本記事では、柏市職員採用試験の面接対策で必要な、柏市の特徴基礎データ行政課題重点政策面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

柏市役所の面接試験では、「なぜ柏市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みを市政のどこで活かせるのか」といった質問が想定されます。柏市は人材育成の基本方針のなかで、求める職員像と、それを見るために置いている試験手法を一つずつ結び付けて示しています。

何を見たいから、この試験があるのかが読み取れる市だということです。

本記事の掲載内容を参考に、自分の経験と柏市政の接点を整理し、面接での回答づくりに役立ててください。

第1部|自治体研究編

柏市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは柏市の全体像を押さえておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 平成20年4月に中核市へ移行し、同時に柏市保健所を開設した。前年の平成19年11月に中核市指定の閣議決定と政令公布があり、平成20年3月に千葉県知事と柏市長が「柏市の中核市移行に伴う引継書」に調印している。
  • 人口は439,514人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、面積は114.74km²、人口密度は3,831人/km²である。
  • 接しているのは松戸市、我孫子市、鎌ケ谷市、野田市、流山市、印西市、白井市と、茨城県の取手市・守谷市を加えた9自治体である。
  • 市役所は〒277-8505 千葉県柏市柏五丁目10番1号に置かれている(団体コード12217-3)。
  • 市の花はシバザクラ、カタクリ、ヒマワリ、市の木はカシワとシイである。
  • 人材育成・確保基本方針(令和8年4月改訂)が「求められる職員像」を4つ掲げ、それぞれに対応する試験の設計まで例示している。
  • 職員採用試験は春試験・夏試験・秋試験に分かれ、同じ「一般事務(上級)」でも区分によって試験科目と段階数が異なる

柏市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、統計値を細かく暗記する必要はありませんが、「柏市がどういう条件の市なのか」を数字で語れることは重要です。

柏市は44万人規模の中核市であり、しかも9つの自治体と境を接しています。表では、その人口と市域、年齢構成、そして接している相手を一度に見渡せるようにしました。

あわせて千葉県全体の数値も同じ表に入れてあります。市の数字だけを見ていても、それが大きいのか小さいのかは判断できないからです。

項目内容
総人口439,514人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
総面積114.74km²
人口密度3,831人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
高齢化率26.0%(令和8年1月1日現在・住民基本台帳による集計)
75歳以上の割合15.7%(同上)
接している自治体松戸市、我孫子市、鎌ケ谷市、野田市、流山市、印西市、白井市、茨城県取手市、茨城県守谷市
市役所所在地〒277-8505 千葉県柏市柏五丁目10番1号
市の花・市の木シバザクラ、カタクリ、ヒマワリ・カシワ、シイ
(参考)千葉県の総人口6,258,512人(令和7年10月1日現在・国勢調査速報値)
(参考)千葉県の面積5,156.48km²(全国第28位)

柏市の人口・面積・接している自治体・市の花木は公表値をもとに整理したものです(人口は住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。高齢化率と75歳以上の割合は住民基本台帳に基づく令和8年1月1日現在の集計によります。市の統計の最新値は、柏市公式サイトであわせてご確認ください。

数字から見える市政の論点

114.74km²という市域は、千葉県内37市のなかでは広いほうから14番目にあたります。そこに約44万人が暮らし、人口密度は3,831人/km²。

千葉県全体をならすと1km²あたりおよそ1,200人ですから、県の平均の3倍を超える一方、県内でより密度の高い市に比べれば、人が集まっている場所とそうでない場所の差が市の中にあることを示す数字でもあります。

年齢構成はどうでしょうか。住民基本台帳に基づく令和8年1月1日現在の集計で、柏市の高齢化率は26.0%、75歳以上の割合は15.7%。

同じ集計による千葉県全体の27.6%・16.5%をわずかに下回りますが、その差は1ポイント台にとどまります(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在。県より少し若い、という程度の位置です。

