本記事では、あま市職員採用試験の面接対策で必要な、あま市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
あま市役所の面接試験では、「なぜあま市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。あま市の選考は、集団面接が第1次試験の段階に置かれ、個別面接が第2次試験に来るという並びです。
一般的な「筆記のあとに面接」という順番とは違うため、準備の組み立ても変わります。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心とあま市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
あま市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずはあま市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 愛知県西部にあり、ほぼ全域が海抜ゼロメートル地帯という土地に市街地が広がる市。市域は東西に約7.9キロメートル、南北に約7.8キロメートル、面積は27.49平方キロメートルである。
- 平成22年3月22日に七宝町・美和町・甚目寺町が合併して誕生した、愛知県内37番目の市。市名はひらがな表記の「あま市」が正式で、旧町名は今も住所表記に残る。
- 人口は87,817人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。名古屋市・清須市・稲沢市・愛西市・津島市の5市と、海部郡大治町・蟹江町の2町に接している。
- 65歳以上の割合は25.9%、75歳以上の割合は16.4%で、いずれも愛知県全体の25.5%・15.2%を上回る。
- 市は自らを名古屋市のベッドタウンとして発展してきたまちと説明しており、名古屋駅から公共交通機関で約15分という立地にありながら、田園風景と住宅地の調和がとれた緑豊かなまちを形成しているとしている。
- 伝統的工芸品七宝焼の産地であり、塗装用や料理用などの刷毛づくりでは国内生産量日本一の産地でもあると市は紹介している。農業は水稲や野菜(ミズナ、越津ネギ)等の栽培が中心。
- 萱津神社や、尾張四観音寺の一つである甚目寺観音など、神社仏閣や文化財が多く残る。
- 市役所の新庁舎は令和5年5月8日に開庁した(あま市七宝町沖之島深坪1番地)。
あま市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「あま市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
あま市の数字は、市の輪郭(面積と人口)と、土地の高さ(海抜ゼロメートル地帯)を一組にして覚えると扱いやすくなります。年齢構成の比較は、そのあとに重ねてください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 87,817人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳) |
| 65歳以上人口 | 22,702人(25.9%。愛知県全体は25.5%) |
| 75歳以上人口 | 14,378人(16.4%。愛知県全体は15.2%) |
| 総面積 | 27.49km²(東西約7.9km・南北約7.8km) |
| 人口密度 | 3,195人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 市の成り立ち | 平成22年3月22日、七宝町・美和町・甚目寺町が合併して発足(愛知県内37番目の市) |
| 隣接自治体 | 名古屋市・清須市・稲沢市・愛西市・津島市/海部郡大治町・蟹江町 |
| 市の花/市の木 | ゆり/ハナミズキ |
| 市役所所在地 | あま市七宝町沖之島深坪1(令和5年5月8日に新庁舎が開庁) |
総人口、65歳以上および75歳以上の人口と割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の数値です。比較のために置いた愛知県全体の値も同じ統計から取っています。愛知県が公表する推計人口や、国勢調査を基準とする県の年齢別人口は調査の系列が異なるため、同じ列に並べて比べることはできません。総面積・東西南北の距離・市の成り立ち・新庁舎の開庁日は、あま市が公表している資料の記載によります。隣接自治体・市の花と市の木は、公表されている値をもとに整理しました。人口密度は、この住民基本台帳人口を総面積で割って算出しました。
数字から考えられる市政課題
