本記事では、武蔵野市職員採用試験の面接対策で必要な、武蔵野市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
武蔵野市役所の面接では、「なぜ武蔵野市を志望したのか」、「市の課題をどう捉えているか」、「これまでの経験を市政でどう活かすのか」といった質問が想定されます。武蔵野市の一般事務はグループワーク試験、個別面接試験、理事者による個別面接試験と、人物を見る段階を3回重ねる構成になっており、準備の厚みがそのまま結果に出ます。
本記事の内容を手がかりに、自分の経験と武蔵野市政の接点を整理し、回答づくりに役立ててください。
第1部|自治体研究編
武蔵野市の特徴
面接対策に入る前に、武蔵野市がどんな市なのかを一通り押さえておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 杉並区、練馬区という特別区2区と、三鷹市、小金井市、西東京市という多摩地域の3市の双方に接している市である。
- 総人口は147,958人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、世帯数は80,172世帯(令和8年8月1日現在の市公式サイト掲載値)。総面積は10.98km²。
- 市の木はコブシ・ケヤキ・ハナミズキの3種。市役所は緑町にあり、採用を担当するのは総務部人事課。
- 市制施行日は11月3日で、「武蔵野市職員行動指針」もこの日付に合わせて平成22年11月3日に制定されている。
- 「武蔵野市人材育成基本方針2024」は令和6年度から令和11年度までの概ね5年間を計画期間とし、人材育成の基本理念を3本柱で示している。
- 令和8年度実施の職員採用試験は試験区分が「上級」のみで、一般事務は申込区分A・B・Cの3区分に分かれ、採用時期が異なる。
- 一般事務の選考は書類審査に加えて4段階で、人物を見る試験がグループワーク試験、個別面接試験、理事者による個別面接試験の3回置かれている。
- グループワーク試験が課されるのは一般事務のみで、試験案内に「集団討論」「集団面接」という名称の試験は登場しない。
- 一般事務の仕事は「政策企画、広報、財政、税務、産業振興、防災安全、環境、福祉、子育て支援、教育など、多岐にわたる行政運営に携わる仕事」とされ、配属先の例は市の組織を構成するほぼ全ての部署とされている。
武蔵野市の基礎データ
統計を細部まで覚える必要はありませんが、武蔵野市がどんな密度と位置を持つ市なのかを説明できることは、志望動機の土台になります。
次の表は、市の数値と、規模を測る手がかりとなる東京都全体の数値を並べたものです。市と都では統計の作り方も時点も異なりますので、引き算のためではなく桁をつかむために使ってください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 147,958人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 世帯数 | 80,172世帯(令和8年8月1日現在) |
| 総面積 | 10.98km² |
| 人口密度 | 13,475人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 高齢化率(住民基本台帳) | 23.0%(令和8年1月1日現在)/75歳以上は13.5% |
| 隣接自治体 | 杉並区、練馬区、三鷹市、小金井市、西東京市 |
| 市役所所在地 | 〒180-8777 東京都武蔵野市緑町2-2-28 |
| 市の木 | コブシ・ケヤキ・ハナミズキ |
| (参考)東京都の総人口 | 14,273,066人(令和7年10月1日現在の推計) |
| (参考)東京都の総面積 | 2,194km²(全国で3番目の小ささ) |
| (参考)東京都の高齢化率 | 23.4%(令和7年9月15日現在の推計) |
武蔵野市の総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の値、世帯数は市公式サイトの掲載値(令和8年8月1日現在)です。面積・隣接自治体・市の木は公表値をもとに当研究会が整理し、人口密度は上記の総人口を総面積で割って算出しました。市の高齢化率と75歳以上の割合は、総務省が住民基本台帳をもとに集計した令和8年1月1日現在の値です。東京都の総人口・面積・高齢化率は都の推計等にもとづく値で、市の住民基本台帳の値とは集計の系統が異なりますので、直接の比較はお控えください。市の最新の統計は武蔵野市公式サイトであわせてご確認ください。
都の平均の2倍を超える密度
東京都の人口14,273,066人を総面積2,194km²で割ると、都の平均的な人口密度はおよそ6,500人/km²になります(当研究会による単純計算です)。
