本記事では、津島市職員採用試験の面接対策で必要な、津島市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
津島市役所の面接試験では、「なぜ津島市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。
津島市の選考は第1次試験に動画選考が置かれており、面接官が最初に見るのは、対面ではなく画面越しのあなたです。準備の順番も、そこから逆算することになります。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と津島市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
津島市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは津島市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 愛知県西部の海部地域に位置し、海抜ゼロメートル地帯が広がる木曽川のデルタ地帯の市。市域は25.09km²で、接しているのは愛西市・あま市・海部郡蟹江町の3自治体だけである。
- 人口は59,043人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。人口密度は2,353人/km²。
- 65歳以上の割合は30.1%、75歳以上の割合は18.5%で、愛知県全体の25.5%・15.2%を大きく上回る。
- 市の名を冠する尾張津島天王祭の車楽舟行事は、昭和55年に国の指定を受け、平成28年にユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」の一つとして記載が決定した(津島市・愛西市)。
- 津島市を含む海部地域は、江戸末期からの歴史をもつ金魚の養殖の一大生産・流通拠点でもある。
- 市の花はフジ、市の木はクロマツ。市役所は津島市立込町二丁目21番地にある。
- 職員採用の担当は総合政策部 人事課。試験は「『魅力マシマシ津島市』職員採用候補者試験」という名称で行われている。
- 令和8年度は「通年募集」「第1回」「第2回」の複数枠で実施され、通年募集は年4期に分けて受け付けられている。
津島市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「津島市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
津島市の数字で最初に頭へ入れてほしいのは、人口でも面積でもなく高齢化率です。ここが、この市の行政課題のほとんどに関わってきます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 59,043人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳) |
| 65歳以上人口 | 17,747人(30.1%。愛知県全体は25.5%) |
| 75歳以上人口 | 10,901人(18.5%。愛知県全体は15.2%) |
| 総面積 | 25.09km² |
| 人口密度 | 2,353人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 隣接自治体 | 愛西市・あま市・海部郡蟹江町 |
| 市の花/市の木 | フジ/クロマツ |
| 市役所所在地 | 津島市立込町二丁目21番地 |
総人口、65歳以上および75歳以上の人口と割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の数値です。比較のために置いた愛知県全体の値も同じ統計から取っています。愛知県が公表する推計人口や、国勢調査を基準とする県の年齢別人口は調査の系列が異なるため、同じ列に並べて比べることはできません。総面積、隣接自治体、市の花と市の木、市役所所在地は、公表されている値をもとに当研究会が整理しました。人口密度は、この住民基本台帳人口を総面積で割って算出しました。
数字から考えられる市政課題
津島市の65歳以上の割合は30.1%。愛知県全体の25.5%(住民基本台帳・令和8年1月1日・県計)を4.6ポイント上回り、75歳以上でも18.5%と県の15.2%を3.3ポイント超えています。
市民のおよそ3人に1人が65歳以上で、5人に1人近くが75歳以上という構成です。(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)
この数字は、市の仕事の中身をそのまま決めます。国民健康保険と介護保険の運営、在宅医療との連携、移動手段の確保、空き家の増加、地域の行事や自治会の担い手。