なお、この住民基本台帳による数値は、後段で触れる国勢調査をもとにした県の高齢化率とは調査そのものが異なるため、並べてそのまま比べることはできません。

県平均との密度の差を、面接ではこう言葉にできます。

「柏市は面積が110平方キロを超えていて、人口は44万人ほどだと聞きました。千葉県の平均で見ると人口密度は3倍以上ありますが、市の中でも場所によって人の集まり方はかなり違うのではと思っています。同じサービスを一律に広げるというより、地域ごとに必要なものを見極めていく仕事に関わりたいです」

柏市の経済・産業

千葉県の産業構造のなかの県北西部

千葉県の産業は地域ごとに性格が分かれています。京葉臨海地域には石油精製・石油化学・鉄鋼などの素材産業がコンビナートを形成し、製造品出荷額等は約15兆8,925億円で全国第6位(2023年経済構造実態調査)。

年間商品販売額は約13兆3,998億円で全国第9位(2022年同調査)です。県は、東葛地域にものづくりの中小企業やベンチャー企業、大学が集積すると説明しています(出典:千葉県の産業|経済構造実態調査ほか

柏市が置かれているのは、この県北西部です。市の経済を語るときは、市の中だけで完結する産業を一つ探し出すよりも、こうした県内の産業配置のなかで柏市がどの位置に立っているかを考えるほうが、話は前に進みます

9つの自治体と接する市という条件

柏市が接しているのは、県内7市と茨城県の取手市・守谷市を合わせた9つの自治体です。暮らしと仕事の範囲が、県境をまたいで市の外へ広がっているということでもあります。

買い物、通勤、通院、通学。どれをとっても、市の境界の内側だけでは完結しません。

この条件は、市の仕事の性格を決めます。道路も、公共交通も、災害時の応援も、隣の自治体との関係を抜きには成り立ちません。

しかも相手の一部は別の県にあります。県をまたぐ調整が日常業務のなかに入ってくるという点は、柏市を志望する理由を語るときに使える材料です。産業振興や都市計画に関心があるなら、市の中の施策を挙げるだけでなく、市境をまたぐ人の動きをどう受け止めるかという視点まで持っておきましょう。

柏市の主な行政課題

ここまでの数字と位置関係を踏まえると、柏市が向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。

総人口が減りはじめた県のなかで

令和7年国勢調査の速報値によると、千葉県の総人口は6,258,512人で、前回(令和2年)から25,968人減りました。人口減少は大正9年の第1回調査以降で初めてのことです。

県の推計では、高齢化率は2020年の27.6%から2055年には37.2%へ上がり、3.6人に一人だった高齢者の割合が2.7人に一人になると見込まれています。県人口も2060年には514万8千人まで下がる見通しです(出典:第3期千葉県地方創生総合戦略|人口の将来展望

柏市の年齢構成は、住民基本台帳の集計で見ると県全体よりわずかに若い程度です。県平均に近い位置にいる市は、県全体の動きがほぼそのまま自分の課題になります。志望動機で高齢化に触れるなら、県の推計を引くだけでなく、市の数字が県平均とほとんど変わらないという現在地まで押さえて話しましょう。

保健所を自前で持つということ

柏市は中核市への移行と同時に柏市保健所を開設しました。移譲された事務には、診療所・助産所の設置許可、感染症予防のための住民の隔離等の措置、飲食店・興行所・旅館・公衆浴場の営業等の許可、墓地・納骨堂・火葬場の経営の許可などが含まれます(出典:柏市の中核市移行|柏市

保健所を持つということは、健康や衛生に関わる判断を、県の窓口を経由せず市が下すということです。感染症が広がる局面でも、営業許可をめぐる相談でも、判断の主体が市にあります。

近い場所で決められる代わりに、決めた責任も市が引き受けるという構図です。福祉や保健に関心があるなら、この構図まで理解したうえで志望動機を組み立ててください。

大規模地震への備えと、境界を越える関係

千葉県の地震被害想定調査(令和8年5月26日公表)では、千葉県北西部直下地震(モーメントマグニチュード7.3・最大震度6強)で全壊・焼失建物が約76,000棟、死者が約2,400人、避難者は2週間後の時点で約87.2万人と想定されています。大正型関東地震(モーメントマグニチュード7.9の地震動・8.0の津波、最大震度7)では全壊・焼失建物が約33,800棟、死者が約920人と、被害の出方は想定する地震によって変わります(出典:千葉県地震被害想定調査|令和6・7年度

