本記事では、直方市職員採用試験の面接対策で必要な、直方市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
直方市役所の面接試験では、「なぜ直方市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。令和8年度の事務職Bでは第一次から第三次まで三つの段階すべてに面接が置かれており、市を知っているかどうかが繰り返し確かめられる設計になっています。
市名の読みは「のおがた」です。本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と直方市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
直方市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは直方市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 福岡県の北部、遠賀川の中流域に広がる筑豊地域の市。市域は61.76km²で、北九州市・飯塚市・宮若市と、小竹町・鞍手町・福智町の6つの市町に囲まれている。
- 人口は54,154人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。人口密度はおよそ877人/km²で、平地に市街地が寄っている。
- 65歳以上は18,056人。市民のおよそ3人に1人が高齢者という年齢構成(33.3%)で、75歳以上も10,794人(19.9%)にのぼる。
- 明治以降は筑豊炭田の石炭が集まる町として発展した。直方市石炭記念館は1971年7月の開設で、本館は1910年に建てられた筑豊石炭鉱業組合直方会議所の建物をそのまま使っている。
- 2018年には、市内の炭鉱関連施設が「筑豊炭田遺跡群」として国の史跡に指定された。
- 宮若市方面から流れてくる犬鳴川は、直方市で遠賀川に合流する。水の集まる地形が、市街地の成り立ちと防災の両方に関わっている。
- 市の花はチューリップ・ユリ・コスモス・水仙、市の木は泰山木とヤマボウシ。市役所は直方市殿町7番1号にある。
- 令和8年度の事務職採用試験は、募集案内の冒頭に「特別な公務員試験対策は不要!」「直方市は人物重視で採用します!」と掲げられている。
直方市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「直方市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
面接で直方市の話をするとき、手が届く範囲はだいたい次の7項目に収まります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 54,154人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 65歳以上人口 | 18,056人(33.3%) |
| 75歳以上人口 | 10,794人(19.9%) |
| 総面積 | 61.76km² |
| 人口密度 | 約877人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 隣接する市町 | 北九州市・飯塚市・宮若市・小竹町・鞍手町・福智町 |
| 市役所の所在地 | 直方市殿町7番1号 |
総人口・65歳以上人口・75歳以上人口は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の値です。人口密度はこの人口を面積で割って算出しました。国勢調査をもとにした統計とは基準が異なるため、この表の値と国勢調査ベースの数字を並べて増減を計算することはできません。面積・隣接する市町・市役所の所在地は、当研究会が基礎データとして整理したものです。
数字から考えられる市政課題
直方市の高齢化率33.3%は、同じ住民基本台帳ベースで見た福岡県全体の28.2%を5ポイントほど上回ります。より目を引くのは75歳以上の厚みで、市民の19.9%、つまり5人に1人が75歳以上という水準です(県全体は16.2%)。
なお福岡県は、令和8年4月1日現在の高齢化率を28.26%と公表しており、前年同日の28.19%から上昇しています。時点は異なりますが、いずれも住民基本台帳をもとにした数字です。(出典:福岡県の高齢者人口|令和8年4月1日現在)
この年齢構成は、そのまま仕事の中身に跳ね返ります。介護や医療、ひとり暮らしの見守りに関わる相談が増える一方で、支える側の世代は薄くなっていく。面接で市の現状を説明するなら、数字を言い切って終わりにせず、そこから何が起きるかまで続けられると伝わり方が変わります。
直方市の経済・産業
直方市単独の市内総生産にあたる数値を、公表資料からは確認できません(当研究会調べ)。福岡県は市町村民経済計算を含む報告書を公表していますので、市単位の経済規模を精密に知りたい場合はそちらにあたるのが確実です。
