茨木市消防本部を受験する方に向けて、面接で問われる前提となる組織研究の材料(本部の特徴・基礎データ・管轄地域の災害リスク・消防課題・重点方針)と、面接本番の流れ・想定される質問・評価の観点を、1ページに整理しました。
茨木市消防本部の面接試験では、「なぜ警察官や自衛官ではなく消防官なのか」「なぜ茨木市消防本部なのか」「茨木市が求める職員像をどう理解しているか」といった、市が公表する人材育成方針への理解を試す質問が想定されます。平成30年大阪府北部地震の経験や、彩都という大規模開発地域を抱える茨木市の特性を知っておくことで、どこの本部にも当てはまる受け答えから一歩踏み込めます。
ここで整理した事実を土台に、これまでの自分の経験が茨木市消防本部の仕事とどこで重なるのかを考えてみてください。
第1部|組織研究編
茨木市消防本部の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは茨木市消防本部の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 茨木市消防本部は、茨木市を単独で管轄する市直営の消防本部である。消防吏員は「茨木市の職員採用試験(消防吏員)」として採用され、実施は茨木市職員採用試験委員会(事務は総務部人事課)が担い、消防吏員の問い合わせ・申込先は消防本部総務課総務係となっている。
- 茨木市はかつて近隣市と「北摂都市職員共同採用試験」の枠組みに参加していたが、消防吏員は当時から本市独自の採用試験として実施されており、令和8年度も単独実施である。
- 消防吏員数は277人(うち女性8人)である(令和7年4月1日現在)。本部の消防吏員として日々の活動にあたっている人数である。
- 令和6年中の出動件数は、火災27件・救急19,333件・救助108件である。
- 本部所在地は茨木市東中条町2番13号の合同庁舎内にあり、代表電話は072-622-6955、消防本部総務課総務係の電話番号は072-622-6956である。
- 茨木市は施行時特例市である(令和5年4月1日現在、大阪府内の施行時特例市は岸和田市と茨木市の2市)。
- 令和8年度の消防吏員採用試験は実施されており、消防本部の採用試験関係ページで募集の案内が公開されている。
茨木市消防本部の基礎データ
面接に向けた組織研究では、厳密な統計値を大量に暗記する必要はありませんが、「茨木市消防本部の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
次の表に、管内人口と職員体制、そして1年間の出動件数の内訳をまとめました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 管内人口 | 286,089人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳人口) |
| 高齢化率 | 24.3%(75歳以上率14.8%) |
| 消防吏員数 | 277人(うち女性8人)※令和7年4月1日現在 |
| 火災出動件数 | 27件(令和6年中) |
| 救急出動件数 | 19,333件(令和6年中) |
| 救助出動件数 | 108件(令和6年中) |
管内人口・高齢化率は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在、消防吏員数・出動件数は総務省消防庁が公表する全国の消防本部データ(吏員数は令和7年4月1日現在、出動件数は令和6年中)によります。
数字から考えられる茨木消防の特徴
28万人を超える管内人口に対し、火災27件・救急19,333件という出動実績は、277人という体制で人口密集地の日常を支えている実態を示しています。茨木市の高齢化率は24.3%(75歳以上率14.8%、令和8年1月1日現在)と、大阪府全体の水準に近く、今後も救急需要の増加が見込まれる地域だといえます。
管内人口が28万人を超える規模である分、火災・救急とも件数の絶対数が多くなりやすい点も、他の中小規模の本部と比べたときの茨木市消防本部の特徴です。1件1件の対応にかかる時間と、次の出動に備える態勢づくりの両立が、日々の業務の土台になっていると考えられます。
管轄地域の特性と災害リスク
管内のまちの姿
茨木市は大阪府北部、北摂地域の中核都市の1つです。市内では、大阪府・箕面市などと産学官で進める新都市建設プロジェクト「彩都(国際文化公園都市)」が進行しており、計画面積は約743ha(うち茨木市域は約579ha)にのぼります。
西部地区は平成16年春にまちびらきし、中部地区には大規模物流施設が立地するなど、古くからの市街地と新しい開発地域が同居するのが茨木市の特徴です。人口28万人を超える規模の都市でありながら、まちの一部では今も開発が進行中という点は、他の消防本部にはあまり見られない茨木市ならではの事情だといえます。(出典:彩都(国際文化公園都市)の概要|茨木市)
