本記事では、いすみ市職員採用試験の面接対策で必要な、いすみ市の特徴基礎データ行政課題重点政策面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

いすみ市役所の面接試験では、「なぜいすみ市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みを市政のどこで活かせるのか」といった質問が想定されます。いすみ市の試験は第1次試験と第2次試験の2段階で、第2次試験は個別面接だけで構成されます。人物を見る場が一度きりに絞られている試験です。

本記事の掲載内容を参考に、自分の経験といすみ市政の接点を整理し、面接での回答づくりに役立ててください。

第1部|自治体研究編

いすみ市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずはいすみ市の全体像を押さえておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 人口34,110人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)・面積157.50km²・人口密度217人/km²の市である。
  • 隣接するのは勝浦市、長生郡の一宮町・睦沢町、夷隅郡の大多喜町・御宿町。市よりも町と多く接する位置にある。
  • 市名の正式な表記は平仮名の「いすみ市」である。一方、隣接する大多喜町・御宿町が属する郡名は漢字の「夷隅郡」であり、表記が使い分けられている。
  • 市役所は〒298-8501 いすみ市大原7400-1に置かれている(団体コード12238-6)。市の受験申込も、この大原庁舎の総務課が受け付ける。
  • 令和8年度(令和9年4月採用)の職員採用試験は、上級・初級・資格免許職の3本立てで、区分ごとの採用予定者数を合計すると28名程度となる。
  • その受験資格は生年月日だけで区切られ、学歴を問わない。上級等は平成10年4月2日から平成17年4月1日までに生まれた者、初級は平成17年4月2日から平成21年4月1日までに生まれた者とされている。
  • 千葉県全体の人口は令和7年国勢調査の速報値で6,258,512人となり、前回(令和2年)から25,968人減った。人口減少は大正9年の第1回調査以降はじめてである。

いすみ市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、統計値を細かく暗記する必要はありませんが、「いすみ市の大体のスケール感」を押さえておくことは重要です。

いすみ市の場合、人口の多さよりも市域の広さが先に効いてきます。そこで表は、人口と面積、そして周囲のどんな自治体と接しているかを軸に組みました。千葉県全体の数値も並べてありますので、県の平均との開き方を見てください。

項目内容
総人口34,110人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
総面積157.50km²
人口密度217人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接自治体勝浦市、長生郡一宮町、長生郡睦沢町、夷隅郡大多喜町、夷隅郡御宿町
市役所所在地〒298-8501 千葉県いすみ市大原7400-1
(参考)千葉県の総人口6,258,512人(令和7年10月1日現在・国勢調査速報値)
(参考)千葉県の面積5,156.48km²(全国第28位)
(参考)千葉県の高齢化率27.6%(2020年実績)/37.2%(2055年推計)

いすみ市の人口・面積・隣接自治体は公表値をもとに整理したものです。千葉県の数値は千葉県公式サイトの統計および計画資料によります。市の統計の最新値は、いすみ市公式サイトであわせてご確認ください。総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。

数字から読み取れる市政の論点

157.50km²の市域に34,110人という組み合わせが、いすみ市の性格をよく表しています。千葉県全体の面積は5,156.48km²、人口は625万8,512人ですから、県全体を平均した人口密度はおよそ1,200人/km²。

これに対していすみ市は217人/km²で、県全体の平均のおよそ6分の1という密度です。人が広く散らばって暮らしているということになります。

市域が広く密度が低いということは、道路も上下水道も公共施設も、少ない人数で長い距離を支えなければならないということです。窓口に来てもらうのを待つのではなく、こちらから出向く場面も増えます。

市が上級・初級・資格免許職を合わせて28名程度を募集し、そこに保健師や社会福祉士、主任介護支援専門員といった職種を並べているのも、この条件と無関係ではありません。面接では、次のように規模と仕事のかたちをつなげられます。

