本記事では、田川市職員採用試験の面接対策で必要な、田川市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

田川市役所の面接では、「なぜ田川市を志望したのか」、「市の職員として何をやりたいのか」、「これまで培ってきたものを市政のどこで使うのか」といった問いが想定されます。田川市は職員に求める心構えを「走・攻・守」という3語で公表していますので、準備の軸はここに置くのが早道です。

以下で扱う試験の内容は、令和8年度の田川市職員採用登録試験にもとづく記述です。区分によって第一次試験の科目が異なりますので、ご自身が受ける区分は最新の受験案内で確かめてください。

第1部|自治体研究編

田川市の特徴

まず、田川市がどんな条件と歴史を持つ市なのかを押さえておきましょう。地名の使い分けを含め、最初に確認しておきたい項目を並べます。

  • 市域は54.55km²。人口は44,065人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)で、人口密度は1平方キロメートルあたり約808人。
  • 境を接するのは飯塚市・嘉麻市の2市と、田川郡の香春町・糸田町・福智町・川崎町・大任町の5町。隣接する5町はいずれも田川郡に属する別の自治体であり、田川市とは行政の主体が異なる。
  • 高齢化率は34.6%、75歳以上の割合は20.4%。福岡県全体は同じ住民基本台帳の基準で28.2%・16.2%なので、いずれも県を大きく超える水準。
  • かつての産炭地であり、炭鉱で働く人々を描いた山本作兵衛氏の炭坑記録画・日記等「山本作兵衛コレクション」は、平成23年5月25日に日本で初めてユネスコの世界記憶遺産(世界の記憶)に登録された。
  • 民謡「炭坑節」発祥の地とされる。市のキャラクターは「たがたん」。
  • 市は職員に求められる心構えを「走・攻・守」と定め、職員採用登録試験の案内で公表している。
  • 職員採用試験は「田川市職員採用登録試験」という名称で、第一次から第三次までの3段階。第三次は全区分共通で個別面接のみである。
  • 市の花はツツジ、市の木はキンモクセイとイチョウ。市役所は田川市中央町1番1号に置かれている。

田川市の基礎データ

数字を細かく暗記する必要はありませんが、規模を取り違えたまま志望動機を話すと、途中で辻褄が合わなくなります。ここでは人口・年齢構成・市域・位置関係を中心にまとめました。

項目内容
総人口44,065人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
65歳以上人口15,242人(高齢化率34.6%)
75歳以上人口8,976人(総人口の20.4%)
総面積54.55km²
人口密度約808人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接自治体飯塚市・嘉麻市/田川郡香春町・糸田町・福智町・川崎町・大任町(いずれも福岡県)
市の花・木ツツジ(花)・キンモクセイおよびイチョウ(木)
市役所の所在地田川市中央町1番1号

総人口・65歳以上人口・75歳以上人口は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の数値です。福岡県が国勢調査をもとに公表している統計とは調査の基準が違いますので、両者を並べて増減を計算することは避けてください。総面積・隣接自治体・市の花木・市役所の所在地については、当研究会が整理した基礎データを用いています。

「田川」という言葉の指す範囲に注意する

面接の準備で最初に整理しておきたいのが、地名の範囲です。田川市に接する香春町・糸田町・福智町・川崎町・大任町は、いずれも田川郡に属する町で、田川市とは別の自治体です。日常会話で「田川」と言うときは郡を含む地域全体を指すことがありますが、受験するのは田川市役所です。

統計や施策を調べるときも、市の数字なのか、郡を含む圏域の数字なのかを必ず確かめてください。面接で圏域の話を市の話として述べてしまうと、調べ方が甘いと受け取られます。

年齢構成も見ておきましょう。高齢化率34.6%、75歳以上20.4%という値は、同じ住民基本台帳の基準でみた福岡県全体(28.2%・16.2%)をそれぞれ6ポイント・4ポイント以上上回ります。市民の3分の1超が65歳以上で、そのうち6割近くが75歳以上という内訳になります。

54.55km²という市域に約4万4千人ですから、面積の広さが問題になる市ではありません。田川市の課題は距離ではなく、人口構成そのものの側にあります。

「田川市は人口が4万4千人ほどで、高齢化率は3割台半ばと県の平均よりかなり高いと聞きました。市域はそれほど広くないので、移動が難しいというより、支える側の人数が減っていくことのほうが先に効いてくるように思います」

