本記事では、習志野市職員採用試験の面接対策で必要な、習志野市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
習志野市役所の面接試験では、「なぜ習志野市を志望したのか」、「市職員として何に取り組みたいのか」、「自分の強みをどこで発揮できるのか」といった質問が想定されます。この市の面接対策で特徴的なのは、手書きで作成した面接カードが、第二次試験と最終試験の両方の面接で使われることです。
一枚の紙が、二度の面接を貫きます。
本記事の掲載内容を参考に、自分の経験と習志野市政の接点を整理し、面接での回答づくりに役立ててください。
第1部|自治体研究編
習志野市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは習志野市の全体像を押さえておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 市は受験案内の中で自らを、面積は県内54市町村で4番目に小さいながら約17万5千人が生活する、人口密度が県内で3番目に高いコンパクトなまちと説明している。
- 昭和29年8月1日に、千葉県で16番目の市として誕生した。
- 人口は174,983人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、面積20.97km²、人口密度8,344人/km²。
- 隣接するのは千葉市、船橋市、八千代市の3団体。
- 昭和45年に制定した文教住宅都市憲章をまちづくりの基本理念とし、都市と自然が調和したまちづくりを目指している。市のキャッチフレーズは「多彩で豊かな交流が広がるまち 習志野」。
- 市は求める職員像として、「市民感覚」「経営感覚」「チャレンジ精神」を備えた職員を挙げている。
- 市の花はアジサイ、市の木はアカシア。市役所は鷺沼二丁目にある。
- 職員採用試験の受験案内の表紙には「公務員試験対策不要!」と明記され、第一次試験はSCOA基礎能力検査を軸に構成されている。
なお、習志野市内には「習志野市袖ケ浦」という地名がありますが、千葉県内の袖ケ浦市とは別の自治体です。また、市名の由来となった旧習志野原は船橋市域にもまたがります。地名を調べるときは混同しないようご注意ください。
習志野市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、統計値を細かく暗記する必要はありませんが、「習志野市の大体のスケール感」を押さえておくことは重要です。
ここでは、人口規模、市域の広さ、年齢構成に加え、市制の歩みと周囲との位置関係を並べました。県全体の数値は、市の値を照らし合わせるために添えています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 174,983人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 総面積 | 20.97km²(市の説明では県内54市町村で4番目に小さい) |
| 人口密度 | 8,344人/km²(上記の総人口と総面積から算出。市の説明では県内で3番目に高い) |
| 高齢化率(65歳以上) | 23.8%(41,567人/令和8年1月1日現在・住民基本台帳) |
| 75歳以上の割合 | 14.4%(25,113人/同上) |
| 市制施行 | 昭和29年8月1日(千葉県で16番目の市) |
| 隣接自治体 | 千葉市、船橋市、八千代市 |
| 市役所所在地 | 〒275-8601 千葉県習志野市鷺沼二丁目1番1号 |
| 市の花・市の木 | アジサイ・アカシア |
| (参考)千葉県の高齢化率 | 27.6%(75歳以上は16.5%/令和8年1月1日現在・住民基本台帳) |
| (参考)千葉県の総人口 | 6,258,512人(令和7年10月1日現在・国勢調査速報値) |
面積・隣接自治体・市の花木は公表値をもとに整理したものです。総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。高齢化率と75歳以上の割合も同じ集計によります。県内順位と「約17万5千人」という表現、市制施行の日付は、令和8年度習志野市職員採用試験受験案内の市長メッセージによります。千葉県の総人口は国勢調査の速報値で、調査の基礎が異なるため住民基本台帳による数値とは直接比較できません。最新値は習志野市公式サイトであわせてご確認ください。
「コンパクト」を市が自ら名乗る意味
注目したいのは、市が受験案内の中で自分の市を説明する言葉です。面積は県内54市町村で4番目の小ささです。
