本記事では、宗像市職員採用試験の面接対策で必要な、宗像市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
宗像市役所の面接では、「なぜ宗像市なのか」、「どんな人柄の人なのか」、「入庁後に何をしたいのか」が繰り返し確かめられます。この市の試験は、学歴で区分を切らず、選考の種目のほとんどを人柄を見るものに充てているためです。
なお、本記事で試験の構成に触れる部分は、令和8年度のⅠ期-1(一般行政)に関するものです。宗像市は期を分けて募集を行いますので、自分が申し込む期の募集要項とあわせてお読みください。
第1部|自治体研究編
宗像市の特徴
宗像市を説明する言葉は、たいてい世界遺産か離島から始まります。そこへ進む前に、市の条件を項目で押さえておきましょう。
- 世界遺産「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」を有し、市営渡船で結ばれる離島を抱える市。2017年7月9日の世界遺産委員会で8資産すべての登録が決定した。
- 市域は119.94km²。隣接するのは福津市・宮若市・鞍手郡鞍手町・遠賀郡岡垣町・遠賀町の5自治体で、いずれも福岡県内。
- 人口は96,765人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。人口密度は1平方キロメートルあたり約807人。
- 高齢化率は30.8%で、同じ住民基本台帳の基準でみた福岡県全体の28.2%を上回る。75歳以上の割合は17.4%(県は16.2%)。
- 福岡県の北端にあたるのは、宗像市大島の北緯34度15分00秒とされている。県の南北の端の一方が、この市にある。
- 市営渡船が神湊と大島を結び、フェリー「おおしま」で約25分、旅客船「しおかぜ」で約15分。地島航路も運航されている。
- 市役所は東郷一丁目1番1号に置かれている。
- 市の花はカノコユリ、市の木はクスノキ。
宗像市の基礎データ
宗像市の規模は、人口だけでは伝わりません。10万人近い人口を、離島を含む119.94平方キロメートルの市域に抱えている市だという点を、組にして覚えておきましょう。
数字にすると、次のようになります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 96,765人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 65歳以上人口 | 29,850人(高齢化率30.8%) |
| 75歳以上人口 | 16,813人(総人口の17.4%) |
| 総面積 | 119.94km² |
| 人口密度 | 約807人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 隣接自治体 | 福津市・宮若市・鞍手郡鞍手町・遠賀郡岡垣町・遠賀町(いずれも福岡県) |
| 市の花・木 | カノコユリ(花)・クスノキ(木) |
| 市役所の所在地 | 宗像市東郷一丁目1番1号 |
総人口・65歳以上人口・75歳以上人口は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の数値です。国勢調査をもとにした統計とは基準が異なりますので、この表の値と国勢調査ベースの数値を並べて増減を出すことはできません。なお、面積・隣接自治体・市の花と木・市役所所在地の各項目は、当研究会が整理した基礎データによるものです。
広さと、そこに離島が含まれるということ
人口密度の約807人という数字から見ていきます。10万人近い人が暮らしていながら、1平方キロメートルあたりの人数は900人を切ります。市域が119.94平方キロメートルと広いためです。
同じ10万人規模でも、市域が広い市では、行政サービスの届け方そのものが課題になります。窓口に来られる人と来られない人の差が、距離によって生まれるからです。
そこに離島が加わります。市営渡船が神湊と大島を結び、フェリーで約25分、旅客船で約15分。地島への航路もあります。
海を渡らなければ届かない住民がいるということは、通常の行政サービスに加えて、渡船そのものの運営という仕事が市にあるということでもあります。(出典:宗像市の市営渡船|市公式)
年齢構成も見ておきましょう。高齢化率30.8%は、同じ住民基本台帳の基準でみた福岡県全体の28.2%を2.6ポイント上回ります。県の側では、令和8年4月1日現在の住民基本台帳等に基づく高齢化率が28.26%と、前年同日の28.19%から上がっています。
上の表の県値28.2%と細かい桁が一致しないのは、集計の時点が異なるためです。系列としてはいずれも住民基本台帳の値にあたります。(出典:福岡県の高齢者人口|令和8年4月1日現在)
宗像市の経済・産業
8資産すべてが登録された世界遺産
