本記事では、松原市職員採用試験の面接対策で必要な、松原市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

松原市役所の面接試験では、「なぜ松原市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。

第2部の試験情報は、令和8年度の一般事務(上級)についてのものです。松原市には人事委員会が置かれておらず、採用試験は市長公室人事課内の職員採用選考委員会が実施します。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と松原市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|自治体研究編

松原市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは松原市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 大阪市と堺市の両方に接する、大阪府南部の住宅都市。昭和30年2月1日に、当時およそ3万6千人の田園都市として市制を施行した。
  • 住民基本台帳による人口は115,944人(令和8年1月1日現在)。市域は16.66km²で、大阪市・堺市・八尾市・藤井寺市・羽曳野市の5市と接する。
  • 人口密度はおよそ6,959人/km²。狭い市域に住宅がぎっしり詰まった形で、市の性格は発足時の田園から住宅へ大きく変わった。
  • 65歳以上の割合は29.8%で、大阪府全体の26.8%を上回る。75歳以上も19.1%と、府全体の16.4%より高い。
  • 市内を西名阪自動車道・阪神高速道路松原線・近畿自動車道・阪和自動車道・国道309号・中央環状線が貫き、南大阪における道路交通の要衝と市自身が位置づけている。
  • その阪神高速14号松原線は、喜連瓜破出入口から三宅ジャンクションまでの上下線およそ2.5キロメートルで橋の架替え工事が行われ、2年半にわたる通行止めが令和6年12月に解除された。
  • 令和7年4月からは、119番の受信と出動指令を大阪市と共同で処理する大阪市・松原市消防指令センターの運用が始まっている。
  • 市の花はバラ、市の木はマツ。市役所は松原市阿保一丁目1番1号に置かれている。

松原市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「松原市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

松原市の数字は、単体で覚えるより、隣り合う大阪市や堺市と比べたときにどう見えるかを意識すると面接で使いやすくなります。

項目内容
総人口115,944人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)
65歳以上の割合29.8%(大阪府全体は26.8%)
75歳以上の割合19.1%(大阪府全体は16.4%)
65歳以上の人口34,504人(うち75歳以上22,150人)
総面積16.66km²
人口密度約6,959人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
市制施行昭和30年2月1日(当時の人口はおよそ3万6千人)
隣接する市大阪市・堺市・八尾市・藤井寺市・羽曳野市
市役所所在地松原市阿保一丁目1番1号

総人口と、65歳以上・75歳以上の人口および割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の集計によります。府の値を横に置けるのは、同じ集計に大阪府の行が載っているためです。これに対し、国勢調査をもとに算出される推計人口はまったく別の系列であり、両者をまたいだ増減の計算は成り立ちません。市制施行の年月日と当時の人口は松原市が公表する市の沿革によるもので、人口密度は基準をそろえる意味で、住民基本台帳の人口を総面積16.66km²で割って出しています。(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)

数字から考えられる市政課題

松原市の数字で最初に目を引くのは、面積の小ささと高齢化の進み方です。16.66km²という市域は、隣の堺市の10分の1ほど。

その中に11万人以上が暮らし、人口密度は1平方キロメートルあたりおよそ6,960人になります。市内のどこへ行っても徒歩や自転車の距離に住宅と生活の場がある、という前提で行政が組まれている市だといえます。

そのうえで、65歳以上の割合は29.8%、75歳以上は19.1%です。府全体(26.8%・16.4%)をどちらも上回っており、市民のおよそ5人に1人が75歳以上という段階に入っています。

高齢化が先に進む市では、介護や医療だけでなく、買い物や移動、地域の見守りといった日々の暮らしの部分で行政が呼ばれる場面が増えます。(参考:松原市のあゆみ(市制施行と市の概要))

市が発足したのは昭和30年で、当時はおよそ3万6千人の田園都市でした。そこから住宅都市へ性格を変え、いま最初に住んだ世代が高齢期に入っている。

松原市の高齢化率の高さは、まちの成り立ちそのものと地続きです。

たとえば面接では、次のように数字を暮らしの場面へつなげて話せます。

「松原市は田んぼの多いまちとして始まって、そこから住宅地になったと知りました。65歳以上の方の割合が3割近くというのは、最初に移り住んだ方たちがそのまま暮らし続けておられるからなのかなと思います。であれば、住み慣れた場所で暮らし続けられるようにする仕事に関わりたいです」

