海部南部消防組合消防本部を受験する方に向けて、面接で問われる前提となる組織研究の材料(本部の特徴・基礎データ・管轄地域の災害リスク・消防課題・重点方針)と、面接本番の流れ・想定される質問・評価の観点を、1ページに整理しました。

海部南部消防組合消防本部の面接試験では、「なぜ警察官や自衛官ではなく消防官なのか」「なぜ海部南部消防組合消防本部なのか」「弥富市と飛島村という管轄地域にどう関わりたいか」といった、組織への理解を前提とする質問が想定されます。

管轄地域の災害リスクや採用試験の設計を知っておくことで、どの消防本部にも当てはまる一般論を避け、海部南部消防組合消防本部に固有の事情を踏まえた説得力のある説明がしやすくなります。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と海部南部消防組合消防本部の仕事の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。人口4万人を超える弥富市と5千人に満たない飛島村、規模の異なる2つの自治体を1つの目で見渡せるかどうかが問われます。

第1部|組織研究編

海部南部消防組合消防本部の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは海部南部消防組合消防本部の全体像を把握しておきましょう(時間のない方はここだけでもチェック)。規模の異なる2つの自治体を管轄する組織であることが、まず押さえておきたいポイントです。

  • 海部南部消防組合消防本部は、弥富市と飛島村の2団体で構成する一部事務組合「海部南部消防組合」が設置する消防本部である。管轄区域は弥富市・飛島村の全域となる。
  • 在籍する消防吏員は110名で、女性はそのうち2名である(令和7年4月1日現在)。弥富市と飛島村の全域が、この人数の担当範囲となる。
  • 出動件数は令和6年中で火災65件、救急3,169件、救助101件であり、出動の多くを救急が占める一方で救助件数も一定の割合を占める構成である。
  • 採用試験は構成市村を介さず、海部南部消防組合が直接実施する。募集要項の名称は「海部南部消防組合職員採用候補者募集要項」である。
  • 選考には色覚検査(石原色覚検査表による検査)が含まれ、結果や検査の拒否が合否に影響を与える場合があると明記されている点が特徴的である。
  • 愛知県が主催する「愛知県消防就職EXPO2026」に参加するなど、採用に向けた広報にも取り組んでいる。

海部南部消防組合消防本部の基礎データ

面接に向けた組織研究では、統計値を大量に暗記する必要はありませんが、海部南部消防組合消防本部のおおよその規模感を知っておくことは重要です。

下の表には、構成2団体の合算人口や吏員数・出動件数など、確認できた範囲の基礎データをまとめています。弥富市と飛島村では人口規模に大きな差があり、この違いが管轄理解の出発点になります。

項目内容
設置形態一部事務組合(海部南部消防組合)
構成市村弥富市・飛島村
管内人口48,150人(弥富市43,424人・飛島村4,726人の合算・令和8年1月1日現在の住民基本台帳人口)
消防吏員数110名(うち女性2名)※令和7年4月1日現在
火災出動件数65件(令和6年中)
救急出動件数3,169件(令和6年中)
救助出動件数101件(令和6年中)

管内人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の、弥富市・飛島村2団体の合算です。消防吏員数・出動件数は総務省消防庁が公表する本部別データにより、時点はそれぞれ表のとおりです(吏員数と出動件数は別の時点の値であり、同じ時点の数字ではありません)。(出典:消防本部の現況|総務省消防庁(令和7年4月1日現在))

弥富市43,424人と飛島村4,726人という人口差

構成2団体の人口差は際立っています。弥富市43,424人に対し飛島村は4,726人と、10倍近い開きがあります。それでも飛島村の高齢化率は29.6%と、管内2団体の中でも高い水準にあり、小さな村でも救急需要は決して小さくありません。

救助出動が101件(令和6年中)と、火災65件を上回っている点も目を引きます。

救急3,169件とあわせ、多様な出動に対応する体制が求められています。

110名という職員数で、救急・火災・救助のいずれにも対応する必要がある以上、特定の分野だけを得意とする人材よりも、幅広い業務に対応できる人材が求められやすいと考えられます。

「海部南部消防組合消防本部の管轄には、人口4万人を超える弥富市と、5千人に満たない飛島村があると聞きました。規模の異なる2つの自治体を1つの組合で支えているという話を聞いて、地域の実情に合わせた対応力が求められる仕事だと感じています」

