本記事では、富田林市職員採用試験の面接対策で必要な、富田林市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

富田林市役所の面接試験では、「なぜ富田林市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。第2部が扱うのは、令和9年4月採用の職員採用資格試験のうち夏実施のものです。

富田林市は令和8年10月採用や秋実施、追加募集なども並行して案内しており、実施の回ごとに構成が変わります。本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と富田林市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|自治体研究編

富田林市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは富田林市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 北東の平坦部を石川が南北に流れ、南部は金剛・葛城連峰を背景とする丘陵と田園が広がる、面積39.72km²の市。市街地と農のある風景が同じ市域に収まっている。
  • 住民基本台帳による人口は104,806人(令和8年1月1日現在)。人口密度はおよそ2,639人/km²で、堺市・羽曳野市・河内長野市・大阪狭山市と、南河内郡の太子町・河南町・千早赤阪村に接する。
  • 65歳以上の割合は32.2%。大阪府全体の26.8%を5ポイント以上上回っており、市民の3人に1人が65歳以上という段階に入っている。
  • 75歳以上の割合も19.4%で、府全体の16.4%を上回る。
  • 市街地に残る富田林寺内町は、平成9年10月31日に国の重要伝統的建造物群保存地区へ選定された。平成30年8月17日付けの追加選定で範囲は旧寺内町の全域へ広がり、東西およそ470メートル・南北およそ400メートル、面積およそ12.9ヘクタールとなっている。
  • 消防は令和6年4月から広域化し、柏原市・河内長野市・羽曳野市・藤井寺市と太子町・河南町・千早赤阪村とともに大阪南消防局を構成している。
  • 市の花はツツジ、市の木はクスノキ。市役所は富田林市常盤町1番1号に置かれている。
  • 令和9年4月採用の事務職(初級・上級、障がい者枠と一般枠の合計)は10人程度の採用予定とされている。

富田林市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「富田林市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

富田林市の場合、押さえておきたいのは人口の規模そのものより、高齢化がどこまで進んでいるかという一点です。ここが府全体と大きく離れています。

項目内容
総人口104,806人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)
65歳以上の割合32.2%(大阪府全体は26.8%)
75歳以上の割合19.4%(大阪府全体は16.4%)
65歳以上の人口33,777人(うち75歳以上20,288人)
総面積39.72km²
人口密度約2,639人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接する市町村堺市・羽曳野市・河内長野市・大阪狭山市・南河内郡太子町・河南町・千早赤阪村
消防の体制令和6年4月から大阪南消防局(5市2町1村で構成)に参加
市役所所在地富田林市常盤町1番1号

総人口と、65歳以上・75歳以上の人口および割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の集計によります。同じ集計に大阪府の行があるため、市と府は同一の物差しで読めます。市が国勢調査を土台に公表する推計人口はこれとは別の系列であり、両者をまたいで増減を計算することはできません。人口密度は基準を統一する目的で、住民基本台帳の人口を総面積39.72km²で除して算出しました。(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)

数字から考えられる市政課題

富田林市の65歳以上の割合は32.2%です。

大阪府全体は26.8%ですから、5ポイント以上の開きがあります。75歳以上でも19.4%と、府の16.4%を3ポイント上回ります。

実数で見れば、10万4千人余りのうち33,777人が65歳以上、うち20,288人が75歳以上です。

高齢の市民のうち6割が75歳以上という内訳が、この市の福祉行政の前提になります。

面積39.72km²に対して人口密度はおよそ2,639人/km²ですが、この数字は市域全体を平らにならした値です。実際には、北東の平坦部に市街地が寄り、南部は金剛・葛城連峰を背景とする丘陵と田園が広がります。

人が集まる場所と、そうでない場所の差が市の中にあるということです。高齢化率が高い市で市域に濃淡があると、支援を届けるための移動や、施設をどこに置くかという判断が、そのまま行政の課題になります。

大阪府全体で見ても、人口は令和7年国勢調査の速報で876万4,578人と前回調査から0.83%減り、平成27年に68年ぶりの減少へ転じて以来3回続けての減少です。府の人口ビジョンは高齢化率が2040年に35.9%へ達すると見込んでいますが、富田林市はすでに32.2%です。

