本記事では、小郡市職員採用試験の面接対策で必要な、小郡市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

小郡市役所の面接では、「なぜ小郡市を志望したのか」、「市の職員として何を担いたいのか」、「これまでの経験を市政のどこで生かせるのか」といった問いが想定されます。答えの厚みを決めるのは、小郡市がどんな条件を抱えた市なのかをどこまで具体的につかんでいるかです。

なお、小郡市の職員採用試験は令和6年度から仕組みが変わっており、募集の回次によって第1次試験の方法も違います。本記事では回次を明示して扱いますので、ご自身が受ける回次の枠組みは最新の受験案内とあわせてお読みください。

第1部|自治体研究編

小郡市の特徴

はじめに、小郡市がどういう条件を持った市なのかを確認しておきましょう。ここに並べた項目が、面接で市の話をするときの共通の足場になります。

  • 福岡県の南部にあり、市の西側で佐賀県と境を接している市。接するのは久留米市・筑紫野市・朝倉郡筑前町・三井郡大刀洗町の4市町と、佐賀県の鳥栖市・三養基郡基山町の2市町で、県境をまたいで計6市町と隣り合う。
  • 人口は59,685人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。市域は45.51km²で、福岡県内の市としては小さい部類に入る。
  • 人口密度は1平方キロメートルあたり約1,311人。面積の小ささに対して人が濃く住んでいる、住宅地としての性格が強い市域である。
  • 高齢化率は28.7%、75歳以上の割合は16.5%。同じ住民基本台帳の基準でみた福岡県全体(28.2%・16.2%)とほぼ同じ水準にある。
  • 水害の経験を重ねてきた土地でもある。平成30年7月豪雨では市内で床下浸水342件が記録され、令和元年7月の大雨では久留米市・大刀洗町とあわせて7河川で浸水被害が生じた。
  • 市の採用情報によれば、職員採用試験は令和6年度から大きく変更され、申込は専用の採用申込サイトから行う形に改められたという(持参・郵送による申込は不可と案内されている)。
  • 同じ案内では、第2次試験に総合適性検査「SCOA」を用い、全国のテストセンターで受験でき、公務員試験対策は不要と説明されている。細部は募集の回次ごとに最新の案内で確かめる必要がある。
  • 市の花はフジ、市の木はクスノキ(いずれも1982年制定)。市役所は小郡市小郡255番地1に置かれている。

小郡市の基礎データ

面接で統計を暗唱する必要はありません。ただ、話しているときに数字の桁を間違えないだけの土台は要ります。ここでは人口・年齢構成・市域・位置関係という、志望動機の背景説明に使う頻度が高い項目を並べました。

項目内容
総人口59,685人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
65歳以上人口17,119人(高齢化率28.7%)
75歳以上人口9,839人(総人口の16.5%)
総面積45.51km²
人口密度約1,311人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接自治体久留米市・筑紫野市・朝倉郡筑前町・三井郡大刀洗町(福岡県)/鳥栖市・三養基郡基山町(佐賀県)
市の花・木フジ(花)・クスノキ(木)。いずれも1982年制定
市役所の所在地小郡市小郡255番地1

総人口・65歳以上人口・75歳以上人口は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の数値です。福岡県が国勢調査をもとに公表している統計とは調査の基準が違いますので、両者を並べて増減を計算することは避けてください。総面積・隣接自治体・市の花木・市役所の所在地は、当研究会が整理した基礎データによります。

数字が示す小郡市の位置

まず面積です。45.51km²という市域に約6万人が暮らしているため、人口密度は1平方キロメートルあたり約1,311人になります。市域の狭さと人口の多さが同時に効いているため、道路・上下水道・公共施設といった生活基盤の一つひとつが、多くの市民に短い距離で共有される構造になります。

市の仕事の話をするとき、この「近さ」は使える前提です。

次に年齢構成です。高齢化率28.7%、75歳以上16.5%という値は、同じ住民基本台帳の基準でみた福岡県全体(28.2%・16.2%)をわずかに上回るだけで、県平均並みといってよい水準です。県内には高齢化率が3割台後半に達する市もあることを踏まえると、小郡市は極端な位置にいるわけではありません。

