本記事では、鎌ケ谷市職員採用試験の面接対策で必要な、鎌ケ谷市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
鎌ケ谷市役所の面接試験では、「なぜ鎌ケ谷市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みを市政のどこで活かせるのか」といった質問が想定されます。鎌ケ谷市の受験案内は、基準に達しない試験方法が一つでもあれば、総合得点や順位が上位であっても不合格になると明記しています。
得意な科目で穴を埋めることができない試験だということです。
本記事の掲載内容を参考に、自分の経験と鎌ケ谷市政の接点を整理し、面接での回答づくりに役立ててください。
第1部|自治体研究編
鎌ケ谷市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは鎌ケ谷市の全体像を押さえておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 人口は109,948人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、面積は21.08km²、人口密度は5,216人/km²である。
- 接しているのは柏市、白井市、松戸市、市川市、船橋市の5市で、周囲はすべて市に囲まれている。
- 住民基本台帳による令和8年1月1日現在の集計で、高齢化率は28.3%、75歳以上の割合は17.7%。県全体の同じ集計(27.6%・16.5%)をいずれも上回る。
- 市役所は〒273-0195 千葉県鎌ケ谷市新鎌ケ谷二丁目6番1号に置かれている(団体コード12224-6)。正式表記は「鎌ケ谷市」で、「ケ」は大文字である。
- 市の花はナシの花とキキョウ、市の木はモクセイである。
- 職員採用試験は第1次・第2次・第3次(最終)の3段階で、第2次・第3次はいずれも「口述試験」と位置づけられている。
- 基準に達しない試験方法が一つでもあれば不合格という判定方法が受験案内に明記されている。
- 令和7年度の一般行政職(上級)は、申込者数207名・第1次受験者数156名に対し採用者数9名、競争率23.0倍であった。
鎌ケ谷市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、統計値を細かく暗記する必要はありませんが、「鎌ケ谷市がどんな規模と年齢構成の市なのか」を語れることは重要です。
鎌ケ谷市は21.08km²という狭い市域に10万9千人が暮らす市ですから、まず面積と人口の関係を押さえておきましょう。表には、そこに年齢構成を重ねて読めるよう項目を並べました。千葉県全体の数値を同じ表に載せているのは、この密度と高齢化率が県の水準からどれだけ離れているかを見るためです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 109,948人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 総面積 | 21.08km² |
| 人口密度 | 5,216人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 高齢化率 | 28.3%(令和8年1月1日現在・住民基本台帳による集計) |
| 75歳以上の割合 | 17.7%(同上) |
| 接している自治体 | 柏市、白井市、松戸市、市川市、船橋市 |
| 市役所所在地 | 〒273-0195 千葉県鎌ケ谷市新鎌ケ谷二丁目6番1号 |
| 市の花・市の木 | ナシの花、キキョウ・モクセイ |
| (参考)千葉県の総人口 | 6,258,512人(令和7年10月1日現在・国勢調査速報値) |
| (参考)千葉県の面積 | 5,156.48km²(全国第28位) |
鎌ケ谷市の人口・面積・接している自治体・市の花木は公表値をもとに整理したものです(人口は住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。高齢化率と75歳以上の割合は住民基本台帳に基づく令和8年1月1日現在の集計によります。市の統計の最新値は、鎌ケ谷市公式サイトであわせてご確認ください。
数字から見える市政の論点
21.08km²という市域は、公表値をもとに当研究会が確かめたところ、千葉県内37市のなかで狭いほうから3番目にあたります。そこに10万9千人あまりが暮らし、人口密度は5,216人/km²。千葉県全体をならすと1km²あたりおよそ1,200人ですから、県の平均の4倍を超えます。