(出典:大阪府人口ビジョン|平成28年3月)たとえば面接では、次のように数字を暮らしの場面へつなげて話せます。

「富田林市は65歳以上の方が3割を超えていて、大阪府の平均よりだいぶ高いと知りました。しかも、そのうちの6割ほどが75歳以上なんですね。同じ高齢者という言葉でも、ご本人が動ける度合いは全く違うと思います。ひとくくりにしないで、必要な方に届く形を考えられる職員になりたいです」

富田林市の経済・産業

寺内町という都市資源

富田林市の市街地には、寺内町の町並みが残っています。

国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されたのは平成9年10月31日で、当初は旧寺内町のうち西側の一部を除くおよそ11.0ヘクタールが対象でした。

その後、平成30年8月17日付けの追加選定で、東西およそ470メートル・南北およそ400メートル、面積およそ12.9ヘクタールの旧寺内町全域へ範囲が広がっています。

保存地区の範囲が20年を経て拡大したという経緯そのものが、市が町並みをどう扱ってきたかを示しています。(出典:富田林寺内町 伝統的建造物群保存地区|平成30年8月追加選定)

面接で観光や都市魅力を語るなら、名所として紹介するより、保存と暮らしの両立をどう図るかという側から入るほうが実務に近い話になります。保存地区は資料館ではなく、いまも人が住んでいる場所です。

修景の費用、生活の利便、来訪者の受け入れ。この3つを同時に扱うのが、保存地区を抱える市の行政です。

大阪府の産業のなかでの位置

市単位の産業統計が限られるぶん、府全体の姿から環境を押さえておきましょう。

令和3年経済センサス‐活動調査によれば、大阪の製造業は事業所数1万4,412事業所(前回比10.7%減)、従業者数41万7,816人(同1.8%減)、製造品出荷額等16兆9,758億円(同1.7%増)でした。事業所も働き手も減るなかで出荷額だけが伸びています。

府域の製造業は、規模を広げるのではなく1か所あたりの中身を厚くする方向へ動いていることになります。南部に丘陵と田園を持つ富田林市では、こうした製造業の動きよりも、農のある土地をどう次につなぐかが身近な論点です。

府全体が人口減少に入っている以上、担い手の確保は自然に解決しません。土地の使い道を決めることが、そのまま市の将来像を決めるという関係を意識しておくと、まちづくりや産業の話に深みが出ます。

広域化した消防と、市が残した仕事

富田林市の消防は、令和6年4月に広域化しました。柏原市・河内長野市・羽曳野市・藤井寺市と太子町・河南町・千早赤阪村を合わせた5市2町1村で大阪南消防局を構成し、広域化の時点での管轄人口はおよそ48万人、管轄面積はおよそ290平方キロメートルにのぼります。

組織は柏羽藤・富田林・河内長野の3つの消防署で成り立っています。(出典:大阪南消防局 構成市町村の概要|令和6年4月広域化)

この広域化が意味するのは、市が消防を手放したということではありません。災害時の避難や備蓄、日ごろの防災の呼びかけといった仕事は市に残ります。

広域で担う部分と、市が抱え続ける部分の線引きを理解しておくと、防災を志望分野に選んだときの説明が具体になります。

富田林市の主な行政課題

ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、富田林市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。

府の見通しに先回りしている高齢化

富田林市の65歳以上32.2%、75歳以上19.4%という水準は、府全体の26.8%・16.4%から明確に離れています。

府の人口ビジョンが2040年の到達点と見込む35.9%まで、あと3ポイント余りという位置です。

富田林市が今どう動くかは、府全体がこれから直面することの先例になり得ます。

介護や医療の体制に加えて、住まいの更新、地域活動の担い手、移動の手段まで、課題は同時に立ち上がります。

市域の濃淡と、届け方の設計

北東の平坦部に市街地が集まり、南部は丘陵と田園が広がるという地形は、行政サービスを均一に配れないことを意味します。

人口密度はおよそ2,639人/km²ですが、この平均値の内側で、歩いて役所に行ける地域と、そうでない地域が分かれます。高齢化率が3割を超える市でこの差があると、窓口を待つ姿勢では届かない市民が出てくることになります。

出向く、つなぐ、地域に任せる。この3つの組み合わせをどう設計するかが課題です。

大規模地震への備え

大阪府が公表する南海トラフ巨大地震の府域最大被害想定(平成26年1月とりまとめ)は、震度5弱から6強、死者13万4千人、建物の全壊17万9千棟・半壊45万9千棟、避難所生活者191万5千人、水道の断水832万人、経済被害28.8兆円です。