あま市の年齢構成で目を引くのは、75歳以上の割合です。16.4%という数字は、愛知県全体の15.2%を1.2ポイント上回ります。
65歳以上でも25.9%と県の25.5%(住民基本台帳・令和8年1月1日・県計)を超えており、県内の平均より高齢化が進んだ市であり、しかも後期高齢者の側でその差が大きいことがわかります。(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)
75歳を超えると、医療の受診も介護の利用も増え、災害時に自力で避難することが難しくなる方の割合も上がります。ほぼ全域が海抜ゼロメートル地帯というあま市の土地の条件と、この年齢構成が重なっているという点は、面接で使える視点です。
名古屋市のベッドタウンとして人口が増えてきた市が、いま高齢化の面では県平均を超えている。たとえば面接では、次のように土地の条件と数字を重ねて語れます。
市域27.49km²、東西も南北も8キロメートル足らずという広さも押さえておきましょう。歩いても自転車でも市内を回れる広さで、職員が現場へ足を運ぶ働き方が無理なく成り立ちます。
あま市の経済・産業
経済・産業構造の概要
あま市の産業は、伝統的な手仕事と、都市近郊の農業と、名古屋への通勤という三つの層が重なってできています。
- 市は七宝焼の産地。七宝焼は伝統的工芸品に位置づけられており、旧七宝町の名にもその歴史が残る。
- 塗装用・料理用などの刷毛づくりでは、国内生産量で日本一の産地であると市は紹介している。
- 農業は水稲や野菜(ミズナ、越津ネギ)等の栽培が中心。
- 名古屋駅から公共交通機関で約15分という立地で、名古屋市のベッドタウンとして発展してきた。
つまり、大工場を抱える市ではなく、手仕事と農地と住宅が同じ市域に並んでいるという構造です。産業振興を語るなら、大規模な企業誘致より、七宝焼や刷毛づくりの担い手をどう次へつなぐか、農地と住宅の境目をどう整えるか、という話のほうが市の実態に近くなります。(出典:令和8年度実施 あま市職員採用試験実施要項|令和8年度)
名古屋のベッドタウンとしての性格
名古屋駅まで約15分という距離は、この市の人口構成と税収の両方に効いています。働く場所を名古屋市に持ちながら、暮らしはあま市で営むという人が多い地域では、市の仕事の中心は「住むための環境」を整えることになります。
子育て、教育、住まい、交通、ごみ、そして防災。どれも市民が生活者としてじかに触れる分野です。
市が自らを「田園風景と住宅地との調和がとれた緑豊かなまち」と説明しているのも、この性格の裏返しといえます。志望動機を組み立てるなら、働く場ではなく暮らす場を支える仕事という角度から入るのが自然な入口になります。
低い土地の農業と、水の管理
あま市を含む海部地域は、津島市・愛西市・弥富市・あま市・大治町・蟹江町・飛島村の4市2町1村からなり、総面積208.63平方キロメートル、総人口317,018人(令和8年2月1日現在)。大部分が木曽川のデルタ地帯に属する沖積地と、その周辺を干拓した土地で、海抜ゼロメートル地帯が全域に広がっています。
昭和36年頃から地盤沈下が進行し、累積の沈下量は150センチメートルに達しました。金魚の養殖は江戸末期からの歴史を持ち、この地域は一大生産・流通拠点となっています。(出典:海部地域の地域概要|令和8年2月1日現在)
あま市の主な行政課題
ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、あま市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
雨が自然には流れない土地であること
海部地域の全体面積は約2万ヘクタール。そのうち一部には、海の水面より3メートル低い土地もあります。
川が土地や建物より高い天井川であるため、降った雨は自然には海へ流れ出ません。約6割の地域が日光川へ、約2割が木曽川へ、残りは新川・筏川・鍋田川等や直接伊勢湾へと、人工的に排水されています。
農業用施設としては、口径100ミリメートルから4,600ミリメートルまでの約120か所のポンプが設置されています。昭和34年の伊勢湾台風をはじめ、この地域は台風などによる災害をたびたび経験してきました。
排水は農業のための仕組みであると同時に、市街地の暮らしを守る仕組みでもあります。(出典:海部地域の海抜ゼロメートル地帯と排水|愛知県海部農林水産事務所)
県平均を超えた高齢化への対応
あま市の65歳以上の割合25.9%、75歳以上の割合16.4%は、いずれも愛知県全体(25.5%・15.2%)を上回ります。県が別に行っている人口動向調査の年報(令和7年)で見ると、県全体の年少人口の割合は11.9%です。