ただし、県全体の高齢化率が前年から上がり続けていることを考えれば、「今はまだ平均並み」という言い方は数年で通用しなくなります。面接では、現状を平坦に述べるより、この先の傾きに触れたほうが話が動きます。

「小郡市は人口が6万人ほどで、高齢化率は3割弱と聞いています。県の平均と近い水準なのですけれども、面積が45平方キロほどと狭く、人口密度はかなり高いので、同じ人数を支えるにしても市役所と市民の距離は近いのだろうと思います」

小郡市の経済・産業

福岡県の産業のなかでの位置

市単独の産業統計に踏み込む前に、小郡市が置かれている県の経済の姿を押さえておきましょう。福岡県の名目県内総生産は全国第9位で、産業別の全国順位は第1次産業13位・第2次産業11位・第3次産業8位です。

北部九州には日産・トヨタ・ダイハツが生産拠点を配置しており、自動車の生産台数は国内市場の15%以上を占めます。バイオ関連企業も当初の32社から230社以上に増え、2021年6月には内閣府から「地域バイオコミュニティ」の認定を受けました。(出典:福岡県の主要産業|令和2年度県民経済計算ほか)

雇用の側から見ると、県内企業数の99.8%、従業員数の77.3%を中小企業が占めています。大企業の集積が語られやすい県ですが、実際に人が働いている場所の多くは中小の事業所です。市役所が向き合う商工の相手は、この層が中心になります。(出典:福岡県の産業|令和5〜6年)

農地と水の土地柄

福岡県の農業は、耕地面積7万8,000ha(県土の16%)のうち水田が81%を占めます。全国平均の水田割合が54%であることを考えると、県土の使われ方がかなり水田に寄っていることがわかります。全国順位では小麦・いちご・甘柿が2位です。

小郡市が接する筑前町・大刀洗町・久留米市もこの水田地帯の一部で、市域の外へ一歩出れば農地が広がる位置関係にあります。用水路や排水の話が、農業の話であると同時に浸水対策の話にもなるのは、この土地柄によります。

県境をまたぐ生活圏

小郡市は久留米市と筑紫野市という県内の主要都市に挟まれ、さらに佐賀県の鳥栖市・基山町とも接しています。ここから先は、市の資料に書かれた説明ではありません。位置関係という条件だけを手がかりにした、当研究会の解釈です。

6市町と隣り合い、そのうち2市町が県外という位置は、通勤・通学・買い物といった日々の動きが市の境界の中で完結しにくいことを意味します。市の外に働く場所を持つ市民が多いほど、市役所の仕事は「昼間そこにいない人にどう届けるか」という課題を抱えます。

窓口の開き方や手続きのオンライン化を志望動機に据えるなら、この位置関係は具体的な根拠になります。

小郡市の主な行政課題

ここまでの数字と土地柄を踏まえると、小郡市が向き合う論点が見えてきます。面接で「市の課題」を問われたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。

県全体で進む人口減少と高齢化

福岡県人口ビジョンは、社人研の推計方法に準拠すると県の人口が2020年の514万人から減り続け、2060(令和42)年には現在の約8割にあたる408万人になると見込んでいます。高齢化率は2020年の28.0%から2060年には36.1%へ上がる見通しです。

出生率の改善などを前提とした将来展望を置いても、2060年で443万〜472万人と、減少そのものは避けられない前提で計画がつくられています。県平均並みの年齢構成にある小郡市も、この傾きの中にあります。(出典:福岡県人口ビジョン)

繰り返す豪雨と浸水

福岡県は平成29年の九州北部豪雨以降、平成30年7月豪雨、令和元年7月と8月の大雨、令和2年7月豪雨、令和3年8月の大雨と、5年連続で大雨特別警報が発表された全国で唯一の県です。

小郡市に直接関わるものとしては、平成30年7月豪雨で市内の床下浸水342件(県内では久留米市1,011件、飯塚市319件などと並ぶ規模)、令和元年7月の大雨では久留米市・大刀洗町とあわせて7河川で浸水被害が記録されています。