「いすみ市は面積が150平方キロを超えるのに対して、人口は3万人ほどと聞きました。千葉県の平均と比べると人口密度はかなり低く、人が広く散らばって暮らしているまちだと思います。だからこそ、窓口で待つだけでなく、こちらから地域に出ていく仕事が大事になるのではと感じています」

いすみ市の経済・産業

全国有数の一次産業県という土台

千葉県は太平洋に突き出た半島で、三方を海に囲まれています。地形は200メートルから300メートル級の山々が続く房総丘陵を除きほぼ平坦で、海岸線の長さは531キロメートルに及びます。

南房総沿岸は暖流である黒潮の影響を受けます(出典:千葉県のすがた|令和7年4月1日現在

この地形が支えているのが一次産業です。千葉県の農業産出額は4,029億円で全国第4位(令和5年)。品目別では野菜1,336億円(第4位)、米569億円(第9位)、鶏卵504億円は全国第1位です。

水産では、県内漁港の水揚金額が443億円で全国第6位(令和4年)、海面漁業漁獲量は79,158トンで全国第9位(令和5年)となっています(出典:千葉県の産業|経済構造実態調査ほか

いすみ市が上級・初級の両方に一般行政職(農業技術)という区分を置いていることは、この土台の上で市が何を大事にしているかを示しています。

広い市域と、暮らしの足

密度の低い市域では、移動そのものが暮らしの条件になります。千葉県の自動車保有車台数は3,750千台で全国第7位です(令和7年3月31日現在)。

県全体で見ても車への依存度が高い地域だといえます。人口が減り高齢化が進むほど、運転できる人と運転できない人の差が、そのまま買い物や通院のしやすさの差になっていきます。

いすみ市が募集職種に保健師・社会福祉士・精神保健福祉士・管理栄養士・主任介護支援専門員を並べているのは、この暮らしの足の問題と地続きです。産業や観光を志望分野に選ぶ場合でも、「人が来る」話だけで終わらせず、「そこで暮らす人がどう動いているか」まで視野に入れておくと、答えに現実味が出ます。

いすみ市の主な行政課題

ここまでの内容を踏まえると、いすみ市が向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の3つを押さえておきましょう。

人口減少の地域差と、担い手の確保

千葉県の人口は令和7年国勢調査の速報値で6,258,512人となり、大正9年の第1回調査以降はじめて減少しました(出典:令和7年国勢調査 速報値|千葉県。将来推計では、2020年に628万4千人であった人口が2060年には514万8千人まで減ると見込まれています。

県が重く見ているのは、総数の減少そのものより地域差です。県は県内を複数のゾーンに分けて人口動態を分析し、東葛・湾岸ゾーン、印旛ゾーン、内房ゾーンを社会増の地域、香取・東総ゾーン、九十九里ゾーン、南房総・外房ゾーンを社会減の地域としています。

そのうえで、社会減の地域では様々な分野の担い手不足の解消が必要だと課題を明示しています(出典:第3期千葉県地方創生総合戦略|人口の現状分析

担い手という言葉には、農業や漁業の後継者だけでなく、医療・福祉・消防・地域活動の担い手までが含まれます。市職員もまたその一つです。

県の見通しより先を行く高齢化

千葉県の高齢化率は2020年で27.6%、およそ3.6人に一人が高齢者という水準でした。これが2055年には37.2%、2.7人に一人が高齢者という水準まで上がる見込みです(出典:第3期千葉県地方創生総合戦略|人口の将来展望

出生数より死亡数が多い自然減に転じたのは2011年、社会増でも人口を支えきれなくなったのが2021年です。県の自然増そのものは1973年をピークに縮み続けてきました

密度が低く移動距離の長い市域で、この変化にどう向き合うか。いすみ市が資格免許職として保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員を同時に募集していることは、その答えの一端です。福祉分野を志望するなら、制度の名前ではなく「広い市域で、支援をどう届けるか」という角度から準備を進めてください。

ここで押さえておきたいのは、県が2055年に見込む水準を、いすみ市はすでに大きく超えているという事実です。住民基本台帳をもとにした集計では、令和8年1月1日現在のいすみ市の高齢化率は43.4%、75歳以上の割合は26.3%です。

