本記事では、飯塚市職員採用試験の面接対策で必要な、飯塚市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

飯塚市役所の面接では、「なぜ飯塚市を志望したのか」、「市職員として何に取り組みたいのか」、「これまでの経験を市政でどう生かすのか」といった問いが想定されます。飯塚市の場合、市が採用に掲げた言葉を知っているかどうかで、答えの座りが変わります。

なお、飯塚市の令和8年度試験は2回に分けて実施されます。第1回は行政事務(上級)のみ、第2回は行政事務(上級以外)と技術職・専門職が対象です。本記事の第2部で紹介する試験科目の構成は、直前の令和7年度に公表されていたものですので、回次と年度の区別に注意しながらお読みください。

第1部|自治体研究編

飯塚市の特徴

飯塚市がどういう土台の上にある市なのかを、先に押さえておきます。面接で市の話に入るときの下地になります。

  • 人口は123,413人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。市域は213.96km²で、人口密度は1平方キロメートルあたり約577人。
  • 高齢化率は32.3%、75歳以上の割合は18.6%。同じ統計でみた福岡県全体の28.2%・16.2%を、いずれも上回る。
  • 境を接する自治体は13にのぼる。直方市・筑紫野市・田川市・宮若市・嘉麻市と、嘉穂郡桂川町、糟屋郡篠栗町・須恵町・宇美町、田川郡糸田町・福智町、鞍手郡小竹町、朝倉郡筑前町。
  • 市内の旧伊藤伝右衛門邸は国指定重要文化財で、庭園は2011年9月21日に国の名勝に指定された。筑豊の石炭産業の隆盛を伝える近代化遺産である。
  • 遠賀川の出水による浸水被害を繰り返し受けてきた市でもある。平成15年7月の出水では飯塚市・穂波町全体で4,000戸を超える家屋等が浸水した。
  • 令和7年度の職員採用試験では、第1次試験の会場が九州工業大学情報工学部(飯塚市川津680番地4)に置かれた。
  • 令和8年度から、採用試験を2回に分けて実施する方式に変わった。行政事務の第1次試験はテストセンター方式となる。
  • 市の花はコスモス、市の木はメタセコイヤ。市役所本庁舎は新立岩5番5号に置かれている。

飯塚市の基礎データ

飯塚市で押さえるべきは、12万人という規模と、県平均を上回る年齢構成の組み合わせです。ここさえ言葉にできれば、細かい数字は後から足せます。

その具体を、下の表で確認してください。

項目内容
総人口123,413人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
65歳以上人口39,917人(高齢化率32.3%)
75歳以上人口22,945人(総人口の18.6%)
総面積213.96km²
人口密度約577人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接自治体直方市・筑紫野市・田川市・宮若市・嘉麻市/嘉穂郡桂川町/糟屋郡篠栗町・須恵町・宇美町/田川郡糸田町・福智町/鞍手郡小竹町/朝倉郡筑前町(計13)
市の花・木コスモス(花)・メタセコイヤ(木)
市役所の所在地飯塚市新立岩5番5号

総人口・65歳以上人口・75歳以上人口とその割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値です。この統計における飯塚市の総人口は123,413人、福岡県全体は5,076,856人で、割合の分母にもこれらを用いています。県が公表している推計人口は国勢調査を基準に算出したもので、この表とは調査の基準が違います。両者を並べて増減を計算することはできません。面積、隣接自治体、市の花と木、本庁舎の所在地は、公表されている値をもとに当研究会がまとめました。

12万人という規模が持つ意味

123,413人という人口は、同じ統計でみると、県内では政令指定都市の福岡市・北九州市と久留米市に次ぐ規模です。この大きさになると、市役所の仕事は担当が細かく分かれる一方で、政策を考える部署と現場で市民に接する部署の距離はまだ近いままです。現場で起きたことが政策に届くまでの道のりが短い。

飯塚市の職員が置かれるのは、そういう規模の組織です。(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)

年齢構成のほうは、高齢化率32.3%、75歳以上18.6%。県全体の28.2%・16.2%を、それぞれ4.1ポイント・2.4ポイント上回ります。3人に1人近くが65歳以上で、5人に1人近くが75歳以上という構成です。

