本記事では、東久留米市職員採用試験の面接対策で必要な、東久留米市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
東久留米市役所の面接試験では、「なぜ東久留米市なのか」「市職員としてどんな仕事をしたいのか」「これまでの経験を市政にどう生かすのか」といった質問が想定されます。
東久留米市の採用試験は、第2次が集団討論試験、第3次が個別面接試験という3段階です。一人で語る力だけでなく、他の受験者と議論しながら考えを進める力も見られます。
本記事の内容をもとに、自分の経験と東久留米市政との接点を整理し、面接と集団討論の準備に役立ててください。
第1部|自治体研究編
東久留米市の特徴
面接対策に入る前に、東久留米市の輪郭を押さえておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 面積12.88平方キロメートル、人口密度は1平方キロメートルあたり9,050人。市役所は本町三丁目にある。
- 清瀬市・東村山市・小平市・西東京市に加え、埼玉県新座市とも接する都県境の市である。
- 市の花はツツジ、市の木はイチョウ。
- 65歳以上人口は33,771人で高齢化率29.0%。東京都全体の22.4%を6.6ポイント上回る。
- 75歳以上人口は20,797人、市の人口に占める割合は17.8%(東京都全体は13.3%)。
- 東久留米市第5次長期総合計画(目標年次2030年)は、まちの将来像として「みんないきいき 活力あふれる 湧水のまち 東久留米」を掲げている。
- 同計画は「みんなが主役のまちづくり」を進めるとし、5つの基本目標を定めている。
- 採用試験は3段階。第1次が書類選考と適性検査、第2次が集団討論試験、第3次が個別面接試験という構成である。
- 市長は職員採用案内で、課題に真正面から立ち向かい乗り越えていく「やれる、できる」市役所を実現していくとして、前向きで意欲ある方の受験を待つとのメッセージを掲載している。
東久留米市の基礎データ
統計を細かく暗記する必要はありません。
ただ、東久留米市の年齢構成が都全体とどう違うかは、数字で説明できるようにしておきましょう。市の課題を語るときの土台になります。
ここでは人口の規模と内訳、市域の広さ、周囲との位置関係など、市政を語る前提になる項目を並べます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 116,570人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 65歳以上人口 | 33,771人(高齢化率29.0%、東京都全体22.4%) |
| 75歳以上人口 | 20,797人(75歳以上率17.8%、東京都全体13.3%) |
| 総面積 | 12.88km² |
| 人口密度 | 9,050人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 隣接自治体 | 清瀬市、東村山市、小平市、西東京市、埼玉県新座市 |
| 市の花・市の木 | ツツジ・イチョウ |
| 市役所所在地 | 〒203-8555 東京都東久留米市本町三丁目3番1号 |
総人口・65歳以上・75歳以上の人口と割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値です。並記した東京都全体の割合も同じ統計によるもので、国勢調査ベースの数値とは調査の基準が異なるため直接は比較できません。面積・隣接自治体・市の花木・市役所所在地は公表値をもとに整理したもので、人口密度は上記の総人口を総面積で割って算出した値です。
数字から考えられる市政課題
東久留米市の高齢化率29.0%は、東京都全体の22.4%を6.6ポイント上回ります。さらに注目すべきは75歳以上の割合で、17.8%と都全体の13.3%を4.5ポイント上回っています。
高齢化そのものだけでなく、その中身が既に後期に寄っているという構成です。
65歳以上のうち6割以上が75歳以上、という状態が意味するのは、支援の必要量が「これから増える」段階ではなく、すでに増えている段階にあるということです。
備える市ではなく、支えながら組み立て直す市だと理解しておきましょう。介護、医療、見守り、外出の支援は、いずれも今この瞬間の需要として市の前にあります。
面接では、この現在進行形の性格を言葉にできると、いまの東久留米市を正確に捉えていることが示せます。将来の話としてではなく、今の話として語れるかどうかがポイントです。