松原市の経済・産業

住宅都市としての性格と、道路が集まる位置

松原市の経済を語るとき、出発点になるのは市域の狭さと位置です。16.66km²の市域に、西名阪自動車道、阪神高速道路松原線、近畿自動車道、阪和自動車道という高速道路と、国道309号、中央環状線が通っています。

市は自らを南大阪における道路交通の要衝と位置づけており、これは大阪市と堺市という2つの政令指定都市の間に挟まれた立地とも重なります。住む場所としての市と、通り抜ける場所としての市が、同じ16.66km²の上に重なっているという構造です。

この位置の意味がはっきり見えたのが、阪神高速14号松原線の架替え工事でした。喜連瓜破出入口から三宅ジャンクションまでの上下線およそ2.5キロメートルが令和4年6月1日から通行止めとなり、再開したのは令和6年12月7日の早朝です。

2年半にわたって幹線が1本止まると、迂回した車が周りの道路へ流れ込みます。道路が集まる市であることは、便利さと負荷の両方を意味します。(参考:阪神高速道路松原線のリニューアル工事|令和6年12月)

大阪府の産業のなかでの位置

市の単位で取れる産業統計は限られるため、府全体の輪郭から松原市の環境を推し量ります。令和3年経済センサス‐活動調査では、大阪の製造業の製造品出荷額等が16兆9,758億円(前回比1.7%増)となる一方、事業所数は1万4,412事業所(同10.7%減)、従業者数は41万7,816人(同1.8%減)でした。

事業所も働き手も減りながら、出荷額は増えているという形です。拠点の数ではなく、1拠点あたりの中身で稼ぐ形へ、府域の製造業が移ってきたことになります。(出典:大阪の製造業の概況(経済センサス‐活動調査)|令和3年)

観光の面では、大阪府の旅行消費額は2023年に日本人旅行者で6,923億円と、全国で4番目の規模でした。来阪外国人旅行者数は2012年から2019年まで8年連続で増え、2019年には1,230.6万人に達しています。

松原市はこうした来訪の流れが行き交う圏域の内側にあり、訪れる人を市内へどう引き込むかは、産業振興や都市魅力を志望するときの論点になります。

暮らしを支える広域の仕組み

市域が狭く隣接自治体との距離が近いことは、行政の運営にも表れています。令和7年4月からは、119番通報の受信と出動指令を大阪市と共同で処理する大阪市・松原市消防指令センターの運用が始まりました。

大阪府内では消防指令センターの共同運用が6件行われており、松原市はそのうちの1つに加わったことになります。単独で全部を抱え込まず、隣とつないで機能を保つという選び方は、中規模の市に共通する現実的な工夫です。

面接で行政の効率化や広域連携を話すなら、この事例が手近な材料になります。

松原市の主な行政課題

ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、松原市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。

住宅都市がそのまま迎えた高齢化

65歳以上29.8%、75歳以上19.1%は、府全体の26.8%・16.4%をどちらも超える水準です。松原市の高齢化は、府全体より一歩先を進んでいます。

しかも面積が16.66km²と狭いため、支援を必要とする方が特定の地区に散らばるというより、市内のあちこちに面として広がる形になります。介護や福祉の窓口だけでなく、道路の段差や公共施設の使い勝手、地域の集まりの担い手といった分野にも、高齢化の影響は同時に及びます。

大阪府全体の人口減少という前提

大阪府の人口は、令和7年国勢調査の速報で876万4,578人となり、前回調査から0.83%減りました。平成27年の調査で68年ぶりに減少へ転じて以来、3回続けての減少です。

府の人口ビジョンは、2040年に750万人、2060年には600万人程度まで減る可能性を示し、高齢化率は2040年に35.9%へ達すると見込んでいます。府域そのものが小さくなっていくなかで、松原市に住み続ける理由をどう用意するかが問われます。(出典:大阪府人口ビジョン|平成28年3月)

大規模地震への備え

大阪府が公表する南海トラフ巨大地震の府域最大被害想定(平成26年1月とりまとめ)は、震度5弱から6強、死者13万4千人、建物の全壊17万9千棟・半壊45万9千棟、避難所生活者191万5千人、水道の断水832万人、経済被害28.8兆円です。上町断層帯地震についても、府は震度4から7、死者1万3千人、建物全壊36万3千棟という想定(平成19年3月公表)を示しています。