ここでは面接で使える範囲として、県全体の産業の姿と、直方市の立地・歴史から見える性格を整理します。
福岡県の産業が置かれている位置
- 名目県内総生産は全国第9位。産業別の全国順位は第1次産業13位・第2次産業11位・第3次産業8位。
- 県を含む北部九州には日産・トヨタ・ダイハツが生産拠点を配置し、生産台数は国内市場の15%以上を占める。
- 耕地面積は7万8,000ha(県土の16%)で水田割合81%(全国平均54%)。小麦・いちご・甘柿は全国2位。
- 中小企業が県内企業数の99.8%、従業員数の77.3%を占める。
つまり、完成車工場のような大規模な拠点と、圧倒的多数の中小企業が同居しているのが福岡県の産業の姿です。直方市が隣り合う宮若市・鞍手町には九州自動車道のインターチェンジが整備され、トヨタ自動車九州を核とした自動車産業が発展してきました。
市の外に大きな雇用の場があるという条件は、住まいと働き先の関係を考えるうえで押さえておきたい点です。(出典:福岡県の産業|令和5〜6年/福岡県 主要産業の概要|令和8年)
石炭のまちが残したもの
直方市の産業史の中心には筑豊炭田があります。直方市石炭記念館は1971年7月に開設され、本館として使われているのは1910年建築の筑豊石炭鉱業組合直方会議所です。2018年には市内の炭鉱関連施設が「筑豊炭田遺跡群」として国の史跡に指定されました。(出典:直方市石炭記念館)
筑豊一帯には同じ系譜の資源が点在しています。飯塚市の旧伊藤伝右衛門邸は国指定重要文化財で、庭園は2011年に国の名勝に指定されました。田川市の「山本作兵衛コレクション」は、同じ2011年に日本で初めてユネスコの「世界の記憶」に登録されています。
石炭を掘っていた時代の建物や記録が、いまは観光と教育の資源として扱われている。この転換を自分がどう受け止めるかは、志望理由の説明にそのまま使える素材です。
川が集まる地形と市街地
犬鳴川が遠賀川に合流する地点に市街地が広がるという成り立ちは、人口密度およそ877人/km²という数字にも表れています。市域61.76km²は県内29市のなかでは中ほどより小さく、市役所から市の端までの距離が近い。
この近さは、住民との距離が短いという利点であると同時に、水があふれたときに市域の広い範囲が同時に影響を受けるという条件でもあります。産業を語るときも防災を語るときも、この地形が出発点になります。
直方市の主な行政課題
ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、直方市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
3人に1人が65歳以上という年齢構成
高齢化率33.3%、75歳以上率19.9%という数字が効いてくるのは、福祉や医療の窓口にとどまりません。避難を呼びかけるときの伝え方、公共交通の使われ方、自治会の運営、公共施設の使い勝手まで、市の仕事のほぼ全域に条件として乗ってきます。
高齢化への対応は、直方市ではこれから来る課題ではなく、すでに市政の前提です。志望動機で高齢者福祉に触れないとしても、この前提を知ったうえで話しているかどうかは、掘られたときに出ます。
県全体で進む人口減少
福岡県人口ビジョンは、国立社会保障・人口問題研究所の推計方法に準拠すると県人口が2020年の514万人から2060年には約8割の408万人まで減り、高齢化率は28.0%から36.1%へ上昇すると見込んでいます。出生率の改善等を前提とする将来展望では472万〜443万人となり、40万〜60万人程度は緩和されるという試算も併記されています。(出典:福岡県人口ビジョン)
この推計は国勢調査をもとにしたもので、住民基本台帳ベースの市の値とは基準が異なります。ただ、県全体がこれから近づいていく水準に直方市はすでに立っている、という関係は読み取れます。県の課題を語る言葉をそのまま借りるのではなく、市の数字で言い直せるかどうかが自治体研究の分かれ目になります。
遠賀川流域の水害への備え
福岡県は平成29年7月の九州北部豪雨以降、平成30年7月豪雨、令和元年7月と8月の大雨、令和2年7月豪雨、令和3年8月の大雨と、県資料によれば全国で唯一5年連続で大雨特別警報が発表された県です。
遠賀川水系では、平成15年7月19日の出水により飯塚市・穂波町全体で4,000戸を超える家屋等が浸水し、翌年度から「飯塚・穂波地区床上浸水対策特別緊急事業」に着手しています。(出典:遠賀川の歩み(国土交通省遠賀川河川事務所))
直方市は犬鳴川と遠賀川が合流する位置にあり、上流で降った雨が集まってくる地形です。流域は複数の市町にまたがりますから、市単独で完結する備えにはなりません。ここは「市だけではできないことをどう進めるか」という論点に接続できます。
大規模地震の想定
福岡県は令和7年10月31日に地震防災アセスメント調査報告書を公表しました。県内7つの主要活断層(小倉東断層・福智山断層帯・西山断層帯・宇美断層・警固断層帯・日向峠-小笠木峠断層帯・水縄断層帯)と南海トラフ地震を想定し、7つの活断層はいずれも最大震度7が予測されています。
