本記事では、松戸市職員採用試験の面接対策で必要な、松戸市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
松戸市役所の面接試験では、「なぜ松戸市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みを市政のどこで活かせるのか」といった質問が想定されます。松戸市の受験案内には、最終合格者は「原則全員が採用されます」という一文が置かれています。最終合格がそのまま採用に直結する試験だということです。
本記事の掲載内容を参考に、自分の経験と松戸市政の接点を整理し、面接での回答づくりに役立ててください。
第1部|自治体研究編
松戸市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは松戸市の全体像を押さえておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 隣り合う自治体が千葉県内にとどまらず、東京都と埼玉県にも及ぶ市である。接しているのは市川市、柏市、流山市、鎌ケ谷市と、東京都の江戸川区・葛飾区、埼玉県の三郷市の7自治体。
- 人口は501,850人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、面積は61.38km²、人口密度は8,176人/km²である。
- 市役所は〒271-8588 千葉県松戸市根本387番地5に置かれている(団体コード12207-6)。
- 市の花はツツジ、アジサイ、ノギクの3種、市の木はシイノキ、ユーカリ、サクラ、ナシの4種が定められている。
- 令和8年度(第1回)の【行政職上級】は、自己推薦採用(事務職)5名程度と事務職50名程度の2区分で、複数区分の申込みや申込み後の変更はできない。
- 試験は3段階で、第1次試験の中身は区分によって異なり、自己推薦採用(事務職)が択一式教養試験と作文、事務職が択一式教養試験と択一式専門試験である。第2次試験が集団面接、第3次試験が個人面接となる。
- 最終合格者は「原則全員が採用されます」と明記され、採用候補者名簿の登載期間は令和10年4月1日までとされている。
- 年度内に第1回・第2回と先行枠(技術職)が実施され、回次ごとに試験の構成が異なる。
松戸市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、統計値を細かく暗記する必要はありませんが、「松戸市がどんな位置にある市なのか」を説明できることは重要です。
ここでは、人口規模、市域の広さ、隣り合う自治体など、松戸市の輪郭がつかめる項目を並べました。どのくらいの規模なのかが伝わるよう、千葉県全体の数値も添えています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 501,850人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 総面積 | 61.38km² |
| 人口密度 | 8,176人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 高齢化率 | 25.7%(令和8年1月1日現在・住民基本台帳による集計) |
| 75歳以上の割合 | 15.7%(同上) |
| 接している自治体 | 市川市、柏市、流山市、鎌ケ谷市、東京都江戸川区、東京都葛飾区、埼玉県三郷市 |
| 市役所所在地 | 〒271-8588 千葉県松戸市根本387番地5 |
| 市の花・市の木 | ツツジ、アジサイ、ノギク・シイノキ、ユーカリ、サクラ、ナシ |
| (参考)千葉県の総人口 | 6,258,512人(令和7年10月1日現在・国勢調査速報値) |
| (参考)千葉県の面積 | 5,156.48km²(全国第28位) |
松戸市の人口・面積・接している自治体・市の花木は公表値をもとに整理したものです(人口は住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。高齢化率と75歳以上の割合は住民基本台帳に基づく令和8年1月1日現在の集計によります。市の統計の最新値は、松戸市公式サイトであわせてご確認ください。
数字から見える市政の論点
61.38km²に50万人あまり。人口密度8,176人/km²は、公表値をもとに当研究会が計算したところ、千葉県内37市のなかで4番目に高い水準にあたります。
千葉県は5,156.48km²の県土に625万8,512人ですから、県全体をならすと1km²あたりおよそ1,200人になり、松戸市はその7倍近い密度で人が暮らしている計算です。住民基本台帳に基づく集計では市の人口は501,850人で、県内では千葉市・船橋市に次ぐ3番目の規模になります。
