本記事では、愛西市職員採用試験の面接対策で必要な、愛西市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

愛西市役所の面接試験では、「なぜ愛西市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。愛西市は第2次試験で全ての職種に集団討論を課しており、一人で話す力だけでなく、人の意見の中で考えを述べる力も見られます。

第1部の内容は、面接での受け答えだけでなく、集団討論で発言の根拠を示すときにも使えます。手元に置いて読み進めてください。

第1部|自治体研究編

愛西市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは愛西市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 木曽川のデルタ地帯にあたる沖積地と、その周辺を干拓した土地の上に広がる市です。愛西市が属する海部地域は、海抜ゼロメートル地帯が全域に広がっています。
  • 人口は59,945人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。市域は66.68km²です。
  • 県内では津島市・稲沢市・弥富市・あま市・海部郡蟹江町と、県外では岐阜県海津市と三重県桑名市に接しており、二つの県と隣り合っています。
  • 65歳以上の割合は31.8%で、愛知県内の38市の中では高いほうから2番目です。75歳以上は20.1%と、市民のおよそ5人に1人にあたります(同じ住民基本台帳)。
  • ユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」に含まれる尾張津島天王祭の車楽舟行事は、津島市と愛西市にまたがる行事です。
  • 昭和34年の伊勢湾台風をはじめ、台風などによる災害をたびたび経験してきた地域でもあります。
  • 職員採用候補者試験は、第1回【大学・短大卒】、第2回【実務経験者】、第3回と、年内に複数回に分けて実施されます。
  • 第1回の一般事務職の採用予定人員は10名程度。第2次試験では、全ての職種に集団討論と個人面接が課されます。
  • 市の花はハス、市の木はマキ。市役所は愛西市稲葉町米野308番地にあります。

愛西市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「愛西市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、人口規模、年齢構成、市域の広さ、接している自治体など、愛西市政を語るときの前提になる項目をまとめました。

項目内容
総人口59,945人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)
65歳以上の人口19,080人(31.8%。愛知県全体は25.5%)
75歳以上の人口12,025人(20.1%。愛知県全体は15.2%)
総面積66.68km²
県内の隣接自治体津島市・稲沢市・弥富市・あま市・海部郡蟹江町
県外の隣接自治体岐阜県海津市・三重県桑名市
市役所所在地愛西市稲葉町米野308番地
市の花・市の木ハス・マキ

総人口と65歳以上・75歳以上の人口および割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値です。割合の分母にも同じ統計の総人口を用いており、並記した愛知県全体の割合も同じ統計にもとづきます。県内順位も同じ統計の市部の値から算出しました。国勢調査を基準とする県の推計人口とは調査の性質が異なるため、直接の比較はできません。総面積・隣接自治体・市役所所在地・市の花と木は公表値をもとに整理しています。

数字から考えられる市政課題

まず目を引くのが高齢化率です。愛西市の31.8%は愛知県全体の25.5%より6.3ポイント高く、県内38市の中では高いほうから2番目にあたります(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)。

さらに重いのが75歳以上の20.1%という数字で、県の15.2%を5ポイント近く上回ります。市民のおよそ5人に1人が75歳以上という年齢構成は、介護、通院の足、災害時の避難のすべてに影響します。

人口6万人規模の市で、この年齢構成を支える体制を組むということは、限られた職員数で優先順位を判断し続けるということでもあります。愛西市は一般事務職のほかに消防吏員、保育士、保健師、土木技師、建築技師、学芸員を自前で募集しています。

職種の幅はそろえつつ、一つの職種から入る人数は多くないという構造です。面接では、この条件の中で自分がどう働くかまで話せると、市の実情を理解している人だと伝わります。

「愛西市は6万人ほどの市で、65歳以上の方が3人に1人に近いと知りました。75歳以上の方も5人に1人ほどだそうです。避難や通院のように、年齢が上がるほど手助けが必要になる場面が増えると思いますので、地域の方と顔の見える関係をつくる仕事から関わっていきたいです」

愛西市の経済・産業

木曽川のデルタと干拓が生んだ土地

愛西市を含む海部地域は、津島市・愛西市・弥富市・あま市・大治町・蟹江町・飛島村の4市2町1村からなり、総面積208.63平方キロメートル、総人口317,018人、総世帯数135,899世帯です(令和8年2月1日現在)。