それでも約17万5千人が生活し、人口密度は県内で3番目の高さです。狭さを弱点としてではなく、コンパクトさとして語っているという点に、この市の自己認識が表れています。
コンパクトさとあわせて押さえたいのが、市民の年齢の内訳です。住民基本台帳をもとにした集計では、令和8年1月1日現在の習志野市の高齢化率は23.8%、75歳以上の割合は14.4%です。
同じ集計による千葉県全体は27.6%・16.5%ですから、市は県平均を3.8ポイント下回っています(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)。なお、この住民基本台帳による数値と、国勢調査をもとに算出される県の高齢化率は調査そのものが異なるため、並べてそのまま比べることはできません。
狭い市域に人が密に暮らし、年齢構成は県平均より若い。この条件は、行政サービスの届け方に直接効いてきます。移動の距離が短いということは、窓口も施設も市民にとって近いということです。
習志野市の経済・産業
文教住宅都市という選択
習志野市の性格を決めているのは、昭和45年に制定された文教住宅都市憲章です。市はこの憲章をまちづくりの基本理念とし、都市と自然が調和したまちづくりを目指してきました。
工業や商業の集積ではなく、学び暮らす場としての性格を早い時期に選び取った市だということです(出典:習志野市職員採用試験受験案内(令和9年4月採用・第1回)|令和8年度)。経済を語るときも、この前提を外すと市の姿からずれてしまいます。人が住み、学び、行き交うこと自体が、このまちの土台です。
千葉県の産業構造の中で
産業の話をするときは、県全体の構造も併せて押さえておくと説明が安定します。千葉県では京葉臨海地域に石油精製・石油化学・鉄鋼などの素材産業がコンビナートを形成しており、製造品出荷額等は約15兆8,925億円で全国第6位(2023年経済構造実態調査)。
年間商品販売額は約13兆3,998億円で全国第9位(2022年同調査)です。東葛地域にはものづくりの中小企業やベンチャー企業、大学が集積し、かずさ地域にはバイオテクノロジーや精密機械など先端技術産業が集積すると説明されています(出典:千葉県の産業|経済構造実態調査ほか)。
加えて農業産出額は4,029億円で全国第4位(令和5年)です。
この中で習志野市が持つのは、20.97km²という市域と、そこに集まる17万人余りの暮らしです。産業の話を求められたときは、大きな工場や特産品を探すより、人の集積そのものを市の資源として説明するほうが、この市の実態に近くなります。
隣接3市との関係
習志野市が接するのは、千葉市、船橋市、八千代市の3つです。県庁所在地であり県内最大の人口を持つ千葉市と、県内でも人口の多い船橋市に挟まれた位置にあります。
市域がコンパクトである以上、通勤や通学、買い物といった生活の動きは、市の境界をまたいで日常的に行き来します。行政サービスを考えるときにも、市内で完結しない前提を持っておくと、話に現実味が出ます。
習志野市の主な行政課題
ここまでの数字を踏まえると、習志野市が向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。
県全体の縮小の中で、住み続けてもらえるか
千葉県の将来人口推計では、2020年に628万4千人だった県の人口が年々減少し、2060年には514万8千人まで減ると見通されています。高齢化率は2020年の27.6%から2055年には37.2%へ上がり、3.6人に一人だった高齢者の割合が2.7人に一人になる見込みです(出典:第3期千葉県地方創生総合戦略|人口の将来展望)。
習志野市の高齢化率は現在23.8%で県平均を下回りますが、この差がそのまま続く保証はありません。文教住宅都市として選ばれ続けられるかどうかが、この市の根本的な課題です。住宅都市は、住む人に選ばれることで成り立つからです。
コンパクトな市域という制約
面積が県内54市町村で4番目に小さいということは、使える土地が限られるということでもあります。施設を新しく建てるにも、既存の施設を建て替えるにも、用地の選択肢は多くありません。
人口密度が県内で3番目に高い以上、一つの施設を利用する人の数も多くなります。限られた面積と施設を、どう使い回すかという判断が、日常業務の中に組み込まれている市だといえます。
大規模地震への備え
千葉県が令和8年5月26日に公表した地震被害想定調査は、複数の地震について被害を見積もっています。千葉県北西部直下地震(モーメントマグニチュード7.3・最大震度6強)では全壊・焼失建物が約76,000棟、死者が約2,400人、避難者が約87.2万人(2週間後)。