年齢構成を見ると、住民基本台帳に基づく令和8年1月1日現在の集計で松戸市の高齢化率は25.7%、75歳以上の割合は15.7%。同じ集計による千葉県全体の27.6%・16.5%をいずれも下回ります(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)。
なお、この住民基本台帳による数値は、後段で触れる国勢調査をもとにした県の高齢化率とは調査そのものが異なるため、並べてそのまま比べることはできません。
面積と人口の落差から話を始めると、次のような答えになります。
松戸市の経済・産業
千葉県の産業構造のなかで
千葉県の産業は地域ごとに性格が分かれています。京葉臨海地域には石油精製・石油化学・鉄鋼などの素材産業がコンビナートを形成し、製造品出荷額等(従業者4人以上)は約15兆8,925億円で全国第6位(2023年経済構造実態調査)。
年間商品販売額は約13兆3,998億円で全国第9位(2022年同調査)です。県は、東葛地域にものづくりの中小企業やベンチャー企業、大学が集積すると説明しています(出典:千葉県の産業|経済構造実態調査ほか)。
松戸市の経済は、市単独の生産額を一本の数字で追うより、この市が置かれた位置から読み解くほうが実際的です。千葉県の産業の全体像を押さえたうえで、松戸市がその中でどこに立っているかを考えていきましょう。
都県境をまたぐ暮らしと仕事
松戸市が接する7つの自治体のうち、3つは千葉県の外にあります。東京都の江戸川区・葛飾区、そして埼玉県の三郷市です。日々の暮らしと仕事の圏域が、行政の境界とずれているということでもあります。
働く場所も、通う学校も、買い物をする場所も、市の外にあることが珍しくありません。この条件は、市の政策の考え方を左右します。
市内に雇用をつくるという発想だけでは足りず、市外へ通う人が暮らしやすい市であり続けるにはどうするかという発想が要ります。住むことを選んでもらえるかどうかが、この市の経済の土台になっているわけです。
産業や雇用に関心があるなら、市内の事業所の話に加えて、通勤や子育て、住環境といった暮らしの側から経済を語れるようにしておきましょう。
松戸市の主な行政課題
ここまでの数字と位置関係を踏まえると、松戸市が向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。
総人口が減りはじめた県のなかで
令和7年国勢調査の速報値によると、千葉県の総人口は6,258,512人で、前回(令和2年)から25,968人減りました。人口減少は大正9年の第1回調査以降で初めてです。
一方で世帯数は287万5,923世帯となり、10万2,083世帯増えています(出典:令和7年国勢調査 速報値|千葉県)。県は県内の人口動態に地域差があるとし、社会増のゾーンと社会減のゾーンに分けて整理しています。
県の推計では、高齢化率は2020年の27.6%から2055年に37.2%へ上がり、3.6人に一人だった高齢者の割合が2.7人に一人になると見込まれています。県人口も2060年には514万8千人まで下がる見通しです(出典:第3期千葉県地方創生総合戦略|人口の将来展望)。
松戸市の年齢構成は、住民基本台帳の集計では県全体より若い側にあります。ただし人口が減りはじめた県のなかで、住む人を選んでもらい続けられるかどうかは別の問題です。選ばれ続けるための条件を整えることが、この規模の市の中心的な仕事になります。
高い密度が生む都市基盤の負荷
1km²あたり8,176人という密度は、行政サービスを届ける距離が短いという利点をもたらします。その一方で、道路も、学校も、公園も、一つひとつが受け止める人数が多くなります。50万人規模の市を61.38km²の中で回すということは、施設を増やす余地が限られたまま需要に応えるということでもあります。
この条件のもとでは、新しく作るより、いまあるものをどう使い直すかという発想が効いてきます。都市計画や施設管理に関心があるなら、市の面積と人口の関係を押さえたうえで、既存の施設や空間の使い方に話を向けると、地に足のついた志望動機になります。
都県をまたぐ調整が日常に入ってくる
接する自治体のうち3つが千葉県外にあるという条件は、災害時の応援、交通、広域の医療といった場面で必ず表面化します。制度も窓口も違う相手と、住民から見て切れ目のないサービスをどう組み立てるか。境界の向こう側と話がつくかどうかが、市民の暮らしに直接跳ね返るのがこの市の環境です。
面接で広域連携に触れるなら、抽象的な「連携が大事です」で終わらせず、松戸市の場合は相手が別の都県にもいるという具体条件まで踏み込みましょう。
