掛川市消防本部を受験する方に向けて、面接で問われる前提となる組織研究の材料(本部の特徴・基礎データ・管轄地域の災害リスク・消防課題・重点方針)と、面接本番の流れ・想定される質問・評価の観点を、この1ページに整理しました。
掛川市消防本部の面接試験では、「なぜ警察官や自衛官ではなく消防官なのか」「なぜ掛川市消防本部なのか」「消防官として何に取り組みたいのか」といった、管轄地域の理解を前提とする質問が想定されます。県内でも数少ない住民事前避難対象地域に指定されているという管内固有の事情や、124人という職員体制を知っておくことで、どの消防本部にも当てはまる一般論を避け、掛川ならではの事情を踏まえた答え方がしやすくなります。
この記事を手がかりに、自分の経験や関心と掛川市消防本部の仕事の接点を考え、面接での受け答えを組み立てる準備に役立ててください。消防士の試験は一般事務等とは異なる科目構成で実施されるため、区分の違いを意識しながら読み進めましょう。
第1部|組織研究編
掛川市消防本部の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは掛川市消防本部の全体像を押さえておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 掛川市消防本部は、掛川市を単独で管轄する市直営の消防本部である。県や近隣市との共同設置ではなく、掛川市が単独で運営している。
- 消防吏員の陣容は124人で、うち女性は8人である(令和7年4月1日現在)。
- 採用は掛川市職員採用試験のA区分(大学卒業程度・短期大学卒業程度・高等学校卒業程度)の一職種「消防士」として実施され、一般事務等とは科目構成が異なる。
- 令和6年中の出動は火災35件・救急4,799件・救助46件で、救急が全体の活動量の大半を占める。
- 南海トラフ地震臨時情報に伴う「住民事前避難対象地域」を指定している静岡県内4市町(西伊豆町・伊豆市・沼津市・掛川市)の一つで、対象区域は土砂災害警戒区域とレベル2津波浸水域である。
- 昭和37年4月に掛川城御殿を仮庁舎として発足し(発足時の職員は24名、水槽付ポンプ自動車1台)、平成17年4月の1市2町(掛川市・大東町・大須賀町)合併を経て現在の体制になった。
掛川市消防本部の基礎データ
面接に向けた組織研究では、統計値を大量に暗記する必要はありませんが、掛川市消防本部のおおよそのスケール感を知っておくことは重要です。
下の表には、124人という職員体制がどれくらいの人口・出動量を支えているのかが分かるよう、管内人口・高齢化率・職員体制・出動件数を集めました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 管轄区域 | 掛川市(構成市町村=掛川市の単独設置) |
| 管内人口 | 114,223人(住民基本台帳ベース・令和8年1月1日現在) |
| 高齢化率 | 28.9%(75歳以上率15.8%・同時点) |
| 消防吏員数 | 124人(うち女性8人)※令和7年4月1日現在 |
| 火災出動件数 | 35件(令和6年中) |
| 救急出動件数 | 4,799件(令和6年中) |
| 救助出動件数 | 46件(令和6年中) |
管内人口・高齢化率は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在によります。消防吏員数・出動件数は総務省消防庁の全国消防本部データ検索による掛川市消防本部の登録値です。署所の構成や沿革については、掛川市が公表する令和4年版の消防年報によります。
数字から考えられる掛川消防の課題
件数の並びを見ると、救急と火災の規模の違いがすぐに分かります。火災出動が35件であるのに対し、救急出動は4,799件と130倍以上の開きがあります。114,223人という管内人口を124人の消防吏員で支えており、日常業務の中心が救急にあることが数字からも読み取れます。
救助出動も46件と火災を上回っており、交通事故や急病といった生活の中の事故対応も、消防の日常業務の一部であることがうかがえます。
基準をそろえた県の高齢者福祉行政の基礎調査(住民基本台帳ベース・令和7年4月1日現在)では、掛川市の高齢化率は28.8%で、県計の30.9%を下回ります。
県内では若い部類に入る一方、高齢化の進行は救急需要に直結するという構図そのものは掛川市にも当てはまります。人口規模と高齢化の両方を踏まえて出動件数を語れると、説明に厚みが出ます。
消防士としての処遇
掛川市の給料表(令和8年1月1日現在)では、消防士の初任給は大学卒業程度で245,800円、短期大学卒業程度で232,000円、高校卒業程度で219,400円と示されており、一般事務等(同じ卒業区分でそれぞれ237,600円・219,400円・206,700円)とは異なる水準が設定されています。