房総半島東方沖の地震(モーメントマグニチュード8.5・最大震度7)では全壊・焼失建物が約113,600棟、死者が約42,100人、避難者が約79.6万人と想定され、外房を中心に広く津波浸水するとされています(出典:千葉県地震被害想定調査|令和6・7年度)。想定する地震によって、被害の中身も広がり方も変わります。
人口密度の高い市では、避難所の収容や在宅での避難生活の支援が具体的な論点になります。防災に触れるなら、習志野市のハザードマップで自分の関わる地区の想定まで確かめておきましょう。
採用の入り口を広げながら人を集める
習志野市は、第一次試験をSCOA基礎能力検査を軸とした構成にし、受験案内の表紙に「公務員試験対策不要!」と明記しています。さらに、令和8年度は令和9年4月採用の第1回のほかに、第2回、令和8年10月採用、令和8年6月採用や障がい者採用など複数回の試験を実施しています。
採用試験のwebサイトも「一般採用」と「職務経験者採用」の2つに分かれています。受験する側の準備の負担を下げ、入り口を複数用意して人を集めようとしているということです。人材の確保は、この市でも現在進行形の課題です。
習志野市の重点政策|文教住宅都市憲章と採用の設計
習志野市の総合計画や最新の施政方針については、市公式サイトの最新版を必ず確認しておきましょう。ここでは、まちづくりの基本理念として掲げられている憲章と、採用試験の設計に表れている考え方を続けて見ていきます。どちらも、面接で何をどう語るかに直接効いてきます。
昭和45年制定の文教住宅都市憲章
習志野市は、昭和45年に制定した文教住宅都市憲章を、まちづくりの基本理念として掲げています。目指すのは、都市と自然が調和したまちづくりです。市のキャッチフレーズは「多彩で豊かな交流が広がるまち 習志野」とされています。
この2つを並べると、市が何を大事にしているかの輪郭が見えます。文教と住宅を軸に置きつつ、閉じた住宅地ではなく交流の広がりを掲げています。
志望動機を組み立てるときは、この2つの言葉のどちらかに、自分の経験を引きつけてみてください。学びの場に関わった経験でも、人と人をつないだ経験でも構いません。市の言葉と自分の経験が重なる一点が見つかれば、志望理由は具体的になります。
採用の設計に表れている市の姿勢
習志野市の受験案内を読むと、選考の進め方がかなり細かく書かれていることに気づきます。とくに次の4点は、面接の準備に直結します。
- 第一次試験はSCOA基礎能力検査
全職種でテストセンター方式により実施され、受験案内は「最終(最高)学校の学歴区分に応じた、実社会で求められる基礎的な知的能力・学力についての検査」と説明している。表紙には「公務員試験対策不要!」と明記されている - 面接カードは手書きで作成する
受験申込みの確認後、市からマイページへ面接カードのデータが送付され、第一次試験の合格発表後に提出する。「記入上の注意点」を確認のうえ必ず手書きで作成することとされている - 試験結果は不合格者にも提供される
第一次試験の不合格者には科目別得点、総合順位、合格に必要な最低点が、第二次試験と最終試験の不合格者には得点、総合順位、合格に必要な最低点が、合格発表日から1か月間提供される - 申込時の顔写真は面接で使われる
申込みは採用試験webサイトからのインターネット申込のみで、郵送や持込みによる受付は行われていない。申込時にアップロードした顔写真の画像は、面接試験で使用される
配点そのものは公表されていません。ただ、不合格であっても科目別の得点や合格に必要な最低点まで返ってくるという点は押さえておく価値があります。仮に届かなかったとしても、次に向けた材料が手元に残る仕組みだからです。
POINT|手書きの面接カードは「二度使われる紙」
習志野市の面接カードは、第二次試験と最終試験の面接で使用されます。つまり、書いた内容は二度にわたって面接官の手元に置かれるということです。作成のときに意識したいのは、盛らないこと。掘られて困る言葉を書かないのが原則です。手書きである以上、書き直しには時間がかかります。第一次試験の合格発表後に提出する流れですから、下書きを先に用意しておくと落ち着いて仕上げられます。
悪い例「リーダーとしてチームをまとめ、大幅な成果を上げました」
改善例「サークルの会計を2年間担当しました。前の年に会費の集金が遅れて困ったことがあったので、集める時期と方法を変えて、期限までにそろうようにしました」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
- 自分が受ける回次と職種の習志野市職員採用試験受験案内(最新のもの)