213.96平方キロメートルという市域の広さも合わせて考えると、支援を必要とする市民が広い範囲に散らばっているということになります。

「飯塚市は人口が12万人台で、65歳以上の方が3割を超えていると知りました。市域も200平方キロメートルを上回っていますので、必要な方に必要な支援が届いているかを、こちらから確かめにいく姿勢が要るのではないかと感じています」

飯塚市の経済・産業

石炭のまちだった時代と、そのあと

飯塚市を語るうえで外せないのが、筑豊の石炭産業です。市内の旧伊藤伝右衛門邸は国指定重要文化財で、庭園は2011年9月21日に国の名勝に指定されました。石炭産業の隆盛を伝える近代化遺産として保存されている建物です。(出典:旧伊藤伝右衛門邸|飯塚市公式サイト)

ここで大事なのは、建物そのものではありません。基幹産業が失われた後を、何十年もかけて別の形で立て直してきた地域だという事実のほうです。産業や雇用の話題に触れるなら、この経緯を踏まえた言い方をしてください。

ゼロから何かを始める話より、積み重ねてきたものの上に何を足すかという話のほうが、この市では通ります。

大学のキャンパスがある市

令和7年度の職員採用試験では、第1次試験の会場が九州工業大学情報工学部(飯塚市川津680番地4)に置かれました。市内に工学系の大学キャンパスがあるということです。学生が暮らし、研究が行われ、卒業生が地域とつながる。

人口12万人台の市にとって、この存在は決して小さくありません。

産業振興や若者の定着を志望動機に置くなら、この点は具体的な足がかりになります。学ぶ場所と働く場所をどうつなぐかというテーマは、飯塚市の条件から自然に出てくるものです。

13の自治体と接する市の経済

飯塚市が境を接する自治体は13にのぼります。213.96平方キロメートルの市域が、直方・田川・嘉麻といった筑豊の市や、筑紫野・篠栗・宇美といった福岡都市圏寄りの自治体とつながっているということです。人も物も、市境をまたいで日常的に動きます。

県全体を見れば、県内の企業数では99.8%、従業員数では77.3%を中小企業が占めます。飯塚市の産業振興も、この層をどう支えるかという話が中心になります。大きな企業を一社呼ぶ発想ではなく、いまある事業者が続けられる条件をどう整えるかという角度で考えておきましょう。(出典:福岡県の産業|令和5〜6年)

飯塚市の主な行政課題

ここまでに挙げた事実は、どれも市役所の仕事に跳ね返ってきます。面接で課題を問われたときの引き出しとして、5つ挙げておきます。

3人に1人近くが65歳以上という構成

高齢化率32.3%、75歳以上18.6%。県全体をそれぞれ4.1ポイント・2.4ポイント上回る水準です。そして市域は213.96平方キロメートルあります。

高齢化した市民が広い範囲に分かれて暮らしているという条件が、医療、介護、公共交通、災害時の避難といった分野の難易度をそろって押し上げます。

面接で高齢化に触れるなら、割合の数字を挙げるだけで終えないでください。その割合が、自分の志望する分野の仕事をどう難しくするのか。そこまで言えると、調べただけの答えとの差が出ます。

遠賀川と繰り返してきた水害

平成15年7月19日の遠賀川の出水では、飯塚市・穂波町全体で4,000戸を超える家屋等が浸水しました。これを受けて平成16年度から「飯塚・穂波地区床上浸水対策特別緊急事業」が始まり、河道の掘削による水位の低減などが進められています。(出典:飯塚・穂波地区床上浸水対策特別緊急事業|国土交通省遠賀川河川事務所)

それでも水害は終わっていません。平成30年7月豪雨では飯塚市で床上浸水261件・床下浸水319件の被害が出ました。この豪雨で福岡県内に生じた半壊222件のうち、188件が飯塚市に集中しています。(出典:福岡県の主な災害の記録|平成30年8月31日時点把握分)

一度きりの災害ではなく、繰り返してきた歴史として語れるかどうか。防災を志望動機にするなら、ここが分かれ目になります。

産業構造の転換を、まだ引き受けている

石炭産業が地域の基幹だった時代は終わりましたが、その後をどう埋めるかという問いは今も続いています。雇用の場をどう作るか、若い世代にどう残ってもらうか、市内の事業者をどう支えるか。市内に工学系の大学キャンパスがあるという条件をどう生かすかも、この文脈に入ります。

