本記事では、豊田市職員採用試験の面接対策で必要な、豊田市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
豊田市役所の面接試験では、「なぜ豊田市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。「クルマのまち」という一面だけで語ってしまうと、市域の大半を森林が占めるという豊田市のもう一つの顔に触れないまま面接が終わります。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と豊田市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
豊田市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは豊田市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 愛知県のほぼ中央に位置し、市域は918.32平方キロメートル。市自身が「愛知県全体の17.8%を占める広大な面積」と説明している。
- その市域のおよそ7割を森林が占める。都市部と山あいを一つの市の中に抱えた形になっている。
- 1951(昭和26)年3月に挙母市として市制を施行し、1959(昭和34)年1月に市名を豊田市へ変更した。
- 2005(平成17)年に西加茂郡藤岡町・小原村、東加茂郡足助町・下山村・旭町・稲武町と合併し、現在の市域となった。
- 1998(平成10)年4月に中核市へ移行し、市保健所を開設した。保健や福祉など市民生活に関わりの深い事務が県から移り、市民ニーズに沿ったサービス提供が可能になったと市は説明している。
- 接している自治体は14市町村にのぼり、うち4団体は岐阜県(恵那市・土岐市・瑞浪市)と長野県(下伊那郡根羽村)に属する。
- 市は自らを「『クルマのまち』として知られ、世界をリードするものづくり中枢都市」と位置づけている。
- 人口は41万4,241人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。市の花はヒマワリ、市の木はケヤキ。
(出典:こんなまち とよた|豊田市/豊田市のあゆみ|豊田市)
豊田市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「豊田市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、人口規模、市域の広さ、高齢化の水準、市が担う権限の範囲など、豊田市の規模と権限を言葉にできる項目を選んで並べました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 414,241人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 65歳以上人口 | 10万4,544人(高齢化率25.2%) |
| 75歳以上人口 | 6万0,935人(総人口の14.7%) |
| 総面積 | 918.32km²(愛知県全体の17.8%。うちおよそ7割が森林) |
| 人口密度 | 約451人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 市の位置づけ | 中核市(1998年4月移行・市保健所を設置) |
| 隣接自治体 | 14市町村(岐阜県3市・長野県1村を含む) |
| 市役所所在地 | 豊田市西町三丁目60番地 |
人口・65歳以上人口・75歳以上人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の値です。面積・森林の割合・中核市移行年月は豊田市の公表資料によります。愛知県全体の高齢化率などは国勢調査を基礎とした推計であり、住民基本台帳を基礎とする市の数値とは作り方が異なるため、直接並べて比較することはできません。(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)
数字から考えられる市政課題
まず目に入るのは、人口41万人という規模と、918.32平方キロメートルという面積の組み合わせです。人口密度に直すと約451人/平方キロメートル。
同じ市の中に、住宅と工場が密集する市街地と、集落が点在する山あいの地域が同居していることを、この一つの数字が示しています。行政サービスを「同じように届ける」ことのコストが、面積の分だけ重くなるのが豊田市政の前提です。
高齢化の水準は、令和8年1月1日現在で65歳以上が25.2%、75歳以上が14.7%。65歳以上のうち6割近くが75歳以上という内訳になります。
高齢化の「率」そのものより、75歳以上がすでに市民の7人に1人を超えている点が、医療・介護・移動支援の需要を考えるうえでの実質的な論点です。とくに、公共交通の便が限られる山間部でこの層が増えたときに何が起きるかは、面接でも掘り下げられうる話題でしょう。
たとえば面接では、豊田市の現状について説明する際、次のように数字と課題を結び付けられます。