田川市の経済・産業

炭鉱の記憶が資産になった経緯

田川市を語るときに外せないのが、石炭産業の歴史です。炭鉱で働く人々の姿を描き続けた山本作兵衛氏の炭坑記録画・日記等「山本作兵衛コレクション」は、平成23年5月25日、日本で初めてユネスコの世界記憶遺産(世界の記憶)に登録されました。

田川市はまた、民謡「炭坑節」発祥の地とされています。(出典:山本作兵衛コレクション|田川市)

ここで押さえておきたいのは、登録されたのが建造物や景観ではなく、働く人の記録だという点です。産業そのものは終わっても、そこで人がどう働き、どう暮らしたかという記録が国際的な価値を認められたという構図は、この市の観光や文化の施策を理解する鍵になります。

面接で文化振興を語るなら、「世界記憶遺産があります」で止めず、記録を残すことが地域にとってどんな意味を持つのかまで話せると、厚みが出ます。

県の産業構造のなかで

田川市の産業に触れる前に、福岡県という単位で見たときの規模を確かめておきます。福岡県の名目県内総生産は全国で9番目の規模です。産業別に見ると、第1次産業が13位、第2次産業が11位、第3次産業が8位という並びになります。

北部九州には自動車の生産拠点が集まり、生産台数は国内市場の15%以上を占めています。(出典:福岡県の主要産業|令和2年度県民経済計算ほか)

ただし、市役所の商工部門が日々向き合う相手はこうした大企業ではありません。県内企業数の99.8%、従業員数の77.3%を中小企業が占めています。基幹産業を失ったあとの市で雇用を考えるということは、この中小の層をどう支えるかを考えるということです。(出典:福岡県の産業|令和5〜6年)

田川市の主な行政課題

ここまでの条件を踏まえ、田川市が向き合っている論点を4つに絞って整理します。

県全体を上回る速さで進む高齢化

県の人口ビジョンは、社人研の推計方法に沿って計算した場合、2060(令和42)年の県人口が408万人、いまの約8割になると見ています。高齢化率の見通しは36.1%です。住民基本台帳でみた田川市の高齢化率34.6%は、県が2060年に見込む36.1%に迫る高さです。

人口ビジョンは国勢調査をもとにした推計ですので、住民基本台帳の集計と直に引き算できる数値ではありません。基準の違いを承知したうえでなお、県が数十年かけて向かう地点をこの市が先に歩いているという理解は、志望動機を組み立てるうえで役に立ちます。(出典:福岡県人口ビジョン)

基幹産業を失ったあとのまちづくり

石炭産業が地域の経済を支えていた時代は終わり、その記憶は文化資源として残りました。産業の転換を経験した市の行政課題は、新しい産業を呼ぶことと、いま住んでいる人の暮らしを支えることの二正面になりやすいものです。市の見解としてどこかに書かれているわけではなく、当研究会の整理です。

どちらか一方だけを語る志望動機は、この市では片手落ちに聞こえます。世界記憶遺産や炭坑節といった文化資源も、観光の目玉としてだけでなく、住む人の誇りをどう保つかという文脈で扱われていると考えたほうが実態に近いでしょう。

大規模地震への備え

福岡県は令和7年10月31日に地震防災アセスメント調査報告書を公表しました。県内の主要活断層7つ(小倉東断層、福智山断層帯、西山断層帯、宇美断層、警固断層帯、日向峠-小笠木峠断層帯、水縄断層帯)と南海トラフ地震を対象とした調査で、7つの活断層はいずれも最大震度7が予測されました。

被害が最大となるのは西山断層帯の連動(マグニチュード7.9〜8.2)で、死者1,800人・災害関連死700人・全壊全焼41,000棟(冬18時・強風のケース)という想定です。(出典:福岡県地震防災アセスメント調査(概要版)|令和7年10月)

あわせて、福岡県が平成29年から令和3年まで5年連続で大雨特別警報の発表を受けた全国唯一の県であることも押さえておきましょう。地震と豪雨のどちらについても、県の想定と記録を一度は見ておく価値があります。(参考:福岡県の近年の豪雨災害の記録)

「登録試験」という採用の仕組み

田川市の採用は、他市と少し違う形をとっています。第三次試験の合格者は試験区分ごとに成績順で田川市職員採用候補者名簿に登録され、令和9年4月1日から令和10年3月31日までの間に職員の補充が必要になった場合に、登録順で採用されます。試験の名称が「採用登録試験」であるのはこのためです。

合格が即座に4月採用を意味するわけではない、という点は理解しておきましょう。

田川市の重点政策|「走・攻・守」と県総合計画

田川市の計画名と中身は、市の公式サイトの最新版が正本です。ただ、この市には計画書を開く前に読める材料があります。職員に求める心構えを3語で示した「走・攻・守」です。

