本記事では、藤枝市職員採用試験の面接対策で必要な、藤枝市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。ここで扱うのは静岡県藤枝市です。
藤枝市役所の面接試験では、「なぜ藤枝市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。藤枝市の選考は一次の筆記試験のあと、二次と三次で面接試験が続く3段階です。
面接が2回ある以上、一度話した内容は次の場でもう一度確かめられると考えておいたほうがよいでしょう。
2回の面接に耐える材料をどう作るか。この記事は、その材料を藤枝市の一次資料から拾い出したものです。
第1部|自治体研究編
藤枝市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは藤枝市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 境を接するのは静岡市・焼津市・島田市の3市だけで、そのうち静岡市は県庁所在地の政令指定都市です。町村とは接していません。
- 人口は138,740人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、市域は194.06km²、人口密度は715人/km²です。
- 65歳以上の割合は31.8%、75歳以上は18.7%(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)で、静岡県全体の31.1%・18.3%をいずれも上回ります。
- 市の花はフジ、市の木はマツ。市役所は藤枝市岡出山一丁目11番1号にあります。
- 市は職員採用のページで、「『幸せになるまち藤枝』を目指して一緒にまちづくりに取り組みませんか」と受験者に呼びかけています。
- 浜岡原子力発電所を中心とする半径31km目安の原子力災害対策重点区域に入り、11市町で進める広域避難計画の一員となっています。
- 令和9年度採用の試験は、一次が筆記試験、二次と三次が面接試験という3段階で、A日程・B日程・C日程の3つに分けて実施されます。
藤枝市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「藤枝市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
藤枝市の位置は、隣り合う自治体の顔ぶれから理解するのが早道です。接するのは3市だけ。
しかもすべて静岡県内で、うち1つは人口66万人台の静岡市です。県内の大きな都市とじかに向き合う位置に、13万人台の市があるという構図になります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 138,740人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 総面積 | 194.06km² |
| 人口密度 | 715人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 65歳以上の割合 | 31.8%(静岡県全体は31.1%) |
| 75歳以上の割合 | 18.7%(静岡県全体は18.3%) |
| 隣接自治体 | 静岡市・焼津市・島田市 |
| 市の花・市の木 | フジ/マツ |
| 市役所所在地 | 藤枝市岡出山一丁目11番1号 |
| 人事担当課 | 人事課・人財育成室(市の公式表記は「人材」ではなく「人財」) |
| (参考)静岡県の人口 | 3,446,470人(令和8年6月1日現在の推計人口) |
65歳以上・75歳以上の割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値です。この統計における藤枝市の総人口は138,740人、静岡県全体は3,544,228人で、割合の分母にもこれらを用いています。表の総人口138,740人はこの住民基本台帳の値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。参考として併記した県の推計人口3,446,470人は令和7年国勢調査の人口等速報集計を基準に住民基本台帳の移動数を加減した値です。調べ方の異なる数字ですので、これらを同じ列に置いて比べることはできません。
数字から考えられる市政課題
人口密度715人/km²は、隣り合う焼津市の1,908人/km²と島田市の298人/km²のちょうど間に入ります。市街地の密集と、山あいのまばらな集落を、1つの市が同時に抱えているということです。
同じ市内でも、道路・交通・施設の課題は場所によって顔が変わります。
