本記事では、羽曳野市職員採用試験の面接対策で必要な、羽曳野市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
羽曳野市役所の面接試験では、「なぜ羽曳野市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、市の成り立ちと現状を知っていることが前提になる質問が想定されます。
羽曳野市がどんな資産と条件を抱えているのかを先に整理しておけば、志望の理由を人と違う角度から語れます。
本記事は、令和8年度(令和9年4月1日採用を原則とする)の羽曳野市職員採用試験の募集要項をもとに、事務職(上級)を軸として整理しています。羽曳野市では職種によって選考の段階数が異なり、事務職は3段階の構成です。
第1部|自治体研究編
羽曳野市の特徴
羽曳野市には、他の市にはない資産と、南河内という地域の共通条件が同居しています。まずは次の7項目で全体像をつかみましょう。
- 人口は106,702人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)で、大阪府内33市のうち18番目の規模。
- 市域は26.45km²。東は二上山系で奈良県と接し、市内を石川が流れる。
- 世界文化遺産「百舌鳥・古市古墳群」を構成する古市古墳群が市内にある(藤井寺市にまたがる)。
- ブドウとイチジクを育てる農地が市域に広がり、農業のまちという顔もあわせもつ。
- 府内では堺市・松原市・藤井寺市・柏原市・富田林市・南河内郡太子町と、奈良県側では香芝市と接する。
- 消防は市単独ではなく、令和6年4月に広域化した大阪南消防局が5市2町1村をまとめて担っている。
- 市の花はモモ、市の木はタチバナ。市役所は羽曳野市誉田に置かれている。
羽曳野市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「羽曳野市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
下の表には、志望動機を語るときに前提として置く数字を並べました。数字を覚えることが目的ではなく、その数字が市のどんな状態を指しているのかを言えるようにしておくのが目的です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 106,702人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳。大阪府内33市のうち18番目) |
| 65歳以上人口 | 32,640人(高齢化率30.6%) |
| 75歳以上人口 | 20,327人(総人口の19.1%) |
| 総面積 | 26.45km² |
| 人口密度 | 約4,034人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 隣接自治体 | 堺市・松原市・藤井寺市・柏原市・富田林市・南河内郡太子町、奈良県香芝市 |
| 市の花・木 | モモ(花)・タチバナ(木) |
総人口と65歳以上・75歳以上の人口および割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値です。本文で参照する大阪府全体の8,775,326人・26.8%・16.4%も同じ統計の値で、割合の分母にもこれを用いています。府の推計人口や国勢調査の結果は調査の基準が異なるため、これらの数値と直接つないで増減を語ることはできません。総面積・隣接自治体・市の花木は、当研究会が整理した基礎データによります。
数字から考えられる市政課題
同じ住民基本台帳で見ると、大阪府全体の高齢化率は26.8%、75歳以上の割合は16.4%です。羽曳野市はそれぞれ30.6%・19.1%。
高齢化率は大阪府内33市のなかで4番目に高い水準にあります。
人数でいえば65歳以上が3万2千人、うち75歳以上が2万人。人口10万7千人の市で、この規模の高齢の市民が暮らしています。
75歳以上の割合が府平均を2.7ポイント上回っている点は、とくに意識しておいてください。介護保険、在宅医療との連携、移動手段の確保といった仕事は、この層の厚みがそのまま業務量に効いてきます。
後期高齢層の厚みは、答えのなかでたとえば次のように扱えます。
羽曳野市の経済・産業
古墳と農地とベッドタウンが重なる市域
羽曳野市の26.45km²には、世界文化遺産の構成資産である古市古墳群と、ブドウやイチジクを育てる農地と、大阪都心へ通う人の住まいが同居しています。東側は二上山系で奈良県と接し、市内を石川が流れる。
一つの市域に性格の違う土地が並んでいることが、羽曳野市の行政サービスの幅を決めています。
文化財の保存、農業の振興、住宅地の生活基盤。どれか一つだけを見て志望動機を組み立てると、市の姿を取り違えます。
府域の製造業が置かれている局面
