本記事では、日野市職員採用試験の面接対策で必要な、日野市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
日野市役所の面接試験では、「なぜ日野市で働きたいのか」「市職員としてどんな仕事をしたいのか」「これまでの経験を市政にどう生かすのか」といった質問が想定されます。
日野市の新卒・第二新卒者向け採用試験は、エントリーシートとエントリー動画による書類・動画選考から始まるのが大きな特徴です。応募した時点で、すでに人物を見る選考が動き出しています。
本記事の内容をもとに、自分の歩んできた道筋と日野市政との接点を整理し、面接での受け答えづくりに役立ててください。
第1部|自治体研究編
日野市の特徴
面接対策の前提として、日野市がどんな市なのかをひととおり確認しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 面積27.55平方キロメートル、人口密度は1平方キロメートルあたり6,867人。市役所は神明一丁目に置かれている。
- 府中市・国立市・立川市・昭島市・八王子市・多摩市という6つの市に囲まれた、多摩地域の内陸に位置する市である。
- 市の花はキク、市の木はカシ。
- 65歳以上人口は46,750人で高齢化率24.7%。東京都全体の22.4%を上回っている。
- 75歳以上人口は28,825人で、市の人口に占める割合は15.2%。こちらも都全体の13.3%より高い。
- 市が掲げる目指すべき職員像は「自ら『考え』、『行動し』、『チームワークで』未来を切り拓く職員」で、高齢化・少子化・人口減少を見据えた将来の日野市を創りあげるという観点から示されている。
- 新卒・第二新卒者向けの採用試験は、書類選考・動画選考、第一次試験、第二次試験、第三次試験(最終試験)という流れで進む。
- 第一次試験の筆記はテストセンター方式で、試験要領には「一般的な公務員試験の対策は不要です」と明記されている。
- 最終合格者が登載される採用候補者名簿の有効期限は3年間で、申込時に採用希望年度を令和9年4月・令和10年4月・令和11年4月から選ぶ。
日野市の基礎データ
統計を細かく暗記する必要はありませんが、日野市がどんな年齢構成の市なのかは、数字で言えるようにしておきたいところです。市の職員像が高齢化と人口減少を正面から挙げている以上、この部分は志望動機と直結します。
ここでは人口の規模と内訳、市域の広さ、周囲との位置関係など、市政を語るときの前提になる項目を並べます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 189,194人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 65歳以上人口 | 46,750人(高齢化率24.7%、東京都全体22.4%) |
| 75歳以上人口 | 28,825人(75歳以上率15.2%、東京都全体13.3%) |
| 総面積 | 27.55km² |
| 人口密度 | 6,867人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 隣接自治体 | 府中市、国立市、立川市、昭島市、八王子市、多摩市 |
| 市の花・市の木 | キク・カシ |
| 市役所所在地 | 〒191-8686 東京都日野市神明一丁目12番地の1 |
総人口・65歳以上・75歳以上の人口と割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値です。並記した東京都全体の割合も同じ統計によるもので、国勢調査ベースの数値とは調査の基準が異なるため直接は比較できません。面積・隣接自治体・市の花木・市役所所在地は公表値をもとに整理したもので、人口密度は上記の総人口を総面積で割って算出した値です。
数字から考えられる市政課題
日野市の高齢化率24.7%は、東京都全体の22.4%より2.3ポイント高い水準です。75歳以上の割合も15.2%と、都全体の13.3%を上回ります。
「都内の平均より、ひと足先に高齢化が進んでいる約19万人の市」という位置づけになります。
この数字が意味するのは、介護や医療、見守り、移動の支援といった分野の需要が、都全体の平均より早く増えるということです。財源も職員数も限られるなかで、どの支援を厚くするかを先に決めなければなりません。
先に高齢化が進む自治体は、他の市より早く判断を迫られます。裏を返せば、そこで見つけた解決策が他の市の参考になる立場でもあります。
面接では、この数字を「大変ですね」で終わらせないことが大切です。数字の先で何が起きるかまで言葉にできると、答えが一段説得力を持ちます。
日野市の経済・産業
東京都の経済規模という前提
市の経済を考えるときの土台になるのが、東京都全体の規模です。令和4年度の都内総生産(名目)は120兆2千億円で、全国の21.2%を占めます。
同年度の実質経済成長率は3.9%で、卸売・小売業、金融・保険業、運輸・郵便業などの増加が伸びを牽引しました。(出典:都民経済計算・都内総生産等年報|令和4年度)