年齢構成も押さえておきましょう。住民基本台帳に基づく令和8年1月1日現在の集計で、鎌ケ谷市の高齢化率は28.3%、75歳以上の割合は17.7%。
同じ集計による千葉県全体の27.6%・16.5%を、いずれも上回っています(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)。なお、この住民基本台帳による数値は、後段で触れる国勢調査をもとにした県の高齢化率とは調査そのものが異なるため、並べてそのまま比べることはできません。
狭い市域、高い密度、そして県平均を上回る高齢化率。この3つが重なると、行政サービスの届け方に固有の形が生まれます。
距離は近いので訪問も相談も届きやすくなります。一方で、支援を必要とする人の割合は県の平均より大きくなっています。近さと高齢化という二つの条件は、面接で次のようにつなげられます。
鎌ケ谷市の経済・産業
千葉県の産業構造のなかで
千葉県の産業は地域ごとに性格が分かれています。京葉臨海地域には石油精製・石油化学・鉄鋼などの素材産業がコンビナートを形成し、製造品出荷額等は約15兆8,925億円で全国第6位(2023年経済構造実態調査)。
年間商品販売額は約13兆3,998億円で全国第9位(2022年同調査)です。県の農業産出額は4,029億円で全国第4位(令和5年)にのぼります(出典:千葉県の産業|経済構造実態調査ほか)。
鎌ケ谷市の場合、市の中で完結する産業を数え上げても、この市の経済はうまく説明できません。21.08km²という市の大きさと、周りをどんな市に囲まれているかのほうが、経済の姿を強く決めているからです。
5つの市に囲まれた21平方キロメートル
鎌ケ谷市が接しているのは、柏市、白井市、松戸市、市川市、船橋市の5市。町村と接する場所はありません。
しかも、そのうち船橋市と柏市は中核市です。規模の大きな市に囲まれた10万9千人の市という位置づけになります。
市域が21.08km²しかないということは、市民の日常が市の外へ広がりやすいということでもあります。買い物も、通勤も、専門的な医療も、隣の市に足を運ぶ場面が多くなるでしょう。
市の中に何でも揃えるという発想では立ち行かない規模だということです。だからこそ、この市に住み続ける理由をどう作るかが政策の中心になります。産業や賑わいの話をするなら、大きな施設を呼び込む発想ではなく、隣の市とは違う暮らしやすさをどう積み上げるかという方向で語るほうが、この市の実像に合います。
鎌ケ谷市の主な行政課題
ここまでの数字と位置関係を踏まえると、鎌ケ谷市が向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。
県平均を上回る高齢化のなかで
令和7年国勢調査の速報値によると、千葉県の総人口は6,258,512人で、前回(令和2年)から25,968人減りました。人口減少は大正9年の第1回調査以降で初めてです(出典:令和7年国勢調査 速報値|千葉県)。
県の推計では、高齢化率は2020年の27.6%から2055年に37.2%へ上がり、県人口も2060年には514万8千人まで下がる見通しです(出典:第3期千葉県地方創生総合戦略|人口の将来展望)。
住民基本台帳の集計で見ると、鎌ケ谷市はすでに県全体より高い高齢化率にあります。県の平均が将来こうなると語られている姿に、この市は先に近づいているということです。
志望動機で高齢化に触れるなら、県の推計を引くだけでは足りません。市がすでにその局面に入っているという前提から話を始めましょう。
限られた市域でサービスをどう組み立てるか
21.08km²という市域は、職員が現場へ向かう距離が短いという利点をもたらします。訪問も、立ち会いも、相談への同行も、移動時間が少なくて済みます。
一方で、新しい施設を建てる土地の余地は限られます。作って増やすより、あるものを組み替えて使うという判断が求められる場面が多くなるということです。
この条件は、職員の働き方にも表れます。人口10万9千人規模の市役所では、一人の職員が受け持つ分野が広くなりがちです。
専門を深く掘る働き方より、複数の分野をまたいで動く働き方に近くなります。志望動機を組み立てるときは、この規模感を踏まえておきましょう。
大規模地震への備え
千葉県の地震被害想定調査(令和8年5月26日公表)では、千葉県北西部直下地震(モーメントマグニチュード7.3・最大震度6強)で全壊・焼失建物が約76,000棟、死者が約2,400人、避難者は2週間後の時点で約87.2万人と想定されています。大正型関東地震(モーメントマグニチュード7.9の地震動・8.0の津波、最大震度7)では全壊・焼失建物が約33,800棟、死者が約920人と、被害の出方は想定する地震によって変わります(出典:千葉県地震被害想定調査|令和6・7年度)。