- 習志野市公式サイトの職員採用のページ(求める職員像が掲載されています)
- 習志野市公式サイトの市政情報(総合計画・予算・広報など、志望分野に近いもの)
- 習志野市のハザードマップ(自分の関わる地区の想定を知る材料として)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、習志野市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。習志野市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
習志野市役所の面接の概要
ここからは、習志野市役所の採用試験の構成と、面接で問われやすい質問、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析にもとづいて整理していきます。以下で扱うのは、令和8年度の令和9年4月採用・第1回の受験案内の内容です。
同じ年度でも第2回や令和8年10月採用などは別の受験案内によるため、試験構成や募集職種が異なります。
三段階の試験と、その中身
| 項目 | 内容(令和8年度・令和9年4月採用・第1回) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第一次試験・第二次試験・最終試験の3段階 |
| 第一次試験 | SCOA基礎能力検査(全職種・テストセンター方式)を軸に構成。受験案内の表紙には「公務員試験対策不要!」と明記されている |
| 第二次試験 | 適性(性格)検査、面接試験。適性(性格)検査はweb上で実施される |
| 最終試験 | 面接試験及び受験資格等の調査 |
| 職種別の追加科目 | 第二次試験で、保育士・幼稚園教諭に実技試験(ピアノ及び歌唱力等を予定)、消防職に基礎体力の測定(握力、上体起こし、長座体前屈、反復横とび、立ち幅とび、20mシャトルラン)が課される |
| 面接カード | 受験申込みの確認後にマイページへデータが送付され、第一次試験の合格発表後に提出。必ず手書きで作成し、第二次試験と最終試験の面接試験で使用される |
| 配点 | 受験案内に記載がなく、公表されていません |
| 面接の形式 | 個別面接か集団面接かは受験案内に明示されていません。集団討論の実施についても記載はありません |
| 採用予定者数 | 事務職20名程度、事務職(社会福祉)5名程度、土木技術職・建築技術職・電気技術職・機械技術職が各5名程度、保育士・幼稚園教諭17名程度、消防職10名程度、事務職(心理判定)・保健師・言語聴覚士が各若干名 |
第一次試験の科目の組み合わせは、職種によって異なります。
| 職種 | 第一次試験の科目 |
|---|---|
| 事務職、事務職(心理判定)、言語聴覚士 | SCOA基礎能力検査+SCOA事務能力検査 |
| 事務職(社会福祉)、土木技術職(ガス・水道含む)、建築技術職、電気技術職、機械技術職、保健師 | SCOA基礎能力検査+SCOA事務能力検査+専門試験(マークシート方式) |
| 保育士、幼稚園教諭 | SCOA基礎能力検査+専門試験 |
| 消防職 | SCOA基礎能力検査+消防適性検査 |
上記は令和8年度習志野市職員採用試験(令和9年4月採用・第1回)の受験案内および市公式サイトの実施案内にもとづく内容です(出典:習志野市職員採用試験の実施について|令和8年度)。試験の構成・日程・募集職種等は、年度や実施回によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身が受ける回次と職種の最新の試験情報をご確認ください。
配点が非公表の試験を、どう読むか
習志野市は各試験の配点を公表していません。また、第二次試験と最終試験の面接について、個別面接か集団面接かも受験案内には書かれていません。
この段階で形式を決めつけて練習を始めるのは危険です。分かっていないことを、分かっているつもりで準備しないこと。これが、この試験に向き合うときの最初の姿勢になります。
そのうえで、公表されている事実から読めることはあります。第一次試験はSCOA基礎能力検査を軸としており、市は表紙で「公務員試験対策不要!」と宣言しています。
筆記の負担を意図的に下げているということです。筆記で長く準備してきた人だけを選ぶ設計ではない以上、後段の人物評価が持つ意味は相対的に大きくなると考えられます。
もちろん配点が非公表である以上、これは断定ではなく読み筋です。ただ、準備の時間をどう配るかを決めるには十分な手がかりになります。
手書きの面接カードをどう書くか
