本記事では、別府市職員採用試験の面接対策で必要な、別府市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
別府市役所の面接試験では、「なぜ別府市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。別府市は選考の配点まで公表しており、人物試験の比重の高さを数字で裏づけられる市です。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と別府市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
別府市は日本国籍を有しない人も受験できますが(消防士・消防士(救急救命士)を除く)、任用にあたっては公権力の行使や公の意思形成への参画を伴う職務には就けないという制限があります。なお、試験の枠組みに触れる部分は、令和8年度【夏】別府市職員採用試験について別府市が公表している情報にもとづきます。
第1部|自治体研究編
別府市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは別府市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 大分県中部、別府湾に面する市。隣接自治体は大分市・宇佐市・由布市・速見郡日出町。大分県の県庁所在地は大分市であり、別府市は県庁所在地ではない。
- 市域の面積は125.34平方キロメートル。人口は11万人ほど(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)で、大分県内では大分市に次ぐ規模である。
- 源泉総数は2,831本・総湧出量101,856リットル毎分(令和7年3月末現在)で、いずれも全国1位。大分県全体(源泉5,094本・湧出量293,610リットル毎分=ともに全国1位)の源泉の過半を別府市が占める。(出典:別府市の温泉資源の状況|別府市公式サイト)
- 市の花はオオムラサキ、市の木はキンモクセイ・クスノキ。市役所は別府市上野口町に置かれている。
- 令和8年度【夏】試験は、Ⅰ種・Ⅱ種・職務経験者という3つの試験区分に分かれ、事務・土木・建築・保健師・消防士・保育士・幼稚園教諭など19の試験職種であわせて31人の採用が予定されている。初任給の例(令和8年4月1日現在)はⅠ種238,500円、Ⅱ種幼稚園教諭249,400円、それ以外のⅡ種・職務経験者223,400円である。
- 別府市が求める職員像として、「強い責任感を持ち、正しく判断・決断でき、実行力のある職員」「専門知識とコスト感覚及び社会人としての良識を兼ね備えた信頼される職員」「柔軟かつ迅速に市民の声に耳を傾ける職員」の3項目が試験案内の冒頭に明記されている。
別府市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「別府市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
面積と人口、そして両者の比。別府市の場合はこの三つが市政の話の起点になりますので、あわせて年齢構成も並べておきます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 111,376人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 65歳以上人口 | 38,080人(34.2%、大分県全体も34.2%) |
| 75歳以上人口 | 23,690人(21.3%、大分県全体は20.1%) |
| 総面積 | 125.34km² |
| 人口密度 | 約889人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 隣接自治体 | 大分市、宇佐市、由布市、速見郡日出町 |
総人口・65歳以上人口・75歳以上人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の値です。国勢調査にもとづく大分県の人口とは調査の枠組みが違いますので、双方を並べて増減を計算することはできません。総面積・隣接自治体は当研究会が整理した基礎データによります。本文で触れる大分県全体の人口密度も、同じ住民基本台帳の県人口を県の総面積で割った参考値です。
県平均と並ぶ高齢化率、しかし密度は県内屈指
別府市の高齢化率34.2%は、大分県全体の34.2%とほぼ同じ水準です。75歳以上は21.3%と、県全体の20.1%をやや上回ります。
一方で人口密度は約889人/km²と、県全体の密度(約172人/km²)の5倍を超え、狭い市域に人口が集中する都市型の自治体という性格が際立ちます。