豊田市の経済・産業
経済・産業構造の概要
- 製造品出荷額等は16兆8,144億円(2023年)で、市町村としては全国第1位。
- そのうち自動車関連が13兆8,983億円で、全体の92.8%を占める。
- 市内933工場の従業者数に占める自動車関連製造業の割合は77.3%。
- トヨタ自動車の市内生産拠点は6か所(自動車組立3・エンジン部品製造3)。最初の挙母工場(現在の本社工場)は1938年に操業を開始した。
数字を並べると、出荷額の9割超と、働く人の4分の3以上が一つの産業でつながっている経済だとわかります。
市の税収も雇用も、その産業の調子に強く連動します。だからこそ、産業振興や雇用の話題では「企業を呼び込む」という一般論ではなく、この構造をどう受け止めるかが問われます。(出典:豊田市の産業(製造品出荷額等)|2023年)
愛知県の産業のなかでの位置
愛知県全体の製造品出荷額等は58兆218億円で、全国シェアは約15.5%。1977年に神奈川県を上回って以来、連続で全国1位を続けています(出典:愛知県の産業構造(2024年経済構造実態調査))。
県の県内総生産(名目)は43兆831億円(県民経済計算2022年度)で、主要産業は自動車に代表される輸送機械産業です。県の統計と市の統計は調査年も対象も異なるため単純な割り算はできませんが、県が全国1位を保ってきた土台の中心に豊田市の工場群があることは、県と市の関係を語るうえで押さえておきたい事実です。
市域の7割を占める森林
工場の話と対になるのが森林です。市域918.32平方キロメートルのおよそ7割が森林です。
この市域は、2005年に6つの町村と合併して現在の形になりました。森林は木材生産の場であると同時に、水源の涵養や土砂災害の抑制といった機能も担っており、手入れの担い手が減れば管理が行き届かなくなります。
工場が集まる地区の産業政策と、山あいの土地をどう保つかという話が、同じ市役所の中で並行して進む。この二重構造は、豊田市の仕事の幅を説明するときの具体材料になります。
面接でこの話題を使うなら、森林の面積を挙げるだけで止めないことです。市域の周縁部には、2005年の合併前はそれぞれ別の役場が担っていた地域が広がっています。
合併から二十年が経ちますが、集落単位で続いてきた行事や共同作業をどう保つかといった事情は、地区によって異なります。「広い市域」という言葉の中身は、地図上の距離ではなく、こうした地域ごとの成り立ちの違いだと押さえておくと、市の仕事を語る解像度が一段上がります。
豊田市の主な行政課題
ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、豊田市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
一つの産業に支えられた経済の、次の形
製造品出荷額等の92.8%、工場で働く人の77.3%が自動車関連(2023年)という数字は、豊田市の強さそのものですが、同時に振れ幅の大きさでもあります。自動車産業は電動化や自動運転といった技術の転換期にあり、部品構成が変われば市内のサプライヤーの仕事の中身も変わります。
税収と雇用の両方が一つの産業の変化に連動するという前提を、市はどの分野の政策を考えるときにも織り込まざるを得ません。面接でこの話題に触れるなら、「依存は危険だ」という評論で終わらせず、産業が強いうちに何を準備するかという時間軸で語りましょう。
高齢化と、広い市域での暮らしの支え方
令和8年1月1日現在の高齢化率は25.2%、75歳以上は14.7%です。豊田市が難しいのは、この層が市街地と山間部の両方にいることです。
市街地なら徒歩圏に医療機関や商業施設がありますが、918.32平方キロメートルの市域の周縁部では、通院や買い物のたびに移動の手段が問題になります。中核市として市保健所を持つ豊田市は、保健・福祉の事務を自ら担う立場にあり、この分野の判断を県任せにできません。
南海トラフ地震と、三河地震の記憶
愛知県の南海トラフ地震被害予測調査(過去地震最大モデル・マグニチュード8.9程度)では、県全体の死者数を最大約5,300人(早期避難率が低い場合)と想定し、早期避難率が高く呼びかけがある場合は約2,900人としています。建物の全壊・焼失は計約92,000棟の想定です(出典:愛知県南海トラフ地震被害予測調査|2026年6月公表)。
加えて西三河には直下型地震の実績があります。1945(昭和20)年1月13日の三河地震(マグニチュード6.8)では死者2,306人・全壊家屋7,221棟の被害が出ており、愛知県が公開する歴史地震の伝承サイトは、被害地域の一つとして豊田市を挙げています(参考:愛知県の地震活動の特徴|地震調査研究推進本部/歴史地震記録に学ぶ防災・減災サイト(三河地震)|愛知県)。
想定と履歴の両方を知っていることが、防災の話題での厚みになります。
合併から20年、地域ごとの事情の違い
2005年の合併で、豊田市は6つの町村を市域に加えました。二十年が経ち、市全体では65歳以上が4人に1人という水準になっています。