この令和元年7月の大雨は、久留米市を中心とした局所的な降り方で、気象庁久留米観測所では1・3・6・12・24時間雨量のすべてが観測史上最大を記録しました。(出典:福岡県の近年の豪雨災害の記録)

浸水の多くが床下だったからといって軽い話ではありません。床下浸水は住民の生活を止め、消毒・ごみ処理・罹災証明といった市役所の実務を一気に立ち上げます。防災を志望動機に置くなら、堤防や河川改修の話だけでなく、水が引いたあとに市役所が担う仕事まで視野に入れておきましょう。

大規模地震への備え

福岡県は令和7年10月31日に地震防災アセスメント調査報告書を公表しました。県内7つの主要活断層(小倉東断層・福智山断層帯・西山断層帯・宇美断層・警固断層帯・日向峠-小笠木峠断層帯・水縄断層帯)と南海トラフ地震を想定した調査で、7つの活断層はいずれも最大震度7が予測されています。

被害が最も大きいのは西山断層帯の連動(マグニチュード7.9〜8.2)で、死者1,800人・災害関連死700人・全壊全焼41,000棟。警固断層帯(南東部、マグニチュード7.7)でも死者1,800人・災害関連死800人・全壊全焼36,000棟・避難者319,000人(いずれも冬18時・強風のケース)と見込まれています。(出典:福岡県地震防災アセスメント調査(概要版)|令和7年10月)

財政運営の物差し

市の財政指標は最新の決算資料で確認していただくとして、県の水準を物差しとして持っておくと話が具体的になります。福岡県の財政力指数は0.636(令和6年度決算・前年度0.614から0.022ポイント上昇)、実質公債費比率は11.9%で早期健全化基準の25%を大きく下回り、将来負担比率は245.3%です。(出典:福岡県の令和6年度決算/健全化判断比率|令和6年度決算)

財政の話を面接でするときの注意点は、指標の暗記ではなく判断の説明です。限られた財源で何を先にやるかを問われたときに、自分なりの優先順位の付け方を述べられるかどうかが見られます。

受験しやすさを広げる採用の作り替え

市が採用情報として案内しているところでは、小郡市は令和6年度から採用試験の仕組みを変えています。申込は専用の採用申込サイトへ一本化され、第2次試験には公務員試験対策を必要としない総合適性検査SCOAが用いられるとされています。

SCOAは全国のテストセンターで受験できるため、遠方に住む人や、在職中で平日に動きにくい人でも受けやすくなります。筆記の準備量ではなく人物の側で見る比重が上がっていると読むのが、この変更の素直な理解でしょう。受験する側にとっては、対策の重心が面接に移ったことを意味します。

ただし、この枠組みが自分の受ける回次にも当てはまるかどうかは、必ず最新の受験案内でお確かめください。(参考:小郡市職員採用試験の案内)

小郡市の重点政策|福岡県総合計画と暮らしの基盤

小郡市自身の計画については、名称も中身も、市の公式サイトにある最新版に直接あたるのが確実です。上位の方向として、福岡県総合計画の考え方も押さえておきます。計画期間は令和4年度から令和8年度までです。

県を取り巻く状況の大きな変化として挙げられているのは、人口減少・少子高齢化の進行、デジタル化・脱炭素社会への対応、グローバル化の進展、頻発化・激甚化する自然災害の4項目です。この4項目を貫く構えとして、誰一人取り残さない社会というSDGsの考え方をこれまで以上に重んじるとしています。(出典:福岡県総合計画|令和4年度〜令和8年度)

4つの変化を小郡市に引き寄せる

この4つは抽象的に見えますが、小郡市に置き換えると輪郭がはっきりします。人口減少と高齢化は、県平均並みの年齢構成が数年後には変わっていくという話です。デジタル化は、市外に働きに出る市民が多い市域で、手続きをどこまで来庁なしで済ませられるかという話になります。

自然災害は、平成30年7月豪雨と令和元年7月の大雨で実際に浸水を経験した市の話です。グローバル化だけは市の規模から遠く感じられるかもしれませんが、県境の向こうの鳥栖市を含む生活圏で働く人の顔ぶれが変わっていくことを考えれば、無関係ではありません。