この巨大な経済圏のなかで、基礎自治体である市が直接動かせる範囲は限られます。だからこそ、市の産業振興は「大きく育てる」より「今ある事業所や商店を続けられるようにする」方向の仕事が中心になります。
志望動機で経済分野に触れるなら、市の手が届く範囲を意識した書き方にしておきましょう。
人が動くことで生まれる経済
東京都全体では、2024年の観光消費額が約9兆4,762億円、それによる生産波及効果が約18兆4,844億円にのぼり、2019年比で56.1%の増加となりました。
令和5年の訪都旅行者数は約4億9,410万人で、うち外国人旅行者は約1,954万人と過去最多です。(出典:訪都旅行者数等の実態調査結果|2024年/訪都旅行者数等の実態調査|令和5年)
人が動けばお金が動く、という都全体の傾向は、市の施策を考えるときのヒントになります。大きな観光地を持たない市でも、催しや施設への来訪をどう地域の店につなげるかという発想は成り立ちます。
市の魅力を聞かれたときに、名所を挙げるだけで終わらず、その魅力が市内の経済とどうつながるかまで話せると印象が変わります。
6つの市に囲まれた市域という条件
日野市の面積は27.55平方キロメートル、人口密度は1平方キロメートルあたり6,867人です。府中市、国立市、立川市、昭島市、八王子市、多摩市という6つの市に接しています。
市境の向こう側にも生活圏が続いている、という前提で行政を考える必要がある市域です。
買い物も通勤も通学も、市の境界線でぴたりと止まるわけではありません。だからこそ、公共交通の接続、災害時の相互応援、広域での施設利用といった、隣の市と足並みをそろえる仕事が出てきます。
市の仕事は市内で完結するもの、という思い込みを外しておくと、面接での話に幅が出ます。
日野市の主な行政課題
ここまでの数字から見えてくる論点を、4つに絞って整理します。面接で市の課題を問われたときの出発点として使ってください。
都平均を上回る高齢化への対応
日野市の65歳以上人口は46,750人(高齢化率24.7%)、75歳以上人口は28,825人(15.2%)で、いずれも東京都全体の水準を上回ります。
都全体でも令和7年9月時点の75歳以上人口は184万6千人と前年比3万2千人増で過去最多を更新し、一方で65〜74歳人口は127万4千人と前年比2万8千人減となりました。(出典:敬老の日にちなんだ東京都の高齢者人口(推計)|令和7年)
高齢者の総数より、その内訳がどう変わるかが行政の仕事量を左右します。75歳を過ぎると、医療も介護も外出の支援も必要量が跳ね上がるからです。
日野市はその局面に、都の平均より早く入っていく市だと理解しておきましょう。
少子化のもとでの子育て・教育
東京都の令和6年の出生数は84,207人で、前年より2,141人減り9年連続の減少となりました。合計特殊出生率は0.96で、前年の0.99から下がって8年連続の低下です。
都は『少子化対策の推進に向けた論点整理2025』を公表しています。(出典:東京都人口動態統計年報(確定数)|令和6年)
子どもの数が減っていく前提に立つと、市の仕事は「足りない分を増やす」から「規模が縮んでも質を落とさない」へと性格が変わります。保育の定員配置も、学校施設の使い方も、この視点で見直されていきます。
子育て分野を志望するなら、支援を手厚くする話と、限られた資源で質を保つ話の両方を持っておきたいところです。
人口減少を織り込んだ市政の設計
日野市が公表する目指すべき職員像は、高齢化・少子化・人口減少を見据えて将来の日野市を創りあげるという観点から示されています。(出典:日野市の目指すべき職員像|職員採用専用サイト)
市がこの3つを職員像の前提に据えているという事実は、面接でそのまま使える材料です。市の課題を聞かれたときに、自分の思いつきで課題を挙げるより、市自身が職員に何を見据えてほしいと書いているかを起点にしたほうが、話がかみ合います。
そのうえで、自分ならどこに関わりたいかを続けるのが自然な流れです。
大規模地震と、帰れない人への備え
東京都が令和4年5月に公表した被害想定では、都心南部直下地震が冬の夕方に発生した場合、死者約6,100人、負傷者約9万3,400人、建物被害約19万4,400棟、避難者約299万人、帰宅困難者約453万人と想定されています。
震度6強以上となるのは23区の約6割の範囲とされています。(出典:首都直下地震等による東京の被害想定|令和4年5月)
これは東京都全体の想定です。日野市域の揺れや浸水の想定は、市が公表する地域防災計画やハザードマップで確認してください。
ただ、帰宅困難者約453万人(冬の夕方)という数字は、都心へ通う市民がいる市にとって現実の課題です。
働き手が帰れないあいだ、家に残る高齢者や子どもを地域でどう支えるか。高齢化が先行している日野市では、この問いがより重く響きます。
日野市の重点政策|日野市が掲げる職員像
日野市は職員採用専用サイトで、目指すべき職員像を「自ら『考え』、『行動し』、『チームワークで』未来を切り拓く職員」と公表しています。
高齢化・少子化・人口減少を見据えた将来の日野市を創りあげる、という観点から示された言葉です。市がどんな働き方を職員に期待しているかが、はっきり言語化されている資料です。
3つの動詞をどう読むか
この職員像は、名詞ではなく動詞で書かれているのが特徴です。「考え」「行動し」「チームワークで」の3つは、性格や資質ではなく、実際にとる行動を指しています。