同じ市民でありながら、必要とされる支援の中身は地区ごとに異なります。合併した市の職員には、「市全体としての公平」と「地区ごとの実情」の折り合いをつける仕事が日常的に回ってきます。
この点は、規模の大きな市を志望する理由を語るときの具体的な足場になります。
県全体の人口減少という外枠
令和7年国勢調査結果速報によると、愛知県の総人口は744万9,403人で全国第4位。ただし前回調査から1.2%減少し、1950年以降の国勢調査で初めての減少となりました(出典:令和7年国勢調査結果速報(愛知県)|令和7年10月1日現在)。
県は人口問題を県全体に関わる重要な課題と位置づけており、県内でも多くの市町村が減少局面に入っています。製造品出荷額等が全国第1位の豊田市も、この流れの外にいるわけではありません。
働く世代に選ばれ続けるための住環境や子育て環境の整備は、産業政策と切り離せないテーマです。
重点政策|計画を読む前の3つの前提
豊田市がいま何を優先しているかは、市が公表している最上位の計画と、その年度の予算資料に書かれています。ここでは、それらを開いたときに内容が頭に入りやすくなるよう、前提となる条件を3つに絞って整理します。
前提1|中核市として保健・福祉を自ら担う
豊田市は1998(平成10)年4月に中核市へ移行し、市保健所を開設しました。中核市への移行によって、愛知県が行っていた事務のうち保健や福祉など市民生活に関わりの深い事務が市へ移り、市民ニーズに沿ったサービス提供ができるようになったというのが市の説明です。
感染症対策や食品衛生、母子保健といった分野の判断が市の手にあるという点は、「なぜ県庁ではなく市役所なのか」を説明するときの、豊田市ならではの具体材料になります。
前提2|産業の強さと、その集中度
製造品出荷額等16兆8,144億円・全国第1位という数字(2023年)は、市の財政と雇用の土台です。同時に、自動車関連が92.8%という集中度も同じ資料が示しています。
計画や予算を読むときは、この産業をどう伸ばすかという記述と、産業以外の分野(子育て・福祉・防災・山村地域)に何が書かれているかを、対にして見てみてください。両方を読んでおくと、面接で「豊田市はお金があるから困っていないのでは」といった問いを向けられたときにも、事実に基づいて返せます。
前提3|県の政策環境という外枠
愛知県の令和7年度当初予算は一般会計29,413億円で、前年度の27,949億円から1,464億円の増(伸率105.2%)となりました。県はリニア中央新幹線の開業を見据えた「リニア大交流圏」の形成を重点施策に掲げています(出典:愛知県 令和7年度当初予算|令和7年2月)。
また、2026年の秋には第20回アジア競技大会が愛知・名古屋で開催されます。県が動かす広域の事業と、市が担う暮らしに近い事業の役割の違いを整理しておくと、志望理由に厚みが出ます。
POINT|「クルマのまち」から一歩踏み込む
豊田市を志望する受験者の多くが自動車産業に触れます。差がつくのはその先です。「①その産業のどの変化に関心があるか → ②市の仕事として関われるのはどの場面か → ③市域の広さや高齢化とどうつながるか → ④自分の経験のどこが使えるか」の順で降ろしてみてください。
悪い例「ものづくりのまちである豊田市の産業振興に携わりたいです」
改善例「豊田市は出荷額の9割以上が自動車関連だと知りました。産業が強いうちに、働く人の暮らしの側を整えておくことが大事だと思います。市街地から山あいまで広い市ですので、住まいや移動の手段を地域ごとに考える仕事に関わりたいです」
あわせて確認したい公式資料
次に挙げるものは、面接の前に開いておくと発言の裏づけになる資料です。上から順に優先度が高いというより、自分が話そうとしているテーマに近いものから見ていくのが効率的です。
- 豊田市職員採用試験の実施要項(受ける区分のもの。市の職員採用のページに掲載されています)
- 豊田市が受験者向けに公表している「面接質問例と過去の集団討論課題」
- 豊田市の総合計画と、その年度の予算に関する市の説明資料
- 愛知県南海トラフ地震被害予測調査の結果(防災を志望分野にする場合)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、豊田市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。豊田市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
豊田市役所の面接の概要
ここからは、豊田市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
豊田市役所の面接の流れ
豊田市の職員採用試験は「I種」「II種」の区分で実施され、試験区分には行政職(事務)、行政職(技術系)、障がい者、消防職、教育保育職などが置かれています。
注目したいのは、市が受験者向けの参考資料として「面接質問例と過去の集団討論課題」を公表している点です。過去の課題まで公開されているということは、集団討論が選考過程に含まれることが示されていると読めます。
| 項目 | 内容(令和8年度実施・令和9年4月採用) |
|---|---|
