本記事では、東大阪市職員採用試験の面接対策で必要な、東大阪市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

東大阪市役所の面接試験では、「なぜ東大阪市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、市の実情への理解を前提とする質問が想定されます。市が抱える産業や地域の事情を把握しておけば、どの自治体にも当てはまる話に流れず、東大阪市の現場を思い浮かべながら答えを組み立てられます。

試験の構成は受験区分によって段階数が異なります。本記事は上級事務(大学卒業程度)を軸に整理し、初級事務との違いは該当する箇所で分けて示します。

読みながら、自分の経験と市政の接点をメモに書き出してみてください。

第1部|自治体研究編

東大阪市の特徴

面接の答えを作り込む前に、東大阪市がどういうまちなのかを一度つかんでおきましょう。時間のない方は、まずこの6項目だけでも頭に入れてください。

  • 政令指定都市である大阪市・堺市を除くと、大阪府内で最も人口の多い市。府内33市のなかで3番目の規模にあたる。
  • 人口は478,689人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。
  • 平成17年4月1日に中核市へ移行し、保健所の設置をはじめ府から移譲された事務を市自身が処理している。
  • 製造業の事業所数は5,954事業所で全国第5位、事業所数4,000以上の都市どうしで比べた工場密度は全国1位(平成28年経済センサス基礎調査)。
  • 市域は61.78km²。西は大阪市に接し、東は生駒山地を越えて奈良県の生駒市・平群町と境を接する。
  • 市内の花園ラグビー場は昭和4年11月22日に竣工した日本最初のラグビー専用グラウンドで、平成27年4月1日から市の施設として供用されている。

東大阪市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「東大阪市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

下の表には、人口と年齢構成、市域の広さ、周囲との位置関係など、市の性格を一言で説明するときに引きやすい項目を並べました。

項目内容
総人口478,689人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳。大阪府内33市のうち3番目)
65歳以上人口132,401人(高齢化率27.7%)
75歳以上人口82,719人(総人口の17.3%)
総面積61.78km²
人口密度約7,748人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接自治体大阪市・大東市・八尾市、奈良県生駒市・生駒郡平群町
市の花・木ウメ(花)・クスノキ(木)

総人口と65歳以上・75歳以上の人口および割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値です。後述する大阪府全体の8,775,326人・26.8%・16.4%も同じ統計によるもので、割合の分母にもこれを用いています。府が別に公表している推計人口や国勢調査の結果は調査の基準が異なるため、これらの数値とそのまま比べることはできません。総面積・隣接自治体・市の花木は、当研究会が整理した基礎データによります。東大阪市に行政区は置かれていません。

数字から考えられる市政課題

同じ住民基本台帳で大阪府全体を見ると、総人口8,775,326人に対して高齢化率は26.8%、75歳以上の割合は16.4%です。

東大阪市はそれぞれ27.7%・17.3%ですから、府内でも大きな人口を抱えながら、年齢構成は府平均より一歩先に進んでいることになります。約13万2千人という65歳以上の人数は、大阪府内の中規模市の総人口に匹敵する規模です。

大阪府全体の動きも押さえておきましょう。令和7年国勢調査の速報値では、府の人口総数は876万4,578人(令和7年10月1日現在)で、前回の令和2年調査から73,107人・0.83%の減少でした。

平成27年調査で68年ぶりに減少へ転じて以来、3回連続の減少です。府が平成28年3月に策定した人口ビジョンでは、2040年の高齢化率が35.9%まで上がると見込まれています。(出典:令和7年国勢調査 大阪府結果速報|令和7年)

介護や在宅医療、地域の見守りといった仕事の量は、この75歳以上の層の厚みに直結します。中核市として保健所を持つ東大阪市では、こうした分野が府任せではなく市の所管に入ってくる点も合わせて意識しておきたいところです。

面接では、次のように数字と市の仕事を結び付けて話せます。

「東大阪市は大阪市と堺市を除けば府内でいちばん人口の多い市だと知りました。ただ、65歳以上の方の割合は3割近くまで来ていて、府の平均より少し高いそうです。人が多いぶん高齢の方の人数も多いので、身近な相談を受け止める窓口の仕事から関わっていきたいと考えています」