つまり面接でも、「私は主体性があります」といった自己評価ではなく、考えた場面・動いた場面・人と組んだ場面を出せるかが問われます。
面接対策の言葉に翻訳すれば、この3つに対応する経験をそれぞれ別に用意しておく、ということです。とくに3つ目のチームワークは、「協力しました」で終わりがちな項目です。
自分がチームのどの役回りを担い、他の人とどこで意見が食い違い、それをどう収めたのかまで話せる状態にしておきましょう。
市の判断を取り巻く環境
市の政策は市の中だけで決まるわけではありません。東京都は合計特殊出生率0.96という水準を受けて少子化対策の論点整理を公表し、『未来の東京』戦略で少子高齢化や気候危機を都政の重点課題に位置づけています。
市はこうした都の方向性と、自分の市の人口構成や地形の条件を突き合わせながら、優先順位を決めていきます。
面接で政策に触れるときは、都の方針をそのままなぞらないよう気をつけてください。約19万人、高齢化率24.7%、6つの市に囲まれた27.55平方キロメートルという日野市の条件のもとで、その方針が何を意味するのかまで踏み込めると、話の解像度が変わります。
POINT|職員像の言葉は、暗記せず自分の一場面に変える
公表されている職員像をそのまま言い返しても、評価にはつながりません。3つの動詞のどれが自分のどの経験とつながるのかを、場面のレベルまで具体化しておきましょう。
悪い例「自ら考え行動する職員という言葉に共感しました。私も主体性を大切にしています」
改善例「自分で考えて動くだけでなく、チームでという言葉が入っているのが印象に残りました。私はゼミの共同発表で、資料づくりが一人に偏っていたので、担当を分けて途中で見せ合う日を決める提案をしました。最初はうまく回りませんでしたけれども、締切前の作業が減って全員が発表に集中できるようになりました」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読み込む必要はありません。志望動機に関係するものを選び、要点を自分の言葉で言えるようにしておきましょう。
- 日野市職員採用試験の実施要領(最新年度)。募集職種と選考の流れを確認する
- 日野市の職員採用専用サイト(目指すべき職員像、仕事紹介、選考方法)
- 日野市の総合計画・予算に関する市の公表資料のうち、志望分野に近いもの
- 日野市の統計ページ(人口・世帯の推移)
- 日野市の地域防災計画とハザードマップ
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、日野市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。日野市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
日野市役所の面接の概要
ここからは、日野市役所の採用試験の形式と流れ、質問の全体像、差がつく質問への備え方を、市の公表資料と当研究会の分析にもとづいて整理します。
日野市役所の面接の流れ
日野市の新卒・第二新卒者向け採用試験でまず意識すべきなのは、応募の段階から人物を見る選考が始まっていることです。
エントリーシート(人生グラフを含む)とエントリー動画を提出し、その内容をもとに書類選考・動画選考が行われます。両方を出してはじめて応募完了となるため、動画は任意の追加要素ではありません。
| 項目 | 内容(令和8年度実施・新卒/第二新卒者向け) |
|---|---|
| 選考の流れ | 書類選考・動画選考 → 第一次試験 → 第二次試験 → 第三次試験(最終試験) |
| 提出書類 | エントリーシート(人生グラフを含む)とエントリー動画。両方の提出をもって応募完了 |
| 第一次試験 | テストセンター方式による筆記試験。知的能力試験(約40分)と性格適性試験(約20分)。試験要領に「一般的な公務員試験の対策は不要です」と明記 |
| 第二次試験 | 対面面接(個人) |
| 第三次試験(最終試験) | 対面面接(個人または集団)。試験内容は予定であり、今後変更となる場合があると注記されている |
| 募集職種 | 事務職員(総合行政職)25名程度、事務職員(福祉)5名程度、保育士・幼稚園教諭・児童厚生員5名程度、技術職員(土木)5名程度 |
| 配点 | 試験要領・採用専用サイトのいずれにも記載がなく非公表 |
| 採用候補者名簿 | 有効期限は3年間。申込時に採用希望年度を令和9年4月・令和10年4月・令和11年4月から選択する |
| 正式採用 | 採用はすべて条件付で、採用後6か月の勤務を良好な成績で遂行したときに正式採用となる(地方公務員法第22条) |
上記は日野市の令和8年度実施・新卒/第二新卒者向け職員採用試験の実施要領にもとづくものです。日野市はこのほかに経験者・専門技術職の採用試験などを別枠で実施しており、枠ごとに選考方法や実施回数が異なります。試験の構成・日程・配点等は年度や枠によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身が応募する枠の最新の試験情報をご確認ください。(出典:日野市職員採用試験実施要領|令和8年度実施)