柏市の場合、この備えに9つの自治体との関係が重なります。避難も、物資も、道路の復旧も、市の境界で止まるものではありません

災害時に頼り合う相手のなかに、別の県の市が含まれているという点は、この市ならではの条件です。防災を志望分野にするなら、市のハザードマップで自分に関わりのある地区の想定を確かめたうえで、広域の関係にも触れられるようにしておきましょう。

職員を採り続けられるかという課題

柏市は同じ年度のなかで春試験・夏試験・秋試験を分けて実施しています。応募の集まり方には差があり、春試験の一般事務B(上級)は募集20人程度に対して応募302人だったのに対し、夏試験の一般事務A(上級)は募集15人程度に対して応募117人でした(出典:令和8年度 柏市職員採用試験 実施状況|柏市

試験の回数を増やし、区分を分け、科目の組み合わせを変える。柏市がそこまでしている背景には、必要な人数を必要な職種で確保しなければならないという現実があります

保育士は保育園等配属と児童相談所配属に分けて募集され、心理相談員と社会福祉士も独立した区分として置かれています。支援の中身が細かくなるほど、専門職を個別に採る必要が出てくるということです。

重点政策|柏市人材育成・確保基本方針

柏市の総合計画と最新の予算方針は、市公式サイトの最新版で必ず確認しておきましょう。ここで扱うのは、受験生にとってもっとも実利のある文書、すなわち市がどんな職員を求め、そのために試験をどう組み立てているかを書いた人材育成・確保基本方針です。

「求められる職員像」の4つ

柏市人材育成・確保基本方針(令和8年4月改訂)は、「求められる職員像」として4つを定めています。①チャレンジ精神にあふれ,改善・改革を推進する職員(現状に甘んじない積極的な姿勢)、②市民と対話できる職員(市民への情報発信・意見交換と,コミュニティー活動の推進)、③課題形成,政策の提案・実施ができる職員(時代のニーズに合わせた政策の提案と実施)、④全体の奉仕者としての意識を持った職員(常に公共の福祉のために活動する姿勢)の4つです。

職員像と試験の設計が結び付けられている

この方針が受験生にとって価値を持つのは、職員像を並べるだけで終わっていないからです。方針は、それぞれの職員像を見るためにどんな試験手法を置いているかを例示しています。

求められる職員像方針が例示する試験の設計
チャレンジ精神のある職員自己推薦枠の設置
市民と対話できる職員グループワーク試験の実施
課題形成,政策の提案・実施ができる職員集団討論試験の実施

上記は柏市人材育成・確保基本方針(令和8年4月改訂)が例示している対応関係です。4つ目の「全体の奉仕者としての意識を持った職員」については、同方針のこの例示のなかに対応する試験手法の記載はありません。実際に課される試験の内容は、受験する試験名・区分の受験案内でご確認ください。

言い換えれば、集団討論があるということは、政策を形にする力を見たいという宣言だということです。グループワークは対話の力を、自己推薦枠は自分から手を挙げる姿勢を確かめるために置かれています。

試験の形式を「そういう決まりだから」と受け取るのではなく、市が何を測ろうとしているのかを読み取ったうえで準備を組み立ててください。

併願する人・転職する人への構え

同じ方針は、民間企業との併願者にはSPI試験(Web)を、転職者には夜間や休日の面接試験やWeb面接を実施する方針も示しています(出典:柏市人材育成・確保基本方針|令和8年4月改訂公務員試験の勉強を積んだ層だけを待つのではなく、民間の選考と並行して受ける人、いま働いている人にも入口を用意するということです。

この点は志望動機にも効いてきます。併願していること自体を隠す必要はありません。市の側が併願を前提に制度を設計しているのですから、隠すよりも、そのうえでなぜ柏市を選ぶのかを説明するほうが筋が通ります。