東大阪市の経済・産業

ものづくりの集積という顔

東大阪市を語るうえで外せないのが製造業の集積です。平成28年経済センサス基礎調査では、市内の製造業の事業所数は5,954事業所で全国第5位。事業所数4,000以上の都市どうしで工場密度を比べると全国1位でした。

61.78km²という限られた市域に、これだけの数の工場が詰まっているという構造です。(出典:東大阪市の製造業|平成28年経済センサス基礎調査)

大阪府全体に目を移すと、令和3年経済センサス活動調査(令和3年6月1日現在)では製造業の事業所数が1万4,412事業所で前回比1,720事業所・10.7%の減少、従業者数は41万7,816人で同7,692人・1.8%の減少、一方で製造品出荷額等は16兆9,758億円と同2,899億円・1.7%の増加でした。

工場の数と働き手は減りながら、出荷額は増えているという組み合わせです。調査の年次と種類が市の数値とは異なるため、市と府の事業所数を直接割り算して比べることはできませんが、府域の製造業がこの局面にあることは押さえておきましょう。(出典:大阪の製造業の概況(経済センサス活動調査)|令和3年)

産業振興を志望分野に挙げるなら、「町工場が多いまちです」という紹介で止めないことです。

事業所数が全体として減る局面で、市役所が個々の事業所に対して何をどこまでできるのか。そこまで踏み込んだ問いを自分の中に持っておくと、深掘りにも耐えられます。

まちの顔としての花園ラグビー場

花園ラグビー場は昭和4年11月22日に竣工した日本最初のラグビー専用グラウンドで、平成27年4月1日から「東大阪市花園ラグビー場」として市が供用を開始しました。ものづくりと並ぶ市の対外的な看板であり、スポーツを通じたまちの発信や、来訪者を市内の消費へどうつなぐかという論点に接続できる素材です。

大阪の中での位置

東大阪市は西で大阪市と直接接し、東は生駒山地を越えて奈良県側と向かい合う位置にあります。府域全体では、大阪駅から関西国際空港方面を結ぶなにわ筋線が総事業費約3,300億円で2031年春の開業を目標に整備中で、2025年に開催された大阪・関西万博には総入場者2,901万7,924人が訪れました。

ただし、こうした府域規模の事業を志望動機の柱に据えると、「それは大阪府の仕事ではありませんか」と返されたときに答えが続かなくなります。府域の動きは背景として置き、話の中心は市の窓口や現場へ戻しましょう。その距離感を自分の言葉で説明できるようにしておくと、志望動機に幅が出ます。

東大阪市の主な行政課題

ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、東大阪市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。

密集市街地の解消

大阪府が「地震時等に著しく危険な密集市街地」として挙げた区域は、平成24年当初で大阪市・堺市・豊中市・守口市・門真市・寝屋川市・東大阪市の7市11地区、約2,248haにのぼりました。府の対策はその後進み、令和7年度末(令和8年3月)時点で218haまで減少し、9割解消という目標を達成しています。

府は令和12年度末の全域解消を目標に掲げています。東大阪市はこの7市の一つであり、残る区域で建て替えや道路の拡幅をどう住民の合意のもとで進めるかが、都市計画や防災の現場に残された仕事です。(出典:大阪府 密集市街地対策の進捗|令和7年度末)

大規模地震への備え

市域の東側には生駒断層帯が走っています。地震調査研究推進本部の評価では、生駒断層帯は枚方市から羽曳野市までほぼ南北に延びる全長約38kmの断層帯で、生駒山地と大阪平野の境界付近に位置し、マグニチュード7.0から7.5程度の地震が想定されています。

平均活動間隔は3千年から6千年程度、最新の活動は西暦400年頃から1000年頃と推定され、長期確率の最大値をとると、我が国の主な活断層の中ではやや高いグループに属すると評価されています。

これに加えて、大阪府が平成26年1月にとりまとめた南海トラフ巨大地震の府域最大被害想定では、震度5弱から6強、死者13万4千人、建物全壊17万9千棟・半壊45万9千棟、避難所生活者191万5千人、水道断水832万人、経済被害28.8兆円という数字が示されています。

府は平成24年から、大津波警報の発表を想定して訓練用の緊急速報メールを一斉配信する大阪880万人訓練を続けています。密集市街地の課題と重ねて考えると、避難路の確保や初期消火の体制が市政の重い論点であることが見えてきます。(出典:大阪府 南海トラフ巨大地震等被害想定|平成26年)