もう一点、確認しておきたい注意があります。第三次試験は「対面面接(個人または集団)」と幅のある書き方になっており、採用専用サイトでも最後の面接は個別とグループの両方が示されています。
集団形式が必ず行われるとは断定できません。個人面接の準備を軸に置きつつ、複数人での場面にも対応できる状態にしておくのが現実的な備え方です。(参考:日野市職員採用情報|職員採用専用サイト)
実施結果から読む試験の性格
令和7年度実施の新卒・第二新卒者向け採用試験で、事務職員(総合行政職)の実施結果は、申込者277人、書類選考・動画選考の合格者209人、第一次試験合格者119人、第二次試験合格者71人、第三次試験(最終試験)合格者48人でした。
同じ年度では、保育士・幼稚園教諭・児童厚生員が申込14人で最終合格7人、保健師が申込5人で最終合格2人、栄養士が申込24人で最終合格2人、事務職員(障害者)が申込9人で最終合格1人となっています。(出典:日野市職員採用試験実施結果|令和7年度実施)
この流れを見ると、申込277人のうち209人が書類・動画選考を通っており、最初の関門で大きくは絞られていないことが分かります。一方、そこから最終合格の48人までは段階ごとに人数が減っていきます。
つまり、動画と書類は「足切り」というより、その後の面接で何を掘るかを決める材料として使われている可能性が高いと当研究会では見ています。
この読み方が正しければ、エントリーシートと動画で語ったことは、あとの面接で必ず戻ってきます。人生グラフに山や谷として書いた出来事は、そのまま質問になると考えて準備しておきましょう。
書きやすいからという理由で選んだ出来事が、深掘りに耐えられないという事態は避けたいところです。
日野市役所が求める人物像
日野市は目指すべき職員像を公表しており、面接の評価軸を考えるうえでの出発点はここにあります。「自ら考える」「行動する」「チームワークで進める」という3つは、質問の切り口としてそのまま使えます。
市が言葉にしているのはここまでです。一般に、周囲より先に高齢化が進む市では、他の自治体の取り組みがまだ出そろっていない段階で判断を求められる場面が出てきます。
まねのできる先例が少ないぶん、手本のない状況でも、自分で手順を組み立てて着手できる人が重視されやすいと当研究会では考えています。
日野市の高齢化率24.7%は都全体を2.3ポイント上回り、職員像も人口減少を見据えると明記しています。前例をなぞるだけでは追いつかない仕事が控えている、という読み方ができます。
ここで気をつけたいのは、受ける自治体に合わせて自分を作り変えないことです。
日野市向けの人物像を新しく用意するのではなく、これまで実際にやってきたことのうち、この市の働き方と噛み合う部分を選んで言葉にする。深く掘られたときに残るのは、その形で組み立てた答えだけです。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。日野市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 緊張していますか? | 準備した内容から離れた一言に、素の反応を返せるか。動画で見せた印象と対面での印象が離れていないか |
| ② 動機・志望 | なぜ公務員を志望するのですか? | 民間企業でも実現できる理由で止まっていないか。仕事として選んだ筋道が経験と地続きか |
| ③ 自己理解 | あなたの短所(弱み)は何ですか? | 自分を外から見られているか。弱みを認めたうえで、どう手当てしているかまで言えるか |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください | 出来事の重さではなく、そこで何を考え、どういう順番で動いたかという中身 |
| ⑤ 学業・経歴 | 卒業論文(研究)のテーマを簡単に説明してください | 専門外の人に伝わる言葉へ置き換えられるか。学びを仕事に結び付けて考えているか |
| ⑥ 適性・将来 | 入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか? | 市の仕事をどこまで具体的に理解しているか。希望と違う配属でも力を出せそうか |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近関心を持ったニュースは何ですか? | 社会の動きを自分の言葉で説明できるか。意見を持ちつつ、断定しすぎない姿勢があるか |
ただ、この7カテゴリーは日野市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、大きな差はつきません。
差がつくのは、次の「日野市ならではの事情を踏まえた質問」です。
合否を分けるのは「日野市役所ならでは」の質問
どちらも、市の現状を調べていなければその場では組み立てられない質問です。だからこそ、材料を持っている人だけが違いを示せる質問でもあります。
とくに1問目は、東京都という大きな自治体が身近にある環境だから重みを持ちます。以下に、面接で使いやすい形に絞った日野市の事実と、その答え方をまとめました。
