飯塚地区消防本部を受験する方に向けて、面接で問われる前提となる組織研究の材料(組織の特徴・基礎データ・管轄地域の特性と災害リスク・消防課題・重点方針)と、面接本番の流れ・想定される質問・評価の観点を、1ページに整理しました。
飯塚地区消防本部の面接試験では、「なぜ警察官や自衛官ではなく消防官を選んだのか」「飯塚地区消防本部でどんな消防吏員になりたいのか」「体力試験の目安をどう乗り越えるつもりか」といった、組織理解と体力面の準備状況の両方を確かめる質問が想定されます。飯塚地区消防本部は選考が3段階に分かれ、面接(口述試験)も第2次の集団面接と第3次の個人面接の2回課される試験設計になっています。
ここで整理した内容を手がかりに、自分の経験と飯塚地区消防本部の仕事との接点を言葉にして、面接での受け答えに備えていきましょう。
第1部|組織研究編
飯塚地区消防本部の特徴
本格的な面接対策に入る前に、まずは飯塚地区消防本部という組織の輪郭をつかんでおきましょう(時間のない方はここだけでもチェック)。
- 飯塚地区消防本部は、一部事務組合「飯塚地区消防組合」が設置する消防本部で、飯塚市・嘉麻市・桂川町の2市1町の消防に関する事務を担っている。単独の市の消防本部ではなく、複数市町が共同で運営する組合である。
- 発足は昭和45年(1970年)4月1日。飯塚市消防署と山田市消防署、当時消防署のなかった嘉穂郡8町が合同で発足した、1本部2署・職員87名の組織が出発点である。
- 現在の体制は1署(飯塚消防署)・3分署(片島・嘉麻・桂川)・2出張所(庄内元吉・岩崎)で、職員定数は237人である。
- 消防吏員数は229人(うち女性4人・令和7年4月1日現在)で、職員定数237人に対してやや欠員のある状態。24時間交替制勤務で現場活動にあたる。
- 令和6年中の出動件数は火災63件・救急10,695件・救助99件で、救急が業務量の大部分を占める。
- 採用後は管轄区域(飯塚市・嘉麻市・桂川町)内、または最寄りの署所からおおむね30分以内の地域に居住することが受験資格として求められる。
- 最大の特徴は選考の段階数にある。第1次(筆記・体力)に続き、第2次で集団面接、第3次で個人面接と、面接(口述試験)が形式を変えて2回課される3段階選抜という試験設計になっている。
飯塚地区消防本部の基礎データ
細部の数字をそのまま覚える必要はありませんが、飯塚地区消防本部が2市1町・約17万人規模の管内をどんな体制で支えているかは具体的にイメージできるようにしておきましょう。
下の表に、管内人口・組織体制・出動件数をまとめました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 設置団体 | 一部事務組合「飯塚地区消防組合」(飯塚市・嘉麻市・桂川町の2市1町) |
| 所在地 | 〒820-0015 飯塚市菰田52番地1 |
| 管轄面積 | 約342km²(公式サイト「管内概況」による) |
| 管内人口 | 169,437人(3団体の合算・住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 職員定数 | 237人 |
| 消防吏員数 | 229人(うち女性4人)※令和7年4月1日現在 |
| 火災件数 | 63件(令和6年中) |
| 救急出動件数 | 10,695件(令和6年中) |
| 救助出動件数 | 99件(令和6年中) |
飯塚地区消防本部の公式サイト「管内概況」では管内人口を約19万人と紹介していますが、上表は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在による3団体の合算値です。職員定数(237人)と実際に在籍する消防吏員数(229人)は異なる数字である点にも注意してください。
(出典:全国の消防本部データ|総務省消防庁(飯塚地区消防本部))
構成3団体の人口と高齢化率
| 団体 | 人口 | 高齢化率 |
|---|---|---|
| 飯塚市 | 123,413人 | 32.3% |
| 嘉麻市 | 33,355人 | 41.8% |
| 桂川町 | 12,669人 | 36.5% |
住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(総務省)令和8年1月1日現在によります。高齢化率は団体ごとの値であり、合算・平均はしていません。
数字から考えられる飯塚地区の課題
飯塚地区消防本部の1年の動きを一言で表すのが、火災と救急の件数比です。令和6年中の火災63件に対し、救急出動は10,695件と、火災の170倍近い件数が救急に集中しています。
加えて、嘉麻市41.8%という高齢化率は飯塚市32.3%を大きく上回っており、旧産炭地の広がる山あいの町ほど高齢化が進んでいる様子がうかがえます。
管轄地域の特性と災害リスク
管轄地域の全体像