高齢化率そのものは県平均並みでも、人口密度の高さは、訪問系の福祉サービスや救急搬送の件数といった面で、県内の他市とは違う課題を生みます。狭い範囲に多くの高齢者が集中するからこそ、対応件数そのものが多くなりやすいのです。
65歳以上人口は38,080人で、うち75歳以上だけでも23,690人にのぼります。県平均をやや上回るこの75歳以上率は、医療・介護の需要がより切実な形で表れる年齢層が厚いことを示しています。
別府市の経済・産業
全国1位の温泉資源
源泉総数2,831本・総湧出量101,856リットル毎分(令和7年3月末現在)は、ともに全国1位です。大分県全体の源泉の過半を別府市が占めているという事実は、別府市が単なる「温泉のある市」ではなく、県の温泉資源そのものの中心地であることを示しています。(出典:別府市の温泉資源の状況|別府市公式サイト)
観光を経済の柱とする県全体の戦略
大分県は別府・由布院など日本を代表する温泉地を有し「日本一のおんせん県おおいた」をキャッチフレーズとしています。じゃらん宿泊旅行調査の「魅力的な宿泊施設が多かった」都道府県ランキングでは、2023年度に3年連続13回目の1位を獲得しました。(出典:大分県勢要覧(IR資料)|令和7年度)
令和6年の県内宿泊客数(従業員10人以上の189施設が対象)は国内客402万9,516人・外国人客106万3,290人で、いずれも統計を開始した平成18年以降の過去最高値を記録しました。
外国人客のうち国籍・地域別で最も多いのは韓国で構成比47.8%を占め、台湾・香港が続きます。(出典:大分県観光統計調査 結果の概要|令和6年)別府市はこの観光県構想の中心的な役割を担っており、国内外どちらの客層に向けた施策を語れるかで、志望動機の厚みが変わってきます。
公営事業局という特殊な地方公営企業
別府市には「公営事業局」という組織があり、競輪開催業務や競輪投票ポータルサイト運営などの収益事業を行う地方公営企業として位置づけられています。観光都市でありながら、公営競技という別の収益事業も自前で運営している点は、別府市の行政の幅を示す特徴です。
この分野を志望する場合は、一般の行政サービスとは異なる経営的な視点が求められます。公営競技は入場者数や投票券の売上によって収益が左右されるため、集客のためのイベント企画や、投票ポータルサイトの運営改善といった、民間の発想に近い業務も含まれます。
別府市の主な行政課題
ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、別府市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
観光依存の経済構造とリスク分散
温泉と観光を経済の柱とする別府市にとって、観光需要の変動は市の経済全体に直結します。感染症の流行や為替の変動、国際情勢の変化など、市単独では制御できない要因が観光客数を左右してきました。
国内外の情勢変化に左右されにくい産業の裾野をどう広げるかは、観光都市に共通する継続的な課題です。宿泊・飲食業だけでなく、温泉を活用した健康・医療分野との連携など、観光を軸にしながらも産業の幅を広げる工夫が求められています。
中央構造線断層帯による大規模地震への備え
大分県地震被害想定調査(平成31年3月報告)は、中央構造線断層帯による地震で大分市・別府市・由布市などに最大震度7を想定しています。(出典:大分県地震被害想定調査|平成31年3月)また、内閣府の南海トラフ巨大地震の新想定(令和7年3月31日公表)では、別府市の最大津波高は5メートルとされています。(出典:南海トラフ巨大地震の市町村別最大津波高一覧|内閣府・令和7年)
人口密度の高い都市部で震度7クラスの揺れが起きた場合の被害想定は、県内でも重い意味を持ちます。多くの旅館・ホテルが立ち並び、日々多数の観光客が滞在している土地であることを踏まえると、住民だけでなく来訪者をどう避難させるかという視点も、別府市の防災行政には欠かせません。
高い人口密度と訪問系サービスの需要
約889人/km²という人口密度は、狭い範囲に多くの高齢者が集中していることを意味します。救急搬送や訪問系の福祉サービスの需要が高まりやすい構造は、都市型の別府市ならではの課題です。
加えて、別府市は年間を通じて観光客や長期滞在の湯治客も多く訪れる土地であり、住民だけでなく来訪者への対応も行政サービスの対象に含まれるという点も、他の同規模の市とは異なる事情です。
技術・専門職の人材確保という切実な課題
令和8年度【夏】試験の申込状況をみると、事務は採用予定5人に対し申込145人と集中する一方、土木は採用予定3人に対し申込1人、事務(心理)や公営事業局の土木・建築は申込0人という区分もありました。事務(福祉)は採用予定1人に対し申込12人、保健師は1人に対し9人、消防士は1人に対し12人、消防士(救急救命士)は3人に対し21人と、区分によって申込の集まり方に大きな差が生じています。(出典:令和8年度【夏】別府市職員採用試験 申込状況|別府市)