採用の日は令和9年4月1日で、資格要件や学歴要件(学歴要件の取得期限は令和9年3月末)を採用の日までに取得できなかった場合は採用が取り消されるとされているため、在学中に受験する方は卒業見込みの時期を早めに確認しておくとよいでしょう。
管轄地域の特性と災害リスク
管轄地域の全体像
- 掛川市消防本部は昭和37年4月に発足し、平成17年4月の1市2町合併を経て現在の掛川市全域を管轄する体制となった。
- 署所は中央消防署・南消防署・西分署で構成される。中央消防署庁舎は平成28年3月に完成し、令和2年7月に第17回公共建築賞地域特別賞を受賞した。設計面でも評価された庁舎が、日々の活動拠点になっている。
- 袋井市森町広域行政組合、志太広域事務組合と消防相互応援協定を締結しており、単独設置の本部でありながら近隣本部との連携体制も備えている。
- 浜岡原子力発電所の原子力災害対策重点区域内の11市町の一つで、UPZ(緊急防護措置を準備する区域)の対象として広域避難計画の策定に関わっている。
つまり掛川市消防本部は、合併を経て体制を整えてきた歴史を持ちながら、津波と原子力災害という二つの大規模災害リスクに単独で向き合う本部だと整理できます。この成り立ちへの理解は、志望動機や固有質問への回答を組み立てるうえでの軸になります。(出典:掛川市消防年報|令和4年版)
南海トラフ地震・津波のリスクと住民事前避難対象地域
静岡県第4次地震被害想定(平成25年6月第一次報告)によると、掛川市の最大津波高はレベル1(発生頻度が比較的高い地震)で6m、レベル2(最大クラスの南海トラフ巨大地震)で13mと見積もられています。
レベル2ケース①で海岸の水位上昇が+50cmに達する最短到達時間は4分、レベル1では14分とされています。
掛川市は、南海トラフ地震臨時情報に伴う「住民事前避難対象地域」を指定している静岡県内4市町(西伊豆町・伊豆市・沼津市・掛川市)の一つであり、対象区域は土砂災害警戒区域とレベル2津波浸水域です(同区域は「高齢者等事前避難対象地域」にも指定)。(出典:南海トラフ地震臨時情報に伴う静岡県内の事前避難対象地域|令和8年5月時点)
浜岡原子力発電所とUPZ
掛川市は、浜岡原子力発電所の原子力災害対策重点区域のうち、UPZ(緊急防護措置を準備する区域、範囲の目安は半径おおむね30km)の対象10市町の一つです。
UPZ対象10市町の合計人口は約76万人で、PAZを含めると県民の約4分の1にあたる約81万人が区域内に居住しています(令和7年4月1日現在)。浜岡地域原子力災害広域避難計画は平成28年3月に策定され、その後も継続して修正されています(最新は令和7年8月修正)。(出典:浜岡地域原子力災害広域避難計画の概要|令和7年4月1日現在)
掛川市の主な消防課題
ここまでの数字と地域の姿を踏まえると、掛川市消防本部が向き合う課題が見えてきます。面接で「消防の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。合併を経て体制を整えてきた歴史と、住民事前避難対象地域という指定の重さが、これらの課題を貫いています。
救急需要の増加
全国の救急出動は年々増え、令和6年中は771万8,380件という、これまでで最も多い件数を記録しました。
搬送人員に占める65歳以上の割合は63.3%、軽症の割合は46.8%です(いずれも令和6年中)。
前述の掛川市の4,799件(令和6年中)もこの流れの中にあり、114,223人という管内人口の救急需要にどう応えるかが中心的なテーマになっています。(出典:令和7年版 救急・救助の現況)
大規模災害への備え|津波と原子力災害
前章のとおり、掛川市は最大13mの津波が想定される地域を抱え、県内でも数少ない住民事前避難対象地域に指定されています。同時に浜岡原子力発電所のUPZ対象市町でもあり、広域避難計画に沿った体制づくりにも関わります。
数分で押し寄せる津波と、長期にわたる対応が想定される原子力災害という、時間軸の異なる二つの大規模災害を同時に見据えなければならない点は、掛川市消防本部を理解するうえで欠かせません。発電所は平成23年5月に国の要請を受けて全号機が停止していますが、避難計画に基づく体制の整備はその後も続いています。
予防・住宅防火と消防団との連携
全国的には、住宅火災の死者(放火自殺者等を除く)のうち65歳以上が74.5%を占めています(令和5年中762人)。掛川市の高齢化率は28.9%(住民基本台帳ベース・令和8年1月1日現在)で、こうした全国傾向は掛川市にも同じように当てはまりやすいと考えられます。
掛川市は消防団活動をはじめとする地域ボランティアへの参加を積極的に呼びかけており、消防本部と消防団が連携した予防・啓発活動が、火災の発生を抑える力になっています。地域とのつながりを大切にする姿勢は、単に人物評価の観点にとどまらず、実際の予防業務の質にも直結するテーマです。(参考:令和6年版 消防白書)
人材確保と女性消防吏員の活躍