宗像市の名を全国に知らせているのが、世界遺産「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」です。2017年7月9日の世界遺産委員会で8資産すべての登録が決定しました。
構成資産は宗像市の沖ノ島や宗像大社などと、隣接する福津市の新原・奴山古墳群に分かれて所在しています。(出典:「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群の世界遺産登録|2017年7月)
構成資産が2つの市にまたがっているという事実は、宗像市の仕事が市域の内側だけでは完結しないことを示しています。保存の方針も、来訪者への案内も、隣の市と歩調を合わせる必要があります。世界遺産に触れて話すなら、「有名である」ことより、この共同で担う構造のほうが面接では効きます。
市の外まで広がる働く場と、県の産業
市域が広く、隣接する自治体も5つある市ですから、市民の働く場は市内だけに限られません。県の産業がどうなっているかを押さえておくと、市の話にも幅が出ます。福岡県の名目県内総生産は全国9位。
産業別では第1次産業が13位、第2次産業が11位、第3次産業が8位です。北部九州には日産・トヨタ・ダイハツの生産拠点が集まっており、その生産台数は国内市場の15%を超えるとされます。(出典:福岡県の主要産業|令和2年度県民経済計算ほか)
農業の面では、県の耕地面積7万8,000ヘクタール(県土の16%)のうち81%が水田で、全国平均の54%を大きく上回ります。県内の企業数では99.8%、従業員数では77.3%を中小企業が占めます。
産業振興を志望動機に据えるなら、大規模な誘致より、地域で続いている事業者をどう支えるかという方向のほうが、この規模の市では具体的な話になります。(出典:福岡県の産業|令和5〜6年)
福岡県の北の端にある島
福岡県は九州の北にあり、県の広がりは東経129度58分54秒(糸島市)から131度11分25秒(上毛町)、北緯33度00分02秒(大牟田市)から34度15分00秒(宗像市大島)までとされています。つまり、県の北の端は宗像市大島です。(出典:福岡県のすがた|県公式)
県の端に位置し、しかもその端が離島であるという条件は、宗像市の仕事の性格をよく表しています。県全体を対象にした施策を市に下ろすとき、最後の一歩は海を渡ります。県と市の役割の違いを説明する場面で使える材料です。
宗像市の主な行政課題
広い市域、離島、そして世界遺産。これらの条件は、そのまま市役所の仕事の難しさに変わります。「宗像市の課題は」と聞かれたときのために、4つ挙げておきます。
高齢化と、距離のある暮らし
高齢化率30.8%、75歳以上17.4%という構成は、市域が広いという条件と組み合わさると重みを増します。年齢が上がるほど移動が難しくなり、市域が広いほど移動の距離は伸びる。この2つが同時に進むのが宗像市です。
買い物、通院、行政手続き。どれも「行ける人」を前提にした仕組みでは、抜け落ちる人が出ます。福祉分野を志望しない場合でも、この視点は持っておきましょう。
離島の暮らしをどう支えるか
市営渡船で結ばれた大島と地島には、日々の暮らしがあります。天候が荒れれば船は止まり、そのあいだ島の住民は本土との行き来ができません。医療、教育、物資、災害時の対応。
本土であれば当たり前に選べるものが、島では条件付きになります。行政の仕事のうち、離島に関わる部分は「効率」の物差しでは測れない領域です。この点を理解しているかどうかは、宗像市の面接では意味を持ちます。
世界遺産を持ち続けるということ
世界遺産の登録は到達点ではなく、そこから先の保存義務の始まりでもあります。8つの資産は宗像市と福津市に分かれて所在しており、保存も活用も2市にまたがって考える必要があります。加えて、来訪者が増えれば資産への負荷も増えます。
守ることと見てもらうことは、常に釣り合いを取り続ける関係にあります。文化財や観光の分野を志望するなら、この釣り合いの話まで踏み込んでください。
地震と災害への備え
福岡県は令和7年10月に地震防災アセスメント調査の報告書を公表しています。想定の対象は県内7つの主要活断層と南海トラフ地震で、活断層のほうは7つとも最大震度7が見込まれました。
一方、南海トラフ地震(マグニチュード8から9クラス、発生確率60%から90%)については、県内の最大震度は5強、避難者は3,100人という想定です。(出典:福岡県地震防災アセスメント調査(概要版)|令和7年10月)
発生の確率が高いとされる南海トラフより、確率は低くとも震度7が想定される活断層のほうが、県内では被害の規模が大きくなります。確率と被害規模は別だということです。防災を語るときに「確率が高いから備える」という説明だけでは足りない理由が、この対比に表れています。
離島を抱える市では、そこにさらに船が止まるという条件が重なります。
宗像市の重点政策|世界遺産と離島を抱える市の政策課題