どの分野でも、支える側の人数が減りながら支えられる側が増えるという同じ構図に突き当たります。県全体との差を考えれば、津島市は愛知県がこれから迎える状態を先に経験している市だといえます。
たとえば面接では、この数字を次のような形で受け止めて示せます。
市域25.09km²、接しているのは3つの自治体だけという輪郭も押さえておきましょう。役所から市の端まで車ですぐという距離感で、地域へ出ていく仕事の組み立てがしやすい規模です。
津島市の経済・産業
海部地域という枠組み
津島市の経済は、市単体で語るより、市が属する海部地域の枠組みで見たほうが輪郭がはっきりします。
- 海部地域は津島市・愛西市・弥富市・あま市・大治町・蟹江町・飛島村の4市2町1村からなり、総面積208.63km²、総人口317,018人、総世帯数135,899世帯(令和8年2月1日現在)。
- 大部分が木曽川のデルタ地帯に属する沖積地と、その周辺を干拓した土地で、海抜ゼロメートル地帯が全域に広がる。
- 昭和36年頃から地盤沈下が進行し、累積の沈下量は150センチメートルに達した。
- 金魚の養殖は江戸末期からの歴史をもち、この地域は一大生産・流通拠点となっている。
つまり、水を制御することによって成り立ってきた土地の上に、まちと産業が乗っているという構造です。産業振興や都市計画を語るときも、土地の条件を抜きにした話にはなりません。(出典:海部地域の地域概要|令和8年2月1日現在)
尾張津島天王祭という資産
ユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」は全国33件で構成され、そのうち愛知県内は5件。津島市に関わるのが尾張津島天王祭の車楽舟行事(津島市・愛西市/昭和55年国指定)です。
平成28年12月1日にユネスコの代表一覧表への記載が決定しました。祭りは観光資源であると同時に、地域のつながりを保ってきた仕組みでもあります。
観光や文化を志望するなら、「有名な祭りがある」で終わらせず、それを担ってきた人たちと市がどう関わるのかまで踏み込みましょう。(出典:山・鉾・屋台行事のユネスコ無形文化遺産記載(文化庁)|平成28年)
名古屋圏の一角としての位置
津島市が接しているのは愛西市・あま市・海部郡蟹江町の3自治体だけですが、地域全体としては名古屋圏の西側に組み込まれています。市内で働く人も、名古屋方面へ通勤する人もいる。
市の仕事としては、住むための環境を整えることと、地域に残る産業や祭りを支えることを、同時に進める形になります。暮らしの場と、受け継がれてきたものの両方を受け持つのが、この規模の市役所の役割です。
津島市の主な行政課題
ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、津島市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
県平均を大きく超える高齢化
65歳以上30.1%、75歳以上18.5%という数字は、愛知県全体をそれぞれ4.6ポイント、3.3ポイント上回ります。県の側でも、系列の異なる愛知県人口動向調査の年報(令和7年)が高齢化率25.9%・年少人口の割合11.9%を示しており、高齢化と少子化は同時に進んでいます。
県が向かう先を、津島市は一足早く歩いていることになります。
介護の担い手、地域での見守り、通院や買い物の移動手段。いずれも人を確保するのに時間がかかる分野で、制度をつくれば解決する類の課題ではありません。(出典:愛知県人口動向調査 年報|令和7年)
県全体の人口が減少へ転じたこと
愛知県の人口は令和7年国勢調査の結果速報で744万9403人。全国第4位を保ちながら、前回調査から1.2%減と、1950年以降の国勢調査では初の減少に転じました。
県の人口動向調査の年報でも推計人口は6年連続の減少、自然減は9年連続です。2万9429人の県外からの転入超過をもってしても、自然減を埋め切れていません。
県全体が減り始めた中で、すでに高齢化の進んだ市がどう暮らしを維持するかという問いになります。(出典:令和7年国勢調査結果速報(愛知県)|令和7年)
伊勢湾台風の記憶と、海抜ゼロメートル地帯
昭和34年9月26日の伊勢湾台風(台風第15号)で、愛知県では死者3,168人、行方不明92人、負傷者59,045人という被害が出ました。住家の被害は全壊23,334戸、半壊97,049戸、流失3,194戸、床上浸水53,560戸、床下浸水62,831戸。
名古屋港では26日21時35分に潮位3.89メートルの記録的な高潮が発生しています。津島市を含む海部地域は、干拓によってつくられた海抜ゼロメートル地帯であり、地盤沈下も重なってきた土地です。