技術系区分の応募不足は、観光都市というイメージだけでは伝わらない、行政の実務を支える人材の確保という切実な課題を映し出しています。
公営事業局の経営という行政課題
競輪事業は市の収益事業であり、地方公営企業として採算を確保しながら運営していく必要があります。観光の稼ぐ力と、公営企業としての経営の健全性をどう両立させるかは、他の観光都市にはあまり見られない別府市特有の課題です。
公営事業局勤務の土木・建築は、令和8年度【夏】試験の申込状況ではいずれも申込0人でした。経営を支える専門人材の確保そのものが課題になっている実情がうかがえます。観光の看板を掲げる市であっても、その裏側で公営企業の経営を支える地道な業務があるという事実は、面接で「別府市の課題」を語るときの意外な切り口になります。
別府市の重点政策|温泉都市の観光と人材確保
別府市の総合計画の名称と策定年は、今回当研究会が読んだ令和8年度【夏】の試験案内と市公式サイトの公表資料からは確定できていません。名称そのものは市公式サイトの最新の公表資料で押さえておくとして、ここでは、全国1位の温泉資源をどう生かすかという観光戦略と、技術・専門職の人材確保という二つの軸から市政の向きを整理します。
「日本一のおんせん県」の中心地としての役割
大分県全体が「日本一のおんせん県おおいた」を掲げる中で、県の源泉の過半を占める別府市は、その看板を実質的に支える存在です。観光消費をどう地域経済に波及させるか、リピーターをどう増やすかといった視点は、観光振興を語るうえで欠かせません。
応募が集まりにくい区分にどう人を呼び込むか
事務区分に申込が集中する一方、土木や建築、公営事業局関連の区分では応募が伸び悩んでいます。専門性を持つ人材にどう別府市の仕事の魅力を伝えるかは、採用活動そのものが抱える課題です。
技術職を志望する受験者にとっては、応募が少ない分、熱意と専門性を具体的に示せれば強みになりうる状況だともいえます。事務(障がい者)や事務(心理)といった区分が別枠で用意されていることも、多様な人材を受け入れる姿勢の表れだと当研究会では捉えています。
POINT|求める職員像の3項目を自分の経験に落とし込む
別府市が掲げる3つの職員像は、いずれも抽象的な言葉です。①どの経験がその項目に当てはまるか → ②具体的に何をしたか → ③そこから何を学んだか、の順に整理すると、面接で使える形になります。
悪い例「責任感を持って行動できます」
改善例「アルバイト先で急な欠員が出た際、任された仕事を最後までやり遂げた経験があります。任された以上は最後まで責任を持つという姿勢を、別府市の仕事でも大切にしたいです」
あわせて確認したい公式資料
別府市の公式サイトには、面接前に目を通しておきたい情報が分野ごとに掲載されています。配点まで公表されている市ですので、まず試験案内から開き、そこに並ぶ数字を自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。
- 別府市職員採用試験の最新の受験案内(所管は総務部職員課人事係。区分ごとの配点まで確認できます)
- 別府市の総合計画・予算に関する公表資料
- 別府市の温泉資源に関する紹介ページ
- 公営事業局(競輪事業)に関する紹介ページ
- 大分県観光統計調査(県全体の観光客数の推移を把握する材料に)
- 令和8年度職員採用試験の申込状況(区分ごとの申込の集まり方を確認する材料に)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、別府市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。別府市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
別府市役所の面接の概要
ここからは、別府市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
人物を確かめる場面が3回ある選考構成
令和8年度【夏】別府市職員採用試験は、第1次試験から第3次試験までの3段階です。第2次試験は個人面接とグループワーク、第3次試験は集団面接と、選考の後半に人物を確かめる場面が3回にわたって設けられています。
Ⅰ種事務の場合、総合400点のうち面接試験とグループワークの合計は250点で、配点の62.5%を占めます。
| 項目 | 内容(令和8年度【夏】・Ⅰ種事務) |
|---|---|
| 第1次試験 | 教養試験100点・事務能力検査50点。テストセンター方式で実施 |
| 第2次試験 | 面接試験100点・グループワーク50点。両日出席が審査条件 |
| 第3次試験 | 面接試験100点(集団面接) |
| 総合点と人物評価の比率 | 総合400点のうち、面接試験・グループワークの合計は250点(62.5%) |