武蔵野市のおよそ13,475人/km²は、その2倍を超える水準です。(出典:東京都の人口(推計)|令和7年10月1日現在/東京の概要|東京都観光公式サイト)
10.98km²という市域は、多摩地域の市としては小さい部類です。そこに14万人を超える人が暮らし、8万世帯が生活しています。
土地の余裕がないぶん、施設の配置や道路の整備は、既にある使い方との調整から始まるということです。新しい何かを足すという話は、この市ではほぼ必ず「どこに置くか」という問いとセットになります。
位置も特徴的です。杉並区と練馬区という特別区に接する一方で、三鷹市、小金井市、西東京市という多摩の市にも囲まれています。
ただし、特別区は都区財政調整制度をはじめ市とは異なる仕組みの中にあり、職員の採用試験も特別区人事委員会が別に実施しています。隣接していても制度は別という点は、志望動機を語るうえで取り違えないようにしてください。
武蔵野市の経済・産業
人が集まる都市の経済という背景
確認した武蔵野市公式サイトの市政情報のページと令和8年度実施の試験案内の範囲では、市単独の市民経済計算にあたる資料は見当たりませんでした。ここでは、市が置かれた経済の土台を東京都全体の数値から押さえます。
- 令和4年度の経済活動別都内総生産は名目で120兆2千億円、全国シェアは21.2%。
- 2024年(令和6年)の東京都の観光消費額はおよそ9兆4,762億円で、生産波及効果はおよそ18兆4,844億円。2019年比で56.1%の増加。
- 令和5年の訪都旅行者数は全体でおよそ4億9,410万人、うち外国人旅行者はおよそ1,954万人で過去最多となった。
都の外から人が訪れ、都の中で人が動くことが、そのまま経済の大きさにつながっている構図です。(出典:訪都旅行者数等の実態調査結果|2024年(令和6年))
住む人と訪れる人が重なる市域
武蔵野市は、住まいが密集した市域を持ちながら、市外からも人が訪れる場所を抱えています。
昼と夜で市域にいる人の顔ぶれが入れ替わるという条件は、行政の仕事に直接効いてきます。ごみの処理も、交通の安全も、災害時の対応も、住民登録のある人だけを想定しては成り立たないからです。
面接でまちの魅力を語るとき、来街者の多さを挙げるのは自然な流れです。ただ、そこで止まると観光の感想になってしまいます。
訪れる人が多いことが、市役所にどんな仕事を生んでいるかまで踏み込むと、受験者としての視点が伝わります。
歩行者の安全、路上の環境、災害時に市内にいる人の把握。いずれも人の流れが多い市ならではの課題です。
市の一般事務の仕事は、試験案内で「政策企画、広報、財政、税務、産業振興、防災安全、環境、福祉、子育て支援、教育など、多岐にわたる行政運営に携わる仕事」と説明され、配属先の例は市の組織を構成するほぼ全ての部署とされています。
産業の話題も福祉の話題も、いずれ自分の担当になりうるという前提で市政を眺めておきましょう。(出典:武蔵野市職員採用試験案内|令和8年度実施)
武蔵野市の主な行政課題
ここまでの条件から、市が向き合っている課題を4つの角度で整理します。面接で市の課題を問われたときの引き出しにしてください。
限られた土地に、あらゆる機能を収める
10.98km²に147,958人が暮らすという条件は、施策の選択肢そのものを狭めます。保育所を増やす、高齢者の通いの場をつくる、災害時の物資を備蓄する。
どれも場所の確保から議論が始まるからです。武蔵野市の市政では、何をするかと同じくらい、どこでするかが論点になります。
この話題を扱うときは、賛成と反対のどちらかに急いで立たないことです。土地の使い道は立場によって答えが変わりますから、複数の見方があることを踏まえて自分の考えを述べる姿勢のほうが、行政職員としての適性を示せます。
都全体と近い高齢化率と、その先
総務省が住民基本台帳をもとに集計した令和8年1月1日現在の値では、武蔵野市の人口147,958人のうち65歳以上が34,011人で、高齢化率は23.0%です。
75歳以上は19,940人、率にして13.5%にあたります。(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)
東京都全体では、令和7年9月15日現在の推計で高齢者人口が312万人、高齢化率は23.4%です。うち75歳以上は184万6千人で、前年から3万2千人増えて過去最多となりました。
集計の系統が異なるため単純に並べることはできませんが、都全体と近い水準にあることは読み取れます。(出典:敬老の日にちなんだ東京都の高齢者人口(推計)|令和7年)
注目したいのは、今の水準ではなくこの先です。