防災を志望するなら、この災害が地域の備えの出発点になっていることを踏まえて話しましょう。(出典:伊勢湾台風の愛知県被害(名古屋地方気象台 気象災害の記録)|昭和34年)
南海トラフ地震と液状化への備え
愛知県は2026年6月、南海トラフ地震の被害予測調査を公表しました。過去地震最大モデル(マグニチュード8.9程度)では、県内の死者数が早期避難率の低い場合で最大約5,300人、早期避難率が高く呼びかけがある場合で約2,900人。
建物の全壊・焼失は計約92,000棟、直接的経済被害額は約19.4兆円、上水道の断水人口は直後で最大約698万人と見込まれています。理論上最大モデルにおける液状化の危険度は、濃尾平野を中心に極めて高いとされます。
高齢化率30.1%という市で、自力での避難が難しい方をどう支えるかは、机上の議論では終わりません。(出典:愛知県南海トラフ地震被害予測調査|2026年6月公表)
受け継がれてきたものを、誰が担うのか
昭和55年に国の指定を受け、平成28年にユネスコ無形文化遺産へ記載が決まった行事を、人口5万9千人・高齢化率30.1%のまちで続けていく。この2つの事実を並べると、文化の継承が観光の話ではなく人の話であることが見えてきます。
祭りに限らず、自治会、消防団、地域の見守りといった仕組みは、担い手の年齢構成が変われば運び方も変えざるを得ません。市が何を残し、何を形を変えて続けるのかという判断は、これからの市政の中心にある論点です。
津島市の重点政策|「魅力マシマシ」が指しているもの
津島市の公式サイトには、総合計画をはじめ、防災・福祉・まちづくりの計画が分野ごとに置かれています。受験の前に、関心のある分野のものを一つ選んで目を通しておくとよいでしょう。ここでは、市が採用の場で使っている言葉から、市政がどこへ向かおうとしているのかを読み取っていきます。
市が採用の場で掲げている言葉
津島市の職員採用試験は「『魅力マシマシ津島市』職員採用候補者試験」という名称で行われています。募集ページのメッセージは「『魅力マシマシ津島市』職員採用候補者を募集します。あなたの熱意と行動力を活かすことができる職場です。魅力ある津島市を一緒に創っていきましょう!」というものです。
かたい行政文書の言葉づかいではありません。市の側が、まず来てもらうことから始めようとしていることが伝わってきます。
通年募集の設計から読めること
令和8年度の通年募集で採られているのは、一般事務職(デジタル)と技術職(土木・建築・水道)の2区分です。一般事務職(デジタル)はICT関連業務の経験が通算5年以上、技術職は建設コンサルタント業務や設計業務の経験が通算8年以上という要件が付いています。
一般事務職(デジタル)の職務内容は「主に、ICTを活用した施策の企画・提案、業務の効率化・システムの最適化の推進などの業務に従事しますが、他の行政事務も行います。」とされています。
採用予定日をTERM1(令和8年10月)からTERM4(令和9年7月)まで4期に分け、年4回受け付けるという運び方も含めて、必要な人材を必要な時期に迎えたいという意図が読み取れます。デジタルの分野に定員の一部を割いていること自体が、市の優先順位の表明だと考えてよいでしょう。
県が人口をどう捉えているか
人口問題対策プラン(愛知県まち・ひと・しごと創生総合戦略2023-2027)は、県の人口のピークを2019年の約755万4千人と捉え、2021年10月からの1年間で名古屋市・中核市を含む43市町村が減少したと記しています。
そこから県は人口問題を「県全体に関わる重要な課題」と位置づけています。津島市の子育て支援や住まいの施策は、この認識の上に組み立てられます。(出典:愛知県まち・ひと・しごと創生総合戦略2023-2027|令和5年)
POINT|市の言葉を借りず、自分の観察で話す
キャッチコピーをそのまま返しても、面接では響きません。関心分野を一つか二つ選び、「①何が課題か → ②市はどんな状態を目指すか → ③現在の事業 → ④市だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験・強みをどう生かすか」の順で調べましょう。
悪い例「魅力ある津島市を一緒に創っていきたいです」
改善例「65歳以上の方が3割を超えている市だと知りました。手続きのために市役所まで来ていただくことが負担になる方も多いと思いますので、オンラインでできることを増やしつつ、それが難しい方には別の届け方を用意する。その両方を進める仕事に関わりたいです」
あわせて確認したい公式資料
津島市の資料は、市の公式サイトと採用ページに分かれています。網羅する必要はありません。下の4つのうち、自分の志望に近いものから読み始めてください。
- 津島市の職員採用のページ(募集要項と、直近の募集で実施された試験の構成)