内陸の活断層では、枚方市から羽曳野市までほぼ南北に延びる全長およそ38キロメートルの生駒断層帯があり、マグニチュード7.0から7.5程度の地震が想定されています。

平均活動間隔は3千年から6千年程度、最新の活動は西暦400年頃から1000年頃と推定され、長期確率の最大値をとると国内の主な活断層のなかではやや高いグループに属します。(出典:大阪府の地震被害想定|平成26年1月とりまとめ/生駒断層帯の長期評価(地震調査研究推進本部))

上記の被害想定は大阪府が府全体を対象に算出した数値であり、富田林市域に限った想定ではありません。生駒断層帯の評価も断層帯全体を対象とするものです。

町並みを守りながら暮らしを更新すること

重要伝統的建造物群保存地区は、建物の外観を変えることに制約が伴います。

そこに人が住み続けるということは、住民の生活の都合と保存の要請が、日常的にぶつかるということでもあります。市はこの範囲を平成30年に旧寺内町の全域へ広げました。

守る範囲を広げた分だけ、調整すべき場面も増えるという関係にあります。

「なぜ府庁ではなく市役所なのか」と問われたときは、こうした一軒ごとの調整を挙げてください。広域行政の側では引き受けようのない仕事の実例になります。

富田林市の重点政策|人材育成基本方針が掲げる5つの職員像

富田林市が職員に何を求めているかは、平成29年4月に策定された人材育成基本方針にまとまっています。市の方向を読むうえで、これは採用の場でそのまま参照できる文書です。

基本姿勢と5つの職員像

方針が基本姿勢として掲げているのは、「私たちはみんなで考え連携・協働し、行動する職員をめざします!」という一文です。

個人の能力ではなく、みんなで考えることと連携・協働、そして行動という3つが並んでいます。その下に、めざすべき職員像が5項目で示されています。(出典:富田林市人材育成基本方針|平成29年4月策定)

めざすべき職員像面接での読み替え
① 市民感覚を持ち、市民の目線に立って行動する職員制度の側の理屈ではなく、受け取る側からどう見えるかを考えた経験があるか
② 専門性を高め、行政のプロフェッショナルとして行動する職員ひとつの分野を掘り下げた経験と、その掘り下げ方を説明できるか
③ 行政経営感覚を持って行動する職員限られた予算や人手のなかで、優先順位をつけて動いた場面があるか
④ チャレンジ意欲を持って行動する職員前例のない場面へ自分から入っていったか。うまくいかなかったときに何を変えたか
⑤ 豊かな感性と人間性を持って行動する職員数字や制度に還元できない部分で、人にどう向き合ってきたか

5項目のうち、②の専門性と③の経営感覚が並んでいる点は覚えておきましょう。人口10万人規模の市で、令和9年4月採用の事務職が10人程度という採用規模であれば、一人の職員が受け持つ分野は自然と広くなります。

それでも専門性を掲げているということは、広く担いながら、担当した分野は深く知ることを求めていると読めます。この2つは相反するようでいて、実務では同時に要求されるものです。

市の実情とあわせて読む

この5項目を、第1部で見た数字に当ててみましょう。65歳以上が32.2%、そのうち6割が75歳以上という市では、①の市民感覚は、説明のわかりやすさや手続の負担の少なさとして具体化します。

市街地と丘陵に濃淡のある市域では、③の経営感覚は、どこに何を配置するかという判断の話になります。町並みの保存地区を抱える市では、⑤の感性と人間性は、一軒ごとの事情に耳を傾ける姿勢として現れます。

抽象的な5項目は、市の実情に当てて初めて話せる言葉になります。

POINT|5項目を全部語ろうとしない

名称を覚えることが自治体研究の目的ではありません。関心分野を一つか二つ選び、「①何が課題か → ②市はどんな状態を目指すか → ③現在の事業 → ④市だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験・強みをどう生かすか」の順で調べましょう。

悪い例「市民の目線に立って行動できる職員になりたいです」

改善例「富田林市は65歳以上の方が3割を超えていて、そのうち6割ほどが75歳以上だと知りました。窓口まで来ていただくのが難しい方も多いはずです。まずは書類の書き方から見直して、来庁の回数を減らせないかを考える仕事に関わりたいです」

あわせて確認したい公式資料

富田林市は採用に関する案内が実施の回ごとに分かれており、どれを見ているかを取り違えやすい市です。次の4点を、自分が受ける回のものかどうか確かめながら読んでください。