大規模地震への備え
千葉県の地震被害想定調査(令和8年5月26日公表)では、千葉県北西部直下地震(モーメントマグニチュード7.3・最大震度6強)で全壊・焼失建物が約76,000棟、死者が約2,400人、避難者は2週間後の時点で約87.2万人と想定されています。大正型関東地震(モーメントマグニチュード7.9の地震動・8.0の津波、最大震度7)では全壊・焼失建物が約33,800棟、死者が約920人と、被害の出方は想定する地震によって変わります(出典:千葉県地震被害想定調査|令和6・7年度)。
密度の高い市域では、避難所に人が集中しやすくなります。加えて松戸市の場合、都県境をまたいで人が動くため、発災の時間帯によって市内にいる人の数が大きく変わることも考えられます。
防災を志望分野にするなら、松戸市のハザードマップで自分に関わりのある地区の想定と避難先を確かめたうえで、こうした人の動きにも触れられるようにしておきましょう。
重点政策|「原則全員が採用されます」という考え方
松戸市の総合計画と最新の予算方針は、市公式サイトの最新版で必ず確認しておきましょう。ここで扱うのは、受験生の判断に直接関わる採用の考え方です。受験案内に書かれた一文が、この市の試験の性格をよく表しています。
名簿に載ることの意味
松戸市の受験案内は、最終合格者について「原則全員が採用されます」と明記しています。最終合格者は試験区分ごとに作成される採用候補者名簿に登載され、名簿の登載期間は令和10年4月1日まで。
名簿登載者は令和9年4月1日以降、欠員の状況に応じて順次採用されます。すでに学校等を卒業している人は、希望により令和8年10月1日付けなどの前倒し採用の対象になり、令和7年10月1日付けでは12名が採用された実績があります(出典:令和8年度(第1回)松戸市職員採用試験 受験案内|松戸市)。
自治体によっては、最終合格が名簿への登載を意味するだけで、採用は別途という説明をしているところもあります。松戸市はそこを踏み込んで書いているわけです。
受験する側にとっては安心材料ですが、市の側から見れば話は逆になります。合格を出した人はそのまま職員になるという前提で選ぶのですから、面接で見られる目は当然厳しくなります。
自己推薦採用という別の入口
令和8年度(第1回)の【行政職上級】には、事務職50名程度(符号B)とは別に、自己推薦採用(事務職)5名程度(符号A)が置かれています。この区分について、受験案内は【松戸市の求める人材】として「スポーツ・文化芸術・学術の分野において顕著な実績・成果を収めた人、学業・研究等において特に成績優秀な人で、その努力・実績・能力を松戸市の市政運営において十分に発揮できる人を求めています。」と示しています。
ここは読み違えやすいところです。この文言は自己推薦採用の募集概要に置かれたもので、事務職の一般枠を含む全体の人物像として公表されたものではありません。
一般枠を受ける人が、この一文を自分に向けられた人物像として志望動機に引用すると、出所を取り違えた説明になってしまいます。なお自己推薦採用では、申込時に実績等証明書類の提出が必要です。本人が参加したこと、内容や結果、大会名称等を証明する新聞や雑誌の記事、賞状などをPDFにして出す形になります。
働き方の見直しも進んでいる
勤務条件も確認しておきましょう。事務職の初任給は大学卒で261,360円(地域手当を含む・令和8年4月)。
勤務時間は原則として1週間につき38時間45分、1日につき7時間45分です。そのうえで、令和8年10月1日よりフレックスタイム制の導入が予定されています。制度を変えようとしている組織だという事実は、働き方や人材の話題が出たときに使える材料になります。
POINT|制度上の位置づけは自分で裏を取る
志望動機で権限や事務の範囲に触れたい場合は、その制度上の位置づけを松戸市の最新の公表資料で確認してから使ってください。人から聞いた話や他市の事例をそのまま当てはめると、面接で細部を問われたときに崩れます。裏の取れた事実だけで組み立てるほうが、結果的に強い志望動機になります。
悪い例「松戸市は大きな市なので、県から多くの権限が移されていて幅広い仕事ができると思い志望しました」
改善例「松戸市は東京都と埼玉県にも接していると知りました。私は大学が都内で、毎日市の外に出ていましたけれども、住んでいる場所で受けられるサービスがどれだけ大事かを実感しています。まずは窓口で市民の方の相談を受けるところから始めて、住み続けたいと思ってもらえる市にする仕事に関わりたいです」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