高齢化については、65歳以上31.8%、75歳以上18.7%と、いずれも静岡県全体をわずかに上回ります(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)。差は0.7ポイントと0.4ポイントで大きくはありませんが、13万人台という母数で考えれば、対象となる市民の数は決して小さくありません。
たとえば面接では、次のように市内の差に踏み込んで話せます。
藤枝市の経済・産業
製造業全国第3位の県という土台
静岡県の製造品出荷額等は19兆291億円で全国第3位(令和4年・全国比5.3%)、製造業従業者数は409,607人で同じく全国第3位(令和5年)です。内訳は輸送機械が24.4%、電気機械が14.2%、化学工業が13.5%で、この3分野はどれも全国第2位のシェアです(出典:静岡県産業データブック|令和6年度版)。
県は自らの経済を、多くの指標で全国第10位、占める割合はほぼ3%の「3%経済」と説明しています。藤枝市の産業政策も、この県全体の輪郭の中に置かれています。
大きな都市に隣り合うということ
藤枝市が接する3市のうち、静岡市は人口667,503人の政令指定都市です。焼津市は134,112人、島田市は93,931人(いずれも住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。
県庁所在地と背中合わせにある13万人台の市という位置づけが、藤枝市の経済を考えるときの出発点になります。静岡県は23市12町の35市町で構成され、そのうち政令指定都市は静岡市と浜松市の2市だけですから、藤枝市はその一方とじかに接していることになります。
買い物も通勤も通学も、市の境界で止まりません。市内で完結しない人の流れをどう扱うかは、商業振興でも交通でも定住政策でも共通の論点です。
県内を動く人の流れ
静岡県の観光交流客数は令和6年度に1億4,034万人(前年度比100.5%)、宿泊客数は前年度を83万人上回る1,950万人(同104.4%)、観光レクリエーション客数は1億2,084万人(同99.9%)でした(出典:静岡県観光交流の動向|令和6年度)。宿泊が伸び、日帰りが横ばいという構図です。
県内を移動する人が増えている中で、通り過ぎる場所で終わらせないための工夫が、内陸側の市には求められます。
藤枝市の主な行政課題
立地と人口構成を並べ直すと、藤枝市の課題は4つに整理できます。市の課題を問われたときの持ち札として、順に押さえておいてください。
県平均を上回る高齢化
65歳以上31.8%、75歳以上18.7%という水準は、静岡県全体をそれぞれ0.7ポイント、0.4ポイント上回ります。静岡県の高齢化率は令和2年の29.5%から令和7年の30.9%まで毎年上がり続けており、総人口は同じ期間に3,697,427人から3,559,305人へ減りました(各年4月1日現在の住民基本台帳ベース)。
上昇が止まる材料が見当たらないまま、藤枝市は県より一歩先の位置にいます。福祉や地域包括ケアを志望分野に挙げるなら、この一歩の差が何を意味するかを自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。
県全体の人口減少と若い世代の流出
静岡県の人口は平成19年の379万7千人が最多で、そこから令和32年の282万9千人まで、ピーク時の約4分の3の水準へ下がる見通しです。その時点の内訳は年少人口9.7%、生産年齢人口50.7%、高齢者人口39.6%で、3人に1人以上が高齢者という構成になります(出典:静岡県総合計画(素案)|令和7年7月)。
県は平成20年に自然減へ転じ、進学や就職を契機に毎年約6千人が首都圏へ転出する社会減が続いていると指摘しています。県庁所在地に隣り合う藤枝市にとって、若い世代が市外へ出ることと、市外から移り住んでもらうことは、同じ問題の裏表です。
揺れと風水害に軸足を置いた防災
静岡県第4次地震被害想定が示す被害の規模は、レベル2(最大クラス)の駿河トラフ・南海トラフ沿いの地震・津波で、県全体の死者数が約105,000人(うち津波約96,000人)、全壊・焼失棟数が約30万棟。発生頻度が比較的高いレベル1の場合でも、死者は約16,000人、全壊・焼失棟数は約26万棟と見込まれています(出典:静岡県第4次地震被害想定(第一次報告のポイント)|平成25年)。
市町別の最大津波高を並べた一覧に藤枝市の名はなく、南海トラフ地震臨時情報に伴う事前避難対象地域についても、令和8年5月時点の指定は「なし」です(出典:南海トラフ地震臨時情報に伴う事前避難対象地域の指定状況|令和8年5月)。津波よりも揺れへの備えが中心になる位置ですが、県内では最近10年間の1時間降水量50mm以上の発生回数が1.4倍に増えており、風水害も並行して考える必要があります。
浜岡原子力発電所の重点区域