この試験の準備で、最も具体的に手を動かせるのが面接カードです。流れを整理すると、受験申込みの確認後にマイページへデータが送付され、第一次試験の合格発表後に提出し、第二次試験と最終試験の面接で使用されます。作成は必ず手書きです。
ここから導ける準備は3つあります。第一に、下書きを先に作っておくこと。
第一次試験の合格発表後に一から考え始めると、手書きの清書まで含めて時間が足りません。第二に、書く内容を絞ること。
面接カードに書いた一行は、二度の面接で必ず掘られる前提で選ぶべきです。第三に、書いた言葉と話す言葉をそろえること。カードでは硬い表現を使い、面接では別の言い方をすると、聞いている側には食い違って聞こえます。
習志野市役所が求める職員像
習志野市は、求める職員像を明確に公表しています。「社会情勢の急激な変化や多様化、複雑化する市民ニーズに対して素早く的確に対応するため、「市民感覚」「経営感覚」「チャレンジ精神」を備えた職員を求めています」というのがその文言です(出典:習志野市が求める職員像|令和8年度)。
3つの言葉のうち、「経営感覚」が入っている点は見逃せません。市民の視点と挑戦する姿勢だけでなく、限られた資源をどう配分するかという感覚を職員に求めているということです。面積が県内で4番目に小さく、用地にも施設にも限りがある市であることを思い出すと、この言葉が抽象的な理念ではないことが分かります。
ここから先は公表文言ではなく、当研究会の編集的な見立てとして読んでください。20.97km²の市域に17万人余りが暮らす習志野市では、庁舎から現場までの距離が短く、市民の声が担当者に届くまでの経路も短くなります。
市が「経営感覚」を職員像に挙げているとおり、限られた用地と施設をどう配るかという判断も、遠い経営会議の話ではなく日々の担当業務の中にあります。こうした環境では、担当の枠を狭く構えず、現場で見たことを制度の側へ持ち帰れる人が働きやすいと考えられます。
志望先ごとに違う自分を用意する必要はありません。これまでの経験を、この市の仕事の場面に置き換えて語れば十分です。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。習志野市の二度の面接試験も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 面接カードは書きやすかったですか | 提出物について自然に会話ができるか |
| ② 動機・志望 | いくつかの市の中で習志野市を選んだ理由は何ですか | 比べたうえでの選択になっているか |
| ③ 自己理解 | 自分に足りないと感じている力は何ですか | 不足を認めたうえで補おうとしているか |
| ④ 経験・行動 | 限られた予算や時間の中で工夫した経験はありますか | 制約の中での判断の仕方 |
| ⑤ 学業・経歴 | 学んだことの中で、印象に残っているものを教えてください | 学びを自分の言葉で語り直せるか |
| ⑥ 適性・将来 | 10年後、どんな職員になっていたいですか | 長く働く前提での自己像を持っているか |
| ⑦ 公共性・社会性 | 住み続けたいまちに必要なものは何だと思いますか | 住宅都市の課題を自分の言葉で考えられるか |
ただし、この7カテゴリーは習志野市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「習志野市ならでは」の質問です。
合否を分けるのは「習志野市役所ならでは」の質問
どちらも、市を調べていなければその場で言葉が出てこない問いです。習志野市では面接が第二次試験と最終試験の二度あり、そのどちらでも同じ面接カードが使われます。
一度目に話した内容が、二度目にさらに掘られる前提で材料をそろえておく必要があります。以下では、答えるための「習志野市の事実」を面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい習志野市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 市の規模と自己認識 | 市は受験案内で、面積は県内54市町村で4番目に小さいながら約17万5千人が生活し、人口密度は県内で3番目に高いコンパクトなまちだと説明している | 市が自分をどう説明しているかを引用したうえで、そのコンパクトさが市民との距離にどう効くかまで自分の言葉で述べます |