管轄地域の特性と災害リスク

木曽川河口部という立地

  • 弥富市・飛島村は木曽川の河口部に位置する海部地域の南端にあたり、津島市・愛西市・あま市・大治町・蟹江町とともに海部地域を構成する4市2町1村の一員である。
  • 海部地域は総面積208.63平方キロメートル・総人口317,018人(令和8年2月1日現在)で、その大部分が沖積地とその周辺を干拓した土地であり、地域の全域に海抜ゼロメートル地帯が広がっている。
  • 海部地域では昭和36年頃から地盤沈下が進行しており、累積沈下量は150センチメートルに達している。
  • 地域の排水は天井川の下で自然にはできないため、日光川・木曽川などへ約120か所のポンプで人工的に排水される仕組みになっている。

河口部という立地と海抜ゼロメートル地帯という条件が重なる点が、海部南部消防組合消防本部の管轄理解の出発点になります。(出典:海部地域の概要|愛知県(令和8年2月1日現在))

伊勢湾台風という土地の記憶

海部地域は昭和34年(1959年)の伊勢湾台風で、愛知県内全体として死者3,168人、行方不明92人、負傷者59,045人という被害を受けました。

住家被害は全壊23,334戸・半壊97,049戸・床上浸水53,560戸・床下浸水62,831戸におよび、名古屋港では潮位3.89メートルという記録的な高潮が観測されています(昭和34年9月26日)。

木曽川の河口に近い弥富市・飛島村を管轄するうえで、高潮をともなう風水害への備えは避けて通れない前提であり、消防組合の管轄理解として欠かせません。(出典:気象災害の記録|名古屋地方気象台)

南海トラフ地震の想定

愛知県の南海トラフ地震被害予測調査(過去地震最大モデル・駿河湾から四国沖を震源域とするマグニチュード8.9程度)では、早期避難率が低い場合の県内死者数は最大約5,300人、呼びかけがあり早期避難率が高い場合は約2,900人と想定されています(2026年6月公表)。

理論上最大モデル(駿河湾から日向灘を震源域とするマグニチュード9を超える地震)では、県内の平野部・半島部の広い範囲で震度6弱以上、一部地域で震度7が想定され、濃尾平野・岡崎平野・豊橋平野を中心に液状化の危険度が極めて高いとされています。

木曽川デルタ地帯にあたる弥富市・飛島村も、その濃尾平野の一角です。(出典:愛知県南海トラフ地震被害予測調査 説明資料|2026年6月公表)

地震そのものの揺れに加えて、液状化による地盤の変状や、それにともなう排水機能の低下も、海抜ゼロメートル地帯を管轄する消防組合にとっては見過ごせない想定です。

管内の主な消防課題

ここまでの数字と地域の姿を踏まえると、海部南部消防組合消防本部が向き合っている課題が見えてきます。面接で「消防の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。

救急需要への対応

全国でも救急出動は増え続けています。総務省消防庁の集計による令和6年中の全国の救急出動件数は771万8,380件で、過去最多の水準に達しました。

海部南部消防組合消防本部の救急出動3,169件(令和6年中)もこの流れの中にあり、弥富市・飛島村ともに高齢化率が26%を超えている実情を踏まえると、救急需要は今後も業務の中心であり続けると見込まれます。(出典:令和7年版 救急・救助の現況|総務省消防庁)

河口部・海抜ゼロメートル地帯の風水害への備え

前章で見たとおり、弥富市・飛島村は木曽川の河口に近い海抜ゼロメートル地帯にあり、伊勢湾台風では県内全体で高潮による甚大な被害が生じました。南海トラフ地震という広域の想定とあわせ、河口部という立地ならではの浸水・高潮リスクに向き合い続けることは、海部南部消防組合消防本部固有の課題です。

予防・住宅防火の啓発

火災出動は年間65件(令和6年中)で、月に5件前後のペースで発生している計算になります。

住宅用火災警報器の設置促進や初期消火の啓発といった予防業務を、弥富市の市街地と飛島村の産業・住宅が混在する地域の両方で、地道に続けていく必要があります。

人口規模の異なる2つの自治体で同じ水準の予防活動を続けるには、地域ごとの実情を踏まえたきめ細かさが欠かせません。

人材確保と女性消防吏員の活躍

消防吏員110名のうち女性は2名で、割合は約1.8%にとどまり、全国平均(約3.8%・168,230人中6,386人・令和7年4月1日現在)を下回っています。

国は令和8年度当初までに5%という目標を掲げており、この目標と比べると海部南部消防組合消防本部の課題はなお大きいといえます。性別を問わず力を発揮できる職場づくりは、これから受験する人にとっても身近なテーマです。(参考:女性消防吏員の活躍推進|消防庁)