同じ集計による千葉県全体は27.6%・16.5%ですから、市は県平均を15ポイント以上引き離しています(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在

なお、この住民基本台帳による数値は、前の段落で挙げた国勢調査をもとにした県の高齢化率とは調査そのものが異なるため、並べてそのまま比べることはできません。

市民の4割を超えるのが高齢者で、4人に1人以上が75歳以上。県が数十年先の課題として描いている姿が、いすみ市ではすでに日常です。

この前提を持っているかどうかで、志望動機の説得力は変わります。県の将来推計を引いて「これから備えるべきです」と述べる受験者と、市はすでにその段階にあると理解したうえで「いま困っている人に何を届けるか」を語る受験者とでは、面接官の受け取り方が違ってきます。

市が資格免許職を6種類も並べている理由も、この数字を見れば腑に落ちるはずです。

外房に広く及ぶ津波の想定

千葉県の地震被害想定調査(令和8年5月26日公表)では、房総半島東方沖の地震(モーメントマグニチュード8.5・最大震度7)で全壊・焼失建物が約113,600棟、死者が約42,100人、避難者が約79.6万人と想定され、外房を中心に広く津波浸水すると想定されています(出典:千葉県地震被害想定調査|令和6・7年度

同じ調査では、千葉県北西部直下地震(同7.3・最大震度6強)や大正型関東地震も想定されていますが、津波の広がり方はそれぞれ異なります。

防災について語るなら、県全体の数字を挙げるだけで止めないことです。市のハザードマップで自分の関わる地区の浸水想定と避難先を確かめ、そのうえで市が何をしていて、自分に何ができるかまで話せると、資料を自分で読んだことが伝わります。

いすみ市の重点政策|市が置く職種と千葉県の課題認識

いすみ市の総合計画の内容と最新の施政方針は、市公式サイトの最新版で必ず確認しておきましょう。この章で手がかりにするのは、市が自ら並べた募集職種の顔ぶれと、千葉県が示している課題認識です。3万人規模の市がどんな職種を置いているかを見れば、いすみ市の仕事の広がりが具体的に想像できます。

募集職種の並びが示していること

令和8年度(令和9年4月採用)の募集は3つの群に分かれています。上級は一般行政職3名程度、建築職2名程度、土木職2名程度、一般行政職(農業技術)1名程度、一般行政職(B&Gスポーツ指導員)1名程度。

初級は一般行政職4名程度、建築職2名程度、土木職2名程度、一般行政職(農業技術)1名程度。資格免許職は保育士3名程度、保健師2名程度、社会福祉士2名程度、精神保健福祉士1名程度、管理栄養士1名程度、主任介護支援専門員1名程度です。

人口3万人規模の市が、農業技術やスポーツ指導員まで区分を立て、福祉と保健の資格職を6種類並べている。ここから読み取れるのは、市の仕事が事務職だけで回るものではないという前提です。

事務職を志望する場合も、こうした専門職と組んで一つの事業を進めるのが日常になります。志望動機を組み立てるときは、自分ひとりで完結する話ではなく、誰とどう組んで進めたいのかまで考えておきましょう。

千葉県の課題認識との関係

千葉県は、1970年からの50年間で人口をおよそ2倍に伸ばした県です。しかしその増加はすでに止まり、県は社会増を自然減が上回る総人口減少時代に入ったと自ら認識しています。

そのうえで、県全体では社会増が続く一方で地域差が大きいことを課題に挙げ、社会減の地域における担い手不足の解消を求めています。

この課題認識は、いすみ市の現場にそのまま降りてきます。市の総合計画を読むときも、県が挙げるこうした論点に市がどの順番で答えようとしているかという目線で見ると、理解が早くなります。

