本記事では、糸島市職員採用試験の面接対策で必要な、糸島市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

糸島市役所の面接では、「なぜ糸島市を志望したのか」、「市職員としてどの仕事を担いたいのか」、「これまでの経験を糸島市政のどこで生かすのか」といった問いが想定されます。答えの厚みを決めるのは、この市が抱えている条件をどこまで具体的に知っているかです。

なお、糸島市の令和8年度試験は社会人経験者を対象とする1期と一般枠の2期に分かれており、期によって試験の段階数も面接の形式も違います。本記事でも、面接の話に入るところからは1期と2期を分けて書いていきます。

第1部|自治体研究編

糸島市の特徴

はじめに、糸島市がどういう条件を持った市なのかを押さえておきましょう。面接で市の話をするときに、いちばん下に敷いておく土台になります。

  • 平成22年1月1日に前原市・二丈町・志摩町が合併して誕生した市。福岡県の西部、糸島半島に位置する。
  • 市北側は玄界灘に面した海岸線、市南側は背振山系の山々、その中間は糸島平野と呼ばれる田園地帯。海と山と平野が一つの市域に重なっている。
  • 市域は215.69km²。福岡県内で境を接するのは福岡市だけで、西と南は佐賀県(佐賀市・唐津市)に接する県境の市でもある。
  • 人口は104,141人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。人口密度は1平方キロメートルあたり約483人。
  • 福岡市中心部の天神からは、JR筑肥線の筑前前原駅まで、西九州自動車道の前原ICまで、いずれも約30分。
  • 高齢化率は30.5%、75歳以上の割合は16.9%。同じ住民基本台帳でみた福岡県全体(28.2%・16.2%)をどちらも上回る。
  • 市は単独で消防本部と消防署を持ち、職員採用試験の2期に消防吏員の区分を設けている。
  • 市の花はハマボウ、市の木はカエデ(モミジ)。市役所は前原西一丁目1番1号に置かれている。

糸島市の基礎データ

糸島市の数字は、面積から入ってください。215.69平方キロメートルという市域の広さが、人口や年齢構成の読み方まで変えます。

そのほかの数字は下の表にまとめました。細かい桁まで覚えなくてよく、けたと順序が口に出せれば十分です。

項目内容
総人口104,141人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
65歳以上人口31,740人(高齢化率30.5%)
75歳以上人口17,592人(総人口の16.9%)
総面積215.69km²
人口密度約483人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
市の成り立ち平成22年1月1日に前原市・二丈町・志摩町が合併して発足
隣接自治体福岡市/佐賀県佐賀市・唐津市
市の花・木ハマボウ(花)・カエデ(モミジ)(木)
市役所の所在地糸島市前原西一丁目1番1号

総人口・65歳以上人口・75歳以上人口とその割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値です。この統計における糸島市の総人口は104,141人、福岡県全体は5,076,856人で、割合の分母にもこれらを用いています。国勢調査を基準に算出された県の推計人口とは調査の基準が異なるため、この表の値と突き合わせて増減を出すことはできません。総面積・市の成り立ち・隣接自治体・市の花と木・市役所の所在地は、公表値をもとに当研究会が整理したものです。

広い市域に10万人、そして進む高齢化

この表で目を留めてほしいのは、215.69平方キロメートルという面積と104,141人という人口の組み合わせです。人口密度にすると1平方キロメートルあたり約483人。政令市に隣接する市としては、市街地と農地と山林が同居した密度になります。

市役所の側から見れば、駅前で暮らす市民と中山間地で暮らす市民を、同じ制度で支えるということです。(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)

年齢構成は、高齢化率30.5%、75歳以上16.9%です。同じ住民基本台帳でみた福岡県全体の28.2%・16.2%を、それぞれ2.3ポイント・0.7ポイント上回ります。ただし糸島市は、人が減り続けてきた市ではありません。

