本記事では、中間市職員採用試験の面接対策で必要な、中間市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
中間市役所の面接では、「なぜ中間市を志望したのか」、「市職員として何に取り組みたいのか」、「これまでにやってきたことを市役所でどう役立てるのか」といった質問が想定されます。
中間市は、求める職員像に加えて「求める人材」を5つの類型で、それぞれ長い文章のまま試験案内に載せている市です。相手が言葉で示している以上、こちらもその言葉に合わせて準備できます。
なお、第2部で扱う試験の構成は、令和9年4月採用の【一般枠】の試験案内で確認できる範囲のものです。
中間市は同じ年度に令和8年10月採用の【経験者枠】も実施しており、保育士には別の案内が用意されています。どの枠のどの区分の話なのかを意識しながらお読みください。
第1部|自治体研究編
中間市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは中間市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 面積15.96km²、人口38,626人(令和8年1月1日現在)。人口密度は約2,420人/km²(住民基本台帳の人口を面積で割った値)。市域が狭く、人が密に暮らしている市である。
- 境を接するのは北九州市、鞍手郡鞍手町、遠賀郡遠賀町と水巻町。市役所は中間一丁目に置かれている。
- 高齢化率は38.2%、75歳以上率は23.6%。福岡県全体の28.2%・16.2%をいずれも上回る(同じ住民基本台帳の同時点による)。
- 世界遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成資産「遠賀川水源地ポンプ室」が市内にある(2015年7月登録)。八幡製鐵所の鉄鋼増産に対応するため、遠賀川から工業用水を送る目的で建設され、明治43年(1910年)に操業を開始した。
- 市の花はパンジーとコスモス、市の木はクスとクロガネモチ。
- 職員採用では、事務・土木・建築に加えて消防職も市の試験区分として市が直接採用している。
- 令和8年度は、令和9年4月採用の【一般枠】と、令和8年10月採用の【経験者枠】の2本立てで採用を行っている。
- 試験案内の冒頭には「中間市では、既成概念にとらわれない創造力豊かなやる気のあるかたを募集します」「熱意と創意をもって、中間市のまちづくりに力を注いでくださるかたをお待ちしています」と記されている。
中間市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「中間市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
中間市を説明するときに効くのは、人口と面積の関係、年齢構成、そして採用区分の顔ぶれです。順に見ていきましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 38,626人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 65歳以上人口 | 14,758人(38.2%、福岡県全体は28.2%) |
| 75歳以上人口 | 9,128人(23.6%、福岡県全体は16.2%) |
| 総面積 | 15.96km² |
| 人口密度 | 約2,420人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 境を接する市町 | 北九州市、鞍手郡鞍手町、遠賀郡遠賀町・水巻町 |
| 市の花・市の木 | パンジー、コスモス/クス、クロガネモチ |
| 【一般枠】の試験区分と採用予定人員 | 一般事務職A5名、一般事務職B2名、土木技術職1名、建築技術職1名、消防職2名(保育士は別の試験案内) |
総人口・65歳以上人口・75歳以上人口と、比較に用いた福岡県全体の値は、いずれも総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の数値です。国勢調査を基礎とする推計人口とは調査の基準が異なりますので、他の資料の人口と直接比べないでください。試験区分と採用予定人員は、令和9年4月採用の【一般枠】の試験案内によります。
数字から考えられる市政課題
中間市の数字でまず目を引くのは、15.96km²という面積の小ささです。人口密度は約2,420人/km²になります。