- 飯塚市は旧産炭地の中心都市として発展してきた。飯塚地区消防組合そのものも、昭和45年に飯塚市と旧嘉穂郡8町の消防を束ねる形で発足しており、産炭地としての広域連携の歴史を背負う組織である。
- 管内には遠賀川が流れ、飯塚市街地は古くから水害と向き合ってきた土地でもある。
- 令和4年に完了した組織再編で、1署3分署2出張所という現在の体制に落ち着いた(経緯はこのあと詳しく取り上げる)。
以上を踏まえると、飯塚地区消防本部は旧産炭地の広域連携という成り立ちと、遠賀川がもたらす水害リスクの両方を背負う本部だと整理できます。
組織再編の歩み|1本部2署から1署3分署2出張所へ
飯塚地区消防組合は、平成24年に基本計画を策定して当時の3署8派出所を1署3分署2出張所へ統廃合する方針を打ち出しました。
平成31年には3署体制から1署体制への移行が実施され、嘉麻分署が開庁する一方、山田消防署は嘉麻分署山田出張所に、桂川消防署は桂川分署に、それぞれ組織上の位置づけが変わりました。
さらに令和3年には消防本部・飯塚消防署が飯塚市菰田へ移転し、旧庁舎は片島分署として存続、庄内元吉出張所・岩崎出張所が新たに設けられました。
こうした再編は令和4年に完了しており、現在の1署3分署2出張所という体制は、この十数年の見直しの結果です。
発足時の1本部2署・職員87名という体制と比べると、半世紀余りをかけて職員定数237人・1署3分署2出張所という現在の規模まで拡充してきたことになります。(出典:沿革・管内概況|飯塚地区消防本部)
遠賀川がもたらす水害リスク
平成15年7月19日の遠賀川出水では、飯塚市・穂波町(現・飯塚市)全体で4,000戸を超える家屋等の浸水被害が発生し、翌平成16年度から「飯塚・穂波地区床上浸水対策特別緊急事業」(河道掘削による水位低減等)に新規着手しました。(出典:飯塚・穂波地区床上浸水対策特別緊急事業|国土交通省九州地方整備局 遠賀川河川事務所)
平成30年7月豪雨でも、福岡県内の半壊222件のうち飯塚市が188件を占め、飯塚市の床上浸水は261件・床下浸水は319件にのぼりました。(出典:豪雨等による被害状況等について|福岡県)
福岡県は平成29年九州北部豪雨以降、平成30年7月豪雨・令和元年7月と8月の大雨・令和2年7月豪雨・令和3年8月の大雨と5年連続で自然災害に見舞われ、全国で唯一「大雨特別警報」が5年連続で発表された県です。遠賀川流域に位置する飯塚地区消防本部の管内も、この一連の水害と無縁ではありません。
飯塚地区の主な消防課題
ここまで見てきた沿革と数字を重ね合わせると、飯塚地区消防本部が向き合う課題が浮かんできます。面接で「消防の課題」を尋ねられた場合に備え、次の4点を確認しておきましょう。
救急需要への対応
救急出動の増加は、全国の消防本部が共通して抱える課題です。令和6年中は救急自動車の出動が全国で771万8,380件を数え、昭和38年の統計開始以来で最も多い年になりました。(出典:令和7年版 救急・救助の現況|総務省消防庁)
飯塚地区消防本部の10,695件(令和6年中)は、1署3分署2出張所という現在の配置で年間1万件超を受け止めている計算になります。
火災の170倍近い件数が救急に集中する管内で、限られた救急隊をどう機動的に運用するかが日々の課題になっています。
遠賀川流域の水害への備え
飯塚・穂波地区床上浸水対策特別緊急事業のような河川改修が進む一方で、平成30年7月豪雨では県内最多の半壊被害を飯塚市が受けた実績があります。改修工事だけに頼らず、発災時の避難支援や救助の体制を消防としても整えておく必要があります。
組合3団体で異なる高齢化の進み方への対応
嘉麻市41.8%・桂川町36.5%に対し、飯塚市は32.3%です。同じ組合の管内でも、旧産炭地が広がる山あいの町ほど高齢化が進んでいる傾向がうかがえ、地域ごとの実情に応じた救急・予防体制づくりが求められます。
人材確保と女性消防吏員の活躍
消防吏員229人のうち女性は4人、割合にして約1.7%です(令和7年4月1日現在)。同じ時点の全国は消防吏員168,230人中6,386人が女性で、国が平成27年度に定めた目標は「令和8年度当初までに5%」。
組織再編で施設や配置は新しくなった一方、そこで働く人材の裾野をどう広げるかは、ハード面の整備とは別の課題として残っています。(出典:女性消防吏員の活躍推進|消防庁)
重点方針|組織再編を経た運営体制
飯塚地区消防本部には、独立した基本理念や運営方針を掲げた文書は見当たりません(当研究会調べ)。令和4年に完了した組織再編そのものが、この本部の現在地を語るうえでの土台になります。
再編後の体制をどう活かすか
1署3分署2出張所という現在の体制は、平成24年の基本計画に始まり、平成31年の1署体制移行、令和3年の本部・飯塚消防署の菰田移転を経て、令和4年に完成したものです。署所の統廃合と新設を同時に進めた再編であり、これによって飯塚市中心部の対応力を強化しつつ、嘉麻市・桂川町を含む管内全体をカバーする体制が整えられたと理解できます。