府全体の製造業の姿も確認しておきましょう。令和3年経済センサス活動調査(令和3年6月1日現在)の大阪府の数値は、事業所数1万4,412事業所、従業者数41万7,816人、製造品出荷額等16兆9,758億円。
前回調査比では事業所数が1,720事業所減(10.7%減)、従業者数が7,692人減(1.8%減)となる一方で、出荷額等は2,899億円増(1.7%増)でした。拠点の数を減らしながら生産額を伸ばす方向へ、府域の製造業は動いています。
産業や雇用に関心があるなら、この流れを踏まえたうえで羽曳野市の話に降りてきてください。(出典:大阪の製造業の概況(経済センサス活動調査)|令和3年)
6つの職種で人を採るという設計
市が抱えている仕事の広さは、募集職種の並びに表れます。令和8年度の羽曳野市職員採用試験は、事務職(上級)12名程度、事務職(上級・社会福祉)2名程度、技術職(上級・土木)2名程度、技術職(上級・建築)1名程度、保健師2名程度、幼稚園教諭・保育士5名程度という構成でした。
複数職種の併願はできません。福祉、土木、建築、保健、保育を別々の入口で採るという設計は、市がそれぞれの現場を自分の職員で持ち続けるという意思の表れです。(出典:羽曳野市職員採用試験募集要項|令和8年度)
羽曳野市の主な行政課題
ここまでの土地と数字を並べると、羽曳野市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。
府内でも高いほうにある高齢化率
高齢化率30.6%・75歳以上19.1%(いずれも令和8年1月1日現在の住民基本台帳)は、大阪府全体の26.8%・16.4%をどちらも上回ります。
府が平成28年3月に策定した人口ビジョンでは、府全体の高齢化率が2040年に35.9%へ達し、生産年齢人口の割合が2010年の64.4%から54.5%に下がると見込まれています。府の見通しに照らすと、羽曳野市はその変化を先に迎えている位置にあります。(出典:大阪府人口ビジョン|平成28年)
府全体の人口が減っていくなかで
令和7年10月1日現在の国勢調査速報値によれば、大阪府の人口総数は876万4,578人。前回の令和2年調査から73,107人減り、減少率は0.83%でした。
府の人口は平成27年調査で68年ぶりに減少へ向きを変えており、以来3回続けて減っています。世帯数のほうは430万7,758世帯で17万1,879世帯・4.16%増え、1世帯当たり人員は2.03人と0.11人下がりました。
人が減りながら世帯の数は増えるという動きは、一つひとつの世帯が小さくなっているということでもあります。
支え合いの単位が縮んでいく分だけ、行政が引き受ける役割は増えます。(出典:令和7年国勢調査 大阪府結果速報|令和7年)
地震への備え
大阪平野の東の縁を走る生駒断層帯は、地震調査研究推進本部の評価によれば枚方市から羽曳野市までほぼ南北に延びる全長約38kmの断層帯で、生駒山地と大阪平野の境界付近に位置します。マグニチュード7.0から7.5程度の地震が想定され、平均活動間隔は3千年から6千年程度、最新の活動は西暦400年頃から1000年頃と推定されています。
長期確率の最大値をとると、我が国の主な活断層の中ではやや高いグループに属すると評価されています。この断層帯の南端にあたるのが羽曳野市です。(出典:生駒断層帯の長期評価|地震調査研究推進本部)
広域の想定も押さえておきましょう。大阪府が平成26年1月にとりまとめた南海トラフ巨大地震の府域最大被害想定は、震度5弱から6強、死者13万4千人、建物全壊17万9千棟・半壊45万9千棟、避難所生活者191万5千人、水道断水832万人、経済被害28.8兆円という規模です。府は平成24年から、大津波警報の発表を想定した緊急速報メールの一斉配信訓練を続けています。(出典:大阪府 南海トラフ巨大地震等被害想定|平成26年)
消防は3本部の統合でできた組織が担う
羽曳野市の消防は、令和6年4月1日に広域化した大阪南消防局が担当しています。もともと柏原市・羽曳野市・藤井寺市で組んでいた消防組合と、富田林市、河内長野市の各消防本部が統合してできた組織で、現在は柏羽藤消防署・富田林消防署・河内長野消防署の3署体制です。
消防吏員数は570名(うち女性14名、令和7年4月1日現在)、令和6年中の出動は火災72件、救急32,887件、救助664件でした。市の名前がつかない組織が、市民の119番を受けているという事実は、行政の仕事がどこまで市単独で完結しているのかを考える材料になります。(出典:大阪南消防局の消防吏員数・出動件数|令和6年)
重点政策|世界文化遺産と農地を抱えるまちの仕事
羽曳野市の仕事の性格は、市域にあるものから逆算すると見えてきます。古墳群、農地、そして住宅地。この三つが同じ26.45km²の上に載っていることが、市の政策の幅をつくっています。
古市古墳群という市域の資産
「百舌鳥・古市古墳群」が世界文化遺産に登録されたのは、令和元年7月6日の第43回ユネスコ世界遺産委員会でした。