POINT|方針の文言を暗唱しなくてよい

4つの職員像をそのまま読み上げても、面接官には響きません。大事なのは、4つのうち自分が一番近いものを一つ選び、その姿勢を裏づける具体的な出来事を語れることです。方針は自分の経験を選ぶためのふるいとして使ってください。

悪い例「柏市が求める職員像はチャレンジ精神にあふれ改善改革を推進する職員だと知り、私もそうありたいと考えて志望しました」

改善例「大学のゼミで、毎年同じやり方で続けていた発表の進め方を変えてみたことがあります。反対もありましたけれども、一度だけ試させてくださいとお願いして、結果として準備の時間が短くなりました。柏市は集団討論を試験に置いていると聞きましたので、そういう場でも自分の役割を果たせるように準備しています」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。

  • 柏市職員採用試験の受験案内(自分が受ける試験名・区分の最新のもの)
  • 柏市人材育成・確保基本方針(求められる職員像と試験の設計の対応を確認する)
  • 柏市公式サイトの市政情報と、中核市移行に関する説明のページ
  • 柏市のハザードマップ(自分に関わりのある地区の想定を知る材料として)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、柏市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。柏市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

柏市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

柏市役所の面接の概要

ここからは、柏市役所の採用試験の構成と、面接で問われやすい質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析にもとづいて整理していきます。

区分ごとに段階数も科目も変わる

柏市の試験でまず確認すべきは、自分が受ける区分が何段階なのかという点です。令和8年度の夏試験を例にとると、次のように分かれます。会場はいずれも柏市役所です。

区分(令和8年度 夏試験)採用予定第1次試験第2次試験第3次試験
一般事務(上級)A15人程度筆記試験(教養試験・専門試験)集団面接個人面接
一般事務(上級)【障害者対象】3人程度筆記試験(SPI3-U)Web面接個人面接
保育士(中級/保育園等配属)25人程度筆記試験(SPI3-H)個人面接(実技試験を含む)なし
保育士(中級/児童相談所配属)3人程度筆記試験(SPI3-H)個人面接(実技試験を含む)なし
心理相談員(上級)・社会福祉士(上級)各若干名筆記試験(SPI3-U)個人面接なし

一般事務(上級)Aの第1次試験は、教養試験(時事、社会・人文、自然に関する一般知識、文章理解、判断・数的数理、資料解釈)と専門試験(憲法、行政法、民法、経済学、財政学、社会政策、政治学、行政学、国際関係)の組み合わせです。一方で障害者対象や保育士、心理相談員、社会福祉士はSPI3で、公務員型の科目対策は前提になっていません。

同じ市の同じ夏試験でも、求められる準備は区分ごとに別物だということです。

上記は令和8年度(令和9年4月1日採用)柏市職員採用試験(夏試験)受験案内に基づく内容です。各試験の満点や人物試験の比重といった配点は、確認した受験案内に記載がなく公表されていません。柏市は春試験・夏試験・秋試験を分けて実施しており、同じ「一般事務(上級)」でも試験名によって区分と科目・段階数が異なります。受験の際は、必ず年度と試験名を特定したうえで最新の受験案内をご確認ください。

「前試験区分の点数を持ち越さない」という一文

柏市の受験案内は、合否の決め方について「各試験内容ごとに採点・順位付けを行い合格者を決定します。前試験区分の点数を持ち越さないリセット方式となります。」と書いています。この一文が、一般事務(上級)Aを受ける人にとってはとりわけ重い意味を持ちます。

教養試験と専門試験を突破するには相当な勉強量が要ります。しかし、そこで積み上げた点差は、第2次試験の集団面接には1点も残りません

筆記で上位に入った人も、ぎりぎりで通った人も、集団面接の場では同じ位置から始まります。筆記の準備に時間を使ってきた人ほど、この一文を読み落とさないでください(出典:令和8年度 柏市職員採用試験(夏試験)受験案内|柏市