この調査は市の値とは基準が異なるため直接は比べられませんが、県全体としても高齢化と少子化が同時に進んでいることがわかります。介護保険の運営、在宅医療との連携、地域での見守りといった仕組みは、担い手を確保するのに時間がかかる分野です。
低い土地という条件と重ねると、避難行動要支援者の名簿づくりや個別の避難計画も、机上の話では済まなくなります。(出典:愛知県人口動向調査 年報|令和7年)
県全体の人口が減少へ転じたこと
令和7年国勢調査の結果速報が示したのは、前回調査から1.2%減という、1950年以降の国勢調査では初めての愛知県の人口減少でした。総人口は744万9403人で全国第4位。
県の人口動向調査の年報を見ても、推計人口は6年連続の減少、自然減は9年連続です。ベッドタウンとして人口を伸ばしてきた市にとって、増え続ける前提が外れたことの意味は小さくありません。(出典:令和7年国勢調査結果速報(愛知県)|令和7年)
南海トラフ地震と液状化への備え
2026年6月公表の愛知県南海トラフ地震被害予測調査は、過去地震最大モデル(マグニチュード8.9程度)を想定し、県内の死者数を早期避難率が低い場合で最大約5,300人、早期避難率が高く呼びかけがある場合で約2,900人と見込んでいます。建物の全壊・焼失は計約92,000棟、避難者は1週間後で最大約158万人、上水道の断水人口は直後で最大約698万人。
理論上最大モデルの想定では、濃尾平野一帯の液状化危険度が極めて高い区分に置かれています。干拓してつくられた低い土地では、揺れと液状化に加えて、浸水からの排水にも時間がかかります。(出典:愛知県南海トラフ地震被害予測調査|2026年6月公表)
3つの町が一つになった市の、まとまりのつくり方
あま市は平成22年に七宝町・美和町・甚目寺町が合併して生まれ、旧町名は今も住所表記に残っています。市役所の新庁舎が七宝町沖之島に開庁したのは令和5年5月8日、合併から13年余りが経ってからのことでした。
地域ごとの成り立ちや歴史が異なるまちで、行政サービスの水準をそろえ、市としての一体感をどう育てるかは、合併市に共通する論点です。この市を志望するなら、旧町の名前を地名として正しく使えるくらいには、市域の地理を頭に入れておきたいところです。
あま市の重点政策|合併から16年、市の輪郭
あま市が定める総合計画や、防災・都市計画などの分野別の計画は、市の公式サイトで最新版を見ることができます。面接までに、志望分野へ一番近いものを一つだけ通して読んでおいてください。ここでは、市が採用の場で自ら示している資料から、あま市の性格を読み取っていきます。
市が受験者に向けて説明していること
あま市の職員採用試験の実施要項には、冒頭に「あま市の概要」が置かれています。合併の経緯、面積と市域の広さ、海抜ゼロメートル地帯であること、名古屋市のベッドタウンとしての発展、七宝焼と刷毛づくり、そして神社仏閣。
採用の資料にこれだけの分量で市の説明を載せているということは、市を知ったうえで受けてほしいという意思表示だと読めます。逆にいえば、ここに書かれている事項は面接で触れられても不思議のない範囲だということです。
実施要項は募集のたびに更新されますから、受験する年の版で「あま市の概要」を読み直しておきましょう。
県が置いている人口の見取り図
愛知県まち・ひと・しごと創生総合戦略2023-2027に含まれる人口問題対策プランは、2019年の約755万4千人がピークだったこと、2021年10月からの1年間で名古屋市・中核市を含む43市町村が人口を減らしたことを挙げています。
そして県は人口問題を「県全体に関わる重要な課題」と位置づけています。あま市の子育て支援や住まいの施策は、この認識の上に組み立てられます。(出典:愛知県まち・ひと・しごと創生総合戦略2023-2027|令和5年)
POINT|市の説明を、自分の目で確かめてから話す
資料に書かれた言葉をそのまま返しても、面接では響きません。関心分野を一つか二つ選び、「①何が課題か → ②市はどんな状態を目指すか → ③現在の事業 → ④市だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験・強みをどう生かすか」の順で調べましょう。
悪い例「あま市は名古屋のベッドタウンで、住みやすいまちだと思いました」
改善例「名古屋まで15分という近さで住まいを選ぶ方が多いと知りました。ただ、暮らしを続けるとなると子育てや通院の環境も要りますので、住み始めた方が住み続けたいと思える部分を整える仕事に関わりたいです」
あわせて確認したい公式資料
あま市の資料は、市の公式サイトと採用ページの両方にあります。全部に手を出すと時間が足りません。次の4つのうち、関わりたい分野に近いものを先に開いてください。
- あま市職員採用試験の実施要項(最新年度版)。冒頭の「あま市の概要」と人材育成基本プランの職員像まで読む
- あま市の総合計画と、志望分野に近い個別計画(子ども・福祉・都市計画など)
