犬山市消防本部を受験する方に向けて、面接で問われる前提となる組織研究の材料(本部の特徴・基礎データ・管轄地域の災害リスク・消防課題・重点方針)と、面接本番の流れ・想定される質問・評価の観点を、1ページに整理しました。

犬山市消防本部の面接試験では、「なぜ犬山市消防本部を志望したのか」「消防官として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を消防の仕事でどう活かしたいか」といった、組織への理解を前提とする質問が想定されます。犬山市消防本部は犬山市のみを管轄する単独の本部で、選考の仕組みや地域の伝統行事まで踏まえて話せると、どの消防本部にも当てはまる一般論で終わらない説得力が生まれます。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と犬山市消防本部の仕事の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|組織研究編

犬山市消防本部の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは犬山市消防本部の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 犬山市消防本部は、犬山市の1市のみを管轄する単独の消防本部である。愛知県ではなく犬山市の組織であり、採用も犬山市職員募集の消防職区分として行われる。
  • 犬山市消防本部に所属する消防吏員は112人、そのうち女性は5人である(令和7年4月1日現在)。
  • 救急出動は令和6年中で3,692件に上り、火災出動17件・救助出動87件を大きく上回る。
  • 所在地は犬山市大字五郎丸字下前田1で、消防職の受験資格には採用時までの普通自動車運転免許の取得が求められている。
  • 消防職の身体要件は「矯正視力が両眼で0.8以上、かつ一眼でそれぞれ0.5以上」「聴力は正常であること」等と明文で定められている。
  • 試験は1次(SPI3・消防適性検査・体力測定6種目・個人面接又は集団面接)、2次(個人面接)の2段階で行われる。
  • 試験成績は本人の請求により「総合順位、総合得点、科目別得点」まで開示される。他市にはあまり見られない特徴である。
  • 合格を働きかける口利きなどの紹介行為があった場合は即不合格とする規定を、募集要項に明文で定めている。

犬山市消防本部の基礎データ

面接に向けた組織研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「犬山市消防本部の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

下の表には、犬山市のみを管轄する単独本部としての体制がどれほどの規模なのかが分かるよう、管内人口・職員体制・出動件数を集めています。

項目内容
管轄犬山市(単独)
管内人口71,038人(令和8年1月1日現在)
高齢化率29.6%(同時点。愛知県全体は25.5%)
消防吏員数112人(うち女性5人)※令和7年4月1日現在
火災出動件数17件(令和6年中)
救急出動件数3,692件(令和6年中)
救助出動件数87件(令和6年中)

管内人口・高齢化率は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在、消防吏員数・出動件数は総務省消防庁の全国消防本部データ検索によります。消防吏員数(令和7年4月1日現在)と出動件数(令和6年中)は時点が異なる統計です。

数字から考えられる犬山市消防の課題

表を見ると、救急出動3,692件は火災出動17件のおよそ217倍にあたります。1日あたりに均すと、犬山市消防本部の救急隊はおよそ2時間20分に1回のペースで出動している計算になり、112人という体制の大部分が救急対応に費やされている実態が見えてきます。(出典:全国消防本部データ検索|総務省消防庁)

また、犬山市の高齢化率は29.6%(令和8年1月1日現在)で、愛知県全体の25.5%(住民基本台帳・令和8年1月1日・県計)を4.1ポイント上回ります。

人口71,038人に対し消防吏員112人という体制は、およそ人口634人あたり吏員1人にあたり、限られた人数で救急需要の大半を支えている実態がうかがえます。救助出動87件も火災出動17件を大きく上回っており、火災以外の多様な事案への対応力が求められていることがうかがえます。

「犬山市消防本部では、令和6年中の救急出動が3,700件近くにのぼると聞きました。高齢化率も県内平均よりかなり高いので、これからも救急の需要は増えていくのではと感じています。少ない人数で対応する分、一人ひとりの技術と体力がそのまま地域の安心につながる仕事だと思います」

管轄地域の特性と災害リスク

管轄地域の全体像

  • 犬山祭の車山行事は、国指定重要無形民俗文化財として平成18年に指定され、平成28年にはユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」の一つとして登録されている。
  • 愛知県内でユネスコ無形文化遺産に登録された「山・鉾・屋台行事」は5件あり、都道府県別で最も多い。犬山祭はそのうちの一つである。
  • 管内人口は71,038人(令和8年1月1日現在)、高齢化率は29.6%と愛知県全体(25.5%・同時点)を上回る。