大阪府北部地震(平成30年)の記録
平成30年(2018年)6月18日07時58分、大阪府北部の深さ13kmを震源とするマグニチュード6.1(暫定値)の地震が発生し、茨木市を含む大阪市北区・高槻市・枚方市・箕面市で最大震度6弱を観測しました。
同地震では、ガスが大阪北部の4市(茨木市・高槻市・摂津市・吹田市)で最大約11万戸の供給停止となり、1週間以内にすべて復旧しています。停電は大阪府・兵庫県で最大約17万戸に及びましたが、当日午前中に復旧しました。(出典:平成30年大阪府北部の地震|気象庁)
南海トラフ地震の想定
大阪府が公表する南海トラフ巨大地震の府域全体の被害想定(平成26年1月とりまとめ)では、震度5弱〜6強、死者13万4千人、建物全壊17万9千棟・半壊45万9千棟、避難所生活者191万5千人、水道断水832万人、経済被害28.8兆円とされています(府域全体の想定であり、茨木市だけの数値ではありません)。内陸に位置する茨木市は、実際に平成30年大阪府北部地震を経験した本部として、地震への備えを組織の重要な柱に据えていると考えられます。
府域では平成24年から、大津波警報の発表を想定して訓練メールを配信する「大阪880万人訓練」が毎年行われています。内陸の茨木市にとっては津波そのものより、建物の倒壊やライフラインの停止といった内陸型の被害への備えがより身近な論点になります。(出典:大阪府南海トラフ巨大地震被害想定|平成26年1月とりまとめ)
茨木市の主な消防課題
ここまでの数字と地域の姿を踏まえると、茨木市消防本部が向き合っている課題が見えてきます。面接で「消防の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
救急需要の増加
全国の救急出動は令和6年中に771万8,380件となりました。昭和38年に集計が始まってから、これほどの件数になったのは初めてです。
救急需要の伸びは、どの本部にも共通する構造的な流れだといえます。茨木市の19,333件(令和6年中)もこの流れの中にあり、28万人を超える人口を抱える茨木市消防本部にとって、限られた人員でどう需要に応えるかは重要な論点です。(出典:令和7年版 救急・救助の現況)
大規模地震への備え
平成30年大阪府北部地震で最大震度6弱を観測し、ガスの供給停止も経験した茨木市消防本部にとって、地震への備えは実体験に裏打ちされた重要課題です。県境をまたぐ災害への備えとしては、全国の消防本部の約99%にあたる718本部(6,661隊・令和6年4月1日現在)が緊急消防援助隊に登録しています。
震度6弱を実際に経験した本部として、平時の訓練と受援体制の両面から備えを進めていることが読み取れます。ライフラインの停止という経験は、ガス・水道等の事業者や近隣自治体との連携の重要性を実感させる出来事でもあったと考えられます。(出典:令和6年版 消防白書)
都市開発地域への対応
彩都のような新しい開発地域では、物流施設や住宅の集積に伴い、従来の市街地とは異なる火災・救急のリスクが生まれます。
大規模物流施設の防火・防災体制や、新しく移り住む住民への防災啓発など、開発の進展に合わせた対応が求められます。平成16年のまちびらきから20年以上が経ち、居住人口が増える一方で、中部地区の物流施設のように昼間の稼働人口が多いエリアも抱えているため、時間帯によって異なるリスクへの目配りも必要になります。
予防・住宅防火
火災27件(令和6年中)という数字の背後には、日頃の予防活動があります。
人口密集地を抱える茨木市消防本部にとって、住宅用火災警報器の普及啓発や、事業所への立入検査を通じた予防行政は、消火活動と並ぶ大きな仕事です。特に古くからの市街地では住宅の老朽化も進んでおり、火災の未然防止に向けた地域との連携が今後も欠かせません。
人材確保と女性消防吏員の活躍
消防吏員277人のうち女性は8人で、割合は約2.9%です。全国の水準(令和7年4月1日現在、消防吏員168,230人のうち女性は6,386人・約3.8%)を下回っており、国が掲げる目標「令和8年度当初までに5%」を踏まえると、多様な人材の確保は今後に向けた課題だといえます。
28万人を超える人口を抱える都市部の消防本部として、性別を問わず幅広い層から人材を集めていくことが、今後の体制維持にもつながります。受験を検討する側にとっても、こうした課題は決して他人事ではありません。(参考:女性消防吏員の活躍推進|消防庁)
重点方針|人材育成・確保基本方針とまちづくり
茨木市消防本部が単独で年次の運営方針を示している資料は、2026年9月時点では見つかりませんでした(当研究会調べ)。
組織の姿勢を知る手がかりとして押さえておきたいのが、市の受験案内に掲げられている「茨木市が求める職員像 〜茨木市人材育成・確保基本方針〜」です。消防吏員を含む茨木市職員全体に向けた方針として、3つの柱が示されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 市民目線 | 常に市民の目線に立ち、市民から信頼される職員 |