いすみ市の採用情報をどこで見るか

いすみ市の職員採用に関する情報は、市公式サイトの職員採用のページで公表されます。この市で注意しておきたいのが、申込が電子申請ではないという点です。

提出するのは「申込書」「エントリーシート」「受験票」の3点で、用紙はいすみ市役所大原庁舎で配布されるほか、市ホームページからダウンロードできます。受付は大原庁舎総務課への持参または郵送です(出典:いすみ市職員採用試験受験案内|令和8年度(令和9年4月採用)

さらに重要なのが、資格免許職の第1次試験の中身です。資格免許職の第1次試験は、性格特性検査と書類審査だけで構成されます。

書類審査は「提出された書類に基づき、志望理由、自己PR、学生時代の活動経験、官公庁・民間企業等における職務経験等の内容について審査」するものと定義されています。つまり資格免許職を受ける人にとって、エントリーシートは事前準備の書類ではなく、選考そのものです。

POINT|エントリーシートを「面接の下書き」で終わらせない

いすみ市は申込の時点でエントリーシートを提出します。書いた内容は面接官の手元に残り、質問はそこから出発します。提出前に必ず控えを取り、書いた一つひとつについて「なぜそう書いたのか」「その場面で具体的に何をしたのか」を口で説明できる状態にしてください。

悪い例「自然が豊かないすみ市で、地域の活性化に貢献したいと考えています」

改善例「まずは窓口の仕事で、市民の方の困りごとを直接うかがうところから始めたいです。その上で、いすみ市は広い市域に3万人ほどが暮らすまちですので、こちらから地域に出向いて、高齢の方が移動や買い物に困らない仕組みづくりに関わっていきたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。

  • いすみ市職員採用試験の受験案内(自分が受ける区分・職種の最新のもの)
  • いすみ市公式サイトの市政情報・総合計画・最新の広報紙
  • いすみ市のハザードマップ(自分の関わる地区の想定を知る材料として)
  • 第3期千葉県地方創生総合戦略、千葉県の統計資料(市政の背景を知る参考として)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、いすみ市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。いすみ市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

いすみ市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

いすみ市役所の面接の概要

ここからは、いすみ市役所の採用試験の構成と、面接で問われやすい質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析にもとづいて整理していきます。

受ける職種で第1次試験の中身が入れ替わる

いすみ市の試験でまず押さえるべきは、受ける職種によって第1次試験の中身がまったく違うという点です。一般行政職は教養試験が中心、建築職と土木職は専門試験だけで教養試験がなく、資格免許職に至っては筆記がありません。

同じ市の同じ年度の試験でありながら、必要な勉強が別物になります

区分・職種第1次試験の内容(令和8年度・令和9年4月採用)
上級・一般行政職教養試験(120分・択一式40題/大学卒程度)、事務適性検査(10分・100題)、性格特性検査(20分)
初級・一般行政職上級と同じ構成(教養試験120分・択一式40題、事務適性検査10分100題、性格特性検査20分)で、出題程度が高校卒程度
建築職・土木職(上級・初級とも)性格特性検査(20分)と専門試験(90分・択一式30題/出題程度は高校卒程度)。教養試験は課されない
資格免許職性格特性検査(20分)と書類審査のみ
教養試験の出題内容時事、社会・人文、自然に関する一般知識を問う問題と、文章理解、判断・数的推理、資料解釈に関する能力を問う問題
第2次試験個別面接(主として人物、性格等について)
申込時の提出物「申込書」「エントリーシート」「受験票」の3点。大原庁舎総務課への持参または郵送
受験資格(年齢)上級等=平成10年4月2日から平成17年4月1日までに生まれた者/初級=平成17年4月2日から平成21年4月1日までに生まれた者。いずれも学歴を問わない
初任給大学卒237,600円、短大卒222,600円、高校卒206,700円(令和8年4月1日現在)。採用時の最終学歴・経験年数等により決定される

上記は令和8年度(令和9年4月採用)いすみ市職員採用試験の受験案内に基づく内容です。各試験の配点は、確認したいすみ市の受験案内に記載がありません。試験の構成・日程・配点等は年度や受験区分によって異なる可能性がありますので、受験の際は必ず最新の受験案内でご自身の区分の内容をご確認ください。