警固断層帯(南東部、マグニチュード7.7)の地震では、冬18時・強風のケースで死者1,800人・災害関連死800人、全壊全焼36,000棟、避難者319,000人が想定されました。(出典:福岡県地震防災アセスメント調査|令和7年10月)
この想定が更新されたのは令和7年10月です。市の地域防災計画や避難所の運用も、新しい想定に合わせて見直されていく段階にあります。防災を志望分野に挙げるなら、こうした更新の動きに触れられると、調べた深さが伝わります。
石炭のまちの記憶を次にどうつなぐか
筑豊炭田遺跡群の国史跡指定は2018年、石炭記念館の開設は1971年です。半世紀にわたって守られてきた資源をこの先どう使うのかは、観光の話にとどまりません。市民の3人に1人が65歳以上という構成のもとで、資料を残し、語り継ぎ、施設を維持する担い手をどう確保するか。
人が減っていく市で文化や歴史をどう抱えていくかという問いは、直方市の規模だからこそ具体的に語れるテーマです。
直方市の重点政策|計画と方針の確かめ方
市政全体の方向を示す総合計画がどの版で動いているのかは、当研究会が当たった公表資料の範囲では読み取れませんでした。そのぶん、市の考え方をたどる手がかりは別のところに置かれています。市の人事・職員採用のページには「直方市人財育成基本方針」が掲載項目として置かれています。
「人材」ではなく「人財」と書く表記が採られている点も含め、面接の前に一度は開いておきたい資料です。(出典:直方市の人事・職員採用)
県の総合計画が示している前提
福岡県総合計画は、令和4年度から令和8年度までを計画期間としています。この計画が県を取り巻く状況の大きな変化として整理したのは、人口減少・少子高齢化の進行、デジタル化・脱炭素社会への対応、グローバル化の進展、頻発化・激甚化する自然災害の4つでした。
そのすべてを通じて、誰一人取り残さない社会というSDGsの考え方がこれから一段と重みを増すという立て方になっています。(出典:福岡県総合計画|令和4年度〜令和8年度)
この4つは、直方市に置き換えても輪郭が変わりません。人口減少と高齢化はすでに市の数字に出ており、自然災害は遠賀川と活断層という形で具体化しています。県の言葉を借りるのではなく、市の数字と地名に置き直して話せるようにしておきましょう。
関心分野の掘り下げ方
POINT|計画名の暗記より、担当課の仕事に近づける
計画の名称をいくつ言えるかが自治体研究の目的ではありません。関心のある分野を一つ選び、「①直方市でいま何が起きているか → ②市はどんな状態を目指しているか → ③そのために動いている事業や施設は何か → ④市だからこそできることは何か → ⑤自分の経験をどこで使えるか」の順にたどってみましょう。
悪い例「直方市の高齢者福祉に携わりたいです」
改善例「直方市は65歳以上の方が3割を超えていると聞きました。ひとり暮らしの高齢の方が地域で孤立しないように、民生委員さんや自治会の方と一緒に見守りの形をつくっていく仕事に関わりたいです」
あわせて確認したい公式資料
直方市の場合、第一次試験に録画面接があるため、募集案内だけは申込の前に一度通して読んでおく必要があります。残りは志望する分野に引きつけて拾えば足ります。
- 直方市職員採用試験情報のページ(最新年度の募集案内。試験の段階・申込方法・提出物がここに集約されています)
- 直方市の人事・職員採用のページ(直方市人財育成基本方針が掲載項目として置かれています)
- 福岡県総合計画(令和4年度から令和8年度まで)の概要
- 福岡県地震防災アセスメント調査(令和7年10月公表)の概要版
- 福岡県人口ビジョン(県全体の将来推計と、その前提の置き方)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、直方市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。直方市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
直方市役所の面接の概要
ここからは、直方市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
直方市役所の面接の流れ
令和8年度の事務職Bでは、第一次から第三次まで、三つの段階すべてに面接が置かれています。第一次は録画面接、第二次は集団面接、第三次は個別面接で、形式が段階ごとに入れ替わります。しかも筆記の教養試験は課されず、第一次の学力系はSPI3の能力検査だけです。
募集案内は冒頭に「特別な公務員試験対策は不要!」「直方市は人物重視で採用します!」と掲げています。
| 項目 | 内容(令和8年度・事務職B) |
|---|---|
| 試験の段階 | 三段階。第一次試験 → 第二次試験 → 第三次試験と、段階ごとに合格者が絞り込まれます |
| 第一次試験 | 録画面接と、SPI3(性格検査・能力検査)。SPI3は全国のテストセンターまたはインターネット専用サイトで受検します |
| 第二次試験 | 面接試験(集団面接)。会場は直方市役所等 |
| 第三次試験 | 面接試験(個別面接)。会場は直方市役所等 |