「変わり続けなければならない」と自ら書く市

飯塚市は「飯塚市行政経営戦略推進ビジョン」の冒頭で、「飯塚市は、変わり続けなければならない。」と述べています。行政に対する市民ニーズが複雑・多様化するなかで、「誰のため、何のため」という視点による見直しや改善が常に求められる、という説明が続きます。(出典:飯塚市人材育成・確保基本方針|令和7年3月)

自治体が自らの文書にこの一文を置くのは、それなりの覚悟があってのことです。面接で「前例のとおりに進めます」という答え方をすると、この市の方向とは逆を向くことになります。

人材の確保そのものが課題になっている

令和8年度から採用試験を2回に分けて実施することについて、飯塚市は狙いをはっきり書いています。従来の実施時期を前倒しして第1次試験をテストセンター方式で行うことにより、公務員を専願とする受験者を含め、より能力の高い人材を確保するためだと説明しています。

第1次試験の時期は、従来より約2か月早められました。(出典:令和8年度飯塚市職員採用試験について|飯塚市)

採用の日程と方式をここまで動かすということは、人材の確保が市政の課題として認識されているということです。受験する側から見れば、市が本気で人を採りにきている試験だとも言えます。

飯塚市の重点政策|都市目標像と行政経営

飯塚市の個別の計画は市の公式サイトで確認できますが、面接の準備としてまず押さえたいのは、市が職員に向けて書いている文書のほうです。市がどんな職員を必要としているかが、そのまま書かれているからです。

「住みたいまち 住み続けたいまち」という目標

飯塚市は人材育成・確保基本方針のなかで、本市の都市目標像の実現のため、職員が市政を盛り上げ「住みたいまち 住み続けたいまち」にしていかなければならないと記しています。

この二つは、似ているようで別の目標です。「住みたい」は市の外にいる人に選ばれることであり、「住み続けたい」はすでに住んでいる人に留まってもらうこと。前者は移住や住環境の話、後者は子育て、医療、介護、地域の支え合いの話につながります。

志望動機を考えるときは、自分がどちらの側に立ちたいのかを決めておくと、話の焦点が定まります。

行政経営戦略推進ビジョンが求めているもの

飯塚市が掲げる「求められる職員像」の第3項目は、「柔軟性と幅広い視点を持って意欲的に改善できる職員」です。市はこの項目の根拠として「飯塚市行政経営戦略推進ビジョン」を引き、同ビジョンが「誰のため、何のため」という視点による見直しや改善を常に求めていることを説明しています。

「改善」という言葉が、この市では単なる心構えではなく、上位の方針に裏づけられているということです。面接で業務改善や効率化に触れるなら、思いつきの提案ではなく、誰のための見直しなのかという問いを自分でも立てておいてください。

POINT|「誰のため、何のため」を自分に向ける

関心のある分野を一つ決め、「①飯塚市でいま起きていること → ②市はどうしたいと言っているか → ③動いている事業 → ④誰のための見直しなのか → ⑤自分の経験のどこが役に立つか」の順につないでいきましょう。④を飛ばすと、改善そのものが目的になった話に聞こえてしまいます。

悪い例「飯塚市の業務効率化に貢献したいです」

改善例「市域が広くて65歳以上の方が3割を超えているとうかがいました。窓口まで来ていただく前提の手続きを、来なくても済む形にできれば、いちばん助かるのはその方たちだと思います。まずは何の手続きが負担になっているのかを、現場で聞くところから関わりたいです」

あわせて確認したい公式資料

自分の回次が決まったところで、以下をそろえておきましょう。どれも飯塚市および福岡県の公式サイトからたどれます。

  • 令和8年度飯塚市職員採用試験の案内(採用案内専用サイトで公表・受付されます)
  • 飯塚市人材育成・確保基本方針と、飯塚市行政経営戦略推進ビジョン
  • 飯塚市の最上位計画と、直近年度の予算資料
  • 市の地域防災計画とハザードマップ(遠賀川の氾濫を含む)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、飯塚市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。飯塚市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