掛川市消防本部の消防吏員124人のうち女性は8人で、割合は約6.5%です。全国では消防吏員168,230人のうち女性は6,386人(約3.8%・令和7年4月1日現在)にとどまり、国が掲げる「令和8年度当初までに5%」という目標(平成27年度策定)と比べても、掛川市消防本部はすでにこの水準を大きく上回っています。
国の目標を上回る現状を維持しながら、性別を問わず誰もが持ち味を発揮できる組織をどう保つかが、これからの論点になります。(参考:女性消防吏員の活躍推進|消防庁)
重点方針|合併の歩みと広域連携体制
掛川市消防本部が単独で掲げる運営方針や基本理念は、令和8年度の市職員採用試験案内では確認できませんでした(2026年9月時点・当研究会調べ)。そこで手がかりになるのが、昭和37年の発足から平成17年の1市2町合併を経て現在に至る組織の歩みです。
合併に先立つ平成16年4月には、消防本部に広域消防調整専門官を配属して広域再編の検討を進め、合併直前の平成17年3月には通信指令システムを更新するなど、合併を見据えた準備を段階的に重ねてきました。
合併にあわせて消防本部も体制を整え、平成28年3月には中央消防署庁舎が完成し、令和2年7月には第17回公共建築賞地域特別賞を受賞しています。
加えて、掛川市消防本部は袋井市森町広域行政組合・志太広域事務組合と消防相互応援協定を結んでおり、単独設置の本部でありながら、災害時には近隣本部との連携も視野に入れた体制を取っています。袋井市森町広域行政組合との全ての災害に係る協定は平成14年8月28日に締結されました。
合併を経て体制を整えてきた歴史と、近隣本部との相互応援協定という二つの軸は、この本部の成り立ちを理解するうえでの手がかりになります。(出典:掛川市消防年報|令和4年版)
POINT|沿革や制度名を暗記することが目的ではない
沿革や協定名をすべて覚える必要はありません。関心のあるテーマを一つ選び、「①どんな課題か → ②掛川市(や消防本部)はどう備えているか → ③自分の経験や強みをどう関連づけられるか」の順で整理しておきましょう。
悪い例「消防に興味があるので、掛川市消防本部を志望します」
改善例「学生時代に地域の防災訓練に参加した経験がありますので、まずは現場で確実に動けるようになりたいです。そのうえで、掛川市は津波の住民事前避難対象地域にも指定されていますので、消防団とも連携しながら地域の防災力を高めることに関わっていきたいと考えています」
あわせて確認したい公式資料
掛川市職員採用試験の受験案内は、消防士とほかの職種とで科目構成が異なる点に注意しながら読み進めると効率的です。
- 掛川市職員採用試験案内(A区分・消防士)
- 静岡県第4次地震被害想定・南海トラフ地震臨時情報の対象地域一覧
- 総務省消防庁の全国消防本部データ、救急・救助の現況
- 掛川市の防災情報・地域防災計画・土砂災害警戒区域マップ
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、掛川市消防本部専用の面接想定問答集をご用意しています。掛川市消防本部の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
掛川市消防本部の面接の概要
ここからは、掛川市消防本部の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、順を追って整理していきます。
掛川市消防本部の面接の流れ
掛川市職員採用試験の消防士は、4段階の試験構成で、第3次の集団試験と第4次の面接試験の2回にわたって人物を確かめる仕組みです。同じA区分の一般事務等とは科目の並びが異なる点も特徴です。
| 項目 | 内容(令和8年度・消防士) |
|---|---|
| 採用予定人員 | 5人程度。年齢は27歳まで(平成11年4月2日以降に生まれた方)、資格要件は「特になし」 |
| 試験の段階 | 4段階。第1次=総合検査(SPI3・性格検査・能力検査、Webテスティング)、第2次=体力試験、第3次=集団試験、第4次=面接試験 |
| 面接の種類 | 第4次の「面接試験」(受験案内に個別・集団の別の明記はない)。第3次「集団試験」も討論か面接かの明記はない |
| 一般事務等との違い | 一般事務等は第2次=集団試験・面接試験、第3次=面接試験、第4次=面接試験。消防士は第2次に体力試験が入る点が異なる |
| 申込方法 | インターネット応募フォームのみ(郵送・持参・メール不可)。写真・動画を添付し、一度応募すると内容の修正はできない |
注目したいのは、消防士の第1次試験がWebテスティング方式のSPI3で、自宅や学校のパソコンから受験する点です。市が指定するURLに接続して受験する仕組みで、タブレットは推奨環境外のため使用できません。会場に足を運ばない分、通信環境やパソコンの動作確認まで含めた事前準備が欠かせない試験だといえます。