実際の絞られ方も見ておきましょう。令和8年度の実施状況では、次のように推移しています。

区分募集応募1次合格2次合格3次合格最終合格
一般事務B(上級)【春試験】20人程度302人262人138人62人35人
一般事務【自己推薦】(上級)【春試験】5人程度12人12人8人6人4人
一般事務A(上級)【夏試験】15人程度117人40人20人調査時点で未掲載調査時点で未掲載
保育士(保育園)【夏試験】25人程度71人調査時点で未掲載調査時点で未掲載調査時点で未掲載26人

春試験の一般事務Bでは、応募302人のうち262人が第1次を通過しています。絞り込みは筆記ではなく、その先の面接の段階で行われていることが数字から読み取れます。最終試験合格者には補欠合格が含まれる点にも注意しておきましょう。

申込の前に用意するヒアリングシート

柏市の受験申込では、顔写真データ(6か月以内に撮影したもの)とあわせて、ヒアリングシート(指定様式)の準備が求められます。夏試験のページでは「面接ヒアリングシート(エクセル)」として様式が配布されています。申込は柏市の採用特設ページから行います。

これは実質的に、面接で何を聞かれるかの予告です。書いた内容がそのまま質問の起点になると考えて、記入する段階から「ここを掘られたら何と答えるか」を用意しておきましょう。締切間際に埋めるのではなく、経験の棚卸しを済ませてから書くほうが、後の面接がずっと楽になります。

柏市役所が求める人物像の見られ方

市が公表している「求められる職員像」は第1部で見たとおりです。面接対策の言葉に翻訳すれば、①は現状を変えようとした具体的な場面、②は考え方の異なる相手と対話を重ねた経験、③は課題を自分で見つけて手を打った経験、④は自分の得より公の利を選んだ判断、をそれぞれ一つずつ用意しておく、ということになります。

市の公表資料に示されているのはここまでです。一般に、保健所まで自前で持つ規模の市役所では、市民に加えて、事業者、医療機関、県、そして隣接する自治体という相手が日常的に登場します。

柏市の場合は接している自治体が9つあり、うち2市は茨城県に属します。そのため、決められた手順を守る力に加えて、立場も所属も違う相手と一つの結論に持っていける人が求められる場面は多くなります。集団討論やグループワークが試験に置かれているのは、その力を採用の段階で見ようとしているからだと読めます。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。柏市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日はよく眠れましたか張りつめた場面で肩の力を抜けるかどうか
② 動機・志望近隣の市も受けていますか。その中で柏市を選ぶ理由は何ですか似た条件の市が並ぶなかで、選択の根拠を持っているか
③ 自己理解自分の短所を、どう扱ってきましたか弱みを認めたうえで手を打っているかどうか
④ 経験・行動集団の中で、あなたはどんな役回りになることが多いですか集団討論やグループワークでの振る舞いの予測材料
⑤ 学業・経歴学生時代に一番苦労したことは何ですか苦労の中身と、そこでとった行動の具体性
⑥ 適性・将来10年後、どんな職員になっていたいですか長く働く前提と、成長の方向を描けているか
⑦ 公共性・社会性行政の情報発信について、思うところはありますか市民に伝える側の視点を持てるかどうか

ただし、この7カテゴリーは柏市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。

では、どこで差がつくのか。それが次の「柏市ならでは」の質問です。

合否を分けるのは「柏市役所ならでは」の質問

「なぜ千葉県庁ではなく、柏市役所なのですか」
「柏市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

近隣に条件の似た市がいくつも並ぶ地域だからこそ、この2問は答えにくいものになります。逆に言えば、柏市固有の事実を一つでも握っている人が抜けて見える質問でもあります。答えるための材料を、面接で使いやすいものに絞って整理しました。