藤枝市は、浜岡原子力発電所の原子力災害対策重点区域(半径31kmを目安)に含まれる11市町の一つです。半径おおむね30kmを目安とするUPZに入っており、区域内の居住者は、PAZと合わせて県民の約4分の1にあたる約81万人にのぼります(令和7年4月1日現在)(出典:静岡県の原子力防災|令和7年度)。
広域避難計画そのものは平成28年3月に作られ、その後も手が入り続けており、最新版は令和7年8月の修正によるものです。原子力防災は藤枝市が単独で完結できる分野ではなく、11市町と県が一つの計画を共有しています。
藤枝市の職員として関わることになるのは、その共有された計画を市域の実情に合わせて動かす側の実務です。
重点政策|「幸せになるまち藤枝」と人財育成
藤枝市の総合計画は、章立ても計画期間も市公式サイトの現行版に当たってください。市の予算規模を測る物差しとしては、静岡県の令和7年度当初予算が一般会計1兆3,723億円(前年度比563億円・4.3%増)、特別会計9,489億円、企業会計878億円であることを頭の隅に置いておくと、市の数字を読むときの見当がつきます(参考:静岡県当初予算の概要|令和7年度)。
ここで取り上げるのは、市が採用の場面で直接示している2つの言葉です。どちらも公式ページの本文にあり、受験者に向けて書かれています。
「幸せになるまち藤枝」という呼びかけ
藤枝市は職員採用のページで、「『幸せになるまち藤枝』を目指して一緒にまちづくりに取り組みませんか」と受験者へ呼びかけています(出典:藤枝市 職員採用(採用情報))。求める職員像を箇条書きで並べる代わりに、目指す状態を先に置いて仲間を募る書き方です。
志望動機を組み立てるときは、この「幸せになるまち」という言葉を自分の関心分野に引き寄せ、どの分野の誰にとっての幸せを担いたいのかまで具体化しておくと、市の言葉に噛み合った説明になります。
「人材」ではなく「人財」と書く市
藤枝市の人事担当課の正式名称は人事課・人財育成室で、市の公式表記は「人材」ではなく「人財」です。市は職員を「人財=宝」と考え、専門知識を得るための研修に加えて、国や県および民間企業への派遣、民間シンクタンクが主催する研究会への参加を支援しています。庁内の仕事だけで職員を育てない、という方針が組織の名前にまで表れているということです。入庁後の姿を語る場面では、この支援の仕組みを踏まえて「どこで何を学び、それを藤枝市へどう持ち帰るか」まで話せると、市の育て方に沿った答えになります。
POINT|「人財」という表記から考える
表記の違いを指摘するだけでは知識の披露で終わります。大事なのは、宝として扱うと決めた組織が職員に何を期待するかです。育ててもらう側の姿勢ではなく、育ててもらったものをどこへ返すかまで話してください。
悪い例「藤枝市は研修制度が充実していると知り、成長できる環境だと思って志望しました」
改善例「藤枝市は職員を国や県、民間企業へ派遣していると知りました。外に出て学んだことを持ち帰って使う前提なのだと感じましたので、私も一度外の現場を見て、それを市の仕事に置き換えられる職員になりたいです」
あわせて確認したい公式資料
採用ページの2本を先に読んでください。市が受験者に向けて自分の言葉で書いた文章は、いまのところそこにしかありません。総合計画と県の計画は、志望分野に関係する章から拾えば十分です。
- 藤枝市の職員採用試験のページ(令和9年度採用の日程・段階・持参物が示されています)
- 藤枝市の職員採用のページ(「幸せになるまち藤枝」の呼びかけと人財育成の考え方)
- 藤枝市の総合計画と、直近年度の当初予算の概要
- 静岡県総合計画(しずおかウェルビーイングプラン)のうち、人口減少への対応をまとめた部分
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、藤枝市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。藤枝市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
藤枝市役所の面接の概要
ここからは、藤枝市の選考がどう進むのか、そして公表されている情報がどこまでなのかを、切り分けながら整理していきます。
藤枝市役所の試験の構成
令和9年度採用の藤枝市職員採用試験は、一次試験が筆記試験、二次試験と三次試験が面接試験という3段階です。日程はA・B・Cの3つに分かれ、技術職はA日程で土木・機械・電気・建築が実施されます。
ここで押さえておきたいのは、公表されているのは段階と種目の大枠までで、面接の形式や筆記の種目名は採用関係ページの本文に書かれていないという点です。
| 項目 | 内容(令和9年度採用) |
|---|---|
| 試験の段階 | 一次試験(筆記試験)、二次試験(面接試験)、三次試験(面接試験)の3段階 |