ここでは、この市が抱える二つの大きなテーマを、面接で使える形に整理しておきます。個別の計画については、市公式サイトで最新版を開いてください。
2市にまたがる世界遺産をどう守るか
「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」は、2017年7月9日の世界遺産委員会で8資産すべての登録が決定しました。宗像市には沖ノ島や宗像大社などが、福津市には新原・奴山古墳群が所在します。5世紀から6世紀にかけて築かれた古墳群を含む、時代の幅のある構成です。
登録から年数が経つほど、行政の仕事は「登録を目指す」から「登録された状態を保つ」へと移ります。保存のための調査と修理、来訪者の受け入れ、地域住民の理解。どれも一度で終わる仕事ではありません。
世界遺産を志望動機に挙げる受験者は多いはずですから、登録の事実だけでなく、その後の維持に関わる仕事として語れると差が出ます。
海を渡って届ける行政
もう一つの軸が離島です。市営渡船は神湊と大島をフェリー「おおしま」で約25分、旅客船「しおかぜ」で約15分で結び、地島への航路も運航されています。渡船を市が自ら運航しているということは、住民の移動手段そのものが市の事業だということです。
ダイヤ、運賃、船の更新、欠航時の対応。すべてが市役所の判断の対象になります。
本土側にも課題はあります。市域119.94平方キロメートルのなかで、市役所から遠い地区に住む高齢の市民をどう支えるか。離島の話と本土の周辺部の話は、「距離が生む不便をどう埋めるか」という同じ問いの二つの形です。
POINT|有名な資産の名前より、その運用を語る
世界遺産も離島も、名前を挙げるだけなら誰にでもできます。関心のある分野を一つ決め、「①その場所で今どんな仕事が行われているか → ②そこで市の職員は誰と関わるか → ③何が難しいのか → ④自分の経験はどこで使えるか」の順に整理してください。
悪い例「世界遺産のある宗像市で、その魅力を発信する仕事がしたいです」
改善例「世界遺産の資産が隣の市にもまたがっていると知りました。ふたつの市で足並みをそろえて守っていく必要があるので、まずは関係する方の話を聞いて回るところから関われたらと思っています」
あわせて確認したい公式資料
次の4つは、宗像市を受けると決めた段階で開いておく資料です。1つ目は申込みの方法まで含む中心の資料になります。
- 宗像市職員採用試験の募集要項(自分が申し込む期の最新のもの)
- 宗像市の総合計画をはじめとする市の主要な計画(市公式サイト掲載の最新版)
- 世界遺産「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」に関する市の公表資料
- 宗像市の予算・決算に関する市の公表資料
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、宗像市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。宗像市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
宗像市役所の面接の概要
ここからは、募集要項が示している選考の形と、そこで問われる中身を順に整理します。試験の構成として示すのは、令和8年度のⅠ期-1(一般行政)のものです。
学歴ではなく、年齢帯で区分を切る試験
宗像市の職員採用試験でまず目を引くのが、試験区分の切り方です。「大卒程度」「高卒程度」といった学歴による区分ではなく、【19〜21歳】【22〜25歳】【26〜30歳】といった年齢帯で区分が設けられています。
募集要項も冒頭に「☆学歴不問☆ ☆公務員試験対策不要☆ ☆テストセンター方式の試験により全国各地で受験可能☆」を掲げています。(出典:令和8年度宗像市職員採用試験募集要項(Ⅰ期-1・一般行政)|令和8年度)
| 項目 | 内容(令和8年度・Ⅰ期-1・一般行政) |
|---|---|
| 試験区分と採用予定人数 | 一般行政【19〜21歳】3人程度、一般行政【22〜25歳】5人程度、一般行政(社会福祉士)【22〜31歳】2人程度、一般行政【26〜30歳】10月入庁 3人程度、一般行政(障がい者雇用枠)【19〜30歳】2人程度 |
| 試験の段階 | 第一次試験・第二次試験・最終試験の3段階 |
| 第一次試験 | ①録画面接の登録 ②SCOA(総合適性検査。全国のCBTテストセンターで受験) |
| 第二次試験 | 「ワーク試験及び面接」(会場は宗像市役所) |
| 最終試験 | 「面接」(会場は宗像市役所) |
| 種目の位置づけ | エントリーフォーム・録画面接・ワーク試験・面接は「人柄、知識、意欲等をみる試験」、SCOAは「基礎能力、パーソナリティ試験」 |