面接で県の計画を持ち出す必要はありません。ただ、自分がやりたい仕事がこの4つのどれに接しているのかを言えると、思いつきではない志望だと伝わります。

県の交通基盤の変化

県内の基盤で近年最も大きく動いたのは、福岡空港の第2滑走路です。長さ2,500メートル・幅60メートルの滑走路が令和7年3月20日に供用を開始し、滑走路処理能力は年間18万8千回、発着枠は1時間あたり最大40回になりました。

総事業費は約1,643億円です。(出典:福岡空港の機能強化について|令和7年3月供用開始)

県内の移動と物流の容量が増えたことは、県の南部にある市にとっても他人事ではありません。人が動きやすくなるということは、住む場所として選ばれる可能性も、選ばれずに出ていかれる可能性も同時に高まるということだからです。

POINT|計画名を覚えるより、事業を一つ選ぶ

計画の名称や体系を暗記しても、面接での受け答えはほとんど変わりません。関心のある分野を一つ選び、「①いま何が起きているか → ②市はどうしたいか → ③そのために何が行われているか → ④市役所だから担える部分はどこか → ⑤自分の経験がどこで役に立つか」の順で調べ直すほうが、話は確実に厚くなります。

悪い例「小郡市の防災に貢献したいです」

改善例「平成30年の豪雨では市内で床下浸水が出たと聞きました。水が引いたあとの消毒や罹災証明の受付など、生活を戻すための仕事は市役所にしかできないと思いますので、そうした場面で動ける職員になりたいです」

あわせて確認したい公式資料

下に挙げた資料は、面接前に一度は開いておきたいものです。全部を読み込む必要はなく、志望分野に近いものから当たっていけば十分です。

  • 小郡市職員採用試験の受験案内(最新の回次のもの)と、市の採用情報ページ
  • 小郡市の総合計画・地域防災計画など、市が公表している最新版の計画
  • 福岡県総合計画(令和4年度〜令和8年度)の概要
  • 福岡県地震防災アセスメント調査報告書(令和7年10月公表)の概要版

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、小郡市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。小郡市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

小郡市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

小郡市役所の面接の概要

ここからは、小郡市役所の選考がどう組まれているかを確認し、そこから逆に、何を用意しておけばよいのかを整理していきます。

小郡市役所の試験の組み立て

小郡市の採用試験は、近隣自治体との共同実施や統一試験の枠組みではなく、市の単独実施です。申込や結果の連絡に採用情報サイト「パブリックコネクト」が使われていますが、これは民間の採用申込プラットフォームであって、他市と試験を共有しているという意味ではありません。

項目内容(令和6年度以降の枠組み)
実施主体小郡市の単独実施。共同実施・統一試験の枠組みではありません
申込方法専用の採用申込サイトからの申込に一本化されており、持参・郵送による申込はできません
第1次試験令和6年度の第2回募集では、パソコン・スマートフォン・タブレットを用いた録画面接により実施されたと案内されています
第2次試験総合適性検査「SCOA」。全国のテストセンターで受験でき、公務員試験対策は不要と案内されています
結果の開示第1次試験の結果は採用情報サイトのメッセージを通じて受験者本人にのみ口頭で開示され、請求からおおむね3開庁日以内に提供されるとされています
段階数・配点最新の受験案内でご確認ください

上記は、小郡市が採用情報として案内している令和6年度以降の枠組みを当研究会が整理したものです。市の採用ページは掲載の形式が変わることがあり、細部が現在の案内と一致しない場合があります。試験区分・段階の数・種目・配点も、年度や募集の回次によって異なります。受験の際は、必ずご自身が受ける回次の最新の受験案内をご確認ください。

この表で目を引くのは、第1回・第2回という回次によって第1次試験の方法が変わりうること、そして令和6年度第2回では最初の関門が筆記ではなく録画面接だったことです。録画面接は、面接官の相づちも追い質問もない状態で、決められた時間内に自分の言葉で話し切る形式です。