このうち古市古墳群は羽曳野市と藤井寺市に所在し、登録に向けた取組みは大阪府・堺市・羽曳野市・藤井寺市の四者で進められてきました。市の単独事業ではなく、府と他市と足並みをそろえて動かしてきた分野だという点を押さえておいてください。(出典:大阪府の世界遺産(百舌鳥・古市古墳群)|令和元年)
世界遺産があるということは、観光や文化財保護の仕事があるということだけを意味しません。古墳の周囲には人が住み、道が通り、農地が広がっています。
保存の枠組みと日々の暮らしが同じ土地の上で重なるところに、この市の難しさと面白さがあります。
農業のまちという顔
羽曳野市はブドウとイチジクの産地です。東の二上山系から市内を流れる石川に向けて土地が下る地形が、この農業を支えてきました。
都市近郊の農業は、担い手の高齢化、農地の転用、鳥獣被害といった課題を抱えやすい分野です。高齢化率が府内33市で4番目に高い市で、その農業をどう続けるかという問いは、市の産業政策と福祉政策の両方にまたがります。
職種ごとに違う選考を組む理由
令和8年度の募集要項を見ると、選考の組み方が職種によって違います。事務職は3段階、技術職(土木)・技術職(建築)は2段階。
事務職(社会福祉)・保健師・幼稚園教諭・保育士は3段階を予定しつつ、申込状況等によっては第2次試験を最終試験に変える場合があると明記されています。職種ごとに採用人数も現場も違うのだから、選考の形も変えるという判断だと読めます。
POINT|「世界遺産のまち」で止めない
古墳群は志望動機の入口としては魅力的ですが、そこで話が終わると観光客の感想になってしまいます。市域の他の顔とつないで話せるかどうかが分かれ目です。
悪い例「世界遺産のある羽曳野市で、市の魅力を全国に発信する仕事がしたいです」
改善例「古市古墳群を見に行ったとき、すぐ隣に畑や住宅があるのが印象に残りました。守る場所と暮らしている場所が地続きなので、そこに住んでいる方の声を聞きながら進める仕事に関わりたいと考えています」
あわせて確認したい公式資料
次の資料は、いずれも羽曳野市や大阪府の公式サイトで読めます。受験する職種が決まっているなら、その職種の受験資格と選考段階の確認を最優先にしてください。
- 羽曳野市職員採用試験の募集要項(最新年度のもの)
- 市の正規職員募集ページと、過去の採用試験実績の掲載
- 市の総合計画と、最新年度の予算・市政運営に関する資料
- 百舌鳥・古市古墳群の保存と活用に関する府と市の資料
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、羽曳野市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。羽曳野市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
羽曳野市役所の面接の概要
ここからは、羽曳野市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析にもとづいて整理していきます。
羽曳野市役所の面接の流れ
令和8年度の事務職(上級)は、第1次試験(基礎能力検査)、第2次試験(集団考査)、第3次試験(面接・論文)の3段階です。第1次試験の基礎能力検査はテストセンター方式で受験し、第3次試験までの間に、別途案内されるパーソナリティ検査を受けることになっています。
ここで注意してほしいのが合否の決め方です。
募集要項は、事務職について「各試験の総合得点により決定します。ただし、これらのいずれかの試験において一定の得点(合格基準点)に達しない場合、他の試験の成績にかかわらず不合格になります。」と説明しています。
一方、事務職以外の職種は「各試験の合否は、各試験の結果を総合的に判定して決定します。(各試験の得点は次の試験に引き継ぎません。)」とされています。事務職だけが得点を積み上げていく方式で、他の職種は段階ごとに区切られているということです。
事務職を受けるなら、この違いは準備の設計に直結します。
第1次の検査で稼いだ分は最後まで持ち越されますが、どこか一つでも合格基準点に届かなければ、他の成績にかかわらず不合格になります。得意な科目だけを伸ばして苦手を放置する戦い方は、この方式では通用しません。
| 項目 | 内容(令和8年度・事務職(上級)) |
|---|---|
| 選考の段階 | 第1次試験 → 第2次試験 → 第3次試験の3段階 |
| 第1次試験 | 基礎能力検査。テストセンター方式で受験します |
| 第2次試験 | 集団考査。募集要項に記載された科目名は「集団考査」で、具体的な形式名は示されていません |
| 第3次試験 | 面接・論文。第3次試験までの間に、別途案内されるパーソナリティ検査を受検します |
| 合否の決め方 | 事務職は各試験の総合得点により決定。ただし、いずれかの試験で合格基準点に達しない場合は他の試験の成績にかかわらず不合格となります |
| 採用予定人数 | 事務職(上級)は12名程度。同年度は事務職(上級・社会福祉)2名程度、技術職(上級・土木)2名程度、技術職(上級・建築)1名程度、保健師2名程度、幼稚園教諭・保育士5名程度が募集され、複数職種の併願はできません |
