本記事では、寝屋川市職員採用試験の面接対策で必要な、寝屋川市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。試験に関する記述は、令和8年度前期募集(令和9年4月採用)の試験案内にもとづいています。

寝屋川市役所の面接試験では、「なぜ寝屋川市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。

前期募集の一般採用試験は4つの段階すべてが人と向き合う形式で、受験案内に筆記の教養試験の記載はありません。何を語るかで最初から最後まで判断される試験だといえます。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と寝屋川市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|自治体研究編

寝屋川市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは寝屋川市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 平成31年4月1日に施行時特例市から中核市へ移行した、人口約22万3千人の市。
  • 面積は24.70km²。摂津市・高槻市・交野市・枚方市・守口市・門真市・大東市・四條畷市という8市と境を接している。
  • 中核市への移行で大阪府から移譲された事務は、民生・保健衛生・環境・都市計画・文教などに及ぶ。飲食店営業の許可や薬局の許可、廃棄物処理業の許可、感染症への対応、そして高度救助隊に関する事務までが含まれる。
  • 高齢化率は30.0%(令和8年1月1日現在)で、大阪府全体の26.8%を3.2ポイント上回る。75歳以上の割合も19.1%と、府の16.4%より高い。
  • 市の名と同じ寝屋川が流れる寝屋川流域は、北を淀川、南を大和川、東を生駒山系、西を上町台地に囲まれた東部大阪の低地で、内水浸水を主体とする都市型水害が多発してきた地域である。
  • 大阪府が「地震時等に著しく危険な密集市街地」を抱える市として挙げてきた7市のひとつ(大阪市・堺市・豊中市・守口市・門真市・寝屋川市・東大阪市)。
  • 消防は市単独ではなく、枚方市とともに設ける一部事務組合枚方寝屋川消防組合(昭和23年3月設立)が担う。平成27年7月からは交野市消防本部と消防指令センターおよびはしご自動車を共同運用している。
  • 市の花はバラ、市の木はサクラ。

寝屋川市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「寝屋川市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

寝屋川市を数字で捉えるときは、人口と面積に加えて、高齢化の水準を最初に見てください。府平均との差がはっきり出る項目で、この市の行政が扱う問題の性格を決めています。

項目内容
総人口223,224人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
65歳以上人口66,968人(高齢化率30.0%)
75歳以上人口42,618人(総人口に占める割合19.1%)
総面積24.70km²
人口密度約9,037人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接自治体摂津市・高槻市・交野市・枚方市・守口市・門真市・大東市・四條畷市
都市制度上の位置づけ平成31年4月1日に施行時特例市から中核市へ移行
消防の体制枚方寝屋川消防組合(枚方市・寝屋川市による一部事務組合。昭和23年3月設立)
市の花・木バラ(花)・サクラ(木)

総人口・65歳以上人口・75歳以上人口および高齢化率は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の数値です。総面積・隣接自治体・市の花木は当研究会が整理した基礎データ、都市制度上の位置づけと消防の体制は寝屋川市および大阪府の公表資料によります。年齢3区分別人口や総世帯数については、寝屋川市の統計のページに掲載されている最新版をご覧ください。市内総生産(市民経済計算)は市単独での公表がないため、本記事の経済の記述は大阪府全体の統計と、市が置かれた土地の条件によっています。

数字から考えられる市政課題

大阪府全体の人口は、令和7年国勢調査の速報値で876万4,578人(令和7年10月1日現在)でした。

前回の令和2年調査から73,107人・0.83%の減少で、平成27年調査で減少に転じて以来3回続けて減っています。

この府の数字は国勢調査を土台にしたもので、上の表の住民基本台帳による市の人口とは基準が異なりますから、両者を直接引き比べることはできません。(出典:令和7年国勢調査 大阪府の速報|令和7年)

同じ住民基本台帳の系列で高齢化を並べると、差は明確です。

大阪府全体の高齢化率26.8%に対して寝屋川市は30.0%、75歳以上の割合は府16.4%に対して市19.1%。

市民の5人に1人近くが75歳以上という構成で、府全体より先を進んでいます。医療・介護・見守りといった分野の需要は、これから増えることはあっても減りにくい水準です。