市は令和2年9月の広報で、人口が平成29年以降毎年増加を続け、102,000人を突破したと伝えています(出典:広報いとしま|令和2年9月号)。

人が集まる市で、高齢化も同時に進むという二つの動きが重なっているところが、糸島市の現在地です。

「糸島市は10万人を超える市ですけれども、面積は200平方キロメートルを上回っていて、海の側と山の側では暮らし方がかなり違うとうかがいました。高齢化率も3割を超えていますので、駅の近くと山あいの両方で移動や買い物をどう支えるかが、これから重くなると感じています」

糸島市の経済・産業

水田の県で、中小企業が支える経済

糸島市が置かれている福岡県の産業は、農業と中小企業という二つの言葉で骨格がつかめます。県の耕地面積は7万8,000ヘクタールで県土の16%を占め、水田割合は81%と全国平均の54%を大きく上回ります。全国順位は小麦・いちご・甘柿が2位。

そして県内企業数の99.8%、従業員数の77.3%を中小企業が占めています。(出典:福岡県の産業|令和5〜6年)

つまり水田を土台にした農業と、規模の大きくない事業者の層の厚さが、この県の経済の輪郭です。糸島平野という田園地帯を市域の中央に抱える糸島市は、この輪郭の内側にすっぽり収まっています。

産業振興を志望動機に置くなら、大企業の誘致ではなく、いま市内にある事業者と農漁業者をどう支えるかという設計のほうが、話の座りがよくなります。

天神から30分という立地の両面

糸島市の位置を経済の面から見ると、福岡市に直接接し、天神から鉄道でも高速道路でも約30分という近さが効いてきます。同じ市域のなかに、玄界灘の海岸線と背振山系の山地と糸島平野が並んでいます。

市外へ通勤する住民と、市内の農地や漁場や観光地に関わる住民が、同じ市に住んでいるということです。(出典:糸島市移住・定住サイト「いとしまLIFE」)

この近さは、志望動機の分かれ目になります。福岡市への近さを「人と消費が出ていく条件」と読むか、「人と消費を呼び込める条件」と読むかで、提案する施策が変わるからです。まちづくりや産業に触れるつもりなら、自分がどちらに立つのかを先に決めておきましょう。

宿泊は福岡市へ、では日帰りの客をどうするか

県全体の延べ宿泊者数は、2023年に2,112万人泊と2019年比103.4%まで回復しました。ただし内訳を見ると、県全体のうち福岡地区が66.7%、福岡市だけで52.9%を占めています。

外国人の延べ宿泊者では韓国が46.2%と半数近くを占めます。(出典:福岡県観光政策課資料(延べ宿泊者数)|2023年)

県内の宿泊が福岡市に大きく偏っているという構図は、福岡市に接する糸島市にとって、そのまま宿題になります。泊まらずに帰る人に市内でどうお金を使ってもらうか。観光を語るなら、名所の紹介ではなくこの問いの側に立ってください。

糸島市の主な行政課題

ここまでで見てきた条件は、そのまま市役所の宿題に変換できます。「糸島市の課題は」と問われたときのために、5つ用意しておきましょう。

増える人口と、進む高齢化が同時に来る

市は人口の増加を広報してきましたが、高齢化率30.5%・75歳以上16.9%という年齢構成は県平均を上回る水準です。県全体でも、福岡県人口ビジョンは、社人研の推計に準拠すると2060年に県人口が2020年の514万人から約8割にあたる408万人まで減り、高齢化率は36.1%へ上がると見込んでいます。(出典:福岡県人口ビジョン)

転入で増えた層も、そのまま歳を重ねていきます。子育て支援と高齢者福祉のどちらか一方だけを厚くする選択は取りにくく、市の職員は二つを同じ財源のなかで組み立てる仕事に就くことになります。