都の75歳以上人口が過去最多を更新し続けているという事実は、密集した市域を持つ市にとって、在宅での支援や移動の負担といった課題が今後重みを増すことを意味します。率の紹介で終わらせず、そこまで話を進めてください。
採用の時期が年に3回あるという運用
令和8年度実施の試験では、一般事務の申込区分がA(令和8年8月採用・10名程度)、B(令和8年10月採用・10名程度)、C(令和9年4月採用・40名程度)の3つに分かれています。採用時期は原則として令和8年8月1日、令和8年10月1日、令和9年4月1日です。
年度の途中にも採用の入口を置いているということは、必要な人材を必要な時期に迎えたいという運用が背景にあると読めます。
受験する側から見れば、自分がどの区分で申し込むのかによって、面接で語る「入職後」の時間軸が変わるということでもあります。申込区分はいずれか1つしか選べませんので、選び方そのものが志望の説明の一部になります。
人の流れが多い市域での災害対応
東京都が令和4年5月に公表した被害想定では、都心南部直下地震が冬の夕方に発生した場合、死者約6,100人、負傷者約9万3,400人、建物被害約19万4,400棟、避難者約299万人、帰宅困難者約453万人と想定されています。
これは都全体を対象とした想定であって、武蔵野市単独の被害想定ではありません。(出典:首都直下地震等による東京の被害想定|令和4年5月公表)
それでも、避難者が約299万人という規模の想定は、密集した市域を持つ市にとって現実的な重みを持ちます。
加えて、市外から訪れている人が市内にいる時間帯に地震が起きれば、市の対応は住民登録のある人の数だけでは足りません。防災を語るなら、避難所の数の話にとどめず、誰を受け入れることになるのかという視点まで進めてください。
武蔵野市の重点政策|職員行動指針と人材育成基本方針2024
武蔵野市には、職員のあり方を示す公表文書が2つあります。制定の時期も性格も違いますので、面接で引用するときは混同しないようにしましょう。
職員行動指針の5項目
「武蔵野市職員行動指針」は平成22年11月3日に制定されました。
その冒頭は「私たち職員の使命は、市民のために公共の課題を解決することです。その職務行動の原点には、武蔵野市を誇りに思う気持ちがあります。」という一文から始まり、市民生活に根ざした先進的な市政運営の伝統を継承し、行政のプロフェッショナルとして努力を続けると述べています。(出典:武蔵野市職員行動指針|平成22年11月3日制定)
指針の本体は次の5項目です。
- 市民感覚を大切にし、誠実に取り組みます。
- 目的志向で考え、果敢に挑戦し、粘り強くやりぬきます。
- 社会経済情勢の変化をつかみ、大局的な視野で改革を続けます。
- 市民の税金を大切にし、限られた経営資源を効果的かつ効率的に活用します。
- 目標を共有し、強いチームワークで活気のある組織を作ります。
この指針は、上から降ってきた文書ではありません。市は制定にあたり、指針の納得性と実効性を高めるためにすべての職員に意見を求め、管理職には個別インタビューを、一般職員にはワールドカフェ形式の会議を行ってキーワードを抽出しました。
職員自身の言葉を集めて作られた指針だという成り立ちが、この5項目の重みになっています。
人材育成基本方針2024が掲げる3本柱
より新しい文書が「武蔵野市人材育成基本方針2024」です。
計画期間は令和6年度から令和11年度までの概ね5年間で、人材育成の基本理念として次の3つを掲げています。(出典:武蔵野市人材育成基本方針2024|令和6年度から令和11年度)
- 市民感覚で現場の課題を捉え、解決する
具体としては「現場主義による課題の発見」が挙げられ、職員が直接現場を見て市民の声を聴き、自分の五感を研ぎ澄ませて感じ、ひらめくこととされています。あわせて地域をコーディネートしていくことも示されています。 - 仕事の目的を考え、挑戦と改革を続ける
誰のために、何のために、どのような効果を期待するのかといった目的を明確に意識すること、挑戦し粘り強くやり抜く職員を育てること、効果的かつ効率的な業務遂行を目指すことが挙げられています。 - 一人ひとりの強みを引き出しあい、組織力の向上に貢献する
多様性を尊重して強みを引き出しあうOJTの推進が掲げられ、仕事を通じてほめる、叱る、認めるを行動に表して伝える組織風土を醸成するとされています。ワーク・ライフ・マネジメントの推進も含まれます。
確認した武蔵野市の人材育成基本方針2024の本文には、「求める職員像」という見出しを持つ明文は置かれていませんでした。面接で引用するなら、行動指針の5項目か、この基本理念の3本柱を使うのが正確です。
行動指針は平成22年制定、基本方針は令和6年度からの文書ですので、出典と時点を取り違えないようにしてください。