上町断層帯は豊中市から大阪市を経て岸和田市に至る長さおよそ42キロメートルの断層帯で、マグニチュード7.5程度の地震が想定され、30年以内の発生確率は2から3%と、国内の主な活断層のなかでは高いグループに入ります。府はこうした想定を市民の行動に結び付けるため、平成24年以降、大阪880万人訓練を府域一斉で実施しています。(出典:大阪府の地震被害想定|平成26年1月とりまとめ/上町断層帯の長期評価(地震調査研究推進本部))

上記の被害想定はいずれも大阪府が府全体を対象に算出した数値であり、松原市域に限った想定ではありません。

幹線に囲まれた市域の安全と快適さ

高速道路と幹線が市域を貫くことは、暮らしの側から見れば騒音や交通安全、防災時の避難経路といった課題にもつながります。阪神高速松原線の2年半の通行止めが示したように、幹線が1本止まるだけで周辺の道路事情は変わります。

通り抜ける車と、そこで暮らす人の両方に向き合うという調整は、松原市の職員が日常的に直面する仕事です。「なぜ府庁ではなく市役所なのか」という問いには、この種の身近な調整が答えの材料になります。府が広く面倒を見る仕事との違いが、具体の形で見えてくるからです。

松原市の重点政策|大阪府の見通しと松原市の立ち位置

松原市のような中規模の市の政策を読むときは、まず市を取り巻く府全体の見通しを押さえ、そのうえで市が自ら発している言葉を重ねるのが近道です。ここでは、大阪府が示す人口と防災の枠組みと、松原市が採用の場で掲げている方向を並べて整理します。

大阪府が示す人口の見通し

大阪府の人口は令和7年国勢調査の速報で876万4,578人、世帯数は430万7,758世帯で、1世帯当たり人員は2.03人(前回比0.11人減)でした。人口は3回続けて減り、世帯数は4.16%増えているという組み合わせが、府域のいまを表しています。

府の推計人口年報を見ると、平成22年から15年続く自然減に転入超過が追いつかない状態です。世帯が小さく分かれていけば、家の中で融通し合える余力もそれだけ細っていきます。

松原市の高齢化率が府平均を上回っていることを踏まえれば、この流れは市域でより早く現れると考えるのが素直な見方でしょう。

府域で進む防災の枠組み

府域一斉の大阪880万人訓練は、南海トラフ巨大地震による大津波警報の発表を想定して平成24年に始まり、いまも毎年続いています。

市街地の側では、平成24年当初に2,248ヘクタールを数えた「地震時等に著しく危険な密集市街地」が令和7年度末時点で218ヘクタールまで縮み、府は令和12年度末までの全域解消を掲げています。松原市が令和7年4月から大阪市と消防指令センターを共同運用しているのも、こうした府域の広域的な取組と同じ流れのなかにあります。

募集要項が示す松原市の方向

松原市が令和8年度の募集要項の冒頭に掲げているのは、「市民に寄り添い、地域とともに歩む職員を募集します」という一文です。続けて、「市民の笑顔のために働きたい」という意欲ある方の応募を待つと書かれています。

総合計画のような分厚い文書ではなく、採用の入口に置かれた短い言葉ですが、市がどんな仕事の仕方を求めているかは、ここにはっきり表れています。寄り添う、ともに歩む、笑顔のためにという3つはいずれも、市民と直接向き合う場面を指す言葉です。(出典:松原市職員募集要項|令和8年度)

POINT|計画名を並べるより、市の言葉を1つ深く読む

名称を覚えることが自治体研究の目的ではありません。関心分野を一つか二つ選び、「①何が課題か → ②市はどんな状態を目指すか → ③現在の事業 → ④市だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験・強みをどう生かすか」の順で調べましょう。

悪い例「松原市の高齢者福祉に携わりたいです」

改善例「松原市は65歳以上の方の割合が3割近くで、大阪府の平均より高いと知りました。しかも市の面積は狭いので、歩いていける範囲に支援が要る方がおられるということだと思います。まずは窓口で相談を受けて、地域の集まりや見守りにつなぐ仕事に関わりたいです」