  • 職員採用資格試験の実施要綱(自分が受ける回のもの。試験科目には現時点での予定という注記が付いています)
  • 富田林市の人材育成基本方針(5つの職員像の本文)
  • 市の採用ページに並ぶ募集職種の一覧(事務職以外の区分も確認しておくと、市の仕事の幅がつかめます)
  • 市政情報のページに掲載されている計画のうち、志望分野にいちばん近いものを1本

市の公式サイトには、令和8年10月採用、令和9年4月採用の夏実施と秋実施、追加募集、キャリアリターン採用の案内が並んで掲載されることがあります。自分が申し込んだ回の案内を、そのつど開き直して確かめてください。

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、富田林市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。富田林市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

富田林市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

富田林市役所の面接の概要

ここからは、富田林市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

富田林市役所の面接の流れ

富田林市の職員採用資格試験を実施するのは富田林市職員採用選考委員会で、事務は市長公室人事課が担当しています。

市に人事委員会は置かれていません。令和9年4月採用(夏実施)は第1次から第3次までの3段階で、事務職の初級と上級を障がい者枠・一般枠を含めて合わせて10人程度採用する予定とされています。

この試験で押さえておきたいのは2点です。

ひとつは、第3次試験で個人面接に加えて小論文が課されること。

もうひとつは、第2次試験の科目が「集団面接または個人面接」と併記されており、実施要綱の公表時点ではどちらになるか確定していないことです。実施要綱と採用ページのどちらにも、試験科目はあくまで現時点での予定だという断り書きが添えられています。

項目内容(令和9年4月採用・職員採用資格試験(夏実施))
実施主体富田林市職員採用選考委員会(事務担当は市長公室人事課)。富田林市に人事委員会は置かれていません
段階構成3段階。第1次試験 → 第2次試験 → 第3次試験
第1次試験テストセンター方式で、総合適性検査(基礎能力)と総合適性検査(性格検査)を受験します。内容は文章読解能力、数的能力、推理判断能力、人文・社会、自然に関する一般知識、基礎英語についての大学卒業程度(初級は高卒程度)と、職員として必要な適性の有無を問う択一式で、試験時間は90分程度です
第1次試験の免除事務職では、司法試験予備試験の合格者と情報処理技術者試験の合格者はテストセンターでの試験が免除され、WEB方式の総合適性検査(性格検査)のみを受検します(免除か否かは受験票に記載されます)
第2次試験集団面接または個人面接(実施要綱・採用ページとも、試験科目は現時点での予定である旨の注記があります)
第3次試験個人面接試験と小論文(同じく現時点での予定という注記があります)
採用予定人数事務職初級・上級(障がい者枠・一般枠)を合わせて10人程度
申込みの方法原則としてインターネット(LoGoフォーム)から申し込みます
提出書類写真データ(上半身・脱帽・無背景・正面向きで、過去3か月以内に撮影した縦45mm×横35mm程度のもの)。第1次試験の免除を希望する場合は資格等を証明する書類のデータ、障がい者枠の受験者は手帳の写しのデータも提出します
結果の通知各試験を有効に受験して不合格となった場合、本人が希望すれば得点と順位が通知されます
合格発表市のウェブサイトと市役所3階人事課で受験番号を掲示し、合格者には次の試験の案内をメールで送付します(電話等での照会は受け付けていません)

第2次の形式が確定していない以上、どちらで来ても崩れない準備をしておくのが現実的です。集団面接なら、話す時間は短く、他の受験者の発言を受けての一言も見られます。

個人面接なら、ひとつの話題を掘り下げられます。同じ材料を、短く言い切る版と、細部まで説明する版の両方で持っておけば、当日どちらであっても対応できます。(出典:富田林市職員採用資格試験実施要綱|令和9年4月採用)

もうひとつ見落とせないのが第3次の小論文です。3段階の最後に文章を書く試験が残っているということは、面接で語ったことと書いたことの筋が通っているかを確かめられる余地があるということでもあります。(参考:富田林市職員採用試験のご案内|令和9年4月採用)

上記の試験構成は、富田林市が公表する令和9年4月採用(夏実施)の職員採用資格試験実施要綱にもとづくものです。富田林市の公式サイトには、令和8年10月採用、令和9年4月採用の秋実施、追加募集、キャリアリターン採用など複数の案内が並存しており、実施の回ごとに試験構成や日程が異なります。試験の構成・日程・配点等は、年度や受験区分によって異なる可能性がありますので、受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。