引用できる根拠があるのは、ここまでの記述です。この先は当研究会による解釈ですので、そのつもりでお読みください。
人口15万人に迫る規模の市役所では、窓口や現場で市民と向き合う仕事と、施策を練る仕事が組織の中で近い距離に置かれています。基本方針が「現場主義による課題の発見」を先頭に置いているのは、現場で拾った声が施策の検討に届く距離にあるからだと読めます。
武蔵野市に合わせて、いつもと違う自分を出す必要はありません。自分の経験のうち、現場で気づいたことを形にした場面を選んで語ればよいということです。
POINT|3回の人物試験を、同じ軸でつなぐ
①行動指針の5項目と基本理念の3本柱を読み比べ、自分が語れるものを1つずつ選ぶ → ②その2つに当てはまる経験を1本ずつ用意する → ③グループワークでは「現場で拾った具体」を持ち込む役を意識する → ④個別面接と理事者面接では、同じ経験を長さを変えて話せるようにする、という順で準備しましょう。
悪い例「現場主義を大切にして市民の声を聴ける職員になりたいです」
改善例「人材育成基本方針に、現場を見て市民の声を聴くという言葉があると知りました。私はアルバイト先で、混み合う時間帯に何が起きているかを実際に見てから、並び方の案内を貼る提案をしたことがあります。まずは窓口で、来られた方が何に困っているのかを自分の目で確かめられる職員になりたいです」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係するものを選び、書かれている中身を要約して伝えられるまで読み込んでおきましょう。
- 武蔵野市職員採用試験案内(自分が受ける年度と申込区分のもの。案内が2系統ある年もあるため、採用時期を必ず確認してください)
- 武蔵野市職員行動指針(5項目と、その成り立ち)
- 武蔵野市人材育成基本方針2024(基本理念の3本柱と具体の取組)
- 武蔵野市公式サイトの市政情報、広報紙、各種計画のページ
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、武蔵野市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。武蔵野市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
武蔵野市役所の面接の概要
ここからは、武蔵野市役所の採用試験の構成と、面接で問われやすい質問の全体像、差がつく質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析にもとづいて整理します。
武蔵野市役所の試験の流れ
令和8年度実施の武蔵野市職員採用試験は、試験区分が上級のみです。一般事務は、受験申込の段階で書類審査が置かれ、その後に1次試験から最終試験までの4段階が続きます。
このうち人物を見る試験が3回あり、最終試験は理事者による個別面接試験です。
| 項目 | 内容(令和8年度実施・上級/一般事務を中心に) |
|---|---|
| 試験区分 | 「上級」のみ |
| 一般事務の申込区分 | A(令和8年8月採用・10名程度)、B(令和8年10月採用・10名程度)、C(令和9年4月採用・40名程度) |
| 一般事務の選考の流れ | 受験申込(電子申請・書類審査)、1次試験(WEBテスト=TG-WEBの基礎能力検査・性格検査)、2次試験(グループワーク試験)、3次試験(個別面接試験)、最終試験(理事者による個別面接試験) |
| 人物試験の回数 | 3回(グループワーク試験、個別面接試験、理事者による個別面接試験) |
| グループワーク試験の対象 | 一般事務のみ。試験案内に「集団討論」「集団面接」という名称の試験は登場しません |
| 一般技術・一般福祉 | 1次試験(WEBテスト)、2次試験(個別面接・小論文試験。小論文試験は一般技術のみ)、最終試験(理事者による個別面接) |
| 保育士・保健師・栄養士 | 1次試験(専門試験(マークシート方式)・小論文試験)、2次試験(個別面接)、最終試験(理事者による個別面接) |
| 一般事務【身体・知的・精神障害者】 | 1次試験(教養試験(マークシート方式)・小論文試験)、2次試験(個別面接)、最終試験(理事者による個別面接)。教養試験の出題分野は時事、社会・人文、自然に関する一般知識、文章理解、判断・数的推理、資料解釈 |
| 配点 | 各試験の配点・合否決定方法は、令和8年度実施の試験案内に記載がありません |
| 申込の制限 | 申込区分AからMのうちいずれか1つのみ申込みできます。複数区分に申し込んだ場合は、申込みを行った全ての区分の受験ができなくなる場合があります |
| 一級建築士の1次免除 | 一般技術(建築)で一級建築士の免許を所持している場合は1次試験が免除され、申込時に「一般技術(建築)※1次免除」を選択し資格証明書類をアップロードします |