市域が狭いということは、住宅も店も学校も近い距離に収まっているということで、行政サービスを届けるうえでは有利に働きます。
その一方で、年齢構成は重くなっています。
高齢化率38.2%は福岡県全体の28.2%より10ポイント高く、75歳以上が9,128人、人口の23.6%を占めています(いずれも令和8年1月1日現在)。
狭い市域に、支えを必要とする世代が密に暮らしているということです。介護や見守りの現場では、移動の負担が小さいぶん訪問の回数は稼げますが、対象の数そのものが多くなります。
中間市の一般事務職の採用予定は、Aが5名、Bが2名です。この人数で市全体を回す以上、面接で問われるのは知識の量ではなく、限られた手数をどこに使うかという判断です。
実際の受け答えに直すと、こうなります。
中間市の経済・産業
経済・産業構造の概要
- 福岡県を含む北部九州には日産・トヨタ・ダイハツが自動車の生産拠点を配置し、生産台数は国内市場の15%以上を占める。
- 県のバイオ関連企業は当初の32社から230社以上に増え、2021年6月に内閣府から「地域バイオコミュニティ」に認定された。
- 働く人の77.3%、企業数の99.8%が中小企業。
- 県の名目県内総生産は全国第9位(令和2年度県民経済計算)。
ここで押さえたいのは、産業の顔ぶれが入れ替わってきたことです。県の主力は自動車とバイオへ移り、中間市が工業用水を送った製鉄の時代とは景色が変わっています。
市の歴史を語るときも、いまの産業を語るときも、この時間の幅を意識すると話に厚みが出ます。(出典:福岡県の主要産業/福岡県の産業|令和5〜6年)
製鉄所へ水を送った市
中間市にある遠賀川水源地ポンプ室は、2015年7月に世界遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成資産として登録されました。八幡製鐵所の鉄鋼増産に対応するため、遠賀川から工業用水を送る目的で建設され、明治43年(1910年)に操業を開始しています。(出典:遠賀川水源地ポンプ室(中間市))
面接でこの遺産を挙げるなら、観光の話に流さないほうが得策です。製鉄という大きな産業を、水という形で支えていた市だという文脈で使えば、いまの市が何を引き受けているのかという話につなげられます。
中小企業が支える雇用
県内で働く人の77.3%、企業数でいえば99.8%が中小企業です。自動車やバイオといった目立つ産業の裏側で、働く人の大半を受け止めているのは地域の中小の事業所ということになります。
北九州市と境を接する中間市では、市外へ通う人も、市内で働く人も、この構造のなかにいます。
市役所の仕事でいえば、商工の窓口、事業者向けの相談、就労の支援などがここに接します。産業振興を志望動機にするなら、大きな企業の誘致より先に、いまある事業所が続けられる条件を考えてみてください。
中間市の主な行政課題
では、中間市が向き合っている課題は何か。ここでは5つに絞って挙げます。
全部を語る必要はありません。どれか一つを深く話せれば、面接では十分に通用します。
4割に迫る高齢化
高齢化率38.2%、75歳以上率23.6%という水準は、福岡県全体(28.2%・16.2%)を大きく上回ります。福岡県が県全体でこの水準に届くと見込むのは2060年ごろです。
中間市の年齢構成は、県の30年以上先を先に迎えていることになります。県全体を前提にした対策では、規模が合いません。
人口減少の長い見通し
福岡県人口ビジョンによれば、社人研の推計方法に準拠した場合、県人口は2020年の514万人から減り続け、2060(令和42)年に現在の約8割にあたる408万人まで下がります。
高齢化率は28.0%から36.1%へ。出生率の改善等を前提とした将来展望では、40万から60万人程度の緩和が見込まれています。(出典:福岡県人口ビジョン)
遠賀川と水の管理
遠賀川は、中間市に工業用水を取る施設を残した川であると同時に、流域に水害をもたらしてきた川でもあります。平成15年7月の出水では、上流の飯塚市・穂波町全体で4,000戸を超える家屋等が浸水しました。
これを受けて平成16年度から、河道の掘削による水位低減などを行う床上浸水対策特別緊急事業が始まっています。(出典:遠賀川の飯塚・穂波地区床上浸水対策特別緊急事業(国土交通省))
福岡県全体では、平成29年から令和3年まで5年連続で大雨特別警報が発表されました。上流で降った雨が下流に届くまでに何ができるか。
流域の市に共通する問いです。(出典:福岡県の豪雨災害の記録)
地震への備え
地震の想定も押さえておきましょう。
