福岡県糟屋郡の粕屋北部消防本部を受験する方に向けて、面接で問われる前提となる組織研究の材料(本部の特徴・基礎データ・管轄地域の災害リスク・消防課題・重点方針)と、面接本番の流れ・想定される質問・評価の観点を、1ページに整理しました。

粕屋北部消防本部は、「考える力」「行動力」「信頼される力」を備えた「自ら考え・行動し・信頼される職員」を、求める人材像として明文で公表しています。面接では、この3つの力のどれに自分の経験が重なるかを、具体的なエピソードとともに語れるかが問われます。

公表された人物像を手がかりに、自分の言葉で語れる志望動機をこの記事とともに組み立てていきましょう。明文化された手がかりがある以上、それを最大限に活用することが準備の近道になります。

第1部|組織研究編

粕屋北部消防本部の特徴

組織研究の第一歩として、まずは粕屋北部消防本部の骨格を確認しておきましょう(時間のない方はここだけでもチェック)。

  • 粕屋北部消防本部は、古賀市・新宮町の1市1町で構成する粕屋北部消防組合が設置する消防本部である。組合には組合長・副組合長が置かれ、地方自治法第292条が準用される規定にもとづき、組合長が不在の間は副組合長が職務を代理する体制がとられている。
  • 1本部1署1分署の体制で、粕屋北部消防署(古賀市)と新宮分署(新宮町)を置いている。管内人口は約9万2千人である。
  • 消防吏員数は107人(うち女性3人・令和7年4月1日現在)である。
  • 消防吏員の採用試験は粕屋北部消防本部(総務課庶務人事係)が実施する。令和8年度は第1回・第2回の年2回実施され、第2回はⅢ類(高卒程度)で採用予定2名程度を募集している。
  • 求める人材像として「自ら考え・行動し・信頼される職員」を明文で公表している点は、この本部を志望するうえで最も重要な手がかりである。
  • 採用後は福岡県消防学校に約6か月間入校し、以後は古賀市・新宮町又はその周辺に居住することが原則とされている。

粕屋北部消防本部の基礎データ

古賀市・新宮町の約9万2千人を107人で守る体制の規模感を、数字で確認しておきましょう。1本部1署1分署という小さな組織図と、下の表に並ぶ管内人口・吏員数・出動件数それぞれの数字を見比べながらゆっくり読み進めてみてください。

項目内容
管轄古賀市・新宮町の1市1町(粕屋北部消防組合)
管内人口約9万2千人(住基人口の合算・令和8年1月1日現在。古賀市58,957人・新宮町33,176人)
署所1本部1署1分署(粕屋北部消防署・新宮分署)
消防吏員数107人(うち女性3人)※令和7年4月1日現在
火災出動件数13件(令和6年中)
救急出動件数4,610件(令和6年中)
救助出動件数69件(令和6年中)

管内人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の古賀市・新宮町の合算(本文で触れる市町別の高齢化率も同資料の同時点の値)、消防吏員数・出動件数は(出典:総務省消防庁が公表する消防本部データ|令和7年4月1日現在)によります。表の吏員数は令和7年4月1日現在の値、出動件数は令和6年中の1年間の集計で、両者の基準時点は同じではありません。

数字から見える粕屋北部消防の姿

火災13件に対し、救急は4,610件と約350倍にのぼります。この差の大きさが、日々の出動の中心が何であるかを物語っています。

1本部1署1分署という小規模な体制の中でこの件数を消化している実態からは、一人ひとりの職員が担う役割の幅広さがうかがえます。古賀市に本署、新宮町に分署という配置は、2つの自治体それぞれの現場に一定の距離感で対応するための体制です。

107人という職員数の規模では、一人ひとりの動きが組織全体の対応力に直結しやすいといえます。

「粕屋北部消防本部は、令和6年中の救急出動が4,600件を超え、火災の350倍以上だと聞きました。1本部1署1分署という体制で、どうやってこの件数に対応しているのか、組織の工夫に関心を持っています」