- あま市の洪水・内水のハザードマップと地域防災計画
- 愛知県まち・ひと・しごと創生総合戦略2023-2027(県が人口をどう見ているかの確認用)
いずれも年度が変われば中身が変わります。自分が受ける年に出ているものを見るようにしてください。
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、あま市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。あま市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
あま市役所の面接の概要
ここからは、あま市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
あま市役所の面接の流れ
令和8年度実施のあま市職員採用試験は、第1回・第2回・第3回の3回に分けて実施されます。まず、どの回でどの職種が募集されるのかを押さえてください。
| 募集の回次 | 対象となる試験区分(令和8年度実施) |
|---|---|
| 第1回 | 事務職(一般)A/保健師/土木/保育士 |
| 第2回 | 事務職(一般)B/事務職(土木)/事務職(社会福祉士)/学芸員/事務職(障がい者) |
| 第3回 | 事務職(一般)(社会人経験)/土木(社会人経験)/保育士(社会人経験) |
そのうえで、面接の置かれ方に注目してください。あま市は集団面接を第1次試験の段階に、個別面接を第2次試験の段階に配置しており、全区分で2回の面接を課します。
第1回のうち事務職(一般)A・保健師・土木は、第2次試験に集団討議試験が加わります(保育士の第2次は集団討議ではなく保育実践試験です)。第2回・第3回に集団討議はありません。
| 試験区分 | 第1次試験 | 第2次試験 |
|---|---|---|
| 事務職(一般)A(第1回) | ①総合適性検査(テストセンター)②口述(集団面接)試験 | ①集団討議試験 ②口述(個別面接)試験(会場はあま市役所) |
| 保健師・土木(第1回) | ①総合適性検査 ②口述(集団面接)試験・専門試験(択一式) | ①集団討議試験 ②口述(個別面接)試験 |
| 保育士(第1回) | ①総合適性検査 ②口述(集団面接)試験・専門試験(択一式) | ①保育実践試験(あま市立保育園)②口述(個別面接)試験 |
| 事務職(一般)B・事務職(障がい者)(第2回) | ①総合適性検査 ②口述(集団面接)試験 | 口述(個別面接)試験(集団討議試験は課されません) |
| 事務職(土木)・事務職(社会福祉士)(第2回) | ①総合適性検査 ②口述(集団面接)試験に専門試験(択一式)が加わる | 口述(個別面接)試験 |
| 学芸員(第2回) | ①総合適性検査 ②口述(集団面接)試験に小論文が加わる | 口述(個別面接)試験 |
| 第3回(社会人経験枠の3区分) | ①総合適性検査 ②口述(集団面接)試験。土木(社会人経験)は専門試験(択一式)が加わる | 口述(個別面接)試験。保育士(社会人経験)は保育実践試験が加わる |
手続きの面では、受験前にエントリーシートの審査があり、試験の詳細はその審査に合格した人にメールで案内されます。総合適性検査の受験案内も、エントリーシートの審査後に届く仕組みです。
申込は「あま市電子申請・届出システム」で行い、利用者登録が必要です。受験票は準備が整うとメールで通知され、受験者自身が印刷して顔写真を貼り、試験日に持参します。
資格者証などの写しの添付が必要な区分もあります。なお、各試験科目の配点と人物試験の比重は実施要項に記載がありません。(出典:令和8年度実施 あま市職員採用試験実施要項|令和8年度)
上記の試験構成は、あま市役所 市長公室人事秘書課が発行した令和8年度実施のあま市職員採用試験実施要項にもとづくものです。採用予定日は令和9年4月1日とされています。各試験科目の配点と人物試験の比重は、同要項には記載がありません。試験の構成・日程・配点等は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。
あま市役所が求める人物像
あま市は、人材育成基本プランにおける求められる職員像を4つ掲げています。実施要項にも掲載されており、面接対策の出発点になります。
- 市民と共創し、信頼される職員「共創力」。まちづくりには市民やボランティア、各種団体など様々な活動主体との連携が必要であり、こうした方々とともに考え行動し、市民から行政のプロとして信頼される職員。
- 改革や改善にチャレンジし、成し遂げる職員「チャレンジ・行動力」。市民のために、前例踏襲にとらわれず、新しい柔軟な発想で、課題解決に挑戦する積極性と行動力をもった職員。