独自の戦略文書がない本部では、こうした組織の歩みそのものが方針の代わりになります。再編の経緯を知っているかどうかで、面接での「消防の課題」への答え方に厚みが出ます。
全国的に進む主な取組との接続
| 取組 | 飯塚地区消防本部にとっての意味 |
|---|---|
| 女性職員の活躍推進 | 229人中4人(約1.7%)という現状水準から、国が掲げる「令和8年度当初までに5%」の目標にどう近づけるかが大きな課題になる(出典:女性消防吏員の活躍推進|消防庁) |
| 緊急消防援助隊としての広域応援 | 全国の消防本部の約99%にあたる718本部(6,661隊・令和6年4月1日現在)が登録済み(出典:令和6年版 消防白書|総務省消防庁)。遠賀川流域の水害時には、応援を受ける側にも送る側にもなり得る |
| 消防のデジタル化・省力化 | 消防団の救助資機材の補助対象にドローンが加えられ、全国の消防学校で操縦講習が行われるなど活用が広がっている(出典:令和6年版 消防白書|総務省消防庁)。再編後の限られた人員配置を補う手段として関心が高い分野である |
POINT|再編の経緯を知ることが土台になる
独自の運営方針が確認できない本部では、①組織がどう変わってきたか ②その変化が管内の実情にどう応えるものか ③自分がどう貢献したいか、の順で考えを組み立てるとよいでしょう。
悪い例「体力に自信があるので、消防官を目指しています」
改善例「大学で地域の防災ボランティアに参加し、住民の方から水害への不安を伺う機会がありました。飯塚地区消防本部の管内は遠賀川の水害と長く向き合ってきた地域だと知り、消防吏員として現場活動に携わりながら、住民の不安に寄り添える存在になりたいと考えています」
あわせて確認したい公式資料
下に挙げる4点のうち、上の2つは受験資格や体力試験の目安、申込方法を確かめるための実務資料、残りの2つは志望動機を厚くするための材料です。
- 飯塚地区消防組合が公表する消防吏員採用試験の受験案内
- 飯塚地区消防本部公式サイトの採用情報ページ
- 飯塚地区消防本部公式サイトの沿革・管内概況ページ
- 総務省消防庁が公表する全国の消防本部データ(吏員数・出動件数等)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字や制度を暗記しているだけでは、一歩踏み込まれた質問に言葉が続かなくなります。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、飯塚地区消防本部専用の面接想定問答集をご用意しています。飯塚地区消防本部の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
飯塚地区消防本部の面接の概要
飯塚地区消防本部の面接の流れ
飯塚地区消防組合が実施する消防吏員採用試験は、第1次(筆記・体力)、第2次(集団面接・作文)、第3次(個人面接・身体検査)の3段階で構成される。面接(口述試験)は第2次の集団面接、第3次の個人面接と、形式を変えて合計2回課される。
| 項目 | 内容(令和8年度試験) |
|---|---|
| 実施主体 | 飯塚地区消防組合(飯塚地区消防本部総務課) |
| 試験の段階 | 第1次・第2次・第3次の3段階 |
| 面接の種類 | 第2次=集団面接(口述試験)、第3次=個人面接(口述試験) |
| 面接以外の検査 | 教養試験(職務能力試験BEST-A)、消防適性検査、体力試験(第1次)/作文試験(第2次)/身体検査(第3次) |
| 面接カード | 受験案内での言及は確認できず。最新の受験案内でご確認ください |
上記は飯塚地区消防組合が公表する令和8年度試験にもとづくものです。年度が変わると内容が更新される場合があるため、受験の際は最新の受験案内であらためて確認してください。
令和8年度の採用予定人員は5名程度で、受験資格は平成14年4月2日から平成21年4月1日までに生まれた日本国籍を有する人。
申込みは持参のみで、郵送は受け付けられません。第1次試験の会場は管轄内の福岡県立稲築志耕館高等学校(嘉麻市岩崎1318-1)に設定されています。
体力試験の目安(第1次試験)
体力試験の種目は握力・けんすい(女性は斜めけんすい)・200m疾走(女性は100m疾走。雨天の場合は握力・上体起こし・反復横とびに振り替え)で、公式には必要な体力の「目安」として次の数値が示されています。
| 種目 | 男性の目安 | 女性の目安 |
|---|---|---|
| 200m疾走/100m疾走 | 34秒未満 | 20秒未満 |
| 握力(左右平均) | 35kg以上 | 21kg以上 |
| 懸垂/斜め懸垂 | 3回以上 | 10回以上 |
| 上体起こし(雨天時) | 20回以上 | 14回以上 |
| 反復横とび(雨天時) | 35回以上 | 27回以上 |