密度が高く、高齢者の割合も県平均を上回る市では、避難の場面で手助けを必要とする人が多くなります。避難所までの距離は短くても、たどり着けるかどうかは別の問題です。
防災を志望分野にするなら、鎌ケ谷市のハザードマップで自分に関わりのある地区の想定と避難先を確かめたうえで、誰が避難してくるのかまで考えておきましょう。
少ない採用枠に人が集まる
令和7年度の一般行政職(上級)は、申込者数207名、第1次受験者数156名に対して採用者数9名、競争率は23.0倍でした(出典:鎌ケ谷市職員採用試験の実施結果|鎌ケ谷市)。令和8年度第2回でも、採用予定人数は理学療法士1名、学芸員(上級)(考古学専攻)1名のほかは多くの区分が若干名です。
採用する側から見れば、一人あたりの重みが大きいということでもあります。数十人をまとめて採る市であれば、配属先で強みを活かす組み合わせを考える余地があります。
若干名の採用では、その一人がどこに入っても仕事を回せるかどうかが問われることになります。受験者の側からすると、これは志望動機の作り方に直結する話です。特定の部署を強く指定する語り方より、どこに配属されても自分の力が使える理由を示す語り方のほうが、この規模の市には届きます。
重点政策|採用の設計から読む市の考え方
鎌ケ谷市の総合計画と最新の予算方針は、市公式サイトの最新版で必ず確認しておきましょう。ここで扱うのは、受験生が直接読める資料である受験案内です。
どんな区分を設け、そこに何を書いているか。採用の設計には、市の考え方がはっきり表れます。
市の中から経験者を引き上げる区分
鎌ケ谷市には、一般行政職(会計年度任用職員経験者採用)という区分があります。受験資格は、本市の会計年度任用職員(令和2年3月31日までは臨時職員又は非常勤職員)としての職務経験が、平成18年4月1日から令和8年7月1日までの期間で5年以上ある方(正規職員を除く)とされています。
すでに市役所の仕事を知っている人に、正規職員への道を開くということです。この区分では第2次試験を実施せず、第3次試験を第2次試験(最終試験)として実施する扱いになっています。
給料月額(地域手当6%加算後)も264,152円と、新卒者向けの区分より高く設定されています。職務経験そのものを評価する仕組みが制度として置かれていることは、この市の人の育て方を示す一つの手がかりです。
「同様の職務となります」と書く姿勢
もう一つ目を引くのが、一般行政職(障がい者)の区分についての記載です。受験案内は「障がい特性に応じた合理的配慮を行う中で、一般行政職で採用となる職員と同様の職務となります。定型的な事務を職務とする職員採用試験ではありませんので、ご注意ください。」と明記しています。
配慮はする、しかし仕事の中身は同じ。あらかじめこう書いておくことは、受験する側にとっても入った後の見通しを立てやすくします。期待する働き方を先に伝えるという姿勢が、この一文には表れています。
専門職にも行政の基礎を求める設計
学芸員(上級)(考古学専攻)の採用試験を見ると、択一式専門試験の出題分野は「憲法、行政法、民法、経済学、財政学、社会政策、政治学、行政学、国際関係(40題)」です。考古学の専門知識ではなく、行政系の専門科目が出題されます(出典:令和8年度第2回 鎌ケ谷市職員採用試験 受験案内|鎌ケ谷市)。
専門職として採る場合でも、まず市の職員としての基礎を確かめます。そういう設計です。
専門性を志望動機の中心に置く人は、この点を踏まえておきましょう。専門の話だけで押し切るのではなく、市の職員として何をするのかという層まで用意しておく必要があります。
POINT|配属先を限定する語り方をしない
採用予定が若干名の区分では、どの部署に配属されるかを受験の段階で読むことはできません。特定の分野への強い希望だけを語ると、それ以外の仕事への構えがないと受け取られることがあります。関心のある分野は挙げつつ、その関心が別の分野でもどう活きるかまで話せるように準備してください。
悪い例「まちづくりの部署で働きたいので鎌ケ谷市を志望しました。それ以外の仕事はあまり考えていません」
改善例「まちづくりに関心がありますけれども、まずは窓口で市民の方と直接お話しするところから始めたいです。鎌ケ谷市は市域が狭くて高齢化率も県より高いと聞きましたので、どの部署でも高齢の方と接する場面は多いのではと思っています。そこで聞いた声を、後の仕事に活かしていきたいです」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
- 鎌ケ谷市職員採用試験の受験案内(自分が受ける回次・区分の最新のもの)
- 鎌ケ谷市公式サイトの職員採用のページと、過去の実施結果のページ