大部分が木曽川のデルタ地帯に属する沖積地と、その周辺を干拓した土地で、海抜ゼロメートル地帯が全域に広がります。

昭和36年頃から地盤沈下が進み、累積の沈下量は150センチメートルに達しました(出典:海部地域の概要(愛知県海部県民事務所))。

土地そのものが人の手で維持されてきた地域だという理解が、愛西市の産業を見るときの出発点になります。

水を出すための仕組みが農業を支える

海部地域の全体面積約2万ヘクタールのうち、一部には海の水面より3メートル低い土地もあります。川が土地や建物より高い天井川であるため、降った雨は自然には海へ流れ出ません。

およそ6割の地域は日光川へ、約2割は木曽川へ、残りは新川・筏川・鍋田川などや直接伊勢湾へ、人の手で排水されています。

農業用施設として設置されたポンプは約120か所、口径は100ミリメートルから4,600ミリメートルにおよびます(出典:海抜ゼロメートル地帯(愛知県海部農林水産事務所))。

つまりこの地域では、農業も住宅地も、排水設備が動き続けることを前提に成り立っています。土木や環境の職種を志望するなら、この構造は必ず押さえておきましょう。

津島市と分かち合う無形文化遺産

ユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」(全国33件)のうち、愛知県内は5件で都道府県別では最も多くなっています。その一つが、津島市と愛西市にまたがる尾張津島天王祭の車楽舟行事(昭和55年国指定)です(出典:ユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」一覧(文化庁))。

一つの行事を二つの市が担うという形は、広域で連携する仕事の具体例として使えます。文化財や観光、地域振興を志望するなら、行事の紹介にとどめず、担い手の確保と自治体間の調整という論点まで持っていってください。

愛西市の主な行政課題

ここまでの数字と土地の姿を踏まえると、愛西市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。

県内でも高い水準にある高齢化

令和8年1月1日現在の住民基本台帳で見ると、65歳以上31.8%は県内38市で2番目に高く、75歳以上も20.1%にのぼります。人数では65歳以上が1万9,080人、75歳以上が1万2,025人です。

65歳以上のうち6割強がすでに75歳以上という構成で、支える側と支えられる側の比率が今後さらに変わっていきます。地域の行事や自治会の運営を担ってきた層の負担も、同じ理由で重くなります。

海抜ゼロメートル地帯という土地の条件

地盤沈下の累積量150センチメートル、海の水面より3メートル低い土地、約120か所の排水ポンプ。これらは景観の話ではなく、市の維持管理の話です。

設備が止まれば暮らしが成り立たないという前提が、他の地域より重くのしかかります。インフラの更新費用の確保、点検体制、停電時の対応といった論点は、この市を志望するなら知っておくべき基礎です。

伊勢湾台風の記憶と、これからの高潮・地震

昭和34年9月26日の伊勢湾台風では、愛知県で死者3,168人、行方不明92人、負傷者59,045人という被害が出ました。住家被害は全壊23,334戸、半壊97,049戸、床上浸水53,560戸におよび、名古屋港では26日21時35分に潮位3.89メートルの記録的な高潮が発生しています(出典:気象災害の記録|伊勢湾台風(名古屋地方気象台))。

加えて愛知県の南海トラフ地震被害予測調査(過去地震最大モデル、マグニチュード8.9程度)では、県内の死者数は早期避難率が低い場合で最大約5,300人、早期避難率が高く呼びかけがある場合は約2,900人と想定され、避難者は1週間後で最大約158万人とされています(出典:愛知県南海トラフ地震被害予測調査|令和8年6月公表)。

過去に実際に起きた災害と、これから想定される災害の両方を持つ地域だという点は、防災を語るうえで欠かせません。

行事と地域活動の担い手

尾張津島天王祭の車楽舟行事は、津島市と愛西市が共有する無形文化遺産です。こうした行事は、保存会や地域の住民によって支えられています。

高齢化が県内でも高い水準にある市で、担い手をどう確保し、どこまで行政が関わるか。守る対象が増えるほど、支える人の確保が難しくなるという構図は、文化財に限らず、消防団や自治会にも共通します。