福岡県が令和7年10月31日に公表した地震防災アセスメント調査報告書は、県内7つの主要活断層(小倉東断層、福智山断層帯、西山断層帯、宇美断層、警固断層帯、日向峠-小笠木峠断層帯、水縄断層帯)と南海トラフ地震を対象としており、活断層はいずれも最大震度7の予測です。
西山断層帯の連動(マグニチュード7.9から8.2)では、死者1,800人・災害関連死700人、全壊全焼41,000棟という県内最大級の被害が想定されています。(出典:福岡県地震防災アセスメント調査報告書|令和7年10月)
限られた人数で幅広い分野を担う
福岡県総合計画(令和4年度から令和8年度)が県を取り巻く変化として挙げるのは、人口減少・少子高齢化の進行、デジタル化・脱炭素社会への対応、グローバル化の進展、頻発化・激甚化する自然災害の4つ。
県が挙げるこの4つは、規模の大小に関係なく市町村の現場へ届きます。一方で【一般枠】の採用予定は、一般事務職Aが5名、Bが2名です。
分野の数と人数の差が、そのまま一人あたりの守備範囲になります。
中間市の重点政策|遠賀川が結んだ産業と県の計画
中間市がどんな枠組みのなかで仕事をしているかを、市の成り立ちと県の計画の2つから整理します。市の個別計画については、中間市の公式サイトに掲載されている最新版をあたってください。
ポンプ室が示す市の成り立ち
遠賀川水源地ポンプ室は、鉄をつくる産業のために水を送る施設として建てられました。1つの市が、外にある大きな産業を支える役割を担っていたということです。
世界遺産に登録されたのは2015年7月ですが、施設そのものは明治43年から動いてきました。
この成り立ちは、いまの市政の話にもつながります。市域は15.96km²で、政令指定都市である北九州市と直接境を接しています。
この狭さと位置は、市の仕事を考えるうえでの前提になります。単独では抱えきれない部分を、どこと組んで補うかという視点は、どの分野を志望する場合でも持っておいて損はありません。
県の総合計画が見ている変化
県の総合計画は、この4つの変化を前提としたうえで、SDGsの「誰一人取り残さない社会」の考え方が一層重要だとしています(計画期間は令和4年度から令和8年度)。
人口38,626人のうち4割近くが65歳以上という市で、この言葉を実行に移す難しさはどこにあるか。
そこまで踏み込んで話せると、計画を読んだだけの受験生とは違う答えになります。(出典:福岡県総合計画|令和4年度〜令和8年度)
POINT|調べる順番を先に決めておく
計画の名称は、言えたところで話が広がりません。関心のある分野を一つか二つ決めて、「①市民が困っているのは何か → ②市はどんな状態にしたいのか → ③いま動いている取組は何か → ④周辺の市町とどう分担するか → ⑤自分の経験がどこで役に立つか」の順に整理しておくと、どこを掘られても手持ちの材料で答えられます。
悪い例「中間市の高齢者福祉に関わりたいと思っています」
改善例「市域が狭いぶん、訪問や声かけの回数を増やしやすいと思いました。まずは窓口で話を聞いて、来られない方のところへこちらから出向く仕組みづくりに関わりたいです」
あわせて確認したい公式資料
次の5点に当たれば、中間市について話す材料はそろいます。受ける枠と区分によって、優先順位は入れ替えてください。
- 中間市職員採用試験案内(受験する枠・区分のもの。【一般枠】と【経験者枠】、保育士で案内が分かれます)
- 中間市の総合計画をはじめとする市の主要な計画(市公式サイト掲載の最新版)
- 中間市の予算・決算に関する市の公表資料
- 福岡県総合計画(令和4年度から令和8年度)
- 福岡県地震防災アセスメント調査報告書(令和7年10月公表)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、中間市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。中間市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
中間市役所の面接の概要
ここからは、令和9年4月採用の【一般枠】の試験案内で確認できる内容をもとに、中間市の試験の形と面接への備え方を整理します。
【一般枠】の試験の流れ
中間市の【一般枠】は第1次試験と第2次試験の2段階です。第1次は全国のテストセンターで受ける検査、第2次で人物を見る科目がまとめて置かれます。
試験案内は、第1次試験について「いわゆる公務員試験対策を必要としない『基礎能力検査』」と説明し、民間企業志望の人にも広く受けてほしいと記しています。
| 項目 | 内容(令和9年4月採用・【一般枠】) |
|---|---|