- 鎌ケ谷市公式サイトの市政情報・総合計画・最新の広報紙
- 鎌ケ谷市のハザードマップ(自分に関わりのある地区の想定を知る材料として)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、鎌ケ谷市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。鎌ケ谷市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
鎌ケ谷市役所の面接の概要
ここからは、鎌ケ谷市役所の採用試験の構成と、面接で問われやすい質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析にもとづいて整理していきます。
3段階のうち、2つが口述試験
鎌ケ谷市の採用試験は第1次試験・第2次試験・第3次試験(最終試験)の3段階です。特徴は、第2次試験と第3次試験がどちらも口述試験であるという点にあります。
受験案内は口述試験を「主として人柄、性向等についての面接による試験」と説明しています。令和8年度第2回を例にとると、第1次試験の内容は区分によって次のように分かれます。
| 区分(令和8年度 第2回) | 第1次試験の内容 |
|---|---|
| 一般行政職(初級)、一般行政職(初級・上級)(障がい者) | 択一式一般教養試験(2時間)、作文(1時間)、職場適応性検査(20分) |
| 土木職・建築職(初級) | 択一式一般教養試験(2時間)、択一式専門試験(1時間30分)、職場適応性検査(20分) |
| 土木職・建築職・学芸員(上級) | 択一式一般教養試験(2時間)、択一式専門試験(2時間)、職場適応性検査(20分) |
| 一般行政職(会計年度任用職員経験者採用)、理学療法士、土木職・建築職(民間企業等職務経験者採用) | 基礎能力(1時間・言語、数理、論理、常識、英語)、パーソナリティ(約20分) |
択一式一般教養試験は「時事、社会・人文、自然に関する一般知識を問う問題(20題)」と「文章理解、判断・数的推理、資料解釈に関する能力を問う問題(20題)」の計40題です。一方、会計年度任用職員経験者採用や民間企業等職務経験者採用などで使われる方式について、受験案内は「公務員試験対策が不要の試験です」としています。
同じ市の同じ回次でも、入口ごとに求められる準備がまったく違うということです。
上記は令和8年度第2回の鎌ケ谷市職員採用試験の受験案内に基づく内容です。各試験の満点や人物試験の比重といった配点は、確認した受験案内に記載がなく公表されていません。また令和8年度第2回では、一般行政職(上級)の一般枠、保育士、消防職は募集されていません。これらは別の回次で募集されるため、第2回の職種構成を年度全体のものとして受け取らないようご注意ください。受験の際は、必ず自分が受ける回次と区分の最新の受験案内をご確認ください。
一つでも基準に達しなければ不合格
この試験を理解するうえで、もっとも重要な一文がこれです。受験案内は合否判定について「各試験方法にはそれぞれ一定の基準があり、基準に達しない試験方法が一つでもある場合は、不合格となります(したがって、総合得点及び順位が上位であっても、不合格となります。)」と明記しています。
括弧の中まで書かれているところに注目してください。総合得点でも順位でも上位にいる人が、それでも不合格になり得ると、市は先に宣言しているわけです。
教養試験で高得点を取っても、作文や口述試験のどれかが基準を下回れば通りません。逆もまた同じです。得意な部分で不得意な部分を埋める戦い方が、この試験では成立しないということになります。
準備の考え方も、これに合わせる必要があります。得点を伸ばす発想ではなく、穴を残さない発想です。
作文を書いたことがないまま本番を迎えてはいけません。面接で沈黙してしまう場面を作らないようにしましょう。どの試験方法にも、最低限これだけはできるという状態を先に作ることが優先されます。
口述試験の形式は事前には分からない
もう一点、押さえておくべきことがあります。第2次試験・第3次試験の概要は、合格者にのみ通知されます。受験案内には「面接による試験」とだけ記載され、個別面接なのか、集団面接なのか、集団討論を含むのかといった形式の別は書かれていません。
つまり、形式が分からないまま準備を進めることになるということです。もっとも、これは不利な条件ではありません。
個別面接だけを想定して練習してきた人は集団の場で戸惑い、集団討論に慣れた人は一対一の深掘りに耐えられません。どちらの形式でも通用する準備をした人が、結果として強くなります。一人で語る練習と、他の人と話をつなぐ練習を、どちらも予定に入れておきましょう。