| チャレンジ力 | 新たな課題への挑戦を恐れず、自分を変革できる自律した職員 |
| マネジメント力 | 政策形成能力や経営感覚などを備え、目標を達成できる職員 |
あわせて、彩都のような大規模開発プロジェクトが進行中であることも、茨木市がまちの将来像をどう描いているかを知る手がかりになります。開発が進む北摂地域の中で、変化を前向きに受け止めながら市民の安全を守るという役割は、この3項目の精神とも重なります。
面接では、この3項目のどれか1つに関心を持ち、自分の経験とどうつながるかを説明できるだけで、市の方針を踏まえた志望だと伝わります。(出典:茨木市職員採用試験案内|令和8年度)
POINT|3項目を暗記するだけでは足りない
「市民目線」「チャレンジ力」「マネジメント力」という言葉を覚えるだけでは不十分です。自分のどの経験がこの3項目のどれに当てはまるのかを、具体的なエピソードとセットで説明できるようにしておきましょう。3項目すべてに無理に触れる必要はなく、自分の経験と自然に結び付く1つか2つを選ぶ方が、話に説得力が出ます。
悪い例「体力に自信があるので、茨木市消防本部を志望します」
改善例「アルバイト先で新しい取組を提案し、周囲を巻き込みながら実行した経験があります。茨木市が掲げる『チャレンジ力』という言葉に重なる部分だと考えていますので、その経験を消防の現場でも活かしたいです」
あわせて確認したい公式資料
茨木市消防本部の面接では、開発が進む地域をどう守るかという視点が問われます。採用条件の確認と並行して、まちの変化を追える資料も開いておきましょう。
- 茨木市職員採用試験案内(消防職の試験区分)
- 茨木市の彩都(国際文化公園都市)の概要ページ
- 総務省消防庁が公表する全国消防本部のデータ
- 大阪府南海トラフ巨大地震被害想定
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、茨木市消防本部専用の面接想定問答集をご用意しています。茨木市消防本部の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
茨木市消防本部の面接の概要
ここからは、茨木市消防本部の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。公表されている範囲と、公表されていない範囲をあらかじめ区別しておくことで、限られた時間を無駄なく使えます。
茨木市消防本部の面接の流れ
茨木市の消防吏員は、市の職員採用試験の一区分として、消防本部が窓口となる形で募集されます。
公式FAQは試験の内容について「第一次試験で総合能力試験(SPI3)と体力試験を実施します。その後、第一次試験の合格者に第二次試験を実施します。」と説明しています。事務職等とは別に消防本部が独自に問い合わせを受け付けている点からも、消防吏員の採用が本部の実務に近いところで運用されていることがうかがえます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施主体 | 茨木市職員採用試験委員会(事務は総務部人事課) |
| 申込・問い合わせ先 | 茨木市消防本部総務課総務係 |
| 第一次試験 | 総合能力試験(SPI3)+体力試験 |
| 第二次試験 | 第一次試験合格者に実施(具体的な内容は公表を確認できず) |
| 面接形式 | 公表は確認できず。最新の受験案内でご確認ください |
現行(令和8年度)の消防吏員採用試験は第一次試験が総合能力試験(SPI3)と体力試験である旨まで公式FAQで確認できていますが、第二次試験以降の具体的内容・配点・採用予定人数・体力試験種目・身体要件は公表情報から確認できませんでした。なお、検索で古い年度の募集要項が見つかることがありますが、記載内容は現行と異なります。試験の詳しい構成は、実施年度の受験案内で必ずご確認ください。
採用試験の実施主体が「茨木市職員採用試験委員会」であり、申込・問い合わせの窓口が消防本部総務課総務係に置かれている点は、事務職と消防吏員とで採用の実務が分かれていることを示しています。消防吏員として働くうえで自分がどの部署とやり取りすることになるのかを、試験の段階から意識しておくと、組織理解の解像度が上がります。
この分かれ方には、それなりの歴史があります。茨木市が近隣市と「北摂都市職員共同採用試験」を実施していた平成28年度の区分を見ると、共同実施の対象は事務系・技術系(短大、高校卒)および保育士で、看護師・保健師・栄養士・事務(身体障害者)・幼稚園教諭とならんで、消防吏員は当時から本市の独自実施と整理されていました。
令和8年度の6月実施分・9月実施分には共同採用試験や統一試験の記載がなく、現在は市の職員採用そのものが単独実施に戻っています。それでも消防吏員だけは一貫して本部が窓口を持ち続けてきた形で、この積み重ねが今の採用実務にそのまま残っているといえます。