| 試験区分と採用予定人員 | 一般事務職A5名、一般事務職B2名、土木技術職1名、建築技術職1名、消防職2名。保育士には別の試験案内が用意されています |
| 試験の段階 | 第1次試験 → 第2次試験の2段階 |
| 第1次試験 | テストセンター方式。一般事務職A・B、土木技術職、建築技術職は基礎能力検査(約60分)と事務能力検査(約60分)。消防職は基礎能力検査(約60分)のみ。会場は全国のテストセンターで、会場と日時は各自が選択します |
| 第2次試験(全区分共通) | WEB方式の適性検査(約35分)を自宅等で受検。「検査結果を第2次試験の個別面接試験の参考資料とします」と明記され、期限までに受検しなかった場合は失格となり第2次試験を受験できません |
| 第2次試験(区分別) | 一般事務職A・Bと消防職は集団討論試験と個別面接試験の2種目。土木技術職・建築技術職は個別面接試験のみ |
| 面接カード | 第1次試験の合格通知に受験票とともに同封されます。作成のうえ、中間市役所総務課人事給与係宛てに郵送します(第2次試験前の指定日必着)。受験票は第2次試験当日に持参します |
| 配点 | 令和9年4月採用の【一般枠】の試験案内に、各試験科目の配点・満点・合否判定方法の記載はありません。最新の受験案内でご確認ください |
| 服装 | 「第2次試験を受験する際の服装は、スーツでなくても構いません。自身の個性が発揮できる格好で受験してください」と明記されています |
| 申込 | 原則として電子申請。窓口での採用試験関係書類の配布および申込受付は行われません。申込ができる試験区分は一つで、併願はできません |
| 消防職の扱い | 第2次試験の合格発表後に体力検査を実施。勤務形態は原則として交替勤務制(午前8時30分から翌日午前8時30分)で、災害発生等の緊急時に対応できるよう、原則として中間市またはその周辺に居住することとされています |
| 初任給(参考) | 一般事務職A・B、土木技術職、建築技術職は大学卒232,000円程度、短大卒219,400円程度、高校卒206,700円程度。消防職は大学卒242,000円程度、短大卒232,000円程度、高校卒219,400円程度 |
上記は、中間市の令和9年4月採用【一般枠】の試験案内に基づく内容です。同じ令和8年度には令和8年10月採用の【経験者枠】も実施されており、保育士は別の案内によります。試験の構成・区分は年度によっても変わりますので、必ずご自身が受ける枠・区分の最新の試験案内をご確認ください。(出典:中間市職員採用試験案内【一般枠】|令和8年度)
この構成には、対策上の勘所が3つあります。1つ目は、区分によって第2次試験の中身が違うことです。
一般事務職A・Bと消防職には集団討論試験がありますが、土木技術職・建築技術職は個別面接のみ。受ける区分を決めたら、まずここを確認してください。
2つ目は、WEB方式の適性検査の位置づけです。約35分の検査結果が個別面接の参考資料になると明記されています。
検査で示した自分の傾向が、面接の場に持ち込まれるということです。加えて、期限までに受検しなければ失格となり、第2次試験そのものを受けられません。
3つ目が面接カードです。中間市の面接カードは、第1次試験の合格通知に同封されて届き、指定日必着で郵送します。
手元に届いてから書ける期間は限られます。合格を知ってから中身を考えはじめると、間に合わないことになりかねません。
中間市が公表する「求める職員像」
中間市は、求める職員像を「変化を先取りし、市民の目線で考え、果敢に行動する職員」と示しています。さらに「中間市の求める人材」として、次の5類型を試験案内に載せています。
| 類型 | 試験案内の記載 |
|---|---|
| ①「仕事開拓型」の人材 | 常に問題意識を持って自ら考え、問題を発見して仕事を効率的に改善していくことができる積極的な人材 |
| ②「協働」できる人材 | 市民との対話、交流を通して、市民の日常生活の身近な問題を市民の立場になって感じ、共に考え、合意を得ながら仕事を進めることができる人材 |
| ③「行政のプロフェッショナル」としての人材 | プロ意識や高い専門性を持ち、最少の経費で最大の成果を出すための最良の方法を常に考え、他者とのチームワークのもとに実行していける人材 |
| ④「人間性」に富んだ人材 | 仕事ができるだけでなく、中間市職員として誇り高い倫理観・使命感を持ち、人権感覚が豊かで住民の信頼と期待に応えられる、人としての豊かな人間性を持つことができる人材 |