- 松戸市職員採用試験の受験案内(自分が受ける回次・区分の最新のもの)
- 松戸市公式サイトの職員採用のページ(回次ごとに情報の置き場所が分かれている)(参考:松戸市の職員採用情報)
- 松戸市公式サイトの市政情報・総合計画・最新の広報紙
- 松戸市のハザードマップ(自分に関わりのある地区の想定を知る材料として)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、松戸市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。松戸市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
松戸市役所の面接の概要
ここからは、松戸市役所の採用試験の構成と、面接で問われやすい質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析にもとづいて整理していきます。
筆記から集団面接、そして個人面接へ
令和8年度(第1回)の【行政職上級】は、第1次試験から第3次試験までの3段階です。区分は自己推薦採用(事務職)と事務職の2つで、第1次試験の中身が異なります。
| 区分(令和8年度 第1回・行政職上級) | 採用予定 | 第1次試験 | 第2次試験 | 第3次試験 |
|---|---|---|---|---|
| 自己推薦採用(事務職)(符号A) | 5名程度 | 択一式教養試験(言語、数理、論理、常識、英語)と作文 | 集団面接 | 個人面接 |
| 事務職(符号B) | 50名程度 | 択一式教養試験(午前)と択一式専門試験(午後) | 集団面接 | 個人面接 |
自己推薦採用の教養試験は「公務員試験対策不要」とされる方式が使われ、出題は言語、数理、論理、常識、英語です。これに対して事務職は、教養が「時事、社会・人文、自然に関する一般知識」と「文章理解、判断・数的推理、資料解釈に関する能力」、専門(行政)が憲法、行政法、民法、経済学、財政学、社会政策、政治学、行政学、国際関係。
拘束される時間も、自己推薦採用は正午過ぎまで、事務職は午後3時過ぎまでが予定時刻とされており、大きく違います。なお適性検査は会場では行われず、電子申請に登録したメールアドレスに届く案内をもとに、各自のパソコンやスマートフォンで指定期間内に受検する形です。
上記は令和8年度(第1回)松戸市職員採用試験の受験案内に基づく【行政職上級】の内容です。各試験の満点や人物試験の比重といった配点は、確認した受験案内に記載がなく公表されていません。松戸市は年度内に第1回・第2回と先行枠(技術職)を実施しており、回次ごとに試験の構成が異なります。受験の際は、必ず自分が受ける回次と区分の最新の受験案内をご確認ください。
順位と総合得点が開示される試験
松戸市の試験には、自分の位置を数字で確かめられる仕組みが用意されています。不合格者への試験結果の開示です。
第1次・第2次・第3次のいずれの段階でも、「順位及び総合得点」が開示の対象とされています。各結果通知の発送日から1か月間、受験票と本人を確認できる書類を持参して、本人が直接来庁する必要があります。電話やはがきによる請求、代理人による請求はできません。
ここから読み取れるのは、面接を含む各段階の評価が数値として積み上げられているという事実です。ただし、前の段階の得点を次の段階へ持ち越すかどうかについて、確認した松戸市の受験案内に記載はありません。
持ち越される前提でも、持ち越されない前提でも通用する準備、つまり各段階でそれぞれ実力を出し切る構えで臨むのが安全です。
集団面接と個人面接が別々の段階に置かれていることも押さえておきましょう。第2次試験の集団面接では、限られた時間を他の受験者と分け合いながら、自分の話を伝えることになります。
第3次試験の個人面接では一転して、一つの話題を深く掘られます。求められる話し方が段階ごとに切り替わるということです。
最終合格が採用に直結するということ
先に触れたとおり、松戸市の最終合格者は原則全員が採用されます。この一点は、面接の受け方にも影響します。合格した人がそのまま職場に来るのですから、面接官は「この人と一緒に働けるか」を判断していることになります。
言い換えれば、答えの巧みさより、日々の仕事の場面が想像できるかどうかが効いてくるということです。窓口で困っている人にどう向き合うか。
意見が食い違ったとき、どう言葉を選ぶか。そうした場面が浮かぶ話を用意しておきましょう。
松戸市役所が求める人物像
市が公表している人物像の文言は、第1部で見たとおり自己推薦採用(事務職)の募集概要に置かれたものです。事務職の一般枠を受ける人が、その文言をそのまま自分に当てはめて語るのは適切ではありません。手がかりになるのは、むしろ試験の組み立てのほうです。