| 提出書類 | 事務職は第3次試験の受験時に、大学の卒業証明書(卒業証書の写しも可)または卒業見込証明書を提出します。後日、原本の確認があります |
| 結果の通知 | 受験者全員に郵送で通知されるほか、合格者の受験番号が市ウェブサイトと市役所の掲示場に掲示されます。有効受験のうえ不合格となった人には、総合得点・得点順位・合格者数が送付されます |
上記は羽曳野市が公表した令和8年度(令和9年4月1日採用を原則とする)の募集要項にもとづく事務職(上級)の内容です。同要項には各試験の配点・満点の記載がなく、人物試験の比重は公表されていません。羽曳野市の募集要項と正規職員募集ページには、「求める人物像」に相当する記載や、面接カード・自己PRシートといった提出書類に関する記載も見当たりません。実施主体は羽曳野市総務部人事課で、近隣自治体との共同実施・統一試験の枠組みではありません。試験の構成・職種等は年度によって変わる可能性がありますので、受験の際は必ず最新の募集要項でご確認ください。(出典:羽曳野市職員採用試験募集要項|令和8年度)
募集要項には、過去の採用試験の実績も載っています。令和8年4月1日採用の事務職(上級)は、募集10名に対して受験者72名・合格者10名でした。
同じ表には技術職(土木)が募集2名・受験者5名・合格者2名、技術職(建築)が募集2名・受験者2名・合格者1名と記されています。職種によって受験者の数がまったく違うという事実は、自分がどの入口に立っているのかを考えるうえで役に立ちます。
公表されている人物像がない試験にどう備えるか
羽曳野市の募集要項には、求める人物像にあたる項目が置かれていません。手がかりになるのは、選考の設計そのものです。
事務職は基礎能力検査から始まり、集団考査を挟んで、最後に面接と論文。加えて第3次試験までにパーソナリティ検査を受けます。
人物を測る手段を複数用意している試験だという読み方ができます。
ここから先は推測になります。根拠は、羽曳野市が消防を南河内の広域組織に委ねる一方、社会福祉・土木・建築・保健・保育の現場は自前の職員で持ち、世界遺産の保存は府と2市とともに進めているという事実の並びです。
事務職12名程度という採用規模の役所で、市の内側で専門職と組む場面と、市の外側の組織と歩調を合わせる場面が、どちらも日常にあるということになります。この環境で問われるのは、担当分野を掘り下げる力と、立場の違う相手に話を通す力の両方だと考えておくのが妥当です。
もっとも、事務職の合否は総合得点で決まり、どこか一つでも合格基準点を割ればそこで終わります。面接だけを飾っても届きません。話す素材はこれまでの経験で足ります。
それを羽曳野市の仕事のどこに置くかを、先に決めておいてください。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。羽曳野市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 市役所までは初めて来られましたか? | 第3次試験まで進んできた緊張のなかで、短い問いに素直に返せるか |
| ② 動機・志望 | 南河内には複数の市がありますが、なぜ羽曳野市なのですか? | 近隣の市と並べたうえで、羽曳野市を選んだ理由を持っているか |
| ③ 自己理解 | ご自身の性格を、周りの人はどう言いますか? | パーソナリティ検査を経たうえで、自己認識に無理がないか |
| ④ 経験・行動 | 立場の違う人の間に立って調整した経験はありますか? | 府や他市と組む仕事が多い市で、話を通した経験の中身があるか |
| ⑤ 学業・経歴 | 論文で書いた内容を、口頭で説明していただけますか? | 第3次試験で書いた文章と、話す内容が同じ人のものとして通るか |
| ⑥ 適性・将来 | 文化財の担当と福祉の担当、どちらに配属されても大丈夫ですか? | 市域の性格の違う分野を、あらかじめ想像できているか |
| ⑦ 公共性・社会性 | 都市の近くにある農地を、市はどう扱うべきだと思いますか? | ブドウやイチジクの産地であることを踏まえて、自分の考えを述べられるか |
この7カテゴリーは羽曳野市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。ただし、受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「羽曳野市ならではの事情を踏まえた質問」です。
合否を分けるのは「羽曳野市役所ならでは」の質問
どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「羽曳野市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい羽曳野市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 市域と人口の現在地 | 人口106,702人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)で大阪府内33市のうち18番目。面積26.45km²で、東は二上山系、市内を石川が流れる | 規模の話で終わらせず、古墳群と農地と住宅地が同じ市域に載っているという構成に触れる |