- コスト意識など経営感覚を備えた職員「経営感覚力」。最小の経費で最大の効果を上げる質の高いサービス提供を常に模索し、長期的・広角的視点で判断し、行動する職員。
- 人権尊重の精神を貫き職務を遂行する職員「人権意識力」。自らの人権意識を高め、すべての人々の人権が守られ、差別や偏見のない明るく住みよい社会を築くため職務を遂行する職員。
4つの先頭に置かれているのが「共創力」であること。そして選考が、集団面接を通り、第1回の区分の多くでは集団討議を経てから個別面接へ進む順番になっていること。
この2つは、おそらく別々のものではありません。人と一緒に何かを進める場面を、市は二度にわたって見ようとしています。
ここから先は、市の説明に当研究会の観察を重ねた話として読んでください。あま市は令和8年度実施だけで3回の募集に分け、事務職から保健師、土木、保育士、学芸員まで幅広い区分で採用を行っています。
職種の幅に対して市の規模は人口8万7千人。一つの分野を大勢で分担する体制にはなりにくく、担当がそのまま制度の窓口を兼ねる場面が増えます。
だからこそ、手元に前例のない案件でも調べ先を見つけ、経験のある人に当たりながら進められる人が働きやすい環境になるとみています。市域は東西も南北も8キロメートル足らず。
市内で起きたことが、間に何段階も挟まずに職員へ伝わる距離です。一つひとつの対応が積み上がって、市役所そのものの評判になっていきます。
そして、あま市の受験手続にはエントリーシートの審査があります。試験の詳細は、その審査に通った人にメールで案内される仕組みです。
つまり、面接の前にすでに文章で一度読まれているということ。書いた内容と、集団面接で話すこと、集団討議での振る舞い、個別面接での説明が一本の線でつながっているか。
用意すべきはそこの整合だと当研究会は考えています。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。あま市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日の集団面接は、何人での実施か聞いていますか? | 集団面接の口火として置かれることの多い一言。短くまとめて、次の人へ渡せるか |
| ② 動機・志望 | 名古屋市ではなく、あま市を選んだ理由を教えてください | 通勤先として名古屋を選ぶ人が多い地域です。暮らしを支える側に回る理由を持っているか |
| ③ 自己理解 | エントリーシートに書いた強みを、別の言い方で説明してください | 審査を通ったエントリーシートの記載と、口頭での説明が重なるか |
| ④ 経験・行動 | 立場の違う人たちと一緒に何かを成し遂げた経験はありますか? | 市が掲げる「共創力」に直結する領域。相手の違いをどう扱ったかの中身 |
| ⑤ 学業・経歴 | これまでの学びや経験のうち、市の仕事に一番近いものはどれですか? | 実施要項に並ぶ職種の幅を踏まえて、自分の持ち場を具体的に思い描けているか |
| ⑥ 適性・将来 | 前例のないやり方を提案したことはありますか? | 「チャレンジ・行動力」に対応する領域。提案の中身より、周囲をどう動かしたか |
| ⑦ 公共性・社会性 | あま市について、調べていて気づいたことはありますか? | 実施要項の「あま市の概要」に載っている範囲を超えて、自分で見に行ったかどうか |
とはいえ、この7つはあま市の試験に限った枠組みではありません。誰もが同じ範囲を準備してくるため、ここで大きな差はつきにくいのが実際です。あま市の面接で分かれ目になるのは、この先の固有の問いになります。
合否を分けるのは「あま市役所ならでは」の質問
集団面接では短く、個別面接では深く。同じ問いに二通りの長さで答えられるようにしておくと、どちらの場でも詰まりません。
その場の機転では乗り切れない問いですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。あま市について面接で使える事実を絞り、話の運び方まで添えて整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたいあま市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| なぜ県庁ではなく市役所か | 市域27.49km²、東西約7.9km・南北約7.8km、人口87,817人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。名古屋駅から公共交通機関で約15分 | 県との役割の違いを制度論で述べるより、歩いて回れる規模の市で自分が何をしたいのかを、具体の場面で語ります |