受験案内はこれらを必要な体力の「目安」として示しており、1種目でも下回れば不合格になるといった扱いまでは明記されていません。それでも水準を知っておくことは、当日までのトレーニング計画を立てるうえで役に立ちます。
受験資格として示される身体条件は、視力が矯正視力を含めて両眼で0.7以上・一眼でそれぞれ0.3以上、色覚は赤色・青色・黄色の色彩の識別ができること、聴力は2メートルの位置で低語が聴取できることとされています。体力試験の目安とあわせて、早い段階で自分の状態を確認しておきたい項目です。
申込みから合格発表までの流れ
申込書の提出先は飯塚地区消防本部総務課で、記入は「かい書」「算用数字」を用いて黒色のボールペンで行い、年は和暦(平成・令和)で記入するよう定められています。
写真欄は4cm×3cmのサイズが指定されています。
合格発表は第1次・第2次・第3次のいずれも飯塚消防署玄関前および公式サイトへの受験番号の掲示で行われ、電話による問い合わせには応じない方式です。
なお、公式サイトの管内概況表では出張所を庄内元吉・岩崎の2か所としていますが、同じページの消防署・分署・出張所の所在地一覧には山田出張所(嘉麻市上山田)も掲載されています。本記事では概況表の表記にしたがって2出張所としています。
飯塚地区消防本部が求める人材
飯塚地区消防本部の採用ページでは、「求める人材像」という形での明文公表は確認できません(当研究会調べ)。
そのぶん、面接では一般的なコンピテンシー評価の考え方、つまり過去の行動事実から入庁後の再現性を見極める方法が軸になっていると考えられます。
第2次の集団面接、第3次の個人面接と、性質の異なる面接が2回課される構造からは、集団の中での立ち居振る舞いと、1対1で深掘りされたときの一貫性の両方が確かめられていると読み取れます。
あわせて、居住要件が管轄区域内または最寄り署所からおおむね30分以内と定められていることから、地域に根を張って働き続ける意思の有無も、面接では自然と話題にのぼりやすいポイントだといえます。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。飯塚地区消防本部の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日は会場までどうやって来ましたか? | 緊張をほぐす何気ないやり取りに、素の受け答えが表れる |
| ② 動機・志望 | なぜ飯塚地区消防本部を志望するのですか? | 2市1町という管内と消防官という仕事を、自分の言葉で選べているか |
| ③ 自己理解 | 自分の性格をひと言で表すとどうなりますか? | 自己認識と他者評価のズレがないか。人柄の一貫性 |
| ④ 経験・行動 | 集団の中で自分の役割を果たしきれなかった経験はありますか? | 過去の行動の事実。うまくいかない場面での対処が現場の仕事に通じるか |
| ⑤ 学業・経歴 | 体力づくりのために日頃取り組んでいることはありますか? | 体力試験の目安に向けた準備の具体性と継続性 |
| ⑥ 適性・将来 | 交替制勤務や体力を要する仕事に不安はありませんか? | 交替制勤務と現場活動を続けるための体力・生活習慣・覚悟 |
| ⑦ 公共性・社会性 | 消防官(公務員)に最も必要な資質は何だと思いますか? | 仕事の公共性への理解と、社会の出来事への当事者意識 |
7分類はあくまで準備の骨組みです。ここから先は、飯塚地区の実情にどこまで踏み込んで答えられるかが分かれ目になります。
合否を分けるのは飯塚地区消防本部に固有の質問
1問目は近い職業との比較を通じた仕事理解を、2問目は組合という運営形態への理解度を確かめる質問です。
飯塚地区消防本部は選考が3段階、面接だけでも2回に分かれている分、段階を追うごとに答えの深さが試されます。面接で使いやすい「飯塚地区の事実」を選び、答え方のポイントとあわせてまとめました。
| 質問テーマ | 知っておきたい飯塚地区の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 2市1町で1つの消防を担う仕組み | 飯塚市・嘉麻市・桂川町の2市1町が共同で飯塚地区消防組合を設置している(詳細は第1部1章) | 1つの団体だけに偏らず、管内全体を見渡す視点を持っていることが伝わると評価が高まる |
| 組織再編の歩み | 令和4年に1署3分署2出張所の現体制が完成した(詳細は第1部3章) | 再編の経緯まで押さえていると、組織理解の深さが伝わる |
| 遠賀川の水害リスク | 平成30年7月豪雨で県内最多の半壊188件を飯塚市が記録した(詳細は第1部3章) | 被害の事実だけで終えず、床上浸水対策特別緊急事業のような対策まで言及すると理解の深さが伝わる |
| 救急需要への対応 | 令和6年中の救急出動は10,695件で、火災の170倍近い(数値の詳細は第1部2章・4章) | 件数の多さに加えて、地域ごとの高齢化差にも触れられると具体性が増す |