合併から生まれた広い市域を、どう支えるか

糸島市は、平成22年に前原市・二丈町・志摩町が一つになってできた市です。215.69平方キロメートルという面積は、その経緯を抜きにしては説明できません。

海沿いの集落、平野の集落、山あいの集落が同じ市の中にあり、どこに住んでいても同じ水準の行政サービスに届くようにすることが、合併でできた市の共通の宿題になります。

公共交通、支所の窓口、消防や救急の到達時間、学校の配置。どれも「市域が広い」という一点から派生します。課題を問われたときにこの構造を一言添えられると、地図を見た人の答えになります。

県の地震想定と、玄界灘に面した市域

福岡県は令和7年10月31日に地震防災アセスメント調査報告書を公表しました。県内7つの主要活断層(小倉東断層・福智山断層帯・西山断層帯・宇美断層・警固断層帯・日向峠-小笠木峠断層帯・水縄断層帯)と南海トラフ地震を想定し、7つの活断層はいずれも最大震度7を予測しています。

警固断層帯(南東部・マグニチュード7.7)では、死者1,800人・災害関連死800人・全壊全焼36,000棟・避難者319,000人(冬18時・強風のケース)という想定です。(出典:福岡県地震防災アセスメント調査(概要版)|令和7年10月)

一方、南海トラフ地震について内閣府が令和7年3月31日に公表した市町村別の最大津波高一覧に、福岡県から掲載されているのは周防灘に面した市町村だけです。玄界灘側の市町村は同じ一覧に載っていません。

糸島市で防災を話すなら、まず県内の活断層の想定から入るほうが、資料の裏づけがあります。(参考:南海トラフ巨大地震の市町村別最大津波高一覧|令和7年3月)

近さの裏側にある、市民との接点づくり

天神まで約30分という距離は、住む場所として選ばれる理由になります。同時に、通勤や買い物で市外へ出る住民が一定数いる市では、市役所の窓口や市の行事に触れる機会そのものが限られやすくなります。市の施策を知らないまま暮らせてしまう、ということです。

広報の届け方、地域の会合の持ち方、デジタルでの手続き。どの部署にいても「まだ接点のない市民」を想定できるかどうかが問われます。志望動機で市民協働に触れるなら、すでに来てくれる人ではなく、来ていない人をどう想定するかまで話せると厚みが出ます。

消防を市単独で持つ体制と、その人材

糸島市は自前の消防本部と消防署を運営しており、令和8年度2期の職員採用試験でも消防吏員の区分(7人程度)を市の試験として実施します。消防本部および消防署で、原則として深夜勤務を含む交替制勤務の消防業務に従事する職員を、市が自ら採り続けるということです。(出典:糸島市職員採用試験 試験区分・試験科目一覧|令和8年度)

事務職を志望する人にとっても、これは他人事ではありません。消防と防災の人員や予算を市が単独で背負う分だけ、災害対応が市役所全体の仕事として設計されることになるからです。

糸島市の重点政策|市が掲げる将来像

糸島市が令和8年度職員採用試験の受験案内の冒頭に置いているのが、将来像「人とまちの魅力が輝く 豊かさ実感都市 いとしま」です。採用の案内の一行目にこの言葉を掲げているという事実自体が、市が職員と何を共有したいかを示しています。(出典:糸島市職員採用試験受験案内|令和8年度)

県の計画が挙げる四つの変化

市の施策を読む前に、県がどう状況を捉えているかを見ておくと、位置づけがしやすくなります。

福岡県総合計画(令和4年度〜令和8年度)は、県を取り巻く大きな変化として「人口減少・少子高齢化の進行」「デジタル化・脱炭素社会への対応」「グローバル化の進展」「頻発化・激甚化する自然災害」の四つを挙げ、誰一人取り残さない社会というSDGsの考え方が一層重要だとしています。(出典:福岡県総合計画|令和4年度〜令和8年度)

糸島市の事業も、この四つの外側にはありません。市の計画を開いたときは、目についた事業が四つのどれに効くのかを見当づけながら読むと、頭に残りやすくなります。

市の計画は、受ける年の版を自分で開く

糸島市の最上位の計画と、直近の予算・施政方針の資料は、いずれも市の公式サイトから読めます。受験する年に市が何を目標として掲げているかは、そこで直接確かめてください。将来像の言葉づかいは変わらなくても、その下にぶら下がる事業は入れ替わります。