高齢化への対応と中核市としての所管

先に見たとおり、東大阪市の高齢化率27.7%・75歳以上の割合17.3%(いずれも令和8年1月1日現在の住民基本台帳)は、府平均を上回る水準です。

中核市である東大阪市は保健衛生行政に関する事務を自ら処理しており、健康づくりや介護、医療との連携といった分野で、府に委ねずに市が判断する場面を持っています。人口規模が大きいぶん、一つの制度変更が動かす人数も大きくなります。

ものづくりの集積をどう維持するか

全国5位という事業所数は市の強みですが、府全体で製造業の事業所が1割規模で減っている局面にあることは先に触れたとおりです。事業承継、人材の確保、住宅と工場が近接する市街地での操業環境。

市役所が直接ものを作るわけではないぶん、事業者や関係機関とどう手を組むかという発想が求められる分野です。

重点政策|中核市としてのまちづくり

東大阪市は平成17年4月1日に中核市へ移行しました。市はこの移行について、移譲された事務権限を生かしたまちづくりを展開していると説明しています。中核市が処理する主な事務としては、身体障害者手帳の交付や養護老人ホームの設置認可・監督などの民生行政、保健所設置市が行う飲食店営業等の許可や浄化槽設置の届出受理などの保健衛生行政、ばい煙発生施設の設置の届出受理や産業廃棄物業者への措置命令などの環境保全行政、屋外広告物の条例による設置制限などの都市計画等が挙げられます。(出典:中核市への移行|東大阪市公式サイト/中核市・施行時特例市|令和5年4月1日現在)

この一覧を眺めると、東大阪市の仕事の幅がつかめます。工場の多いまちで環境保全の届出を受け、保健所として飲食店の営業許可を出し、手帳の交付や高齢者施設の認可で市民の暮らしに関わる。

第1部で見た産業や高齢化の数字は、そのまま市職員の日常の業務量として表れます。

志望分野を絞り込む視点

市が公表している計画の事業名をすべて覚えることが自治体研究の目的ではありません。関心分野を1〜2つ選び、「①何が課題か → ②市はどんな状態を目指すか → ③現在の事業 → ④市だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験・強みをどう生かすか」の順で調べましょう。

POINT|計画の名称を覚えることが目的ではない

大切なのは、計画名を言えることではなく、自分の志望分野と市の課題を結びつけて語れることです。

悪い例「東大阪市の強みであるものづくりを生かしたまちづくりに携わりたいです」

改善例「まずは窓口や現場で市民の方の話を聞くところから始めたいです。その上で、東大阪市には全国でも指折りの数の工場がありますけれども、府全体では工場の数が減っていると聞きました。事業者の方が次の世代へ仕事を渡していけるように、相談を受ける側の仕事に関わっていきたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

以下の資料は、いずれも東大阪市の公式サイトに最新版が置かれています。志望分野に近いものから開き、印象に残った記述はその場で自分の言い方に直して控えておきましょう。

  • 東大阪市職員採用試験の募集要項(自分が受験する区分の最新年度分)
  • 東大阪市が求める職員像を掲げたページ
  • 市の総合計画と、最新年度の予算・市政運営に関する資料
  • 中核市への移行と移譲された事務を説明したページ

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、東大阪市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。東大阪市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

東大阪市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

東大阪市役所の面接の概要

ここからは、東大阪市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析にもとづいて整理していきます。

東大阪市役所の面接の流れ

令和9年度採用の上級事務は三次試験制です。一次試験はSCOAの基礎能力検査(偏差値で評価)と録画面接【60点】、二次試験はSCOAの事務能力検査(偏差値で評価)とSCOAの性格検査、そして個別面接【150点】。

三次試験は個別面接【200点】と集団討論【90点】で構成されます。人物を見る試験の配点は、段階が進むごとに60点、150点、290点と重くなっていきます。三次試験は計290点がすべて人物試験という設計です。

この試験でもう一つ押さえておきたいのが得点の扱い方です。上級事務の募集要項には、一次試験の結果は合格決定後にリセットされて二次試験には持ち越さず、二次試験の結果も三次試験には持ち越さないと明記されています。

各段階の得点は次の段階に加算されないため、前の段階の貯金で押し切ることはできません。裏を返せば、一次をぎりぎりで通過したことが二次で不利に働くわけでもありません。