茨木市消防本部が求める人材
茨木市消防本部の消防吏員を含む職員全体に向けては、前章で紹介した「市民目線」「チャレンジ力」「マネジメント力」という3つのキーワードが公式に示されています。これらは消防吏員固有の人物像ではありませんが、市が職員に求める共通の軸として押さえておく価値があります。
彩都のような開発が進む一方、平成30年の地震を経験した組織でもあることから、変化への対応力と地域への責任感の両方を意識しておくとよいでしょう。また、消防吏員が北摂都市職員共同採用試験の枠組みに含まれず、当初から独自の採用を続けてきた経緯を踏まえると、他の職種以上に現場の専門性が重視されてきた組織だとも考えられます。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。茨木市消防本部の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。まずは全体像をつかんだうえで、後述する固有質問への準備にしっかりと時間を割いていきましょう。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日はここまでどのように来られましたか? | 緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます |
| ② 動機・志望 | なぜ茨木市消防本部を志望するのですか? | 消防官という仕事と茨木市を、自分の言葉で選べているか |
| ③ 自己理解 | あなたの短所(弱み)は何ですか? | 自分を客観視できているか。弱みへの向き合い方に人柄が出ます |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください | 過去の行動の事実。壁にぶつかったときの対処が現場の仕事に通じるか |
| ⑤ 学業・経歴 | なぜその学校・学科に進もうと考えたのですか? | 進路選択の筋道。自分の決断を順序立てて説明できるか |
| ⑥ 適性・将来 | 24時間の交替制勤務に、体力面の不安はありませんか? | 交替制勤務と現場活動を続けるための体力・生活習慣・覚悟 |
| ⑦ 公共性・社会性 | 消防官(公務員)に最も必要な資質は何だと思いますか? | 仕事の公共性への理解と、社会の出来事への当事者意識 |
この見取り図は、本部の規模を問わずおおむね当てはまります。ここから先、茨木市を受ける理由まで踏み込めるかどうかは、次の固有質問で決まります。7つすべてに完璧な答えを用意するより、自分らしさが出やすいものから固めていくのが効率的です。
合否を分けるのは茨木市消防本部に固有の質問
1つ目では消防官という職業を選んだ理由の筋道が、2つ目では茨木市についての理解の具体性が見られます。28万人を超える人口を抱える市だからこそ、具体的な地域理解を持って答える必要があります。
「大阪府北部に位置する消防本部なら、どこでもよかったのではないか」と切り返されないよう、茨木市ならではの事実を自分の言葉で語れるようにしておきましょう。面接で使いやすい「茨木市の事実」を絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい茨木市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 単独設置という組織の成り立ち | 北摂都市職員共同採用試験の枠組みに参加していた時期も、消防吏員は独自採用を続けてきた(詳細は第1部1章) | 市の他区分との違いを理解していることを示すと、組織研究の深さが伝わります |
| 都市開発と歴史ある市街地の同居 | 彩都(国際文化公園都市・計画面積約743ha)が進行中(詳細は第1部3章) | 新旧の地域が混在する管内像を、自分の言葉で具体的に説明できると説得力が増します |
| 大阪府北部地震の経験 | 平成30年6月18日に最大震度6弱を観測し、ガス供給が最大約11万戸停止(詳細は第1部3章) | 被害の事実だけでなく、実体験を踏まえた備えへの理解を示せると具体性が増します |
| 救急需要の増加 | 救急19,333件に対し吏員277人という体制(詳細は第1部2章・4章) | 件数を挙げるだけで終わらせず、277人の体制でどう受け止めるかまで話せると説得力が出ます |
| 求める職員像 | 「市民目線」「チャレンジ力」「マネジメント力」の3項目(詳細は第1部5章の表を参照) | 3項目のどれか1つと自分の経験を結び付けて語れると、市の方針を踏まえた志望だと伝わります |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、〈事実 → 自分の問題意識 → 消防吏員としてやりたいこと〉という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