| 申込みの方法 | 官公庁・自治体求人サイト「パブリックコネクト」で会員登録・プロフィール編集・エントリー。録画面接は「harutaka」を利用(スマートフォン・PC・タブレット対応) |
| 申込みの制限 | 令和8年度の採用試験において1人1回限り。「エントリーフォームの登録」をもって申込完了となり、完了後は他の試験区分へ申し込めない |
| 受験資格(共通) | 普通自動車免許を有する人、又は入庁までに取得見込みの人(諸事情により取得できない場合はエントリーフォームに理由を入力) |
区分の切り方が年齢帯であることには、実務上の意味があります。学歴を問わない以上、選考で見られるのは「これまで何を学んだか」ではなく「これまで何をしてきたか」です。同じ年齢帯の人と並べて比べられると考えたほうが、準備の方向は定まります。
上記は、令和8年度宗像市職員採用試験(Ⅰ期-1・一般行政)の募集要項に基づく内容です。種目ごとの配点は公表されていませんので、最新の受験案内でご確認ください。年齢は令和9年4月1日時点で判定されます。また、区分の名称は宗像市が定めているものですので、他の自治体の「大卒程度」「高卒程度」といった呼び方に置き換えて理解しないよう注意してください。
選考の種目のほとんどが、人柄をみる試験
募集要項は、各種目が何をみるものかを明記しています。エントリーフォーム、録画面接、ワーク試験、面接の4つが「人柄、知識、意欲等をみる試験」で、SCOA(総合適性検査)が「基礎能力、パーソナリティ試験」です。
5つの種目のうち4つが、人柄を含めて見るものとして位置づけられています。しかも第一次試験の段階から録画面接が入り、第二次と最終でも人と向き合う場が続きます。筆記の勉強で埋められる部分は、SCOAの基礎能力に限られると考えてよいでしょう。
なお、第二次試験の「ワーク試験」は宗像市が用いている名称で、募集要項の説明は「人柄、知識、意欲等をみる試験」までです。どのような形式で行われるかは公表されていませんので、内容を予想して備えるのではなく、どんな形でも自分の考えを言葉にできる状態を作っておくほうが確実です。
要項が冒頭に置いた3つの言葉から読む
宗像市の募集要項の本文には、求める職員像として掲げられた項目はありません。手がかりになるのは、要項が冒頭に置いた3つの言葉です。学歴不問、公務員試験対策不要、そして全国各地で受験可能。
この3つは、いずれも受験のハードルを下げる方向の案内です。裏を返せば、入口を広げたうえで、人物の側でしっかり見るという設計になります。申込みが1人1回限りで、完了後は他の区分に移れないという制限も、受ける側に選択の責任を求めるものです。
要項の記載から言えるのはここまでです。次に述べるのは、当研究会が市の環境から想定している働き方の側面になります。人口10万人弱で市域が広く、離島まで抱える市役所では、一人の職員が関わる分野の幅が広くなります。
同じ課のなかで、島の渡船の相談と、世界遺産の来訪者への対応と、高齢の市民の手続きが並ぶこともあるでしょう。不慣れな相手に対して、その場で聞き取りながら進める構えが要ります。実際にどこを見られるかは、その年の募集要項と面接の場で確かめてください。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。録画面接から最終試験まで人と向き合う場が続く宗像市の試験でも、この7つに答えを持っていれば土台はできます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | ここまでの移動は大変ではありませんでしたか? | 録画面接を経て市役所まで来た場面。画面越しの印象と、目の前の様子がつながっているか |
| ② 動機・志望 | 働く場として自治体を選んだ理由は何ですか? | 学歴を問わない試験だからこそ、これまでの歩みと選択が筋道でつながっているか |
| ③ 自己理解 | 自分の性格を一言で表すと何ですか? | 短く言い切ったあとに、根拠となる場面をすぐ出せるか |
| ④ 経験・行動 | これまでで一番粘り強く続けたことは何ですか? | 続いた期間の長さではなく、途中で何度考え直したか |
| ⑤ 学業・経歴 | これまでの経験を仕事にどう生かせますか? | 専門の内容ではなく、経験を市の仕事の言葉に置き換えられるか |
| ⑥ 適性・将来 | 希望しない分野に配属されたら、どう向き合いますか? | 離島から世界遺産まで担当の幅が広い市役所での柔軟さ |
| ⑦ 公共性・社会性 | 地域の話題で関心を持っていることはありますか? | 関心を、自分の生活の側に引き寄せて説明できるか |
学歴を問わない試験であっても、この7つに用意する答えの中身までは変わりません。人柄をみる種目が4つ置かれた選考で差がつくのは、次の問いのほうです。
合否を分けるのは「宗像市役所ならでは」の質問