各段階の順位は、その段階で受けた試験だけで決まります。なお二次試験のSCOA性格検査については、得点化せず個別面接時の参考資料とすると明記されています。

初級事務は上級事務より1段階少ない二次試験制です。一次試験はSCOAの基礎能力検査と録画面接【60点】で上級事務と同じ形ですが、二次試験でSCOAの事務能力検査と性格検査に加えて個別面接【200点】と集団討論【90点】がまとめて実施されます。

上級事務では三次に置かれている配点の重い個別面接と集団討論が、初級事務では二次に集約されている点が違いです。

項目内容(令和9年度採用・上級事務〈大学卒業程度〉)
試験の段階三次試験制(一次→二次→三次)。初級事務は二次試験制で、段階が1つ少ない構成です
一次試験SCOA(基礎能力検査。偏差値で評価)と録画面接【60点】。上級事務・初級事務とも同じ組み合わせです
二次試験SCOA(事務能力検査。偏差値で評価)、SCOA(性格検査)、個別面接【150点】。性格検査は得点化せず、個別面接時の参考資料として使われます
三次試験個別面接【200点】と集団討論【90点】の計290点。上級事務のみの段階です
得点の扱い一次試験の結果は合格決定後にリセットされ、二次試験には持ち越されません。二次試験の結果も三次試験には持ち越されません
録画面接の設問上級事務は「あなたらしい自己紹介」(1分以内)と「東大阪市職員として成し遂げたいこと」(2分以内)の2問。初級事務は2問目が「これまでの経験からチームで取り組むうえで大切にしていること」(2分以内)です
SCOAの受験方式テストセンター方式。全国47都道府県に約350ヶ所の会場があり、受験者自身が受験日時と会場を予約します
採用予定人数上級事務は35人。受験できるのは平成14年4月2日から平成17年4月1日までに生まれ、大学卒業程度の学力を有する人です
成績の開示不合格者には、一次・二次・三次それぞれの順位と得点が不合格通知とあわせて専用サイトのマイページで開示されます

上記は東大阪市職員採用試験委員会が公表した令和9年度採用の募集要項にもとづく上級事務(大学卒業程度)の内容で、初級事務の記載は同年度採用の初級事務の募集要項によります。申込みは原則としてインターネットでのみ受け付けられ、所管は行政管理部人事課です。試験の構成・配点等は年度や受験区分によって変わる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の募集要項をご確認ください。(出典:東大阪市職員採用試験募集要項(上級事務)|令和9年度採用/東大阪市職員採用試験募集要項(初級事務)|令和9年度採用)

提出書類についても触れておきます。上級事務の募集要項には、面接カードやエントリーシート、自己PRシートといった書類の提出を求める記載がありません。

申込時に必要なのは顔写真のデータのみで、書類の代わりに人物像を伝える材料になるのが録画面接の動画とSCOAの性格検査の結果です。書式に沿って自己PRを書く機会がないぶん、最初に人物像を伝える場は録画面接の動画そのものだと考えて準備してください。

段階ごとに準備の中身を切り替える

三次試験制と、得点を持ち越さない仕組みを合わせて考えると、上級事務の準備は「面接の練習」とひとまとめにはできません。

人物を見る試験の形が、段階ごとに入れ替わるからです。それぞれの段階に向けて何を仕上げるのかを、あらかじめ分けておきましょう。

段階人物を見る試験の形その段階に向けて仕上げること
一次|録画面接【60点】面接官は目の前にいません。設問は募集要項で示されており、1分・2分の枠の中で自分だけで話し切ります動画を作成して提出する方式なので、話す分量と速さを手元で詰められる段階です。原稿を目で追う顔になっていないところまで整えます
二次|個別面接【150点】初めての対面です。録画で伝えた人物像を、その場の問い返しに耐える形で語り直します用意した答えの「その先」を作る段階です。一つの経験について、なぜそうしたのかを二段三段と掘られても止まらない状態にします
三次|個別面接【200点】+集団討論【90点】最も配点の重い個別面接と、他の受験者と同席する討論が同じ段階に置かれます一人で語る力と、他の人の発言を受けて動く力を並行して仕上げる段階です。討論では結論が出るまでにどう関わるかまで決めておきます