府の人口動態を見ると、令和5年10月から令和6年9月までの1年間で、自然増減は5万3,532人の減少(15年連続の減少)、社会増減は4万9,273人の増加でした。転入が続いていても、自然減の大きさには届いていません。

すでに高齢化が進む寝屋川市では、自然減の側の影響が早く表れる可能性があります。(出典:大阪府推計人口年報|令和6年)

たとえば面接では、寝屋川市の現状について説明する際、次のように数字と課題を結び付けられます。

「寝屋川市は高齢化率が3割で、大阪府の平均より高いと知りました。75歳を超える方の割合も2割近いそうなので、支援を待つのではなく市の側から声をかけていく仕組みが必要になるのではと感じています」

寝屋川市の経済・産業

経済・産業構造の概要

寝屋川市単独の市民経済計算は公表されていません。ここでは、市が属する大阪府全体の統計を土台に、市の位置づけを重ねていきます。

  • 大阪の製造業は、事業所数1万4,412事業所、従業者数41万7,816人、製造品出荷額等16兆9,758億円(令和3年6月1日現在)。前回調査から事業所数は10.7%減、従業者数は1.8%減となる一方、出荷額等は1.7%増えている。
  • 大阪府の令和7年度当初予算は、一般会計3兆2,714億円(前年度当初比2.3%増)。
  • 2023年の日本人旅行者による旅行消費額は6,923億円で、大阪府は全国で4番目に多い。
  • 寝屋川市は大阪市の北東にあたる東部大阪の低地に位置し、8つの市に囲まれた市街地を形成している。

つまり、寝屋川市の経済は、まとまった産業用地に工場を並べる型ではなく、住まいと事業所が混じり合った市街地の上に成り立っていると押さえておくと、産業や雇用の話題に対応しやすくなります。(出典:大阪府 製造業の概況(経済センサス)|令和3年)

中核市として引き受けた許認可

平成31年4月の中核市移行によって、寝屋川市は飲食店営業の許可、薬局の許可、ばい煙施設や廃棄物処理業の許可といった、事業者と直接向き合う事務を自ら扱うようになりました。

開業したい人の相談を受け、基準に照らして判断し、必要があれば指導もする。産業振興という言葉を使うとき、補助金や誘致だけでなく、こうした日常の許認可の窓口が市の中にあることまで思い浮かべられると、話に厚みが出ます。(出典:寝屋川市 中核市への移行について|平成31年)

低地に築かれた市街地という条件

寝屋川流域は、北を淀川、南を大和川、東を生駒山系、西を上町台地に囲まれた東部大阪の低地で、大阪市東部を含む12市にまたがり、面積は267.6km²あります。

内水浸水を主体とする都市型水害が多発する地域であることから、平成2年4月に寝屋川流域整備計画が策定され、河川と下水道が一体となった総合治水対策(地下河川等)が進められてきました。寝屋川および支川は特定都市河川、寝屋川流域は特定都市河川流域に指定されています。

土地の条件が経済活動の前提を決めている地域だといえます。(出典:大阪府 寝屋川流域の総合治水対策|府公式)

8市に囲まれた立地と、広域での分担

8つの市と境を接するという条件は、暮らしも仕事も市境をまたいで動くということです。

実際、寝屋川市の消防は枚方市との一部事務組合が担い、さらに平成27年7月からは交野市消防本部と消防指令センターやはしご自動車を共同運用しています。何を自前で持ち、何を隣と分け合うかの線引きが、すでに実務として引かれている市です。

志望動機を考えるとき、この広域の感覚は市役所の仕事像を具体的にしてくれます。(参考:大阪府 消防の広域化等の状況|府公式)

寝屋川市の主な行政課題

ここまで見てきた人口と土地の条件を重ねると、寝屋川市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。

3割に達した高齢化

高齢化率30.0%、75歳以上の割合19.1%は、大阪府全体の26.8%・16.4%をどちらも大きく上回ります。

中核市として保健衛生や民生の事務を府から引き受けたことを重ねると、この人口構成は市の仕事量に直結します。難病の受給申請や母子父子寡婦福祉資金といった事務が市の窓口にあるということは、住民が相談に来る先が市役所になったということでもあります。