| ⑤「チャレンジャー」であり続ける人材 | 「前例踏襲・事なかれ主義」といった停滞型の思考を捨て、チャレンジ精神と創造性を発揮し、新しい課題や困難な課題に果敢に取り組み続ける人材 |
5つの類型は市が公表しているものです。ただ、この5つが試験のどの場面と結び付くかまでは案内に書かれていません。
以下はその空白を埋める試みであって、市が示した対応関係ではありません。
中間市の面積は15.96km²、人口密度は約2,420人/km²です。市域が狭く、人が密に暮らしています。
そして一般事務職の採用予定はAが5名、Bが2名。一つの分野に何人も配置できる組織ではありません。
5類型の並びに①仕事開拓型と⑤チャレンジャーが入っているのは、決まった手順を回すだけでは前に進まない場面が、日常のなかにあるからだと読めます。
そこへ②協働の「合意を得ながら仕事を進める」が重なります。
自分から動ける人であればよいという話ではなく、勝手に走らずに周りを巻き込みながら前へ出せるかどうかまでが問われている形です。
5類型を1つずつ眺めるより、この重なりを意識したほうが準備しやすいはずです。
そして、試験案内は第2次試験の服装について「スーツでなくても構いません。自身の個性が発揮できる格好で受験してください」と書いています。
装いまで受験者に委ねる試験で、話す中身だけを借り物の型にはめても、ちぐはぐになるだけです。用意しておきたいのは、これまでの自分の行動を5類型の言葉で言い直せる状態です。
仕事開拓型に近い場面はどれか、協働に当たる経験はどれか。棚を作るように整理しておけば、面接カードを書く手も、当日の口も止まりません。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。中間市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 会場までは、迷わずに来られましたか? | かしこまった受け答えの外にある反応。服装が自由な試験だけに、話し方の自然さがそのまま印象になります |
| ② 動機・志望 | 北九州市に接する市のなかで、なぜ中間市なのですか? | 北九州市ではなくこの市を選ぶ理由を、自分の言葉で持っているか |
| ③ 自己理解 | あなたの短所を教えてください | 自分を客観的に見られているか。WEB適性検査で示した傾向と、話す内容が食い違わないか |
| ④ 経験・行動 | 意見が食い違った場面で、どう折り合いをつけたか教えてください | 集団討論試験がある区分では、この力がその場で試されます |
| ⑤ 学業・経歴 | これまでの学びや仕事を、知らない人にも分かるように説明してください | 聞き手に合わせて説明を組み替えられるか。面接カードに書いた内容と一貫しているか |
| ⑥ 適性・将来 | 採用後、どんな仕事に取り組みたいですか? | 市の仕事の見え方の細かさ。少人数の職場で分野をまたぐ前提を持てているか |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近、気になったニュースを一つ挙げてください | 社会の動きへの目の向け方。集団討論のある区分では、この引き出しがそのまま議論の材料になります |
この7つは、面接カードを書く段階でおおよそ答えが決まります。カードが届いてから慌てないよう、先に一巡させておきましょう。
そのうえで時間を回したいのが、次の2問です。
合否を分けるのは「中間市役所ならでは」の質問
中間市は、求める人材を5つの類型として長い文章のまま公表している市です。だからこそ、この2問への答えも、5類型のどの言葉と重なるのかまで意識してつくれます。
第1部で扱った事実のうち、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい中間市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| なぜ県庁ではなく市役所か | 中間市の面積は15.96km²、人口密度は約2,420人/km²。一般事務職の採用予定はA5名・B2名で、申込ができる区分は一つに限られる | 市域の狭さを、市民との距離の近さとして言い直したうえで、自分がその距離で何をしたいかを話します |
| 高齢化の現在地 | 住民基本台帳(令和8年1月1日現在)で人口38,626人、高齢化率38.2%、75歳以上率23.6%。福岡県全体の28.2%・16.2%を上回る | 数字を並べたあと、5類型の②協働の言葉を借りて、市民の側から見た困りごとへ話をつなげます |