限られた職員数で職種の幅をそろえること

愛西市は第1回の採用試験で、一般事務職10名程度に加え、消防吏員、保育士、保健師、土木技師、建築技師、学芸員を若干名ずつ募集しています。第2回は実務経験者を対象に、一般事務職、保健師、土木技師、建築技師、学芸員、管理栄養士を募集します(出典:令和8年度試験案内(令和9年度採用)愛西市職員採用候補者試験実施要項)。

6万人規模の市がこれだけの職種を自前でそろえているということは、一つの分野を担当する職員の数が限られるということでもあります。制度が変わったときも、想定していなかった相談が来たときも、少ない人数でそれを受け止める体制をどう保つかが、採用と人材育成の両面で課題になります。

重点政策|水と向き合ってきた土地の行政

愛西市がどんな施策に力を入れているかは、市公式サイトに載っている総合計画と、その年度の予算資料が正本になります。重点は年度ごとに動くため、必ず最新版を開いてください。

この章で扱うのは、それらを読むときに前提となる二つの外枠、つまり市が置かれた土地の条件と、愛知県という政策環境です。

土地の条件が、そのまま行政の仕事になる

海抜ゼロメートル地帯に市域が広がるという条件は、防災だけの話ではありません。排水施設の維持、農地の保全、下水道や道路の管理、避難計画の作成といった仕事が、すべてこの条件の上に組み立てられます。

土地を維持する仕事が、市の行政の土台に置かれているという理解があるかどうかで、志望動機の深さが変わります。市の計画を読むときも、どの施策がこの条件に応えるものかという目で追ってみてください。

愛知県という政策環境

市の施策は県の動きと無関係ではいられません。愛知県の人口動向調査によれば、令和7年の県内の出生は4万7,059人、死亡は8万4,311人で、3万7,252人の自然減となり、これは9年連続の自然減少です。

一方で県外からの転入超過は続いており、社会増は2万5,805人となっています(出典:愛知県人口動向調査 年報|令和7年)。

人が入ってくる県でも、生まれる数が死亡数を大きく下回る局面に入りました。県自身も、人口問題を県政全体の課題として総合戦略に位置づけています。

県平均より高齢化が進む愛西市にとって、この流れは先に来る現実として受け止める必要があります。

POINT|土地の話を、自分にできることまで降ろす

海抜ゼロメートル地帯は、愛西市の志望動機で使いやすい題材です。ただ、地形の説明で止まると誰が話しても同じになります。「①この土地の条件は何か → ②いま誰が困りうるか → ③市はどんな手を打っているか → ④県や国ではなく市が担う部分はどこか → ⑤自分の経験のどこが使えるか」の順に降ろしてみましょう。

悪い例「愛西市は水害のリスクが高い地域なので、防災に力を入れたいです」

改善例「愛西市のあたりは川が土地より高くて、ポンプで水を出している地域だと知りました。停電したときに何が起きるのかを考えると不安になります。まずは市の仕事を覚えながら、高齢のご家庭に避難の手順が届いているかを一軒ずつ確かめるような仕事から関わりたいです」

あわせて確認したい公式資料

下の4点は、志望動機の材料としても、面接での受け答えの裏づけとしても使えます。第1回か第2回かを決めた段階で、1点目から順に取りかかりましょう。

  • 愛西市職員採用候補者試験の実施要項(第1回から第3回で、試験科目も対象者も異なります)
  • 愛西市の総合計画と、その年度の予算に関する市の説明資料(いずれも最新版)
  • 市のハザードマップと避難に関する資料(海抜ゼロメートル地帯の前提を確かめるため)
  • 愛知県の南海トラフ地震被害予測調査と、伊勢湾台風の記録(過去と想定の両方を押さえるため)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、愛西市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。愛西市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