都市型水害への備え

寝屋川流域は内水浸水を主体とする都市型水害が多発する地域とされ、平成2年4月の寝屋川流域整備計画以来、河川と下水道が一体となった総合治水対策が続けられてきました。

寝屋川および支川は特定都市河川、流域は特定都市河川流域に指定されています。地下河川の整備のように何十年もかかる事業と、その間の避難や情報伝達をどう組み立てるか。

どちらも同時に必要になります。

密集した市街地をどう置き換えるか

大阪府の密集市街地対策では、平成24年当初に2,248haあった「地震時等に著しく危険な密集市街地」が、令和7年度末(令和8年3月)時点で218haまで減り、9割解消の目標を達成しました。

府は令和12年度末の全域解消を目標に掲げています。寝屋川市はこの対策の対象となってきた7市のひとつです。

数字の上では進んでいますが、残る区域ほど条件が難しく、住民一人ひとりとの話し合いが要になります。(出典:大阪府 密集市街地整備の進捗状況|令和7年度)

担い手の確保と、働き方の設計

令和8年度前期募集の採用予定は79人程度と、市の規模に対してまとまった人数です。

市は試験案内で「府内トップクラスの初任給」を掲げ、大学卒(卒業後入庁)の初任給月額を地域手当込みで271,040円(令和8年4月1日現在。給料月額242,000円に地域手当12%が上乗せ)と示しています。

あわせて、地方公務員法でフレックスタイム制の規定が適用除外であることを踏まえ、1か月単位の変形労働時間を活用した「完全フレックスタイム制度」を導入し、職員の約9割が利用していると説明しています。

人口減少期に人を集めるための工夫が、制度として形になっている市です。(出典:寝屋川市職員採用試験案内(前期募集)|令和8年度)

重点政策|寝屋川市のまちづくりの方向性

寝屋川市が何を選んできたかは、市が動かしてきた制度の中身から読み取れます。

平成31年4月に施行時特例市から中核市へ移り、保健衛生から環境、文教まで大阪府の事務を引き受けた。

住民の相談の受け皿を市の側に寄せ、その受け皿を回す人を集めるところまでを一続きの課題として扱っているのが、この市の姿勢だといえます。

採用の側で初任給や勤務時間の制度に踏み込んでいるのも、その延長線上にあります。まちの側で長く続く仕事は、低地という条件に向き合う治水と、密に建て込んだ市街地の更新、そして3割に達した高齢化への対応です。

志望動機を練るときは、計画の名称を追うより、この3つのうち自分の関心に近いものを1つ選び、そこで市が誰と向き合っているのかを描けるようにしておきましょう。分野別の計画の最新版は、市の公式サイトから確認できます。

志望分野を絞り込む視点

関心分野を1〜2つ選び、「①何が課題か → ②市はどんな状態を目指すか → ③現在の事業 → ④市だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験・強みをどう生かすか」の順で調べましょう。寝屋川市の場合、④は中核市として引き受けた許認可や保健衛生の事務に見つかりやすく、府ではなく市が判断している場面を挙げられると説明が締まります。

POINT|移譲された事務を一覧で覚えなくてよい

大切なのは、事業の名称を知っていることではなく、自分の志望分野と市の課題を結びつけて語れることです。

悪い例「寝屋川市の安全で暮らしやすいまちづくりに携わりたいです」

改善例「まずは窓口の担当として、市民の方の相談を正確に受け止めるところから始めたいです。その上で、寝屋川市は水がたまりやすい低い土地だと知りましたので、大雨のときに誰にどう情報を届けるかという部分に関わっていきたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

前期募集の試験案内を先に、次に中核市移行で市が引き受けた事務の説明、最後に関心分野の計画。この順に読むと、市が府から何を引き受けたのかが立体的に見えてきます。

  • 寝屋川市職員採用試験の案内(受験する募集回・職種のもの)
  • 中核市移行で府から引き継いだ事務を分野別に示した市公式ページ
  • 寝屋川市の総合計画(市公式サイトで公表されています)
  • 寝屋川市が公表している人口や世帯数の統計

