に一定の力を割いている表れだといえるでしょう。この解釈を市が公式に示しているわけではない点にご留意ください。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。中津市役所の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日は中津市までどうやって来ましたか?県境に近い市です。移動の話題から、緊張のほぐれた自然な受け答えができるか
② 動機・志望数ある自治体の中で、なぜ中津市を選んだのですか?ものづくりや耶馬溪といった話題だけで終わらず、自分の経験と結びついているか
③ 自己理解ご自身の短所を教えてください短所を認めたうえで、日々どう向き合っているかまで話せるか
④ 経験・行動これまでで最も苦労した経験と、そこでとった行動を教えてください苦労の大きさより、そのときに何を考え、どう動いたかという中身
⑤ 学業・経歴学校で力を入れて取り組んだことを説明してください専門外の相手にも伝わる言葉に置き換えられるか
⑥ 適性・将来希望と違う部署に配属されたら、どう働きますか?事務も技術職も同じ市役所で働きます。異動の幅をどう受け止めるか
⑦ 公共性・社会性最近気になったニュースを一つ教えてください身の回りの出来事を、自分の言葉で短くまとめられるか

この7項目は、中津市の集団討論や個人面接でも土台として問われます。とりわけ集団討論では、⑥や⑦にあたる社会的な話題が議題として出された場合に、他の受験者の意見を聞きながら自分の考えを整理する力も同時に試されると考えておきましょう。

もっとも、ここまでは他の受験者も同じところまで来ます。分かれ目になるのは、次に挙げる「中津市ならでは」の質問への備えです。

合否を分けるのは「中津市役所ならでは」の質問

「なぜ大分県庁ではなく、中津市役所なのですか?」
「中津市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

中津市について公表されている選考の情報は、職種ごとの段階構成にとどまり、配点の詳細までは示されていません。

県境という立地や産業構造をどれだけ具体的に語れるかが、そのまま準備量の差になります。こうした質問に答えるための「中津市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい中津市の事実答え方のヒント
人口と高齢化住民基本台帳で8万人ほど。高齢化率31.4%は大分県平均34.2%より低い(令和8年1月1日現在)数字だけで終わらせず、県境をまたぐ広い市域にどう行政サービスを届けるかまでつなげます
なぜ県庁ではなく市役所か隣接自治体9つのうち6つが福岡県。県境をまたいだ生活圏を持つ住民が多い市制度の説明で終わらず、住民の生活圏の実情に近い距離で働きたい理由を自分の言葉にします
ダイハツ九州の立地2004年、海上輸送に適した立地として本社機能・本社工場が中津市へ移転企業城下町という言葉で終わらせず、産業の裾野をどう広げるかという視点を添えます
耶馬溪町の山地崩壊平成30年4月、耶馬溪町金吉で降雨のない中、幅約200メートルの山地崩壊が発生数字を挙げたうえで、雨が降っていなくても油断できない防災意識に接続します
南海トラフ地震への備え内閣府の新想定(令和7年3月31日公表)で中津市の最大津波高は4メートル県内で低めの数値であることに触れつつ、山地崩壊など他のリスクと合わせて備える姿勢を示します

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

中津市の受験案内は、集団討論を「集団討論による人物試験」、個人面接を「個人面接による人物試験」、小論文を「知識、論理的思考、文章力等に関する筆記試験」と定義し、さらに第1次試験の性格検査を「以降の面接試験時の参考資料とします」と明記しています。重視する観点そのものを項目立てた記載はありませんが、この種目の定義が事実上の観点になっています。

以下は、その定義に沿って整理したものです。答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が確かめられる場だと考えておきましょう。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
集団討論での立ち位置事務職は第2次試験で集団討論が課される。議論の流れを見ながら、自分の役割をどう果たすか司会・書記・発言役など、グループの中で自分が担いやすい役割を事前に把握しておきます
書く力と話す力の一貫性事務職は集団討論・小論文の後に個人面接がある。書いた内容と話す内容が食い違っていないか小論文で主張しそうな結論を、口頭でも矛盾なく説明できるか練習しておきます
性格検査と受け答えのつながり第1次の性格検査は「以降の面接試験時の参考資料」と明記されている検査で背伸びをせず、自分の傾向を短所も含めて言葉にできるよう整理しておきます

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 中津市が公表する最新の受験案内を読み、自分が受ける職種の段階構成と提出書類を確認する
  2. これまでの経験を棚卸しする。学業・部活動・アルバイトから、自分で動いた場面をそれぞれ一つずつ書き出す
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく

優先順位に注意

ステップ4と5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、中津市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

中津市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

中津市役所の想定問答集を見る

さいごに

令和8年度秋試験の中津市役所は、職種によって2段階から3段階まで構成が異なる試験です。配点は公表されていませんが、事務職は集団討論と小論文が個人面接の前にはさまり、技術職はそれを飛ばして専門試験に進みます。

総合得点が高くても一つの科目で基準に届かなければ不合格になる仕組みである以上、どの段階も気を抜けません。自分が受ける職種の構成を正確に把握したうえで、ダイハツ九州の立地や耶馬溪の景観、県境という立地条件など、この記事で整理した事実のうち関心の近いものを選び、自分の経験と結びつけて本番に臨んでください。