| 体力試験の目安 | 200m疾走34秒未満・握力35kg以上など男女別の目安が示されている(詳細は第2部1章) | 数値そのものより、日頃の準備の具体性を語れるかが重要になる |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、〈事実 → 自分の問題意識 → 消防吏員としてやりたいこと〉という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
飯塚地区消防本部は、面接の評定基準を個別の観点として公表していません。そのため、一般論としてのコンピテンシー評価を軸に、集団面接と個人面接という2回の面接構造や居住要件から読み取れる観点を整理しました。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 集団の中での協調性 | 第2次の集団面接で、他の受験者とのやり取りの中で自分の考えを伝えられるか | 周囲の発言をきちんと受け止め、その上で自分の意見を落ち着いて述べる練習をしておくとよい |
| 地域への定着意識 | 管轄区域内または最寄り署所からおおむね30分以内に居住するという要件に向き合っているか | 管内での暮らし方や地域との関わり方を具体的にイメージしておく |
| 体力・生活習慣への覚悟 | 交替制勤務や体力試験の目安に向き合う継続的な取組があるか | 200m疾走や握力など、具体的な種目に日頃から取り組んでいる実績を語れるようにする |
| 組織の変化への理解 | 令和4年に完了した組織再編の経緯や意味を、自分の言葉で説明できるか | 署所の統廃合がなぜ必要だったのかを、管内の人口分布や災害リスクと結び付けて理解しておく |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。飯塚地区消防本部のように面接が2回、選考全体では3段階ある試験ではなおさらです。
自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、実際の準備手順に置き換えていきます。
- 令和8年度の受験案内を読み、受験資格・提出書類(写真4cm×3cm付きの受験申込書)と持参による申込方法を確認する。飯塚地区消防本部は郵送を受け付けていないため、申込期間中に総務課へ直接出向く必要がある
- これまでの経験を棚卸しする。学業・部活動・アルバイトから、集団で協力した経験と、1対1で信頼関係を築いた経験をそれぞれ1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 組織研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、2市1町という管内の広さと組織再編の経緯を自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の材料を対応表から集め、事実から自分の問題意識、やりたいことへの一続きの話に編む
- 実際に口に出してリハーサルし、集団面接では他の受験者とのやり取りを、個人面接では深掘りに耐える受け答えを、それぞれ練習する。200m疾走・握力・懸垂など体力試験の目安に向けたトレーニングも並行して進める
優先順位に注意
ステップ4〜5の組織研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を消防の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で飯塚地区の知識だけを増やしても、3段階の選考では評価につながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、飯塚地区消防本部専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
飯塚地区消防本部の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。体力試験のトレーニングと面接準備、さらに持参による申込みの段取りまで同時に進めなければならない受験生ほど、回答の材料を早めに整理しておく価値が大きいはずです。
さいごに
飯塚地区消防本部は、飯塚市・嘉麻市・桂川町という2市1町が共同で支える消防組織であり、昭和45年の発足から令和4年の組織再編完了まで、長い時間をかけて現在の1署3分署2出張所という体制にたどり着いた本部です。
遠賀川がもたらす水害リスクと、旧産炭地に特有の高齢化の進み方の両方に向き合いながら、選考は3段階、面接は集団・個人と形式を変えて2回課されます。
申込みは持参のみ、合格発表も掲示による確認が基本という、昔ながらの手続きが今も残っている点も、この本部らしさの一つです。
組織の歩みと管内の実情を理解したうえで、自分の経験のどこが飯塚地区消防本部の仕事に重なるのかを、段階を追うごとに深めながら言葉にできるよう、準備を重ねていきましょう。