なお、第1次試験の持参物は、採用試験申込時の送信完了メール(受信した媒体または印刷したもの)、筆記用具(HBの鉛筆、消しゴム)、昼食とされています。面接カードやエントリーシートの提出は指定されていません。
申込はLoGoフォームによるインターネット申込のみで、申込みから6か月以内に撮影した顔写真のjpegファイル(脱帽、上半身、正面向きでマスクを外したもの。ファイル名は氏名)の添付が必要です。申込みは一人につき一つの試験区分に限られ、申込み後の区分変更や入力内容の修正はできません。
鎌ケ谷市役所が求める人物像
鎌ケ谷市の受験案内には、求める人物像にあたるまとまった記載がありません。表紙に「鎌ケ谷の未来を創る」というキャッチコピーが置かれていますが、これは募集全体への呼びかけであり、求める人物像として公表された文言ではありません。志望動機の中で、この言葉を市の人物像として引用するのは避けたほうが安全です。
手がかりになるのは、試験の組み立てのほうです。教養試験で基礎を確かめ、作文で考えを文章にする力を見て、そのうえで口述試験を2回置きます。
しかも、どれか一つでも基準を下回れば不合格になります。面接対策の言葉に翻訳すれば、突出した強みより弱点の少なさを見ようとしている設計だと読めます。
市が公表している範囲で確かめられるのは、ここまでです。ここから先は、同じくらいの規模の市役所に共通してみられる傾向として読んでください。
人口10万人台の市役所では、地域の中心として関係者をまとめる役回りと、住民一人ひとりに近い距離で幅広い実務をこなす役回りの両方が求められます。鎌ケ谷市の場合、21.08km²の市域を5つの市に囲まれ、高齢化率は県平均を上回る位置にあります。
そのため、専門を深く掘る力よりも、担当が変わっても仕事を回せる力や、目の前の住民の困りごとを最後まで引き受ける姿勢のほうが、面接では重く見られやすいでしょう。採用予定が若干名の区分が多いことも、この読み方を裏づけます。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。鎌ケ谷市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 緊張していますか | 取り繕わずに応じられるかどうか |
| ② 動機・志望 | 周りの大きな市ではなく鎌ケ谷市を選ぶ理由は何ですか | 規模の小さい市を選ぶ理由を言葉にできているか |
| ③ 自己理解 | 自分の苦手なことは何ですか | 弱点を隠さず、向き合い方まで語れるか |
| ④ 経験・行動 | 初めて任された役割で、どう動きましたか | 経験の浅い場面での立ち上がり方 |
| ⑤ 学業・経歴 | 学んだことで、仕事に直接つながりそうなことはありますか | 学びを実務に翻訳できるかどうか |
| ⑥ 適性・将来 | 幅広い仕事を任される職場をどう思いますか | 担当の変化を受け入れる構えがあるか |
| ⑦ 公共性・社会性 | 高齢化について、思うところはありますか | 市の現状と結び付けて考えられるか |
ただし、この7カテゴリーは鎌ケ谷市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「鎌ケ谷市ならでは」の質問です。
合否を分けるのは「鎌ケ谷市役所ならでは」の質問
大きな市に囲まれた立地だからこそ、この2問には「なぜここなのか」という含みが強く出ます。規模の小ささを選んだ理由を語れる人が抜けて見える質問です。答えるための材料を、面接で使いやすいものに絞って整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい鎌ケ谷市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| なぜ県庁ではなく市役所か | 市域は21.08km²で、柏市、白井市、松戸市、市川市、船橋市の5市に囲まれている | 県と市の役割分担で終えず、市域が狭く現場までの距離が近いという条件を挙げ、その近さで何をしたいのかまで言い切ります |
| 鎌ケ谷市の魅力と課題 | 住民基本台帳による高齢化率28.3%、75歳以上の割合17.7%は、いずれも県全体(27.6%・16.5%)を上回る | 高齢化を課題として挙げるだけでなく、市域の狭さが支援を届けやすくする条件でもあるという両面から語ります |
| 試験の判定方法 | 基準に達しない試験方法が一つでもあれば、総合得点や順位が上位でも不合格になると受験案内が明記している | 厳しさを嘆くのではなく、穴を作らない準備をどう進めたかという自分の取り組みとして語ります |