| 試験の区分 | 「I種」「II種」の2区分。試験区分に行政職(事務)、行政職(技術系)、障がい者、消防職、教育保育職などが置かれています |
| 公表されている選考の手がかり | 市が「面接質問例と過去の集団討論課題」をPDFで公表しており、選考過程に集団討論が含まれることが示されています |
| 申込方法 | 電子申請システム「PUBLIC CONNECT」による申込 |
| 試験の段階構成 | 市の採用トップページ、令和8年度採用試験情報のページ、I種・II種の各ページには、第1次・第2次の別と種目の記載がありません。受ける区分の実施要項でご確認ください |
| 配点・提出書類 | 上記と同じく、市の採用情報ページには記載がありません。受ける区分の実施要項でご確認ください |
段階構成や配点が採用ページ上で見えない一方、集団討論の課題という「本番で使う材料」が公表されているのは、受験者にとって扱いやすい情報です。
個人面接だけの試験と違い、集団討論では自分の意見を述べる力に加えて、他の受験者の発言を踏まえて話をまとめる動きが見られます。公表されている過去の課題を実際に時間を計って議論してみると、自分がどちらの役割に回りやすいかが分かります(出典:豊田市職員採用試験情報|令和8年度実施)。
上記の試験構成は、豊田市が公表する令和8年度実施(令和9年4月採用)の採用試験情報にもとづくものです。試験の構成・日程・配点等は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。
豊田市役所が求める人物像
豊田市の職員採用のページと、I種・II種それぞれの試験情報のページには、「求める人物像」として定型化された文言は置かれていません。そこで、公表されている事実から言えることと、当研究会が全国の市役所の採用を見てきた経験から言えることを、順に分けて述べます。
公表されている事実の側から言えるのは、市が集団討論の課題を過去分まで開示しているという一点です。他者との議論の中でどう振る舞うかを、市は隠さずに試そうとしています。
一人で完結する作業能力よりも、複数の人の間で意見を動かす力を見ようとしている試験だと受け取っておきたいところです。
918.32平方キロメートルという市域、14市町村と接する位置、中核市として保健所まで抱える権限の広さ。この三つを並べて当研究会が考えるのは、豊田市の仕事は庁内で完結しないということです。
企業の集積する地区の課題も、山あいの集落の課題も、市の職員だけで解けるものではなく、事業者・地域の団体・近隣の自治体と話を進めながら形にしていくことになります。したがって、現場で聞いた話を政策の形にまとめ直し、限られた人と予算で実行できる大きさに落とす動き方が、評価の対象になりやすいとみておくのが無難です。
ここまでは市の側の話です。では受験者は何を用意すればよいのかというと、豊田市に合わせた新しい強みを探すことではありません。
集団討論は、その場に出た意見へどう反応するかを見る形式ですから、事前に決めておいた設定は議論が動き出せば数分で剥がれます。これまでアルバイトやゼミ、部活で人と物事を進めてきたときの自分のやり方を思い出し、それが豊田市の仕事のどの場面と重なるかを言葉にしておく。
試験の形に照らすと、それが最も無駄のない準備です。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。豊田市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 会場までは迷わずに来られましたか? | 用意した原稿を読み上げる前の話し方。集団討論でも同じ声と間合いが出ます |
| ② 動機・志望 | なぜ公務員を志望するのですか? | 大企業の拠点が集まる豊田市だからこそ、民間の仕事との違いをどう説明するか |
| ③ 自己理解 | ご自身の弱みを一つ教えてください | 市街地から山間部まで幅のある配属を前提に、自分の傾向を把握できているか |
| ④ 経験・行動 | これまでで一番苦労した場面と、そのときの動き方を教えてください | 集団討論で見られる協働の姿勢と重なる部分。何を考え、どう動いたかの中身 |
| ⑤ 学業・経歴 | 力を入れて学んだこと(研究したこと)を説明してください | 行政職と技術系が並ぶ職場で、専門の話を外の人へ届く言葉にできるか |
| ⑥ 適性・将来 | 入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか? | 中核市として保健所まで持つ市の業務範囲の広さを、どこまで具体的に見ているか |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近関心を持ったニュースは何ですか? | 自動車産業の転換など、市の足元に関わる話題を自分の言葉で語れるか |
この7つは全国の官公庁で大きく変わりません。受験者の多くが対策してくる領域ですから、ここだけで差がつくことは少ないのが実情です。差が出るのは、次に挙げる豊田市の事情を前提にした質問への答えです。
合否を分けるのは「豊田市役所ならでは」の質問