あわせて確認したい公式資料

松原市が出している資料は、量としては限られます。ならば1本ずつ端まで読み切ってしまうほうが、結果として早く差がつきます。

読むのは以下の4点で足ります。志望分野にかかる部分は、口に出して説明できるところまで持っていきましょう。

  • 自分が受ける区分の職員募集要項(最新年度版。冒頭の一文と職務内容には必ず目を通す)
  • 松原市の採用ページに掲載されている過去の実施状況(申込者数と各段階の合格者数)
  • 松原市が公表しているまちづくりの計画のうち、自分の関心に重なるものを1つ(市公式サイトの市政情報から探せます)
  • 大阪府の人口統計と地震被害想定(市を取り巻く前提を押さえるため)

募集要項は年度ごとに書き換わり、試験科目にも現時点での予定という注記が付いています。古い年度の内容を頭に入れたまま面接に臨まないよう、受験する年の版を必ず開き直してください。

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、松原市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。松原市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

松原市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

松原市役所の面接の概要

ここからは、松原市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

松原市役所の面接の流れ

松原市の採用試験を実施するのは、市長公室人事課内に置かれた職員採用選考委員会です。人事委員会を持つ大阪市や堺市とは、実施の体制からして異なります。

令和8年度の一般事務(上級)は第1次から第3次までの3段階で、募集人数は16名程度、採用予定日は令和9年4月1日とされています。

この試験の性格は、科目の並びを見ると一目でわかります。第1次試験は教養試験(SCOA)だけで、第2次試験も第3次試験も科目は「面接」です。

つまり、筆記で測られるのは最初の1回だけで、そこから先は2回とも人と話す試験になります。

項目内容(令和8年度・一般事務(上級))
実施主体職員採用選考委員会(市長公室人事課内)。松原市に人事委員会は置かれていません
段階構成3段階。第1次試験 → 第2次試験 → 第3次試験
第1次試験教養試験(SCOA)。出題分野は文章読解能力、数的能力、論理的思考能力
第2次試験面接
第3次試験面接
募集人数16名程度(採用予定日は令和9年4月1日)
申込みの方法入力フォームからのエントリーと、試験申込書等の郵送または持参の両方が必要です
提出書類試験申込書・受験票(3か月以内に撮影した同一の写真を各々に貼付)と、返信用封筒(長形3号・110円切手を貼付。持参の場合も必要)。第3次試験では最終学歴の卒業証明書または卒業見込証明書を提出します
結果の開示各次で不合格となった方が対象。合格基準点と受験者本人の得点について、本人から郵送で申請します
採用候補者名簿最終合格者は試験区分ごとの名簿に登載され、名簿は令和10年3月31日まで有効です

面接の重さは、過去の実施状況からも読み取れます。一般事務(上級)の直近3年度は、いずれも9月実施で次のような結果でした。

年度(一般事務(上級)・9月実施)募集申込第1次合格第2次合格最終合格
令和7年度24名程度178名74名40名26名
令和6年度25名程度139名65名41名22名
令和5年度22名程度147名64名38名19名

3年とも、第1次試験を通った人のうち最終合格に至ったのはおよそ3分の1です。筆記を突破した3分の2ほどは、2回の面接のあいだに絞られていることになります。募集要項が示すのは試験科目までですが、この数字の並びが、どこで合否がついているかを教えてくれます。

なお、不合格となった場合は、合格基準点と自分の得点の開示を請求できます。次の受験に向けて、どの段階でどれだけ届かなかったかを確かめる手段があるということです。(出典:松原市職員採用試験の実施状況|令和5年度から令和7年度)

上記の試験構成は、松原市が公表する令和8年度の職員募集要項における一般事務(上級)のものです。募集要項の試験科目は、現時点での予定として示されているものです。また、最終合格者の発表時に補欠登録が行われる場合があり、欠員が生じたときは令和9年3月末までに限り、補欠合格者を成績順に繰り上げて採用することがあるとされています。試験の構成・日程・配点等は、年度や受験区分によって異なる可能性がありますので、受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。

松原市役所が募集要項で示す職員像

松原市は令和8年度の募集要項の冒頭で、市民に寄り添い、地域とともに歩む職員を募集すると述べ、「市民の笑顔のために働きたい」という意欲ある方の応募を待っていると書いています。