| まちづくりの基本理念 | 昭和45年制定の文教住宅都市憲章に基づき、都市と自然が調和したまちづくりを目指す。キャッチフレーズは「多彩で豊かな交流が広がるまち 習志野」 | 憲章の名称を挙げるだけで終わらせず、文教と住宅を軸にしたまちで自分が何をしたいのかまで接続します |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 人口17万人規模の市で、市域はコンパクト。現場と庁舎の距離が近い | 県と市の権限の違いを説明するのではなく、住民の顔が見える距離で働きたい理由を、自分の経験から語ります |
| 求める職員像 | 「市民感覚」「経営感覚」「チャレンジ精神」を備えた職員を求めると公表。前段には「社会情勢の急激な変化や多様化、複雑化する市民ニーズに対して素早く的確に対応するため」とある | 3つを並べて唱えるのではなく、自分が最も当てはまるものを一つ選び、その根拠になる経験を添えます |
| 試験の設計 | 第一次試験はSCOA基礎能力検査が軸で、受験案内の表紙には「公務員試験対策不要!」と明記されている | 入り口を広げている市であることを踏まえ、筆記以外の部分で自分が何を準備してきたかを具体的に話します |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。志望分野に近いテーマを1つか2つに絞り、事実から自分の問題意識、そして市職員として関わりたい仕事までを一息で話せる形にしておくことです。
想定される評価の観点
面接は、市が公表する職員像に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 市民感覚 | 公表された職員像の1つ目。市民ニーズへ素早く的確に対応するという文脈で置かれている | 相手が何に困っているかを自分で確かめてから動いた場面を選ぶ。確かめた方法まで話せるようにしておく |
| 経営感覚 | 2つ目。用地にも施設にも限りがある市で、資源の配分をどう考えるかという観点 | お金や時間や人手が足りない状況で、優先順位をつけて動いた経験を用意する。何を後回しにしたかまで言えると強い |
| チャレンジ精神 | 3つ目。社会情勢の変化に対応するという前段と合わせて読むと、新しいやり方を試す姿勢が問われる | 結果が出なかった挑戦でもよいので、始めた理由と、途中で何を修正したかを順に話せるようにしておく |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。習志野市では面接の場が二度あり、同じ面接カードがその両方で使われます。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 自分が受ける回次と職種を確認する。同じ年度でも実施回によって試験構成や募集職種が異なる
- 第一次試験の科目の組み合わせを確認する。職種によってSCOA事務能力検査や専門試験、消防適性検査の有無が変わる
- 面接カードの下書きを、第一次試験の前に作っておく。提出は第一次試験の合格発表後で、清書は手書きになる
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る。第二次試験と最終試験の面接に共通する土台になる
- この記事の前半を読み返し、固有質問の対応表から志望分野に近い事実を2つか3つ選んで、自分の言葉で説明できるようにする
- 面接カードに書いた内容を声に出して説明し、掘られたときの答えを一行ずつ書き足していく
優先順位に注意
ステップ5の自治体研究は、他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ3の面接カードの下書きと、自分の経験の棚卸しを優先してください。二度の面接で使われる一枚を、締切に追われて書くことだけは避けたいところです。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、習志野市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
習志野市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
習志野市の採用試験は、筆記の入り口を「公務員試験対策不要!」まで広げたうえで、面接カードを手書きで書かせ、それを二度の面接で使います。配点は公表されていませんが、市が時間をかけて見ようとしているのがどこかは、この流れから読み取れます。
昭和45年の文教住宅都市憲章を掲げ、県内で4番目に小さい市域に約17万5千人が暮らすまちで、市は「市民感覚」「経営感覚」「チャレンジ精神」を備えた職員を求めています。自分の経験のどれが、この3つのどれに当たるのか。手書きの一枚に書ける言葉まで絞り込めたとき、面接の準備は半分終わっています。