| 日程 | A日程・B日程・C日程の3日程に分けて実施。技術職はA日程で土木・機械・電気・建築を実施 |
| 一次試験の種目名 | 「筆記試験」とのみ案内されています。教養試験かSPIかといった種目名は、採用関係ページの本文に記載がありません |
| 面接の形式 | 二次・三次とも「面接試験」とのみ案内されています。個別か集団かの別、集団討論の有無は、採用関係ページの本文に記載がありません |
| 当日の持参物 | 受験票、「令和9年度採用 職員採用試験申込書(写真付)」、筆記用具 |
| 追加の提出書類 | 事務職以外は卒業証明書・成績証明書等の書類提出が必要とされています |
| 配点 | 採用関係ページの本文に記載がありません |
上記は藤枝市の令和9年度採用に関する職員採用試験のページにもとづく整理です(出典:藤枝市 職員採用試験|令和9年度採用)。藤枝市の採用関係ページの本文には、面接の形式(個別か集団かの別、集団討論の有無)、筆記試験の種目名、配点、求める職員像の公表文言のいずれも掲載されていませんでした。本記事では、これらの項目を当研究会の推測で埋めることはしていません。試験の構成・区分・日程は年度や日程によって変わりますので、受験の際は必ずご自身が受ける日程と職種の最新の案内をご確認ください。
藤枝市役所が求める人物像
藤枝市の採用関係ページには、求める職員像を項目立てで示した記載はありませんでした。その代わりに市が書いているのが、前半で触れた2つの言葉です。
「幸せになるまち藤枝」という目指す状態と、職員を「人財=宝」と考えるという育成の姿勢。求める人物像を並べる代わりに、市が向かう先と職員の扱い方を示している、と受け取ることができます。
藤枝市が言葉にしているのはここまでで、その先は受験する側が埋める部分です。当研究会の見立てを一つ置いておきます。
人口13万人台の市役所は、県庁ほど分業が細かくなく、かといって一人がすべてを抱え込むほど小さくもない、中間の規模です。そこへ藤枝市は、国や県、民間企業への派遣と、民間シンクタンクの研究会への参加という仕組みを重ねています。
庁内で完結しない場に職員を送り出す前提がある以上、知らない組織の作法に自分を合わせられる柔らかさと、そこで得たものを持ち帰って市の仕事に翻訳する力は、相応に効いてくるものと思われます。市街地と山あいを同時に抱える194.06km²という市域も、相手によって話し方を変えられることの価値を押し上げているはずです。
形式の面でも一つ手がかりがあります。試験当日の持参物には「令和9年度採用 職員採用試験申込書(写真付)」が挙げられています。
自分が書いた申込書を携えて会場へ行き、面接を2回受ける流れです。書いた内容と、その場で話す内容がずれていれば、二次と三次のあいだで必ず露見します。
申込書に書ける範囲の自分を、そのまま2回の面接で語り切れるかどうか。準備の目標地点はそこに置いてください。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。藤枝市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 本日の会場までの道のりはいかがでしたか | 形式が個別でも複数人でも変わらない、最初の受け答えの温度 |
| ② 動機・志望 | 静岡市や焼津市ではなく藤枝市を選んだ理由は何ですか | 隣接3市と比べたうえで藤枝を選んだ理由になっているか |
| ③ 自己理解 | 申込書に書いた強みを、別の言い方で説明してください | 書いた文章に頼らず、同じ内容を口で言い直せるか |
| ④ 経験・行動 | 初めての環境に入って戸惑った経験はありますか | 外の組織へ出ていくことを前提にした育て方との相性 |
| ⑤ 学業・経歴 | 学んだことのうち、市役所の仕事に届きそうなものは何ですか | 知識の量ではなく、業務への置き換えの手つき |
| ⑥ 適性・将来 | 10年後、どんな職員になっていたいですか | 研修や派遣の仕組みを踏まえた将来像を描けているか |
| ⑦ 公共性・社会性 | まちの「幸せ」とは何だと思いますか | 市の掲げる言葉に、自分なりの中身を入れられるか |
ただし、この7つは受験者全員が準備してくる領域です。面接が2回ある試験で、この範囲だけを往復することはありません。二次と三次を分けるのは、次に挙げる「藤枝市ならでは」の質問です。
合否を分けるのは「藤枝市ならでは」の質問
どちらも藤枝市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「藤枝市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい藤枝市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| なぜ県庁ではなく市役所か | 境を接するのは静岡市・焼津市・島田市の3市のみ。静岡市は人口65万人台の政令指定都市で、県庁所在地でもある | 県との距離が近い立地だからこそ、市の側でしかできない仕事を一つ具体的に挙げてください。制度論の説明より説得力が出ます |