ここには、政策立案の能力や語学力といった条件は出てきません。求められているのは、まず人に向き合う姿勢だと読めます。

この言葉を、松原市という職場の実際に当てはめてみましょう。市域は16.66km²、人口は11万人台、一般事務(上級)の募集は16名程度です。

この規模になると、1つの部署が抱える人数は多くありません。担当が変われば扱う制度も相手も変わり、その一方で市民との距離は近いままです。

当研究会としては、こうした環境では幅広い分野を引き受ける構えと、目の前の一人に向き合う根気が、どちらも同じくらい問われやすいとみています。片方だけを強調した自己PRは、面接の2回目で反対側から確かめられたときに続かなくなりがちです。

この試験で効く準備は、人物像を新たに設計することではありません。松原市は面接カードのような詳細な書式を課しておらず、提出するのは申込書と証明書、返信用封筒です。

書面で伝えられる情報が少ないぶん、2回の面接の場で語る言葉がほぼすべてになります。手持ちの経験のうち、人に向き合った場面と、慣れない仕事を引き受けた場面を、それぞれ口頭で説明できる状態にしておくことが、そのまま対策になります。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。松原市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク松原市には、これまで来られたことがありますか?身構えずに返せるか。市を訪れた印象を、飾らずに自分の言葉で言えるか
② 動機・志望大阪市や堺市も隣接していますが、なぜ松原市なのですか?政令指定都市と比べて松原を選んだ理由を持っているか。規模の大小以外の言葉で説明できるか
③ 自己理解ご自身の短所と、それを補うためにしていることを教えてください自分を外から見られているか。補い方が思いつきでなく習慣になっているか
④ 経験・行動相手の話をよく聞いたうえで動いた経験を教えてください募集要項が掲げる「市民に寄り添う」姿勢が、過去の行動として実際にあるか
⑤ 学業・経歴これまで学んだことのうち、市役所の仕事で使えそうなものはありますか?専門を無理に結び付けていないか。窓口や地域の場面へ落として説明できるか
⑥ 適性・将来幹線道路の騒音について、住民から苦情を受けたらどう対応しますか?高速と国道が貫く市の実情を想像できているか。その場で結論を出さずに聞き取れるか
⑦ 公共性・社会性市の高齢化について、どのような印象を持たれましたか?29.8%という水準を調べたうえで来ているか。感想で終わらず自分の関心につなげられるか

ただ、この7つは松原市に固有の枠組みではありません。この見取り図に沿った準備はほとんどの受験者が済ませており、出来ばえに大きな幅は出ません。

第1次を通った人の3分の2が落ちる2回の面接では、次に挙げる松原市固有の問いが効いてきます。

合否を分けるのは「松原市役所ならでは」の質問

「なぜ大阪府庁ではなく、松原市役所なのですか?」
「松原市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

松原市の場合、この2問には隣接自治体という難しさが加わります。大阪市にも堺市にも接しているため、「身近な市役所で働きたい」だけでは、なぜ隣の市ではないのかに答えられません。

どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「松原市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい松原市の事実答え方のヒント
なぜ府庁ではなく市役所か松原市は面積16.66km²に11万人以上が暮らす住宅都市で、市域を高速道路と幹線が貫く。通り抜ける交通と、そこで暮らす人の双方に向き合う調整が市の日常業務に含まれる府の広域行政と対立させて語る必要はありません。幹線の工事一つで暮らしが動くような、生活の単位で調整する仕事を選んだ、という説明のしかたが松原市には合います
なぜ隣の市ではないのか大阪市・堺市・八尾市・藤井寺市・羽曳野市と接する。一般事務(上級)の募集は16名程度で、担当分野が変わりやすい規模「大きな市より人に近い」という言い方は他市でも通ります。松原市は職員数が限られるぶん一人が広く関わることに触れ、そこで働きたい理由を自分の経験に接続してください
高齢化への向き合い方65歳以上29.8%・75歳以上19.1%で、いずれも大阪府全体(26.8%・16.4%)を上回る。昭和30年に田園都市として発足し、住宅都市へ転換した経緯がある数字を挙げるだけでなく、住宅都市として発展した歴史と高齢化がつながっている点まで触れます。まちの成り立ちを踏まえた話は、他の受験者と重なりにくくなります
防災・危機管理大阪府の南海トラフ巨大地震の府域最大被害想定は死者13万4千人・全壊17万9千棟。上町断層帯はマグニチュード7.5程度が想定され、30年以内の発生確率は2から3%と国内の主な活断層では高いグループ府の数値であることを断ったうえで使います。府域一斉の大阪880万人訓練のように、市民に行動を促す取組へ話を接続すると、規模の大きな数字が自分の仕事の話に戻ります
松原市の魅力と課題高速道路と幹線が集まる南大阪の交通の要衝である一方、阪神高速松原線の架替えでは令和4年6月から令和6年12月まで通行止めが続いた交通の便を魅力に挙げるなら、その裏側にある負荷まで続けて述べてください。住む側から見た松原市を知っていることが伝わります