録画面接、ワーク試験、面接と場を変えて同じ人物を見る試験では、答えの一貫性がそのまま評価の対象になります。場面ごとに聞こえのよい話を用意すると、どこかで食い違います。次の表には、答えの芯になる宗像市の事実を、面接の場で言い切れる分量で並べました。
| 質問テーマ | 知っておきたい宗像市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 世界遺産 | 「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」は2017年7月9日に8資産すべての登録が決定。構成資産は宗像市と福津市に分かれて所在 | 登録の事実で終わらせず、2市にまたがる資産を守り続ける仕事として語ると、調べた深さが伝わります |
| 離島を抱えること | 市営渡船が神湊と大島を結び、フェリーで約25分、旅客船で約15分。地島への航路もある | 渡船を市が運営しているという点を押さえます。移動手段そのものが行政の事業だという理解を示します |
| 年齢構成と市域 | 住民基本台帳ベースで高齢化率30.8%、75歳以上17.4%(令和8年1月1日現在)。市域は119.94km²で人口密度は約807人/km²。県は同じ基準で28.2% | 高齢化と市域の広さを掛け合わせて語ると、単なる数字の紹介から一歩進みます |
| 県のなかでの位置 | 福岡県の北端は宗像市大島の北緯34度15分00秒とされている | 県の端であり、その端が離島であるという条件から、県と市の役割の違いへ話をつなげます |
| 区分と種目の組み方 | 学歴ではなく年齢帯で区分を設定。エントリーフォーム・録画面接・ワーク試験・面接が「人柄、知識、意欲等をみる試験」 | 面接で直接聞かれる項目ではありませんが、どこに時間を使うかの判断材料になります。筆記より、話す中身の一貫性に時間を割きます |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
求める職員像が公表されていない試験ですから、頼りになるのは募集要項が示した種目の位置づけです。人柄、知識、意欲。この3語を確かめる場が4つ置かれている試験では、その場の言い回しではなく、これまでの行動が見られます。
いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 場が変わっても変わらない一貫性 | 録画面接、ワーク試験、面接と場を変えて同じ人物が見られる | 録画面接で話した内容を必ず控えておき、後の場でそれと矛盾しない話し方を確認する |
| 相手に合わせて聞き取る力 | 離島の住民、来訪者、高齢の市民と、相手の幅が広い市役所での適応 | 相手の言葉が足りない場面で、自分から聞き足して進めた経験を1つ用意する |
| 知らない仕事に手をつける力 | 島の渡船から世界遺産まで、担当が変わり続ける職場での適応 | 経験のない役割を任された場面を1つ選び、何から手をつけたのかという始め方まで話せるようにする |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 自分が申し込む期の募集要項を入手し、試験区分の年齢帯と、申込みが1人1回限りである点を確認する
- これまでの経験を、学業・課外活動・アルバイトや職務に分けて書き出し、それぞれ話せる場面を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 高齢化率30.8%と市域119.94平方キロメートルは、数字を見返さずに話せるところまで頭に入れる
- 対応表から1つか2つのテーマを選び、録画面接でも対面の面接でも使える長さにまとめておく
- 録画面接で話した内容を書き起こして保存し、第二次以降でそれと矛盾しない答えになるか確かめる
優先順位に注意
ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。人柄をみる種目が4つ置かれている試験ですから、時間が足りないときはステップ2の経験の書き出しを先に終わらせてください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、宗像市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
宗像市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
令和8年度のⅠ期-1では、申込みから最終試験までのあいだに、人柄を含めて見る種目が4つ置かれています。しかも申込みは1人1回限りで、年齢帯によって受ける区分が決まります。学歴で線を引かない試験だからこそ、問われるのはこれまで自分が何をしてきたかです。
世界遺産を抱え、海を渡って住民のもとへ届ける市役所で、自分は何ができるのか。募集の期や区分は毎年見直されます。申し込む前に、その期の募集要項そのものに当たってください。