管轄地域の特性と災害リスク

管轄地域の全体像

  • 古賀市には食品関連企業が集積する工業団地があり、「古賀モノづくり博 食の祭典」のようなイベントも開催される食品産業のまちである。
  • 新宮町は令和2年国勢調査で人口増加率8.5%と全国11位・県内3位を記録し、若い世代の流入が続く町である。町の沖合には離島の相島があり、町営渡船「しんぐう」で結ばれている。
  • 福岡県が令和7年10月31日に公表した地震防災アセスメント調査報告書は、県内7つの主要活断層と南海トラフ地震を対象に被害を予測している。

つまり粕屋北部消防本部は、食品工場が集まる産業地域と、人口増加が続く沿岸の町という異なる性格を持つ2自治体を1つの体制で守る本部だと整理できます。

食品産業の集積と予防の視点

古賀市の工業団地には食品関連企業が集積しており、大規模な調理・加工設備を持つ工場も少なくありません。こうした施設は、住宅とは異なる火気・設備のリスクを抱えるため、予防・査察の対象として住宅地とは違う視点が求められる地域だといえます。

新宮町の相島と沿岸地域

新宮町の沖合、新宮漁港から北西へ約7.5kmの位置には離島の相島があり、町営渡船「しんぐう」が結んでいます。人口が増え続ける新宮町の中に、こうした離島の集落も含まれているという事実は、管内の多様性を語るうえで押さえておきたい材料です。

玄界灘に面したこの沿岸地域は、内陸部とは異なる気象条件や交通事情を抱えています。

県が公表する地震想定との関係

福岡県の地震防災アセスメント調査は、県内7つの主要活断層でいずれも最大震度7を、南海トラフ地震(マグニチュード8から9クラス、発生確率60から90%)では県内最大震度5強・死者はわずか・避難者3,100人という被害を想定しています。(出典:福岡県地震防災アセスメント調査(概要版)|令和7年10月31日公表)

古賀市・新宮町に固有の断層被害想定は、公表資料の範囲では個別に示されていません。県全体の想定枠組みを踏まえつつ、玄界灘に面した沿岸地域という管内の地理的特徴を自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。

主な消防課題

古賀市・新宮町の約9万2千人を107人で守る体制を踏まえ、粕屋北部消防本部が向き合う課題を次の5つに整理しました。

救急需要の増加

全国の救急需要は増加が続いており、令和6年中の救急自動車の出動件数は771万8,380件でした。昭和38年の集計開始から数えて最も多い数字です。

粕屋北部消防本部が令和6年中に受けた救急出動は4,610件。全国では搬送人員の63.3%を65歳以上が占めており(令和6年中)、高齢化率29.2%の古賀市と19.9%の新宮町(いずれも令和8年1月1日現在)という年齢構成の異なる2自治体を同じ体制で受け持つ点が、この本部の条件です。

107人という人員でこの件数に応え続けることは、1本部1署1分署という規模ならではの課題です。(出典:令和7年版 救急・救助の現況)

大規模災害への備え

全国の消防本部の約99%にあたる718本部(6,661隊・令和6年4月1日現在)が緊急消防援助隊に登録されており、粕屋北部消防本部もこの一員です。(出典:消防白書|緊急消防援助隊(令和6年版))

1本部1署1分署という限られた体制で、日常の救急需要と大規模災害への備えの両方を担う難しさがあります。福岡県の地震防災アセスメントが示す最大震度7という想定を踏まえれば、限られた人員でどこまで初動対応を担えるか、応援をどう受け入れるかという視点は避けて通れません。

人材確保と女性消防吏員

粕屋北部消防本部の消防吏員107人のうち、女性は3人です。全国では消防吏員168,230人のうち女性は6,386人・約3.8%にとどまっており(令和7年4月1日現在)、国は「令和8年度当初までに5%」という目標を掲げています。(出典:女性消防吏員の活躍推進|消防庁)

体力検査には女性用の種目(斜め懸垂等)が設けられており、107人という規模の中で多様な人材をどう迎え入れ、育てていくかは今後も続くテーマだといえます。

食品工場の予防・査察

食品関連企業が集積する古賀市の工業団地では、火気や設備を伴う施設が多く立地しています。住宅密集地とは異なる規模・構造の施設への予防指導や立入検査は、この管内ならではの専門性が求められる業務です。