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、松原市が募集要項の冒頭に掲げた「市民に寄り添い、地域とともに歩む職員」という言葉に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
市民に寄り添う姿勢(募集要項の文言)相手の話を聞いたうえで動いた場面があるか。自分の段取りを相手に合わせて変えられたか75歳以上が19.1%という市では、説明の速さより、伝わったかを確かめる丁寧さが要ります。急がずに向き合った経験を1つ選ぶ
地域とともに歩む力(募集要項の文言)組織の外の人と一緒に何かを進めた経験があるか。立場の違いをどう埋めたか学校や職場の中だけで完結した話より、地域の集まりや利用者と関わった話のほうが、この市では届きます
幅広い担当を引き受ける構え(当研究会の見方)知らない分野を任されたときに、どう覚えていったか募集16名程度という規模なら、担当が替われば扱う制度も一から覚え直すことになりやすいはずです。ゼロから覚え直した経験と、その覚え方を言えるようにする
2回の面接に耐える一貫性第2次と第3次で同じ話題を問われたとき、話がぶれないか松原市は面接カードのような詳細な書式を課していません。書面の裏づけがないぶん、口頭で語る筋を先に決めておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。

松原市は面接が2回あり、しかも第1次を通った人の約3分の2がそこで絞られます。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておいてください。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新年度の募集要項を入手し、申込みの手順を確認する。松原市は入力フォームからのエントリーと、申込書等の郵送または持参の両方が必要です。写真の撮影時期や返信用封筒の切手まで指定があるため、書類の準備を早めに始めてください
  2. 教養試験(SCOA)の出題分野である文章読解能力・数的能力・論理的思考能力を、いちど時間を計って解いてみる。第1次を通らなければ面接の場に立てません
  3. これまでの経験を書き出し、人の話を聞いたうえで動いた場面、知らない分野を引き受けた場面を、それぞれ1件ずつ選ぶ
  4. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  5. この記事の第1部へ戻り、志望分野に近い松原市の事実を2つか3つ拾って、手元の資料を閉じたまま声に出して説明してみる
  6. 固有質問の対応表から材料を取り、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」の一続きの話に編む。第2次で話した内容を第3次でもう一度尋ねられることを見込み、説明の順番を入れ替えた言い方も持っておく

優先順位に注意

ステップ5と6の自治体研究は、他の受験生との差を作るための上積みです。日数がないときは、ステップ1の書類準備とステップ3の経験の選び出しを先に済ませてください。松原市は申込みに郵送または持参の手続きがあり、ここでつまずくと受験の機会そのものを失います。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、松原市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

松原市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

松原市役所の想定問答集を見る

さいごに

令和8年度の一般事務(上級)は、筆記が第1次の教養試験だけで、第2次と第3次はどちらも面接という組み立てです。過去3年の実施状況を見ると、第1次を通った人のうち最終合格に届いたのはおよそ3分の1でした。つまり、対策の比重は面接側に寄せるのが理にかなっています。

16.66km²という狭い市域に11万人以上が暮らし、65歳以上の割合は府の平均を上回る。田園都市として始まったまちが住宅都市になり、いまその最初の世代とともに歳を重ねている。

そのまちで、自分は誰の困りごとを引き受けたいのか。

募集要項の冒頭に置かれた「市民に寄り添い、地域とともに歩む」という言葉に、自分の経験でどう応えるかを決めてから、2回の面接に臨んでください。