とくに切り替えが要るのは、一次から二次へ進むときです。録画面接のために作り込んだ話し方は、対面の個別面接ではそのままでは足りません。

自分の手元で仕上げられる場と、その場で問い返される場は別物だからです。録画で語った内容を土台に置いたうえで、そこから先を掘られたときの答えを積み増していく作業が、二次に向けた準備の中心になります。

三次はさらに性質が変わります。200点の個別面接と90点の集団討論が同じ段階に並ぶため、一人で語る準備だけでは片側しか埋まりません。

討論の練習を後回しにしたまま個別面接の答えを磨き続けると、三次試験290点のうち3割近くを占める場に、備えのないまま入ることになります。

初級事務を受ける方は、この切り替えが一段階早く来ます。個別面接【200点】と集団討論【90点】が二次試験にまとまっているため、対面で一人で語る準備と、討論で他の人と結論をつくる準備を、同じ時期に並行して進めることになります。

東大阪市が求める職員像

東大阪市は公式サイトで「東大阪市が求める職員像」として次の4項目を掲げています。(出典:東大阪市が求める職員像|東大阪市公式サイト)

  • 情熱を持って新しい時代に対応できる職員
  • 市民とともにまちづくりを実践できる職員
  • 高い倫理意識を持ち、市民の目線で行動し、市民から信頼される職員
  • 目的と目標を明確にし、リーダーシップを発揮する職員

4項目を並べると、「情熱」「市民との協働」「倫理と信頼」「目的意識とリーダーシップ」という軸が浮かびます。注目したいのは、2つ目に「市民とともに」という言葉が置かれ、4つ目でリーダーシップが求められている点です。

市が単独で完結させられない仕事、つまり工場の操業環境や密集市街地の建て替えのように、事業者や住民の側の動きがなければ前に進まない仕事を多く抱えているまちなのだという前提が、この並びからはうかがえます。

東大阪市が文章にしているのはこの4項目までです。この並びの背景を、市の規模と中核市としての所管の広さから当研究会なりに考えてみます。

61.78km²の市域に約48万人が暮らし、人口密度は約7,748人/km²。そこへ中核市として保健所の事務まで加わるため、市が自ら判断する分野は保健衛生から環境、都市計画にまで広がります。

この条件のもとでは、自分の担当を回す力に加えて、地域団体や事業者、隣り合う大阪市や八尾市、府の窓口と話をつないで一つの形にまとめる力を確かめる比重が大きくなりやすい設計だと読めます。東大阪市の場合、5,954事業所という製造業の集積と、府が7市の一つに数えた密集市街地の解消は、まさに市役所だけでは終わらない仕事の典型です。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。東大阪市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク会場までの道はすぐに分かりましたか?録画面接では手元で整えられた話し方が、対面でも同じ温度で出てくるか
② 動機・志望大阪府庁でも隣の大阪市役所でもなく、東大阪市を選んだ理由を教えてください府内で3番目の人口規模を持つ市をあえて選んだ理由が、自分の経験と地続きになっているか
③ 自己理解録画面接で話した自己紹介に、いま一言足すとしたら何を足しますか?提出した動画の人物と、目の前に座っている人物が同じに見えるか
④ 経験・行動集団で意見が割れたとき、あなたはどの位置にいましたか?三次試験の集団討論で取るであろう振る舞いが、過去の経験から読み取れるか
⑤ 学業・経歴学生時代に最も時間をかけたことを教えてください取り組みの過程を、事情を知らない相手に順序立てて渡せるか
⑥ 適性・将来保健所や環境の部署など、中核市ならではの職場に配属されたらどう働きますか?中核市として市が処理している事務の幅を、どこまで具体的に思い描けているか
⑦ 公共性・社会性ものづくりのまちという東大阪市の顔について、どう感じていますか?市の産業構造に自分なりの見方を持ち、短くまとめて述べられるか