第1次試験合格発表日の前日に、受験用のIDと受験案内がメールで通知される仕組みも、事前に把握しておくと安心です。(出典:掛川市職員採用試験案内|令和8年度)
上記の試験構成は、掛川市が公表する令和8年度市職員採用試験案内のA区分・消防士のものです。試験案内には視力・聴力・色覚等の身体的要件の記載がなく、体力試験の具体的な種目名も公表されていません(持ち物は第1次試験合格発表時に連絡)。合格発表の方法は、第1次から第3次までが市の公式サイトへの掲載、第4次はすべての受験者への合否通知となっています。試験の段階や実施方法は年度ごとに見直されることがあるため、受験の際は必ずご自身の年度の最新の試験情報をご確認ください。
掛川市消防本部が求める人材
掛川市は、市職員採用試験案内の中で「掛川市では、消防団活動等の地域ボランティアに積極的に参加する人材を求めています」と明文で示しています。地域とのつながりを大切にする姿勢が、公式に求められているということです。
あわせてA区分共通の受験資格として「全体の奉仕者たる市職員として、意欲をもって取り組む姿勢のある方」も掲げられています。
自己PRを準備する際は、地域活動やボランティアの経験があれば、この公表文言に重ねて語れると説得力が増します。消防団活動そのものの経験がなくても、地域と関わった経験であれば、この文言に接続できる材料になります。(出典:掛川市職員採用試験案内|令和8年度)
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。掛川市消防本部の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日はどうやってここまで来ましたか? | 緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます |
| ② 動機・志望 | なぜ掛川市消防本部を志望するのですか? | 消防官という仕事と掛川という土地を、自分の言葉で選べているか |
| ③ 自己理解 | あなたの短所(弱み)は何ですか? | 自分を客観視できているか。弱みへの向き合い方に人柄が出ます |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください | 過去の行動の事実。壁にぶつかったときの対処が現場の仕事に通じるか |
| ⑤ 学業・経歴 | 今の学校・仕事を選んだ理由を教えてください | 進路選択の筋道。自分の決断を順序立てて説明できるか |
| ⑥ 適性・将来 | 体力試験に向けてどんな準備をしていますか? | 交替制勤務と現場活動を続けるための体力づくりへの取り組み方 |
| ⑦ 公共性・社会性 | 消防官(公務員)に最も必要な資質は何だと思いますか? | 仕事の公共性への理解と、社会の出来事への当事者意識 |
この7つの枠組みは県内外の多くの消防本部で共通する土台ですが、掛川を志望する理由まで踏み込めるかどうかは、次に紹介する固有質問への備えで決まります。
合否を分けるのは掛川市消防本部に固有の質問
1問目は消防官という職業選択そのものへの理解を、2問目は掛川市を志望する理由の一貫性を確かめる質問です。準備なしでは答えにくく、掛川の事情をどれだけ事前に調べていたかが問われる質問です。
第3次・第4次の両方でこうした質問が形を変えて出てくる可能性もあります。面接で使いやすい掛川市の事実を絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい掛川市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 津波・住民事前避難対象地域 | 最大津波高はレベル2で13m。県内4市町のみの住民事前避難対象地域に指定(詳細は第1部3章) | 数分単位の避難という切迫感と、それを踏まえた消防の備えの両方に触れると説得力が増します |
| 原子力災害への備え | 浜岡原子力発電所のUPZ対象10市町の一つ。広域避難計画は令和7年8月修正(詳細は第1部3章) | 津波とは異なる時間軸の災害への理解を示すと、管内理解の厚みが伝わります |
| 救急需要の大きさ | 火災35件に対し救急4,799件(令和6年中・詳細は第1部2章)。114,223人という管内人口を124人で支えている | 件数の対比に触れつつ、限られた人員で対応している実情まで言及すると具体性が増します |
| 消防団との連携 | 「消防団活動等の地域ボランティアに積極的に参加する人材」を公表(詳細は第2部1章) | 地域活動の経験があれば、この公表文言に重ねて具体的に語れます |
| 合併の歩み | 昭和37年発足、平成17年の1市2町合併を経て現在の体制に(詳細は第1部3章) | 組織の歴史を踏まえた志望動機は、管内理解の深さを伝える材料になります |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、〈事実 → 自分の問題意識 → 消防吏員としてやりたいこと〉という一続きの話に編んでおくことです。第3次・第4次のどちらで聞かれても対応できるよう、選んだテーマは自分の言葉で何度も口に出しておきましょう。