| なぜ府庁ではなく市役所か | 世界遺産の取組みは大阪府・堺市・羽曳野市・藤井寺市の四者で進められ、消防は南河内8市町村の広域組織が担っている | 住民に近いという説明にとどめず、府と組む仕事も市が自分で持つ仕事も両方あると分かったうえで選んだ、と伝える |
| 世界文化遺産 | 世界文化遺産「百舌鳥・古市古墳群」の登録が決まったのは令和元年7月のユネスコ世界遺産委員会。古市古墳群は羽曳野市と藤井寺市の市域にまたがって所在する | 観光資源としてだけ語らず、遺産の周囲で暮らす市民の生活と両立させる難しさまで踏み込む |
| 高齢化の現在地 | 高齢化率30.6%・75歳以上19.1%(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)で、大阪府全体の26.8%・16.4%を上回り、府内33市で4番目に高い | 順位を口にするだけで終えず、65歳以上3万2千人という人数と農業の担い手の話をつないで語る |
| 選考の設計 | 事務職は各試験の総合得点で決まるが、いずれかの試験で合格基準点に達しないと不合格。事務職以外は得点を次の試験に引き継がない | 方式の違いを知っているとだけ言うのではなく、だから全段階を均して仕上げてきた、と準備の説明に変える |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
羽曳野市は人物像を文章の形で公表していませんので、手がかりは選考の設計と市が抱える仕事の中身になります。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 立場の違う相手と進める力 | 意見の異なる人の間で、話を前へ動かした経験があるか | 府や他市と組んで動く仕事があることを念頭に、合意を作った場面を一つ選んで手順まで言えるようにする |
| 書いたことと話すことの一致 | 第3次試験の論文で述べた内容を、口頭でも同じ筋で説明できるか | 論文で使う予定の材料を先に決め、その材料で口頭の答えも組み立てておく |
| 全段階を均して仕上げる姿勢 | 苦手を放置せず、必要な水準まで持ち上げた経験があるか | 合格基準点に一つでも届かないと不合格になる方式を踏まえ、弱点を埋めた経験を具体的に用意する |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。
羽曳野市の事務職は、第2次試験の集団考査を経て第3次試験で面接と論文に臨む流れになります。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 最新年度の募集要項を開き、受験する職種を一つ決める。職種によって選考の段階数も合否の決め方も違うため、この確認を最初に済ませる
- 第1次試験の基礎能力検査に向けて、苦手分野を洗い出す。合格基準点に届かない科目を作らないことを目標に置く
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望職種に近い羽曳野市の事実を2〜3個、自分の言葉で言えるようにする
- 第3次試験の面接と論文をひと続きで準備する。書く材料と話す材料を分けず、同じ経験から両方を組み立てる
優先順位に注意
ステップ5の自治体研究は、他の受験生と差をつけるための工程です。時間が足りないなら、ステップ3の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を先に終わらせてください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。ただし羽曳野市の事務職は、どこか一つの試験が合格基準点に届かないだけで不合格になります。ステップ2を後回しにすると、面接まで届きません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、羽曳野市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
羽曳野市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
令和8年度の事務職(上級)は、募集12名程度に対して3段階の選考が組まれ、得点は最後まで積み上がっていきます。同時に、どの段階でも合格基準点を割れば、そこで終わります。
全部を均して仕上げるという地味な作業が、この試験では効きます。世界遺産の古墳群、ブドウとイチジクの畑、そして3割を超える高齢化率。性格の違うものが並ぶ市域で自分は何をしたいのか。
その答えを、論文にも面接にも同じ言葉で出せるところまで持っていってください。