富田林市役所がめざすべき職員像

第1部で見たとおり、富田林市の人材育成基本方針は「私たちはみんなで考え連携・協働し、行動する職員をめざします!」を基本姿勢とし、5つのめざすべき職員像を示しています。市民感覚、専門性、行政経営感覚、チャレンジ意欲、豊かな感性と人間性の5つです。

面接での評価は、この5項目に照らして組み立てられると考えて差し支えありません。ここに一段だけ、市の規模から見た当研究会の読みを足します。

令和9年4月採用の事務職は初級と上級を合わせて10人程度です。人口10万人余りの市で年に10人程度を採るということは、同期は少なく、数年で担当が変わることになります。

そのうえで市が募集している職種を見ると、事務職のほか、手話通訳者、主任介護支援専門員、社会福祉士、保健師、保育士、土木と建築の技術職が並びます。専門の資格を持つ職員が担う仕事と、事務職が広く受け持つ仕事が、隣り合って動いている職場だということです。

方針が専門性と経営感覚を同時に挙げているのは、この構造と無関係ではないでしょう。5項目に自分を寄せていく作業は、あまり実りがありません。

富田林市は第1次でテストセンターの検査を課し、第2次と第3次で人と会い、最後に文章まで書かせます。つまり同じ人物を、検査と対話と文章という3つの角度から見ようとしている設計です。

手持ちの経験を、どの角度から出しても同じ筋が見えるように整えておくこと。

それがこの試験に対する最も無駄のない備え方だと当研究会は考えます。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。富田林市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク富田林市には、どういった印象をお持ちですか?身構えずに返せるか。寺内町や南部の田園といった具体を、実感のある言葉で言えるか
② 動機・志望大阪府内には他にも市がありますが、なぜ富田林市なのですか?高齢化率や町並みといった市固有の事情を選んだ理由に組み込めているか
③ 自己理解ご自身の弱点は何だと考えていますか。それとどう付き合っていますか?自分を客観視できているか。弱点を認めたうえでの工夫まで語れるか
④ 経験・行動周囲と一緒に考えて何かを進めた経験を教えてください方針の基本姿勢にある「みんなで考え連携・協働し、行動する」に対応する問い。役割分担と、意見が割れたときの動き方
⑤ 学業・経歴掘り下げて学んだことがあれば、その進め方も含めて教えてください職員像②の専門性に対応する問い。何を知っているかより、どう深めたか
⑥ 適性・将来専門職の同僚と組んで仕事をする場面を、どう想像していますか?手話通訳者や社会福祉士、保健師と並んで働く職場を思い描けているか。事務職としての役どころを言えるか
⑦ 公共性・社会性高齢化が進む市で、行政が優先すべきことは何だと思いますか?3人に1人が65歳以上という前提に立って考えられるか。何を後回しにするかまで言えるか

ただし、この7つは富田林市だから出るというものではありません。

この程度の整理は受験者の多くが済ませてきます。第2次と第3次を通り抜けられるかどうかを決めるのは、次に挙げる富田林市固有の問いへの答えです。

合否を分けるのは「富田林市役所ならでは」の質問

「なぜ大阪府庁ではなく、富田林市役所なのですか?」
「富田林市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