愛西市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

愛西市役所の面接の概要

ここからは、市が公表している採用候補者試験の実施要項を軸に、愛西市役所の選考の組み立てと質問の全体像を、当研究会の分析を交えて整理していきます。

愛西市役所の面接の流れ

愛西市の試験でまず決めるべきは、どの回で受けるかです。第1回は大学・短大卒の方が対象、第2回は実務経験が通算5年以上の方が対象で、試験科目そのものが違います。

共通しているのは、第2次試験で全ての職種に集団討論が課される点です。

項目内容(令和8年度試験案内・令和9年度採用)
実施の回数第1回採用試験【大学・短大卒】、第2回採用試験【実務経験者】、第3回採用試験を年内に複数回実施します
募集職種と人員(第1回)一般事務職(大学・短大卒)10名程度、消防吏員・保育士・保健師・土木技師・建築技師が各若干名、学芸員(大学卒)若干名
試験の段階(第1回)第1次試験・第2次試験・第3次試験の3段階
第1次試験(第1回・全職種)教養試験、適性検査。消防吏員のみ体力測定が加わります
第2次試験(第1回・全職種)集団討論、個人面接
第3次試験(第1回・全職種)個人面接
教養試験の性格実施要項は「論理的に思考する力、文章を正確に理解する力、統計等の資料を分析する力、国内外の社会情勢への理解等を確認するための基礎的な内容が出題されますので、特別な対策や勉強は不要です。」と注記しています
第2回【実務経験者】の科目第1次は書類選考(自己PR書)、第2次はSPI試験・プレゼンテーション試験・集団討論、第3次は個人面接。民間企業等における実務経験が通算5年以上あることを要します
提出書類第1回・第2回・第3回とも「エントリーシート」を提出します。第2回はさらに自己PR書(指定様式・A4用紙3枚以内)が必要です
申込方法インターネットからのみ受付。顔写真データと第2回の自己PR書は、あいち電子申請・届出システムから提出します
配点各試験科目の配点と人物試験の比重は、実施要項に記載がありません(非公表)

配点は公表されていませんが、科目の並びからわかることはあります。第1回では、教養試験を通過した後に集団討論と個人面接があり、さらに第3次で個人面接がもう一度置かれています。

人物を見る場が3つ用意されている構成です。

しかも集団討論では、他の受験者の発言を聞いたうえで自分の意見を述べることになります。用意してきた自己PRを再生するだけでは通用しない場面が、必ず出てくると考えておきましょう。

上記の試験構成は、愛西市が公表した令和8年度試験案内(令和9年度採用)の職員採用候補者試験実施要項にもとづくものです。試験の構成・日程・配点等は、年度や受験する回、職種によって異なる可能性があります(参考:愛西市職員採用候補者試験(愛西市))。なお、愛西市の関連団体である海部南部水道企業団も別に職員採用候補者試験を実施しているため、募集元を取り違えないよう注意してください。受験の際は、必ずご自身の回と職種の最新の試験情報をご確認ください。

愛西市役所が求める人物像

愛西市の令和8年度試験案内の実施要項と、市の職員採用候補者試験の募集ページには、「求める人物像」として定型化された文言は掲載されていません。公表されているのは、募集職種と採用予定人員、試験の段階と科目、提出書類、申込方法といった内容です。

そこで、公表された事実のうち二つに注目します。人口6万人の市が7つの職種を自前で募集していること、そして全ての職種に集団討論を課していること。

この二つが何を示すのかを、当研究会なりに言葉にしてみます。市の文書に人物像として書かれているものではありません。

まず集団討論のほうです。討論の場に表れるのは、正しい結論へ早くたどり着く力よりも、人の話を受けて自分の考えを組み直せるかどうかでしょう。

市の仕事も似ています。排水施設ひとつを維持するにも、庁内の複数の課、県の事務所、地域の生産者が関わります。

立場の違う相手の話を受け取ったうえで、自分の担当としての答えを出せるかどうかは、この市では繰り返し問われるはずです。

もう一つの手がかりが職種の幅です。7つの職種を6万人の市が自前でそろえているということは、一つの分野を任される人数がそれだけ少ないということでもあります。

前例のない相談が持ち込まれたときに、抱え込まずに確かめながら形にしていく進め方が、そのまま日々の仕事の質になります。愛西市を受けるなら、討論の場でも面接の場でも同じ材料が使えるように、土地の条件と年齢構成のどちらに自分の関心があるのかを、いまのうちに決めておいてください。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。愛西市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日はどちらから来られましたか集団討論を終えた直後でも、落ち着いて話し始められるか
② 動機・志望近隣の市ではなく、愛西市を選んだ理由は何ですか津島市や弥富市とも接する立地で、この市を選んだ判断の中身
③ 自己理解周囲からどんな人だと言われますかエントリーシートに書いた自己像と、話しぶりが一致しているか
④ 経験・行動意見が割れた場面で、あなたはどう動きましたか集団討論を課す市らしく、対立を扱った経験の中身
⑤ 学業・経歴学んできたことを、市の仕事にどうつなげますか専門の紹介ではなく、6万人規模の市役所の業務への翻訳
⑥ 適性・将来担当が一人しかいない仕事を任されたらどうしますか職員数の限られる市で、自分で調べて進められるかどうか
⑦ 公共性・社会性地域の防災について、思うところはありますか海抜ゼロメートル地帯という土地の条件を知ったうえでの発言か