東久留米市の経済・産業
東京都という経済圏の規模
市の産業を考える前提として、東京都全体の経済規模を押さえておきましょう。令和4年度の都内総生産(名目)は120兆2千億円で、全国の21.2%を占めます。
同年度の実質経済成長率は3.9%で、卸売・小売業、金融・保険業、運輸・郵便業などの増加が伸びを牽引しました。(出典:都民経済計算・都内総生産等年報|令和4年度)
ただ、これは都全体の数字であって市の経済規模ではありません。基礎自治体である市が担うのは、この経済圏で暮らす人と、地域で営まれる商いを支える仕事です。
産業や商業を志望動機に挙げるなら、市の権限で手が届く範囲まで考えておくと、話が現実的になります。
都県境の市という条件
東京都は、東を江戸川で千葉県と、西を山地で山梨県と、南を多摩川で神奈川県と、北を埼玉県と接しています。
東久留米市はその北側の境に位置し、4つの市に加えて埼玉県新座市とも接する市です。(参考:東京の概要|東京都観光公式サイト)
県が違えば、制度も窓口も担当する組織も変わります。それでも住民の生活は境界線で止まりません。
買い物も通勤も通院も、日常的に県境をまたぎます。都県境の市の職員には、制度の切れ目を住民に負わせない工夫が求められる場面が出てきます。
災害時の相互応援や、広域での施設利用も同じです。この条件は、志望動機で使える固有の視点になります。
湧水と緑を抱えた市域
面積12.88平方キロメートルという限られた市域に11万人余りが暮らし、市はまちの将来像に「湧水のまち」という言葉を掲げています。第5次長期総合計画の基本目標のひとつが「自然と共生する環境にやさしいまち」であることからも、自然環境が市政の柱の一つに位置づけられていることが分かります。
自然を守ることと、住宅や道路を整えることは、しばしば同じ土地の取り合いになります。狭い市域であればなおさらです。
環境分野を志望するなら、守る話だけでなく、暮らしとどう両立させるかという調整の視点まで持っておきたいところです。集団討論でも、こうした対立を含む論点は扱われる可能性があります。
東久留米市の主な行政課題
ここまでの数字と計画の内容から、市が向き合う論点を4つに整理します。面接や集団討論で市の課題に触れるときの出発点にしてください。
すでに進んでいる高齢化を支える
東久留米市の65歳以上人口は33,771人(高齢化率29.0%)、75歳以上人口は20,797人(17.8%)です。
東京都全体でも令和7年9月時点の75歳以上人口は184万6千人で前年比3万2千人増と過去最多を更新し、65〜74歳人口は127万4千人で前年比2万8千人減となりました。(出典:敬老の日にちなんだ東京都の高齢者人口(推計)|令和7年)
都全体で進む「65歳から74歳が減り、75歳以上が増える」という移行は、東久留米市ではすでに数字に表れています。
高齢化率の高さより、後期高齢者の割合の高さが市の仕事量を決めています。市の第5次長期総合計画が「いきいきと健康に暮らせるまち」を基本目標のひとつに置いているのも、この現実と無関係ではありません。
少子化のもとでの子育て・教育
東京都の令和6年の出生数は84,207人で、前年より2,141人減り9年連続の減少となりました。合計特殊出生率は0.96で、前年の0.99から下がって8年連続の低下です。
都は『少子化対策の推進に向けた論点整理2025』を公表しています。(出典:東京都人口動態統計年報(確定数)|令和6年)
市の総合計画は「子どもが豊かに成長できるまち」を基本目標に掲げています。子どもの数が減っていく前提のもとで、この目標をどう実現するか。
人数が減るなら手厚くできる、と単純にはいきません。施設の維持費は人数に比例して減らないからです。
子育て分野を志望するなら、この難しさを踏まえた話ができると、他の受験者と層が変わります。
自然環境と暮らしの両立
「湧水のまち」を将来像に掲げ、「自然と共生する環境にやさしいまち」を基本目標に置く一方で、市は12.88平方キロメートルの市域に11万人余りの生活を支える責任も負っています。緑地を残せば宅地は減り、道路を広げれば環境への負荷は増えます。
行政の課題の多くは、こうした「どちらも正しい」もの同士の調整です。集団討論では、こうした対立を含む論点で、他の受験者と意見が分かれる場面が出てきます。
どちらかを言い負かすのではなく、両立の条件を探す姿勢が評価につながります。
大規模地震への備え