ただし、この見取り図の範囲は受験者全員が対策してきます。ここでは大きな差がつきにくいのです。

では、どこで差がつくのか。それが次の「東大阪市ならではの事情を踏まえた質問」です。

合否を分けるのは「東大阪市役所ならでは」の質問

「なぜ大阪府庁ではなく、東大阪市役所を志望するのですか?」
「東大阪市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらも東大阪市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「東大阪市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい東大阪市の事実答え方のヒント
人口と規模の現在地人口478,689人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)で、大阪府内33市のうち3番目。政令指定都市の大阪市・堺市を除けば府内で最も多い規模を言い切って終わりにせず、それだけの人数を相手にする窓口や現場の仕事量へ話を続ける
なぜ府庁ではなく市役所か大阪府は府域全体の制度設計や広域調整を担い、東大阪市は中核市として保健所の設置をはじめ府から移譲された事務を自ら処理している制度の対比だけで終わらせず、平成17年の移行で市の手元に来た事務のどれに関わりたいかまで踏み込む
ものづくりの集積製造業の事業所数5,954事業所で全国第5位、事業所数4,000以上の都市で比べた工場密度は全国1位(平成28年経済センサス基礎調査)「工場が多い」で止めず、府全体で事業所が減る局面に市役所が何をできるかという問いの形にして持ち込む
密集市街地と防災大阪府が挙げた「地震時等に著しく危険な密集市街地」7市11地区の一つ。府全体では平成24年当初の約2,248haが令和7年度末に218haまで減少した改善の数字を評価したうえで、残る区域で住民の合意をどう積み上げるかという難しさに触れる
東大阪市が求める職員像「情熱を持って新しい時代に対応できる職員」など4項目を市が公表している4項目を並べ直すのではなく、自分の経験が最も強く重なる1項目を選び、録画面接で語った内容とずれないようそろえておく

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

東大阪市が公表している「東大阪市が求める職員像」の4項目は、そのまま面接で確かめられる内容の目安になります。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
情熱を持って新しい時代に対応できるか状況が変わったときに、前例をなぞらず手を打った経験があるか録画面接で述べた「東大阪市職員として成し遂げたいこと」を、二次・三次の個別面接でも同じ熱量で語れるよう、その思いの出発点まで遡っておく
市民とともにまちづくりを実践できるか一人で完結させず、周囲を巻き込んで進めた経験があるか三次試験の集団討論90点は、他者と一緒に結論をつくる場そのもの。議論の場で自分が引き受けてきた役割を言葉にしておく
高い倫理意識を持ち、市民から信頼されるか決まりと相手の事情がぶつかったとき、どこで線を引いたか保健所の許可や環境関係の届出など、中核市の事務は公平さの説明を求められる場面が多い。判断の理由まで話せる題材を選ぶ
目的と目標を明確にし、リーダーシップを発揮できるか目標を立て、途中で見直しながら最後まで進めた経験があるか1分・2分という録画面接の制限時間は、結論を先に置く練習そのもの。同じ型で経験を整理しておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。

東大阪市の上級事務は二次・三次で個別面接が2回あり、しかも三次の個別面接には200点が置かれています。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 自分が受ける区分(上級事務か初級事務か)の最新の募集要項を開き、段階数と各段階の配点を書き写す。上級事務は三次まで、初級事務は二次までと構成が違う。配点の横に、その段階で受ける試験の形(録画か、対面の個別面接か、集団討論か)を書き添え、準備の区切りを決めておく
  2. 録画面接の2問に、実際にスマートフォンで動画を撮って答えてみる。1分・2分という制限の中で言い切れる分量を体で覚える
  3. 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
  4. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  5. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で言えるようにする
  6. 集団討論を想定し、賛否の分かれるテーマで自分がどの役回りで貢献するかを決めておく。あわせて個別面接の深掘りに備え、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足す

優先順位に注意

ステップ5の自治体研究は、他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ3の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を先に片付けてください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。ただしステップ2の録画面接だけは後回しにできません。上級事務・初級事務とも一次試験に60点で置かれており、ここを通らなければ次の段階に進めないためです。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、東大阪市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

東大阪市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

東大阪市役所の想定問答集を見る

さいごに

東大阪市の上級事務は三次試験制、初級事務は二次試験制です。上級事務については、各段階の得点を次の段階へ持ち越さないことが募集要項に明記されています。

画面に向かって一人で話す場から、面接官と一対一で向き合う場へ、さらに他の受験者と同じ場で結論をつくる場へと、確かめられ方は段階ごとに変わっていきます。前の段階の高得点で押し切ることができないぶん、段階が変わっても問われ続けるのは受験者自身の中身です。

手持ちの経験のうち、どれが工場の集まるこのまちの仕事の場面と噛み合うのかを選び分ける作業に、時間を使ってください。取り繕った話は、場が変わって二度三度と問われるうちに、必ずどこかで合わなくなります。