| 市の成り立ち | 世界遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成資産「遠賀川水源地ポンプ室」が市内にある。八幡製鐵所の鉄鋼増産に対応するため遠賀川から工業用水を送る目的で建設され、明治43年に操業を開始した | 観光資源として紹介せず、近代の産業を水の側から支えてきた土地だという文脈で使います |
| 災害への備え | 平成15年7月の遠賀川出水では上流の飯塚市・穂波町全体で4,000戸を超える浸水被害があり、平成16年度から床上浸水対策特別緊急事業が始まった。福岡県では平成29年から令和3年まで5年連続で大雨特別警報が発表された | 川の名前を挙げるだけで終えず、上流で降った雨が下流に届くまでに市役所が何をするのかを話します |
| 求める人材 | 求める職員像は「変化を先取りし、市民の目線で考え、果敢に行動する職員」。さらに5類型(仕事開拓型/協働/行政のプロフェッショナル/人間性/チャレンジャー)が試験案内に明記されている | 5つ全部に当てはまろうとせず、自分の経験がいちばん近い1つを選んで、その言葉で語り直します |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、中間市が試験案内に掲げる求める職員像と5類型に照らして、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| ①「仕事開拓型」の人材 | 問題を自分で見つけて改善した経験があるか。集団討論試験がある区分では、議論のなかで論点を立てられるかも見られます | 誰にも頼まれずに始めたことを1つ用意し、なぜそこに気づいたのかから話せるようにします |
| ②「協働」できる人材 | 市民の立場に立って合意をつくった経験。個別面接では、郵送した面接カードに書いた場面が起点になります | 意見が割れた場面で、自分が相手の言い分をどう扱ったかまでカードに書いておきます |
| ⑤「チャレンジャー」であり続ける人材 | 前例のない状況で動いた経験。試験案内は冒頭で「既成概念にとらわれない創造力豊かなやる気のあるかたを募集します」と記しています | 結果が出なかった挑戦でも構いません。始めたときに何を見込んでいたのかを言葉にしておきます |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。
中間市は個別面接の前にWEB適性検査の結果が渡る構成ですから、この傾向はより強く出ます。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 受ける試験区分を一つに決める(申込ができる区分は一つで、併願はできません)。決めたら、その区分の第2次試験に集団討論試験があるかどうかを試験案内で確認する
- 求める職員像と5類型を書き写し、自分の経験がどの類型に近いかを並べてみる
- これまでの経験を書き出す。学業や部活動、アルバイト、仕事、地域での役割など、場面ごとに1つずつ拾っていく
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにしたうえで、固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 面接カードの下書きを先に作る。実物は第1次試験の合格通知に同封されて届き、指定日必着で郵送するため、届いてから考えると時間が足りません。書けたら声に出して読み、掘られそうな箇所に返しを足しておく
優先順位に注意
ステップ5の中間市研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ3の書き出しと、ステップ2で並べた5類型との突き合わせを優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、中間市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
中間市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
中間市の令和9年4月採用【一般枠】は、全国のテストセンターで受ける第1次試験から始まり、第2次試験でWEB適性検査、集団討論、個別面接へと進みます(土木技術職・建築技術職は個別面接のみ)。
配点は公表されていませんが、2段階しかない試験の後半に人物を見る科目が集まっている構成です。市は求める職員像と5つの類型を、これだけの分量で言葉にして示しています。
その言葉に自分の経験を通してみることが、いちばん確かな準備になります。