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、寝屋川市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。寝屋川市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

寝屋川市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

寝屋川市役所の面接の概要

ここからは、寝屋川市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

寝屋川市役所の面接の流れ

令和8年度前期募集(令和9年4月採用)では、受験者はまず「ねやがわ版リクルーター制度」と「一般採用試験」のどちらで申し込むかを選びます。

2つの試験制度は併願できません。前期募集全体の採用予定は79人程度です。

一般採用試験は4段階です。第1次試験が録画動画による面接、第2次試験が市職員と1対1で行う個別面談、第3次試験がグループによるディベート試験、第4次試験が個別面接。

試験案内が示すこの4段階に筆記の教養試験は挙げられておらず、すべての段階で人と向き合うことになります。とくに押さえておきたいのが第2次試験です。

試験案内はこれを「面接ではありません」と明記し、一人一人に60分の面談時間を設けて、職員との1対1のやりとりのなかで人間力やコミュニケーション力などを見るとともに、市で働くうえで気になることや聞きたいことを遠慮なく話せる場としていると説明しています。

評価される場でありながら、受験者が問いを持ち込んでよい場でもある、という設計です。もう一点、合否の判定方法にも特徴があります。

第2次試験は第1次から第2次までの結果を、第3次試験は第1次から第3次までの結果を総合的に判断して合格者が決まり、最終合格は全ての試験の結果を総合成績により決定されます。

前の段階の評価が次に持ち越されていく積み上げ方式ですから、最初の録画動画から手を抜けない構成だといえます。

項目内容(令和8年度前期募集・一般採用試験/令和9年4月採用)
試験制度「ねやがわ版リクルーター制度」と「一般採用試験」のいずれかを選択して申し込む(併願不可)
試験の段階一般採用試験は4段階。第1次試験→第2次試験→第3次試験→第4次試験
第1次試験録画動画による面接(エントリー時に録画動画の登録が必要)
第2次試験個別面談(市職員と1対1の対面)。試験案内は「面接ではありません」と明記し、一人一人に60分の面談時間を設けるとしている
第3次試験グループによるディベート試験(全職種が対象。ねやがわ版リクルーター制度の合格者もこの段階から合流する)
第4次試験個別面接
合否の判定段階を積み上げる方式。第2次試験は第1次から第2次まで、第3次試験は第1次から第3次までの結果を総合的に判断し、最終合格は全ての試験の結果を総合成績により決定する
募集人数前期募集全体で79人程度
成績の開示不合格となった場合、希望者に得点・順位・合格最低点・受験者平均点を人事室窓口で開示する(第1次・第2次試験の成績は開示されない。受験者数によって平均点を開示できない場合がある)

ねやがわ版リクルーター制度は、前期試験のみ、事務系(大学卒/令和9年3月に対象大学を卒業見込みの人)を対象とする仕組みです。

同じ大学出身の先輩職員と複数回の個別面談を行い、合格者は一般採用試験の第3次試験から合流します。第4次試験も一般採用試験と合流して実施されます。

対象となる大学は、近年入庁の多い大学出身の上位10校として案内に示されており、大阪公立大学(大阪府立大学、大阪市立大学)、関西外国語大学、関西大学、関西学院大学、近畿大学、摂南大学、同志社大学・同志社女子大学、立命館大学、龍谷大学が挙げられています。

どちらの制度で受けても、第3次試験からは同じ土俵に立つという点は覚えておきましょう。申込は、官公庁・自治体向け求人サイト「パブリックコネクト」で会員登録を行い、マイページで基本情報・学歴・職歴を登録したうえでエントリーする流れです。

エントリーの際に第1次試験の録画動画を登録する必要があります。最終合格者は採用候補者名簿に登載され、リクルーター制度と新卒程度枠の受験者は令和9年4月1日、社会人枠の受験者は令和8年10月1日の採用が予定されています。