つまり犬山市消防本部は、ユネスコ無形文化遺産にも登録された伝統行事を抱える観光都市で、地域住民と多くの来訪者の双方の安全に向き合う本部だと整理できます。(出典:ユネスコ無形文化遺産代表一覧表記載|文化庁)

南海トラフ地震のリスク

愛知県は全域が南海トラフ地震防災対策推進地域に指定されています。

県の被害予測調査(過去地震最大モデル=駿河湾から四国沖を震源域とするマグニチュード8.9程度の地震)では、早期避難率が低い場合の死者数を最大約5,300人、早期避難の呼びかけが進み早期避難率が高い場合は約2,900人まで抑えられると想定しており、建物の全壊・焼失は計約92,000棟にのぼります。(出典:愛知県南海トラフ地震被害予測調査|2026年6月公表)

犬山市消防本部の管轄区域に特化した被害想定は確認できていませんが、県全体の想定は地震への備えを考える共通の物差しになります。

消防体制を支える広域連携

全国では、消防本部の約99%にあたる718本部(6,661隊・令和6年4月1日現在)が緊急消防援助隊に登録され、大規模災害時には管轄を越えて応援に駆けつける仕組みが整っています。(出典:緊急消防援助隊|総務省消防庁)

112人規模の単独本部にとって、全国の本部が相互に駆けつけ合うこの体制は、市内の消防力だけでは手が回らない大規模な事態が起きたときの拠りどころになります。

通常は犬山市の消防が単独で救急・火災に向き合い、災害が広域に及べば他本部からの部隊を受け入れる。この関係を押さえておくと、災害への備えを問われたときに答えの輪郭がはっきりします。

犬山市の主な消防課題

ここまでの数字と地域の姿を踏まえると、犬山市消防本部が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「消防の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。

救急需要の増加

救急の出動が増え続けているのは全国に共通する動きで、令和6年中の全国の救急出動件数は771万8,380件と、これまでで最も多い水準になりました。(出典:令和7年版 救急・救助の現況)

犬山市消防本部の令和6年中の救急出動3,692件も、この全国的な増加傾向のなかにあります。搬送人員に占める高齢者の割合は全国で63.3%(令和6年中)に上っており、犬山市の高齢化率29.6%(令和8年1月1日現在)を踏まえると、今後も救急への比重は増していくと見込まれます。

大規模災害への備え

南海トラフ地震の30年以内の発生確率は「60〜90%程度以上」とされ、愛知県全域が南海トラフ地震防災対策推進地域に指定されています。112人という体制規模を踏まえると、犬山市消防本部が単独ですべての事態に対応しきることは難しく、緊急消防援助隊のような広域の枠組みが、大規模災害への備えの実質を支えています。

人材確保と女性吏員の活躍

犬山市消防本部の消防吏員112人のうち女性は5人で、割合は約4.5%です。全国平均は約3.8%(168,230人中6,386人・令和7年4月1日現在)で、犬山市消防本部はこれを上回る水準にあります。(参考:女性消防吏員の活躍推進|消防庁)

国が掲げる「令和8年度当初までに5%」という目標にも近い水準ですが、性別を問わず多様な人材が長く働き続けられる職場づくりは、これから消防に入る受験者自身にも関わるテーマです。

112人という体制のなかで、これから入る一人ひとりの存在が組織全体の対応力を左右するという実感を持って、面接に臨む価値があります。

伝統行事と観光を支える消防

ユネスコ無形文化遺産にも登録された犬山祭をはじめ、多くの来訪者が集まる行事や観光地を抱える犬山市では、住民だけでなく来訪者の安全にも向き合う場面があります。

大勢の人が一時に集まる祭礼や観光シーズンには、平常時とは異なる警戒や救急対応が求められることも考えられます。伝統と観光の両方を知っておくことは、管轄理解の厚みにつながります。