- 津島市の総合計画と、志望分野に近い個別計画(子ども・福祉・都市計画など)
- 津島市のハザードマップと地域防災計画
- 愛知県まち・ひと・しごと創生総合戦略2023-2027(広域の前提を1回だけ押さえる用)
年度が替われば内容も変わります。受験の年に公開されている版を確認してください。
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、津島市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。津島市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
津島市役所の面接の概要
ここからは、津島市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
津島市役所の面接の流れ
令和8年度の津島市の採用は、「通年募集」「第1回」「第2回」という複数の枠に分かれています。ここでは、募集内容が公表されている通年募集と第2回について、どの枠で誰を採ろうとしているのかを整理します。
| 募集の枠 | 対象職種と受験資格(令和8年度) | 採用の時期 |
|---|---|---|
| 通年募集 | 一般事務職(デジタル)/技術職(土木・建築・水道)。いずれも若干名。一般事務職(デジタル)はICT関連業務の経験が通算5年以上、技術職は建設コンサルタント業務や設計業務の経験が通算8年以上が要件 | TERM1(令和8年10月)・TERM2(令和9年1月)・TERM3(令和9年4月)・TERM4(令和9年7月)の4期に分け、年4回受け付ける |
| 第2回 | 一般事務職(民間企業等職務経験者)5人程度/技術職(土木・建築・水道)3人程度/技術職(民間企業等職務経験者)/保育教諭4人程度/保健師1人程度 | 令和9年度採用予定 |
そのうえで、第1次試験の形に注目してください。第1次試験は動画選考と、テストセンターで受けるSCOA(性格検査・能力検査)の組み合わせで、会場に集まって一斉に筆記を解くという形ではありません。
動画選考の受験案内は応募者マイページ宛にメールで送られ、指示に従って受験します。
| 項目 | 内容(令和8年度) |
|---|---|
| 試験の名称・担当 | 「魅力マシマシ津島市」職員採用候補者試験。担当は総合政策部 人事課 |
| 通年募集の試験内容 | 第1次試験=動画選考とSCOA(性格検査・能力検査。受験者が選択するテストセンター会場)/第2次試験=個人面接(会場は津島市役所)の2段階 |
| 第2回の試験内容 | 第1次試験=動画選考とSCOA(性格検査・能力検査)/第2次試験=集団討論、個人面接(自己PR)、実技試験(保育教諭のみ)。会場は津島市役所 |
| 申込・連絡 | 電子申請のみ(「電子申請以外での申し込みはできません」)。試験案内や合否通知を含む一切の連絡は応募者マイページで行われるため、bsmrt.bizおよびcbt-s.comドメインからのメールを受信できる設定が必要 |
| 提出書類(通年募集) | 第2次試験時に持参・提出。①卒業証明書(原本)②成績証明書(原本)③業務に関連する資格免許の写し(任意)。「なお、提出書類は返却いたしません。」最終合格者のみ職務経験を証明する職歴証明書を提出 |
| 配点 | 各試験の配点と人物試験の比重は募集要項に記載がありません |
| 採用後 | 採用から6か月間は条件付採用となり、その期間に良好な成績で勤務した場合に正式採用となる |
もう一つ注目したいのが第2回の第2次試験です。集団討論と、自己PRを扱う個人面接が同じ段階に置かれています。
人と議論する場面と、自分を単独で説明する場面を、同じ日程の中で見る作りです。動画選考で一度、集団討論で一度、個人面接でもう一度。
話す姿を三通りの形で確かめられると考えて準備してください。(出典:「魅力マシマシ津島市」職員採用候補者試験(第2回)|令和8年度)
上記の試験構成は、津島市が令和8年度の通年募集および第2回について公表している募集要項等にもとづくものです。令和8年度第1回(一般枠)については、募集ページが第3次試験の結果発表に切り替わっており、第3次試験まで実施されたことが確認できます。第1回の試験構成や面接の回数は、津島市の職員採用のページで次の募集の案内をご確認ください。各試験の配点と人物試験の比重は、募集要項には記載がありません。試験の構成・日程・配点等は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。
津島市役所が求める人物像
津島市の職員採用のページと令和8年度の募集要項には、人材育成方針上の「求める職員像」にあたる定型の公表文言は置かれていません。