| 採用の規模 | 令和7年度の一般行政職(上級)は申込207名・第1次受験156名に対し採用9名、競争率23.0倍 | 少人数採用の職場では一人が受け持つ範囲が広くなることを踏まえ、配属先を限定しない語り方にします |
| 防災 | 房総半島東方沖の地震(モーメントマグニチュード8.5・最大震度7)では県全体の全壊・焼失建物が約113,600棟と想定され、被害の規模は地震の種類で大きく変わる | 県の想定に触れたうえで、高齢化率が県平均を上回る市では避難に手助けを要する人が多いという点まで踏み込みます |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。志望分野に近いテーマを1つか2つに絞り、事実から自分の問題意識、そして市職員として関わりたい仕事までを一息で話せる形にしておくことです。
想定される評価の観点
面接は、試験の設計が示す方向に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 穴のない受け答え | 基準に達しない試験方法が一つでもあれば不合格となる判定方法が採られている | 答えにくい質問こそ先に潰す。志望動機、短所、志望先の順位といった避けたい質問の答えを、先に用意しておく |
| どちらの形式にも対応できるか | 第2次・第3次の口述試験の形式は事前に公表されず、概要は合格者にのみ通知される | 一人で3分語る練習と、他の人の発言を受けて話す練習の両方を予定に入れる。どちらでも同じ内容を話せるようにしておく |
| 担当が変わっても働けるか | 採用予定が若干名の区分が多く、一人の職員が受け持つ範囲が広くなりやすい | 関心のある分野を一つ挙げたうえで、その関心が他の分野でどう活きるかを一言添えられるようにしておく |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。鎌ケ谷市では口述試験が2回置かれていますから、同じ話題を二度掘られる場面も想定しておきましょう。
二度目でも一度目と同じ密度で話せるかどうかは、細部まで自分の中に入った実体験に根ざした答えがあるかどうかで決まります。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 自分が受ける回次と区分を先に決め、最新の受験案内で第1次試験の内容を確認する。申込みは一人につき一区分で、後から変更や修正はできない
- 作文の練習を早い段階で始める。多くの区分で作文が第1次試験に含まれ、しかも基準に達しなければそこで不合格になる
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、市域の狭さと県平均を上回る高齢化率という2つの条件を、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の材料を対応表から集め、事実から問題意識、市職員としてやりたい仕事までを一続きの話に編む
- 個別面接と集団の場、どちらの形式でも同じ内容を話せるように練習する。第2次・第3次の形式は事前に公表されない
優先順位に注意
ステップ4と5の自治体研究は、他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の作文と、答えにくい質問への備えを先に済ませてください。鎌ケ谷市の判定では、一つの弱点が総合得点で救われることはありません。得意を伸ばすより、穴をなくすほうが先です。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、鎌ケ谷市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
鎌ケ谷市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
鎌ケ谷市の採用試験は、基準に達しない試験方法が一つでもあれば、総合得点や順位が上位でも不合格になります。市はそれを受験案内に括弧書きまで添えて先に伝えています。
得意で不得意を埋める戦い方ができない以上、準備の順番は自然に決まります。まず穴をなくします。
そのうえで伸ばします。面積21.08平方キロメートルという県内でも狭いほうの市域に10万9千人あまりが暮らし、高齢化率は千葉県全体を上回ります。
周りを囲む5つの市には、規模の大きな中核市も含まれます。その中で、この市を選ぶ理由は何か。
市域が狭いということは、現場までの距離が近いということでもあります。採用の枠が小さいということは、一人ひとりの仕事の幅が広いということでもあります。その条件を引き受けたうえで働きたいと言えるかどうかを、二度の口述試験で確かめられると考えて準備を進めてください。