| 年齢要件の変更 | 令和8年度実施試験から、一般技術職の受験可能な年齢の上限を40歳から45歳へ5歳引き上げています |
| 試験会場と通知 | 会場はいずれも武蔵野市役所。書類審査の結果および1次試験以降の案内と結果は申込専用サイトのマイページで通知され、最終試験の結果のみ書面で通知されます |
| 採用候補者名簿 | 登載の有効期間は採用予定日から1年間で、職員の欠員状況に応じて名簿登載者の中から採用されます |
上記は武蔵野市の令和8年度実施の職員採用試験案内にもとづく内容です。各試験の配点・合否決定方法は公表されておらず、公表資料からは確認できません(当研究会調べ)。「面接カード」という名称の提出書類も試験案内に記載がなく、申込は電子申請で書類審査が選考の一段階として組み込まれています。武蔵野市の試験案内は採用時期の異なる系統が並存する年がありますので、受験の際は必ずご自身が申し込む区分の最新の試験案内をご確認ください。(出典:武蔵野市職員採用試験案内|令和8年度実施)
3回の人物試験が意味すること
一般事務の選考では、グループワーク試験、個別面接試験、理事者による個別面接試験と、性格の違う3つの場が用意されています。集団の中での振る舞い、一対一での受け答え、そして市の経営に責任を持つ立場からの面接。
見る角度を変えながら、同じ人物かどうかを確かめる作りだと読めます。
この構成で効いてくるのは、話を大きく作らないことです。段階が進むほど質問は具体的になりますから、最初の場で背伸びした話をすると、後の段階で支えきれなくなります。
3回を通して同じ経験を軸に据え、聞かれ方に応じて長さと角度を変えるほうが、はるかに安定します。
理事者による個別面接については、令和8年度実施の試験案内に、面接官の構成や質問の傾向に関する記載はありません。市の全体像に関わる問いが出ても答えられるよう、第1部で整理した市の条件は、その場で取り出せる形にして頭に入れておきましょう。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。武蔵野市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 市役所までは、どちらからお越しになりましたか | 構えのいらない問いへの応じ方。声の出方と表情がここで確かめられます |
| ② 動機・志望 | 民間企業ではなく市役所を選んだ理由を教えてください | 比べたうえでの選択か。動機が自分の経歴と地続きか |
| ③ 自己理解 | ご自身の強みを、それが発揮された場面とあわせて教えてください | 言葉だけで終わらせず、行動の裏づけを持っているか |
| ④ 経験・行動 | 現場に足を運んで気づいたことをもとに動いた経験はありますか | 現場主義との相性。気づきから行動までの距離 |
| ⑤ 学業・経歴 | 力を入れて取り組んだことを、専門外の人にも伝わるように話してください | 相手に合わせて言い換える力。3回の面接すべてで効きます |
| ⑥ 適性・将来 | 入職後、どの分野で力を発揮したいですか | 配属がほぼ全ての部署に及ぶことを踏まえた答え方ができるか |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近関心を持った出来事を一つ挙げて、考えを聞かせてください | 社会の動きへの目配りと、自分なりの受け止め |
7つのカテゴリーは全国どこの採用面接でも顔ぶれが変わりません。裏返せば、対策の厚みでは抜け出しにくい領域だということです。
差が出るのは、次の武蔵野市ならではの質問です。
差がつくのは「武蔵野市役所ならでは」の質問
どちらも市の実情を知らなければ、その場で組み立てるのは難しい質問です。裏を返せば、集めてきた事実がそのまま答えの中身になる質問だということです。
面接で使いやすい武蔵野市の事実を、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい武蔵野市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 市の規模と密度 | 総人口147,958人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)・80,172世帯(令和8年8月1日現在)、面積10.98km²、人口密度はおよそ13,475人/km²で都平均の2倍超 | 密度を挙げたあと、施策が必ず「どこに置くか」とセットになることまで進めます。数字を条件として使う姿勢が伝わります |