東京都が令和4年5月に公表した被害想定では、都心南部直下地震が冬の夕方に発生した場合、死者約6,100人、負傷者約9万3,400人、建物被害約19万4,400棟、避難者約299万人、帰宅困難者約453万人と想定されています。
震度6強以上となるのは23区の約6割の範囲とされています。(出典:首都直下地震等による東京の被害想定|令和4年5月)
これは東京都全体の想定です。東久留米市域の揺れや浸水の想定は、市が公表する地域防災計画やハザードマップで確認してください。
加えて、高齢化率29.0%の市では、避難そのものに支援が必要な市民が多いという前提が加わります。帰宅困難者約453万人(冬の夕方)という想定の下で、日中に市内に残るのは誰なのか。
この視点で考えると、地域の支え合いの話が具体的になります。
東久留米市の重点政策|東久留米市第5次長期総合計画
東久留米市の市政運営の土台となる計画が、東久留米市第5次長期総合計画(目標年次2030年)です。
まちの将来像に「みんないきいき 活力あふれる 湧水のまち 東久留米」を掲げ、「みんなが主役のまちづくり」を進めるとして、5つの基本目標を定めています。(出典:東久留米市職員採用案内|2026年7月)
5つの基本目標
| 基本目標 | 扱う主な分野の見当 |
|---|---|
| 共に創るにぎわいあふれるまち | 地域の活力づくり、市民との協働 |
| 安心して快適にすごせるまち | 防災、生活環境、都市基盤 |
| いきいきと健康に暮らせるまち | 健康づくり、高齢者支援、福祉 |
| 子どもが豊かに成長できるまち | 子育て支援、教育 |
| 自然と共生する環境にやさしいまち | 湧水と緑の保全、環境施策 |
基本目標の名称は東久留米市職員採用案内の記載によります。右欄は、目標の名称から想定される分野を当研究会が整理したもので、市が定めた分類ではありません。各目標に紐づく具体的な施策は、東久留米市が公表する総合計画の本文でご確認ください。
この5つを暗記する必要はありません。大切なのは、自分がやりたい仕事がどの基本目標に位置づくかを一言で言えることです。
面接で「入庁後にやりたいこと」を話すとき、その仕事が市の計画のどこに乗るかを添えられると、思いつきではなく市の方向性を踏まえた志望だと伝わります。
市長メッセージから読める姿勢
市長は職員採用案内で「あんしんして暮らせるまち」を目指すとし、課題に真正面から立ち向かい乗り越えていく「やれる、できる」市役所を実現していくため、前向きで意欲ある多くの方の受験を待つ、というメッセージを掲載しています。
採用案内の巻頭に置かれるメッセージは、市が受験者に何を期待しているかが最も直接的に表れる文章です。
「やれる、できる」という言葉が選ばれているということは、できない理由を挙げるより、できる方法を探す姿勢が歓迎されるということでしょう。面接対策の言葉に翻訳すれば、困難な場面で自分がどう動いたかを語れる準備が要る、ということになります。
市の判断を取り巻く環境
市の政策は、都の動きとも関わります。東京都は『未来の東京』戦略や2050東京戦略において、少子高齢化や気候危機を都政の重点課題として位置づけています。
市はこうした都の方向性と、自分の市の人口構成や市域の条件を突き合わせながら、施策の優先順位を決めていきます。(参考:東京都の基本計画・長期戦略|政策企画局)
POINT|計画の言葉は、自分の一場面に翻訳する
将来像や基本目標をそのまま繰り返しても、評価にはつながりません。どの目標が自分のどの経験と重なるのかを、場面のレベルまで具体化しておきましょう。
悪い例「湧水のまちという将来像に共感し、環境のまちづくりに携わりたいと思いました」
改善例「湧水を守ることが将来像に入っているのが印象に残りました。私は大学のボランティアで川沿いの清掃に参加していたのですが、続けるうちに近所の方が声をかけてくださるようになりました。環境を守る取り組みは、人が集まるきっかけにもなると感じましたので、そういう形で関われる仕事がしたいです」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読み込む必要はありません。志望動機に関係するものを選び、要点を自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。
- 東久留米市職員採用試験の募集要項(最新のもの)。3段階の内容と提出書類を確認する
- 東久留米市の職員採用案内(市長メッセージ、総合計画の将来像と基本目標)
- 東久留米市第5次長期総合計画の本文または概要版
- 東久留米市の予算・決算に関する市の公表資料のうち、志望分野に近いもの