富田林市の場合、この2問は第3次の小論文とも地続きです。口頭で示した市の見方と、答案に書いた見方がずれていれば、その落差は最後の判断に残ります。

どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「富田林市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい富田林市の事実答え方のヒント
なぜ府庁ではなく市役所か富田林市は重要伝統的建造物群保存地区を抱え、平成30年に範囲を旧寺内町全域へ広げた。保存の要請と、そこに住む人の生活の都合を、一軒ごとに調整する必要がある広域と基礎自治体を優劣で語らないことです。一軒ずつ事情を聞いて折り合いをつける種類の仕事を選んだ、という説明が富田林市には合います
高齢化への向き合い方65歳以上32.2%・75歳以上19.4%で、いずれも大阪府全体(26.8%・16.4%)を上回る。65歳以上のうちおよそ6割が75歳以上3割という比率だけで止めず、内訳が75歳以上に寄っている点まで触れます。同じ高齢者でも必要な支援が違うという理解が伝わります
市域の地形と行政の届け方北東の平坦部を石川が流れて市街地が広がり、南部は金剛・葛城連峰を背景とする丘陵と田園。人口密度は約2,639人/km²だが市域には濃淡がある平均値の話で終わらせないことです。歩いて役所へ来られる地域と、そうでない地域があると押さえたうえで、届け方の工夫に話をつなげます
広域連携をどう見るか令和6年4月から柏原市・河内長野市・羽曳野市・藤井寺市と太子町・河南町・千早赤阪村とともに大阪南消防局を構成。広域化時点の管轄人口は約48万人、管轄面積は約290km²広域化を「市の仕事が減った」と受け取らないことです。市に残る避難や備蓄、日ごろの呼びかけの仕事に触れると、線引きを理解していることが伝わります
富田林市の魅力と課題寺内町の町並みが市街地に残る一方、65歳以上の割合は府の人口ビジョンが2040年の水準と見込む35.9%にあと3ポイント余りまで迫っている町並みを魅力として挙げたら、それを支える世代の話へ折り返します。守る主体が高齢化しているという矛盾に触れられると、観光紹介で終わりません

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、富田林市の人材育成基本方針が掲げる5つのめざすべき職員像に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
市民感覚と市民の目線(職員像①)受け取る側の立場から物事を見直した場面があるか75歳以上が19.4%の市では、説明の速さより伝わったかの確認が要ります。相手に合わせて順番や言葉を変えた経験を1つ用意する
専門性の高め方(職員像②)ひとつの分野をどう深めたか。深める過程で何につまずいたか資格の有無より、調べ方と続け方を言えるようにする。第1次の免除制度がある市なので、資格を持つなら要綱の対象かも確認しておく
行政経営感覚(職員像③)限られた資源のなかで優先順位を決めた経験があるか市街地と丘陵で条件の違う市域を思い浮かべ、どこから手を付けるかを説明できる形にしておく
連携・協働して行動すること(基本姿勢)ひとりで抱えずに周りを巻き込めたか。意見が割れたときにどう進めたか方針の基本姿勢に「みんなで考え」が入っています。自分ひとりの手柄として語らない構成を、あらかじめ用意しておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。

富田林市は第3次で個人面接に加えて小論文まで課すため、口頭と文章の両方で筋を通す必要があります。

自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておいてください。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 自分が受ける回の実施要綱を入手し、段階構成と試験科目を確認する。富田林市は令和8年10月採用、令和9年4月採用の夏実施と秋実施、追加募集などを並行して案内しており、回によって内容が変わります
  2. 第1次試験の免除に該当するかを確かめる。事務職では司法試験予備試験や情報処理技術者試験の合格者が対象で、該当すれば提出する証明書類のデータを準備します
  3. テストセンター方式の総合適性検査に向けて、基礎能力の出題分野を90分程度の通しで一度解いてみる
  4. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る。第2次が集団面接になる可能性があるため、答えを短く言い切る版も併せて用意しておきます
  5. この記事の第1部へ戻り、志望分野に近い富田林市の事実を2つか3つ拾って、手元の資料を閉じたまま声に出して説明してみる
  6. 固有質問の対応表から材料を取り、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」の一続きの話に編む。第3次では小論文もあるため、同じ内容を文章にまとめる練習も重ねておきます(字数や出題の形式は自分の回の実施要綱で確かめてください)

優先順位に注意

ステップ5と6の自治体研究は、他の受験生との差を作る上積みの工程です。残り日数が少ないなら、ステップ1で自分の回の科目を確定させることと、ステップ3の検査対策を先に片づけてください。

第1次を通らなければ、面接でも小論文でも力を示す機会が来ません。

自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、富田林市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

富田林市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

富田林市役所の想定問答集を見る

さいごに

令和9年4月採用(夏実施)の職員採用資格試験は、テストセンターの検査から始まり、第2次で面接、第3次では個人面接に小論文が加わるという3段階でした。

検査と対話と文章という3つの通り道が用意されている以上、どこか一つだけを磨いても届きません。65歳以上が32.2%、そのうち6割が75歳以上という市で、石川の流れる平坦部から金剛・葛城連峰を望む丘陵まで、条件の違う市域を10人程度の同期とともに担っていく。

その富田林市で、自分は何を深め、誰と組んで動きたいのか。人材育成基本方針の5項目を暗記するのではなく、そのうちの1つか2つに自分の経験を当てた状態で、最初の検査に向かってください。