募集ページに掲げられた「あなたの熱意と行動力を活かすことができる職場です」という一文はキャッチコピーであり、職員像そのものとは分けて受け取る必要があります。ただ、市がどんな人に来てほしいと考えているかは、試験の作りのほうにかなりはっきり出ています。
ここからは、その作りを手がかりにした当研究会の整理です。通年募集で市が求めているのは、ICT関連業務の経験が通算5年以上、あるいは設計業務等の経験が通算8年以上という条件を満たす人でした。
第2回でも、一般事務職と技術職に民間企業等職務経験者の枠が置かれています。外から経験を持ち込んでほしい、という姿勢が数字で表れているといえます。
人口5万9千人、高齢化率30.1%の市役所では、一人が受け持つ制度の数が多くなります。案を考えた人が、そのまま市民に説明し、書類まで仕上げるという形になりがちです。
持ち込んだ経験を、そのままの形では使えないことも多いはずです。だからこそ、前例のない案件でも根拠を探し当て、関係先に当たりながら進められる人が働きやすくなるとみています。
市域25.09km²、接するのは3つの自治体だけという輪郭です。市民の3人に1人が65歳以上というまちでは、同じ方と何度も窓口で向き合う場面も出てきます。
一度の応対のしかたが、その後のやり取りのしやすさまで左右します。
そして津島市は、第2次試験のときに卒業証明書と成績証明書を原本で持参させ、返却しないと明記しています。最終合格者には職歴証明書の提出も求めます。
経歴を書類で確かめたうえで、面接では中身を聞くという段取りです。書類に残る事実と、その場面で自分が何をしたのかという説明。
この2つを食い違わせないことが、津島市の選考では最初の備えになると当研究会は考えています。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。津島市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 動画選考のとき、話しづらさはありませんでしたか? | すでに一度画面越しに見られている前提の入口。作り込んだ印象と、対面での素の様子が離れていないか |
| ② 動機・志望 | 名古屋圏には市が多くあります。その中で津島市を選んだ理由は何ですか? | 通勤圏の中から選ぶ理由が、待遇や近さだけで組み立てられていないか |
| ③ 自己理解 | 自己PRを1分程度でお願いします | 第2回の個人面接は自己PRを扱う設計です。時間の中で要点をそろえられるか |
| ④ 経験・行動 | これまでの仕事や活動で、やり方そのものを変えた経験はありますか? | 市がデジタルの枠を置いていることと重なる領域。改善の中身より、進めた手順 |
| ⑤ 学業・経歴 | 提出いただいた証明書の経歴について、詳しく教えてください | 卒業証明書や成績証明書を原本で提出させる市です。書類の記載と説明が重なるか |
| ⑥ 適性・将来 | 希望と違う分野を担当することになったら、どうしますか? | 採用区分の職務説明にも「他の行政事務も行います」とある市です。守備範囲の広さへの構え |
| ⑦ 公共性・社会性 | 高齢化が進む地域で、行政に何ができると思いますか? | 65歳以上30.1%という市の現状を、自分の言葉でどう受け止めているか |
ただ、この7つの枠組みはどこを受けても付いて回ります。同じ範囲を全員が準備してくる以上、ここでの差は小さくなりがちです。
津島市の面接で他の受験者と分かれるのは、次に挙げる問いのほうになります。
合否を分けるのは「津島市役所ならでは」の質問
第2回では集団討論と個人面接が同じ段階にありますから、議論の場で述べた考えを、その後の個人面接で自分の経験に引き寄せて説明し直すことになります。
知らなければ言葉が続かない問いですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。津島市について押さえておくとよい事実を、答え方と組にしてまとめました。
| 質問テーマ | 知っておきたい津島市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| なぜ県庁ではなく市役所か | 市域25.09km²、人口59,043人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。接しているのは愛西市・あま市・海部郡蟹江町の3自治体 | 県との役割の違いを制度論で述べるより、市内を回りきれる規模で自分が何をしたいのかを、具体の場面で語ります |
| 市の年齢構成 | 65歳以上30.1%、75歳以上18.5%で、愛知県全体の25.5%・15.2%をそれぞれ4.6ポイント、3.3ポイント上回る | 数字を挙げたあと、県全体がこれから向かう状態を先に経験している市だという読み方まで示します |