飯塚市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

飯塚市役所の面接の概要

ここからは選考の中身に入ります。試験の形、聞かれることの全体像、答えに差が出る問いへの備えの順です。最初に、令和8年度に変わった点と、令和7年度に公表されていた構成を分けて整理します。

令和8年度に変わった二つのこと

飯塚市は令和8年度から、採用試験の枠組みを二つ変えると公表しています。一つは、試験を2回に分けて実施することです。第1回は行政事務(上級)のみを対象とし、第2回で行政事務(上級以外)と技術職・専門職を募集します。

第1次試験の時期は従来より約2か月前倒しされました。

もう一つは、行政事務の第1次試験をテストセンター方式で実施することです。テストセンターは全国約200か所に設置され、試験期間内であれば受験者の都合のよい日程と場所で受けられます。第2回の技術職・専門職については、会場に集まって一斉に受ける方式が案内されています。

令和8年度の採用が掲げる「共創力」

飯塚市が令和8年度の採用キャッチフレーズとして掲げているのが「共創力」です。Communication・Creativity・Energyの三つを重ねた言葉で、市はこれを「多様な価値観とのコミュニケーションを通して、お互いを理解しつつ、共に行動し、新しい価値を創造していく力」と定義しています。

市が示している背景も見ておきましょう。「世界では対立が激しさを増し、個人個人では価値観の多様化により連帯が希薄化」しており、「未来はより不透明に」なっている。そのうえで市は、「共創力」こそが人と人をつなぎ、困難で不透明な未来を切り拓くと述べています。

採用の看板に人と人をつなぐ力を選んだ市だという理解は、面接の準備の芯になります。

令和7年度に公表されていた試験構成

令和8年度の試験科目の詳細は、市の採用案内専用サイトで公表されます。ここでは、直前の令和7年度に飯塚市が公表していた構成を確認しておきます。令和8年度は回次と第1次試験の方式が変わりますので、以下がそのまま当てはまるとは限りません。

項目内容(令和7年度)
試験の段階3段階(第1次試験・第2次試験・第3次試験)
第1次試験教養試験(行政事務(上級)はStandard-Ⅰ/大学卒業程度、行政事務(初級)・障がい者対象・土木・建築はStandard-Ⅱ/高校卒業程度)または職務基礎能力試験(BEST-A)、職場適応性検査、職務適応性検査(BEST-P)、事務適性検査、および職種別の専門試験
第2次試験面接試験「個別面接による試験」(全区分)+ケース記述試験(行政事務系の区分)
第3次試験パーソナリティ検査「気質・性格特徴・意欲・態度をみる検査(Webテスト方式)」(全区分)+面接試験「個別面接による試験」(全区分)
面接の形式個別面接を2回(受験案内に集団面接・集団討論の記載はありません)
ケース記述試験「与えられた課題に対する理解力、論理的思考力、主体的に問題解決する能力等をみる試験」。対象は行政事務(上級)・行政事務(初級)・行政事務(障がい者対象)・行政事務(社会福祉士)・行政事務(社会人経験者)
試験会場第1次試験=九州工業大学情報工学部(飯塚市川津680番地4)、第2次試験・第3次試験=飯塚市役所本庁舎(飯塚市新立岩5番5号)
令和8年度の申込採用案内専用サイト「パブリックコネクト」で公表・受付されます

上記の試験構成は、飯塚市が公表した令和7年度の受験案内にもとづくものです。令和8年度は試験を2回に分けて実施し、行政事務の第1次試験をテストセンター方式に変更することが公表されていますので、科目や会場も同じとは限りません。配点は、令和7年度の受験案内には記載がありません。受験の際は、必ずご自身が受ける回次と区分の最新の受験情報をご確認ください。

令和7年度の構成で目を引くのは、第1次試験の検査の多さです。教養試験または職務基礎能力試験に加えて、職場適応性検査、職務適応性検査、事務適性検査が並びます。

なお職務基礎能力試験(BEST-A)については、受験案内に「基礎的な内容が出題されるので、特別な対策がなくとも対応可」と明記されていました。(出典:飯塚市職員採用試験受験案内|令和7年度)