上記の試験構成は、寝屋川市の令和8年度前期募集(令和9年4月採用)の職員採用試験案内にもとづくものです。試験の構成・日程・配点等は、年度や募集回、受験職種によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の職種の最新の試験情報をご確認ください。

寝屋川市が「一緒に働きたい」と示す人物像

試験案内は冒頭に「寝屋川市の採用試験は人物重視」と掲げ、続けて「寝屋川市はこんな人と一緒に働きたい」として次の5項目を示しています。(出典:寝屋川市職員採用試験案内(前期募集)|令和8年度)

  • 柔軟な発想や経営感覚を持ち、「前例」「常識」に捉われない人
  • コミュニケーション能力、誠実さ、協調性等(人間力)を持つ人
  • 社会情勢の変化、市場の動きに高い関心とアンテナを持つ人
  • 課題に対し前向きに分析し、対策を実行できる人
  • 新たな価値を創造できる人

この5項目に共通しているのは、与えられた仕事をこなす姿ではなく、自分で状況を見て動く姿が想定されているという点です。

中核市として事務を引き受け、初任給や勤務時間の制度にも手を入れてきた市の歩みと、並べて読むと筋が通ります。市は昇任資格の取得を支える「ねやがわ版管理職養成課程」を大学院と連携して実施してもいますから、入ってからも学び続ける前提が置かれているとみてよいでしょう。

準備の方向としては、5項目のどれか一つに重なる自分の場面を選び、そのとき何を見て、どう判断して動いたのかを言葉にしておくことです。「前例に捉われない」という言葉が最初に置かれている以上、決められた手順をなぞった話より、やり方そのものを変えた話のほうが、この市では材料になります。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。寝屋川市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイクまずは簡単に自己紹介をお願いします録画動画から対面まで、話の入り方が同じ調子で保てているか
② 動機・志望周辺には市が8つも接していますが、なぜ寝屋川市なのですか?隣り合う市と並べたうえで寝屋川市を選んだ理由が、自分の経験と結びついているか
③ 自己理解自分の考えを変えた経験はありますか?「前例に捉われない」という市の言葉と、自己認識が無理なく重なるか
④ 経験・行動反対意見のある中で、案をまとめた経験はありますか?第3次試験のディベートで見せる姿勢が、実際の経験としても裏づけられるか
⑤ 学業・経歴録画動画で話した経験を、もう少し詳しく教えてください最初に自分で撮った内容と、対面での説明が同じ人の言葉として一致するか
⑥ 適性・将来保健所の仕事にも関心はありますか?中核市として市が担う事務の広がりを、どこまで具体的に知っているか
⑦ 公共性・社会性最近関心を持った社会の出来事を一つ挙げてください社会情勢の変化に自分のアンテナが向いているかどうか

ただ、この分類は寝屋川市の試験に合わせて組んだものではありません。

受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。では、どこで差がつくのか。

それが次の「寝屋川市ならではの事情を踏まえた質問」です。

合否を分けるのは「寝屋川市役所ならでは」の質問

「なぜ大阪府庁ではなく、寝屋川市役所を志望するのですか?」
「寝屋川市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらも寝屋川市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「寝屋川市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい寝屋川市の事実答え方のヒント
なぜ府庁ではなく市役所か寝屋川市は平成31年4月に中核市へ移行し、飲食店営業や薬局の許可、感染症への対応など、府が担っていた事務を自ら扱っている制度上の役割分担を並べるのではなく、府ではなく市が判断するようになった事務を一つ挙げて、そこに関わりたい理由を続ける
寝屋川市の魅力と課題高齢化率30.0%は大阪府全体の26.8%を3.2ポイント上回り、75歳以上の割合は19.1%に達する高齢化を課題としてだけ挙げず、支援の必要な人がまとまって住んでいる密度をどう生かせるかまで踏み込む
水害への備え寝屋川流域は内水浸水を主体とする都市型水害が多発する低地で、平成2年以来、河川と下水道が一体となった総合治水対策が続いている大きな工事の話で終わらせず、工事が完成するまでの間に市民へ何を伝えるかという視点を添える
広域での分担消防は枚方市との一部事務組合が担い、平成27年7月からは交野市消防本部と指令センターやはしご自動車も共同運用している隣接する8市との関係を踏まえ、単独で抱えるより分け合ったほうがよい仕事があるという理解を示す
市が求める人物像試験案内は「人物重視」を掲げ、「前例」「常識」に捉われない発想や、課題を前向きに分析して対策を実行できることを挙げている5項目を暗唱せず、やり方を自分で変えた場面を一つ選び、そのときの判断の理由まで話せるようにする