工場の稼働時間や設備の特性を理解したうえでの査察は、地道な積み重ねが問われる分野です。「古賀モノづくり博 食の祭典」のような催しが開かれるほど、食品産業は地域に根付いており、こうした産業と共存する形での防火対策が求められます。

沿岸部・人口増加地域への対応

新宮町は人口増加率が全国上位の町で、住宅開発が進む地域では新たに転入してくる住民への対応も増えていきます。離島の相島を含む沿岸地域という地理条件も踏まえ、人口動態が異なる2自治体それぞれの実情に応じた消防サービスをどう提供するかが、この本部に求められる視点です。

人口が増える町と、工業団地を抱える市とでは、住民から寄せられる相談や地域とのつながり方も変わってきます。管内の変化を継続的に把握し続ける姿勢が欠かせません。

1本部1署1分署という体制は部門を細かく分けにくい規模でもあり、職員一人ひとりが担う守備範囲の広さが、そのまま2自治体への対応力を左右することになります。

重点方針|人材育成基本方針と求める職員像

粕屋北部消防本部は「粕屋北部消防本部人材育成基本方針(第3版)」を策定・公表しています。第3版という版数からは、この方針が一度作って終わりではなく、継続的に見直されてきたことが読み取れます。

あわせて、採用ページでは「自ら考え・行動し・信頼される職員」という求める人材像を明文で示しており、志望動機を組み立てるうえで比較的手がかりの多い本部だといえます。(出典:粕屋北部消防本部人材育成基本方針(第3版))

募集案内では、求める人材像の3つの力を次のように説明しています。

力募集案内の説明
考える力常に危機管理の意識を持ち、柔軟な発想と工夫で課題に取り組む
行動力仲間と協力しながら責任感を持って挑戦し続ける
信頼される力公平・公正な対応と誠実な姿勢で地域に寄り添う

令和8年度は募集案内で「1次試験は、テストセンター方式へ変更します。」と明記されており、試験方式そのものが年度によって見直されている点にも注意が必要です。

第2回はⅢ類(高卒程度)で採用予定2名程度、採用日は令和9年4月1日とされています。年2回の実施回次に分かれていることも踏まえ、自分がどの回で受験するのかを早めに確認しておく必要があります。(出典:令和8年度粕屋北部消防本部職員採用試験受験者募集案内)

POINT|3つの力をすべて暗記しなくてよい

「考える力」「行動力」「信頼される力」を丸暗記しても、面接では意味がありません。自分の経験を振り返り、どの力に一番重なるエピソードがあるかを選び、そこから具体的な行動の事実を思い出す準備をしましょう。3つすべてに無理やり経験を当てはめようとする必要はなく、1つか2つを深く掘り下げるほうが説得力につながります。

悪い例「地域の役に立ちたいと思い、消防官を志望しました」

改善例「文化祭の実行委員として、準備が遅れていた班に自分から声をかけ、役割分担を見直して仲間と協力して間に合わせました。粕屋北部消防本部が掲げる『行動力』は、この経験に近いと感じています」

申込方法にも特徴があり、募集案内は「粕屋北部消防本部ホームページの採用試験申込フォームからの電子申請のみ」とし、郵送・書面での申込は受け付けていないと明記しています。試験準備品も段階ごとに細かく指定されており、第1次は筆記用具・本人確認書類、第2次は筆記用具・受験票・運動できる服装や運動靴・水分補給等、第3次は筆記用具・健康診断の結果とされています。

こうした案内の細部まで確認しておくことも、選考への向き合い方の一部です。準備品の指定が段階ごとに丁寧に示されている点からも、受験生に対する案内の丁寧さがうかがえます。

あわせて確認したい公式資料

求める人材像が明文化されている本部だからこそ、まずはその原文と募集案内そのものに目を通しておきましょう。

  • 令和8年度粕屋北部消防本部職員採用試験受験者募集案内
    試験区分・日程・提出書類・受験資格がまとまっている
  • 粕屋北部消防本部人材育成基本方針(第3版)
    求める人材像の背景にある考え方を確認できる
  • 総務省消防庁が公表する粕屋北部消防本部の吏員数・出動件数データ
    本部の規模感を客観的な数字で押さえられる

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、粕屋北部消防本部専用の面接想定問答集をご用意しています。粕屋北部消防本部の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