1問目は、中核市である豊田市では特に答えやすい質問です。保健所を市が持つという事実がある以上、「住民に近いから」で終わらせずに、県と市の分担を具体で語れます。
どちらの質問も市の実情を知らなければその場では答えようがありませんが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「豊田市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい豊田市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 市の形 | 市域918.32km²は愛知県全体の17.8%。そのおよそ7割が森林で、2005年に6町村と合併して現在の市域になった | 「広い」で止めず、市街地と山あいで必要な支援が違うという運用の話まで進めると、規模の大きな市を選ぶ理由になります |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 1998年4月の中核市移行で市保健所を開設。保健や福祉など市民生活に関わりの深い事務が県から移った | 保健所という具体物を挙げて、県が広域で担う仕事と市が現場で担う仕事の線引きを自分なりに引いてみせます |
| 産業構造 | 製造品出荷額等16兆8,144億円で全国第1位(2023年)。自動車関連が92.8%、工場の従業者では77.3%を占める | 強さと集中度を両方言えるかが分かれ目です。数字を挙げたうえで、産業が強いうちに市が備えるべきことへ話をつなげます |
| 高齢化 | 高齢化率25.2%、75歳以上14.7%(令和8年1月1日現在)。65歳以上のうち6割近くが75歳以上 | 率だけでなく内訳に触れると、移動や通院という具体の課題へ自然に進めます |
| 防災 | 愛知県の想定では死者最大約5,300人(早期避難率が低い場合)。1945年の三河地震では県内で死者2,306人、豊田市も被害地域に挙げられている | 想定と過去の実績の両方を押さえたうえで、自分が地域の一員として何ができるかまで一続きで話します |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、前の節で整理した人物像の見立てに照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 議論の中で役割を果たす力 | 集団討論での発言量ではなく、他の人の意見を受けて話をどう前へ進めたか | 公表されている過去の集団討論課題を使い、制限時間を決めて実際に話してみる。自分が意見を出す側か、まとめる側かを把握しておく |
| 広い市域を前提にした想像力 | 「市民」を一括りにせず、地区によって事情が違うことを踏まえて話せるか | 市街地と山間部それぞれで、同じ制度がどう使われるかを一つの事業で想像してみる |
| 専門外の相手に伝える力 | 学んだことや経験を、前提知識のない相手へ届く長さと言葉で説明できるか | 行政職と技術系が同じ職場にいることを念頭に、自分の専門を一分で説明する練習を重ねる |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。
集団討論で述べた意見についても、後の面接で理由を尋ねられる可能性があります。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 受ける区分(I種・II種)の実施要項を入手し、段階構成・種目・提出物を自分の目で確認する
- 市が公表している「面接質問例と過去の集団討論課題」を読み、出題の傾向をつかむ
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- この記事の第1部を読み返し、固有質問の対応表から材料を選んで「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 過去の集団討論課題で時間を計って話し、そのあと声に出して個人面接の練習をする。掘られそうな点を書き足していく
優先順位に注意
ステップ5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ3の経験の棚卸しと、その経験を豊田市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、豊田市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
豊田市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
豊田市の採用試験では、集団討論の課題が過去分まで公開されています。誰でも読める形で出ている以上、そこは受験者全員が練習してきます。
差がつくのは、議論の中身に自分の見てきたものを持ち込めるかどうかでしょう。出荷額全国第1位の工場群と、市域の7割を占める森林。
その両方を抱えた市で自分は何をしたいのか、まずは一度、紙に書き出すところから始めてみてください。