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、市が試験案内で「一緒に働きたい」と示した5項目に照らして、これまでにどう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
前例や常識に捉われない発想決まったやり方を変えた経験と、変えると決めた理由まで説明できるかやり方を変えて失敗した話も含めて用意し、そこから何を学んだかまで続けられるようにする
人間力とコミュニケーション能力60分の個別面談で、評価される場でありながら自分から問いを出せるか市で働くうえで本当に知りたいことを事前に3つ書き出し、聞く準備をしたうえで臨む
課題を分析し、対策を実行する力状況を見て手を打った経験があるか。第3次のディベートで筋道を立てられるか高齢化率3割の市で何が起きるかを自分なりに整理し、賛否の分かれる論点でも立場を決めて話す練習をする

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。

寝屋川市では録画動画、個別面談、ディベート、個別面接と、話す場面が4度続きます。

自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

中核市の広がりの中で効いてくる力

ここから先は解釈です。中核市としての権限と8市に囲まれた立地、そして試験の段階の作り方を突き合わせて考えたことを述べます。

人口22万人規模で中核市の権限を持ち、8つの市に囲まれ、消防は隣の市と組み、治水は12市にまたがる流域の枠組みの中にある。この条件が示しているのは、市の課題の多くが市の中だけでは完結しないということです。

前期募集だけで79人程度を採る市ですから、配属先の幅も広くなります。この条件のもとでは、一人で結論を出す速さより、意見の割れる場で話を止めずに進められることのほうが求められます。

住民と事業者、隣り合う市、そして府。誰かを説き伏せるのではなく、それぞれの言い分を残したまま実行できる案に持っていく作業が日常になります。

第3次試験にディベートが置かれているのは、その素地を見るためだと考えると腑に落ちます。評価が積み上がる形式では、途中で語り口を変えた瞬間、その段差がそのまま記録に残ります。

四度にわたって同じ軸で話しきれる材料を、録画を撮る前に決めておく。その材料は自分が実際にしてきたことの中にしかない以上、これが寝屋川市での最短の準備です。

選び終えていれば、あとは形式が変わるだけだと分かります。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 前期募集の試験案内を読み、ねやがわ版リクルーター制度と一般採用試験のどちらで申し込むかを決める(併願はできない)
  2. 高校・大学生活の経験を棚卸しする。録画動画は撮り直せても話す材料は増えないので、ここに一番時間をかける
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. カメラの前で一人で話す練習をする。第1次試験の録画動画は、聞き手の反応がない状態で話を組み立てる必要がある
  5. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  6. 固有質問の材料を対応表から集めて「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編み、声に出しながら「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく

優先順位に注意

時間配分を間違えないでください。優先はステップ2の経験の棚卸しで、ステップ5〜6の自治体研究と固有質問づくりは上乗せの工程です。

寝屋川市の判定は前の段階の結果を積み上げていく形ですから、最初の録画動画で語る材料が最後まで効いてきます。

自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、寝屋川市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

寝屋川市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

寝屋川市役所の想定問答集を見る

さいごに

令和8年度前期募集の寝屋川市の試験は、一般採用試験で申し込んだ場合、録画動画から始まり、60分の個別面談、グループのディベート、そして個別面接へと続きます。

前の段階の評価が次へ持ち越されるため、途中で語り口を変えることはできません。高齢化が3割に達し、低地の治水と密集した市街地を抱えながら、中核市として住民の相談を受け止める側に回った市で、自分は何を担いたいのか。

カメラに向かって話す最初の一本から、選考はすでに進んでいます。