粕屋北部消防本部の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

粕屋北部消防本部の面接の概要

ここからは、粕屋北部消防本部の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析にもとづいて整理していきます。求める人材像が明文化されている分、準備の方向性は比較的つかみやすい本部だといえます。

粕屋北部消防本部の面接の流れ

試験は3段階制で、面接は第2次・第3次の2回課される構成です。第1次は令和8年度からテストセンター方式に変更されました。

項目内容(令和8年度)
試験の段階3段階制。第1次=職務基礎力試験(テストセンター方式)、第2次=面接試験・体力検査、第3次=面接試験
面接の種類「面接により行います」とのみ記載。個別面接/集団面接の別・集団討論の有無は公式サイトでの公表は確認できず
職務基礎力試験論理的に思考する力・文章を正確に理解する力・統計等の資料を分析する力・国内外の社会情勢への理解等を確認する4肢択一式60問・1時間
体力検査握力・懸垂(女性は斜め懸垂)・20メートルシャトルラン。雨天時も内容を変更せず実施
配点公表されていません。最新の受験案内でご確認ください

令和8年度から第1次がテストセンター方式に変わった一方で、雨天でも体力検査の内容を変更しないと明記されている点は、他の多くの本部と異なる運用です。悪天候であっても実施される前提で、日頃から体力づくりを継続しておく必要があります。

受験資格は平成8年4月2日から平成21年4月1日までに生まれた人で、高等学校卒業程度以上の学力を有していることとされ、視力は両眼とも矯正視力を含み0.7以上で色覚が正常であることという身体基準も設けられています。

上記の試験構成は粕屋北部消防本部が公表する令和8年度職員採用試験受験者募集案内にもとづくものです。試験の構成・日程・配点等は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ず最新の募集案内をご確認ください。

粕屋北部消防本部が求める人材

前章で紹介したとおり、粕屋北部消防本部は「自ら考え・行動し・信頼される職員」という求める人材像を明文で公表しています。「考える力」「行動力」「信頼される力」の3つは、面接準備の物差しとしてそのまま使えます。

自己PRを組み立てるときも、この3つのどれに自分の経験が当てはまるかを起点にすると、本部の方向性と接続した説明がしやすくなります。

初任給は大学卒283,608円・高校卒248,832円(いずれも地域手当を含む・令和8年4月1日現在)で、採用後は消防学校での約6か月間の教育を経て現場に配属されます。人材育成基本方針を策定している本部だけに、採用後の育成にも一定の計画性があると考えられます。(出典:令和8年度粕屋北部消防本部職員採用試験受験者募集案内)

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。粕屋北部消防本部の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日はどうやってここまで来ましたか?緊張をほぐす何気ない話題に、素の受け答えと会話の自然さが表れます
② 動機・志望なぜ粕屋北部消防本部を志望するのですか?消防官という仕事と古賀市・新宮町という管内を、自分の言葉で選べているか
③ 自己理解あなたの短所(弱み)は何ですか?自分を客観視できているか。弱みへの向き合い方に人柄が出ます
④ 経験・行動これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください過去の行動の事実。壁にぶつかったときの対処が現場の仕事に通じるか
⑤ 学業・経歴今の進路を選んだ理由を教えてください進路選択の筋道。自分の決断を順序立てて説明できるか
⑥ 適性・将来体力に自信はありますか?交替制勤務と現場活動を続けるための体力・生活習慣・覚悟
⑦ 公共性・社会性消防官(公務員)に最も必要な資質は何だと思いますか?仕事の公共性への理解と、社会の出来事への当事者意識

この見取り図は準備の共通の出発点です。粕屋北部消防本部ならではの選考を突破するには、公表された人材像を踏まえた固有の質問への備えが欠かせません。

ここから先の準備が、他の受験者との差につながっていきます。

合否を分けるのは粕屋北部消防本部に固有の質問

「なぜ警察官や自衛官ではなく、消防官なのですか?」
「あなたのこれまでの経験は、『考える力』『行動力』『信頼される力』のどれに一番近いですか?」

仕事の選び方を確かめたうえで、公表されている人材像を自分の経験に引き寄せて語れるかが問われます。「自ら考え・行動し・信頼される職員」という3つの力のどれに自分が近いのかを決めないまま、抽象的に行動力がありますと答えるだけでは、この本部が掲げる人材像を読んでいない印象を与えかねません。