POINT|計画の項目名を覚えることが目的ではない

関心のある分野を一つか二つ選び、「①糸島市でいま何が起きているか → ②市はどうしたいと言っているか → ③動いている事業は何か → ④市だからできることは何か → ⑤自分の経験のどこが使えるか」の順に調べていきましょう。

悪い例「糸島市の農業を盛り上げる仕事がしたいです」

改善例「海と山と平野がそろっている市ですので、市内でとれたものを市内で食べてもらう仕組みづくりに関わりたいです。天神から30分という近さがありますから、日帰りで来た方にどう市内でお金を使っていただくかを、生産者の方の話をうかがいながら考えていきたいと思っています」

あわせて確認したい公式資料

糸島市を受けるなら一度は開いておきたい資料を、4つ挙げます。いずれも市や県の公式サイトから入手できます。

  • 令和8年度糸島市職員採用試験の受験案内と、試験区分・試験科目の一覧(1期・2期それぞれ)
  • 市の最上位の計画と、最新年度の予算・施政方針に関する資料
  • 関心分野の個別計画(地域防災計画、都市計画、農林水産業や観光の振興に関する計画など)
  • 市の統計と広報(人口の推移、主要事業の紹介)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、糸島市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。糸島市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

糸島市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

糸島市役所の面接の概要

ここからは試験の形式に入ります。質問の全体像をつかみ、差のつく問いにどう備えるかまで順に見ていきましょう。最初に確かめてほしいのは、1期と2期で面接の設計そのものが違うという点です。

1期と2期で、面接までの道のりが違う

令和8年度の糸島市職員採用試験は、社会人経験者を対象とする1期と、一般枠の2期に分かれています。1期は3段階、2期は4段階で、人物を見る試験の回数も形式も別物です。

項目1期(社会人経験者対象)2期(一般枠)
試験の段階3段階(第一次〜第三次)4段階(第一次〜第四次)
第一次試験総合能力試験「SPI3による性格検査及び能力検査」+職務経歴評定「職務経歴書による評定」総合能力試験「SPI3による性格検査及び能力検査」
第二次試験面接試験(個別面接)集団面接試験「性格、人柄等についての集団面接試験」
第三次試験面接試験(個別面接)集団試験「性格、人柄等についてのグループワーク」
第四次試験設定なし個別面接試験「性格、人柄等についての個別面接試験」
人物を見る試験個別面接2回集団面接1回+グループワーク1回+個別面接1回
試験区分7区分(一般事務Aは11人程度)8区分(一般事務Hは15人程度、消防吏員Oは7人程度)
提出書類職務経歴書(申込時にアップロード。第一次試験の「職務経歴評定」の対象)エントリーフォームへの入力。申込サイトのプロフィール画像が選考時の履歴書として使用される

上記は糸島市が公表している令和8年度の受験案内および試験区分・試験科目一覧にもとづくものです。配点は、これらの資料には記載がありません。試験の構成・区分・科目は年度によって変わりますので、受験の際はご自身が受ける期と区分の最新の受験情報をご確認ください。

表のとおり、2期は集団面接・グループワーク・個別面接という三つの形式を順に通る設計です。同じ「性格、人柄等について」を見る試験を、人数と場面を変えて三度重ねています。1期のほうは個別面接が2回で、その手前に職務経歴書の評定が置かれています。

2期では職種別の上乗せもあり、文化財Nは第二次試験で専門試験(記述式の筆記60分と、埋蔵文化財調査に関する実技60分)、消防吏員Oは第二次試験で体力検査、社会福祉士J・保健師K・土木技術L・建築技術Mは第三次試験で択一式の筆記試験(90分)が課されます。