| 市の成り立ち | 平成22年3月22日に七宝町・美和町・甚目寺町が合併して誕生した県内37番目の市。新庁舎は令和5年5月8日に開庁 | 合併市であることを前提に、地域ごとの違いをそろえる仕事に触れると、市の実務への理解が伝わります |
| 土地の条件と防災 | ほぼ全域が海抜ゼロメートル地帯。海部地域は天井川のため雨が自然に流れず、約120か所のポンプで人工的に排水している | 「水害が心配です」で止めず、排水の仕組みが日常的に動いていることまで触れると、備えの話が具体になります |
| 市の年齢構成 | 65歳以上25.9%、75歳以上16.4%で、いずれも愛知県全体の25.5%・15.2%を上回る | ベッドタウンとして増えてきた市が、いま県平均を超える高齢化を迎えているという流れで説明します |
| 市の産業 | 伝統的工芸品の七宝焼の産地。塗装用・料理用などの刷毛づくりは国内生産量日本一の産地と市が紹介。農業は水稲や野菜(ミズナ、越津ネギ)が中心 | 名産の名前を挙げるだけで終えず、担い手をどう次へつなぐかという課題まで一歩進めます |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、前述の「求められる職員像」の4項目に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 共創力 | 集団面接や、区分によって課される集団討議での振る舞い。他の人の発言を受けて自分の意見を組み立てられるか | あま市が4つの職員像の先頭に置いた観点です。地域の団体や年代の違う人と一緒に動いた場面を1つ選び、相手の違いをどう扱ったかまで話せるようにする |
| チャレンジ・行動力 | 決められたやり方を変えた経験と、そのときに周囲をどう動かしたか | 提案が通らなかった経験でも構いません。前例にとらわれずに考えた過程を、順を追って説明できるようにする |
| 経営感覚力 | 限られた時間やお金の中で、優先順位をつけた経験 | 市が使える資源には限りがあります。何を選び、何をあきらめたのかをセットで語れるようにする |
| 人権意識力 | 立場の弱い人に対して、どのように接してきたか | 低い土地と高齢化が重なる市です。災害時に自力での避難が難しい方をどう支えるか、自分なりの考えを持っておく |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。あま市は集団面接が先にあるぶん、そこで触れた話に第2次試験で戻ってくる可能性も高くなります。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- あま市の最新の職員採用試験実施要項を開き、自分が受ける区分がどの回次にあるか、集団討議があるかどうかを確認する。冒頭の「あま市の概要」も必ず読む
- エントリーシートの記入内容を固める。審査を通らなければ試験の詳細が届かないため、ここが最初の関門になる
- 学業・部活動・アルバイト・職務経験から、立場の違う人と一緒に進めた場面、やり方を変えた場面、限られた資源で優先順位をつけた場面を、それぞれ1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る。集団面接を想定して、30秒程度に収める短い版も作る
- この記事の第1部に戻り、志望分野に近いあま市の事実を2つか3つ選び、資料を見ずに口頭で説明してみる
- 固有質問の対応表から材料を取り、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」の一続きの話に編み、声に出して練習する
優先順位に注意
自治体研究はステップ5と6に置きました。ここは他の受験生との差を作るための上積みです。時間が足りないときは、ステップ2のエントリーシートと、ステップ3の経験の掘り起こしを先に片づけてください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、あま市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
あま市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
あま市の選考は、集団面接から始まります。第1回の事務職(一般)A・保健師・土木では、そのあとに集団討議があり、最後に個別面接。
人と一緒に何かを進める場面が、繰り返し出てくる試験です。市が掲げる4つの職員像の先頭に「共創力」が置かれていることと、この設計は無関係ではないでしょう。
ほぼ全域が海抜ゼロメートル地帯という土地で、3つの町が一つになってから16年。誰と、何を、どうやって一緒にやってきたのか。
その一つひとつを自分の言葉で並べられるようにしておいてください。