話し相手がいる面接とは負荷のかかり方が違います。

小郡市役所の選考から読み取れる評価の向き

「求める職員像」にあたる項目を掲げる市もありますが、小郡市について当研究会が確認できた採用情報の範囲では、その掲出を確認できていません。掲載の有無は最新の受験案内でご確認ください。ここでは代わりに、選考の作り方と市の規模から、評価の向きを読み取っておきます。

まず構造から入ります。人口約6万人・面積45.51km²の市役所では、一つの制度を担当する職員の数がそもそも多くありません。企画の段階から住民への説明、関係機関とのやり取り、行事の当日運営、そのあとの事務処理までを、同じ職員が続けて受け持つ場面が生まれます。

そうなると、やったことのない仕事に当たったときに、調べ、聞き、それでも形にできるかどうかが、経験の量そのものより効いてきます。この規模の市役所では、専門性の高さより「初めての仕事の進め方」を語れることが評価されやすい。公表資料に根拠があるわけではなく、当研究会が選考の作りから引き出した見方です。

もう一つは距離の近さです。市域が狭く人口密度が高い市では、窓口で応対した相手と、買い物や地域の行事の場で顔を合わせることが起こります。一度の応対がその場で完結せず、次に顔を合わせるときまで持ち越されるということです。

この市で暮らした経験がない受験者は、市の課題を一つ選び、そこに自分の関心が向いた経緯まで説明できるようにしておきましょう。土地勘があるかどうかを言葉にするのは難しいのですが、関心がどこから来たのかであれば説明できます。

そして、小郡市の場合はこれに録画面接という条件が加わります。相手の反応を見ながら話を調整することができない場面が選考の入口に置かれている以上、準備の向きは決まってきます。自分が実際にやってきたことを、一人で、時間内に、言い切れる形へ整えておきましょう。

話す順番を先に決めておくだけでも、持ち時間に収まる確率は上がります。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。小郡市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、大きな抜けは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日はどうやって来られましたか?構えた答えを用意していない場面での受け答え。録画面接に慣れた人ほど、対面での間の取り方が課題になる
② 動機・志望なぜ公務員を志望するのですか?民間企業でもできる話に収まっていないか。職業として選んだ理由が自分の経験とつながっているか
③ 自己理解ご自身の短所を教えてください自分を外から見られているか。短所を認めたうえで、どう付き合っているかまで話せるか
④ 経験・行動これまでで一番苦労した経験と、その乗り越え方を教えてください苦労の大きさではなく、その場面で何を考えどう動いたか。SCOAで筆記の差が付きにくい分、ここでの具体性が効く
⑤ 学業・経歴学生時代に力を入れたことを説明してください学んだ内容を、その分野を知らない相手にも通じる言い方にできるか。学びを市の仕事につなげる視点
⑥ 適性・将来採用されたらどんな仕事をしたいですか?6万人規模の市役所の仕事をどこまで具体的に想像できているか。配属が思いどおりにならなかったときの構え
⑦ 公共性・社会性最近気になったニュースを一つ挙げてください世の中の出来事を自分の関心の側に引き寄せて語れるか。県内の豪雨のように身近な題材を選べているか

小郡市の第2次試験に用いられるSCOAは、公務員試験対策を前提としない検査です。筆記の準備量で差が付きにくい設計になっている分、この7カテゴリーの受け答えは、受験する人の多くが一定の水準まで仕上げてきます。ここで抜き出せる差は小さく、勝負どころは次の小郡市固有の2問に移ります。

合否を分けるのは「小郡市役所ならでは」の質問

「なぜ福岡県庁ではなく、小郡市役所なのですか?」
「小郡市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

この2問は、答えを事前に用意していない人ほど一般論に流れます。県境をまたいで6市町と接する位置、45.51km²という市域、県平均並みの年齢構成といった条件を知らないまま「住民に近い仕事がしたい」と言っても、どの市でも通る答えにしかなりません。