人物を見る場は個別面接ひとつ

もう一つの特徴が、第2次試験の構成です。いすみ市の第2次試験は「個別面接(主として人物、性格等について)」であり、集団討論や集団面接の実施は受験案内に記載がありません。

人物を見る場が個別面接ひとつに集約されているということです。

面接が複数回ある試験なら、1回目で人物の幅を確かめ、2回目で志望度の深さを掘るという役割分担が働きます。いすみ市の場合、その両方が一度の面接の中で行われることになります。

用意した答えを話し切って終わりではなく、そこから何度も掘られる前提で準備してください。持ち時間の中で自分の話をどう配分するかも、あらかじめ決めておいたほうがよいでしょう。

一つの話題に時間を使い切ってしまえば、他に用意した材料は出す機会がないまま終わります。

いすみ市役所が求める人物像

いすみ市の受験案内と職員採用のページの本文には、「求める人物像」として整理された公表文言は置かれていません。そこで手がかりになるのが、資格免許職の書類審査の定義です。

市はそこで審査する内容を「志望理由、自己PR、学生時代の活動経験、官公庁・民間企業等における職務経験等」と明記しています。

この4つの並びは、市が受験者の何を見ようとしているかの手がかりになります。志望理由と自己PRという定番の項目に、学生時代の活動経験と職務経験が並列で置かれている。

学歴を問わない年齢区分方式と重ねれば、どこで何を身につけてきたかを、経歴の形式ではなく中身で見るという姿勢が読み取れます。ただし、これは公表された人物像そのものではありません。

面接で人物像について正面から問われた場合は、公表文言を暗唱するのではなく、募集の設計から自分が読み取ったことを自分の言葉で述べる形が実際的です。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。いすみ市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日はここまでどうやって来られましたか身構えていない場面での表情と、話し出しの自然さ
② 動機・志望公務員という働き方を選んだ理由を教えてください安定という言葉に頼らずに職業選択を説明できるか
③ 自己理解自分の短所をどう扱ってきましたか弱みを認めたうえで、その付き合い方まで語れるか
④ 経験・行動人に頼らず自分で調べて動いた経験はありますか指示待ちにならずに動けるか、その場面での判断の中身
⑤ 学業・経歴これまでの経験で身につけたことを教えてください経歴の形式ではなく、そこで得た中身を語れるか
⑥ 適性・将来専門職の同僚とどう仕事を進めたいですか市役所の仕事が一人で完結しないことへの理解
⑦ 公共性・社会性人口が減る地域で行政が担うべき役割は何だと思いますか身近な地域の変化を自分の言葉で捉えられているか

ただし、この7カテゴリーはいすみ市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。

では、どこで差がつくのか。それが次の「いすみ市ならでは」の質問です。

合否を分けるのは「いすみ市役所ならでは」の質問

「なぜ千葉県庁ではなく、いすみ市役所なのですか」
「いすみ市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらもいすみ市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、面接が一度きりだからこそ、下調べの量がそのまま差になって表れる質問でもあります。