質問テーマ知っておきたい柏市の事実答え方のヒント
なぜ県庁ではなく市役所か平成20年4月に中核市へ移行し、同時に柏市保健所を開設した県と市の役割分担で終えず、健康や衛生の判断を市が自分で下す立場になったことに触れ、その距離の近さで何をしたいのかまで言い切ります
柏市の魅力と課題接している自治体は県内7市と茨城県の取手市・守谷市を合わせて9つ。市域は114.74km²で県内37市のうち広いほうから14番目広さと接続の多さを挙げたうえで、市の中でも地域によって条件が違うという話に展開し、一律ではないサービスの必要性で締めます
試験の設計をどう受け止めたか人材育成・確保基本方針が、求める職員像と試験手法(自己推薦枠、グループワーク、集団討論)の対応を例示している方針の文言をなぞらず、集団討論が置かれている理由を自分の言葉で説明し、そこで発揮できる自分の役回りを述べます
専門職を分けて採る理由夏試験では保育士を保育園等配属と児童相談所配属に分け、心理相談員・社会福祉士も独立した区分として募集している職種の名前を並べるのではなく、支援の中身が細かくなるほど専門を分ける必要が出てくるという構造として語ります
防災千葉県地震被害想定調査の大正型関東地震(モーメントマグニチュード7.9の地震動・8.0の津波、最大震度7)では、県全体で全壊・焼失建物約33,800棟、死者約920人が想定されている県の想定に触れたうえで、応援を頼み合う相手に別の県の市が含まれるという柏市の位置まで踏み込みます

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。志望分野に近いテーマを1つか2つに絞り、事実から自分の問題意識、そして市職員として関わりたい仕事までを一息で話せる形にしておくことです。

想定される評価の観点

面接は、市が掲げる「求められる職員像」に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
集団の中で結論に近づける力方針は、課題形成と政策の提案・実施ができる職員を見るために集団討論を置くと例示している自分の案を通す練習ではなく、他の人の発言を要約して返す練習を積む。合意できる線をどこに引くかを言葉にできるようにしておく
書いたことを語り直せるか申込にあたってヒアリングシート(指定様式)を提出するため、記入内容が質問の起点になるシートに書いた出来事について、そのとき何を考えどう動いたかを口頭で2分話せるようにしておく。書いた表現と話す表現がずれないようにする
筆記の先で立て直せるか合否は前試験区分の点数を持ち越さないリセット方式で決まる教養と専門の勉強と、面接の練習を別の時間として確保する。筆記の手応えに関係なく次の段階へ切り替える段取りを決めておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。一般事務(上級)Aでは第3次試験の個人面接が最後の関門になりますから、そこで掘られ切ると考えておきましょう。

話の細部まで自分で説明できる実体験に根ざした答えを一つ用意しておけば、何度掘り下げられても受け答えは続きます。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 自分が受ける試験名(春試験・夏試験・秋試験)と区分を先に決め、最新の受験案内で段階数と科目を確認する。同じ一般事務(上級)でも中身が違う
  2. ヒアリングシート(指定様式)と顔写真データを早めに準備する。シートは面接の質問の起点になるため、埋める前に経験の棚卸しを済ませる
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、中核市としての保健所の話と9自治体との関係から、志望分野に近い事実を2つか3つ、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、事実から問題意識、市職員としてやりたい仕事までを一続きの話に編む
  6. 人材育成・確保基本方針の「求められる職員像」を読み直し、自分が一番近い1つを選んで、それを裏づける出来事を声に出して話してみる

優先順位に注意

ステップ4と5の自治体研究は、他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2のヒアリングシートの中身を固めることを最優先にしてください。柏市の面接は、自分で書いた紙の上から始まります。書いた出来事を語り直せない状態では、その先の質問に進む前に印象が決まってしまいます。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、柏市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

柏市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

柏市役所の想定問答集を見る

さいごに

柏市は、何を見たいからこの試験を置いているのかを、人材育成・確保基本方針のなかで自分から明かしています。対話の力を見たいからグループワークがあり、政策を形にする力を見たいから集団討論がある。

そして合否は、前の試験の点数を持ち越さないリセット方式で決まります。教養と専門をどれだけ積み上げても、その差は面接の席には持って行けません

市域は114.74平方キロメートル、接している自治体は県内7市と茨城県の2市を合わせて9つ。保健所を自前で持ち、健康や衛生の判断を市が下す立場にあります。

この条件のなかで、自分はどの職員像に一番近いのか。ヒアリングシートに書く一行を選ぶところから、面接はもう始まっています。書いた言葉と話す言葉がひとつになるまで、繰り返し声に出して確かめてください。