逆に言えば、小郡市の条件を数字で押さえているだけで、他の受験者との差ははっきり出ます。ここでは、面接で使いやすいものに絞って、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい小郡市の事実答え方のヒント
人口と年齢構成住民基本台帳ベースで59,685人、高齢化率28.7%、75歳以上16.5%(令和8年1月1日現在)。同じ基準の福岡県全体は28.2%・16.2%でほぼ同水準「県平均並みです」で止めず、県全体の高齢化率が上がり続けている以上この位置は動くという見通しまで添えると、現状把握が止まっていないことが伝わります
市域の狭さと人口密度面積45.51km²に約6万人。人口密度は1平方キロメートルあたり約1,311人密度の数字だけを言うのではなく、施設や道路を多くの市民が短い距離で共有する市だ、という使い方に変換して話します
なぜ県庁ではなく市役所か接するのは久留米市・筑紫野市・筑前町・大刀洗町と、佐賀県の鳥栖市・基山町。県境をまたいで6市町と隣り合う県と市の役割の違いを制度として論じるより、市外に働きに出る市民が多い市で誰にどう届けたいのかを、自分の生活実感から話します
豪雨への備え平成30年7月豪雨で市内の床下浸水342件。令和元年7月の大雨では久留米市・大刀洗町とあわせて7河川で浸水被害。福岡県は5年連続で大雨特別警報が発表された唯一の県河川改修などの構造物の話に寄せず、水が引いたあとの消毒・ごみ・罹災証明といった市役所の実務まで触れると、仕事として理解していることが伝わります
採用の作り替え令和6年度から申込を専用サイトに一本化し、第2次試験に総合適性検査SCOAを採用。令和6年度第2回の第1次試験は録画面接で実施制度の説明を求められているわけではないので、この作りをどう受け止めて準備してきたかという、自分の側の話に落として答えます

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

ここまで見てきた選考の設計に照らすと、確かめられているのは意見の正しさではなく、これまで実際にどう行動してきたかです。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの整い方より、経験の中身と、そこで取った行動が次の場面でも再現できそうかどうかが見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
一人で説明しきる力録画面接のように、相手の反応がない状態でも要点を落とさずに話せるか志望動機と自己PRを、時計を見ながら実際に録音して聞き返す。言い直しの多い箇所が、まだ自分の言葉になっていない箇所です
初めての仕事の進め方やったことのない課題に当たったとき、どこから手を付け、誰を頼ったか制度の企画から当日の運営までを同じ職員が受け持つ市役所を想定し、手順を組み立てた経験を一つ用意します
地域との距離の取り方顔の見える範囲で仕事をすることへの構え。公私の線をどう引くか市域45.51km²という近さを前提に、身近な相手だからこそ丁寧に接した経験を、具体的な場面ごと話せるようにします

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。小郡市のように録画面接が入る場合は、掘られる場面が対面の回に集中します。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新の受験案内を開き、自分が受ける回次の試験区分・段階・種目を確認する。第1次試験の方法が回次によって変わりうる点に注意する
  2. 高校・大学・アルバイト・職務の経験を棚卸しし、話せる具体例を分野ごとに1つずつ書き出す
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. この記事の第1部を読み返し、小郡市の事実を2〜3個、数字ごと自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の対応表からテーマを選び、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 録音しながら声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく

優先順位に注意

ステップ4と5は、他の受験者に差をつけるための上乗せの工程です。時間が足りないときは、まずステップ2に戻り、書き出した経験の一つひとつに「これは市役所のどの場面で効くのか」を書き足す作業を終わらせてください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、小郡市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

小郡市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

小郡市役所の想定問答集を見る

さいごに

小郡市の採用試験は、市の案内によれば令和6年度から申込の方法も試験の中身も作り替えられています。第2次試験のSCOAは公務員試験対策を必要としないとされ、令和6年度第2回では第1次試験が録画面接で行われました。

筆記の量で押し切る試験ではなくなった分、自分の経験をどれだけ具体的に、どれだけ短くまとめて話せるかが結果を左右します。申込が専用サイトへ一本化されたいま、最初にやることは、自分が受ける回次の案内を開いて第1次がどの形式なのかを確かめることです。

そこが決まれば、一人で話し切る練習に寄せるのか、対面の練習相手を探すのかも決まります。45.51km²の市域に約6万人が暮らし、県境の向こうまで生活圏が広がる市の話を、その練習のなかに入れていってください。