こうした質問に答えるための「いすみ市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたいいすみ市の事実答え方のヒント
市の規模と密度人口34,110人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、面積157.50km²、人口密度217人/km²。県全体を平均した密度のおよそ6分の1「小さいまち」で終わらせず、広い市域を少ない人数で支えるという条件が、職員の働き方にどう表れるかまで言い直します
なぜ県庁ではなく市役所か県は社会減の地域における担い手不足の解消を課題に挙げ、いすみ市は農業技術やスポーツ指導員まで区分を立てて28名程度を募集している県と市の役割の違いで終わらせず、市が置いた区分のどれと自分が関わりたいかを名指しして、現場の仕事へ話を降ろします
市の一次産業千葉県の農業産出額は4,029億円で全国第4位、鶏卵は全国第1位。県内漁港の水揚金額は443億円で全国第6位。市は上級・初級の両方に一般行政職(農業技術)を置く県の順位を挙げるだけで終わらせず、市が農業技術の区分を置いていることに触れ、生産者とどう関わりたいかまで踏み込みます
高齢化と暮らしの足住民基本台帳ベースでいすみ市の高齢化率は43.4%、75歳以上は26.3%(令和8年1月1日現在)。同じ集計の県全体は27.6%。県の自動車保有車台数は3,750千台で全国第7位県の将来推計ではなく市の現在の数字を挙げ、密度が低く移動距離の長い市域で、運転できなくなった人の買い物や通院をどう支えるかという具体の話にします
防災県の被害想定では房総半島東方沖の地震(モーメントマグニチュード8.5・最大震度7)で外房を中心に広く津波浸水すると想定されている県全体の数字で止めず、市のハザードマップで自分の関わる地区の浸水想定と避難先まで確かめた話につなげます

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。志望分野に近いテーマを1つか2つに絞り、事実から自分の問題意識、そして市職員として関わりたい仕事までを一息で話せる形にしておくことです。

想定される評価の観点

面接は、市が書類審査で審査するとしている項目に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
経歴の中身を語る力学歴を問わない年齢区分で募集している以上、経歴の形式ではなくそこで何を得たかが問われる在籍した組織の名前ではなく、その場で自分が引き受けた役割と、そこで変えたことを一つ用意しておく
自分から出向く姿勢広い市域を少ない人数で支える市では、待つ仕事だけでは足りない場面がある頼まれる前に動いた場面を選び、なぜ自分が動く必要があると判断したのかまで説明できるようにしておく
提出書類との一貫性エントリーシートを申込時に提出しており、面接の質問はその記載から出発する控えを必ず残し、書いた内容を口でより詳しく語れる状態にしておく。書いた話と話す話がずれると、そこが深掘りの入口になる

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。いすみ市は面接が一度きりである分、その一度の中で掘られると考えておきましょう。

実際に自分が動いた場面を細部まで思い出し、実体験に根ざした答えを用意しておけば、掘り下げの二段目、三段目にも自分の言葉で応じられます。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. いすみ市の最新の受験案内を読み、自分が受ける区分と職種を確定させる。第1次試験の中身が職種で入れ替わるため、ここが決まらないと勉強の中身が決まらない
  2. 申込書・エントリーシート・受験票の3点を早めに入手する。郵送または大原庁舎への持参が必要なので、締切から逆算して段取りを組む
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、市域の条件と市が置く職種から、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、事実から問題意識、やりたい仕事までを一続きの話に編む
  6. エントリーシートの控えを見ながら、書いた項目ごとに「その場面で何をしたか」を声に出して答える練習をする

優先順位に注意

ステップ4〜5の自治体研究は、他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2のエントリーシートづくりとステップ6の練習を優先してください。面接が一度きりの試験では、書いた内容を語り切れるかどうかがそのまま結果に出ます

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、いすみ市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

いすみ市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

いすみ市役所の想定問答集を見る

さいごに

いすみ市の試験は、第1次試験と第2次試験の2段階で、人物を見る場は個別面接ひとつです。配点は公表されていませんが、面接が一度きりであるということは、その一度で語れることがすべてだということでもあります。

しかもこの市は、受験資格を生年月日だけで区切り、学歴を問いません。面接の場に集まるのは、経歴も年齢も異なる人たちです。そこで問われるのは、どこに在籍したかではなく、その時間の中で何を考え、何を変えてきたかでしょう。

面積157.50平方キロメートルに3万人ほどが暮らし、県全体の平均のおよそ6分の1という密度の中で、市は農業技術からスポーツ指導員、保健師から主任介護支援専門員まで、幅の広い職種を並べて人を募っています。その幅の中で自分はどこに立ち、誰と組んで働きたいのか。

申込書とエントリーシートに書いた言葉を、面接の場で自分の声で語り直せるところまで準備を進めてください