市がどんな仕事の進め方を良しとしているかが、ここに凝縮されています。

3語が示す仕事の進め方

市は職員採用登録試験の案内で、「いかなる場面でもスピード感とチャレンジ精神をもって、市民のために『私が、やります!』と言える熱意とやる気を持った職員を求めており、職員に求められる心構えを『走・攻・守』と定めています」と述べています。3語の中身は次のとおりです。

語示すもの市が定める内容
走スピード感市民ニーズを迅速に捉え、常にスピード感を持ち、自らの能力を最大限発揮して業務に取り組みます
攻チャレンジ精神自ら学び、考え、また、当事者意識や改善意識を持って仲間と共に新たな課題に果敢に挑戦します
守市民志向・コンプライアンス高い倫理観と責任感の下、地域の強みや課題を的確に捉え、まちづくりは市民が主役との認識を持って行動します

出典:令和8年度田川市職員採用登録試験案内(田川市)。上記は市が公表している文言をそのまま整理したものです。

3語を並べて眺めると、市の姿勢が見えてきます。「走」は速さ、「攻」は自分から動くこと、「守」は市民が主役だという前提です。速く動くことと守るべき線を守ることを、同じ枠の中に並べて示しているのがこの市の特徴で、どちらか一方に寄った自己PRは噛み合いません。

県が挙げる4つの変化

県内のどの市も共有する上位の方向として、福岡県総合計画(計画期間は令和4年度から令和8年度まで)も確認しておきましょう。計画が挙げる4つの変化は、人口減少・少子高齢化の進行、デジタル化・脱炭素社会への対応、グローバル化の進展、頻発化・激甚化する自然災害です。

そのうえで、誰一人取り残さない社会というSDGsの考え方が一層重要になる、というのが計画の立て方です。(出典:福岡県総合計画|令和4年度〜令和8年度)

POINT|3語のどれに当たる経験かで仕分ける

市の計画を隅々まで読むより、自分の経験を「走」「攻」「守」のどれに当たるかで仕分けするほうが、面接では効きます。仕分けたうえで、「①その経験はどの語に当たるか → ②そこで何をしたか → ③田川市の仕事のどの場面で同じことができそうか」の順に組み立ててみてください。

悪い例「スピード感を持って仕事に取り組みたいです」

改善例「アルバイトで、聞かれてから調べていたら間に合わない場面が続いたので、よくある質問を先に一覧にして共有しました。市役所の窓口でも、待たせてから調べるより先に用意しておくほうが早いのではと考えています」

あわせて確認したい公式資料

面接の前に開いておきたい資料を挙げます。「走」「攻」「守」のどれに関わる資料かを意識しながら読むと、頭に残りやすくなります。

  • 令和8年度田川市職員採用登録試験の案内(「走・攻・守」と試験の全区分の内容が収録されています)
  • 田川市が公式サイトで公表している総合計画・地域防災計画の最新版
  • 山本作兵衛コレクションに関する市の公式ページ
  • 福岡県総合計画の概要版(計画期間は令和4年度から令和8年度)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、田川市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。田川市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

田川市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

田川市役所の面接の概要

ここからは、田川市職員採用登録試験の組み立てを確認し、そこから準備の中身を決めていきます。

3段階の試験と、区分ごとの入口

令和8年度の田川市職員採用登録試験は、第一次から第三次までの3段階です。試験区分は一般事務B(一般枠)4人程度、一般事務C(SPI枠)3人程度、一般事務D(建築技師)1人程度、一般事務E(社会福祉士)1人程度で、申込みは4区分のうち1つに限られます。

市は、BからEまでの記号が受験資格を区分するものであって、採用後の処遇等に差をつけるものではないと明記しています。

段階内容(令和8年度・田川市職員採用登録試験)
第一次試験(一般事務B)教養試験(択一式・高等学校卒業程度)と事務適性検査(正確性・迅速性等の作業能力の面からみる検査)
第一次試験(一般事務C・E)SPIによる能力検査(言語的理解、数量的処理及び論理的思考)
第一次試験(一般事務D)能力検査と専門試験(択一式・高等学校専門課程卒業程度)
第二次試験全区分共通。グループワーク試験、論文試験、職場適応性検査、性格特性検査の4種目
第三次試験全区分共通。個別面接による口述試験のみ。集団面接は課されません
会場第二次試験・第三次試験はいずれも田川市役所本庁
合格後の扱い第三次試験合格者は試験区分ごとに成績順で採用候補者名簿に登録され、職員の補充が必要な場合に登録順に採用されます