| 質問テーマ | 知っておきたい日野市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 高齢化の現在地 | 65歳以上は46,750人で高齢化率24.7%、75歳以上は28,825人で15.2%。いずれも東京都全体の22.4%・13.3%を上回る | 都全体との差を数字で示したうえで、先に高齢化が進む市だからこそ早く手を打てる、という前向きな読み替えまで話します |
| なぜ都庁ではなく市役所か | 面積27.55平方キロメートル、人口密度は1平方キロメートルあたり6,867人。府中市など6つの市に接する | 制度の違いを説明するのではなく、この距離感で市民の暮らしに直接関わりたい、という自分側の理由を主役に据えます |
| 市が掲げる職員像 | 「自ら『考え』、『行動し』、『チームワークで』未来を切り拓く職員」を、高齢化・少子化・人口減少を見据えて示している | 3つの動詞のうちどれが自分の経験と一番近いかを選び、その場面を一つ差し出します。3つ全部に触れようとすると薄くなります |
| 選考の受け止め方 | 応募時にエントリーシート(人生グラフを含む)とエントリー動画の提出が必要で、両方を出して応募完了となる | 動画やシートで話した内容と、面接での話が食い違わないようにします。提出物は必ず控えを取り、面接前に読み返しておきます |
| 広域での連携 | 市は6つの市に囲まれた27.55平方キロメートルの市域にあり、生活圏は市境を越えて広がっている | 市内で完結する仕事だけを語らず、隣接する市との連携や広域での取り組みに触れると、行政の実態に沿った話になります |
5つすべてを暗記する必要はありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおきましょう。
日野市は提出書類と面接で同じ内容が繰り返し扱われるため、一続きになっていれば、どこから聞かれても答えが揺れません。
想定される評価の観点
面接は、公表されている職員像に照らして、これまで実際にどう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が土台にあり、答えの整い方ではなく、経験の中身と、同じ行動をもう一度とれるかどうかが見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 自ら考える | 指示を待たずに、自分で状況を調べて判断した場面があるか | 日野市の職員像が動詞で書かれていることに合わせ、「考えた」中身を手順まで再現できる場面を選んでおく |
| 行動する | 考えて終わらせず、実際に動いたか。動いた結果どうなったか | エントリーシートの人生グラフに書いた出来事から、実際に動いた場面を選び、動機と結果をひとそろいにしておく |
| チームワークで進める | 他の人と組んだときの役回り。意見が割れた場面でどう収めたか | 「協力しました」で終えず、誰とどう分担し、どこでぶつかり、どう折り合いをつけたかまで言葉にしておく |
なお、公務員の面接では、ひとつの話題について「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と掘り下げられます。
日野市の場合は、提出したエントリーシートと動画の内容が手元にある状態で聞かれます。細部まで自分の言葉で語れる実体験に根ざした答えを用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 最新年度の実施要領を確認し、応募する枠(新卒・第二新卒者向けか、経験者枠か)と、選考の流れ・提出物を書き出す
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
- エントリーシートの人生グラフに載せる出来事を選び、山と谷の理由をそれぞれ一言メモにしておく(面接で必ず聞かれる前提で選ぶ)
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- エントリー動画を撮り、自分で見返す。話す速さと表情を整えたうえで、同じ内容を対面でも話せるか確認する
優先順位に注意
ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
短い準備期間で仕上げなければならない場合は、日野市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
日野市の採用面接で出題が想定される質問を1問ずつ取り上げ、回答例・質問の意図・NG回答まで解説しています。
エントリーシートや動画で語った内容がそのまま質問になる試験なので、想定問答を先に見ておくと、提出物の書き方まで整えられます。必要に応じてご活用ください。
さいごに
日野市の採用試験は、筆記の負担を抑えるかわりに、応募の時点から人物を見る設計になっています。エントリーシートの人生グラフも、エントリー動画も、面接で掘るための材料です。
だからこそ、自分の歩みをどこまで正直に振り返れたかが、そのまま結果に効いてきます。
約19万人が暮らし、都の平均より早く高齢化が進むこの市で、自分は何を担いたいのか。提出物を書く前に、まずそこから考えてみてください。