茨木市は、消防吏員に固有の選考設計(配点や面接形式)までは公表していませんが、職員全体に向けた「求める職員像」を明文で示しています。そのため観点は、この求める職員像3項目を軸に組み立てるのが最も実情に合っています。
あわせて、一般論として知っておくと役立つのが、公務員の採用面接で広く用いられるコンピテンシー評価という考え方です。過去にとった行動の事実から、採用後の再現性を見る方法です。
第二次試験の内容が公表されていない分、この3項目と一般的な評価の視点の両方を押さえておくことが、当日の質問にどう振られても対応できる土台になります。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 市民目線 | 相手の立場に立って考え、行動を変えた経験があるか | アルバイトや部活動で、相手の状況に合わせて対応を変えた具体例を用意しておく |
| チャレンジ力 | 新しいことに自分から取り組み、失敗しても粘り強く続けた経験があるか | 結果の大きさより、何を変えようとしたのかという過程を説明できるようにしておく |
| マネジメント力 | 目標を設定し、計画的に物事を進めた経験があるか | チームや個人で目標を立てて取り組んだ経験を、具体的な数字や成果とともに整理しておく |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。
自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。用意した答えを一度誰かに話して聞いてもらうと、自分では気づきにくい説明不足の部分に気づけることもあります。
本番までの準備6ステップ
ここまでに読んだ材料を、本番までの作業手順に落とし込みます。第二次試験の内容が読めない分、確実に対策できる第一次試験の準備を土台にしつつ、組織研究と自己分析を並行して進めていくのが安心です。
- 令和8年度の受験案内を読み、第一次試験のSPI3と体力試験の内容を確認する
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。部活動・アルバイト・学業から、新しいことに挑戦した具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 組織研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 実際に口に出してリハーサルし、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。体力試験に向けたトレーニングと生活リズムづくりも並行して進める
体力試験の種目は現行分が公表されていませんが、消防の仕事に基礎体力が欠かせないことは変わりません。日々の生活の中で無理のない範囲から体力づくりを始めておくと、直前になって慌てずに済みます。
優先順位に注意
なお、ステップ4〜5の組織研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を消防の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で茨木市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
第二次試験の内容が公表されていない分、確定した第一次試験の対策と、自己分析・組織研究を並行して進めておくことが安心につながります。SPI3は付け焼き刃では点数が伸びにくい試験でもあるため、早い段階から問題形式に慣れておくことも欠かせません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、茨木市消防本部専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
茨木市消防本部の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。
さいごに
茨木市消防本部は、施行時特例市である茨木市を単独で管轄する消防本部で、277人という体制で28万人を超える市民の暮らしを支えています。彩都という大規模開発が進む一方、平成30年大阪府北部地震で最大震度6弱を経験した組織でもあり、新しいまちづくりと実体験に基づく防災の両方に向き合っています。
第一次試験はSPI3と体力試験ですが、第二次試験以降の内容は公表されていないため、まずは確実な情報から準備を進めましょう。「市民目線」「チャレンジ力」「マネジメント力」という市の方針を手がかりに、自分の経験のどこが生かせるのかを言葉にしていってください。
開発が進むまちと、地震を経験したまちという2つの顔を持つ茨木市だからこそ、変化に対応する力と地に足のついた備えの両方を語れる受験者が求められています。限られた準備期間を計画的に使い、本番に臨んでください。