上記は、令和8年度田川市職員採用登録試験の内容です。申込みは電子申請方式で、内容審査の完了後に受験者自身が受験票を作成して第一次試験日に持参します。試験はすべて日本語による出題・質問で、それに対する解答・応答もすべて日本語で行うこととされています。試験時間中は携帯電話を含む電子機器の使用が一切禁止され、計時以外の機能がある時計の試験場内への持込みもできません。区分・種目は年度によって異なりますので、受験の際は必ず最新の受験案内をご確認ください。

この構成で注目したいのは、集団の場面と個別の場面が段階で分けられていることです。集団面接は課されず、集団での振る舞いは第二次試験のグループワーク試験が引き受け、第三次試験は個別面接だけで人物を見るという設計になっています。

さらに第二次試験には性格特性検査が置かれており、市はこれを「公務員に求められる資質に関し、よく使われる面接評定項目に関連する性格傾向の面からの検査」と説明しています。検査の結果と面接での評定が接続する作りであることが、受験案内の文言から読み取れます。

「走・攻・守」を面接の準備に落とす

田川市は求める職員像を公表していますから、評価の観点はそこから素直に考えられます。市が挙げるのは、スピード感を意味する「走」、チャレンジ精神を意味する「攻」、市民志向とコンプライアンスを意味する「守」の3つでした。

準備の実務としては、自分の経験を3語のどれに当たるかで仕分けし、1語につき1つずつ持ち札をつくるのが確実です。3つとも埋まる必要はありません。埋まりにくい語がある場合、それが自分の弱みだと自覚できていること自体が、自己理解を問う質問への答えになります。

市の規模も、この3語の読み方に関わります。人口4万4千人規模の市役所では、一つの仕事を企画から住民への説明、関係先との調整、当日の運営、事務処理まで同じ職員が受け持つ場面が生まれます。以下は市の言葉ではなく、当研究会が実務の感覚から補っている部分です。

そうした環境では「攻」は勇ましさではなく、前例のない仕事を自分で調べて進める姿勢として読まれる可能性が高いでしょう。「守」もまた、規則を守るという意味以上に、顔の見える相手と長く付き合ううえでの公私のけじめを含んでいると考えられます。

準備の向きは、試験の作りのほうから決まります。第二次でグループワークと論文、第三次で個別面接という順序である以上、まず必要なのは、集団の場で自分の役割を取れることと、考えを文章にまとめられること。そのうえで、書いた内容と話す内容が同じ筋で出せる状態にしておくことです。

論文で書いた場面をそのまま第三次で話せるよう、材料は一本にそろえておきましょう。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。田川市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、大きな抜けは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク本庁までは迷わず来られましたか?用意していない一言に自然に返せるか。第三次は個別面接だけなので、冒頭の空気がそのまま残ります
② 動機・志望なぜ公務員を志望するのですか?行政でなければならない理由まで言えるか。「走・攻・守」のどこと重なる動機か
③ 自己理解ご自身に足りない点は何だと思いますか?3語のうち埋まりにくい語を自覚しているか。弱みへの向き合い方まで語れるか
④ 経験・行動自分から動いて何かを変えた経験を教えてください「攻」に直結する質問。前例がない中で調べて進めた手順の中身
⑤ 学業・経歴これまでの学びで仕事に生きそうなものは何ですか?専門の言葉に頼らずに中身を伝えられるか。第二次の論文試験と同じ力が問われます
⑥ 適性・将来入庁後はどの分野で力を発揮したいですか?4万人規模の市役所の仕事をどこまで具体的に描けているか。配属先が想定と違ったときにどう構えるか
⑦ 公共性・社会性最近の報道で心に残ったものを教えてください出来事を自分の言葉で位置づけられるか。地域に近い話題を選べているか

田川市の第一次試験は、区分によって教養試験かSPIかに分かれますが、いずれも高等学校卒業程度までの内容です。筆記で大きく開く設計ではない分、この7カテゴリーの受け答えは受験する人の多くが用意してきます。評価が割れてくるのは、次の田川市に固有の2問に入ってからです。

合否を分けるのは「田川市役所ならでは」の質問

「なぜ福岡県庁ではなく、田川市役所なのですか?」
「田川市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

この2問に一般論で答えると、どの市にも当てはまる話になります。逆に、世界記憶遺産に登録された記録の性格、県平均を大きく上回る高齢化、そして「走・攻・守」という市自身の言葉を押さえていれば、答えは田川市の話にしかなりようがありません。