申込は官公庁・自治体の求人サイトを通じて行い、令和8年度は1人1回に限られます。複数の試験区分への申込も、1期と2期の併願もできません。受ける期と区分を先に決めるところから準備が始まる、ということです。

第一次試験の能力検査は受験者が選ぶテストセンター(天神三丁目会場などの全国の会場、またはオンライン会場)で、性格検査はパソコンやスマートフォンによるWEBテスティングで受けます。

糸島市が掲げる「求める人材像」

糸島市は令和8年度の受験案内で、「新しいまちづくりへの意欲と能力を持ち 市民から信頼される人材」を求める人材像として掲げ、その中身を五つの項目に分けて示しています。

  • 市民本位
    市民の満足度を高めようとする意欲
  • 広い視野
    国の内外を見渡す視野
  • 創造志向
    市の特性に合った方法を立案し、新たな課題に立ち向かう力
  • 実行力
    緻密な論理構成力と粘り強い行動力
  • 改革志向
    自己の能力を開発する努力

五つのうち三つ、広い視野・創造志向・改革志向が、いまのやり方を変えることに関わる言葉です。市民本位と実行力が土台にあり、その上で変えていける人、という並び方だと読めます。自己PRでは「意欲があります」で止めず、その意欲を使って何を変え、周りがどう変わったのかまで説明しましょう。

受験案内が示しているのは、この五項目までです。その先を埋める材料として、当研究会なりの読み方を一つ差し込んでおきます。人口10万人台で、面積が200平方キロメートルを超え、消防まで単独で持つ規模の市役所では、一人の職員が受け持つ範囲は自然と広くなります。

2期で八つの区分を同じ四段階に通し、30人前後を一度に採る設計も、幅を持って動ける人を前提にしているように見えます。こうした場では、担当が変わるたびに一から覚え直すことを苦にしないかどうかが、長い目で効いてきます。

糸島市の場合は海の側と山の側で暮らし方が違い、合併から十数年という経緯もありますから、相手によって説明の仕方を変えられることに重きが置かれても不思議はありません。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。糸島市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日はどちらから来られましたか?用意していない問いに素のまま返せるか。受け答えのテンポと表情
② 動機・志望公務員のなかで、なぜ糸島市を選んだのですか?民間でも成り立つ理由で止まっていないか。1期なら、これまでの職務経験からの接続まで語れるか
③ 自己理解ご自身の弱みはどこにあると思いますか?自分を外側から見られているか。弱みとどう付き合ってきたかまで話せるか
④ 経験・行動これまでで一番うまくいかなかったことを教えてください出来事の大きさではなく、その場面で何を考え、どこで手を打ったか
⑤ 学業・経歴学生時代(前職)で力を入れたことを説明してください専門外の相手に届く言葉へ置き換えられるか。1期は職務経歴書の記載との整合も見られる
⑥ 適性・将来希望と違う部署に配属されたらどうしますか?八つの区分で人を採る市役所の仕事の幅を、どこまで想像できているか
⑦ 公共性・社会性最近気になったニュースを一つ挙げてください世の中の動きを追っているか。それを短く自分の言葉でまとめられるか

この7つは、どの官公庁を受けても準備しておきたい領域です。ただ、糸島市の2期は集団面接・グループワーク・個別面接と場面が入れ替わりますから、同じ話を三度、違う相手と違う人数のなかで出すことになります。

三度を通して芯が変わらないかどうかは、次の「糸島市ならでは」の問いにどれだけ材料を持っているかで決まります。

合否を分けるのは「糸島市ならでは」の質問

「なぜ福岡県庁ではなく、糸島市役所なのですか?」
「糸島市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

この二問は、正解を暗記して臨む種類の質問ではありません。糸島市について自分が何を見て何を考えたか、その中身がそのまま出ます。逆に言えば、準備した材料の質が、そのまま差になって表れる場面でもあります。