規模の異なる2つの自治体を支える体制

弥富市43,424人と飛島村4,726人という10倍近い人口差がある2つの自治体を、1つの消防組合として支えることは、海部南部消防組合消防本部固有の課題です。人口の少ない自治体だからといって手薄になってはならないという視点が、組合消防の運営には欠かせません。

重点方針|海部南部消防組合消防本部の取り組み

海部南部消防組合が独自の運営方針・基本理念として公表している資料は、2026年9月時点では確認できません(当研究会調べ)。そこで手がかりになるのが、採用選考そのものに表れている組織の姿勢です。

募集要項には色覚検査(石原色覚検査表、必要に応じてパネルD-15による検査)の実施が明記され、その結果や検査の拒否が合否に影響を与える場合があると案内されています。現場で扱う信号や表示を正確に識別する必要がある消防の仕事の性質を踏まえた、実務に直結する選考基準だといえます。

また、提出書類に「学生消防団活動認証証明書(該当者のみ)」が含まれている点も見逃せません。学生時代の消防団活動を評価に組み込む姿勢は、地域とのつながりを重視する組合の考え方の表れと考えられます。

愛知県消防就職EXPO2026(愛知県消防学校で開催)への参加など、広く人材を集めようとする取り組みも進められており、消防団活動の経験がなくても志望動機を組み立てる材料は十分にあります。

POINT|2つの自治体を意識して語る

海部南部消防組合消防本部を志望する理由を語るときは、弥富市と飛島村という規模の異なる2つの自治体の両方を意識して話すと、組合消防への理解の深さが伝わります。

悪い例「地元の役に立ちたいので、海部南部消防組合消防本部を志望します」

改善例「弥富市と飛島村では人口規模が10倍近く違うと知り、同じ組合でも地域によって求められる動き方が変わるのだと感じました。体力測定で問われる基礎体力を固めたうえで、人口の少ない地域にも同じ水準で向き合える職員になりたいです」

あわせて確認したい公式資料

海部南部消防組合消防本部を受けるにあたっては、第1次・第2次それぞれの試験内容を確かめる資料と、志望動機の材料になる資料とを分けて手元に置いておくと効率的です。次に挙げる資料に目を通しておきましょう。

  • 海部南部消防組合職員採用候補者募集要項(一般教養・消防適正検査・体力測定・口述試験・論文の内容を確認)
  • 海部南部消防組合の公式サイト(採用試験の実施状況を確認)
  • 総務省消防庁が公表する本部別の吏員数・出動件数のデータ
  • 愛知県・海部地域の防災に関する公表資料

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、海部南部消防組合消防本部専用の面接想定問答集をご用意しています。海部南部消防組合消防本部の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

海部南部消防組合消防本部の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

海部南部消防組合消防本部の面接の概要

ここからは、海部南部消防組合消防本部の試験の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。第1次試験と第2次試験、それぞれの特徴を押さえておきましょう。

海部南部消防組合の職員採用試験の流れ

海部南部消防組合の採用試験は、組合が構成市村を介さず直接実施する試験です。受験資格は平成13年4月2日以降に生まれ、高等学校以上を卒業(卒業見込みを含む)した人が対象で、学歴による区分は設けられていません。

項目内容
第1次試験一般教養試験(8:45〜10:45)、消防適正検査B・認知能力(11:00〜11:20)、消防適正検査A・性格(11:20〜12:00)、体力測定(13:00〜16:00・6種目)
第2次試験口述試験(面接・9:00〜12:00、口頭質問により人格等をみるもの)と論文(大学院・大学・短大等の卒業者・卒業見込者のみ対象)
面接の種類受験案内・公式サイトでの公表は確認できず。最新の受験案内でご確認ください
体力測定の種目握力・上体起こし・反復横とび・長座体前屈・シャトルラン・立ち幅とびの6種目(雨天時は一部変更)