| 市が掲げる言葉 | 職員採用のページに「『幸せになるまち藤枝』を目指して一緒にまちづくりに取り組みませんか」という呼びかけがある | 言葉をそのまま返すのではなく、自分の志望分野において幸せがどんな状態を指すのかを言い換えてください |
| 「人財」という考え方 | 人事担当課は人事課・人財育成室。職員を「人財=宝」と考え、国や県および民間企業への派遣、民間シンクタンク主催の研究会への参加を支援 | 制度の紹介で止めず、外で学んだ何をどう市へ返すかまで語ると、入庁後の姿が具体的に伝わります |
| 高齢化の現在地 | 65歳以上31.8%・75歳以上18.7%で、いずれも静岡県全体の31.1%・18.3%を上回る(令和8年1月1日現在の住民基本台帳) | 市全体の数字だけで語らず、駅周辺と山あいで事情が違うという市内の差にも触れると、実地に近い話になります |
| 防災の位置づけ | 市町別の最大津波高の一覧に名はなく、事前避難対象地域の指定も令和8年5月時点で「なし」。一方で浜岡原子力発電所の重点区域11市町の一つ | 沿岸市の論点を借りてこないでください。揺れ、風水害、原子力という藤枝の組み合わせで話すと、調べた範囲が伝わります |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接では、ここまで整理してきた資質が、あなたの過去の行動として実在するかどうかが確かめられます。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 書いたことと話すことをそろえる力 | 申込書の記載と、二次・三次で語る内容が食い違わないか | 持参物に申込書が含まれます。提出前に控えを取り、そこに書いた一行ずつについて、続きを口で説明できるか確かめてください |
| 初めての場に適応する力 | 知らない環境へ入ったときに何を最初にしたか | 藤枝市は職員を国や県、民間企業へ派遣しています。慣れない場所で立ち回った経験を一つ選び、そこで何を持ち帰ったかまで話しましょう |
| 2回の面接に耐える一貫性 | 同じ経験を、角度を変えて2回問われたときの答えの安定 | 二次と三次はどちらも面接試験です。形式が公表されていない以上、一人で語る場合と複数人が同席する場合の両方を想定して練習してください |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。藤枝市は面接試験が二次と三次の2回にわたりますので、一度きりの説明では終わりません。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- A日程・B日程・C日程のうち、自分が受ける日程と職種を確定させる(技術職はA日程での実施です)
- 職員採用試験のページで持参物と提出書類を確認し、事務職以外は卒業証明書・成績証明書等の手配を早めに始める
- 「令和9年度採用 職員採用試験申込書」に書く内容を先に固め、提出前に必ず控えを取る
- 控えの一行ずつについて、口で説明する練習をする。書いた表現をなぞらず、別の言い方でも同じ中身を出せるようにする
- 第1部の事実を2つ選び、「幸せになるまち藤枝」という市の言葉と結び付けて説明できるようにする
- 面接の形式が公表されていないことを前提に、一人で語る場合と複数人が同席する場合の両方を想定して声に出す
優先順位に注意
ステップ5〜6の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ3〜4の申込書の作り込みと、そこに書いた経験を藤枝市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、藤枝市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
藤枝市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
藤枝市の採用ページは、面接の形式も筆記の種目名も配点も書いていません。手元にあるのは、3段階という構成と、3つの日程と、当日持参する申込書。
そして「幸せになるまち藤枝」という呼びかけと、職員を「人財=宝」と呼ぶ市の姿勢です。情報が少ないぶん、当日その場で考えて話せる材料を自分の中に持っておくしかありません。
県庁所在地と背中合わせの13万人台の市で、自分は誰の幸せに関わりたいのか。申込書の一行目から三次面接の最後まで、その答えを同じ声で通してください。