飯塚市が掲げる「求められる職員像」

飯塚市は人材育成・確保基本方針のなかで、求められる職員像を4項目にまとめています。

  • 飯塚市を愛し、全体の奉仕者として高い倫理観を持って職務を全うする職員
  • 思いやりを持ち、市民・職員とのコミュニケーションを大切にできる職員
  • 柔軟性と幅広い視点を持って意欲的に改善できる職員
  • 「みずから」・「すすんで」学び、成長しあう職員

2番目に市民と職員の双方とのコミュニケーションが挙がり、4番目に学び合いが置かれています。一人で完結する働き方は想定されていないという並び方です。令和8年度の採用が「共創力」を掲げていることとも、まっすぐつながります。

ここまでは市の文書に書かれていることです。次の段落からは、「共創力」という言葉の置かれ方をもとにした当研究会の解釈が入ります。

Communication・Creativity・Energyという三つを一つの言葉にまとめたのは、どれか一つに寄った人ではなく、三つの間を行き来できる人を想定しているからでしょう。人口12万人台で、境を接する自治体が13にのぼり、市域が213.96平方キロメートルある市では、庁内の調整だけでなく市域の外との調整も日常的に生じます。

加えて、市自身が「変わり続けなければならない」と書いている組織です。決まった手順を守る力より、相手の立場を確かめながら新しいやり方を持ち込める力のほうが、重く測られていると見てよさそうです。

令和7年度の飯塚市は、第2次でケース記述試験、第3次でパーソナリティ検査を挟み、そのうえで個別面接を2回課しました。書いたもの、検査の結果、話した内容。三つが同じ人物を指しているかどうかが見られる構成です。

「共創力」という言葉に自分を寄せて話し方を整えるより、これまで人と組んで何かを動かした場面を掘り起こしておくほうが、三つを揃える近道になります。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。飯塚市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク庁舎に入ってみて、どんな印象を持ちましたか?令和7年度は第2次・第3次とも市役所本庁舎が会場。庁舎まで足を運んだ実感が、自然な言葉で出てくるか
② 動機・志望なぜ飯塚市なのですか?市が「共創力」を採用の看板に据えた背景まで踏まえて答えられるか
③ 自己理解ご自身の短所は何ですか?第3次のパーソナリティ検査を受ける前提で、自己申告と検査の傾向が大きく食い違わないか
④ 経験・行動立場の違う人と一緒に何かを進めた経験を教えてください「共創力」の中身にあたる場面を、自分の経験のなかから具体的に出せるか
⑤ 学業・経歴学んできたことを、市の仕事にどうつなげますか?専門外の相手にも届く言葉に置き換えられるか
⑥ 適性・将来市は「変わり続けなければならない」と掲げていますが、どう受け止めますか?市の文書の言葉を、自分の働き方の話へ落とし込めるか
⑦ 公共性・社会性最近気になったニュースを一つ挙げてください「価値観の多様化により連帯が希薄化」という市の認識と、自分の関心を接続できるか

7つのカテゴリーは、どの試験を受けるときにも共通の土台になります。飯塚市で気をつけたいのは、令和7年度の構成でいえば、これらの答えが第2次と第3次の個別面接で二度検証され、その間にケース記述試験とパーソナリティ検査が挟まることです。話した内容、書いた内容、検査の傾向。

三つの間にずれがないかを見る構えの試験だと考えてください。そのずれを埋める材料が、次の「飯塚市ならでは」の事実です。

合否を分けるのは「飯塚市ならでは」の質問

「なぜ福岡県庁ではなく、飯塚市役所なのですか?」
「飯塚市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

この二問は、飯塚市を選んだ理由と、市を見てきた解像度を同時に確かめます。市が自ら言葉にしているものを踏まえた答えかどうかは、聞けばすぐ分かります。使いやすい事実と、話の運び方を表にしました。