| 筆記試験 | 教養試験は課されません。第一次の学力系はSPI3の能力検査のみです |
| 配点 | 配点は公表されていません。最新の受験案内でご確認ください |
| 申込と提出 | 官公庁・自治体求人サイト「パブリックコネクト」で会員登録のうえエントリーフォームを登録します。申込入力完了の翌営業日までにSPIの受検案内が送られ、期日までに受検が終わらない場合は失格になります |
| 採用予定 | 事務職B 3名程度 |
上記は、直方市が公表した令和8年度直方市職員採用試験(事務職B)の募集案内に基づく内容です。同じ年度の中にも複数の募集の枠があり、枠によって試験の構成や受験資格が異なります。申込の前に、ご自身が受ける枠の最新の募集案内を市の採用試験情報のページで確認してください。
三つの段階すべてで人と向き合う設計は、準備の仕方を変えます。録画面接は面接官の反応が返ってこないぶん、話す内容と表情だけで伝えきる必要があります。集団面接では、他の受験者の発言のあとに自分の順番が回ってきます。
個別面接では一つの話題が掘られます。同じ経験を、一人語り・並びの中・一対一という三つの場面で語り直せるかが問われる構成です。
受験資格にも特徴があります。令和8年4月1日の時点で18歳から34歳までが対象で、令和8年度末に高等学校を卒業見込みの人は含まれません。今年度に直方市が実施した採用試験を受験した人も対象外です。
年度の途中から順次採用される枠であることとあわせて、既卒者や社会人が一定数含まれることを前提にした募集だと読めます。
処遇も募集案内に示されています。初任給は大学卒232,000円程度、短期大学卒219,400円程度、高校卒206,700円程度を基準(令和8年4月時点基準)に、経験年数等を考慮して調整されます。期末手当と勤勉手当は1年間で約4.65月分です。
直方市役所が求める人物像
定型化された「求める職員像」の一文を、直方市の募集案内と採用試験情報のページの本文には見つけられませんでした。手がかりは二つあります。一つは、市の人事・職員採用のページに「直方市人財育成基本方針」が掲げられていること。
もう一つは、教養試験を外して面接を三段階に置いたという試験そのものの組み方です。
ここから先は当研究会の編集的な読み取りとしてお読みください。採用予定が3名程度という規模は、配属先が特定の分野に固まらないことを意味します。異動のたびに前任者のいない仕事を引き受ける場面もあり、そのとき支えになるのは、知らないことを自分で調べ、周りに確かめながら形にしていく地力です。
学生時代や前職での経験を語るときは、成果の大きさよりも、わからない状態からどう動き出したかを具体的に置いておくとよいでしょう。
もう一つの手がかりが、第一次に録画面接を置いたことです。面接官が目の前にいない状態で、決められた時間のなかに自分の考えを収めきる。この形式で残るのは、話の巧みさよりも、内容の具体性と話している人の落ち着きです。
三段階すべてを面接にした市が最初の関門にこの形式を選んでいる以上、飾らずに中身を話せる受験者が評価されやすい設計になっているとみています。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。直方市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 直接お会いするのは今日が初めてですが、いかがですか? | 録画面接にはこの一言がありません。第二次で初めて向き合う場面での、素の受け答えのトーン |
| ② 動機・志望 | なぜ公務員を志望するのですか? | 教養試験のない市を選んだ理由が、消去法に聞こえていないか |
| ③ 自己理解 | あなたの短所(弱み)は何ですか? | 三段階の面接で同じ話をしても崩れないだけの、自分についての把握 |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください | 困難の大きさではなく、その場面で何を考えてどう動いたかという行動の中身 |
| ⑤ 学業・経歴 | これまでの学業や仕事で身につけたことを、市の仕事にどう生かせますか | 専門外の相手に伝わる言葉へ置き換える力と、仕事へつなげる視点 |
| ⑥ 適性・将来 | 入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか? | 採用予定3名程度という規模を踏まえ、配属が読めない前提を受け止めて話せるか |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近関心を持ったニュースは何ですか? | 取り上げた話題に、自分の意見が一言でも付いているか |
この7つの枠に入る答えは、どこを受けても大きくは組み替わりません。直方市で差が出るのは、三段階の面接を通して同じ話を掘られたときに、答えが痩せていかないかどうかです。その厚みをつくるのが、次に並べた直方市についての問いです。
合否を分けるのは「直方市役所ならでは」の質問