注目してほしいのは、論文が大学院・大学・短大(修業年限2年以上等の専門学校卒を含む)を対象とし、高等学校卒業者には課されないという区分です。学歴によって求められる選考の内容が変わる点は、受験資格を確認する際に見落としやすいポイントです。

提出書類は第1次試験が受験申込書・履歴書、第2次試験が最終学校成績証明書・卒業(見込)証明書・身体検査書・学生消防団活動認証証明書(該当者のみ)という2段階の構成です。

身体検査書は第1次試験合格者にのみ郵送されます。申込は電子申請ではなく、持参または郵送で行います。(出典:海部南部消防組合職員採用候補者募集要項)

勤務時間は週38時間45分で、主に消防本部で働く毎日勤務(午前8時30分から午後5時15分まで、月曜日から金曜日)と、主に消防署で働く交替制勤務(午前8時30分から翌日午前8時30分まで、3グループによるローテーション)の2種類があります。

初任給(給料及び地域手当)は大学卒256,608円、短大卒240,408円、高校卒223,236円です(令和8年4月1日現在)。職務内容としては「火災等の防除・鎮圧、救助、救急、通信指令の業務」をはじめ10項目が掲げられています。

上記の試験構成は、海部南部消防組合が公表する募集要項にもとづくものです。試験の構成・内容は年度によって異なる可能性があります。受験の際は、必ず最新の受験案内でご確認ください。

海部南部消防組合消防本部が求める人材

海部南部消防組合消防本部が採用向けに掲げる「求める人物像」は、明文での公表が確認できませんでした(2026年9月時点・当研究会調べ)。

弥富市・飛島村のように複数の市村で構成する組合消防では、人口規模が大きく異なる自治体を、同じ水準で支える姿勢が重視されやすいと考えられます。

募集要項が掲げる職務内容には「これらの業務は、女性も活躍できるものです」との一文があり、性別を問わず現場で力を発揮できる人材を広く求める姿勢がうかがえます。

海部南部消防組合消防本部の場合、弥富市と飛島村で人口に10倍近い差があるという実情を踏まえると、規模の異なる地域のどちらにも目を向けられる姿勢を語れると、組織の実情に合った自己PRになります。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。海部南部消防組合消防本部の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク試験会場までは、どうやって来ましたか?緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます
② 動機・志望なぜ海部南部消防組合消防本部を志望するのですか?消防官という仕事と弥富市・飛島村という土地を、自分の言葉で選べているか
③ 自己理解あなたの短所(弱み)は何ですか?自分を客観視できているか。弱みへの向き合い方に人柄が出ます
④ 経験・行動これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください過去の行動の事実。壁にぶつかったときの対処が現場の仕事に通じるか
⑤ 学業・経歴専攻分野(学科・コース)を選んだ理由を教えてください進路選択の筋道。自分の決断を順序立てて説明できるか
⑥ 適性・将来体力に自信はありますか?交替制勤務と現場活動を続けるための体力・生活習慣・覚悟
⑦ 公共性・社会性消防官(公務員)に最も必要な資質は何だと思いますか?仕事の公共性への理解と、社会の出来事への当事者意識

この整理そのものは消防に限らず幅広い試験区分で使われるものですが、ここから先の設問では、海部南部消防組合消防本部ならではの答えが求められます。

合否を分けるのは海部南部消防組合消防本部に固有の質問

「なぜ警察官や自衛官ではなく、消防官なのですか?」
「海部南部消防組合消防本部の管轄地域で想定される災害には、どのようなものがありますか?」

消防官という進路を選んだ理由を問う1問目に続き、2問目は規模の異なる2つの自治体が抱える災害リスクをどう捉えているかを問います。人口規模が大きく異なる2つの自治体を抱える組合だからこそ、どちらか一方に偏った答えは準備不足として伝わります。