- 東久留米市の地域防災計画とハザードマップ
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、東久留米市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。東久留米市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
東久留米市役所の面接の概要
ここからは、東久留米市役所の採用試験の形式と流れ、質問の全体像、差がつく質問への備え方を、市の公表資料と当研究会の分析にもとづいて整理します。
東久留米市役所の面接の流れ
東久留米市の採用試験は3段階です。特徴は、第2次試験に集団討論試験が置かれていることです。
募集ページにも「試験では適性検査、口述による集団討論及び面接試験を行います」と明記されており、集団討論を通らなければ個別面接にたどり着けない構造になっています。
| 項目 | 内容(令和9年1月1日以降・4月1日以降採用/カムバック採用以外の全職種) |
|---|---|
| 試験の段階 | 3段階。第1次=受験申込書による書類選考および適性検査 → 第2次=集団討論試験 → 第3次=個別面接試験 |
| 第1次試験の適性検査 | テストセンター方式。内容は基礎能力検査及び性格検査(SPI3)で、時間は65分程度。会場・日程は市の指定する期間内に受験者が予約する |
| 第2次・第3次の会場 | いずれも東久留米市役所本庁舎 |
| 申込方法 | 「基本情報の登録」と「必要書類の電子提出」の両方が必要。提出書類は受験申込書と受験票(市指定様式)。一部の区分は職務経験申告書もあわせて提出する |
| 当日の提出物 | 第2次は受験票と、一部区分のみ資格証明書等の原本および写し。第3次は受験票のほか結果通知用封筒(110円分の切手貼付)・卒業(見込)証明書・成績証明書。いずれも当日提出し返却されない |
| 募集人数 | 令和9年1月1日以降採用が全職種合わせて5人〜10人程度、令和9年4月1日以降採用が全職種合わせて15人〜25人程度 |
| 試験区分 | 1類は大学卒程度、2類は短大卒・高専卒程度、3類は高校卒程度 |
| 配点 | 募集要項に記載がなく非公表 |
| 採用候補者名簿 | 合格者は採用候補者名簿に登載され、欠員に応じ逐次採用される。登載期間は1年間。採用はすべて条件付で、6か月の勤務を良好な成績で遂行したときに正式採用となる |
| 初任給 | 一般事務・土木技術・建築技術・保健師で大学新卒(22歳)275,880円、短大等新卒(20歳)243,732円、高校新卒(18歳)228,342円、大学卒業後に民間企業等で勤務歴5年(27歳)295,374円(いずれも令和8年4月1日現在・地域手当を含む給料月額) |
上記は東久留米市の令和9年1月1日以降採用および令和9年4月1日以降採用の職員採用試験募集要項および募集ページにもとづくものです。市で3年以上勤務した経験のある方を対象とするカムバック採用は、第1次=書類選考、第2次=個別面接試験の2段階で、集団討論は課されません。試験の構成・日程・配点等は年度や採用時期によって異なる可能性があります。受験の際は、必ず最新の募集要項をご確認ください。(出典:東久留米市職員採用試験募集要項|令和9年1月・4月採用/東久留米市職員募集|正規職員)
申込にあたって、もう一つ注意点があります。「令和9年1月1日以降採用」と「令和9年4月1日以降採用」の重複申込、および複数職種への重複申込は、いずれも無効になります。
どちらか一方を選んで申し込む必要があります。また、適性検査は過去に受けた試験結果を送ることができず、市の指定する期間にテストセンター会場で受け直す必要があります。
他の自治体で受けたSPIの結果を流用する前提で日程を組まないようにしてください。
集団討論試験にどう備えるか
集団討論は、個別面接とは評価のされ方が違います。用意した答えを再現する場ではなく、その場で出た意見を踏まえて考えを進める場だからです。
よく話す人ではなく、議論を前へ動かした人が評価されます。
具体的には、他の受験者の発言を受けて自分の意見を接続する、話が散らばったときに論点を整理する、時間の残りを見て結論へ寄せる、といった振る舞いが該当します。逆に、準備してきた持論を最初に長々と述べて終わる、他の人の意見を否定して自分の案を押し通す、といった動き方は評価されにくいと考えられます。
準備としては、市の課題に関する自分の考えを持っておくことが土台になります。第1部で挙げた高齢化や環境と暮らしの両立といった論点は、議論の題材になりうるテーマです。