地域住民の安全と、来訪者への対応という2つの視点を併せ持つことが、この土地で働く消防吏員には求められます。

重点方針|成績開示に表れる公正な採用姿勢

犬山市消防本部が独自に策定した消防運営方針や重点目標は、公式サイト上で確認できません。

一方で犬山市の職員採用試験には、試験成績を本人の請求により開示する仕組みと、口利きなどの紹介行為を即不合格とする明文規定という、他市にはあまり見られない特徴があります。

本章ではこの2点を手がかりに、犬山市が採用でどのような姿勢を大切にしているかを整理します。

成績開示と口利き禁止が示すもの

犬山市の募集要項では、試験成績の開示について「総合順位、総合得点、科目別得点」を本人が口頭で請求でき、市役所に来庁して身分証明書と受験票を提示すれば開示を受けられると定められています。(出典:令和9年度犬山市職員募集要項|犬山市)

あわせて、合格を働きかける口利きなどの紹介行為があった場合は、本人が関知しない場合も含めて即不合格とする規定が明記されています。

結果を本人に開示できる自信と、公正さを最優先する姿勢の両方が、この2つの規定から読み取れます。

受験者としては、実力どおりに評価される試験だという前提で、正面から準備に向き合う価値があります。

開示される内容が「総合順位」「総合得点」だけでなく「科目別得点」にまで及ぶ点は、SPI3・消防適性検査・体力測定・面接という複数の異なる場面それぞれで、自分がどう評価されたのかを振り返れる仕組みでもあります。

POINT|制度の名称を覚えるだけでは足りない

成績開示や口利き禁止の制度そのものを暗記することが目的ではありません。①なぜこうした規定が設けられているのか→②公正な評価のもとで自分は何を伝えるべきか→③自分の経験や強みをどう重ねるか、の順で考えれば十分です。

悪い例「人の命を守りたいので、犬山市消防本部を志望します」

改善例「学生時代、体力づくりのために毎朝ランニングを続けてきました。犬山市消防本部が成績を本人に開示する仕組みを設けていると知り、実力で正面から評価される試験だからこそ、自分の努力をそのままぶつけたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

以下の4点のうち、募集要項は受験資格・身体要件・体力測定の種目まで一度に確認できる中心的な資料です。残る3点は、面接で犬山市の話題が出たときに備えて、読みたいものから目を通しておきましょう。

  • 犬山市職員募集要項(消防職)
  • 総務省消防庁の全国消防本部データ検索(犬山市消防本部の掲載欄)
  • ユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」の記載資料(文化庁)
  • 愛知県の南海トラフ地震被害予測調査(防災ポータル等)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、犬山市消防本部専用の面接想定問答集をご用意しています。犬山市消防本部の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

犬山市消防本部の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

犬山市消防本部の面接の概要

ここからは、犬山市消防本部の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

犬山市消防本部の面接の流れ

犬山市消防本部の消防職員は、犬山市が公表する「令和9年度犬山市職員募集要項」の消防職区分から採用されます。1次試験の中に筆記・適性検査・体力測定・面接までが組み込まれた、種目数の多い構成です。

項目内容(令和9年度・消防職)
試験の段階第1次=SPI3(ペーパー110分)・消防適性検査(35分)・体力測定(会場:犬山市消防署)・個人面接又は集団面接(会場:犬山市役所)。第2次=個人面接(会場:犬山市役所)
面接の種類第1次は個人面接または集団面接(受験番号ごとに事後指定・どちらになるかは断定できません)。第2次は個人面接
体力測定上体起こし・握力・長座体前屈・反復横とび・立ち幅とび・20mシャトルラン(往復持久走)の6種目
身体要件矯正視力が両眼で0.8以上かつ一眼でそれぞれ0.5以上、聴力は正常であること等
成績開示本人の請求により総合順位・総合得点・科目別得点を開示

注目したいのは、1次試験だけで筆記・適性検査・体力測定・面接という4種類の課題が課される点です。

このうち筆記と体力測定は同じ日に行われ、募集要項には「午前中に筆記試験を行い、昼食休憩後、午後から体力測定を行います」と示されています。

集中力と体力の両方を1日のうちに発揮する準備が欠かせません。SPI3は基礎能力70題・性格300題、消防適性検査は120題20分・90題15分という構成で、いずれも択一式の筆記です。