面接で使いやすい「粕屋北部消防本部の事実」を絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい粕屋北部消防本部の事実答え方のヒント
求める人材像「自ら考え・行動し・信頼される職員」を明文で公表(詳細は第1部5章)3つの力のどれに自分の経験が近いかを明確にして話す
救急需要の増加令和6年中の救急出動は4,610件で、火災13件のおよそ350倍(詳細は第1部2章)件数の大きさに加え、107人という職員体制と結び付けて話す
1本部1署1分署という体制古賀市に本署、新宮町に分署を配置(詳細は第1部1章)2つの自治体どちらにも目を向けた志望理由を語る
試験方式の変更令和8年度から第1次がテストセンター方式に変更(詳細は第1部5章)変更点に触れつつ、準備がぶれていないことを説明する

使い方のコツは、4つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 消防吏員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

特に求める人材像は、他のどのテーマを選んでも接続できる共通の軸になります。

想定される評価の観点

粕屋北部消防本部は「自ら考え・行動し・信頼される職員」という人材像を公表しているため、評価の観点もこの3つの力を軸に組み立てるのが最も筋の通った方法です。試験の配点自体は非公表ですが、第2次・第3次と面接を2回に分けている構成からは、1回の印象だけで判断せず、複数回にわたって人物を確かめようとする姿勢がうかがえます。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
考える力状況を分析し、柔軟な発想で課題に取り組んだ経験があるか危機管理や工夫が求められた場面を具体的に思い出しておく
行動力仲間と協力しながら、責任感を持って物事に取り組めたか一人で完結する話ではなく、周囲との協力関係が見える経験を選ぶ
信頼される力公平・公正な対応と誠実な姿勢を、行動で示せているかアルバイトや部活動で相手の立場を尊重した具体的な場面を用意する

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。第2次・第3次と2回の面接がある試験ではなおさらです。

自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。特に「考える力」「行動力」「信頼される力」のいずれかに触れた経験は、2回の面接で違う角度から重ねて聞かれる可能性を想定し、細部まで思い出しておくことをおすすめします。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。求める人材像が公表されている分、準備の軸を早い段階で定められる本部です。

次の6つの手順で進めていきましょう。

  1. 令和8年度粕屋北部消防本部職員採用試験受験者募集案内を読み、募集回次(第1回・第2回)と試験区分を確認する
  2. 高校・大学生活の経験を棚卸しする。「考える力」「行動力」「信頼される力」のそれぞれに当てはまる具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 組織研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む。特に「考える力」「行動力」「信頼される力」のどれに当てはまるかを意識してまとめる
  6. 実際に口に出してリハーサルし、答えるたびに「これは3つの力のどれに当たるか」を確認しながら練習を重ねる。可能であれば家族や友人に面接官役を頼み、深掘りへの受け答えも練習しておく

優先順位に注意

なお、ステップ4〜5の組織研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を消防の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で粕屋北部消防本部の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

求める人材像が明文化されている本部だからこそ、その3つの力のどれに自分の経験を接続できるかが準備の中心になります。募集回次が年2回に分かれている点も踏まえ、自分が受験する回の試験区分と日程を早めのタイミングで確認しておきましょう。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、粕屋北部消防本部専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

粕屋北部消防本部の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。

粕屋北部消防本部の想定問答集を見る

さいごに

粕屋北部消防本部は、古賀市・新宮町の1市1町で構成する組合が、107人の消防吏員で約9万2千人の管内を守る消防本部です。令和6年中の救急出動は4,610件と火災13件のおよそ350倍にのぼり、「自ら考え・行動し・信頼される職員」という求める人材像を明文で公表しています。

食品産業が集積する古賀市と、人口増加が続く新宮町という異なる性格を持つ2つの自治体を、1本部1署1分署という体制でどう支えるのか。この3つの力に自分のどんな経験が重なるのかを、令和8年度からテストセンター方式に変わった試験の流れの中でしっかり語れるように準備しておきましょう。

約9万2千人の暮らしを支える仕事に挑むみなさんを、当研究会も引き続き応援しています。