第1次試験で基礎を確かめ、集団面接で他者との関わり方を見て、最後に個人面接で一人の人物として掘り下げていきます。第1次の中身は区分で分かれ、事務職は択一式の教養と専門で知識と処理力を確かめ、自己推薦採用は択一式の教養と作文で文章に表す力まで見ます。
受ける側から見れば、自分の区分で問われる筆記の力と、集団での立ち居振る舞いと、一対一で深く語る力が、この順番で試されていくということです。
市の公表資料から言えるのはここまでです。一般に、50万人規模で都県境に接する市役所では、市の判断だけでは片づかない案件が一定の割合で出てきます。
相手の側にも別の自治体や関係機関の事情があるからです。そのため、手続を正確に処理する力に加えて、話がまとまるまで粘り強く働きかけられる人かどうかが、面接でも問われやすくなります。
松戸市の場合、最終合格が採用に直結する仕組みであることを踏まえると、短期的な成果よりも、長く働き続けられる人かどうかという目で見られていると考えておくとよいでしょう。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。松戸市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | ここまでの試験を受けてみて、いかがでしたか | 直前の出来事を自分の言葉で振り返れるかどうか |
| ② 動機・志望 | 東京都や近隣の市も受けていますか | 選択肢が多い立地で、選ぶ理由を持っているか |
| ③ 自己理解 | 注意を受けたとき、あなたはどう受け止めますか | 他人の言葉を受け止めて行動を変えられるか |
| ④ 経験・行動 | 周りが動かないとき、あなたはどうしましたか | 受け身で終わらずに働きかけた事実があるか |
| ⑤ 学業・経歴 | 学んできたことを、市の仕事にどうつなげますか | 学びと仕事の間に自分で橋を架けられるか |
| ⑥ 適性・将来 | 市民から厳しい言葉を受けたら、どうしますか | 感情の起伏を抱えたまま職務を続けられるか |
| ⑦ 公共性・社会性 | 公務員が守るべきことは何だと思いますか | 公の立場をどう理解しているか |
ただし、この7カテゴリーは松戸市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「松戸市ならでは」の質問です。
合否を分けるのは「松戸市役所ならでは」の質問
都県境に近く、通勤先も進学先も選択肢が多い地域だからこそ、この2問は「なぜここに残るのか」という問いを含んでいます。住む場所として松戸市を語れる人ほど、答えに厚みが出る質問です。答えるための材料を、面接で使いやすいものに絞って整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい松戸市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| なぜ県庁ではなく市役所か | 市は市川市、柏市、流山市、鎌ケ谷市に加え、東京都江戸川区・葛飾区、埼玉県三郷市の合計7自治体と接している | 県と市の役割分担で終えず、東京都と埼玉県にも接するこの市で暮らしに直結する仕事をしたいという言い方にします。制度上の位置づけに触れたい場合は、松戸市の最新の公表資料で裏を取ってから使ってください |
| 松戸市の魅力と課題 | 人口501,850人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)に対し面積61.38km²。人口密度8,176人/km²は県内37市で4番目に高い水準 | 密度の高さを利点と負担の両面から述べ、施設を増やす余地が限られたなかで既存の資源をどう使い直すかという話へつなげます |
| 採用の考え方 | 受験案内は最終合格者について「原則全員が採用されます」と明記している | 安心材料として語るのではなく、合格を出せばそのまま同僚になる前提で見られていると理解したうえで、長く働く意思を具体的に述べます |
| 自己推薦採用との違い | 【行政職上級】は自己推薦採用(事務職)5名程度と事務職50名程度の2区分で、複数区分の申込みや変更はできない | 一般枠を受けるなら、自己推薦向けの人物像を借りずに、自分の区分で問われる基礎力と人物の両面から語ります |