SPI3は、基礎能力総合や構造的把握力による能力に加えて、行動的側面・意欲的側面・情緒的側面・社会関係的側面から職務や組織への適応のしやすさを問う内容とされています。

消防適性検査は「消防職員としての適応性を性格的・認知能力の面からみる検査」とされ、迅速で的確な対応や機器操作の基礎的な能力が問われます。

体力測定は上体起こし・握力・長座体前屈・反復横とび・立ち幅とび・20mシャトルランの6種目で、いずれも消防職員としての基礎体力を確かめる内容です。

1次試験の個人面接または集団面接については、その形式と日時が申込受付期間の終了後に市のホームページ上で受験番号ごとに掲載される仕組みで、申込みの時点では分からない点にも留意しておきましょう。

上記の試験構成は犬山市が公表する令和9年度職員募集要項にもとづく消防職のものです。試験の構成・日程・配点等は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。

申込みは、市ホームページのリンク先であるオンライン申請サービス「otetsuzuki(オテツヅキ)」を通じて行います。

犬山市職員採用試験受験申込書に必要事項を記入し、最近3か月以内に撮影した写真を添えて申請する仕組みです。

同時に2つ以上の職種への応募はできず、受付後の職種変更もできません。受験区分は最高学歴(卒業見込みを含む)によって決定されるため、進学や卒業の見込みが変わりそうな方は早めに確認しておきましょう。

犬山市消防本部が求める人材

犬山市は募集要項・職員募集ページのいずれにも、「求める人物像」に当たる公表文言を掲げていません(2026年9月時点・当研究会調べ)。

手がかりになるのは、前章で紹介した成績開示と口利き禁止という2つの規定です。

結果を実力どおりに受け止められる仕組みが整っている分、面接でも飾らず、事実にもとづいた自分の言葉で語る姿勢が評価につながりやすいと考えられます。

受験資格に採用時までの普通自動車運転免許の取得が求められている点や、身体要件を明文で示している点からも、現場ですぐに動ける実務適性を重視していることがうかがえます。

受験資格の生年月日要件は、大学卒が平成11年4月2日以降、短大卒が平成13年4月2日以降の生まれとされています。

また、日本国籍を有しない方でも永住者または特別永住者であれば受験することができます(ただし公権力の行使や公の意思の形成に参画する職には就けません)。

門戸の広さと要件の明確さの両方を、早い段階で確認しておくと安心です。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。犬山市消防本部の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク試験会場までは、どうやって来ましたか?緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます
② 動機・志望なぜ犬山市消防本部を志望するのですか?消防官という仕事と犬山という土地を、自分の言葉で選べているか
③ 自己理解あなたの短所(弱み)は何ですか?自分を客観視できているか。弱みへの向き合い方に人柄が出ます
④ 経験・行動これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください過去の行動の事実。壁にぶつかったときの対処が現場の仕事に通じるか
⑤ 学業・経歴専攻分野(学科・コース)を選んだ理由を教えてください進路選択の筋道。自分の決断を順序立てて説明できるか
⑥ 適性・将来体力に自信はありますか?6種目の体力測定に向けた準備状況と、交替制勤務を続ける生活習慣
⑦ 公共性・社会性消防官(公務員)に最も必要な資質は何だと思いますか?仕事の公共性への理解と、社会の出来事への当事者意識

この7つの枠組みは、消防の面接であればどこを受ける場合でも準備の骨組みとして使えます。差がつくのは、ここから先の犬山市消防本部に固有の質問への備えです。

合否を分けるのは犬山市消防本部に固有の質問

「なぜ警察官や自衛官ではなく、消防官なのですか」
「犬山市消防本部の管轄地域で想定される災害には、どのようなものがありますか」

他の職業と比べて仕事を選んだ理由を尋ねる1問目、犬山市の管轄でどんな災害が起こり得るかを尋ねる2問目、この2つで理解の深さが試されます。科目別得点まで開示される犬山市の試験では、こうした問いにどれだけ調べて臨んだかが、そのまま自分の評価として返ってくると考えておきましょう。