| 土地の成り立ちと防災 | 海部地域は木曽川のデルタ地帯の沖積地と干拓地で、海抜ゼロメートル地帯が全域に広がる。昭和36年頃からの地盤沈下は累積150センチメートル。伊勢湾台風では県内で死者3,168人 | 過去の災害を歴史として語るのではなく、今の備えがそこから始まっていることに接続します |
| 祭りと文化の継承 | 尾張津島天王祭の車楽舟行事は昭和55年に国指定、平成28年にユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」の一つとして記載決定(津島市・愛西市) | 観光の目玉として紹介するだけでなく、担い手の年齢構成が変わる中で市がどう関わるかまで一歩進めます |
| 市が力を入れている分野 | 通年募集で一般事務職(デジタル)を置き、ICT関連業務の経験が通算5年以上を要件としている。職務内容はICTを活用した施策の企画・提案、業務の効率化、システムの最適化の推進 | デジタルを志望しない場合でも、市が業務の進め方を変えようとしている前提を押さえると、話の解像度が上がります |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、募集の設計と市が採用の場で使っている言葉に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 画面越しでも伝わる話し方 | 動画選考での話の組み立て、表情、間の取り方 | 津島市は第1次試験に動画選考を置いています。一度撮って自分で見返し、聞き取りにくい箇所を削る作業まで済ませておく |
| 議論の場での進め方 | 集団討論で、他の人の意見を受けて自分の考えを足せるか | 第2回の第2次試験には集団討論があります。結論を出すことより、話を前へ運ぶ役割を担えるようにしておく |
| 経歴と説明の一致 | 提出した卒業証明書や成績証明書の記載と、口頭での説明が食い違わないか | 原本を提出させ、返却しないと明記している市です。年月と役割を正確に言えるよう、事前に書き出しておく |
| やり方を変える力 | 手順や道具を変えて、結果を良くした経験があるか | 市がデジタルの区分を置いていることと重なる観点です。規模の大小は問わず、変えた理由と周囲の反応まで話せるようにする |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。津島市は動画選考で先に一度話しているぶん、そこで触れた内容に立ち戻られる可能性もあります。
自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 津島市の職員採用のページで、自分が受けたい枠(通年募集か、回次のある募集か)と受験資格を確認する。連絡はすべて応募者マイページで行われるため、メールの受信設定も先に済ませる
- 動画選考を想定して、志望動機と自己PRを1分程度で話す練習をする。実際に撮って見返し、聞き取りにくい箇所を削る
- 卒業証明書や成績証明書に記載される経歴を書き出し、年月と自分の役割を正確に言えるようにする
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- この記事の第1部に戻り、志望分野に近い津島市の事実を2つか3つ選び、資料を見ずに口頭で説明してみる
- 固有質問の対応表から材料を取り、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」の一続きの話に編み、声に出して練習する
優先順位に注意
ステップ5と6の自治体研究は、上積みの工程です。時間が足りないときは、ステップ2の動画選考の練習と、ステップ3の経歴の整理を先に片づけてください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、津島市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
津島市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
津島市の選考は、画面に向かって話すところから始まります。会場に集まって筆記を解く試験ではなく、動画とテストセンター、そして市役所での面接という組み立てです。
話す姿を見られる機会が多いぶん、原稿を覚える準備より、聞かれ方が変わっても崩れない材料を持っておくことのほうが効いてきます。
市民の3人に1人が65歳以上というまちで、干拓してつくられた土地の上に暮らしが続いている。その現実の前に立って、自分は何をする人なのか。証明書に書かれた経歴の先を、自分の言葉で語れるようにしておいてください。