| なぜ都庁ではなく市役所か | 一般事務の配属先例は市の組織を構成するほぼ全ての部署。仕事は政策企画から福祉、子育て支援、教育まで多岐にわたる | 都の施策を14万人の暮らしの単位へ届け直す側に立ちたい、という軸を先に置きます。配属が広いことを承知していると添えると実像に沿います |
| 特別区との違い | 杉並区・練馬区と接するが、特別区の職員採用は特別区人事委員会が別に実施しており制度が異なる | 隣接していても仕組みが別であることを正しく押さえたうえで、市であることを選んだ理由を述べます |
| 職員像への理解 | 職員行動指針は5項目(平成22年11月3日制定)、人材育成基本方針2024の基本理念は3本柱(令和6年度から) | 2つの文書は別物です。どちらの言葉を使うかを決め、時点まで添えて引用すると正確さが伝わります |
| 高齢化への理解 | 住民基本台帳(令和8年1月1日現在)で高齢化率23.0%、75歳以上は13.5%。都全体の推計値である23.4%と近い水準 | 今の水準ではなく、この先75歳以上が増えたときに密集した市域で何が起きるかまで話を進めてください |
| 試験の性格 | 一般事務は人物試験が3回。申込区分はAからMのうち1つのみ選べる | 3回を通して同じ軸で話す準備をしていると示せます。区分を選んだ理由も、入職後の時間軸の説明としてそのまま使えます |
使い方のコツは、6つを丸ごと覚えることではありません。関心の近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 現場から課題を見つける力 | 自分の目で確かめたことをもとに、どう動いたか | 人材育成基本方針2024は「現場主義による課題の発見」を先頭に置いています。実際に足を運んで気づいた経験を1つ、気づきの瞬間まで具体的に話せるようにしておく |
| 集団の中での寄与 | グループワーク試験で、議論の前進に何を足したか | 2次試験はグループワーク試験です。自分が力を出しやすい役回りを決め、同じ役回りで動いた経験を用意しておく |
| 説明の一貫性 | 3回の人物試験を通じて、話の軸がぶれないか | グループワーク、個別面接、理事者面接で聞かれ方が変わります。同じ経験を1分と5分の両方でまとめ直す練習をしておく |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。武蔵野市は人物試験を3回課しますので、同じ経験に何度も光を当てられる前提で準備してください。
自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 自分が受ける職種と申込区分を決め、最新の試験案内で選考の流れと採用時期を確認する(区分は1つしか選べません)
- これまでの経験を棚卸しする。学業、部活動、アルバイト、職務、地域での活動から、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、人口147,958人・面積10.98km²・高齢化率23.0%という武蔵野市の輪郭と、区と市の双方に接する位置を自分の言葉で説明できるようにする
- 職員行動指針の5項目と人材育成基本方針2024の3本柱を読み比べ、自分の経験を割り当てる。割り当てられない項目が、準備の抜けている場所です
- 同じ経験を1分と5分で話す練習をする。グループワーク、個別面接、理事者面接のいずれでも同じ軸で話せる状態を目指す
順番に注意
ステップ4の自治体研究は、ほかの受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、ステップ5の公表文書との突き合わせを先に済ませてください。人物試験が3回ある選考では、話の軸が定まっていないことが最も大きな不利になります。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、武蔵野市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
武蔵野市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
武蔵野市の一般事務は、グループワークで他の受験者と、個別面接で試験官と、そして最後に理事者と向き合うことになります。三つの場を同じ人物として通り抜けるには、借りてきた言葉ではなく、自分が実際に見て動いたことを持っていく必要があります。
10.98km²に14万人が暮らし、区にも市にも接するこのまちで、限られた土地の使い方を市民と一緒に決めていく仕事を、自分はどう引き受けるのか。
職員行動指針の「市民感覚を大切にし、誠実に取り組みます」という一文に、自分のどの場面で応えるのか。その答えを、手持ちの経験から一つずつ組み立てていってください。