面接で使いやすい「犬山市の事実」を絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい犬山市の事実答え方のヒント
想定される災害(地震)愛知県の被害予測調査で、早期避難率が低い場合の死者数は最大約5,300人、早期避難率が高い場合は約2,900人まで抑制と想定(詳細は第1部3章)被害の数字だけで終えず、「対策で減らせる」という視点まで言及すると理解の深さが伝わります
救急需要の増加令和6年中の救急出動は3,692件で、火災出動17件を大きく上回る(詳細は第1部2章・4章)件数の大きさに加えて、高齢化率29.6%という背景まで結び付けられると具体性が増します
選考の公正さ試験成績を総合順位・総合得点・科目別得点まで本人に開示し、口利き等は即不合格とする規定がある(詳細は第1部5章)実力で評価される試験だと理解したうえで、自分の準備の姿勢を語る材料になります
女性吏員の活躍消防吏員112人のうち女性5人(約4.5%)。全国平均は約3.8%(詳細は第1部4章)性別を問わず力を発揮できる職場づくりへの関心を示す材料になります
まちの伝統行事犬山祭の車山行事はユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」の一つ(詳細は第1部3章)伝統行事や観光都市としての性格への理解を、志望動機の地域理解に接続できます

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 消防官としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

犬山市の消防職試験は、試験の段階と種目、体力測定の種目までを公表していますが、各種目の配点までは明らかにしていません。

そのため観点は、公表されている試験設計から読める範囲で組み立てることになります。設計から言えるのは、筆記・適性検査・体力測定・面接という複数の異なる角度から、1次試験だけで多面的に評価する仕組みになっている点です。

その土台に重ねて考えたいのが、公務員の採用面接で一般的に用いられるコンピテンシー評価です。過去にとった行動の事実をもとに、採用後の働きぶりを見通そうとする考え方を指します。

犬山市が評価方法として公表しているわけではありませんが、成績を本人に開示する透明性の高い設計のもとでは、この見方が助けになります。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
体力と生活習慣6種目の体力測定に向けた準備の様子や、交替制勤務への理解日頃の運動習慣や、体力づくりに取り組んだ経験を具体的に説明できるようにする
地域への理解面接で「なぜ犬山市なのか」を具体的に語れるか伝統行事や観光地としての性格など、自分が調べた犬山市の事実を志望動機に結び付ける
誠実さと一貫性1次・2次それぞれの面接で、話す内容がぶれていないか成績が開示される試験だからこそ、飾らず事実にもとづいた話し方を心がける

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

成績が開示される試験だからこそ、その場しのぎの受け答えではなく、事実にもとづいた一貫性のある話し方を意識しておく価値があります。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新の募集要項を読み、受験資格(学歴別の生年月日・運転免許)と身体要件、試験当日の流れを確認する
  2. 高校・大学生活の経験を棚卸しする。部活動やアルバイト、地域活動から、集団のなかで自分の役割を果たした具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 組織研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 実際に口に出してリハーサルする。個人面接・集団面接のどちらでも対応できるよう、6種目の体力測定に向けたトレーニングも並行して進める。午前の筆記から午後の体力測定まで続く1日を乗り切れるよう、当日の体調管理も含めて計画を立てる

優先順位に注意

ステップ4〜5の組織研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を消防の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で犬山市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。成績開示の制度があるからといって、当日の点数だけに気を取られる必要もありません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、犬山市消防本部専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

犬山市消防本部の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。

1次試験だけで筆記から面接までを課す種目数の多い試験だからこそ、早めに準備を進めておくと安心です。筆記と体力測定が同じ日に続く点も踏まえ、集中力を保つ体力づくりも準備のうちに含めておきましょう。

犬山市消防本部の想定問答集を見る

さいごに

犬山市消防本部の試験は、1次試験だけで筆記・適性検査・体力測定・面接までを課す、種目数の多い選考です。

成績を本人に開示し、口利きなどの紹介行為を明確に排除する姿勢からは、実力どおりに評価しようとする犬山市の考え方が伝わってきます。

ユネスコ無形文化遺産にも登録された伝統行事を抱えるこのまちで、火災の200倍を超える救急需要に応え続けている消防の実情を踏まえたうえで、自分の経験のどの部分が犬山市消防本部で生きるのかを言葉にしていってください。112人の本部を目指す一人ひとりに、この記事が準備の道しるべになれば幸いです。