こうした質問に答えるための「糸島市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい糸島市の事実答え方のヒント
市の成り立ち平成22年1月1日に前原市・二丈町・志摩町が合併して発足。市域は215.69平方キロメートル合併でできた市であることに触れ、海沿い・平野・山あいで条件が違うという前提から話を始めます
人口と年齢構成住民基本台帳(令和8年1月1日現在)で104,141人。高齢化率30.5%・75歳以上16.9%はいずれも県平均を上回る。市は令和2年9月の広報で人口の増加が続いていると伝えている増加と高齢化が同時に進んでいることを一続きで述べ、どちらか片方だけを見た答えにしないでください
なぜ県庁ではなく市役所か糸島市は消防本部と消防署を単独で持ち、令和8年度2期では消防吏員を市の試験区分として採用する制度の説明で終わらせず、市が自前で担っている仕事の具体を一つ挙げてから、住民の近くで働きたい理由へつなげます
防災県は令和7年10月に7つの主要活断層と南海トラフを想定した調査結果を公表し、7活断層はいずれも最大震度7。内閣府の市町村別最大津波高一覧に載る福岡県の市町村は周防灘側のみまず県内の活断層の想定に触れ、そのうえで海と山を抱える市域で避難の条件がどう変わるかへ話を運びます
糸島市の魅力北側は玄界灘の海岸線、南側は背振山系、中間は糸島平野。福岡市中心部の天神から鉄道でも高速道路でも約30分景色の紹介で止めず、その近さと自然を市内の仕事や収入にどうつなげるかまで踏み込みます

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

糸島市が受験案内に掲げる「求める人材像」の五項目に照らして、面接ではこれまでに実際どう行動してきたかが確かめられます。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
市民本位相手の事情に合わせて対応を変えた経験があるか。うまく伝わらなかった相手にどう向き合ったか海の側と山の側で条件が違う市であることを念頭に、同じ説明が通じなかったときに何を変えたかを一つ用意しておく
広い視野市の中だけで完結しない話題に、自分の関心が届いているか。国内外の動きを自分の言葉で説明できるか市の産業や観光に関わる国内外の動きを一つ選び、それが糸島市の仕事にどうつながるかまで言えるようにする
創造志向前例のないやり方を自分で立てた経験。何を見て、その方法を選んだか結果の規模ではなく、案を考えた場面で何を手がかりにしたのかを具体的に話せるようにする
実行力立てた案を最後まで運んだ経験。途中でどこを変えたか立案から実行までのどの部分を自分が受け持ったのかを、時系列で言えるようにする
改革志向いまも学び続けている対象があるか。何をきっかけに始め、どこまで進んだか資格や勉強の話に限らず、2期で課されるグループワークのように初対面の人と組む場面での学び方も棚卸ししておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。糸島市は1期なら個別面接が2回、2期なら形式を変えて三度人物を見ますので、同じ経験を角度を変えて聞かれる前提で、自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 自分が受けるのは1期か2期かを決め、その期の受験案内と試験区分・試験科目の一覧を最後まで読む(申込は1人1回で、期と区分の併願はできません)
  2. これまでの経験を書き出す。1期なら、職務経歴書に書く内容と面接で話す内容を必ず一致させておく
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. この記事の第1部に戻り、糸島市の事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の対応表から材料を選び、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 声に出して練習する。2期を受けるなら、集団の場で同じ話を短く出す練習も一度は入れておく

優先順位に注意

ステップ4と5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間が足りないときは、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を糸島市の仕事へどうつなぐかという自己分析を先に終わらせてください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、糸島市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

糸島市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

糸島市役所の想定問答集を見る

さいごに

糸島市の令和8年度試験は、1期なら第一次の職務経歴評定を経て個別面接が2回、2期なら集団面接とグループワークを挟んで個別面接へ、という順に進みます。どちらの期でも、同じ人物を場面を変えて確かめる設計です。自分がしてきたことのうち、海と山と平野を抱えた10万人規模の市役所の仕事に届くのはどれなのか。

そこを選び分けておけば、二度でも三度でも、話に一本の線が通ります。まずは、受ける期を決めるところから始めてください。