| 防災 | 千葉県北西部直下地震(モーメントマグニチュード7.3・最大震度6強)の想定は、県全体で死者約2,400人、2週間後の避難者約87.2万人 | 県の想定に触れたうえで、密度の高い市域であることと、都県境をまたぐ人の動きによって市内にいる人の数が変わることまで踏み込みます |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。志望分野に近いテーマを1つか2つに絞り、事実から自分の問題意識、そして市職員として関わりたい仕事までを一息で話せる形にしておくことです。
想定される評価の観点
面接は、試験の設計が示す方向に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 集団の中で伝え切る力 | 第2次試験が集団面接として独立して置かれ、限られた時間を他の受験者と分け合う | 同じ内容を30秒版と1分版で言えるようにしておく。他の人の回答を聞いたうえで、重ならない切り口に寄せる練習をしておく |
| 一対一で深く語る力 | 第3次試験の個人面接が最後の関門で、そこで最終合格が決まる | 集団面接で話した内容を、より細かい場面まで掘り下げて語れるように準備しておく。話す出来事の数より、一つあたりの深さを増やす |
| 長く働き続ける構え | 最終合格者は原則全員が採用され、名簿登載期間中に順次採用される仕組みである | 働き方や配属についての希望を、現実的な言葉で述べられるようにしておく。市が令和8年10月1日よりフレックスタイム制の導入を予定していることも押さえておく |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。松戸市では第3次試験の個人面接が最終関門ですから、そこで掘られ切ると考えておきましょう。
自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを用意しておけば、その場で組み立て直す必要はありません。準備した中身を、そのまま面接の答えとして口に出せます。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 自分が受ける回次(第1回・第2回・先行枠)と区分を先に決め、最新の受験案内で段階と科目を確認する。申込み後の区分変更はできない
- 松戸市オンライン申請システムでの申込みに備え、顔写真データを用意する。この写真は面接試験の際の履歴書用として使われるため、使い回しの画像で済ませない
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る。集団面接向けに30秒で言い切る版も添える
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、東京都と埼玉県に接する立地と高い人口密度から、志望分野に近い事実を2つか3つ、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の材料を対応表から集め、事実から問題意識、市職員としてやりたい仕事までを一続きの話に編む
- 第1次試験の持ち物を確認する。松戸市はシャープペンシルを使用できないとしており、鉛筆(HB)、ボールペン、消しゴム、時計、上履き、下足袋などが必要になる
優先順位に注意
ステップ4と5の自治体研究は、他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ3の集団面接向けの短い答えづくりを先に済ませてください。松戸市は集団面接と個人面接が別の段階に分かれています。長く語る練習だけでは、先に来る集団面接で持ち時間を使い切ってしまいます。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、松戸市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
松戸市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
松戸市の試験は、自己推薦採用なら択一式の教養試験と作文、事務職なら択一式の教養試験と専門試験から始まり、集団面接を経て、個人面接で決まります。そして最終合格者は原則全員が採用されます。
合格の通知が、そのまま職場への切符になるということです。だからこそ、面接官は目の前の受験者を将来の同僚として見ています。
面積61.38平方キロメートルに50万人あまりが暮らし、東京都と埼玉県にも接する市。市の外へ通う人が多い場所で、それでも住み続けたいと思ってもらえる市であるために何ができるのか。
不合格になっても順位と総合得点を教えてくれる市ですから、通らなかったときも、次に向けた材料は必ず手元に残ります。まずは集団面接で伝え切る短い言葉と、個人面接で掘られても崩れない具体的な出来事を、それぞれ用意するところから始めてください。