とはいえ、この7つは公務員試験の面接に共通する枠組みで、愛西市だけの特徴ではありません。ここを埋めるのは前提であって、他の受験者を引き離す材料にはなりにくいところです。

差がつくのは、次に挙げる質問群になります。

合否を分けるのは「愛西市役所ならでは」の質問

「なぜ愛知県庁ではなく、愛西市役所なのですか」
「愛西市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

集団討論でも、こうした市の実情に触れる材料を持っているかどうかで発言の重みが変わります。

どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「愛西市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい愛西市の事実答え方のヒント
土地の条件木曽川のデルタ地帯と干拓地の上に市域が広がり、海部地域は海抜ゼロメートル地帯。昭和36年頃からの地盤沈下の累積量は150センチメートル地形の説明で終えず、排水設備が動き続けて初めて成り立つ暮らしだという点まで話しましょう。理解の質がそこに表れます
人口構成の位置65歳以上31.8%は県内38市で2番目に高い。75歳以上も20.1%で、県全体の15.2%を大きく上回る(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)数字を挙げたうえで、避難や通院など具体的な場面に落として述べると、実感のある答えになります
災害の履歴昭和34年の伊勢湾台風で、愛知県では死者3,168人。名古屋港では潮位3.89メートルの高潮を記録した過去の災害と、県の南海トラフ地震の想定を並べ、市がいま備えている内容へつなげてください
広域で担う行事ユネスコ無形文化遺産に含まれる尾張津島天王祭の車楽舟行事は、津島市と愛西市にまたがる行事一つの行事を二つの市が支える形を、自治体間の連携の実例として説明すると、行政の視点で語れます
市の採用の姿第1回では一般事務職10名程度のほか、消防吏員・保育士・保健師・土木技師・建築技師・学芸員を若干名募集。全職種で集団討論を実施職種の幅と人数の少なさを結び付け、幅広い仕事を引き受ける構えがあることを、自分の経験で裏づけましょう

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。愛西市では第2次試験に集団討論と個人面接が並び、第3次でもう一度個人面接があるため、一人で話す場面と、人の中で話す場面の両方から見られます。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
議論の中での立ち位置全職種に課される集団討論で、発言の量ではなく、議論を前に進めた場面があるか人の意見を短くまとめて次につなぐ動きを、ゼミやアルバイトの場面で意識して練習しておきましょう
提出書類との一貫性エントリーシートに書いた内容が、個人面接での説明と食い違っていないか提出前に控えを取り、書いた表現をそのまま口で言えるかどうか、声に出して確かめてください
自分で調べて動く姿勢担当が少ない職場を想定した、前例のない場面への対処を問う質問わからないことを人に聞いて解決した経験を選び、誰にどう聞いたかまで具体的に言えるようにしておきましょう

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 第1回【大学・短大卒】と第2回【実務経験者】のどちらが自分の対象かを確かめ、実施要項で科目を書き出す
  2. エントリーシートの記入項目を先に確認し、書く内容と面接で話す内容をそろえておく
  3. これまでの経験を学業・課外活動・アルバイト・地域の活動に分けて棚卸しし、話せる具体例を1つずつ用意する
  4. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 集団討論に備えて、身近なテーマで人と議論する機会をつくり、自分の意見を30秒で述べる練習をしておく

優先順位に注意

ステップ5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ3の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、愛西市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

愛西市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

愛西市役所の想定問答集を見る

さいごに

愛西市の試験は、第2次試験で集団討論と個人面接を受け、第3次試験でもう一度個人面接に臨む流れです。人の中で話す場面と、一人で話す場面の両方が用意されているぶん、用意した原稿を読み上げるだけの準備では足りません。

川より低い土地を支え続けてきた6万人の市で、県内でも高い水準の高齢化を迎えながら、自分は誰と何を守りたいのか。

エントリーシートに書いた言葉と、討論で口にする言葉と、面接で語る言葉。この3つが同じ方向を向いていれば、準備は形になっています。