下の表は、答えに使える事実と、それを自分の話へ接続するときの手がかりの対応です。

質問テーマ知っておきたい田川市の事実答え方のヒント
求める職員像市は職員に求められる心構えを「走・攻・守」と定め、それぞれスピード感、チャレンジ精神、市民志向とコンプライアンスを意味するとしている3語を復唱せず、自分の経験がどの語に当たるかを紐づけて話します。埋まりにくい語を弱みとして語れると、自己理解の質問にもつながります
人口と年齢構成住民基本台帳ベースで44,065人、高齢化率34.6%、75歳以上20.4%(令和8年1月1日現在)。県全体を同じ基準で見ると28.2%・16.2%県との差を述べたら、そこで止めず、県が数十年先に見込む姿にこの市がすでに近いという時間の話へつなげます。推計と住民基本台帳では基準が違う点も一言添えておくと丁寧です
炭鉱の記憶山本作兵衛コレクションは平成23年5月25日に日本初のユネスコ世界記憶遺産(世界の記憶)に登録された。田川市は民謡「炭坑節」発祥の地とされる観光の目玉として挙げるのではなく、登録されたのが働く人の記録であるという性格まで踏み込むと、調べた深さが変わります
市と郡の区別隣接する香春町・糸田町・福智町・川崎町・大任町はいずれも田川郡の町で、田川市とは別の自治体圏域の話と市の話を混ぜないこと。市の統計と施策に限定して述べる姿勢そのものが、調べ方の正確さを示します
選考の作り3段階で、第二次はグループワーク・論文・職場適応性検査・性格特性検査の4種目、第三次は個別面接のみ。合格者は採用候補者名簿に登録される制度の説明を求められているわけではないので、集団の場と個別の場をそれぞれどう準備してきたかという自分の話に置き換えます

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

市が公表する「走・攻・守」に照らして確かめられるのは、心構えを唱えられるかどうかではなく、これまで実際にどう動いてきたかです。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、経験の中身と、そこで選んだ行動が別の職場でも繰り返されそうかが見られています。

3語をそのまま観点として使うと、準備の抜けが見つけやすくなります。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
走(スピード感)求められてから動いたのか、求められる前に用意していたのか「間に合わせた」経験ではなく、「先回りして減らした」経験を探します。窓口対応のように待たせる場面のある仕事に置き換えて話せると効きます
攻(チャレンジ精神)前例のない課題に、どこから調べ、誰を巻き込んで進めたか一人が企画から事務まで受け持つ規模の市役所を想定し、手順を自分で組み立てた経験を場面ごと用意します
守(市民志向とコンプライアンス)守るべき線を守りながら、相手の事情にどう応じたか規則を守った話で終わらせず、断るべきことを断ったうえで別の道を示した経験があると、この観点の答えになります

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。田川市では、この掘り下げが第三次試験の個別面接に集中します。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新の受験案内で、自分が受ける区分と第一次試験の科目を確認する。電子申請の手順と、受験票を自分で作成して持参する段取りも先に押さえる
  2. これまでの経験を棚卸しし、「走」「攻」「守」の3語に一つずつ当てはめてみる。埋まりにくい語も控えておく
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. この記事の第1部を読み返し、田川市の事実を2〜3個、数字ごと自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の対応表からテーマを選び、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 編んだ話を一度文章にしてから声に出す。読み返すたびに、突っ込まれそうな箇所を一つずつ書き足していく

優先順位に注意

ステップ4と5は、他の人が用意してこない材料をそろえるための工程です。時間が足りない場合は、ステップ2の棚卸しと、3語への当てはめを先に終わらせてください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、田川市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

田川市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

田川市役所の想定問答集を見る

さいごに

令和8年度の田川市職員採用登録試験は3段階で、集団の場はグループワーク試験が、人物の掘り下げは第三次の個別面接が受け持ちます。そして市は、職員に求める心構えを「走・攻・守」という3語で先に示してくれています。

自分の経験をこの3語で仕分け直し、埋まらない語まで含めて言葉にできれば、準備の骨組みは立ちます。そのうえで、申込みの段階に一つ決めごとがあります。電子申請で受け付ける4区分のうち、選べるのは1つだけです。

どの区分で受けるかが決まれば、語るべき経験の重心も決まります。炭鉱の記憶を国際的な資産に変え、県平均を上回る速さで高齢化が進む市で、その区分の職員が引き受ける仕事を具体的に思い描いておけば、3段階のどこで聞かれても答えがぶれません。