結論を用意するのではなく、賛成と反対の両方の言い分を言える状態にしておくと、どちらの流れになっても対応できます。
東久留米市役所が求める人物像
東久留米市の募集要項と職員採用案内の本文には、他の自治体で見られる定型の「求める人物像」にあたる記載はありませんでした。市は募集要項の研修欄で人材育成基本方針を策定している旨に触れていますが、方針の本文と目指す職員像は採用関連ページ上では公開されていません。
そこで、公表されている材料から評価軸を読み解きます。
手がかりは2つあります。1つは第5次長期総合計画が掲げる「みんなが主役のまちづくり」という進め方。もう1つは、市長メッセージの「やれる、できる」市役所という言葉です。
前者は市民とともに進める姿勢を、後者は課題に向き合う姿勢を示しています。
集団討論が試験に組み込まれていることも、他者と一緒に物事を進める力を見たいという設計の表れだと読めます。
これらに加えて、一般論として、都県境に位置し生活圏が隣県にまで続く市役所では、説明する相手が市民だけにとどまりません。制度も窓口も異なる自治体の住民、隣接市の担当者、地域で活動する団体と、前提を共有していない相手に話をする場面が繰り返し出てきます。
だからこそ、相手が誰であっても自分の言葉で説明しきれる人が重視されやすいと当研究会では考えています。高齢化率29.0%の東久留米市では、その相手が高齢の市民であることも少なくありません。
注意したいのは、受ける自治体ごとに人物像を用意しようとしないことです。
東久留米市の言葉に自分を寄せていくのではなく、これまで積んできた経験のうち、この市の仕事で生きる部分を選び出して語る。集団討論でも個別面接でも、崩れずに残るのはその形の答えです。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。東久留米市の個別面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 緊張していますか? | 身構えた状態から素の受け答えへ切り替えられるか。集団討論を経た後の落ち着きも見られる |
| ② 動機・志望 | なぜ公務員を志望するのですか? | 民間企業でも果たせる理由で止まっていないか。職業として選んだ筋道が経験と地続きか |
| ③ 自己理解 | あなたの短所(弱み)は何ですか? | 自分を外から見る目があるか。弱みとどう付き合っているかまで語れるか |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください | 困難の大きさではなく、その場で何を考え、どの順に手を打ったかという中身 |
| ⑤ 学業・経歴 | 卒業論文(研究)のテーマを簡単に説明してください | 専門外の相手に通じる言葉へ言い換えられるか。学びを仕事に結び付けているか |
| ⑥ 適性・将来 | 入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか? | 市の仕事をどこまで具体的に理解しているか。希望と違う配属でも力を出せそうか |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近関心を持ったニュースは何ですか? | 社会の動きを自分の言葉で語れるか。集団討論でも通用する、意見の立て方ができているか |
ただ、この7カテゴリーは東久留米市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が備えてくる領域なので、大きな差はつきません。
差がつくのは、次の「東久留米市ならではの事情を踏まえた質問」です。
合否を分けるのは「東久留米市役所ならでは」の質問
どちらも、市を調べていなければその場では組み立てられない質問です。だからこそ、材料を持っている人だけが違いを示せる質問でもあります。
以下に、面接と集団討論の両方で使える東久留米市の事実と、その扱い方をまとめました。
| 質問テーマ | 知っておきたい東久留米市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 高齢化の現在地 | 65歳以上は33,771人で高齢化率29.0%、75歳以上は20,797人で17.8%。都全体の22.4%・13.3%をいずれも大きく上回る | 将来の課題としてではなく、いま起きていることとして語ります。後期高齢者の割合が高い点まで触れると、数字を読んだ人の話になります |