面接で使いやすい「弥富市・飛島村の事実」を絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい管内の事実答え方のヒント
2つの自治体の人口差弥富市43,424人に対し飛島村は4,726人と、10倍近い開きがある(詳細は第1部2章)片方の自治体だけに偏らず、規模の違う2つの地域をどちらも視野に入れて語れると説得力が増します
海抜ゼロメートル地帯と伊勢湾台風木曽川の河口に近い管轄地域は海抜ゼロメートル地帯にあり、伊勢湾台風では高潮の被害を受けた(詳細は第1部3章)地形の条件と過去の被害の両方を押さえたうえで、今の管轄をどう守りたいかまで語れると印象に残ります
救急需要の大きさ令和6年中の救急出動は3,169件で、火災65件・救助101件とあわせて多様な出動に対応している(数値の詳細は第1部2章・4章)救急だけでなく救助にも一定の件数があるという実情まで触れると具体性が増します
選考制度の特色色覚検査や学生消防団活動認証証明書の提出など、現場の実務や地域とのつながりを踏まえた選考制度がある(詳細は第1部5章)選考制度の背景にある組織の考え方を理解していると伝えられます

使い方のコツは、4つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実の説明 → 自分なりの受け止め → 現場でやりたいこと」を、区切らずに話せるようにしておくことです。

想定される評価の観点

海部南部消防組合は、各段階の試験種目までは公表していますが、配点や第2次試験の詳しい採点方法は明らかにしていません。

そこで評価の観点は、公表された試験の枠組みを土台に、公務員試験で一般的に使われる考え方を組み合わせて読み解くことになります。

よく知られているのが、過去の行動の事実から入庁後の再現性を確かめる、コンピテンシー評価という考え方です。

海部南部消防組合がこれを公式な採点方法として掲げているわけではありませんが、多くの公務員試験の面接で共通の土台になっています。

第1次試験の消防適正検査A・B、第2次試験の口述試験・論文と、複数の段階で人物面を確かめる構成になっている以上、どの段階でも一貫した受け答えができるように準備しておくことが大切です。以下は、この考え方を、海部南部消防組合消防本部の試験構成に照らして整理したものです。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
実務への適性消防適正検査A・Bや色覚検査の結果と、面接での受け答えに一貫性があるか現場で正確な識別・判断が求められる仕事であることを理解したうえで、自分の適性を語れるようにしておく
地域への理解弥富市・飛島村という規模の異なる2つの自治体を、自分の言葉で説明できるか人口の数字だけでなく、それぞれの地域の暮らしと結び付けて語れるようにしておく
粘り強さ朝の一般教養から夕方の体力測定まで続く第1次試験を、最後まで力を落とさずに通せるか筆記の勉強と体づくりをどう並行させたかを、期間と手順を添えて語れるようにする

なお、公務員の個人面接では、一つの話題を掘り下げる形で「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。面接の形式が非公表の海部南部消防組合消防本部では、なおさら備えが必要です。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。第1次試験から第2次試験まで見通しを持って進めましょう。

  1. 最新の募集要項を読み、受験資格と第1次試験4種目の日程・提出書類を確認する
  2. 高校・大学生活の経験を棚卸しする。部活動・アルバイト・学業から、規模の違う相手と向き合った具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 組織研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、弥富市・飛島村それぞれの特徴を自分の言葉で説明できるようにする
  5. 対応表で挙げた材料から自分に近いものを選び、事実の確認から問題意識、入庁後にやりたいことまでを一つの話につないでおく
  6. 実際に口に出してリハーサルし、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。体力測定6種目に向けたトレーニングも並行して進める

優先順位に注意

ステップ4〜5の組織研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を消防の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で弥富市・飛島村の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学で仕上げたい場合は、海部南部消防組合消防本部専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

色覚検査や体力測定など、消防ならではの選考項目に不安がある方も、まずは面接で自分の言葉を用意することから始めてみてください。

海部南部消防組合消防本部の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。

体力測定や色覚検査など第1次試験の準備に手を取られる分、面接の言葉づくりは後回しになりがちです。短い時間で要点を押さえたい方の助けになるはずです。

海部南部消防組合消防本部の想定問答集を見る

さいごに

海部南部消防組合消防本部の採用試験は、一般教養・消防適正検査B/A・体力測定という第1次試験のあと、口述試験と論文(対象者のみ)による第2次試験が行われる構成です。

110名の体制で、火災65件・救急3,169件・救助101件(いずれも令和6年中)という多様な出動をこなし、人口規模の大きく異なる弥富市と飛島村という2つの自治体を、1つの組合として支えています。

この管轄地域が置かれた状況を押さえたうえで、色覚検査を含む選考への備えと、自分の経験のどこが現場で活きるのかを、あわせて言葉にしていってください。