質問テーマ知っておきたい飯塚市の事実答え方のヒント
市が掲げる言葉令和8年度の採用キャッチフレーズは「共創力」(Communication/Creativity/Energy)。「多様な価値観とのコミュニケーションを通して、お互いを理解しつつ、共に行動し、新しい価値を創造していく力」と定義されている言葉を復唱するのではなく、自分がその力を発揮した場面を一つ挙げてから、市の定義と重ねて説明します
都市目標像市は都市目標像の実現のため、職員が市政を盛り上げ「住みたいまち 住み続けたいまち」にしていかなければならないと記している「住みたい」と「住み続けたい」は別の目標です。自分がどちらに関わりたいのかを決めて話すと、答えが具体になります
水害の歴史平成15年7月の遠賀川出水で飯塚市・穂波町全体で4,000戸を超える浸水被害。平成16年度から「飯塚・穂波地区床上浸水対策特別緊急事業」に着手。平成30年7月豪雨でも床上浸水261件・床下浸水319件一度きりの災害ではなく繰り返してきた歴史として述べ、そのうえで市と国の対策の積み重ねに触れます
年齢構成住民基本台帳(令和8年1月1日現在)で123,413人。高齢化率32.3%・75歳以上18.6%はいずれも県平均を上回る3人に1人近くが65歳以上という水準を押さえ、自分の志望分野の仕事がそこでどう難しくなるかまで述べます
市の来歴旧伊藤伝右衛門邸は国指定重要文化財で、庭園は2011年9月21日に国の名勝に指定。筑豊の石炭産業の隆盛を伝える近代化遺産観光資源として挙げるだけでなく、基幹産業が変わった地域であることに触れ、いまの市の姿へ話を運びます

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

飯塚市が人材育成・確保基本方針に掲げる「求められる職員像」の4項目と、令和8年度の採用が掲げる「共創力」に照らして、面接ではこれまでに実際どう行動してきたかが確かめられます。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
人と人をつなぐ力立場の違う相手と組んだ経験への深掘り。令和7年度の構成では個別面接が2回あり、同じ場面を角度を変えて問われる自分が調整役として何を言い、どこを譲り、どう折り合いをつけたのかを、順序どおりに再現できるようにする
改善へ向かう姿勢市が「変わり続けなければならない」と掲げている以上、前例をどう扱うかを問う質問が想定される身の回りの決まりごとを実際に変えた経験を一つ用意し、「誰のため、何のため」を自分がどう考えたかまで語れるようにする
書く力と話す力の一致令和7年度の第2次では、行政事務系の区分にケース記述試験が課された与えられた課題に対して、理解・整理・打ち手の順で書きまとめる練習を重ね、同じ筋道を口頭でも再現できるようにする

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。令和7年度の飯塚市は個別面接が2回ありましたので、この傾向はより強く出ます。

自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えをいくつ持ち込めるかが、そのまま結果に響きます。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 自分が受けるのが第1回(行政事務(上級))か第2回(行政事務(上級以外)・技術職・専門職)かを確かめ、採用案内専用サイトで最新の案内を入手する
  2. これまでの経験を書き出す。特に、立場の違う人と組んで何かを進めた場面を一つ用意する(「共創力」に直結します)
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. この記事の第1部に戻り、飯塚市の事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 対応表の事実から志望分野に近いものを取り、自分の問題意識を挟んで、やりたいことまで一本につなぐ
  6. 書く練習と話す練習を組にする。課題文の答えを一度書き上げ、その内容を1分で説明するところまでを1セットにする

優先順位に注意

ステップ4と5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間が足りないときは、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を飯塚市の仕事へどうつなぐかという自己分析を先に終わらせてください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、飯塚市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

飯塚市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

飯塚市役所の想定問答集を見る

さいごに

飯塚市の令和8年度試験は、第1回が行政事務(上級)のみ、第2回が行政事務(上級以外)と技術職・専門職という2回制です。行政事務の第1次試験はテストセンター方式に変わり、時期も従来より約2か月前倒しされました。

本記事で紹介した科目の構成は令和7年度に公表されていたものですので、必ず自分が受ける回次の最新の案内で確かめてください。そのうえで準備の芯に置きたいのは、市が採用に掲げた「共創力」です。

65歳以上が32.3%を占め、遠賀川の水害を繰り返し経験してきた12万人のまちで、市は人と人をつなぐ力を看板に選びました。これまで誰かと組んで何かを動かした場面を思い出し、そのときの自分の役割を言葉にしておきましょう。