| なぜ都庁ではなく市役所か | 市域は12.88平方キロメートル。4つの市に加え埼玉県新座市とも接する都県境の市である | 制度の比較で終わらせず、県境をまたぐ暮らしを支える基礎自治体の役割に触れると、この市ならではの理由になります |
| 市の将来像 | 第5次長期総合計画は「みんないきいき 活力あふれる 湧水のまち 東久留米」を将来像とし、5つの基本目標を定める | やりたい仕事がどの基本目標に乗るかを一言添えます。将来像の言葉をなぞるのではなく、自分の関心と結び付けます |
| 市長が示す市役所像 | 市長は採用案内で、課題に真正面から立ち向かい乗り越えていく「やれる、できる」市役所を実現していくと述べている | この言葉に共感したと言うだけでなく、自分が壁にぶつかったときにどう動いたかという場面をひとつ差し出します |
| 集団討論のテーマ想定 | 環境の保全と暮らしの利便性、子育て支援と施設の維持など、市の課題には両立が難しい論点が含まれる | 賛成と反対の両方の言い分を先に整理しておきます。討論では結論を急がず、両立の条件を探す発言を心がけます |
5つ全部を覚える必要はありません。志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおきましょう。
集団討論でも個別面接でも、この一続きがあれば発言の芯がぶれません。
想定される評価の観点
面接は、これまで実際にどう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が土台にあり、答えの整い方ではなく、経験の中身と、同じ行動をもう一度とれるかどうかが見られています。
東久留米市の場合、集団討論という「その場での行動」を直接観察する機会があることも押さえておきましょう。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 市民とともに進める姿勢 | 立場の違う人と物事を進めた経験があるか。反対意見をどう扱ったか | 総合計画の「みんなが主役のまちづくり」という進め方に合わせ、意見が割れた場面で自分がとった行動を用意しておく |
| 課題に向き合う実行力 | 難しい状況で、できない理由ではなくできる方法を探したか | 市長が掲げる「やれる、できる」という言葉に対応させ、うまくいかない場面から立て直した経験を選んでおく |
| 相手に届く説明力 | 専門的な内容を、相手に合わせて言い換えられるか | 高齢化率29.0%の市で市民と向き合うことを踏まえ、年配の方や事情を知らない人に説明した経験を言葉にしておく |
なお、公務員の個別面接では、ひとつの話題について「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と掘り下げられます。集団討論での発言も、その後の面接で触れられる可能性があります。
細部まで自分の言葉で語れる実体験に根ざした答えを用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の順番に置き換えます。
- 最新の募集要項を確認し、採用時期と職種を1つに絞る(重複申込は無効になります)。提出書類と当日の持ち物も先に書き出しておく
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 集団討論に備え、市の課題について賛成と反対の両方の言い分を書き出す。可能なら複数人で議論する練習をして、話をつなぐ役割を体験しておく
優先順位に注意
ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
準備の時間が限られている場合は、東久留米市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
東久留米市の採用面接で出題が想定される質問を1問ずつ取り上げ、回答例・質問の意図・NG回答まで解説しています。
集団討論を経てから個別面接に進む試験では、自分の考えを短く言い切る練習が効きます。必要に応じてご活用ください。
さいごに
東久留米市の採用試験は、書類選考と適性検査を通ったあと、集団討論、個別面接と進みます。一人で語る力と、他の受験者と一緒に考えを進める力の両方が求められる構成です。
高齢化率が3割近くに達し、湧水と緑を将来像に掲げるこの市で、暮らしと環境のどちらも手放さずに進めるにはどうすればよいか。
その問いに自分なりの立場を持って、討論の席に着いてください。