| 専門試験がある職種 | 教養80点・事務能力検査50点・専門試験120点(1次計250点)+面接100点・GW50点(2次)+面接100点(3次)=総合500点、人物比率50% |
| 提出書類 | 顔写真・普通自動車運転免許証のデータ等をエントリーシート登録時に提出 |
上記は、別府市が公表している令和8年度【夏】別府市職員採用試験の受験案内にもとづくⅠ種事務のものです。試験の構成・区分・配点等は年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。
教養試験と事務能力検査の得点は「得点={(粗点-平均点)÷標準偏差×10+50}×1.25」という偏差値換算の式で算出され、結果として満点の表示を超える場合もあります。単純な素点の合計ではなく、受験者全体の中での相対的な位置で評価される方式です。
また「各試験種目には、それぞれ合格基準があり、一つでも基準に達しない場合は不合格となります」と明記されており、総合得点や順位が上位でも不合格になる場合があります。
消防士(Ⅰ種)は教養試験100点・消防適性検査30点・体力試験55点(1次計185点)に、2次・3次の面接試験とグループワーク250点が加わり、総合435点のうち人物比率は約57.5%です。消防士(救急救命士)はこれに実技試験(心肺蘇生・末梢静脈路確保)50点が加わり、総合485点のうち人物比率は約51.5%になります。
体力試験の種目は立ち幅跳び・上体起こし(30秒)・腕立て伏せ(最大50回)・時間往復走(5メートル間を15秒)・握力・長座体前屈という6種目です。専門試験や実技試験が加わる職種では、そのぶん人物比率は下がります。
それでも面接試験とグループワークの250点は全区分に共通して置かれている点は変わりません。志望する職種の総合点が何点かを確かめたうえで、250点が占める割合を自分で計算しておきましょう。
たとえばⅡ種の保育士・幼稚園教諭は、専門試験が課される職種の構成に第2次の実技試験30点が加わります。同じ250点でも、総合点が大きい職種ほど人物評価の比重は相対的に下がるという関係になりますので、自分の区分の一覧をひととおり書き写してから対策の配分を決めてください。
なお、採用後の勤務場所は市役所本庁舎のほか、教育委員会・上下水道局・公営事業局などがあり、保育所・消防署・競輪場のように職場によって休日や勤務時間が異なる場合もあります。勤務時間は原則として午前8時30分から午後5時までです。
別府市が求める職員像
別府市の試験案内には、「強い責任感を持ち、正しく判断・決断でき、実行力のある職員」「専門知識とコスト感覚及び社会人としての良識を兼ね備えた信頼される職員」「柔軟かつ迅速に市民の声に耳を傾ける職員」という3つの職員像が冒頭に明記されています。受験者の側から見れば、①決断力と実行力②専門性とコスト意識③傾聴力と柔軟性の3つが評価の軸になると考えられます。
3項目とも抽象度の高い言葉で書かれているため、実際の面接では、それぞれに対応する具体的な経験を、あらかじめ一つずつしっかりと用意しておくと安心です。
3段階にわたって面接が組まれているのは、この3つを別々の場面で確かめるためだと当研究会では捉えています。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。別府市役所の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日はどうやって別府市まで来ましたか? | 観光都市らしい雑談から、緊張のほぐれた自然な受け答えができるか |
| ② 動機・志望 | 数ある自治体の中で、なぜ別府市を選んだのですか? | 温泉や観光という言葉だけで終わらず、自分の経験と結びついた理由になっているか |
| ③ 自己理解 | ご自身の短所を教えてください | 短所を認めたうえで、日々どう向き合っているかまで話せるか |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も苦労した経験と、そこでとった行動を教えてください | 苦労の大きさより、そのときに何を考え、どう動いたかという中身 |
| ⑤ 学業・経歴 | 学校で力を入れて取り組んだことを説明してください | 専門外の相手にも伝わる言葉に置き換えられるか |
| ⑥ 適性・将来 | 希望と違う部署に配属されたら、どう働きますか? | 本庁舎のほか競輪場や上下水道局にも配属先がある市です。働く場所の幅をどう捉えるか |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近気になったニュースを一つ教えてください | 身の回りの出来事を、自分の言葉で短くまとめられるか |
この7項目は、別府市の第2次・第3次試験でも土台として問われます。グループワークでは、他の受験者との協働の中でどう振る舞うかも見られています。