この二問は、第三次の個別面接で差がはっきり出ます。第二次の集団面接は持ち時間が短く、用意した一段目まででも形になります。ところが個別面接では、答えたあとに「なぜそう思うのですか」が続きます。
二段目・三段目まで用意できているかどうかが、直方市の試験では二度確かめられるということです。こうした質問に答えるための「直方市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい直方市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 人口と年齢構成 | 人口54,154人のうち65歳以上が18,056人(33.3%)、75歳以上が10,794人(19.9%)。いずれも令和8年1月1日現在の住民基本台帳による | 数字を挙げて止めず、そこから窓口や地域の仕事がどう変わるかまで続けます |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 市域61.76km²に人口5万人台。北九州市・飯塚市・宮若市と3つの町に囲まれ、事務職Bの採用予定は3名程度 | 制度の説明ではなく、担当者の顔が見える規模で働きたい理由を、自分の経験に結び付けて話します |
| 産業と歴史 | 直方市石炭記念館は1971年開設、本館は1910年建築の筑豊石炭鉱業組合直方会議所。2018年に「筑豊炭田遺跡群」として国史跡に指定 | 名所の紹介で終わらせず、掘っていた時代の記憶をいまの市政にどう生かすかまで踏み込みます |
| 防災 | 犬鳴川が市内で遠賀川に合流する。県資料によれば福岡県は平成29年以降5年連続で大雨特別警報が発表され、遠賀川水系では平成15年の出水で飯塚市・穂波町を中心に4,000戸超が浸水 | 流域全体の課題として押さえたうえで、住民の立場で自分にできる備えを一つ添えます |
| 採用試験の性格 | 教養試験を課さず、第一次の録画面接・第二次の集団面接・第三次の個別面接と三段階すべてに面接を置く設計 | 「人物重視だから受けた」で止めず、その設計をどう受け止めて準備してきたかを話します |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
直方市は求める職員像にあたる項目を掲げていません。読み取りの手がかりは、市が組んだ試験の中身のほうにあります。教養試験を外し、三つの段階すべてに面接を置いた設計です。
いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 自分で調べて動ける力 | やったことのない役割を引き受けた場面で、どこから手をつけたかが問われます | 「誰かに教わって」で終わらせず、自分が最初に打った一手を言えるようにします |
| 相手に伝わる話し方 | 録画面接という一方向の形式と、集団面接という並びの中の形式の両方で確かめられます | 同じ経験を、1分で話す版と3分で話す版の二通り用意しておきます |
| 腰を据えて続ける姿勢 | 年度の途中から順次採用される枠であることを踏まえ、長く働く意思が静かに見られている可能性があります | 長く続けた経験を一つ選び、やめたくなった場面と、それでも続けた理由をセットで語れるようにします |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。直方市は第三次が個別面接ですから、ここで一気に掘られます。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 最新年度の募集案内を読み、三段階それぞれの試験科目と、パブリックコネクトでの申込からSPI3の受検までの流れを確認する(受検の期日を落とすと失格になります)
- これまでの経験を棚卸しする。学業・仕事・課外活動から、三段階のどの面接で出しても持ちこたえる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い直方市の事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 時間を計りながらカメラに向かって話し、撮った映像を自分で見返す。気になった箇所に「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく
優先順位に注意
ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、直方市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
直方市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
令和8年度の事務職Bでは、直方市の試験は録画面接から始まり、集団面接を経て、個別面接で終わります。筆記の教養試験がないぶん、逃げ場もありません。ただ、三度も人と向き合う機会があるということは、一度うまく話せなかった場面があっても取り返せるということでもあります。
三つの形式で語り直せるだけの経験の厚みを、これから作っていってください。