想定される評価の観点
掛川市は、消防士の各試験種目の配点までは公表していませんが、「消防団活動等の地域ボランティアに積極的に参加する人材を求めています」という文言と、A区分共通の受験資格を明文で示しています。
地域とのつながりを大切にする姿勢と、意欲をもって取り組む姿勢の両方が、面接で確かめられる評価の柱になっているとみてよいでしょう。この二つの姿勢に、消防士である以上避けて通れない体力面の観点を加え、面接準備の物差しとして次の3点に整理しました。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 地域とのつながりを大切にする姿勢 | ボランティアや地域活動に、自分から関わった経験があるか | 参加した事実だけでなく、そこで何を感じ何を続けてきたかまで語れるようにする |
| 意欲をもって取り組む姿勢 | 与えられた役割にどう向き合い、どこまでやり遂げたか | 結果の大小より、取り組む過程でどんな工夫をしたかを具体的に説明できる出来事を選ぶ |
| 基礎体力・現場対応への意欲 | 体力試験に向けてどう準備してきたか、現場活動への心構えがあるか | 種目が非公表な分、日頃の体力づくりを継続してきた姿勢そのものを語れるようにする |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。
第3次の集団試験と第4次の面接試験が続く掛川市消防本部の試験ではなおさら、自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを用意しておきましょう。第3次で見られた印象を、第4次でどう裏づけられるかという視点で準備しておくと、一貫性のある受け答えにつながります。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、本番に向けた6つのステップに整理します。
- 受験する年齢要件・学歴要件と、対象年度の受験案内を確認する。資格要件は「特になし」だが年齢の上限には注意する
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。部活動・アルバイト・学業から、チームで動いた具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 組織研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、公表されている「地域ボランティアに積極的に参加する人材」像に自分の経験をどう重ねられるかを整理する
- 固有質問の材料を対応表から集め、事実から自分の問題意識、消防吏員としてやりたいことへの一続きの話に編む
- 実際に口に出してリハーサルし、第3次の集団試験と第4次の面接試験それぞれで同じ経験を角度を変えて聞かれる場面を想定しておく。第1次のSPI3に向けた通信環境の確認や体力試験の準備も並行して進める
優先順位に注意
ステップ4〜5の組織研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を消防の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で掛川の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。棚卸しした経験を、まず声に出して誰かに話してみるところから始めるとよいでしょう。
掛川市消防本部の試験は、Webテスティングの第1次から、体力試験、集団試験、面接試験へと段階を追って人物を確かめる構成です。それぞれの段階で問われる力が異なるため、段階ごとに準備の中身を切り替えていきましょう。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、掛川市消防本部専用の面接想定問答集もご用意しています。
さいごに
掛川市消防本部の試験は、Webテスティングの第1次から体力試験、集団試験、面接試験へと4段階で人物を確かめる構成です。火災35件に対し救急4,799件という出動の偏りと、県内でも数少ない住民事前避難対象地域への指定、原子力災害への広域避難計画という複数の要素を、124人という体制で受け止めているのが掛川市消防本部です。
「消防団活動等の地域ボランティアに積極的に参加する人材」という公表文言は、この本部が地域とのつながりをどれだけ大切にしているかを物語っています。昭和37年の発足から積み重ねてきた歴史も踏まえながら、自分の経験のどこがこの本部の仕事に生きるのかを、自分の言葉で語れる状態に仕上げていってください。