ただ、これだけでは他の受験者との差は生まれにくく、合否を分けるのは次に挙げる「別府市ならでは」の質問への備えです。
合否を分けるのは「別府市役所ならでは」の質問
別府市は求める職員像や配点まで公表しているぶん、公表された情報をどれだけ深く理解し、自分の言葉に落とし込めているかが差になります。こうした質問に答えるための「別府市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい別府市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 人口と高齢化 | 住民基本台帳で11万人ほど。高齢化率34.2%は大分県平均とほぼ同水準だが、人口密度は約889人/km²と県内屈指(令和8年1月1日現在) | 密度の高さに触れ、訪問系サービスの需要という具体的な課題まで話をつなげます |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 県庁所在地は大分市だが、別府市は源泉数・湧出量ともに全国1位で、県内の源泉の過半を占める | 制度の説明で終わらず、県を代表する観光資源を持つ市で働きたい理由を自分の言葉にします |
| 温泉と観光 | 源泉2,831本・湧出量101,856リットル毎分(令和7年3月末現在)で、いずれも全国1位 | 数字を挙げたうえで、観光消費をどう地域経済に波及させるかという視点を添えます |
| 技術職の人材不足 | 令和8年度【夏】試験で、事務145人に対し土木は申込1人。区分によって応募状況に大きな差がある | 技術職を志望する場合は、専門性を発揮したい理由を具体的に語れると強みになります |
| 中央構造線断層帯地震 | 大分県の想定で大分市・別府市・由布市などに最大震度7。南海トラフの想定では別府市の最大津波高は5メートル | 数字を挙げたうえで、人口密度の高い都市部での防災の難しさに触れます |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
別府市は求める職員像を明確に公表しているため、評価の観点もこの3項目にもとづいて整理できます。答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られている点は、他の自治体の面接と共通しています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 強い責任感・判断力・実行力 | 任された役割を最後までやり遂げた経験があるか。判断を求められた場面でどう決めたか | 結果の大きさより、判断の理由と実行までの過程を具体的に話せるようにします |
| 専門知識とコスト感覚 | 限られた資源や時間の中で、成果を出す工夫をした経験があるか | アルバイトや部活動で、効率や費用を意識して動いた場面を思い出しておきます |
| 柔軟かつ迅速な傾聴 | 相手の意見を受け止めたうえで、すばやく対応した経験があるか | グループワークの場でも、聞く姿勢と対応の速さの両方を意識して臨みます |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。別府市は面接が3段階にわたるため、同じ話題を角度を変えて何度も問われる可能性があります。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 別府市が公表する最新の受験案内を読み、自分が受ける区分の配点と提出書類を確認する
- これまでの経験を棚卸しする。学業・部活動・アルバイトから、自分で動いた場面をそれぞれ一つずつ書き出す
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく
優先順位に注意
ステップ4と5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、別府市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
別府市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
令和8年度【夏】の別府市職員採用試験は、3段階の選考のうち2段階で人物試験が組まれ、Ⅰ種事務では総合400点の62.5%を面接試験とグループワークが占めます。求める職員像として掲げられた3項目は、そのまま評価の軸になります。
配点まで公表されている試験だからこそ、対策の抜け漏れは少なくなる一方、公表された情報をどれだけ深く理解し、自分の経験と結びつけられるかで差がつきます。
3つの職員像のどれに自分の経験が当てはまるのかを具体的に言葉にし、全国1位の温泉資源を持つこの市で、自分に何ができるのかを、面接官に伝わる形で考えながら本番に臨んでください。